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認可地縁団体が所有する不動産に係る登記の特例について < 制度の概要 > 通常 登記名義の変更手続きは 登記権利者 ( 新たな名義人 ) と登記義務者 ( 現在の名義人 死亡している場合にはその相続人 ) 双方の共同で行う必要があります そのため 登記簿に表示された所有者や相続人の所在が分からない場

長は 特措法第 39 条第 1 項に規定する地域福利増進事業等を実施しようとする区域内の土地の土地所有者等の探索に必要な限度で その保有する同項に規定する土地所有者等関連情報を その保有に当たって特定された利用の目的以外の目的のために内部で利用することができることとなります ( 特措法第 39 条第

1

目 次 1 林地台帳の公表 情報提供 1-1 公表 情報提供の範囲 1-2 公表の方法 1-3 情報提供の方法 2 林地台帳の修正 更新 2-1 修正申出の方法 2-2 情報の修正 更新手順 3 林地台帳管理システム 3-1 管理システムの機能 3-2 林地台帳情報と森林資源情報の連携 4. 運用マ

1, H H17 4.2H17

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1-1 林地台帳の記載事項 1 林地台帳には 法改正案に規定されているものに加え 市町村の行政事務の円滑化や の施業集約化の効率化に資する情報を記載 ( 省令 通知で規定 ) 追加的な情報としては 経営計画の認定状況 保安林等法指定状況等を想定 ( これらはすでに市町村や 都道府県が有している情報

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中央建設業審議会による提言について ( 平成 24 年 3 月 14 日 ) 建設産業における社会保険の徹底について ( 提言 ) 建設産業においては 下請企業を中心に 雇用 医療 年金保険について 法定福利費を適正に負担しない企業 ( すなわち保険未企業 ) が存在し 技能労働者の医療 年金など

215 参考資料

ただし 森林の土地の所有権の取得と併せて 当該森林について法第 10 条の2の規定に基づく開発行為の許可を受けて他の用途へ転用する場合など 地域森林計画の対象とする森林から除外されることが確実であるときは 届出書の提出を要さないものとして運用して差し支えない (2) 土地の所有者となった日届出書の提

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社会保険等加入及び法定福利費を内訳明示した見積書に関する実態調査について 1. 調査の目的 これまでに実施してきた各施策に関する各建設企業における取組状況および施策の現場への浸透状況等を総合的に把握し 社会保険等未加入対策の目標達成を見据えた加入徹底方策を検討することを目的とする 2. 調査の概要


働き方改革 魅力ある建設業の構築に向けて 特集 域によっても大きな差があり, 北陸地方や北海道 など一部の地方では平成 28 年 10 月調査の加入率が 80% を超えているのに対し, 大都市部のある関東 地方 (55%) や近畿地方 (60%) は低い加入率に 留まっている ( ) 建設マネジメン

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非農地通知書により地目変更の登記申請をされる方へ ( 法務局からのお知らせ ) 岡山地方法務局倉敷支局 1 土地の現況地目に変更があり登記簿地目と相違する場合は, 土地の地目変更の登記をする必要があります 地目変更の登記等については法務局に相談窓口を用意しています 詳細は末尾を参照してください 表示

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別記様式 ( 市長 区長 町長 村長 ) 殿 ( 申請日 ) 平成年月日 住民票のある市区町村名を記入してください 通知カードの送付先に係る居所情報登録申請書 通知カードの送付先に係る居所 ( 現に居住する住民票の住所地以外の地 ) について 下記のとお り登録申請します 記 1 居所情報登録を行う


農地中間管理機構 ( 仮称 ) の制度の骨格 ( 案 ) 資料 農地中間管理機構の指定都道府県のコントロールの下に適切に構造改革 生産コスト引下げを推進するため 都道府県段階に設置する 1 都道府県知事は 農地中間管理事業を公平かつ適正に行うことができる法人 ( 地方公共団体の第 3セク

