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ISO14001:2015 に関する FQA 変更に関する質問 2015 年 10 月 4 日 日本化学キューエイ株式会社 1.ISO14001 改訂理由の狙いは? ISO14001 が改訂されて 10 年以上が経過し その間 皆様もご承知の通り 環境関連法規の厳格化 汚染による環境への負荷の増大 気候変動 資源の非効率的な使用 生態系の劣化及び生物多様性の喪失などに伴い 持続可能な開発 透明性及び説明責任に対する社会のニーズが高まっています こうしたことから 社会経済的ニーズとバランスをとりながら 環境を保護し 変化する環境の状態に対応するマネジメントシステムを組織に提供することを目的に改訂が行われました このマネジメントシステムは 組織が環境 組織自体及び利害関係者に価値をもたらす 意図した成果 を達成することを支援しています 意図した成果 は 2004 年版には明確には記述されていませんが 2004 年版の序文にその趣旨が記述されており 2004 年版と 2015 年版との考え方に基本的な違いはないと考えられます 意図した成果 環境パフォーマンスの向上 順守義務を持たす 環境目標を達成する 2015 年版は 2004 年版での追加的参考文書である附属書 A に記述していることを本文に多く取り入れ 順守義務を含めて各種パフォーマンスの向上を強く意識した改訂でありことが窺えます 2. 主な7つの変更点 とは何ですか?ISO14001:2015 にはその記述はないのですが? 主な7つの変更点 は IAF(International Accreditation Forum, Inc( 国際的な認定協会の協議会 )) が作成し 発行した ISO14001:2015 への移行計画の指針 (JAB が翻訳し JAB のウェブサイトに掲載 ) に記載しているもので下記の通りです 主な 7 つの変更点 戦略的な環境マネジメント トップマネジメントのリーダーシップ 地球環境の保護 環境パフォーマンスの向上 ライフサイクルの視点 内部 外部コミュニケーション 1 / 10

柔軟な文書化要求 それぞれの詳細説明は の ISO/FDIS14001:2015 規格説明会資料に譲りますが いずれもその考え方は既に ISO14001:2004 に含まれており 2015 年版への改訂に当たり EMS に関する 意図した成果 の達成に向けて IAF が強調しておきたいことを記載したものと思われます ISO14001:2004 に基づいた EMS をしっかりと構築し 実施している組織にとっては 大きな変更に当たるものはないと考えられます 2015 年版に移行に際して EMS の見直しのキーワードとして使用すればよいでしょう 3. 規格の構造はどのように変化しているか? 多くの異なるマネジメントシステム間で共通して使用できるように Annex SL に基づき共通の 1 章 ~10 章の要求事項を配置しています ISO14001:2015 も同じの構造を採用し PDCA サイクルを形成しています 全てのマネジメントシステムがこの構造を採用しており 組織が複数の ISO マネジメントシステムを実施するときに 統合して運用することが容易になります 4. 新旧版で 注目すべき内容の変更点は? これまで述べていますように 2004 年版と 2015 年版に基本的な違いはないと考えていますが 意図した成果 の達成に向けた組織の自主的な活動を最大限に引き出すための要求事項の変更あるいは明確化があります 上記の 主な 7 つの変更点 と重なるところがありますが 注目すべき内容の変更点を下記に記載します 規格要求事項全体として 組織の自主裁量の幅が拡大 柔軟な文書化の要求 ( 手順の文書化要求がなくなっているが 手順を否定しているわけではない ) 組織の状況 及び 利害関係者の期待及びニーズ に基づく EMS の計画及び運用 リスク及び機会 に対する取り組み( リスク及び機会 は組織の状況 利害関係者の期待及びニーズ 著しい環境側面及び順守義務に関連して決定 ) 手順 の要求がなくなり プロセス を計画 実施することを要求( 定義 3.3.5 プロセス : インプットをアウトプットに変換する 