<4D F736F F D20338FAC8E A815B836792B28DB88E9697E18A E646F63>

Similar documents
小児環境保健疫学調査に関する検討会報告書

1. エコチル調査の概要 2. 子どもを取り巻く環境 - エコチル調査 ( 詳細調査 ) からわかってきたこと - 3. 他に指摘されている子どもを取り巻く環境 4. まとめ 2

Microsoft PowerPoint - 4-4新田裕史.ppt

系統看護学講座 クイックリファレンス 2012年 母性看護学

<4D F736F F D A815B836792B28DB88E9697E188EA C E646F63>

化を明らかにすることにより 自閉症発症のリスクに関わるメカニズムを明らかにすることが期待されます 本研究成果は 本年 京都において開催される Neuro2013 において 6 月 22 日に発表されます (P ) お問い合わせ先 東北大学大学院医学系研究科 発生発達神経科学分野教授大隅典

系統看護学講座 クイックリファレンス 2013年7月作成

子どもの保健 Ⅰ・Ⅱ .indd

甲状腺機能が亢進して体内に甲状腺ホルモンが増えた状態になります TSH レセプター抗体は胎盤を通過して胎児の甲状腺にも影響します 母体の TSH レセプター抗体の量が多いと胎児に甲状腺機能亢進症を引き起こす可能性が高まります その場合 胎児の心拍数が上昇しひどい時には胎児が心不全となったり 胎児の成

児に対する母体の甲状腺機能低下症の影響を小さくするためにも 甲状腺機能低下症を甲状腺ホル モン薬の補充でしっかりとコントロールしておくのが無難と考えられます 3) 胎児 新生児の甲状腺機能低下症 胎児の甲状腺が生まれながらに ( 先天的に ) 欠損してしまう病気があります 通常 妊娠 8-10 週頃

今 子ども達に何が起こっているのか 1 代謝 内分泌系異常 ( 小児肥満 ) の増加 生殖異常 ( 男児の出生率の低下 ) の増加 出典 : 学校保健統計 出典 : 人口動態統計 30 年間で肥満傾向児は 1.5 倍に 男子の出生比率が減少 子どもの心身の異常に 環境中の有害物質が関与しているのでは

37 4

<4D F736F F D2092E18F6F90B691CC8F648E998F6F90B682CC919D89C182CC94778C692E646F63>

娠中の母親に卵や牛乳などを食べないようにする群と制限しない群とで前向きに比較するランダム化比較試験が行われました その結果 食物制限をした群としなかった群では生まれてきた児の食物アレルゲン感作もアトピー性皮膚炎の発症率にも差はないという結果でした 授乳中の母親に食物制限をした場合も同様で 制限しなか

資料3 小児保健に関する内外の疫学調査について

神経発達障害診療ノート

Microsoft Word - 読み原稿_イメージ入) doc

(4) 薬剤耐性菌の特性解析に関する研究薬剤耐性菌の特性解析に関する知見を収集するため 以下の研究を実施する 1 家畜への抗菌性物質の使用と耐性菌の出現に明確な関連性がない家畜集団における薬剤耐性菌の出現又はこれが維持されるメカニズムについての研究 2 食品中における薬剤耐性菌の生残性や増殖性等の生

エコチル調査3周年記念シンポジウム 平成26年1月31日(金) 子どもの健康と環境 エコチル調査メディカルサポートセンター特任部長 国立成育医療研究センター 生体防御系内科部 アレルギー科医長 大矢 幸弘 先生 1

平成14年度研究報告

胎児計測と胎児発育曲線について : 妊娠中の超音波検査には大きく分けて 5 種類の検査があります 1. 妊娠初期の超音波検査 : 妊娠初期に ( 異所性妊娠や流産ではない ) 正常な妊娠であることを診断し 分娩予定日を決定するための検査です 2. 胎児計測 : 妊娠中期から後期に胎児の発育が正常であ

<4D F736F F F696E74202D FAC8E998E9589C88A7789EF837C E815B FAC90CE2E707074>

インスリンが十分に働かない ってどういうこと 糖尿病になると インスリンが十分に働かなくなり 血糖をうまく細胞に取り込めなくなります それには 2つの仕組みがあります ( 図2 インスリンが十分に働かない ) ①インスリン分泌不足 ②インスリン抵抗性 インスリン 鍵 が不足していて 糖が細胞の イン