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主な事業項目と取組内容 方法 大項目細項目取組内容 方法 (1) 所有者特定等 (2) 所有者の意識啓発 1 法務と連携した所有者特定作業 2 解決困難事案の司法的解決の検討 3 マニュアル作成 1 空き家に関するガイドブック 作成 福岡県司法書士会と協定を締結し 21 名の司法書士によるプロジェク

高齢者住宅施策の現状と今後の方向性

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( 表 1) 出典 : 地籍調査 WEB サイト ( 3. 地図を訂正する方法 費用と時間を多大に要することとなる 地図を訂正するには以下の 5 つの方法がある (1) 不動産登記規則第 16

中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律第 7 条第 1 項に規定する説明書類 奄美信用組合 奄美信用組合は 奄美地区における金融の円滑化への取り組みをこれまで以上に強化するとともに その取り組み姿勢をお客様にご理解していただき 借入の条件変更等に関する ご要望 ご相談に迅速

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不動産登記制度 国民の権利の保全を図り, もって不動産に関する取引の安全と円滑に資するため, 不動産の表示及び不動産に関する権利を一定の公簿 ( 登記簿 ) に公示する制度である 不動産登記法 ( 平成 16 年法律第 123 号 ) 第 1 条この法律は, 不動産の表示及び不動産に関する権利を公示

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資料 4 平成 29 年 1 月 27 日記者会見 土地区画整理事業に関する土地利活用意向調査の実施結果について 復興推進本部都市整備推進室 1 土地利活用意向調査の目的 市内 4 地区の土地区画整理事業は 平成 29 年度末を目標に全ての宅地引渡しが完了できるよう鋭意工事を進めております 地権者へ

渚泊推進対策 平成 29 年 3 月に閣議決定された 観光立国推進基本計画 において 農山漁村滞在型旅行をビジネスとして実施できる体制を持った地域を平成 32 年度までに 500 地域創出することにより 農泊 の推進による農山漁村の所得向上を実現する と位置づけられたところ 農泊 を持続的なビジネス

障財源化分とする経過措置を講ずる (4) その他所要の措置を講ずる 2 消費税率の引上げ時期の変更に伴う措置 ( 国税 ) (1) 消費税の軽減税率制度の導入時期を平成 31 年 10 月 1 日とする (2) 適格請求書等保存方式が導入されるまでの間の措置について 次の措置を講ずる 1 売上げを税

内部統制ガイドラインについて 資料

1 納税義務者ご本人が窓口に来られる場合 3 申請者欄に ご本人の住所 ( 運転免許証等の本人確認書類で確認できる住所 ) 氏名 連絡先電話番号をご記入ください ( 使者欄はご記入不要です ) 4 証明 閲覧の対象となる固定資産の納税義務者が ご本人である場合は 申請者に同じ のチェックボックス (

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図表 2 住宅ローン減税の拡充 消費税率が 5% の場合 消費税率が 8% または 10% の 場合 適用期間 ~2014 年 3 月 2014 年 4 月 ~2017 年末 最大控除額 (10 年間合計 ) 200 万円 (20 万円 10 年間 ) 400 万円 (40 万円 10 年間 ) 控

b c.( 略 ) 2 不動産取得税の軽減に係るの発行信託会社等の地方税法附則第 11 条第 12 項に基づく不動産取得税の軽減のための同法施行令附則第 7 条第 12 項に規定するの発行等については 以下のとおり取り扱うものとする イ ロ.( 略 ) 載があること c d.( 略 ) 2 不動産取

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事業承継税制の概要 事業承継税制は である受贈者 相続人等が 円滑化法の認定を受けている非上場会社の株式等を贈与又は相続等により取得した場合において その非上場株式等に係る贈与税 相続税について 一定の要件のもと その納税を猶予し の死亡等により 納税が猶予されている贈与税 相続税の納付が免除される

