Press Release

Similar documents
Microsoft Word - notes①1210(的場).docx

PowerPoint プレゼンテーション

共働き・子育て世帯の消費実態(1)-少子化でも世帯数は増加、収入減で消費抑制、貯蓄増と保険離れ

Microsoft Word - .\...doc

統計トピックスNo.92急増するネットショッピングの実態を探る

<4D F736F F D C835894AD955C8E9197BF EE CC B83678E9E8E96816A8F4390B38CE32E646F63>

01 公的年金の受給状況

man2

Microsoft Word - rp1410b(水野).docx

2005 年ファイル交換ソフト利用実態調査結果の概要 2005 年 5 月 31 日 目次 調査方法...2 ファイル交換ソフトの利用者数の実態 ファイル交換ソフトの利用率とその変化 ファイル交換ソフトの利用者数とその変化...5 ファイル交換の実態 利用されてい

季刊 家計経済研究112号_本文p01−84.indd

25~34歳の結婚についての意識と実態

税・社会保障等を通じた受益と負担について

平成26年度「結婚・家族形成に関する意識調査」報告書(全体版)

2. 女性の労働力率の上昇要因 М 字カーブがほぼ解消しつつあるものの 3 歳代の女性の労働力率が上昇した主な要因は非正規雇用の増加である 217 年の女性の年齢階級別の労働力率の内訳をみると の労働力率 ( 年齢階級別の人口に占めるの割合 ) は25~29 歳をピークに低下しており 4 歳代以降は

Microsoft Word - wt1608(北村).docx

このジニ係数は 所得等の格差を示すときに用いられる指標であり 所得等が完全に平等に分配されている場合に比べて どれだけ分配が偏っているかを数値で示す ジニ係数は 0~1の値をとり 0 に近づくほど格差が小さく 1に近づくほど格差が大きいことを表す したがって 年間収入のジニ係数が上昇しているというこ

平成24年度 団塊の世代の意識に関する調査 日常生活に関する事項

ポイント 〇等価尺度法を用いた日本の子育て費用の計測〇 1993 年 年までの期間から 2003 年 年までの期間にかけて,2 歳以下の子育て費用が大幅に上昇していることを発見〇就学前の子供を持つ世帯に対する手当てを優先的に拡充するべきであるという政策的含意 研究背景 日本に

なお 夫の給与所得が高いほど 税制における配偶者控除の利用率も高くなる ( 注 4) 配偶者控除による税負担の軽減額は所得が高くなるにつれて大きくなり その恩恵に浴する人は高所得の人ほど多い つまり専業主婦世帯では夫の所得が高くなるほど配偶者控除や第 3 号被保険者制度による恩恵を その分 多く享受

なお 夫の給与所得が高いほど 税制における配偶者控除の利用率も高くなる ( 注 4) 配偶者控除による税負担の軽減額は所得が高くなるにつれて大きくなり その恩恵に浴する人は高所得の人ほど多い つまり専業主婦世帯では夫の所得が高くなるほど配偶者控除や第 3 号被保険者制度による恩恵を その分 多く享受

PowerPoint プレゼンテーション

本資料は 様々な世帯類型ごとに公的サービスによる受益と一定の負担の関係について その傾向を概括的に見るために 試行的に簡易に計算した結果である 例えば 下記の通り 負担 に含まれていない税等もある こうしたことから ここでの計算結果から得られる ネット受益 ( 受益 - 負担 ) の数値については

図表 II-39 都市別 世帯主年齢階級別 固定資産税等額 所得税 社会保険料等額 消 費支出額 居住コスト 年間貯蓄額 ( 住宅ローン無し世帯 ) 単位 :% 東京都特別区 (n=68) 30 代以下 (n=100) 40 代

米国の給付建て制度の終了と受給権保護の現状

各位

「学び直し」のための教育訓練給付制度の活用状況|第一生命経済研究所|的場康子

 

Microsoft Word - rp1504b(宮木).docx

アンケート調査の実施概要 1. 調査地域と対象全国に居住する 30~60 代の既婚男女 2. サンプル数 800 名 3. サンプル抽出方法第一生命経済研究所生活調査モニター 4. 調査方法質問紙郵送調査法 5. 実施時期 2006 年 1 月 6. 有効回収数 ( 率 ) 769 名 (96.1%

