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2 被害量と対策効果 < 死者 負傷者 > 過去の地震を考慮した最大クラス あらゆる可能性を考慮した最大クラス 対策前 対策後 対策前 対策後 死者数約 1,400 人約 100 人約 6,700 人約 1,500 人 重傷者数約 600 人約 400 人約 3,000 人約 1,400 人 軽傷者

首都圏で大地震が起きると 建物 が 倒 れ ま す! 揺れで建物が倒れます 窓ガラスが割れ 道路に飛び散ります 火災があちこちで起きます 特に木造の建物が集まっている 火災 が 起 き ま す! 地域では 大規模な火災が起きる場合があります 道路 が 通れ な く な り ま す! 建物が倒れて道路

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目次 はじめに P3 1 災害 緊急の範囲 P3 2 時間と場所を考慮した対応の必要性 P3 3 時間ごとの対応 P4 4 場所ごとの対応 P5 5 デジタルサイネージの提供コンテンツ P6 6 緊急時を意識したデジタルサイネージシステム P6 7 情報の切替 復帰の条件 P7 8 緊急運用体制 P

資料 2-3 超大規模防火対象物等における自衛消防活動に係る訓練の充実強化方策 ( 案 ) 平成 30 年 10 月 31 日 事務局

-災害に備えて-

3 熊野地区 被災 共助 第 3 回ワークショップの議論をもとに わが地区における地震による時系列での と それへの 共助 をまとめました 1 建物倒壊 注 1 の は活動内容を示し は活動準備を示す 老朽木造住宅面的被害木造密集市街地激しい揺れブロック塀 電柱の倒壊建物倒壊家具の転倒ガラスの飛散生

奈良県ライフライン 情報共有発信マニュアル 第 3.3 版 平成 24 年 7 月 奈良県ライフライン防災対策連絡会

アンケート調査の概要 目的東南海 南海地震発生時の業務継続について 四国内の各市町村における取り組み状況や課題等を把握し 今後の地域防災力の強化に資することを目的としてアンケート調査を実施 実施時期平成 21 年 11 月 回答数 徳島県 24 市町村 香川県 17 市町 愛媛県 20 市町 高知県

港区マンション震災対策ハンドブック

ことを呼びかけます Q4. ミサイルが落下する可能性がある との情報伝達があった場合は どうすれば良いのでしょうか A4. 屋外にいる場合 近くの建物 ( できれば頑丈な建物 ) の中又は地下に避難してください 近くに適当な建物等がない場合は 物陰に身を隠すか地面に伏せ頭部を守ってください 屋内にい

東京事務所版 BCP 実施要領目次応急頁 < 第 1グループ> 直ちに実施する業務 1 事務所における死傷者の救護や搬送 応急救護を行う一時的な救護スペースの設置 運営 備蓄の設置 医療機関への搬送 1 2 事務所に緊急避難してきた県民や旅行者等への対応 避難 一次避難スペースの運営 指定避難所への

訓練時間に専用ブザー音が鳴るよう設定することもできます 以下を参考にして設 定してください 参考: 地震防災訓練アプリ (NTTドコモ) の使用方法 地震防災訓練アプリとは? 事前に本アプリに訓練の日時を設定すると 設定した日時にエリアメール ( 緊急地震速報 ) のブザー音が鳴ります 利用の流れ

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平成20年度愛知県タクシー協会 知多支部総会 議事録

ナラ・シェイクアウトについて

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大阪市防災 減災条例 目次第 1 章総則 ( 第 1 条 - 第 3 条 ) 第 2 章本市の責務 ( 第 4 条 - 第 7 条 ) 第 3 章市民の責務 ( 第 8 条 ) 第 4 章事業者の責務 ( 第 9 条 ) 第 5 章災害予防 応急対策 ( 第 10 条 - 第 25 条 ) 第 6