相互に関連する又は相互に作用する一覧の活動 ) 組織の状況 の理解を高めることを強調 トップマネジメントのリーダーシップの要求事項が強化 ライフサイクル視点から EMS の境界 適用可能性を決定することの適切さを強調 監視 測定すべき項目は 著しい環境影響を与える可能性のある運用の鍵から 環境パフォーマンスに変更 ( 測定すべき環境パフォーマンスは組織の自由裁量で決定 ) 環境パフォーマンスを監視 測定するのみならず 該当する場合は 分析 評価することを追加 力量 の適用範囲が拡大( 著しい環境側面のみならず 環境パフォーマンスに影響を与える業務 順守義務を満たす業務を実施する人々にも適用 ) 2 / 10

内部監査は 組織の EMS が適切に運用されているかを評価するための活動であることを明確化 マネジメントレビューはパフォーマンス評価プロセスの一つ ( 役員会 運営会議などのような管理層の活動の一部としての位置付け ) 及び EMS が妥当であるかどうかなど 実践的 戦略的なアウトプットを要求 予防処置 という記述がなくなった( 規格全体が予防的な活動で 予防処置という概念がなくなったわけではない ) 5. 文書化の要求はどのように変化したか? 規格 7.5.1 一般は EMS は次の文書を含むことを説明しています a) この国際規格が要求する文書化した情報 b) EMS の有効性のために必要であると組織が必要と決定した 文書化した情報具体的な手順の文書化は もはや言及されていません プロセスの管理を支援する文書化した情報を維持する ( 文書類 ) 及びプロセスが計画通り実施された証拠として文書化した情報を保持する ( 記録 ) のは 組織の責任です 必要な文書化の範囲は 事業内容 ( 組織の大きさ プロセス 及びその相互作用の複雑さ 働く人々の力量など ) に依存しますが 要求事項への適合性を実証できない場合は 必要な文書が作成されていないことになりますので注意が必要です この国際規格が要求する文書化した情報 ( 文書類 ) は下記の通りです 1 EMS の適用範囲 ( 規格 4.4.3) 2 環境方針 ( 規格 5.3) 3 リスク及び機会 ( 規格 6.1.1) 4 規格 6.1.1~6.1.4 で必要なプロセスが計画どおり実施されるという確信をもつために必要な程度の それらのプロセスの情報 ( 規格 6.1.1) 5 著しい環境側面を決定するのに用いた基準 ( 規格 6.1.2) 6 環境側面及び関係する環境影響 ( 規格 6.1.2) 7 著しい環境側面 ( 規格 6.1.2) 8 順守義務 ( 規格 6.1.3) 9 環境目標 ( 規格 6.2.1) 10 プロセスが計画どおり実施されたという確信をもつために必要な程度の 文書化した情報 ( 規格 8.1) 11 プロセスが計画どおり実施されるという確信をもつために必要な程度の 文書化した情報 ( 規格 8.2) この国際規格が要求する文書化した情報 ( 記録類 ) は下記の通りです 1 環境パフォーマンスに影響を与える業務 及び順守義務を満たす組織の能力に影響を与える人々の力量の証拠 ( 規格 7.2) 3 / 10

2 コミュニケーションの証拠 ( 規格 7.4) 3 監視 測定 分析及び評価の証拠 ( 規格 9.1.1) 4 順守評価の結果の証拠 ( 規格 9.1.2) 5 監査プログラム及び監査結果の証拠 ( 規格 9.2.2) 6 マネジメントレビューの結果の証拠 ( 規格 9.3) 7 不適合の性質及びそれに対してとった処置 及び是正処置の結果の証拠 ( 規格 10.2) 6. 規格は環境マニュアルに言及していない それでも必要か? 新規格は 組織が EMS の有効性のために必要としたときに文書化した情報を維持することを要求しています それを実施する方法は多くあり 従来の環境マニュアルはその一つです は審査に当たり 組織の状況及び EMS が規格要求事項に適合しているかなどを事前に確認するために 説明責任に対する文書化した情報に関する各種資料の提出を求めます 組織が環境マニュアルで EMS を説明するのに便利で適切であれば 詳細に記述しないまでも環境マニュアルを作成することを推奨します では 社内及び利害関係者との良好なコミュニケーションをとるために 現在の環境マニュアルを捨て去るのではなく 維持 継続することを推奨しています 7. なぜ マネジメントレビューが 9.3 パフォーマンス評価 に移されたか? ISO14001 の新バージョンは PDCA サイクルに基づいています そのチェック機能としての EMS のパフォーマンスを評価するためには システムパフォーマンス測定に続いてマネジメントレビューを実施することに意味があります 環境パフォーマンスの監視 測定 分析及び評価 順守評価の結果 その他の情報をマネジメントレビューでレビューし そのアウトプットが継続的改善のための機会を決定し 必要な取り組みを行うことに繋がります 8. 