第4章妊娠期から育児期の父親の子育て 45

<342D318A B A2E786C73>

三世代で暮らしている人の地域 親子関係 第一生命経済研究所ライフデザイン研究本部研究開発室的場康子 < 減り続ける > 戦後 高度経済成長を迎えた我が国においては 産業構造の変化により都市化 工業化が進む中で 多くの人が地方から都市に移動し核家族化が進んだ 低成長経済に移行した後

結婚しない理由は 結婚したいが相手がいない 経済的に十分な生活ができるか不安なため 未婚のに結婚しない理由について聞いたところ 結婚したいが相手がいない (39.7%) で最も高く 経済的に十分な生活ができるか不安なため (2.4%) 自分ひとりの時間が取れなくなるため (22.%) うまく付き合え

<4D F736F F D F815B A F A838A815B A8E718B9F8EE C98AD682B782E992B28DB85B315D2E646F63>

平成26年度「結婚・家族形成に関する意識調査」報告書(全体版)

Microsoft Word 寄付アンケート記者報告.docx

第 16 表被調査者数 性 年齢階級 学歴 就業状況別 124 第 17 表独身者数 性 年齢階級 就業状況 家庭観別 142 第 18 表有配偶者数 性 年齢階級 就業状況 家庭観別 148 第 19 表仕事あり者数 性 年齢階級 配偶者の有無 親との同居の有無 職業別 154 第 20 表仕事あ

質問 年 ご自身の 1 年に何点をつけますか?(100 点満点 )( 回答者数 :9,493 名 ) 質問 を回答した方への質問 最もウエイトを占める要素は何ですか? ( 回答者数 :9,493 名 ) 質問 を回答した方への質問 昨年と比較して点数

介護休業制度の利用拡大に向けて

1 / 5 発表日 :2019 年 6 月 18 日 ( 火 ) テーマ : 貯蓄額から見たシニアの平均生活可能年数 ~ 平均値や中央値で見れば 今のシニアは人生 100 年時代に十分な貯蓄を保有 ~ 第一生命経済研究所調査研究本部経済調査部首席エコノミスト永濱利廣 ( : )

結果の要約 2 NRC レポート 全国 才男 1,200 名を対象に 2016 年 2 に パソコン スマートフォンなどの情報機器 の調査を実施しました 本調査はインターネット調査ではなく 調査員による訪問留置法で実施しており パソコンやインターネットを利 していない も対象に含まれてい

参考 1 男女の能力発揮とライフプランに対する意識に関する調査 について 1. 調査の目的これから結婚 子育てといったライフ イベントを経験する層及び現在経験している層として 若年 ~ 中年層を対象に それまでの就業状況や就業経験などが能力発揮やライフプランに関する意識に与える影響を把握するとともに

<4D F736F F D20838C837C815B83675F89C68C7682C98AD682B782E992B28DB E342E646F63>

図表 1 金融や貯蓄への関心

平成28年 高齢者の経済・生活環境に関する調査結果(概要版)2/4

人生100年時代の結婚に関する意識と実態

PowerPoint プレゼンテーション

01表紙福島

参考 男女の能力発揮とライフプランに対する意識に関する調査 について 1. 調査の目的これから結婚 子育てといったライフ イベントを経験する層及び現在経験している層として 若年 ~ 中年層を対象に それまでの就業状況や就業経験などが能力発揮やライフプランに関する意識に与える影響を把握するとともに 家

人口 世帯に関する項目 (1) 人口増加率 0.07% 指標の説明 人口増加率 とは ある期間の始めの時点の人口総数に対する 期間中の人口増加数 ( 自然増減 + 社会増減 ) の割合で 人口の変化量を総合的に表す指標として用いられる 指標の算出根拠 基礎データの資料 人口増加率 = 期間中の人口増

20 金融資産目標残高 今後の金融商品の保有希望 元本割れを起こす可能性があるが 収益性の高いと見込まれる金融商品の保有 日常的な支払い ( 買い物代金等 ) の主な資金決済手段 日常的な支払い ( 買い物代金等 ) の主な資金決済手段 ( 続き )

