「Ⅰ 資本市場」 

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日本版スチュワードシップ コード についての第一生命の取組み 当社は 責任ある機関投資家 の諸原則 ( 日本版スチュワードシップ コード ) の趣旨に深く賛同し 受け入れることを表明し ます 当コードの原則 1 から 7 について 以下のような方針で取り組んでいきます 原則 1 機関投資家は スチュ

預金を確保しつつ 資金調達手段も確保する 収益性を示す指標として 営業利益率を採用し 営業利益率の目安となる数値を公表する 株主の皆様への還元については 持続的な成長による配当可能利益の増加により株主還元を増大することを基本とする 具体的な株主還元方針は 持続的な成長と企業価値向上を実現するための投

コーポレート ガバナンスに関する報告書の主な開示項目 コーポレート ガバナンスに関する報告書 記載項目 ( 内訳 ) 記載上の注意 基本的な考え方 ( 記載例 : コーポレート ガバナンスについての取組みに関する基本的な方針 目的 ) Ⅰ コーポレート ガバナンスに関する基本的な考え方及び資本構成

1. 30 第 2 運用環境 各市場の動き ( 7 月 ~ 9 月 ) 国内債券 :10 年国債利回りは上昇しました 7 月末の日銀金融政策決定会合のなかで 長期金利の変動幅を経済 物価情勢などに応じて上下にある程度変動するものとしたことが 金利の上昇要因となりました 一方で 当分の間 極めて低い長

ための手段を 指名 報酬委員会の設置に限定する必要はない 仮に 現状では 独立社外取締役の適切な関与 助言 が得られてないという指摘があるのならば まず 委員会を設置していない会社において 独立社外取締役の適切な関与 助言 が十分得られていないのか 事実を検証すべきである (2) また 東証一部上場

1. 30 第 1 運用環境 各市場の動き ( 4 月 ~ 6 月 ) 国内債券 :10 年国債利回りは狭いレンジでの取引が続きました 海外金利の上昇により 国内金利が若干上昇する場面もありましたが 日銀による緩和的な金融政策の継続により 上昇幅は限定的となりました : 東証株価指数 (TOPIX)

2014(平成26)年度決算 確定拠出年金実態調査 調査結果について.PDF

PYT & Associates Attorney at law

2 名以上の独立社外取締役の選任状況 2 名以上の独立社外取締役を選任する上場会社の比率は 市場第一部では 9 割を超え 91.3% に JPX 日経 400では 97.7% に 2 名以上の独立社外取締役を選任する上場会社 ( 市場第一部 ) の比率推移 ( 参考 ) 100% 88.0% 91.

議決権行使に関するガイドライン (日本株式)

2018 年度第 3 四半期運用状況 ( 速報 ) 年金積立金は長期的な運用を行うものであり その運用状況も長期的に判断することが必要ですが 国民の皆様に対して適時適切な情報提供を行う観点から 作成 公表が義務付けられている事業年度ごとの業務概況書のほか 四半期ごとに運用状況の速報として公表を行うも

止するとともに 取締役等に付与済みのストックオプションとしての新株予約権で未行使の ものにつきましては 本制度に基づく応分のポイントを付与することを条件として 当 該取締役等において権利放棄することといたします 2. 本制度の概要 (1) 本制度の概要本制度は 当行が拠出する金銭を原資として当行株式

日本基準基礎講座 資本会計

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各資産のリスク 相関の検証 分析に使用した期間 現行のポートフォリオ策定時 :1973 年 ~2003 年 (31 年間 ) 今回 :1973 年 ~2006 年 (34 年間 ) 使用データ 短期資産 : コールレート ( 有担保翌日 ) 年次リターン 国内債券 : NOMURA-BPI 総合指数

ガイドライン

2015(平成27)年度決算 確定拠出年金実態調査結果(概要).pdf

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東証上場会社における独立社外取締役の選任状況及び委員会の設置状況 2017 年 7 月 26 日株式会社東京証券取引所

Ⅰ. 株主総会における議決権行使結果 (2015 年度 ) 当社は投資先企業の持続的成長をサポートし 中長期的な投資リターンの拡大を図ることを目的として 議決権行使基準を定めており 当該基準に則り 議決権行使を実施しています 2015 年度に株主総会が開催された国内上場企業のうち 当社の議決権行使の