38 災害緊急時における聴覚障害者の情報伝達保障支援の状況分析 表2 生の協力のおかげで遂行することができた 避難訓練の年間実施回数 回 回 2回 3回 4回 5回以上 4 6 35 9 図 避難所担当者との連携 図2 避難訓練の年間実施回数 Ⅳ 調査研究の経過および結果 なかでも年2 3回実施して

(溶け込み)大阪事務所BCP【実施要領】

( 県の責務 ) 第三条県は 地震防災に関する総合的な施策を策定し 及びこれを実施する責務を有する 2 県は 市町村 自主防災組織その他防災関係機関等と連携して 地震防災対策を推進しなければならない 3 県は 地震に関する調査及び研究を行い その成果を県民 事業者及び市町村に公表するとともに 地震防

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すぐ連絡! すぐ実施! 杉並消防署からのお知らせ 自衛消防訓練を実施しましょう 自衛消防訓練は 火災が発生した場合に消防隊が現場に到着するまで 自衛消防 活動により 迅速 的確に人命の保護と災害の拡大防止の措置をとれるようにする ことを目的としています 訓練の種別 自主的に訓練することが必要です!


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観光客・外国人向け避難支援計画及び初動マニュアル

PowerPoint プレゼンテーション

浸水深 自宅の状況による避難基準 河川沿いの家屋平屋建て 2 階建て以上 浸水深 3m 以上 緊急避難場所, 近隣の安全な建物へ水平避難 浸水深 50 cm ~3m 緊急避難場所, 近隣の安全な建物へ水平避難上階に垂直避難 浸水深 50 cm未満 緊急避難場所, 近隣の安全な建物へ水平避難 自宅に待

( 社会福祉施設用作成例 ) (4) 施設管理者は, 緊急時連絡網により職員に連絡を取りましょう (5) 施設管理者は, 入所者の人数や, 避難に必要な車両や資機材等を確認し, 人員の派遣等が必要な場合は, 市 ( 町 ) 災害対策本部に要請してください (6) 避難先で使用する物資, 資機材等を準

Q4. ミサイルは発射から何分位で日本に飛んでくるのでしょうか A4. 北朝鮮から弾道ミサイルが発射され 日本に飛来する場合 極めて短時間で日本に飛来することが予想されます 例えば 本年 2 月 7 日に北朝鮮西岸の東倉里 ( トンチャンリ ) 付近から発射された弾道ミサイルは 約 10 分後に 発

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はじめに 消防法の規定では 一定規模の建物の管理権原者は 防火管理者を定め 消防計画を作成し 防火管理上必要な業務の実施を定めています その中でも 消防計画に基づく訓練の実施は最も重要な事項です 特に特定防火対象物 ( 集会場 スーパー ホテル 病院等の不特定多数の人が出入りする施設 ) には 年

1 東日本大震災での多くの被害が発生!! 平成 23 年 2011 年 3 月 11 日に発生した東日本大震災は 三陸沖を震源としたマグニ チュード 9.0 仙台市内での最大震度 6 強 宮城野区 という巨大な地震でした 東部沿岸地域では 推定 7.1m 仙台港 もの津波により 家屋の浸水やライフラ

平成  年  月  日

対応すべき行動_0921

大津市避難所運営マニュアル

西区05-CS5_小

【東日本大震災発生から7年】「災害への備えに関する調査」結果 ~あなたのご家庭の備えを点検しませんか~_損保ジャパン日本興亜

第 1 章実施計画の適用について 1. 実施計画の位置づけ (1) この 南海トラフ地震における具体的な応急対策活動に関する計画 に基づく宮崎県実施計画 ( 以下 実施計画 という ) は 南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法 ( 平成 14 年法律第 92 号 以下 特措法 と

PowerPoint プレゼンテーション

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建築物等震災対策事業について

20企広第  号

報道機関各位

緊急緊急消防援助隊について消防援助隊の概要 目的 地震等の大規模 特殊災害発生時における人命救助活動等を効果的かつ迅速に実施する消防の援助体制を国として確保 創設の経緯等 阪神 淡路大震災での教訓を踏まえ 平成 7 年に創設 平成 15 年 6 月消防組織法の改正により法制化 平成 16 年 4 月