平成 29 年度食品安全モニター課題報告 食品の安全性に関する意識等について I. 食品の安全性に係る危害要因等について 問 1 A~G に掲げる事項についてリスクの観点からあなたはどう思いますか それぞれ の事項について 選択肢 1~6 の中から 1 つずつ選んでください 事項 A 環境問題 B

PowerPoint プレゼンテーション

評価方法 ディスカッション等の事例を用いた活動実習ブレインストーミング 定期テストディスカッション等の事例を用いた活動実習ブレインストーミングその他成果物 定期テストディスカッション等の事例を用いた活動実習ブレインストーミングその他成果物 上に示す観点に基づいて 学習のまとまりごとに評価し 学年末に

第51回日本小児内分泌学会学術集会 Year Book * 成長

10038 W36-1 ワークショップ 36 関節リウマチの病因 病態 2 4 月 27 日 ( 金 ) 15:10-16:10 1 第 5 会場ホール棟 5 階 ホール B5(2) P2-203 ポスタービューイング 2 多発性筋炎 皮膚筋炎 2 4 月 27 日 ( 金 ) 12:4

<4D F736F F F696E74202D F937392A1564F438DC58F4994C5288DB D890E690B6816A F4390B3205B8CDD8AB B83685D>

手術や薬品などを用いて 人工的に胎児とその付属物を母体外に排出することです 実施が認められるのは 1 妊娠の継続又は分娩が 身体的又は経済的理由により母体の健康を著しく害する恐れがあるもの 2 暴行もしくは脅迫によって妊娠の場合母体保護法により母体保護法指定医だけが施行できます 妊娠 22 週 0

Microsoft Word - P11~19第2部② 母子保健の現状

PowerPoint プレゼンテーション

公募情報 平成 28 年度日本医療研究開発機構 (AMED) 成育疾患克服等総合研究事業 ( 平成 28 年度 ) 公募について 平成 27 年 12 月 1 日 信濃町地区研究者各位 信濃町キャンパス学術研究支援課 公募情報 平成 28 年度日本医療研究開発機構 (AMED) 成育疾患克服等総合研

近年患者数が多く公衆衛生上の重要性が増しているノロウイルスについて ヒトへの 感染経路における食品 ( カキを中心とした二枚貝とその他の食品別 ) の寄与率やヒトの 症状の有無による食品への汚染の程度を明らかにする研を実施する 2 調査事業 (1) 食品用器具 容器包装に用いられる化学物質のリスク評

Microsoft Word - tohokuuniv-press _03(修正版)

エコチル調査で明らかにしたいこと (1) どもをとり巻く環境 ( 例 ) 住宅環境化学製品の使 など 曝露経路も多様 ( 子ども特有の曝露経路もある ) 吸入 経皮 経口 ( 例 ) 事運動 睡眠育児環境など 環境の要素は多種多様 個人の要因による違い 地域の要因に関わる違い 3 (2) エコチル調

4 月 17 日 4 医療制度 2( 医療計画 ) GIO: 医療計画 地域連携 へき地医療について理解する SBO: 1. 医療計画について説明できる 2. 医療圏と基準病床数について説明できる 3. 在宅医療と地域連携について説明できる 4. 救急医療体制について説明できる 5. へき地医療につ

h29c04

Microsoft Word - tohokuuniv-press _02.docx

独立行政法人国立成育医療研究センターエコチル調査メディカルサポートセンター特任部長生体防御系内科部アレルギー科医長 大矢幸弘 1

zzm0040_02_上伊那地域.indd

アレルギー疾患対策基本法 ( 平成二十六年六月二十七日法律第九十八号 ) 最終改正 : 平成二六年六月一三日法律第六七号 第一章総則 ( 第一条 第十条 ) 第二章アレルギー疾患対策基本指針等 ( 第十一条 第十三条 ) 第三章基本的施策第一節アレルギー疾患の重症化の予防及び症状の軽減 ( 第十四条