XBRL導入範囲の拡大

(資料4)運用機関とのコミュニケーションの取り方や情報開示の方法等(案).pdf

2 政策保有株式に係る議決権行使の基準政策保有株式の議決権行使に当たっては 投資先企業の中長期的な企業価値向上が株主利益への向上にも繋がるものであることを前提とし 株主への還元方針 コーポレートガバナンスや企業の社会的責任への取組み等総合的観点から議決権を行使する (4) 買収防衛策は 経営陣 取締

企業アンケート ( 東証一部 二部の 941 社が回答 ) の結果等のポイント 指名委員会を設置済み 又は設置を検討中 検討予定の企業 : 55% 報酬委員会 : 5 3 ページ参照 社長 CEOの選定 解職の決定に関して監督を行なうことについて 社外取締役が役割を果たしている と回答 した企業 委

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はじめに 当社の 議決権行使精査要領 は 中長期的な企業価値向上や 株主への利益還元姿勢 コーポレートガバナンス等の観点から 客観基準に基づくスクリーニングにより 論点のある議案を効率的かつ包括的に抽出することを目的に 1998 年度に策定したものです 策定以降 日本企業の置かれた状況や法令等の改正

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1 制定の目的 方針 当社におけるコーポレートガバナンスを向上させるための枠組みである パーク 24 コーポレートガバナンスガイドライン を制定し コーポレートガバナンスの強化 充実に努めることで 当社の中長期的な価値向上と持続的成長を実現する コーポレートガバナンスに対する基本的な考え方公正で透明

平成27年5月20日

剰余金の配当に関するお知らせ

TNPSC Asia Strategic Partners 第2号投資事業有限責任組合のご案内

Institutional Shareholder Services Sumitomo Fudosan Kanda Building 16F 7 Kanda Mitoshirocho Chiyoda-ku, Tokyo T: 各位 2017 年 10

開示府令改正案(役員報酬の開示拡充へ)

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22 特定項目に係る十五パーセント基準超過額 うち その他金融機関等に係る対象資本調達手段のうち普通株式に該当するものに関連するものの額 うち 無形固定資産 ( モーゲージ サービシング ライツに係るものに限る ) に関連するものの額 うち 繰延税金資産 ( 一時差異に係るものに限

Stewardship2017

2016(平成28)年度決算 確定拠出年金実態調査結果(概要).pdf

第 2 四半期運用実績 ( 概要 ) 運用利回り +0.09% 実現収益率 ( ) ( 第 2 四半期 ) 運用収益額 億円 実現収益額 ( ) ( 第 2 四半期 ) 運用資産残高 ( 第 2 四半期末 ) 357 億円 年金積立金は長期的な運用を行うものであり その運用状況も長期的に

8. 内部監査部門を設置し 当社グループのコンプライアンスの状況 業務の適正性に関する内部監査を実施する 内部監査部門はその結果を 適宜 監査等委員会及び代表取締役社長に報告するものとする 9. 当社グループの財務報告の適正性の確保に向けた内部統制体制を整備 構築する 10. 取締役及び執行役員は

コーポレートガバナンス CORPORATE GOVERNANCE 当社のコーポレート ガバナンスの状況は以下のとおりです Nagase Brothers Inc. 最終更新日 :2018 年 7 月 5 日 株式会社ナガセ 代表取締役社長永瀬昭幸問合せ先 : 問合せ先 : 総務本部 0422(45)

2. 本制度の仕組み 株式市場 残余財産の給付残余株式の無償譲渡 消却94 当社株式 4 代金の支払 1 本株主総会決議 54配代当金の支6 委託者 議決権不行使の指図8当社 受託者( 共同受託 ) ( 予定 ) 三菱 UFJ 信託銀行 日本マスタートラスト信託銀行 BIP 信託 当社株式 金銭 4

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経営者の報酬はどうあるべきか 平成 25 年 6 月 4 日金融庁企業財務研究会早稲田大学商学学術院久保克行 2013/6/7 1

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2019 年 6 月 26 日 各 位 会社名 代表者名 問合せ先 株式会社スターフライヤー代表取締役社長執行役員松石禎己 ( コード番号 :9206 東証第二部 ) 取締役常務執行役員柴田隆 (TEL ) コーポレートガバナンス方針 の改定について 当社は 2019 年 6

IR 活動の実施状況 IR 活動を実施している企業は 96.6% 全回答企業 1,029 社のうち IR 活動を 実施している と回答した企業は 994 社 ( 全体の 96.6%) であり 4 年連続で実施比率は 95% を超えた IR 活動の体制 IR 専任者がいる企業は約 76% 専任者数は平