Microsoft Word - Notes1104(的場).doc

Unknown

平成24年度 団塊の世代の意識に関する調査 経済状況に関する事項

「高齢者の健康に関する意識調査」結果(概要)1

中国帰国者以外 フィリピン アジア諸国 中米南米諸国 欧米系諸国 全体 就業の状態 (1) 現在の職業表 -2.5 は 国籍グループ別に有業者の現在の職業をみたものである

(3) 可処分所得の計算 可処分所得とは 家計で自由に使える手取収入のことである 給与所得者 の可処分所得は 次の計算式から求められる 給与所得者の可処分所得は 年収 ( 勤務先の給料 賞与 ) から 社会保険料と所得税 住民税を差し引いた額である なお 生命保険や火災保険などの民間保険の保険料およ

調査実施の背景 近年 ライフスタイルの多様化が著しく進んでいます 生涯未婚率が上昇し 単身世帯 一人親世帯も増加するなど 世帯構成が大きく変化しました また 25 歳から 39 歳の就業率が上昇し 共働き世帯も増加しました においては 管理職の積極的な登用が推進される一方で非正規社員の占める割合は高

事例検証 事例 1 37 歳の会社員の夫が死亡し 専業主婦の妻と子ども (2 歳 ) が遺される場合ガイドブック P10 計算例 1 P3 事例 2 42 歳の会社員の夫が死亡し 専業主婦の妻と子ども (7 歳 4 歳 ) が遺される場合 P4 事例 3 事例 3A 事例 3B 53 歳の会社員の夫

次に 母親の年齢別 出生順位別の出生数をみていきましょう 図 2-1は母親の年齢別に第 1 子出生数をみるグラフです 第 1 子の出生数は20 年間で1,951 人 (34.6%) 減少しています 特に平成 18 年から平成 28 年にかけて減少率が大きく 年齢別に見ると 20~24 歳で44.8%

PowerPoint プレゼンテーション

<4D F736F F D20819D819D F F9193C18F FEA816A8DC58F4994C52E646F6378>

図表 1 人口と高齢化率の推移と見通し ( 億人 ) 歳以上人口 推計 高齢化率 ( 右目盛 ) ~64 歳人口 ~14 歳人口 212 年推計 217 年推計

140 国家公務員共済組合年金受給者実態調査 障害共済年金 障害年金受給者実態調査票 ( 平成 28 年 2 月 1 日現在 ) ここは記入しないで下さい 問 1 あなたは国家公務員共済年金のうち障害共済年金もしくは 問 8 あなたは日常生活をするのに他の人の介護を必要としますか 障害年金を受給して

第5回基礎問題小委員会 礎5-4

夫婦間でスケジューラーを利用した男性は 家事 育児に取り組む意識 家事 育児を分担する意識 などに対し 利用前から変化が起こることがわかりました 夫婦間でスケジューラーを利用すると 夫婦間のコミュニケーション が改善され 幸福度も向上する 夫婦間でスケジューラーを利用している男女は 非利用と比較して

平成20年度国家公務員共済組合事業統計年報

 

25~44歳の子育てと仕事の両立


平成30年版高齢社会白書(概要版)(PDF版)

第5回 「離婚したくなる亭主の仕事」調査

図表 29 非正規労働者の転職状況 前職が非正規労働者であった者のうち 現在約 4 分の 1 が正規の雇用者となっている 非正規労働者の転職希望理由としては 収入が少ない 一時的についた仕事だから が多くなっている 前職が非正規で過去 5 年以内に転職した者の現職の雇用形態別割合 (07 年 現職役

調査実施の背景 わが国は今 人口構造の変化に伴う労働力の減少を補うため 女性の活躍を推進し経済成長を目指しています しかし 出産後も働き続ける女性は未だ多くないばかりでなく 職場において指導的な立場に就く女性も少ない状況が続いています 女性の活躍を促進させるためには 継続就業のための両立支援策ととも

Microsoft PowerPoint - ライフプランニング HP公表用.ppt

図 1 左側は 全病院における病床規模の分布を 右側は回答者施設の病床規模の分布を示す 200 床以上 ~500 床未満 500 床以上では全体に占める割合に比べて回答者の割合がやや高く 200 床未満では やや低い 以下 回答施設全体の統計要約は この点を考慮に入れてみる必要がある 図 1 全病院

3.HWIS におけるサービスの拡充 HWISにおいては 平成 15 年度のサービス開始以降 主にハローワーク求人情報の提供を行っている 全国のハローワークで受理した求人情報のうち 求人者からインターネット公開希望があったものを HWIS に公開しているが 公開求人割合は年々増加しており 平成 27

