県と市町村の役割分担の基準

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資料 1

市町村における住民自治や住民参加、協働に関する取組状況調査

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道州制基本法案(骨子)

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平成 21 年 7 月 道州制への慎重な対応について 兵庫県知事井戸敏三 各政党においては 究極の分権改革とも言われる 道州制 について マニフェストへの盛り込みが検討されています しかし 道州制は本来国の形のあり方の問題であるにもかかわらず もっぱら地方制度の問題として議論されている最近の状況を鑑

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浜田市事務事業の外部化 ( 民間委託等 ) に関する指針 の 策定について 平成 25 年 5 月浜田市行財政改革推進本部 浜田市では 平成 17 年 10 月に市町村合併を行い 平成 18 年 2 月に 浜田市行財政改革大綱 を策定して 平成 22 年度までの 5 年間で改革に取り組んできました

資料1 第3回災害救助に関する実務検討会における意見に対する回答

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H28秋_24地方税財源

各府省からの第 1 次回答 1. 災害対策は 災害対策基本法に規定されているとおり 基礎的な地方公共団体である市町村による第一義的な応急対応と 市町村を包括する広域的な地方公共団体である都道府県による関係機関間の総合調整を前提としている を活用してもなお対応できず 人命又は財産の保護のため必要がある

PowerPoint プレゼンテーション

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資料4-4 新しい時代の教育や地方創生の実現に向けた学校と地域の連携・協働の在り方と今後の推進方策について 審議のまとめ(参考資料)

資料1 第1回会議のポイントについて

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スライド 1

03-1知事会提言かがみ文

三沢市行政経営推進プラン

私立幼稚園の新制度への円滑移行について

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1. はじめに 本格的な地方分権の時代を迎え 市民に最も身近な地方自治体は 市民ニーズに応じた政策を自ら意志決定し それを自己責任の下に実行することがこれまで以上に求められており 地方自治体の果たすべき役割や地方自治体に寄せられる期待は ますます大きくなっています このような市民からの期待に応えるた

地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(第7次地方分権一括法)の概要

(4) 対象区域 基本方針の対象区域は市街化調整区域全体とし 都市計画マスタープランにおいて田園都市ゾーン及び公園 緑地ゾーンとして位置付けられている区域を基本とします 対象区域図 市街化調整区域 2 資料 : 八潮市都市計画マスタープラン 土地利用方針図

税源配分及び財政調整 < 税源配分 > 特別区と大阪府の事務分担に応じて財源を配分するとともに 特別区間の税源偏在の解消を図るために必要な税財源を大阪府の税源として配分 特別区税 大阪府が賦課徴収する税を除く市町村税( 個人市町村民税 市町村たばこ税 軽自動車税等 ) 大阪府税 市町村税のうち法人市

介護保険制度改正の全体図 2 総合事業のあり方の検討における基本的な考え方本市における総合事業のあり方を検討するに当たりましては 現在 予防給付として介護保険サービスを受けている対象者の状況や 本市におけるボランティア NPO 等の社会資源の状況などを踏まえるとともに 以下の事項に留意しながら検討を

第3節 重点的な取り組み

4 合併を選択した理由 合併を選択した理由は 直面する財政危機への対応よりも 将来に向けた行政体制の充実 強化や行政サービスの維持 向上 合併を選択した理由 地方分権時代にふさわしい基礎自治体としての行政体制の充実 強化を図るため 20 市町村 効率的 効果的な行財政運営により 行政サービスを維持

包括規定 案

施策の体系 本目標3 地域力と行政の連携がつくる人と地球に優しいまち179

2 保険者協議会からの意見 ( 医療法第 30 条の 4 第 14 項の規定に基づく意見聴取 ) (1) 照会日平成 28 年 3 月 3 日 ( 同日開催の保険者協議会において説明も実施 ) (2) 期限平成 28 年 3 月 30 日 (3) 意見数 25 件 ( 総論 3 件 各論 22 件

国家公務員の大幅な削減(常勤約3 7千人 非常勤約6 9千人)社会保険庁の抜本改革について 社会保険庁の問題点 国民の視点に 立っていない サービス 予算執行 の無駄 非効率な 業務運営 保険料徴収 の不徹底 内部統制 ( ガバナンス ) の不足 個人情報の不適 切な取り扱い 業務改革緊急対応プログ