管理責任者 というタイトルが削除された どのようにしてトップマネジメントに システムのパフォーマンスを報告するのか? 管理責任者 の記述は削除されましたが EMS の規格要求事項への適合を確実にすること トップマネジメントに EMS のパフォーマンスを報告する役割と責任は割り当てられ トップマネジメントを代行する者 (EMS 責任者 ) が必要と考えられます ある組織では役割を実行するのは一人の EMS 責任者で都合がよい場合もあり 組織の状況によっては より柔軟に考えた方がよいこともあります このために 管理責任者 という固有名詞は削除しましたが 管理責任者 に代る EMS 責任者の概念は残っています では トップマネジメントにシステムパフォーマンスを報告する役割と権限をもつ 管理責任者 の存在を残すことを推奨し EMS 責任者 と呼ぶことにしています 9.ISO14001 の除外項目は許容されるか? 4 / 10

ISO14001:2015 は 組織がその適合を主張するには 全ての EMS 要求事項が除外なく組織の EMS に組み込まれ 満たされない限り 容認できない ( 規格 1. 適用範囲 ) としています 10.ISO14001:2015 を適用することの利点は何か? 規格 0.2 環境マネジメントシステムの狙い には下記のように記述されています 参考にしてください 有害な環境影響を防止又は緩和することによって 環境を保護する 組織に対する 環境状態から生じる潜在的で有害な環境を緩和する 組織が順守義務を果たすことを支援する 環境パフォーマンスを向上させる ライフサイクルの視点を用いることによって 組織の製品及びサービスの設計 製造 流通 消費及び廃棄の方法を管理するか 又はこの方法に影響を及ぼす 市場における組織の位置付けを強化し かつ 環境にも健全な代替策を実施することで 財務上及び運用上の便益を実現する 環境情報を関連する利害関係者に伝達する 11.EMS の適用範囲を決定するとき 具体的にはどのようなことに注意すればよいか? 規格 4.3 EMS の適用範囲の決定 では 次の事項を考慮しなければなりません a) 内部及び外部の課題 b) 順守義務 c) 組織の単位 機能及び物理的境界 d) 組織の活動 製品及びサービス e) 管理し影響を及ぼす 組織の権限及び能力受審組織は 2004 年版でこのようなことを考慮して既に適用範囲を決定していると考えられるので 問題となる点はないと思います 2015 年版の趣旨は 組織が物理的及び組織上の境界を決定する自由と柔軟性をもつが 著しい環境側面をもつ若しくはもつ可能性のある活動 製品 サービス 施設 取扱物質などを除外するため 又は順守義務を逃れるために適用範囲を決定することを戒めています 外部利害関係者から見て信頼のおけるものであり 誤解を招くようなものであってはならないということです 2015 年版では 外部委託したプロセス に特に注目しています ライフサイクルの視点から 組織が管理できる環境側面及び影響を及ぼす環境側面を俯瞰して 外部委託したプロセス が適用範囲に含まれているかどうかを見直しておく必要があります 定義 3.3.4 外部委託する (outsource)( 動詞 ) ある組織の機能又はプロセスの一部を外部の組織が実施するという取決めを行う 注記外部委託した機能又はプロセスは MS の適用範囲内にあるが 外部の組織は MS の適 5 / 10