2. 年金額改定の仕組み 年金額はその実質的な価値を維持するため 毎年度 物価や賃金の変動率に応じて改定される 具体的には 既に年金を受給している 既裁定者 は物価変動率に応じて改定され 年金を受給し始める 新規裁定者 は名目手取り賃金変動率に応じて改定される ( 図表 2 上 ) また 現在は 少

電通、エネルギー自由化に関する生活者意識の変化を分析

近年 家族は徐々に変化してきている 日本の家族の変化は 日本女性のライフコースの変化をも意味している 女性は家族に内包されてきたために 家族が変化している中のひとつの側面として女性の変化が上げられるのである そこで 次に 女性のライフコースの変化についてみてみよう そして 本調査データから 女性の婚

( 2 ) % % % % % % % % 100% 20 90% 80% 70% 60%

スライド 1

表 1: 世帯年収に対する貯蓄の割合 表 2: 年代別の貯蓄率 月収に占める支出率 スマートマネー派 は節約上手 ( 3) ( 4) 2012 年 11 月の家計の各品目の出費 について質問したところ 月収に対する支出の割合は スマートマネー派 が 69.9% と 現金依存派 の 74.2% より

質問 1 11 月 30 日は厚生労働省が制定した 年金の日 だとご存じですか? あなたは 毎年届く ねんきん定期便 を確認していますか? ( 回答者数 :10,442 名 ) 知っている と回答した方は 8.3% 約 9 割は 知らない と回答 毎年の ねんきん定期便 を確認している方は約 7 割

「シニアのリアル調査」結果第三弾

1. ボーナスは定期的に支給されていますか? 年代累計で 奥さまは6 割強 ご主人は8 割強に定期支給 P.1 2. お互いに ボーナスの支給明細書 を見せていますか? あるいは お互いのボーナス支給額をご存知ですか? ボーナスの支給額を知らせる割合は 奥さまは 7 割弱 ご主人は9 割弱 P.1

2) 親子関係 家族との生活に満足している について と の調査と比較した 図 12-2 に 示しているように の割合は 4 かとも増加傾向が見られた 日 本 米 中

ふくい経済トピックス ( 就業編 ) 共働き率日本一の福井県 平成 2 2 年 1 0 月の国勢調査結果によると 福井県の共働き率は % と全国の % を 1 1 ポイント上回り 今回も福井県が 共働き率日本一 となりました しかし 2 0 年前の平成 2 年の共働き率は

男女共同参画に関する意識調査

未諮問基幹統計(家計統計)についての委員の御質問・御意見等について

2017 年度税制改正大綱のポイント ~ 積立 NISA の導入 配偶者控除見直し ~ 大和総研金融調査部研究員是枝俊悟

世帯主年齢別にみると 加入 追加加入意向あり の割合は 概ね若年齢層ほど高くなって おり 30~34 歳 では 59.3% となっている ( 図表 Ⅱ-75) 図表 Ⅱ 75 今後の加入 追加加入意向 ( 世帯主年齢別 ) - 加入 追加加入意向あり の割合

第 3 章各調査の結果 35

コメコメ人生設計 アンケート結果

 

出産・育児・パートナーに関する実態調査(2015)

親と同居の壮年未婚者 2014 年

日本、中国、米国の貯蓄に対する意識調査:東京スター銀行

「健康寿命」の伸長には若い頃からの健康改善が重要~2012年「健康寿命」の公表について考える

Transcription:

公益財団法人家経済研究所 2016 年 11 月 21 日 消費生活に関するパネル調査 について ( 第 23 回調査結果 ) 公益財団法人家経済研究所では 1993 年より継続している 消費生活に関するパネル調査 の第 23 回調査を 2015 年 10 月に実施いたしました 最新の調査から明らかになったことをご紹介します 1. 親元未婚女性の 10 年間の変化 (1) 収入 支出に変化は少ないものの堅実化の傾向 ( 2 ページ ) (2) 生活程度が 中の下 と思う人が増加 ( 3 ページ ) 2. 10 年前も現在も親元にいる未婚女性の状況 親と同居する未婚ミドル女性 生活程度が 中の下 と感じる人が増加 ( 4~5 ページ ) 3. 30~50 代夫婦の貯蓄習慣 (1) 定期的に一定額の貯蓄ができているのは4 分の1の世帯 ( 6ページ ) (2) 家を一度チェックしてみるだけでも貯蓄に効果的 ( 7ページ ) (3) 共働きは貯蓄の面でやっぱり有利?( 8ページ ) (4) 働き方にかかわらず定期的な家簿記帳には貯蓄に効果的 ( 9ページ ) お問合せ先 公益財団法人家経済研究所 102-0073 東京都千代田区九段北 2-3-7 前川九段ビル3 階電話 03(3221)7291 FAX 03(3221)7255 E-mail info@kakeiken.or.jp URL http://www.kakeiken.or.jp/ 担当 : 次席研究員久木元真吾 (kukimoto@kakeiken.or.jp) 次席研究員坂口尚文 (sakaguchi@kakeiken.or.jp) 1

1. 親元未婚女性の 10 年間の変化 (1) 収入 支出に変化は少ないものの堅実化の傾向 パラサイトシングル といわれる未婚で親と同居する人の生活がかつて注目されたが 未婚者の状況は大きく変化している ここでは 2005 年と 2015 年それぞれの時点で 26~35 歳で親と同居する女性の経済状況について比較した まず収入面をみると 年収は 2005 年の平均が 241.2 万円 2015 年は 247.2 万円と若干増加しているが 手取り収入は月 17.4 万円から 16.9 万円とやや減少している 総じて 収入面では大きな変化がみられない 一方 支出面をみると 支出合額は 10.9 万円から 10.2 万円へ低下 自由裁量支出 ( 注 ) も 4 万 4 千円から 4 万円と減少している 親へ収入を渡す人の割合はほぼ変わらないが 渡している人の平均額は約 3.4 万円から 3.1 万円と低下し 貯蓄額が 2.6 万円から 3.1 万円へ増加している 全体として 2005 年と 2015 年では大きな変化はみられないものの 正規就業の割合が低下し 手取り収入は減額 支出を低くおさえ 貯蓄にまわす傾向がみられ 親元未婚女性の生活状況は以前よりも堅実化している 図表 1 親元未婚女性の生活状況 2 時点比較 2005 年 2015 年 (299 人 ) (298 人 ) 年収 ( 平均 万円 税込み ) 241.2 247.2 手取り月収 ( 平均 万円 ) 17.4 16.9 1ヵ月の支出 ( 平均 万円 ) 10.9 10.2 うち自由裁量支出 4.4 4.0 1 ヵ月の貯蓄額 ( 平均 万円 ) 2.6 3.1 親へ収入を渡すか (%) ( 渡さなかった ) 34.1 34.9 ( 一部渡した ) 54.8 53.7 ( ) 11.1 11.4 親へ渡した額 3.4 3.1 ( 平均 万円 ) 就業率 (%) 87.3 85.9 うち正規割合 (%) 69.8 59.4 ( 注 ) 自由裁量支出 : 1 ヵ月あたりの衣類 履物 教養 娯楽 交際費の合 2

1. 親元未婚女性の 10 年間の変化 (2) 生活程度が 中の下 と思う人が増加 このような経済状況のなか 意識の面ではどのように変化しているのだろうか (1) と同様に 2005 年と 2015 年それぞれの時点で 26~35 歳で親と同居する女性を対象に 自分の生活程度が世間一般からみて 上 中の上 中の中 中の下 下 のどれにあたると思うかを尋ねた 中の中 と答えた人は 2005 年は 57.9% だったが 2015 年には 50.3% に減少している 一方 中の下 と答えた人はが 18.1% から 25.5% に増加している 本人の経済状況には 2 時点で大きな差はなかったにもかかわらず 正規就業者の割合の低下がみられる中で 自らの生活程度を低めに評価する人が増えていることがわかる 図表 2 生活程度の 2 時点比較 (2005 年と 2015 年 ) 中の下 が増加 3