国費投入の必要性 事業の効率性 事業の有効性 関連事業 事業所管部局による点検 改善 項目 評価 評価に関する説明 事業の目的は国民や社会のニーズを的確に反映しているか 被災者の資力やニーズを踏まえた効率的 効果的な住まいの確保策に関する調査等を行っている 地方自治体 民間等に委ねることができない事

有資格者一覧表 ( 全 107 種類 ) 資格名称技術 ( 専門 ) 部門二次試験の選択科目資格名称技術 ( 専門 ) 部門二次試験の選択科目 測量士 河川砂防及び海岸 海洋 測量士補 港湾及び空港 1 級建築士 電力土木 2 級建築士 道路 構造設計 1 級建築士 鉄道 設備設計 1 級建築士 上

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公共工事等における新技術活用システムについて 別添 公共工事等に関する優れた技術は 公共工事等の品質の確保に貢献し 良質な社会資本の整備を通じて 豊かな国民生活の実現及びその安全の確保 環境の保全 良好な環境の創出 自立的で個性豊かな地域社会の形成等に寄与するものであり 優れた技術を持続的に創出して

寄附文化の醸成に係る施策の実施状況 ( 平成 26 年度に講じた施策 ) 別紙 1 < 法律 制度改正 > 総務省 ふるさと納税の制度拡充 ( 平成 27 年 4 月 1 日施行 ) 学校法人等への個人寄附に係る税額控除の要件の緩和 ( 平成 27 年 4 月 1 日施行 ) 特例控除の上限の引上げ

個人住民税の特別徴収税額決定通知書(納税義務者用)の記載内容に係る秘匿措置の促進(概要)

資料 3 時代の要請を受けた 消費者保護の課題について 平成 31 年 4 月 経済産業省商務 サービスグループ 商取引監督課

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1. はじめに 中小企業経営者の高齢化が進展する中 事業承継の円滑化は喫緊の課題です 平成 30 年度税制改正において 事業承継の際に生ずる相続税 贈与税の負担を軽減する 非上場株式等についての相続税及び贈与税の納税猶予及び免除の特例 ( 以下 事業承継税制 ) が抜本的に改正されました 本改正では

1. 口座管理機関 ( 証券会社 ) の意見概要 A 案 ( 部会資料 23: 配当金参考案ベース ) と B 案 ( 部会資料 23: 共通番号参考案ベース ) のいずれが望ましいか 口座管理機 関 ( 証券会社 ) で構成される日証協の WG で意見照会したところ 次頁のとおり各観点において様々

○所有者等の住所に変更があった場合の申請書の様式・記載例(オ

相続税計算 例 不動産等の評価財産の課税評価額が 4 億 8 千万円 生命保険金の受取額が 2 千万円 現金 預金等が 4 千万円 ローン等の債務及び葬式費用等が 3 千万円である場合の相続税を計算します 相続人は妻と 2 人の子供の 3 人です ( 評価額を計算するには専門知識を要します 必ず概算

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資料 1-2-2 ( 国土交通省 ) 十分に活用されていない 土地 空き家等の有効活用について 平成 29 年 4 月 11 日 国土交通省 Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism

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所有者と利用とを分離した仕組みを公共事業や民間の土地取引にも導入することについて ( 所有者の所在の把握が難しい土地に対して ) 農地法や森林法のような 所有者と利用とを分離した仕組みを公共事業や民間の土地取引にも導入することについて 1. 想定される課題所有者が不確知の土地については 現在は 一般に 公共事業の場合は土地収用法 不在者財産管理制度等の活用が可能 こうした 現状の制度とは別に 新たに 所有者と利用とを分離した仕組みを創設することについては 土地の利用目的が明確な農地や森林の事例と異なり 一般の土地を対象とする場合 個々の土地毎に 様々な用途が考えられ 土地の形質変更を伴う場合が多い公共事業や民間取引で 憲法 29 条の財産権保障の観点から 所有権の議論を抜きに 利用権の設定が可能なのかといった課題が想定される 2. これまでの取組み平成 27 年 4 月より 関係府省 ( 法務省 農林水産省等 ) と協力して 所有者の所在の把握が難しい土地の所有者探索と利活用 また その発生を予防するための対応方策について検討会を開催 そのとりまとめを踏まえ 土地利用者を把握できなかった場合の所有者の探索手順や土地を利活用するために用いる制度などをまとめたガイドラインを策定 3. 今後の取り組み所有者の所在の把握が難しい土地の問題については 現在 多方面で議論 検討が行われており こうした動きも踏まえ 関係府省と連携して対応 2