用範囲外にある 例えば 製品の一部を外部の組織に製造を委託した場合 通常は 製造委託管理 として外部の組織を定期的に監査して 産業廃棄物の適切な処理 順守義務など 組織との取り決めが適切に実施しているかを確認しています このように管理することを適用範囲内に含めることが必要です 一方で 認証機関は外部の組織を審査できないということです ( 適用範囲外 ) 規格の箇条に関する質問 12. 規格 4.1 組織の内部及び外部の課題は何を意味するのか? これは トップマネジメント層が高いレベルでの 組織に好ましい又は好ましくない影響を与える可能性のある重要な課題について 内部及び外部の概念的な課題を明確にするものです A4.1 に記載している例を下記に示します 内部 外部の課題を考えるうえで参考にするとよいでしょう 気候 大気 水質 土地利用 既存の汚染 天然資源の利用可能性及び生物多様性に関連した環境状態で 組織の目的に影響を与える可能性のある 又は環境側面によって影響を受ける可能性のあるもの 外部の要素には 例えば 文化的 社会的 政治的 法律的 経済的 技術的 経済的及び競合的環境が含まれ 国際的 国内的 地域的又は地方レベルであり得る 内部の要素は 例えば 組織の活動 製品及びサービス 戦略的な方向性 文化 能力 ( 人々 知識 プロセス及びシステム ) などの組織の内部の特性又は状況を含む 組織の内部及び外部の課題 は組織が決定するものであり この課題と共に 利害関係者のニーズ及び期待 を考慮して具体的な リスク及び機会 を明確にし EMS の取組みに展開されていることが重要です また マネジメントレビューで課題の見直しが行われていることも重要です では審査を開始するに当たり審査員が組織の EMS を理解するために トップマネジメントインタビューにおいて 内部 外部の課題 及び 利害関係者のニーズ及び理解 についてお聞きします 13. 規格 4.2 利害関係者に関連する順守義務と規格 6.1.3 順守義務の関係は? 規格 4.2 のアウトラインとして EMS に関連する利害関係者を決定し 利害関係者のニーズと期待 を踏まえて順守義務となるものを決定しなければなりません 特定した 利害関係者のニーズ及び期待 の中から詳細でなく 高いレベルでコミットすべきであると考えたら 順守義務 となります より詳細なレベルでの順守義務の分析は 規格 6.1.3 で実施します 定義 3.2.9 順守義務 : 組織が順守しなければならない法的要求事項 及び組織が順守しなければならない又は順守することを選んだその他の要求事項注記 1 順守義務は EMS に関連している 注記 2 順守義務は 適用される法律及び規制のような強制的な要求事項から生じることもあ 6 / 10

れば 組織及び業界の標準 契約関係 行動規範 コミュニティグループ又は NGO との合意のような 自発的なコミットメントから生じる場合もある 従って 規格 4.2 で決定した EMS に関連する順守義務のうち 6.1.3 a) で環境側面に関連する順守義務を決定することになります 14. 環境方針に環境保護に対するコミットメントが要求されているが 環境保護 とは何か? 環境保護 は定義されていませんが 規格 5.2 c) の注記に 環境保護に対するその他の固有のコミットメントには 持続可能な資源の利用 気候変動の緩和及び気候変動への適応 並びに生物多様性及び生態系の保護を含み得る と記載されており 地球環境保護を意味することが分かります しかし 組織の状況は様々なので 一律に適用できるわけではありません 15. トップマネジメントのリーダーシップが強化されているが どのように審査するつもりか? 今回の改訂では トップマネジメントのリーダーシップが強化されています 強化されたポイントは 意図した成果を達成するための EMS の有効性への説明責任と EMS と事業プロセスとの統合です ではトップマネジメントインタビューでリーダーシップとコミットメントについての考えを確認し EMS 責任者及び部署審査を通してリーダーシップとコミットメントが発揮されていることを確認させていただきます 具体的には トップマネジメントインタビュー時に トップマネジメントが EMS を事業にどのように役立てようとしているか EMS の有効性をどのように確認しているかなどを伺います また EMS 責任者及び部署審査では あらゆる階層へのインタビュー 適用範囲のプロセスの観察及び関連文書 ( 記録類 ) など 多面的な審査 確認を行ってまいります 16. 