各部会の活動状況予定200505

Q4. ミサイルは発射から何分位で日本に飛んでくるのでしょうか A4. 北朝鮮から弾道ミサイルが発射され 日本に飛来する場合 極めて短時間で日本に飛来することが予想されます 例えば 平成 28 年 2 月 7 日に北朝鮮西岸の東倉里 ( トンチャンリ ) 付近から 発射された弾道ミサイルは 約 10

観光客の安全確保のための 津波防災対策マニュアル ~ 旅館 ホテル編 ~


3) 仲宿地区 被災 共助 ) 資料 2 第 3 回ワークショップの議論をもとに わが地区における地震による時系列での と それへの 共助 ) をまとめました 1 建物倒壊 注 1) の ) は活動内容を示し ) は活動準備を示す 木造密集市街地老朽木造住宅余震による被害激しい揺れブロック塀 電柱の

2. 首都直下地震等の被害想定 わが地区の災害時の危険性を 鳥の目 で把握するために 最新の被害想定等のデータや地図を学習し 災害時の被害をイメージしましょう (1) 東京都の被害想定 東京湾北部地震による東京都の被害想定 ( 平成 24 年 4 月 18 日 東京都公表 ) 首都直下地震 東京湾北

DSTY 防災規則 (2017 年 8 月 29 日現在 ) 有事に際しては必要な措置に関する責任と調整は危機対策本部に委ねられる 学園長は学園全体に対して上位の指令権 決定権を持つ 防災コーディネータ ーは相談 助言役を担う 地震発生時の行動 事態の深刻度 : 各自の知覚で判断 校内アナウンスをよ

4 災害時における他機関 他施設との協定の締結状況災害時に他機関 他施設との協定を結んでいる施設は 97 施設で 1 か所と締結している施設が多くありました 締結先は 地元自治会 町内会 病院 近隣施設 社会福祉施設 物流会社 福祉ネットワーク 市町村等でした 図 2 災害時における他機関 他施設と

事業継続計画(BCP)作成用調査ワークシート

地震と地震保険に関するアンケート調査結果について

学校の危機管理マニュアル作成の手引

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地震や防災に関する情報の取得源はテレビが最も多い 地震や防災に関する知識をどこで得ているかをたずねたところ テレビ と回答をする方が 66.6% と多数を占め の イ ンターネット (45.3%) 新聞 (30.7%) といった回答を大きく引き離した結果となりました テレビは昨年 一昨年に続き最も多

その時点で改めて ミサイルが落下する可能性がある旨を伝達し 直ちに避難することを呼びかけます Q4. ミサイルが落下する可能性がある との情報伝達があった場合は どうすれば良いのでしょうか A4. 屋外にいる場合 近くの建物 ( できれば頑丈な建物 ) の中又は地下に避難してください 近くに適当な建

平常時の防災活動 家庭内対策 指導ポイント 家屋の耐震診断と補強 家具などの転倒 落下防止と避難経路の確保 市町においては耐 家具の転倒による被害を防ぐ 震診断や耐震補強の ため タンス 食器棚などの家 補助を行っていま 具は 動かないようあらかじめ す 固定しておきましょう 冷蔵庫 などキャスター

報道機関各位

H25 港南区区民意識調査

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BCP(事業継続計画)テンプレート

中央区耐震改修促進計画(資料編)

5 防災行動マニュアルの作成 自主防災会の防災行動マニュアルを具体的に作成していきましょう 次に掲げる項目について検討し, 実施する項目の にチェックをしていきます また, 災害図上訓練で検討した結果, 課題となった事項や実施すべき事項などで, 記載されていない項目があれば追記していきましょう Ⅰ

本書の目的介護保険サービス事業所は, 高齢者の方が多く利用しており, 災害発生時には避難等の援助が必要となるため, 事業者は, 災害発生時に迅速かつ適切な行動をとれるように備えておく必要があります 本書は, 介護保険サービス事業所が災害対応マニュアルを作成する際に特に留意する点についてまとめています