社会的責任に関する円卓会議の役割と協働プロジェクト 1. 役割 本円卓会議の役割は 安全 安心で持続可能な経済社会を実現するために 多様な担い手が様々な課題を 協働の力 で解決するための協働戦略を策定し その実現に向けて行動することにあります この役割を果たすために 現在 以下の担い手の代表等が参加

基礎自治体への期待と不安 第1回 地方分権改革:国から地方へ

市町村合併の推進状況について

☆表紙・目次 (国会議員説明会用:案なし)

Ⅲ コース等で区分した雇用管理を行うに当たって留意すべき事項 ( 指針 3) コース別雇用管理 とは?? 雇用する労働者について 労働者の職種 資格等に基づき複数のコースを設定し コースごとに異なる配置 昇進 教育訓練等の雇用管理を行うシステムをいいます ( 例 ) 総合職や一般職等のコースを設定し

1 地域主権改革 Q1-6 市町村の人口規模はどのぐらいが適正かについて どういう議論があるのですか A1-6. 市町村の適正な人口規模について 大阪府自治制度研究会 においては 次のような検証 とりまとめがされています 検証 効率的な行政運営 備えるべき組織体制 望ましい行政サービス提供の 3 つ

農地中間管理機構 ( 仮称 ) の制度の骨格 ( 案 ) 資料 農地中間管理機構の指定都道府県のコントロールの下に適切に構造改革 生産コスト引下げを推進するため 都道府県段階に設置する 1 都道府県知事は 農地中間管理事業を公平かつ適正に行うことができる法人 ( 地方公共団体の第 3セク

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Microsoft PowerPoint - 愛知県本命 2010[1].pptx

01 【北海道】

このような現状を踏まえると これからの介護予防は 機能回復訓練などの高齢者本人へのアプローチだけではなく 生活環境の調整や 地域の中に生きがい 役割を持って生活できるような居場所と出番づくりなど 高齢者本人を取り巻く環境へのアプローチも含めた バランスのとれたアプローチが重要である このような効果的

目 次 1 章策定の趣旨 1 1 これまで経緯 1 2 さらなる行財政改革の必要性 1 2 章行財政改革の基本的な考え方 2 1 推進期間 2 2 基本方針 2 3 重点項目 2 (1) 事務 事業の効率化の推進 3 (2) 定員管理の適正化及び人材育成の推進 4 (3) 民間活力の活用 4 (4)

PowerPoint プレゼンテーション

地方財政論

[ 指針 ] 1. 組織体および組織体集団におけるガバナンス プロセスの改善に向けた評価組織体の機関設計については 株式会社にあっては株主総会の専決事項であり 業務運営組織の決定は 取締役会等の専決事項である また 組織体集団をどのように形成するかも親会社の取締役会等の専決事項である したがって こ

2. 地域の経済力等 1) 地域の雇用吸収力 若年層を引き留めるための雇用を地域が生み出すことができるかが大きな課題 北部地域においては 市町村合併や行財政改革に伴い 役場が縮小したことによって 雇用の場が減尐 公的セクターの縮小にともない 民間セクターも縮小する悪循環となっている 民間資本による雇

ための手段を 指名 報酬委員会の設置に限定する必要はない 仮に 現状では 独立社外取締役の適切な関与 助言 が得られてないという指摘があるのならば まず 委員会を設置していない会社において 独立社外取締役の適切な関与 助言 が十分得られていないのか 事実を検証すべきである (2) また 東証一部上場

地方財政論

第4次日田市行政改革に向けての方針

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平成18年度標準調査票

地方分権の推進に関する意見書 豊かな自治と新しい国のかたちを求めて 地方財政自立のための 7 つの提言 平成 18 年 6 月 7 日地方六団体 全国知事会全国都道府県議会議長会全国市長会全国市議会議長会全国町村会全国町村議会議長会

事務 権限名事務 権限の概要 事務量 ( アウトプット ) No.2 土地家屋調査士試験の実施 目的 土地家屋調査士となる資格を有する者は, 主に土地家屋調査士試験に合格した者であるため, 法務大臣は, 毎年 1 回, 土地家屋調査士試験を実施している 根拠法令 土地家屋調査士法, 土地家屋調査士法