所有者の所在の把握が難しい土地への対応方策最終とりまとめ概要 1(H28.3) 所有者の所在の把握が難しい土地への対応方策に関する検討会 において 平成 27 年 4 月より 8 回の検討を重ね 最終とりまとめ ガイドラインを平成 28 年 3 月に策定 公表 ( 委員長山野目章夫早稲田大学大学院法務研究科教授 ) 1 背景 1 土地の資産価値に対する強い意識 土地の保有 管理に対する関心の低下 負担感 2 伝統的な地縁 血縁社会の中での土地所有 先祖伝来の土地への関心の低下 2 相続登記等が行われないままの土地が存在 3 公共事業などで土地利用ニーズが生じると 問題が顕在化し 現場での対応は喫緊の課題 土地登記等の実務専門家 ( 司法書士等 ) の団体 地方公共団体 法務省ほか関係府省等により 1 現場の課題を丁寧に把握 2 実践的な方策を検討 3 施策分野横断的な また関係機関が連携する取組を検討 現状の整理と対策の方向性 : 1. 多様な状況に応じた所有者探索や土地の利活用策に係るノウハウの横展開 2. 所有者とその所在の明確化 特に市区町村で 探索に係るノウハウや人手の不足の問題 市区町村建設担当部局において 所有者情報の把握の際に 苦労した点 ( 上位 5 項目 ) 複数回答 n=589 探索にかかるノウハウがなく 手間と時間がかかった 298 所有者探索に割くことのできる人手がなかった 230 地方公共団体において 財産管理制度の活用が国と比較すると低位 認可地縁団体の登記の特例等 近年措置された制度の周知 活用が必要 H23 年度に用地交渉後 3 年以上経過した契約対抗案件のうち 次年度までに財産管理制度を活用して契約等に至った件数 契約対抗件数注 )1 不明土地による未契約件数 財産管理制度活用件数 所有者の所在の把握が難しい土地とは : 不動産登記簿等の所有者台帳により 所有者が直ちに判明しない 又は判明しても連絡がつかない土地 相続登記の申請 農地法に基づく届出 農協 森林組合への組合員変更の届出をはじめとした相続時申請及び各種届出の提出は十分に実施されていない 相続登記 各種届出の提出状況 実施せず一部実施全て実施 農地 12.9% 76.6% 10.5% 戸籍謄本等の交付等が認められなかった 101 住民票の写し等の交付が認められなかった 85 固定資産課税台帳の情報を提供してもらえなかった 65 注 ) 平成 27 年度地域活性化に資する所有者不明の土地の活用に関する調査によるアンケート調査を一部改変 速報値 ( 国土交通省国土政策局 ) 地方公共団体注 )2 73,476 363 19 国直轄 61,018 94 39 注 )1 契約済み及び契約に至っていない件数注 )2 平成 25 年度に全国 9 地区用地対策連絡 ( 協議 ) 会加盟起業者のうち 任意の地方公共団体 88 団体 ( 都道府県 39 市町村等 49) に実態調査を実施 ( 国土交通省 ) 森林 17.9% 76.0% 6.1% 注 ) 居住地とは異なる市町村に農地 森林を所有している2,121 名を対象に 不動産登記簿への登記 市町村や農業委員会への所有者変更の届出 森林組合 農協への組合員変更の届出 市町村資産税部局への相続人代表指定届出 について 届出の状況についてインターネットアンケートを実施 ( 調査期間平成 23 年 8 月 ~9 月 ) 森林法に基づく届出は 調査時点では施行前のため 届出の状況には含まれない出典 : 平成 23 年度都市と農村の連係による持続可能な国土管理の推進に関する調査報告書 ( 平成 24 年 3 月国土交通省国土政策局 ) 3