2.10 年前も現在も親元にいる未婚女性の状況 親と同居する未婚ミドル女性 生活程度が 中の下 と感じる人が増加 1. は 2 時点の比較であったが 2005 年に親元で暮らしていた女性は その後どのような生活を送っているだろうか 2005 年時点の親元同居者未婚者 368 名 ( 当時 26~46 歳 ) のうち 2015 年時点でも調査に回答し かつ未婚であったのは 139 名 (37.8%) であった そのうち 親元同居者は 113 名 ( 未婚者のうち 81.3%) である ここでは 2005 年も 2015 年も親と同居する未婚者であった女性 113 名 ( 現在 36~56 歳 ) を対象に その一人一人がこの 10 年間でどう変化したのかについて 家状況や生活程度の評価に注目して調べてみた 10 年経過する中で 年収は約 30 万円 手取り収入も約 1 万 4 千円ほど増加している 親へのお金を渡す人の割合はあまり変わっていないが 渡している人の金額はやや増加しており ( 図表 3) 生活程度も 中の下 が 1 割近く増加している ( 図表 4) 親元で暮らし続ける未婚者たちは 一人一人が 10 年を経てその多くが中年となる中で 自らの生活程度を 10 年前よりも低く評価していることがわかる 図表 3 10 年経過後親元未婚女性の家状況 2005 年 2015 年 ( 当時 26~46 歳 ) ( 現在 36~56 歳 ) 年収 ( 平均 万円 税込み ) 278.0 309.6 手取り月収 ( 平均 万円 ) 17.3 18.7 1 ヵ月の支出 ( 平均 万円 ) 10.5 10.9 うち自由裁量支出 4.0 3.0 1 ヵ月の貯蓄額 ( 平均 万円 ) 3.3 2.8 親へ収入を渡すか (%) ( 渡さなかった ) 38.1 36.3 ( 一部渡した ) 48.7 48.7 ( ) 13.2 15.0 親へ渡した額 ( 平均 万円 ) 4.6 4.9 就業率 (%) 86.7 82.3 うち正規割合 (%) 68.0 64.9 4

2.10 年前も現在も親元にいる未婚女性の状況 図表 4 10 年経過後の生活程度の変化 5

3.30~50 代夫婦の貯蓄習慣 (1) 定期的に一定額の貯蓄ができているのは 4 分の 1 の世帯 本調査では 各世帯で収入から一定の額を貯蓄しているかを尋ねている ( 詳細は 下記参照 ) ここでは 直近 4 年間 (2012 年 ~2015 年 ) の調査とも配偶者のいる女性の回答についてまとめた 4 年すべての年で ( 一定の額を ) 定期的に貯蓄している と回答した人は全体の 26% であった また 4 年とも ほぼ貯蓄できていない と回答した人は 12% である 図表 5 の 定額貯蓄が以前できていた とは 4 年の間に一度は一定額の定期的貯蓄をしたことがあるものの 最後の 2015 年には定額貯蓄ができていなかったという意味であり その割合は 18% にのぼっていた 一定額の貯蓄を毎年続けることの難しさが この結果からもうかがえる 図表 5 貯蓄習慣の現状 4 年とも定額貯蓄 定額貯蓄が以前できていた 4 年とも余ったお金を貯蓄 4 年とも貯蓄できていない 構成比 26% 18% 9% 12% 36% 100%(970) 貯蓄月額 中央値 ( 千円 2015) 85 50 58 27 50 50 ( 注 ) 貯蓄額には 生命保険料などの保険料の支払いも含まれている 対象 :2015 年 10 月に 32 歳から 55 歳の有配偶女性 970 人期間 :2012 年から 2015 年の 4 年間 質問文 : お宅では 収入から一定の額を貯蓄するようにしていますか 1 定期的に貯蓄するようにしている 2 画は立てていないが 余ったお金を貯蓄にまわしている 3 貯蓄にまわすことはほぼできていない 4 特に貯蓄しようと思わない 6