(2) 消費税率 10% への引上げ時に導入が予定されている軽減税率制度については 消費税 地方消費税の引上げ分のうち地方交付税原資分も含めると 約 3 割が地方の社会保障財源であり 仮に減収分のすべてが確保されない場合 地方の社会保障財源に影響を与えることになることから 確実に代替財源を確保するこ

消防災第 71 号 平成 22 年 2 月 24 日 各都道府県消防防災主管部長殿 総務省消防庁国民保護 防災部防災課長 ( 公印省略 ) 公務員の消防団への入団促進について ( 通知 ) 消防団員は 普段はそれぞれに他の職業をもつ地域住民により構成され 非常災害が発生した際に 自らの地域は自らで守

P10 第 2 章主要指標の見通し 第 2 章主要指標の見通し 1 人口 世帯 1 人口 世帯 (1) 人口 (1) 人口 平成 32 年 (2020 年 ) までの人口を 国勢調査 ( 平成 7 年 ~22 年 ) による男女各歳人口をもとにコーホー 平成 32 年 (2020 年 ) までの人口

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市民自治の捉え方 市民自治 市民参加協働 市民の自立的な活動 市の領域 協働の領域 市民の領域 市の責任と主体性によって独自に行う領域 市の主体性が強く 市民が市に協力する領域 市民と市がそれぞれの主体性のもとに協力して行う領域 市民の主体性が強く 市が市民に協力する領域 市民の責任と主体性によって

資料 1 税財政制度を通じた論点 Ⅰ 現状と課題 1. 地方財政の財政の概要 地方財政の平成 23 年度決算は 歳入約 兆円 歳出 97.0 兆円となっている なお 借入金残高は約 兆円と依然と高い水準にある 国と地方における最終支出ベースにおける比率は 42:58 となって

つに分けて契約した事態について内部牽制が機能していなかった イ 監査の状況 監事 監査室 経理課総務監査係等 公認会計士の各監査機関等において 監査対象の重複 漏れが極力生じないよう 各監査機関等が監査計画を調整するなどして 効率的 効果的な監 査を行うことが必要だが いずれの監査機関等も 本件の契

1) 3 層構造による進捗管理の仕組みを理解しているか 持続可能な開発に向けた意欲目標としての 17 のゴール より具体的な行動目標としての 169 のターゲット 達成度を計測する評価するインディケーターに基づく進捗管理 2) 目標の設定と管理 優先的に取り組む目標( マテリアリティ ) の設定のプ

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平成 25 年 4 月 30 日 補助金のあり方に関するガイドライン 函館市 平成 25 年 4 月

資料3

イ類似団体の状況 法定上限数 抜粋 30 人 ( 人口 8~ 10 万人 ) 34 人 ( 人口 10~ 14 万人 ) 定数が定数を減員の状況法定市数法定上限人2人3人4人5人6人7人8人9人上限数数より減員1と同じ (14.8%) 9 (23.1%) 10 人11 人以上 23

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【H 制定】災害高機能型推進事業実施要領

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平成23年度の具体的な行動計画(アクションプラン)策定調書

大泉町手話言語条例逐条解説 前文 手話は 手指の動きや表情を使って視覚的に表現する言語であり ろう者が物事を考え 意思疎通を図り お互いの気持ちを理解しあうための大切な手段として受け継がれてきた しかし これまで手話が言語として認められてこなかったことや 手話を使用することができる環境が整えられてこ

全自病協第 582 号 平成 27 年 2 月 13 日 地方会議担当支部長様 公益社団法人全国自治体病院協議会 会長 邉見公雄 平成 27 年度地方会議における共通議題について 日頃から支部活動にご尽力をいただき感謝申し上げます さて 平成 27 年度地方会議における共通議題について 常務理事会で

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( 考慮すべき視点 ) 内管について 都市ガスでは需要家の所有資産であるがガス事業者に技術基準適合維持義務を課しており 所有資産と保安責任区分とは一致していない LPガスでは 一般にガスメータの出口より先の消費設備までが需要家の資産であり 資産区分と保安責任区分が一致している 欧米ではガスメータを境