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評議員選任 解任委員会について点検項目 説明 参考 1 評議員選任 解任委員会の設置について すべての法人 ( 現在, 評議員会を設置している法 定款例第 6 条 評議員選任 解任委員会 を設置する旨の定款変更を行っていますか ( 又は定款変更の準備をしていますか ) いる いない 人も含む ) に

< 本制度の仕組みの概要 > 5 ポイント付与 委託者 当社 3 自己株式の処分 1 役員株式交付規程の 制定 2 信託 < 他益信託 > を設定 ( 金銭を信託 ) 3 払込 受託者 ( 予定 ) 三井住友信託銀行 ( 再信託受託者 : 日本トラスティ サービス信託銀行 当社株式 株式交付信託 信

平成13年11月8日

目 次 1. 平成 27 年度 ( 平成 27 年 4 月 ~ 平成 28 年 3 月 ) における運用環境について 2. 平成 27 年度 ( 平成 27 年 4 月 ~ 平成 28 年 3 月 ) のポートフォリオ別の運用状況 3. ベンチマーク インデックスの推移 ( 参考 ) 被保険者ポート

第 分科会 / 分科会 B 改正会社法等への対応状況と今後の課題 ディスカッションポイント ( 例 ) 参考資料 関西支部監査役スタッフ研究会報告書 改正会社法及びコーポレートガバナンス コードへの対応状況と監査役 監査役スタッフの役割と今後の課題. 監査役会の運営 改正会社法等により監査役会の開催

ハッピーエイジング 30 損保ジャパン日本興亜アセットマネジメント バランス資産配分固定型信託報酬 ( 年率 税込 ) % 国内外の株式 ( 新興国含む ) 債券に分散投資 / 外貨建資産の為替ヘッジ 国内外の株式比率は 70% を基本とします 合成ベンチマークを上回る運用成果を目指しま

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(2) 取締役の選任通常の手続きにより選任される取締役候補者に対しては 原則として賛成する 但し 取締役候補者が 過去又は現在において反社会的行為等の不祥事に関して責任があると認められ 株主価値を最大化する経営を行うには相応しくないと判断される場合は 反対する また 不適切な経営判断により株主価値を

平成 28 年 3 月 22 日 各 位 東京都千代田区麹町三丁目 2 番 4 号会社名株式会社スリー ディー マトリックス代表者名代表取締役社長岡田淳 ( コード番号 :7777) 問合せ先取締役新井友行電話番号 03 (3511)3440 ストック オプション ( 新株予約権 ) の取得及び消却

株主各位 平成 29 年 8 月 2 日東京都港区虎ノ門三丁目 1 番 1 号 ITbook 株式会社代表取締役会長兼 CEO 恩田饒 ストック オプション ( 新株予約権 ) の発行に関する取締役会決議公告 当社は 平成 29 年 7 月 19 日開催の取締役会において 当社取締役 執行役員および

(2) 変更の内容 定款変更の内容は別紙のとおりであります (3) 日程 定款変更のための株主総会開催日平成 28 年 6 月 17 日 ( 金曜日 ) 定款変更の効力発生日平成 28 年 6 月 17 日 ( 金曜日 ) 以上 - 2 -

コーポレートガバナンス基本方針

第 1 四半期運用実績 ( 概要 ) 運用利回り +1.54% 収益率 ( ) ( 第 1 四半期 ) (+1.02% 実現収益率 ( )) 運用収益額 +3,222 億円 総合収益額 ( ) ( 第 1 四半期 ) (+1,862 億円 実現収益額 ( )) 運用資産残高 ( 第 1 四半期末 )

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国家公務員共済組合連合会 厚生年金保険給付積立金の令和元年度第 1 四半期運用状況 第 1 四半期末の運用資産額は 6 兆 7,376 億円となりました 第 1 四半期の収益額は 実現収益額が 512 億円 総合収益額が 128 億円となりました 第 1 四半期の収益率は 実現収益率 ( 期間率 )

平成 29 年度 厚生年金保険法第七十九条の八第二項に基づく国家公務員共済組合連合会にかかる管理積立金の管理及び運用の状況についての評価の結果 概要 平成 30 年 12 月 財務省主計局給与共済課

新株予約権発行に関する取締役会決議公告

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(6) 経営会議規程 (7) 取締役会議長 CEO COO および CFO 職務分掌規程 ( その他取締役または執行役の職務または権限を定める規程 ) (8) 取締役 執行役等の定年 任期 処遇等の基準 準則等について当会社としての内規を定める場合は 当該内規 (9) 取締役 執行役等のトレーニング