3.30~50 代夫婦の貯蓄習慣 (2) 家を一度チェックしてみるだけでも貯蓄に効果的 貯蓄を定期的に続ける工夫の 1 つとして 家簿をつけ日々の収支をチェックすることがあげられる 図表 6 は (1) と同様に直近 4 年間 (2012 年 ~2015 年 ) の調査結果から 家簿の記帳状況と貯蓄習慣の関係を示したものである 4 年とも定期的に家簿をつけていた世帯の場合 その中で 4 年とも一定額の貯蓄ができていた割合は 34% であり そこまで家簿をつけていなかった世帯よりも高くなっている この結果から 定期的かつ継続して家簿をつけることは 何らかの形で貯蓄をもたらす効果を持っていることがうかがえる ただし 4 年間定期的に家簿をつけ続けていた世帯は 全体の 13% と少数にとどまっており 家簿をつけ続けることはやはり簡単ではないようである ( 図表 7) 一方 これまでに一度も家簿をつけたことがない世帯の場合 4 年とも一定額の貯蓄ができていた割合は 17% と最も低くなっている 最初から定期的に家簿をつけ続けることは難しいかもしれないが 何らかの機会に家簿をつけてみて家の状況をチェックするだけでも 貯蓄の実現に対して一定の効果がありそうである 図表 6 家簿の記帳状況と貯蓄習慣 4 年とも定期的につけていた 定期的につけていたが 今はつけていない 調査以前につけたことがある これまで一度もつけたことがない 4 年とも定額貯蓄 定額貯蓄が以前できていた 4 年とも余ったお金を貯蓄 4 年とも貯蓄できていない 34% 21% 8% 11% 26% 100% 27% 20% 8% 7% 37% 100% 25% 17% 11% 13% 35% 100% 17% 19% 9% 14% 41% 100% 24% 18% 8% 12% 38% 100% 図表 7 家簿の記帳状況 4 年とも定期的につけていた 定期的につけていたが 今はつけていない 調査以前につけたことがある これまで一度もつけたことがない 13% 10% 26% 13% 39% 100%(970) 7

3.30~50 代夫婦の貯蓄習慣 (3) 共働きは貯蓄の面でやっぱり有利? 共働き世帯と専業主婦世帯で 貯蓄習慣に違いはあるのだろうか (1)(2) と同様に直近 4 年間 (2012 年 ~2015 年 ) の調査結果から 図表 8 は貯蓄習慣の状況を 図表 9 はそれぞれの場合の月額貯蓄額 ( 中央値 ) をまとめている 4 年とも一定額の貯蓄ができていた世帯の割合に注目すると 共働き世帯では 29% だったのに対して 専業主婦世帯では 19% であり 両者の間には 10 ポイントの差があった 月あたりの貯蓄額でみても 両者の間には 3 万円弱の差がある 共働き世帯は収入を複数から得ているため 一定額の貯蓄を相対的に確保しやすいことがうかがえる ただし 4 年とも一定額の貯蓄ができていた割合自体は 共働き世帯であっても高いとはいえず 多数派の世帯は継続的な定額貯蓄ができていないともいえる また 4 年とも貯蓄できていない 等の割合は 共働き世帯と専業主婦世帯の間で大きな差が開いてはいない 貯蓄額の面でも 定額貯蓄が以前できていた 世帯や 4 年とも余ったお金を貯蓄 していた世帯では 共働き世帯と専業主婦世帯の間に 4 年とも定額貯蓄 の世帯ほどの大きな差はみられない 図表 8 妻の就業状態別貯蓄習慣 4 年とも定額貯蓄 定額貯蓄が以前できていた 4 年とも余ったお金を貯蓄 4 年とも貯蓄できていない 共働き 29% 17% 9% 11% 34% 100%(694) 専業主婦 19% 19% 8% 14% 39% 100%(257) 図表 9 妻の就業状態別月あたりの貯蓄額 ( 中央値 千円 2015 年 ) 4 年とも定額貯蓄 定額貯蓄が以前できていた 4 年とも余ったお金を貯蓄 4 年とも貯蓄できていない 共働き 90 55 56 30 50 57 専業主婦 63 40 60 8 42 45 8