第 7 回トキ飼育繁殖小委員会資料 2 ファウンダー死亡時の対応について ( 案 ) 1 トキのファウンダー死亡時の細胞 組織の保存について ( 基本方針 ) トキのファウンダーの細胞 組織の保存は ( 独 ) 国立環境研究所 ( 以下 国環研 ) が行う 国環研へは環境省から文書

Top 10 causes of death globally 年世界死亡原因トップ 10 Alzheimer disease and other dementias アルツハイマーその他認知症 Trachea, brochus, lung cancers 気管 気管支 肺がん

スライド 1

2015 年 11 月 5 日 乳酸菌発酵果汁飲料の継続摂取がアトピー性皮膚炎症状を改善 株式会社ヤクルト本社 ( 社長根岸孝成 ) では アトピー性皮膚炎患者を対象に 乳酸菌 ラクトバチルスプランタルム YIT 0132 ( 以下 乳酸菌 LP0132) を含む発酵果汁飲料 ( 以下 乳酸菌発酵果

Microsoft PowerPoint - 2.医療費プロファイル 平成25年度(長野県・・

<4D F736F F D C482CC31816A E63289F18C9F93A289EF5F8B638E96985E81698A6D92E894C5816A2E646F63>

スライド 1

PowerPoint プレゼンテーション

資料 4 エコチル調査の進捗状況 2014 年 9 月 29 日 独立行政法人国立環境研究所 エコチル調査コアセンター 1

資料1-1 HTLV-1母子感染対策事業における妊婦健康診査とフォローアップ等の状況について

肝臓の細胞が壊れるる感染があります 肝B 型慢性肝疾患とは? B 型慢性肝疾患は B 型肝炎ウイルスの感染が原因で起こる肝臓の病気です B 型肝炎ウイルスに感染すると ウイルスは肝臓の細胞で増殖します 増殖したウイルスを排除しようと体の免疫機能が働きますが ウイルスだけを狙うことができず 感染した肝

消化性潰瘍(扉ページ)

<4D F736F F D CC8B69898C82C68E5989C888D98FED2E646F63>


PowerPoint プレゼンテーション

14栄養・食事アセスメント(2)

1 単位対象学年 組 区分 1 年 必修 奥村秀章 黒尾卓宏 晝間久美 保健体育 保健 我が国の健康水準 健康であるための成立要因や条件について理解させ 飲酒や喫煙等の生活習慣について考える 薬物乱用 感染症 エイズの予防対策の重要性について認識させる ストレス社会への対処の仕方や身

PowerPoint プレゼンテーション

さらに, そのプロセスの第 2 段階において分類方法が標準化されたことにより, 文書記録, 情報交換, そして栄養ケアの影響を調べる専門能力が大いに強化されたことが認められている 以上の結果から,ADA の標準言語委員会が, 専門職が用いる特別な栄養診断の用語の分類方法を作成するために結成された そ

健康な生活を送るために(高校生用)第2章 喫煙、飲酒と健康 その2

保健機能食品制度 特定保健用食品 には その摂取により当該保健の目的が期待できる旨の表示をすることができる 栄養機能食品 には 栄養成分の機能の表示をすることができる 食品 医薬品 健康食品 栄養機能食品 栄養成分の機能の表示ができる ( 例 ) カルシウムは骨や歯の形成に 特別用途食品 特定保健用

フィナレビ106号.indb

統合失調症発症に強い影響を及ぼす遺伝子変異を,神経発達関連遺伝子のNDE1内に同定した

糖尿病がどんな病気なのか 病気を予防するためにどんな生活が望ましいかについて解説します また 検診が受けられるお近くの医療機関を検索できます 健康診断の結果などをご用意ください 検査結果をご入力いただくことで 指摘された異常をチェックしたり 理解を深めたりすることができます 病気と診断され これから

共済だより.indd

カテゴリー別人数 ( リスク : 体格 肥満 に該当 血圧 血糖において特定保健指導及びハイリスク追跡非該当 ) 健康課題保有者 ( 軽度リスク者 :H6 国保受診者中特定保健指導外 ) 結果 8190 リスク重なりなし BMI5 以上 ( 肥満 ) 腹囲判定値以上者( 血圧 (130 ) HbA1