目 次 ページ はじめに 1 地区防災計画制度について 1 防災計画の全体像 地区防災計画制度の全体イメージ 2 地区防災計画とは 2 3 本冊子 手引き の活用方法 2 手引きの構成 手引きの活用イメージ 地区防災計画 作成の手引き 1 制度の背景 3 (1) 作成の目的 (2) 自助 共助の重要

(3) 事前対策リスト ( 自助 ) 家の中の安全 避難救護 水や食料 避難生活用品 家具が転倒しないように固定する 耐震診断 耐震補強をする 寝室には家具を置かないか 寝床に向かって転倒しないようにする 玄関などの出入り口までは物を置かずに避難できるようにする ベランダの避難用の隔壁 避難ハッチ周

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5 防災の日を知っている方は約 8 割 防災の日については知っている 聞いたことがあると答えた方が 8 割以上を占めました 9 月 1 日が防災の日 であることまでご存知の方は全体のうち 57.5% でした (Q10 参照 ) アンケート概要 アンケートタイトル地震防災に関するアンケート リサーチ実

5 緊急連絡網を作成しておくこと ( 不在者があった場合にはスキップ ( 飛び越し ) し FAXあるいは後刻再度電話により連絡内容を伝達する ) 6 通常時の防災活動に利用できること マニュアルは適宜見直しをし 常時役立つものとしておくことが必要です 災害対策本部設置について ( 印は別紙参照 )

弾道ミサイルが発射された場合の情報伝達と取るべき行動に関する Q&A 情報伝達の概要について Q1. どのような場合に J アラートが使用されるのでしょうか A1. 全国瞬時警報システム (J アラート ) は 弾道ミサイルが日本の領土 領海に落下する可能性又は領土 領海を通過する可能性がある場合に

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第 5 部 南海トラフ地震防災対策推進計画

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第 1 章 危機管理とは 1 1 目的 2 分類 3 対象とする危機の内容 4 体制 5 対応 6 原因の分析と評価 7 見直しの観点 第 2 章 初動対応編 6 1 交通事故発生時の対応 2 事故 ( けが等 ) 発生時の対応 3 病気等 ( 学校において予防すべき感染症含む ) 発生時の対応 4

第11回市民講座の準備について

U2. 北朝鮮のミサイルについて Q3. 北朝鮮によるミサイル発射の現状はどうなっているのか 北朝鮮は 過去に例を見ない頻度でミサイルを発射しており 平成 28 年 8 月以降 ミサイルが日本の排他的経済水域 (EEZ) 内に落下する事例も起こっています Q4. ミサイルは 発射から何分位で日本に飛

スライド 1

1 首都直下地震対策の具体的な推進 ( 提案要求先内閣官房 内閣府 国土交通省 ) ( 都所管局総務局 政策企画局 ) (1) 首都直下地震等の災害から住民の生命と財産を守るとともに 首都機能への打撃を最小限にとどめるため 財政上の措置を実 施するなど 首都直下地震対策を具体的に推進すること (2)

北栄町耐震改修促進計画の目的等 目的 本計画は 町民生活に重大な影響を及ぼす恐れのある地震被害から 町民の生命 財産を保護するとともに 地震による被害を軽減し 社会秩序の維持と公共の福祉に資するため 建築物の計画的な耐震化を促進することを目的とします 計画の実施期間 本計画の実施期間は 国及び県の実

非常災害対策計画 風水害 地震 火災 1 風水害 非常災害時の行動手段 警報発表 情報の収集 施設周辺の点検 職員の招集 参集 担当業務内容の確認や準備 施設の休業判断 職員や利用者への周知 施設外へ避難 施設内の安全な場所へ避難 家族への報告 健康ケアとメンタル対策 情報収集 テレビ ラジオ イン