地域子育て支援拠点事業について

1. 行政運営の改革 町の現況と課題 厳しい財政事情や町民ニーズの複雑 多様化が進むなか 限られた行政経営資源 ( 人材 財源 情報 ) のもとで 町民が満足できるサービスを効率的 効果的に提供していくことが求められています 本町では 第 5 次松伏町行政改革大綱 に基づき協働によるまちづくりや 暮

資料9

日本の地方自治その現状と課題

問 2 次の文中のの部分を選択肢の中の適切な語句で埋め 完全な文章とせよ なお 本問は平成 28 年厚生労働白書を参照している A とは 地域の事情に応じて高齢者が 可能な限り 住み慣れた地域で B に応じ自立した日常生活を営むことができるよう 医療 介護 介護予防 C 及び自立した日常生活の支援が

により 都市の魅力や付加価値の向上を図り もって持続可能なグローバル都 市形成に寄与することを目的とする活動を 総合的 戦略的に展開すること とする (2) シティマネジメントの目標とする姿中野駅周辺や西武新宿線沿線のまちづくりという将来に向けた大規模プロジェクトの推進 並びに産業振興 都市観光 地

地方消費者行政強化作戦 への対応どこに住んでいても質の高い相談 救済を受けられる地域体制を整備し 消費者の安全 安心を確保するため 平成 29 年度までに 地方消費者行政強化作戦 の完全達成を目指す < 政策目標 1> 相談体制の空白地域の解消 全ての市町村に消費生活相談窓口が設置されており 目標を

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1_【鑑】「生活困窮者自立支援法の施行に伴う多重債務者対策担当分野との連携について(通知)」の一部改正について

(3) 続いて 部会構成員で議論を行った 論点ごとの主な意見等は以下のとおりである ( : 部会構成員の意見 ) 1 総論的な事項 ⅰ 権限移譲等を検討するに当たっては マクロ的な課題 ( 農地の総量確保の仕組みなど ) とミクロ的な課題 ( 個々の農地転用 農振除外など ) に整理して考えるべきで

目 次 はじめに 検討の視点 2 2 分権型社会における行政の役割分担 4 (1) 国と地方の役割 4 (2) 広域自治体と基礎自治体の役割 8 3 分権型社会における広域自治体の要件 (1) 広域的な課題を迅速 適切に処理できること (2) 自立性が高いこと 11 4 現行制度による対

下の図は 平成 25 年 8 月 28 日の社会保障審議会介護保険部会資料であるが 平成 27 年度以降 在宅医療連携拠点事業は 介護保険法の中での恒久的な制度として位置づけられる計画である 在宅医療 介護の連携推進についてのイメージでは 介護の中心的機関である地域包括支援センターと医療サイドから医

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国費投入の必要性 事業の効率性 事業の有効性 関連事業 事業所管部局による点検 改善 項目 評価 評価に関する説明 事業の目的は国民や社会のニーズを的確に反映しているか 被災者の資力やニーズを踏まえた効率的 効果的な住まいの確保策に関する調査等を行っている 地方自治体 民間等に委ねることができない事

3 検討プロセス 3-1 県計画案を策定するねらい 沖縄 21 世紀ビジョン基本計画を着実に実施していくための総合的な交通体系のビジョンを示した 沖縄県総合交通体系基本計画 において 県土の均衡ある発展を支える利便性の高い公共交通ネットワークの構築が位置づけられている 同計画を踏まえ 県では 南北骨

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公益法人の寄附金税制について

持続可能な自治会活動に向けた男女共同参画の推進について(概要)

ただし 森林の土地の所有権の取得と併せて 当該森林について法第 10 条の2の規定に基づく開発行為の許可を受けて他の用途へ転用する場合など 地域森林計画の対象とする森林から除外されることが確実であるときは 届出書の提出を要さないものとして運用して差し支えない (2) 土地の所有者となった日届出書の提

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Transcription:

県と市町村の役割分担の考え方 平成 16 年 2 月高知県企画振興部

1. 地方を取り巻く状況の変化 少子 高齢化の進行や 住民の価値観の多様化 経済社会活動の広域化 グローバル化など 社会を取り巻く環境が大きく変化する中で 地方は 従来の中央集権画一型の行政システムから脱却し それぞれの個性 特性を活かした地域づくりや地域の活性化に自主的 自立的に取り組んでいくことが求められている そうした中 いわゆる 三位一体改革 の具体化により 国と地方の関係が大きく変わろうとしており また 市町村合併の進展に伴い 市町村区域の拡大や行財政能力の向上など基礎的自治体である市町村のあり様も変わろうとしている さらには これまでのように行政が公共的サービスをすべて担っていくのではなく 住民と行政が協働関係の中で地域づくりを行っていくことも求められている こうした新しい時代に対応する効率的で効果的な行政サービスを提供できる仕組みを構築していくため 住民と行政の関係 さらには広域的自治体である県と基礎的自治体である市町村との役割分担の見直しが求められている また 国においては地方制度調査会をはじめとして 都道府県合併や道州制の議論が活発に行われ 北海道における道州制特区の先行展開も議論され始めている 各地域においても 北東北地域で具体的に2010 年の北東北 3 県の合体 合体後 5~10 年後道州制への移行を研究するなど 都道府県のあり方そのものを見直そうとする動きが出てきている こうした状況を踏まえれば いずれは 県の存在そのものが問われ 現在の都道府県がより広域の 道州 に置き換わり 国は外交や防衛など真に国でなければできない仕事だけを行い 現在国の地方支分部局が担っている仕事をはじめ国の大部分の仕事を 道州 が行う仕組みになることが考えられる と同時に 住民に最も身近な自治体である 市町村 が住民と協働して 現在の都道府県の大部分の仕事を担うという 市町村を中心とした分権型の地方自治体制を目指していくことになる 2. 役割分担の基本的な考え方 現在の市町村合併や都道府県間の連携の状況 国民的な議論の成熟度などを見れば 直ちに 都道府県合併や道州制が具体化するとは思われない ただ より住民に身近な自治体が 自己決定 自己責任の原則 のもと地域の実情に即した行政サービスの提供や地域づくりを行うことが 受益と負担の関係の明確化につながり 分権型社会にふさわしい地方自治の確立につながっていくことには異論のないところである 当面の県と市町村の役割分担を考えるに当たっても この視点は欠かすことができない

このことから 現状の法令により県の事務事業になっている という既成概念にこだわることなく 1 地域の自己決定権が高まる 2 住民の利便性が向上する 3トータルコストが住民の理解を得られるなど 住民の側から見た時に 県 市町村 ( 一部事務組合や広域連合など広域行政の手法を含む ) のどちらがその仕事を担うべきか といった視点に立って検討を行い 県と市町村の役割分担を見直していく 3. 当面の県の取り組み 将来的には 県が行う行政サービスは 市町村 あるいは市町村の共同処理により対応できないもの に限定し 県は 市町村を包括する広域的自治体としての機能に純化 していくものと考える しかし 本県の市町村合併の状況からして なお 小規模な町村が一定数残ることが予想されるなど 直ちに 県の仕事の大部分を市町村に移していくことは現実的でない また 住民と行政との関係についても 県 市町村といった垣根を越えて 地域で自ら考え行動する 住民力 を引き出すことによって よりよいサービスの提供や地域の活力につなげていくことが求められている その意味では 市町村が主役となる分権型の地方自治を目指していく上でも 市町村の行財政能力の向上や地域の支え合いの仕組みづくりに向けた取り組みなど 市町村 地域の自立を支援していく必要がある こうしたことから 県は 1 現在県が行っている仕事のうち 住民に身近な行政サービスや地域の実情に即した地域づくりにつながるものなど 市町村が行うことによって より住民の満足度を高めていくことができるものについて 市町村の意向を踏まえ 市町村への財源移転を伴う権限移譲を進めていく また その際 単独の市町村で対応できないものであっても 一部事務組合や広域連合など広域行政の手法も探っていく 2 分権時代にふさわしい市町村 地域の自立を支援していくため 市町村が地域における総合的な行政サービスの提供主体となっていくための助言や調整を行うとともに 住民や市町村とのパートナーシップのもとに地域における自立と協働の基礎となる地域の支え合いの仕組みづくりなどを進めていく こうした取り組みを進めていくことにより 三位一体改革の具体化による財政規模の縮小など 地方を取り巻く環境が大きく変化する中で 県の事務事業の質的な転換を図り 住民サービスの向上につなげていく