3.30~50 代夫婦の貯蓄習慣 (4) 働き方にかかわらず定期的な家簿記帳には貯蓄に効果的 共働き世帯と専業主婦世帯ごとに家簿の記帳状況と貯蓄行動の関連を調べた 家簿を定期的につけていた割合は専業主婦世帯の方が高くなっている ( 図表 10) 共働き世帯 専業主婦世帯とも 定期的に家簿を記帳していた世帯では 4 年間定期的に貯蓄できている割合が高く それぞれ 36% 35% であった 共働き世帯をみてみると これまで家簿をつけたことがない世帯では 定期的に貯蓄している割合が 16% と低くなっている ( 図表 11) 専業主婦世帯においては 4 年間継続して記帳していた世帯と それ以外の世帯では定期的貯蓄をしてる割合に差が大きく それ以外の世帯で定期的な貯蓄をしている割合は 1 割台にとどまっている 専業主婦世帯において 家簿を記帳し続けている効果がより表れている 図表 10 妻の就業状態別家簿の記帳状況 4 年とも定期的につけていた 定期的につけていたが 今はつけていない 4 年とも時々つけていた 調査以前にこれまでつけたことが一度もつけあるたことがない 共働き世帯 11% 11% 3% 25% 14% 36% 100% 専業主婦世帯 18% 7% 2% 26% 11% 36% 100% 図表 11 妻の就業状態別家簿の記帳状況と貯蓄習慣 共働き 専業主婦 4 年とも定額貯蓄 定額貯蓄が以前できていた 4 年とも余ったお金を貯蓄 4 年とも貯蓄できていない 4 年とも定期的につけていた 36% 17% 11% 13% 24% 100% 定期的につけていたが 今はつけていない 30% 17% 9% 5% 38% 100% 調査以前につけたことがある 29% 17% 10% 12% 32% 100% これまで一度もつけたことがない 16% 19% 12% 14% 40% 100% 31% 17% 7% 10% 35% 100% 4 年とも定期的につけていた 35% 26% 4% 9% 26% 100% 定期的につけていたが 今はつけていない 17% 28% 6% 17% 33% 100% 調査以前につけたことがある 13% 15% 13% 16% 42% 100% これまで一度もつけたことがない 17% 21% 3% 17% 41% 100% 17% 18% 8% 14% 42% 100% 9

調査概要 A. パネル調査とは 1. パネル調査は 年間消費支出額や貯蓄額等の調査項目に関して 同一個人を継続的に追跡し時系列を把握する調査である 日本では ( 公財 ) 家経済研究所の調査が代表的なパネル調査である 米国では ミシガン大学やオハイオ州立大学が 1960 年代後半から開始し 現在ではドイツ イギリス オランダ フランス スウェーデン等のヨーロッパをはじめとする諸外国でも行われており 家行動をはじめとする社会 経済の事象の分析にはなくてはならない調査となっている 近年では その学術的意義が認められ 厚生労働省 慶應義塾大学 大阪大学 東京大学などでもパネル調査が実施されている 2. 総務省の 家調査 や 労働力調査 などは 全国レベルの標本抽出を基に日本経済全体の動向を示す貴重な情報を提供しているが 同一個人を追跡していない そのため 例えば所得の低下は 同一個人が繰り返して低下したためなのか それとも多くの人々の所得が平均して低下したためなのかは 従来の調査でははっきりしなかった パネル調査では このことを明確に把握することが可能になる B. 対象と方法 1. 全国の 24 歳 ~34 歳の女性を対象とした ( 第 1 回調査 (1993 年 ) 時点 ) これは 家行動の中で重要な位置を占める結婚や育児等の問題が 当該年齢の女性に主にかかわっていることなどを考慮したためである 2. 全国から 1,500 人を抽出し 1993 年 10 月に留置法によって第 1 回調査を実施した 現在までのところ 前年からの回答率は約 95% を維持している また 1997 年には全国の 24 歳 ~27 歳の女性 500 人 2003 年には 24 歳 ~29 歳の女性 836 人 2008 年には 24 歳 ~28 歳の女性 636 人 2013 年には 24~28 歳の女性 648 人を新たに加えている 3. 今回発表する第 23 回調査 (2015 年 10 月実施 ) の回答者は 全体で 2,262 人の女性 (26 歳 ~56 歳 うち有配偶者 1,471 人 無配偶者 791 人 ) となっている 4. 調査内容は 家については 収入 支出 貯蓄 借り入れ 消費者信用 耐久消費財の保有状況 家管理形態をたずね また生活行動 意識については 就業 生活時間 生活上の出来事 転居と生活環境 結婚観と就業観など 非常に広範囲に及んでいる 夫についても 就業 生活時間などをたずねている C. 研究成果の発表 データの公開今回発表する 消費生活に関するパネル調査 の分析結果は 報告書として 12 月に刊行する予定である データは 外部の学術研究者にも公開されており 各方面の研究分野で活用されている 公益財団法人家経済研究所は 家や生活の実態と将来について調査研究を進めている研究機関です http://www.kakeiken.or.jp/ 10