Taro-地震防災マップQ&A集.jtd

2. 具体的な実施内容 平成 27 年度 避難訓練実施計画 実施災害の想定 実施時間 4 月 想定 ( 地震 ) 子ども達に 地震とは何かを分かりやすく知らせ 地震の時の身の守り方を知らせる 保育士の動きの確認 5 月 想定 ( 火災 初期消火 ) 厨房からの出火を想定し 園庭に避難する その後近く

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半田クリニック地震対策マニュアル

目次 1. 緊急地震速報とは 2 2. 一般国民への情報の提供 3 3. 予測される状況と対応の基本 3 4. 社団法人日本ショッピングセンター協会の対応 4 5. 緊急地震速報利活用マニュアル作成に当たって 5 1. 目的 5 2. 対象 5 3. システム概要 5 4. 速報の伝達基準及び伝達内

【東日本大震災発生から8年】「災害への備えに関するアンケート」結果_損保ジャパン日本興亜

リスク調査報告書(サンプル)

2007 年 2 月に消防審議会が出した答申は 大型商業施設等の大規模地震に対する計画の作成や訓練等は 不十分なところが多く 現行制度は 大規模地震時における全館避難や構造 設備の損壊等に係る応急対策に関する計画 それを実行する自衛消防組織の組織編成等が 適切な状況で全国的に確保される仕組みとはなっ

平成 28 年熊本地震における対応 平成 28 年熊本地震 ( 前震 :4/14 本震 :4/16) において 電力 ガス等の分野で供給支障等の被害が発生 関係事業者が広域的な資機材 人員の融通を実施するなど 迅速な復旧に努めた結果 当初の想定よりも 早期の復旧が実現 また 復旧見通しを早い段階で提

南海トラフ地震発生時の不安 南海トラフ地震が発生した場合 不安や危険に思うことは何ですか?( は 3 つまで ) 66.7% の人が 自宅の倒壊や損壊 49.2% の人が 家族等の安否やその確認手段 と答えています 自宅の

Transcription:

事前に頭に入れておいて準備してください 地震発生時の旅行者の行動 / の心構え 1-1. 旅行者は地震を次のように感じていることを理解しておく 地震そのものを理解出来ない人がいる 全く地震を経験したことのない国から来た旅行者は どうして地面や建物が揺れたり家具が転倒してきたりしてくるのか理解出来ず 気が動転してパニック状態になることがあります 何が発生したのかを説明する必要があります ( 対応文例集 18 頁参照 ) 地震の揺れで感じた疑問をそのままぶつけてくる人がいる また 日本人は揺れの大きさで ある程度は被害の大きさを予測できますが 旅行者は過剰に反応する傾向があり ロビーに集まってきて 建物は安全か 何がどうなっているか といった質問が殺到することがあります 施設や建物が安全であることを強調する必要があります ( 対応文例集 19 頁参照 ) 地震や余震の揺れによる恐怖でパニックを起こす人がいる 大きな地震の後で断続的に余震が発生した場合などは 恐怖で精神的に追い詰められてしまうことがあります 従業員の皆さんは 不安がる旅行者に対して 今 何が起きているか を分かってもら えるよう説明する必要があります またロビーやフロントでの対応方法を準備する必要もあります ( 対応文例集参照 ) 大使館 旅行会社 関係機関等と連絡を取って状況の説明をお願いする必要があります ( 関連データベース 15 頁参照 ) 地震や建物の耐震性を説明する専門用語等は 本マニュアルでは解説しませんので 確認しておいてください 地震後の停電や断水することを理解出来ない人がいる 突然の停電や断水に ホテルや旅館側の過失と勘違いし 早く修復するよう要望や要求を言い立てる旅行者が出てくる可能性があります 要望や要求を受ける可能性がある電話交換手や受付は 復旧の 見通しや水や照明の準備 食料の配給状況などを説明する必要があります ( 対応文例集 21 頁参照 ) 6