(1) 権限移譲の推進 地域住民の意向を反映した事業の実施や行政サービスの展開を行っていくため 住民の生活に密着する事務は 住民に最も身近な自治体である市町村が実施していくことが求められている 平成 12 年 4 月から施行された地方分権一括法により それぞれの都道府県の実情に応じた市町村への権限移譲ができるよう 条例による事務処理の特例制度 が設けられた 本県では この制度の活用はまだまだ不十分であるため 市町村の意向を踏まえ 制度の積極的な活用により 本県独自の権限移譲を進めていく その際には 現在県が行っている事務事業を点検のうえ 市町村が真に地域の実情に応じた行政サービスや地域づくり等が可能となるよう 行政分野ごとの包括的な権限移譲や市町村の種類ごとの権限移譲 意欲のある市町村への権限移譲などの仕組みを構築する と同時に 権限移譲に伴う適切な財源 ( 交付金 ) 措置を講じる ( ) とともに 経費負担のあり方も含め県職員の派遣等の人的支援も検討する また 全国的な制度として 法令等により市町村の事務事業とすることが適切と考えられるものについては 市町村の意向も踏まえ 思いを同じくする県などとも連携し 国への制度改正の要望を行っていく ( ) 地方財政法 28 条第 1 項 都道府県がその事務を市町村が行うこととする場合においては 都道府県は 当該市町村に対し その事務を執行するに要する経費の財源について必要な措置を講じなければならない (2) 市町村の財源の確保 三位一体の改革が進み 国庫補助負担金の廃止 縮減に伴う税源移譲が行われれば 本県のように自主財源の割合が低い市町村においては 必要な財源の確保が大きな課題となる このため 市町村側のさらなる行財政改革は必要となるが 市町村が必要な行政サービスを確実に実施できるよう 地方交付税による財源保障機能や財源調整機能の維持など 市町村の財源の確保について 引き続き国に対して地方の実情を訴えていく また 現在 県では 三位一体の改革等を受けて 市町村に対する県の単独補助金のあり方について検討を進めている すでに役割を終えた補助金については当然廃止していくべきであり 市町村それぞれの取り組みに委ねるべきであるが 単に県の財政的な負担を減らすための市町村への事業の押し付け 負担の転嫁となってはならない 補助金の内容を十分精査し 市町村に求められている役割を果たしていく上で必要な財源については 市町村に対する関与を縮減する観点からも総合補助金への移行や交付金化を積極的に検討する

(3) 県からの人的支援 本県の市町村の場合 市町村合併が進んだ後も比較的小規模な自治体が一定数残り また 三位一体の改革等を受け さらなる行財政改革の断行を余儀なくされることが予想される 市町村によっては 市町村に求められる役割を果たしていく上で 専門的な知識を有する職員の確保など 必ずしも十分な組織体制が備わっていないことも考えられる そのため 引き続き こうち人づくり広域連合 への支援を行うとともに 市町村や地域の希望に応じて 市町村への職員派遣や市町村との人事交流などを積極的に進める (4) 県の機関の見直し 今後 県からの権限移譲などが進み 行政サービスを提供する機関としての県の役割が縮小していけば 主に県民に直接行政サービスを提供する機能を有する県の出先機関の権限など そのあり方も見直さなければならない そのため 住民サービスの向上という視点はもちろん 市町村とのパートナーシップの構築 効率的 効果的な行政サービスの提供などといった視点に立って県の機関の見直しを併せて検討する (5) その他市町村等の自立に向けた支援 平成 12 年 4 月の地方分権一括法の施行に伴い 機関委任事務制度が廃止され 国 県 市町村は法制度上対等の関係となった しかし 県と市町村の関係を見ても 各種報告事務やヒアリング事務等 ややもすれば市町村に対する過度の関与となっている例も見受けられる このため 市町村が本来の市町村の役割を十分果たせるよう県の関与の見直しを行う また 県からの権限移譲の受け入れ等に際し 市町村が一部事務組合や広域連合などの手法を活用する場合 市町村間の利害が対立することも考えられる そのため 県の調整機能を十分発揮し 広域行政に対する適切な助言等を行う さらには 円滑な市町村の再編に向けた調整や 研修のための市町村職員の受け入れ 県職員を地域に出すことによって住民 市町村等と連携した地域の支え合いの仕組みづくりを行うなど 市町村 地域の自立に向けた支援を行う