H25見える化 Ⅰ

直前事業年度における ( 連結 ) 売上高 100 億円未満 直前事業年度末における連結子会社数 10 社未満 4. 支配株主との取引等を行う際における少数株主の保護の方策に関する指針 5. その他コーポレート ガバナンスに重要な影響を与えうる特別な事情

その他 Tier1 資本に係る基礎項目 31a その他 Tier1 資本調達手段に係る株主資本の及びその内訳 30 31b その他 Tier1 資本調達手段に係る新株予約権の 32 その他 Tier1 資本調達手段に係る負債の 特別目的会社等の発行するその他 Tier1 資本調達手段の

2017 年度第 1 四半期業績の概要 年 8 月 9 日 日本生命保険相互会社

第 Ⅰ 章総則 ( 目的 ) 第 1 条本ガイドラインは 群栄化学工業株式会社 ( 以下 当社 という ) が 次に定める 社是 理念 実現のため ステークホルダーと協働して企業価値を向上させ 持続的に発展できるよう より良い経営を実現することを目的とする 2. 当社は GCIグループ基本理念 を制

マツダ株式会社

Microsoft Word - ~ doc

( 別紙 1) BIP 信託の概要 株式市場 残余財産の給付4 本件株式 4 代金の支払い 1 株主総会決議 委託者 5配当 受託者( 共同受託 ) ( 予定 ) 三菱 UFJ 信託銀行 日本マスタートラスト信託銀行 本 BIP 信託株式 金銭 6 議決権不行使の指図93信託設定7 株式交付 8 残

また 代表取締役社長直属の内部監査部門を設置し 法令遵守 内部統制の有効性と効率性 財務内容の適正開示 リスクマネジメントの検証等について 各部門 工場 グループ会社などの監査を定期的に実施し チェック 指導するとともに 監査役との情報共有等の連携を図っております 1-4( 中長期的な経営戦略等 )

まず 取締役会は委員会及び執行役の人事を決定する すなわち 各委員会の委員は取締役の中から取締役会の決議で選定する (400Ⅱ) 各委員会の委員の人数は3 人以上でなければならず (400Ⅰ) 過半数は社外取締役でなければならない 3 (400Ⅲ) 委員会の委員は他の委員及び執行役を兼ねることはでき

プルータスセミナー 新株予約権の税務について 株式会社プルータス コンサルティング 平成 18 年 12 月 7 日

Nikon Information(募集新株予約権(株式報酬型ストックオプション)の割当てに関するお知らせ)

2 主総会第号 議案 取締役 6 名選任の件 当社では 取締役の経営責任を重視し 株主のみなさまに各年毎に取締役の信任をお諮りするため 定款により取締役の任期を1 年と定めています また 取締役会の少人数化のため 定款により取締役の人数を12 名以内と定めています つきましては 取締役 7 名が本総

ニュースリリース 野村ホールディングス 会社分割(簡易吸収分割)による当社子会社への株式管理事業(一部)の承継に関するお知らせ (PDF)

コーポレートガバナンス ガイドライン 2015 年 10 月 27 日制定 2018 年 12 月 13 日改定 大王製紙株式会社 1

平成 29 年 6 月末 負債の時価評価により生じた時価評価差額であって自己資本に算入される額 退職給付に係る資産の額 6,274 4,182 5,815 3,877 自己保有普通株式等 ( 純資産の部に計上されるものを除く ) の額 意図的に保有している他の金融機関等の対象資本調達


平成30年公認会計士試験

< 目的 > 専ら被保険者の利益 にはそぐわない目的で運用が行われるとの懸念を払拭し 運用に対する国民の信頼を高める 運用の多様化 高度化が進む中で 適切にリスクを管理しつつ 機動的な対応を可能に GPIF ガバナンス強化のイメージ ( 案 ) < 方向性 > 1 独任制から合議制への転換基本ポート

CC2: 連結貸借対照表の科目と自己資本の構成に関する開示項目の対応関係 株式会社三井住友フィナンシャルグループ ( 連結 ) 項目 資産の部 イロハ 公表連結貸借対照表 (2019 年 3 月末 ) 現金預け金 57,411,276 コールローン及び買入手形 2,465,744 買現先勘定 6,4