はじめに 目次ベース 参考資料災害時の初動対応マニュアル 地震後もエレベーターを使おうとする人がいる 地震の時は 停電で閉じ込められる恐れがあるのでエレベーターを使ってはいけないことは日本人にはよく知られていますが 旅行者はそうではないため エレベーターを使って逃げようとすることがあります 地震発生時には エレベーターの使用禁止を徹底する必要があ ります ( ピクトグラム 24 頁参照 ) ほとんどの旅行者は自分だけで避難することが出来ない 建物内に留まることが危険だと考えられる場合は 屋外への避難誘導や避難場所への避難を指示しますが 旅行者は地域の地理に詳しくないので 自分だけでは避難場所へ行くことが出来ません 従業員による避難誘導や避難場所へ案内する必要があります ( 対応文例集 22 頁参照 ) ほとんどの旅行者は最新の正しい情報を入手出来ない 地震後は 日本国内の知人や母国の家族に連絡をとりたいという相談が殺到することがあります 電話やインターネット等が使えなくなった場合に 連絡できませんと言うのは簡単ですが納得 しない可能性があります このような場合 提供できる情報やその情報源を伝える必要があります ( 対応文例集 23 頁参照 ) 旅行者の関係者から安否や滞留場所の問い合わせが殺到する 地震が発生した時 家族や同行者と離れ離れになっていた場合は ホテルや旅館の方にその安否確認を求めてきます 施設に滞在している旅行者が外出する際には その行き先を聞いておくのが一番ですが 個人 旅行者の場合は行き先の把握に工夫が必要です また 安否確認の担当者を指名しておき 各観光地や旅行会社の担当者等と連絡をとる訓練も必要です ほとんどの旅行者は被災している場所からの移動を希望する 地震等を怖がって 安全な地域へ移動したい すぐに帰国したいがどうすれば良いか という情報を求めてくることがあります まずは 恐怖心を取り除き 公共交通機関が停止しているような 場合は むやみに移動しないよう伝える必要があります ( 対応文例集参照 ) 同時に 飛行機 タクシーその他の交通機関の最新の運行状況を どのように入手するか また大使館 旅行会社 関連団体とどう連携するかを準備する必要があります ( 関連データベース 15 頁参照 ) こうした事態の発生を予め想定して 旅行者の不安を少しでも和らげる様 常に落ち着いて行動してください また 次頁に挙げるような準備をしてください 7 領域 やるべきこと第1 部基礎知識第2 部初動対応第3 部関連データ

1-2. 旅行者への対応に備えてあらかじめ準備しておくべきこと 一般的な災害対応の手順や必要な備蓄については 消防法で定める消防計画や 災害時マニュアルとして整備している宿泊施設も多いので ここでは触れず この項目では 旅行者への対応として特別に必要となる備えについてのみ記述します 準備 1 災害発生時の対応の命令系統の確立 一般的に 災害時の指揮 命令系統は事前に確立されていると思われます その中で 旅行者への対応としては 英語 中国語 韓国語を中心とした言語で対応できる担当者を複数名選出しておくこと かつ それらの担当者には あらかじめ基本的な方針を示しておき 現場では上司に相談せずとも相当程度のことが自主判断できるようにしておくことが必要です 準備 2 旅行者のための情報収集先のリスト化 各国大使館 国際交流組織 各種交通施設 ( 空港とタクシー会社を含む ) 通用可能言語別の病院等の連絡先を事前にリスト化しておきます また そのリストを施設で働く方々全員で共有し 災害発生時にどう使用するかを考えて 必要と思われる所定の場所に配備しておきます 準備 3 対応のできる地域内の施設の確認 地域内に 災害時に利用できるどのような施設があるかを 一覧表にして ( 参考資料 4) 住所や電話番号を書きとめておくことは 一般的な災害対応計画としても必要です その中でも 英語が話せるなど対応ができる施設についてチェックしておきましょう 準備 4 多言語でのピクトグラム ( 図記号 ) の準備 災害時に必要なピクトグラムを 多言語による表記と併せてあらかじめ準備しておきます 前の節で述べたような 地震発生後の旅行者の行動や要求を前提としたシナリオを作成し シナリオ シミュレーションを行って 施設内の貼り付ける場所をどこにするか どのピクトグラムが何枚必要か等を決めておきましょう 準備 5 多言語での情報提供方法 提供手段の工夫 どのタイミングで どの場所で どの情報を多言語提供すればよいかについては 会話対応で行うもの ピクトグラムを掲示して伝達するものなど多様です 前の節で述べたような 地震発生後の旅行者の行動や要求を前提としたシナリオを作成し そのシナリオに従って従業員が旅行者になったつもりで 人の配置 ピクトグラムの掲示場所等を決めていきます 8