5_使用上の注意(37薬効)Web作業用.indd

様式 3 論文内容の要旨 氏名 ( 神﨑光子 ) 論文題名 周産期における家族機能が母親の抑うつ 育児自己効力感 育児関連のストレス反応に及ぼす影響 論文内容の要旨 緒言 女性にとって周産期は 妊娠 分娩 産褥各期の身体的変化だけでなく 心理的 社会的にも変化が著しいため うつ病を中心とした気分障害

桜町病院対応病名小分類別 診療科別 手術数 (2017/04/ /03/31) D12 D39 Ⅳ G64 女性生殖器の性状不詳又は不明の新生物 D48 その他及び部位不明の性状不詳又は不明の新生物 Ⅲ 総数 構成比 (%) 該当無し Ⅰ 感染症及び寄生虫症 Ⅱ 新生物 C54 子宮体部

<4D F736F F F696E74202D208AD88D9182C982A882AF82E989BB8A7795A88EBF8AC7979D90AD8DF42E707074>

PowerPoint プレゼンテーション

Microsoft PowerPoint - 【参考資料4】安全性に関する論文Ver.6

3. 安全性本治験において治験薬が投与された 48 例中 1 例 (14 件 ) に有害事象が認められた いずれの有害事象も治験薬との関連性は あり と判定されたが いずれも軽度 で処置の必要はなく 追跡検査で回復を確認した また 死亡 その他の重篤な有害事象が認められなか ったことから 安全性に問

妊婦甲状腺機能検査の実施成績 東京都予防医学協会母子保健検査部 はじめに て乾燥させたろ紙血液を検体とする 検体は本会の 妊婦の甲状腺機能異常による甲状腺ホルモンの 過不足は 妊娠の転帰に影響を与えるばかりでなく 代謝異常検査センターに郵送される 2 検査項目と検査目的および判定基準 生まれてくる子

jphc_outcome_d_009.indd

資料3  農薬の気中濃度評価値の設定について(案)

5. 死亡 (1) 死因順位の推移 ( 人口 10 万対 ) 順位年次 佐世保市長崎県全国 死因率死因率死因率 24 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 位 26 悪性新生物 350

SNPs( スニップス ) について 個人差に関係があると考えられている SNPs 遺伝子に保存されている情報は A( アデニン ) T( チミン ) C( シトシン ) G( グアニン ) という 4 つの物質の並びによってつくられています この並びは人類でほとんど同じですが 個人で異なる部分もあ

スライド 1

1 発達とそのメカニズム 7/21 幼児教育 保育に関する理解を深め 適切 (1) 幼児教育 保育の意義 2 幼児教育 保育の役割と機能及び現状と課題 8/21 12/15 2/13 3 幼児教育 保育と児童福祉の関係性 12/19 な環境を構成し 個々 1 幼児期にふさわしい生活 7/21 12/

研究から医療へ より医療への実利用が近いもの ゲノム医療研究推進ワーキンググループ報告書 (AMED) 臨床ゲノム情報統合データベース公募 対象疾患の考え方の方向性 第 1 グループ ( 主に を目指す ) 医療への実利用が近い疾患 領域の着実な推進 単一遺伝子疾患 希少疾患 難病 ( 生殖細胞系列

シトリン欠損症説明簡単患者用

歯科中間報告(案)概要

日本の子どもたちが危ない があるのでしょうか? 日本において低出生体重児が急激に増えていることに強い危機感を覚えていらっしゃるとうかがいました その原因にはどのようなことが考えられるのでしょうか? 日本は1978 年頃以降 低出生体重児 ( 出生体重 2500g 未満の児 ) が年々増加傾向にありま

食物アレルギーから見た離乳食の考え方

も 医療関連施設という集団の中での免疫の度合いを高めることを基本的な目標として 書かれています 医療関係者に対するワクチン接種の考え方 この後は 医療関係者に対するワクチン接種の基本的な考え方について ワクチン毎 に分けて述べていこうと思います 1)B 型肝炎ワクチンまず B 型肝炎ワクチンについて

日産婦誌58巻9号研修コーナー

平成17年度研究報告

Microsoft Word - 1 糖尿病とは.doc

10075 口頭発表 身体活動 8 月 31 日 ( 金 ) 8:30~9:20 第 8 会場 朱鷺メッセ 3F 小会議室 口頭発表 診断 -その他 8 月 30 日 ( 木 ) 11:00~12:20 第 5 会場 朱鷺メッセ 3F 中会議室