Japan Proxy Voting Guidelines 2016 年版日本向け議決権行使助言基準 2016 年 2 月 1 日施行 ISS Institutional Shareholder Services

大和コーポレートガバナンス ガイドライン正式

「日本のコーポレートガバナンスの現実」

Transcription:

企業年金連合会 参考資料 6 年金運用から見た 会社法の課題 法制審議会 報告資料 2010 年 5 月 26 日企業年金連合会運用執行理事濱口大輔

目 次 1. 年金資産の運用と日本株のパフォーマンス 2. 年金運用から見た日本企業の問題点 3. 企業年金連合会のコーポレート ガバナンス原則 4. 機関投資家からみた企業法制に関する課題 1

1. 年金資産の運用と日本株のパフォーマンス 1 企業年金資産構成割合の推移 国内株式の比率は 20~30% 100% 90% 80% 70% 60% 50% 40% 30% 14.1 8.5 12.0 22.1 16.5 10.8 7.5 11.7 20.9 18.3 10.7 8.2 12.5 21.8 18.8 12.2 10.1 13.1 24.9 16.2 13.5 12.6 13.3 27.0 13.3 その他一般勘定外国債券国内債券外国株式国内株式 20% 10% 26.8 30.8 28.0 23.5 20.3 0% 2004 年度 2005 年度 2006 年度 2007 年度 2008 年度 ( 出所 ) 企業年金連合会 資産運用実態調査 各年より作成 厚生年金基金と確定給付企業年金の合計 2

1. 年金資産の運用と日本株のパフォーマンス 2 企業年金運用利回りの推移 50 年度運用利回り 40 累積運用利回り 長期的に期待利回りを下回る 39.20 45.47 30 20 10 0-10 -20 5.7 3.7 3.65 27.07 13.1 14.62 12.35 9.51 9.80 2.6-4.2-9.8 16.2 11.64 4.6 30.05 19.2 16.78 4.5-3.92-10.6-12.5 20.69 12.9 6.90-17.8 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 ( 推定 ) ( 出所 ) 企業年金連合会 資産運用実態調査 各年より作成 厚生年金基金と確定給付企業年金の合計 累積運用利回りは 資産配分規制が撤廃された1996 年度以降の各年の利回りから試算した累積利回り 3

1. 年金資産の運用と日本株のパフォーマンス 3 過去の市場収益率 低い日本株のパフォーマンスが企業年金運用利回り悪化の主要な原因 2009 年度 直近 5 年平均 直近 10 年平均 直近 20 年平均 直近 30 年平均 国内債券 2.04% 1.49% 1.76% 4.21% 5.42% 国内株式 28.47% 2.22% 4.20% 3.02% 3.69% ( 過去 30 年で 3.0 倍 ) 外国債券 0.18% 2.11% 6.95% 4.99% 5.01% 外国株式 46.75% 0.95% 0.04% 5.79% 7.91% ( 過去 30 年で 9.8 倍 ) 外国株式 ( ドルベース ) 55.12% 3.71% 0.89% 8.60% 11.51% ( 過去 30 年で 26.3 倍 ) ( 注 ) 国内債券 :NOMURA-BPI, 国内株式 :TOPIX 配当込, 外国債券 : シティグループ世界国債インデックス ( 除く日本 円換算 ), 外国株式 :MSCI KOKUSAI ( 配当再投資 グロス 円換算 ) 外国株式 ( ドルベース ): MSCI KOKUSAI ( 配当再投資 グロス ) 外国債券の 1985 年度以前の数値は推計値 直近 5 年 10 年 20 年 30 年は幾何平均 4

1. 年金資産の運用と日本株のパフォーマンス 4 株価低迷の要因は企業の低い収益性 ROE(%) 25 20 日米英の ROE の推移 日本米国イギリス 15 10 5 0-5 1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 ( 予 ) ( 注 ) 対象は日本が NOMURA400( 除く金融 ) 海外が FTSE( 除く金融 ) ( 出所 ) 野村證券金融経済研究所 2008 2009 年は一部 PFA 推計 5

2. 年金運用から見た日本企業の問題点 1 (1) (1) 株主価値 が重視されてこなかったこと 株主資本コスト に対する理解の乏しさ 低い 資本効率 低い 資本効率 ( ( 低 ROE) ROE) 企業買収 に対する過度の抵抗 株主価値 を無視した第三者割当増資 MSCB MSCB 等の資本調達等の資本調達 会社を取り巻く利害関係者の中で 唯一株主だけが軽視され損害を蒙ってきたのではないか (2) (2) 株主による監視が有効に機能してこなかったこと 社内の論理で選任される取締役 業績と無関係な社長交代 業績に連動しない役員報酬制 社外取締役の機能に期待 日本に特有な株式持合いの弊害 機関投資家を含む一般株主の弱い発言力 6