4. 現在県の役割とされている事務事業の今後のあり方 (1) 広域事務 ( 事務事業の対象や効果等が市町村の区域を越えるもの ) 現行の広域事務 ア. 対象が市町村の区域を超え 一体的又は流動的である事務事業 広域に渡る計画策定や調査 大気汚染防止 広域交通 河川管理などのように 対象が一体的又は流動的であり 対応策の決定や実施に当たって整合性が求められるものイ. 対象自体は市町村の区域を越えるものではないが 相互の関連性が高い事務事業 土地利用に関する業務などのように 対象は別々で切り離すことができるが 一方を利用すると他方の利用が進まなくなるなど 供給や利用の決定に当たって整合性が求められるものウ. 対象自体は市町村の区域を越えるものではないが 合理的な資源の再配分や交換が求められる事務事業 産業廃棄物処理や水資源管理などのように 利益を受ける地域と不利益を受ける地域が分かれており 地域資源の有効的な利用を図る上で 広域的な再配分や交換が必要となるなど 一体的な意思決定が求められるものエ. 対象自体は市町村の区域を越えるものではないが 資源の集中投資が求められ その事業実施に伴う効果が広域に及ぶ事務事業 高度医療サービスや大規模開発などのように 対象はいずれかの地域に限定されるが それによってもたらされる効果が広域に及ぶなど 広域的な意思の調整や一体的な実施が求められるもの 今後の広域事務のあり方 今後 事務事業の対象や最終的な効果等が1 市町村の区域を越えるものであっても 単に市町村の区域を越えるという理由だけをもって県の役割とするのではなく 市町村 あるいは市町村が共同処理の手法を活用して行うことにより 住民サービスの向上につながるのではないかを検討する その際には 例えば 河川管理などのように 特に広域的な調整が必要な河川改修は県が行い 住民に身近な事務である河川区域内の占用許可は市町村が行うなどといった一連の事務の中での役割分担も含め検討する そうした検討の結果 県は 明らかに全県的な影響や効果を及ぼすもの 市町村 市町村間の共同処理の手法を活用した際 的確な対応が困難 また 著しく非効率なもの 地域の一体的視点から総合的 計画的な企画 調整が必要のもの 等を行う

(2) 連絡調整事務 ( 国と市町村 市町村相互間の連絡調整等に関するもの ) 現行の連絡調整事務 ア. 地域の意見や要望などを集約し 国へ主張等を行うものイ. 市町村相互間の利害調整等を行うものウ. 市町村に対して助言等を行うもの 今後の連絡調整事務のあり方 国と市町村 市町村相互間の連絡調整に係るものは 今後も県が行う ただ 三位一体改革に伴う地方に対する国の関与の縮小や情報化の進展を考えれば 国と市町村間の連絡調整事務は減少し また 市町村合併の進展による市町村数の減少や市町村の行財政能力の向上などを考えれば 市町村間の連絡調整事務や市町村に対する助言等は量的に縮小する (3) 補完事務 ( 規模又は性質において 一般の市町村が処理することが適当でないと認められるもの ) 現行の補完事務 ア. 事務事業の規模が大きく その処理に大きな財政負担を生じ 一般の市町村では負担に耐えることができないものイ. 事務事業の性質から高度な技術力や専門的な能力を必要とし 一般の市町村では各自必要な人材等を確保して処理することができない又は著しく非効率であるもの 今後の補完事務のあり方 いわゆる補完事務は 対象や効果が市町村の区域を越えるものではなく 本来市町村が事業主体となることが望ましいと考えられることから 県からの人的支援も検討の上 財源移転を伴う権限移譲を積極的に検討していく その際には 市町村間の共同処理によるスケールメリットの発揮といった視点からも 一部事務組合や広域連合などの活用 高度な技術力 専門的な知識等を有する職員の市町村間での共同活用なども併せて検討する