妊娠・出産MyBook.indd

CIN 推進拠点事業概要 事業名 補助事業課題 採択課題名 事業代表者 事業担当者 補助事業予定期間 クリニカル イノベーション ネットワーク推進支援事業 クリニカル イノベーション ネットワーク (CIN) の推進拠点 CIN 構想の加速 推進を目指したレジストリ情報統合拠点の構築 国立国際医療研

Microsoft Word - _r12_本文最終(091130).doc

ただ太っているだけではメタボリックシンドロームとは呼びません 脂肪細胞はアディポネクチンなどの善玉因子と TNF-αや IL-6 などという悪玉因子を分泌します 内臓肥満になる と 内臓の脂肪細胞から悪玉因子がたくさんでてきてしまい インスリン抵抗性につながり高血糖をもたらします さらに脂質異常症

臨床研究の概要および研究計画

実習科目回 テーマ 授業内容および学習課題 担当者 酸塩基反応及び抽出法による薬毒物混合物の系統 グループ 薬毒物の系統分離と確認 分離法を実施できる 薬毒物の化学構造や反応性を理解し 薄層クロマ 森本 敦司 トグラフィーや各種確認試験を利用して 含有成分 を同定できる C2-(3) A

豊川市民病院 バースセンターのご案内 バースセンターとは 豊川市民病院にあるバースセンターとは 医療設備のある病院内でのお産と 助産所のような自然なお産という 両方の良さを兼ね備えたお産のシステムです 部屋は バストイレ付きの畳敷きの部屋で 産後はご家族で過ごすことができます 正常経過の妊婦さんを対

第3章 調査のまとめ

Transcription:

小児コホート調査の事例参考資料 3 1. 国内 環境と子どもの健康に関する北海道研究 (Hokkaido Cohort) 調査主体北海道大学リクルート期間 2002-2005 年追跡期間 5-6 歳まで国日本サイズ約 20,000( 詳細調査数 n=514) 内分泌かく乱物質ばく露 ( 母体血 臍帯血 母乳 毛髪 ) 先天異常 出生体重 在胎週数アレルギー 神経発達 行動障害前向きコホート研究による先天異常モニタリング 特に尿道下裂 停留精巣のリスク要因と内分泌かく乱物質に対する感受性の解明をとする 東北コホート調査 (Tohoku Study of Child Development) 調査主体東北大学リクルート期間 2001-2003 年追跡期間 6-7 歳まで国日本サイズ 1,300 PCB メチル水銀 POPs ダイオキシンばく露 ( 母親の毛髪 母体血 臍帯血 胎盤 母乳 ) 発達影響 (NBAS KSPD BSID FTII K-ABC ほか ) 残留性有機汚染物質 (POPs) による周産期ばく露が子どもの発達に及ぼす影響を明らかにする すくすくコホート調査主体科学技術振興機構リクルート期間平成 17-18 年 平成 19 年より長期コホートのためのリクルート開始予定 追跡期間 - 国日本サイズ - 生育環境調査 行動観察 あるいは脳画像解析ばく露 発達独立行政法人科学技術振興機構の 心身や言葉の健やかな発達と脳の成長 プロジェクトの中核となる研究として 心身のバランスのとれた健やかな発達のためのより効果的な方法と環境を科学的に究明することをとする 参考資料 3-1