決定した リスク及び機会 は 環境側面と順守義務に関連するもののみである ( それでも適合か? 規格 6.1.1 は 環境側面 順守義務及び規格 4.1 及び規格 4.2 で特定した課題に関連した リスク及び機会 を決定することを要求しています 質問の趣旨である 規格 4.1 と規格 4.2 で特定した課題が環境側面又は順守義務に包含されていることも考えられますが 台風 地震 津波などの自然災害などが 4.1 に関連する リスク及び機会 ではないでしょうか 17 著しい環境側面の決定は 2004 年版とどのように変わったか? 著しい環境側面の決定プロセスは 2004 年版と基本的には変わりません しかし 2015 年版では ライフサイクルの視点 を考慮して環境側面を決定することが求められています 製品の設計 開発 原材料の取得 製造 製品の輸送 使用 使用後の処理 最終処分まで 組織が管理できる及び組織が影響を及ぼす環境側面を十分に考慮して環境側面を特定することが必要です 環境側面とその環境影響 著しい環境側面を決定するために用いた基準及び著しい環境側面を 7 / 10

文書化 ( 文書類 ) することが要求されています 著しい環境側面は 順守義務及び規格 4.1 と規格 4.2 に関連した リスクと機会 を決定し 規格 6.2 及び 7 章以下の要求事項によって取り組むことが重要です 従って 著しい環境側面の重要性は 2004 版と変わりません 18. リスク及び機会のうち 機会を決定していなくても適合か? 2015 年版では リスク及び機会を一つの用語として使用しています ( 定義 3.2.11 潜在的で有害な影響 ( 脅威 ) 及び潜在的で有益な影響 ( 機会 )) 一方で 規格 6.1.1 では リスク及び機会は次の事項のために取り組む必要のあるものとして 次の 3 項目を取り上げています 1 EMS が その意図した成果を達成できるという確信を与える 2 外部の環境状態が組織に与える可能性を含め 望ましくない影響を防止し又は低減する 3 継続的改善を達成する 1と2は脅威に 3は機会に対応していると考えられます このうち 脅威のみを決定していても適合していると判断します しかし 機会を決定し 機会に取り組むという規格の精神を考えれば 機会を決定する努力も必要でしょう 19. 環境パフォーマンスはどのような観点から決定すればよいか? 規格 1 適用範囲には 組織が環境パフォーマンスを向上させるために用いることができる環境マネジメントシステム要求事項に適用する として 2015 年版では 環境パフォーマンスの向上 が特に強調されています 規格 9.1.1 一般 a) では 組織が 監視 測定が必要な環境パフォーマンスの対象を決定する ことが要求されています 監視 測定しなければならない対象として以下が考えられます 1 著しい環境影響を及ぼす可能性のある活動 ( 著しい環境側面 ) 2 順守義務 3 機会とリスクに関連する指標 4 運用管理 ( 運用基準 ) 5 測定可能な環境目的及び目的達成に対する進捗状況 6 その他 EMS の有効性評価に必須と判断した環境パフォーマンス ( 規格 4.1 組織内外の課題 規格 4.2 利害関係者のニーズ及び期待を反映した環境パフォーマンス ) 組織の皆様! 自組織の リスク及び機会 を管理するうえで 自組織で監視 測定しなければならない 環境パフォーマンス をじっくりと 且つ一生懸命考えてください 20. 監視 測定した環境パフォーマンスを分析 評価しなければならないとしていますが どうすればよいか? 8 / 10

2004 年版の 規格 4.5.1 監視 測定 から 規格 9.1 監視 測定 分析及び評価 として 測定を行ってその結果を 分析 評価してその都度対処する以外に 測定データを集めて統計的手法などを適用するなどして評価することが求められています 考えてみれば当たり前のことですが 明文化したことで パフォーマンス志向を明確化する改訂の意図が見て取れます 分析 (analysis) とは 多くのデータを集めて統計的手法などを駆使して状況を把握することであり 評価 (evaluation) とは 解析結果から環境パフォーマンスの状況を判定し EMS の改善点などを見出す活動です 日常的に行う環境測定 監視結果を集めて 月次データ あるいは数か月など 長期間集めたデータをグラフ化したり 統計的に評価したりすることによって 本質的な問題が観えてきます データの分析 評価方法として 監視 測定データの傾向を管理し 異常な動きはないかをチェックする 生産品目 生産量などとの相関関係 季節変動 昼間と夜間の差異などの視点も必要でしょう 監視 測定したデータの解析からの環境パフォーマンスはマネジメントレビューへインプットしなければならない情報の一つですが 単に監視 測定したデータを示すのではなく 分析 評価した結果を提供することが重要です 21. 