はじめに 目次備 6 ベース準 参考資料 旅行者対応訓練 1-3. 首都直下地震等による東京の被害想定 災害発生時は 多言語対応担当の方以外で対応しなければならないことも想定して 施設で働くできるだけ多くの方を交えて訓練することが大事です 旅行者のお客様にも可能であれば訓練への参加をお願いし 日本人が気付きにくい情報提供手段の問題点を顕在化して改善していくよう心がけましょう 東京都では こうした首都直下の地震等の被害がどの程度になるかを想定して各種の対策を進めており ここではその概要を紹介します 事業者の方々はそれを事前に念頭におき 地震発生時には適切な対応を取ることが大切です 想定 / 対策 被害の概要 地震の被害は 震源の位置や発生日時やその時の風の強さ人的被害によって被害の大きさが異なるため ここでは最も被害が大きくなると考えられる 東京湾北部地震 が冬の夕方 (18 建物被害時 ) 風速 8m/ 秒 という状況で発生した場合について述べます ライフライン被害 東京都の主な対策 1. 自助 共助 公助を束ねた地震に強いまちづくり 消防団の体制強化や防災隣組など共助の推進 木密地域不燃化 10 年プロジェクトの推進 公共建築物やマンション等の耐震化促進 2. 都民の命と首都機能を守る危機管理の体制づくり 自衛隊等との連携強化も含めた危機管理体制の充実 医療資源の適正配置や病院施設の機能維持 帰宅困難者対策の推進 表東京湾北部地震 (M7.3) の想定被害 死者 約 9,700 人 負傷者 約 147,600 人 倒壊 ( 全壊 ) 約 116,200 棟 焼失 約 188,100 棟 断水率 34.5% 停電率 17.6% 帰宅困難者数約 517 万人詳しくは 東京都防災ホームページ 首都直下地震等による東京の被害想定 を参照してください http://www.bousai.metro.tokyo.jp/japanese/tmg/assumption.html 想定 / 対策 領域 やるべきこと第1 部基礎知識第2 部初動対応第3 部関連データ3. 被災者の生活を支え東京を早期に再生する仕組みづくり ライフライン施設の耐震化と復旧活動体制の整備 都内全ての区市町村にり災証明に係るシステムを導入 詳しくは 東京都防災ホームページ 東京都地域防災計画震災編 ( 平成 24 年修正 ) を参照してください http://www.bousai.metro.tokyo.jp/japanese/tmg/plan-sinsai.html 9

災害が発生したら参照してください 2-1. 地震発生後に真っ先にやること 地震の第 1 波の揺れが収まったら 何はともあれ施設内の利用者に何が起こりどうすればよいかの呼びかけが必要です その場合 館内放送が使用出来れば良いのですが 停電等で使用出来ない場合もあるので 両方の場合を想定して 呼び掛けの体制 を用意しておいてください 初動対応 1 呼び掛けの内容 呼び掛け 1 状況の説明 揺れが収まったら 現在何が起きているかを明確かつ簡潔に伝えましょう 停電時の情報伝達には メガホンや拡声器を活用しましょう 身近にいる旅行者には 口頭でも伝えましょう 言葉だけではなく 身振り手振りを交えて伝えましょう 文例集を指差したり ピクトグラムを提示したりしましょう 呼び掛け 2 身の安全や危険から離脱の呼び掛け 余震が続く可能性があるので 身の安全の確保を具体的に呼び掛けましょう 姿勢を低くする 窓 家具 調度品 機械類から離れる ベッドや机の下にもぐる 枕 鞄等で天井からの落下物から頭を守る ドアを開け放っておく エレベーターやエスカレーターを使用しない 呼び掛け 3 出火防止と初期消火の呼び掛け 出火防止の徹底と 火災発見時は初期消火を呼び掛けましょう 電気製品を止めてコンセントを抜く 火災を発見したら 大声で周囲に知らせるか非常ベル等で通報する 消火器や屋内消火栓を使って 早期に初期消火をする 呼び掛け 4 冷静な行動の呼び掛け 施設 建物が安全と考えられる時は 慌てて屋外に飛び出したり むやみに動き回わったりせず落ち着いて様子を見るよう呼び掛けましょう 10