2. 海外米国チルドレンズ スタディ (National Children's Study) 調査主体米国保健社会福祉省 (DHHS)[ 国立衛生研究所 (NIH) 国立小児保健発育研究所 (NICHD) 国立環境衛生科学研究所(NIEHS) 疾病対策予防センター (CDC)] 米国環境保護庁(US EPA) リクルート期間 2008-2013 年追跡期間 21 歳まで国米国サイズ 100,000 物理的環境( 住居の質 コミュニティーの状況 ) ばく露 化学的環境( 殺虫剤 フタル酸 重金属 大気質 水質 ) 生物学的環境( 感染因子 エンドトキシン 食事 ) 遺伝要因( 環境因子と遺伝子の相互作用 ) 社会要因( 家族 社会経済学的状況 (SES) 施設 社会的ネットワーク) 妊娠の結果( 早産 先天異常 ) 神経発達と行動( 自閉症 統合失調症 学習障害 ) ケガ( 頭部外傷 外傷による入院 ) 喘息( 喘息発症と憎悪 ) 肥満及び身体発達( 肥満 糖尿病 思春期の改変 ) 子供の発達への環境からの影響を把握し 予防可能な要因を見出すことをとする 調査は予め選定された仮説を検証する形で実施され 妊娠中からの母親のばく露を調査対象に含め 遺伝子と環境の相互作用を調べるものであり 将来のさまざまな調査研究の基盤データ すなわち国家的な資産を提供する コホートを利用した研究の採択にあたっては 基盤となる作業仮説に基づくものであることが条件になる こののために 以下の 26 の項目に関する仮説が設けられている 母親の糖代謝異常と先天異常 炎症のメディエーターへの子宮内ばく露による早産リスクの上昇 生殖介助法により出生した子の成長阻害 早産 先天異常 発育障害のリスクの上昇 母親の亜臨床的な甲状腺機能低下症と神経発達障害 / 妊娠異常 非残留性農薬と神経行動 認知技能低下 出生前感染と神経発達異常 遺伝子 - 環境相互作用と行動 出生前および周産期感染と統合失調症 家族の影響と子の健康 発達 地域とコミュニティの影響と子供の健康 メディア ( テレビ インターネット ゲーム等 ) ばく露の影響と子供の健康 発達 社会的機関 ( 教育 宗教機関 ) と子供の健康 発達 出生前の母親のストレスおよび遺伝の子の喘息への影響 室内空気および大気汚染 空気アレルゲンへのばく露と喘息のリスク 食品中の抗酸化物質と喘息リスク 社会環境の影響と喘息格差 微生物構成成分 生成物への早い時期のばく露と喘息リスクの低減 参考資料 3-2

母親の糖代謝異常と肥満 インシュリン抵抗性 子宮内での成長阻害と肥満 インシュリン抵抗性 母乳保育と肥満 インシュリン抵抗性出現率の低下 食物繊維 全粒粉 高グリセミック インデックス食品と肥満 インシュリン抵抗性 遺伝および環境中からのばく露と I 型糖尿病 反復する軽度の脳損傷と神経認知発達 行動ばく露 (behavioral exposures) および遺伝と 小児あるいは思春期に始まる攻撃性 先行要因と精神的外傷を残すようなできことからの回復 ホルモン様活性をもつ環境因子と生殖機能の発達 韓国母体コホート調査 (MOCHE) 調査主体韓国環境省 MOCHE-CC(Coordinating Center) リクルート期間 2006-2010 年追跡期間 5 歳までを予定国韓国サイズ初年度のみで 500 人の母親をリクルート 血液 尿中のバイオマーカー ( 鉛 水銀 カドミウムを含む ) ばく露環境要因 発達影響およびアレルギー アトピー 喘息等環境中からのばく露が母親と子供の健康に及ぼす影響を調べ 結果を環境保健行政に活用することをとする ノルウェー母と子のコホート スタディ (The Norwegian Mother and Child Cohort Study: MoBa) 調査主体ノルウェー公衆衛生研究所リクルート期間 1999-2007 年追跡期間 6 歳まで国ノルウェーサイズ 90,000 人 (1999-2007 年 9 月 ) 健康 感染 栄養 医療 職業 ライフスタイル ( アルコール ドラッグ 喫煙 ばく露社会状況 ) 母体血 臍帯血のバンキングを行う 食事調査を含む質問票による調査 妊娠 ( 出産 子癇 未熟児 低体重 先天異常 ) 子供 ( 喘息 アレルギー 糖尿病 癌 多発性関節症 自閉症 ADHD) 特定の病因論的仮説を証明することではなく 将来に生じるてくるであろう仮説群に対応することができるよう ばく露と健康上のとに関する情報を可能な限りたくさん収集することをとする 参考資料 3-3