決定しなければならない力量の範囲が広がったのですか? 2004 年版の 著しい環境影響の原因となる可能性のある作業を組織で実施する及び組織のために実施するすべての人 が 環境パフォーマンスに影響を与える業務 順守義務を満たす組織の能力に影響を与える業務をその管理下で行う人 ( 人々 ) に変わりました 組織の管理下で行う人 ( 人々 ) とは EMS の適用範囲に含まれている人 ( 人々 ) をいい 外注委託業者場合は 8.1 c) 項が適用されます 環境パフォーマンスに影響を与える人々 には 次の業務に責任をもつ人々 (A7.2 参照 ) を含む としています 規格 9.1.1 で決定した環境パフォーマンスを含めて力量を決定する際に考慮してください a. 著しい環境側面の原因となる可能性のある業務 b. EMS に関する責任を持つ人々 1) 環境影響又は順守義務を決定 評価 2) 環境目標の達成に寄与 3) 緊急事態に対応 4) 内部監査を実施 5) 順守評価を実施 22. 内部監査に変更点はありますか? 基本的には大きな変更はありませんが 2004 年版規格 4.5.5 の 組織の環境マネジメントシステムについて次の事項を決定する から 2015 年版では規格 9.1.3 組織は EMS が次の状況にあるか否かに関する情報を ( トップマネジメントに ) 提供する に改訂されました これにより 内部監査がトッ 9 / 10

プマネジメントに EMS が適切に実施されているか否かを決定するプロセスであることを明確にしています 内部監査の結果を単に 不適合 件 コメント 件の指摘があった ではなく EMS 責任者 ( 事務局 ) など各部署の監査結果を分析 評価し EMS の問題点 改善点など明確にしてトップマネジメントに報告する必要があります 23. マネジメントレビューに変更点はありますか? マネジメントレビュー は 規格 9 パフォーマンス評価 の評価活動の一つに位置付けられ マネジメントレビューすることが目的ではなく レビューによってパフォーマンスを評価し 改善につなげることが目的となっています 2004 年版 マネジメントレビューへのインプット の表現がなくなり 考慮する に変更されました 考慮事項が 2004 年版の 8 項目から 7 項目に減っていますが 一部が詳細化され 2015 年版の規格要求事項に沿った項目となっています 変化を重要視し EMS に関する内部 外部の課題 順守義務 著しい環境側面 リスク及び機会の変化に関する情報をトップマネジメントに報告しなければなりません 附属書 A.9.3 に マネジメントレビューは高いレベルのものが望ましく 詳細な情報の徹底的なレビューである必要はない としており 全項目を同レベルの詳細さでレビューする必要はなく より戦略的なレビューを推奨しています また レビュー項目の全てを同時に実施する必要はないとして 例えば 内部監査結果 順守評価の結果など タイミングをはかって役員会や運営会議のような定期的に開催される管理層の活動の一部として実施してもよいとしています 即ち マネジメントレビューは個別の活動ではなく 事業活動の一部として位置付ける方が自然であるということです アウトプットは 目標が達成されていない場合の処置 や 組織の戦略的な方向性に関連する事項 など トップマネジメントのリーダーシップがより重要になっています このように マネジメントレビューも戦略的になってきている 要求項目を一律に報告するのではなく 組織にとって重要項目を重点的に且つ詳細にレビューすることにより EMS が引き続き有効で 継続的に改善することを期待しています 以上 10 / 10