所有者の所在の把握が難しい土地への対応方策最終とりまとめ概要 2 対策の方向性 : 対策 : 1. 多様な状況に応じた対応策に係るノウハウの横展開 1 所有者探索の円滑化 所有者の探索方法を事業別 土地の状況別に整理 所有者の探索等に活用できる補助制度の紹介 ガイドラインの策定 2 関連制度活用のための環境整備 財産管理制度や認可地縁団体の登記の特例等 関連する既存制度の活用 市区町村が専門家等に相談する際の相談窓口や費用 制度活用等についての豊富な事例 現場の実務で活用されるガイドラインを目指し 事例の追加 現場での利用状況を踏まえた継続的な見直しを行う 円滑な探索のための環境整備 保存期間を経過した住民票の除票 戸籍の附票の除票の活用 ( 市区町村の判断によること 個人情報の長期間の保存となることに十分留意 ) 戸籍の職務上請求の活用による事務負担の軽減 関連制度活用のためのサポート体制の構築 弁護士会 司法書士会 土地家屋調査士会 行政書士会 不動産鑑定士協会連合会による所有者の探索や関連制度の活用に関する相談窓口の設置 司法書士会での財産管理人の候補者リストの作成 2. 所有者とその所在の明確化 相続登記等の促進 法務局と司法書士会が連携して 市区町村に対する 死亡届受理時等における相続登記促進のための取組についての働きかけ 地籍調査説明会等の土地への関心が高まる各種機会を活用した働きかけ事例 : きめ細やかな案内により届出が増加京都府精華町では 土地所有者への死亡時の各種届出の案内を総合窓口で一元化するなど きめ細やかな案内を行うことで届出件数が増加 農地法に基づく届出件数の変化 : ( 実施前 )2~3 件 / 年 ( 実施後 )20 件 / 年 今後に向けて : 1 2 上記改善策の取組状況についてフォローアップし 引き続き更なる改善を図るさらに社会情勢の変化を踏まえた 新たな国土政策や土地制度についての長期的な視点からの政策論が必要 4

所有者の所在の把握が難しい土地への対応方策 所有者の所在の把握が難しい土地に関する探索 利活用のためのガイドライン概要 章構成ポイント 1 一般的な所有者情報の調査方法 登記情報 住民票の写し等 戸籍 聞き取り調査について 探索の手順をフローチャート等でわかりやすく提示 2 個別制度の詳細 不在者財産管理制度 相続財産管理制度 訴訟等 土地収用法に基づく不明裁決制度 認可地縁団体が所有する不動産に係る登記の特例等を紹介 3 土地の状況別の所有者の調査方法と解決方法 4 事業別の所有者の調査方法と解決方法 5 6 7 東日本大震災の被災地における用地取得加速化の取組 所有者の探索や制度活用に係る費用と相談窓口等について 所有者の所在の把握が難しい土地を増加させないための取組 土地の状況の例 : 時効が成立している土地 相続が何代も生じている土地 共有者の氏名住所が明記されていない土地等事業内容の例 : 社会資本整備 農用地活用 森林整備 地縁団体の共有財産管理等東日本大震災の被災地における 所有者の所在の把握が難しい土地の取得の加速化の取組は 運用改善により対応したものも多いことから 平時における用地取得等の参考にもなる 所有者の探索等に活用可能な補助制度市区町村が専門家等に相談する際の相談窓口や費用所有者情報に関連する市区町村の担当部局を中心に取り組まれることが望ましい対策の整理 ( 死亡届時のきめ細かな案内 土地への関心が高まる機会を活用した相続登記に係る普及啓発 所有者情報の円滑な活用等 ) 事例集上記内容に関連する解決事例について 豊富に掲載 (40 事例 ) 5