デンマーク国家出生コホート : 母と子のよりよい健康 (Danish National Birth Cohort: Better Health for Mother and Child: BSMB) 調査主体デンマーク国立血清研究所リクルート期間 1997-2002 年追跡期間レジストリー制度を利用し成人以降まで追跡可能国デンマークサイズ 101,042 人 特定のばく露を予め規定していない ばく露母体血と臍帯血のバンキング食事調査 母親への電話インタビュー 妊娠の合併症初期のばく露による子供の疾病胎児の発育とその決定因子投薬と感染症の影響など妊娠の合併症 初期のばく露による子供の疾病 胎児の発育とその決定因子を知る 特に投薬と感染症の影響を知ることを重視した 小児期以降も含め 胎児期のばく露に起源を持つ可能性のある全ての疾病を対象とする 投薬データベースと 生体バンクの構築を同時に行う ジェネレーション R 調査主体 エラスムス大学メディカルセンター リクルート期間 2002-2006 年 追跡期間 成人まで 国 オランダ サイズ 9,778 人 ( 詳細調査対象コホート 1,232 人 ) ばく露 生物要因 ( 両親の形質 初期の成長 内分泌 免疫的特質 遺伝的背景 ) 環境要因 ( 食事 両親の喫煙 住居 ) 社会要因 ( 両親の教育 職業 収入 結婚 ) 成長行動 認識力の発達小児期の疾病医療胎児期から思春期までの発達と健康に影響を及ぼす環境及び遺伝要因を見出すこと 特に (1) 成長と身体的発達 (2) 行動と認識力の発達 (3) 小児期の病気 (4) 妊娠中の女性と子供の健康状態及びその管理の 4 領域に焦点をおく 調査の大きなは以下のとおり 胎児期から思春期までの成長の記載 胎児期から思春期までの成長に影響を及ぼす生物 環境 社会要因の特定 ハイリスク群を早期に見出し 予防するための 現在の手法の有効性の検証 喘息とダニアレルギーの予防と発生 (Prevention and Incidence of Asthma and Mite Allergy: PIAMA) 調査主体ユトレヒト大学リクルート期間 1996-1997 年 追跡期間 8 年以上 参考資料 3-4

国オランダサイズ 4,146 人 ( 介入実験 Intervention study, 855 人 ) 室内ダスト 沿道からの距離 投薬ばく露食事 喘息 アレルギー症状アレルゲンの低減が小児喘息発症に及ぼす効果を見るで アレルギーの既往症のある母親をリクルートし その子供でダニを通過させない寝具を用いた二重盲検実験を行う その一方で 環境中あるいは食事中のリスク因子が小児期のアレルギー性疾患発症に果たす役割を評価するで アレルギーの既往症のある母親とない母親をリクルートし それぞれの子供における喘息発症の経過を観察する 3. 国際機関 WHO のとりくみ WHO は米国国立衛生研究所 (NIH) 環境保護庁 (US EPA) 疾病管理センター (CDC) の資金協力により 2003 年より 長期コホート調査のための諮問会議を開催してきている この会議はそれぞれの国で長期コホート研究に携わる当事者の間の相互交流を図り 特に途上国での長期コホート研究の支援を行うことを意図している 小児の健康と発達に環境が及ぼす影響を研究するために それぞれのコホート調査で共通して使用することのできる中心的なプロトコルを開発すること また 情報を蓄積することにより それぞれの国ごとの情報資産の価値を高めることをとしている 現在の長期コホート調査における仮説の例としては以下のようなものがある 妊娠初期の環境ばく露は先天異常などの好ましくない妊娠の結果と関連し得る 物理化学的環境要因は子供の性成熟に影響を及ぼし得る 子供の汚染大気へのばく露は急性下気道感染のリスクの上昇に関連し得る 室内空気汚染へのばく露は中耳炎と関連し得る 胎児期のばく露は小児癌のリスクの上昇と関連し得る 胎児期及び小児期の神経毒性を有する重金属やその他の環境汚染物質へのばく露は神経発達に悪影響を及ぼし得る 現在の長期コホート調査のスキームには以下のようなものがある 試料採取 : 血液 ( 母親 父親 子供 臍帯血 ) 羊水 胎盤 胎便 尿 ( 母親 子供 ) 精子 毛髪 爪 粘膜 ( 口腔 膣 子宮頸部 ) スワブ標本 唾液 歯 便 その他環境媒体 試料採取時期 : 参加時 妊娠第二期 第三期 誕生時 3-6-12 ヶ月時 各歳時 ほか 参考資料 3-5