はじめに 目次2 ベース初動対応 参考資料 コミュニケーションの協力依頼 旅行者と十分な対応ができない場合は 日本人旅行者で外国語が話せる人や 旅行者で日本語の堪能な人にも協力をお願いしましょう 2-2. 大きな揺れが収まって一段落した時にすること 地震発生直後の呼びかけが終わり しばらく様子を見て 揺れの大きさからみて何らかの対応が必要であると判断したら ( 震度 5 弱以上を目安としてください ) 以下を実施します 一段落したら 1 安否確認 施設のフロアやゾーン毎に割り振られた従業員は まず旅行者を含めたお客様全員の安否確認を行います その際 特有の質問を受ける可能性がありますので 参考資料 2 を参照しつつ できる限り落ち着いて対応します 一段落したら 2 ロビーフロアに集まってきた利用者の対応 施設利用者の多くは 地震の後は部屋に居ることの不安からロビー等に集まって来ます 特に旅行者の場合 円滑に情報を得ることが難しいため不安が大きく 部屋に戻って待機して貰うのは困難です そこで集まった利用者を 宴会場など一箇所に誘導します 一段落したら 3 旅行者対応窓口の開設 旅行者対応窓口を開設し 身の安全を守る方法 出国や移動先迄のサポート 帰国の相談等 可能な限りの情報提供を行う事を旅行者にお伝えしましょう 一段落したら 4 建物の安全確認とピクトグラム等の貼り出し 建物の安全を確認し ピクトグラム等を使って 破損箇所に立ち入り禁止の表示をしたり エレベーターやエスカレーターに使用禁止の表示をしたりします その他 あらかじめ決めておいた場所に掲示板を設置し 必要に応じて用意したリスト等を多言語で大きく書いて貼り出します 領域 やるべきこと第1 部基礎知識第2 部初動対応第3 部関連データ11

一段落したら 5 傷病者の取り扱い 旅行者の傷病者が発生した場合は 応急処置を行います 治療が必要な場合は 近隣に医療救護所等が開設されているかを確認し 随行 搬送しましょう 外国語ができる日本人や日本語の出来る同行者がいる場合は 随行を依頼し いない場合は従業員が付き添いましょう 一段落したら 6 施設外旅行者の受け入れと保護 近隣来訪者や通行者等など施設利用者以外の旅行者も 受け入れ可能な場合は積極的に保護をします 災害発生時は 日本人の帰宅困難者の受け入れ等で混乱が予想されますが 外国語に堪能な従業員が従事している施設が旅行者を受け入れることは その施設の重要な使命として期待されています 一段落したら 7 火災発生時の避難誘導 火災が発生した場合は 消防計画の自衛消防隊が中心となり対応します 火災の発生や建物の崩壊で屋外への避難が必要になった場合 1. 火災が発生した場合 ならびに建物が崩壊する危険がある場合は 日本人 の区別なく避難計画に従って 施設内の全員を屋外の安全な場所に誘導します 2. 屋外へ避難した施設利用者を保護出来なくなった場合は 避難所等の安全と思われる場所への移動をお願いすることになります その際 旅行者については避難所等の安全な場所まで付き添う必要があります 12 イラスト マンガ : 藤里