2. 年金運用から見た日本企業の問題点 2 参考 企業の業績と社長交代久保克行早稲田大学商学学術院准教授 業績が悪い会社でも社長交代の比率は変わらない ( 注 ) 対象は日経 225 に含まれている企業から金融 電気 ガス企業を除いた企業であり 1992 年から 2006 年の社長交代を示している 利益は経常利益 ( 出所 ) 久保克行 コーポレート ガバナンス経営者の交代と報酬はどうあるべきか ( 日本経済新聞社, 2010 年 ) P.95 より作成 7

2. 年金運用から見た日本企業の問題点 3 上場会社の社外取締役採用状況 東証 1 部上場企業 1,674 社 委員会設置会社 46 社 (2.7%) 監査役設置会社 1,628 社 (100%) うち社外取締役採用 732 社 (45.0%) 親会社 関係会社 大株主出身者を含む 194 社 社外取締役 1 名のみ 368 社 (22.6%) 2 名以上 364 社 (22.4%) 同上 同上 94 社 100 社 時価総額上位 30 社 (2009 年 6 月末 ) では 22 社 (73%) が社外取締役を採用 そのうち 20 社 (67%) が 2 人以上の社外取締役を採用 ( 出所 ) 東証コーポレートガバナンス情報サービスによる検索 (2010 年 5 月 21 日現在 ) 8

2. 年金運用から見た日本企業の問題点 4 日米の株式保有者割合 < 日本 > 2008 年 3 月末 2009 年 3 月末 銀行 信託銀行 22.2 % 23.9 % うち投資信託 4.9 % 5.1 % 年金信託 3.5 % 3.6 % 生保 損保 他金融機関 8.7 % 8.5 % 証券会社 1.6 % 1.0 % 事業法人等 21.3 % 22.4 % 外国人 27.6 % 23.6% 個人 その他 18.6 % 20.1% < 米国 >2008 年末 家計 38.8% 年金 21.0% 投資信託 20.1% 生命保険 6.6% 海外 12.8% その他 0.7% 出所全国証券取引所 株式分布状況調査 出所 FRB 9

3. 企業年金連合会のコーポレート ガバナンス原則 1 企業年金連合会コーポレート ガバナンス原則 (2010 年 2 月 15 日改定 ) 2003 年 2 月 厚生年金基金連合会株主議決権行使基準 を策定 2006 年 4 月 企業年金連合会株主議決権行使基準 を策定 2007 年 2 月 企業年金連合会コーポレート ガバナンス原則 を策定 2010 年 2 月改定 Ⅰ. 基本的な考え方 1. 企業年金連合会の使命 2. 株式投資の意義 3. コーポレート ガバナンスの基本 4. 議決権行使 Ⅱ. コーポレート ガバナンス原則 1. 企業の目的 2. 取締役会 3. 監査役会 ( 監査委員会 ) 4. 会計監査人 5. 事業計画等 6. 情報開示 説明責任 7. 役員報酬 8. 経営戦略の変更 9. 社会的責任 10. 連合会の株主責任 Ⅲ. 株主議決権行使基準 1. 会社の機関に関する議案 (1) 取締役会の構成 (2) 監査役会の構成 (3) 取締役の選任 (4) 監査役の選任 社外取締役および社外監査役の 独立性 の判断基準 2. 役員報酬等に関する議案 (1) 役員報酬 (2) 役員退職慰労金支給 (3) ストックオプション ( 新株予約権 ) の付与 3. 資本政策等に関する議案 (1) 自己株式取得 ( 取得枠の設定 ) (2) 剰余金の処分等 (3) 合併契約書の承認 (4) 事業譲渡 譲受等 (5) 会社分割計画書承認 会社分割契約書承認 (6) 第三者割り当て増資 4. その他の議案 (1) 取締役 監査役 会計監査人の責任減免 (2) 会計監査人の選任 5. 定款の変更 (1) 授権株式数の拡大 (2) 取締役の任期 (3) 剰余金の配当等の決定機関 (4) 特別決議 ( 定款変更決議等 ) に関する定足数の緩和措置 6 株主提案 10

3. 企業年金連合会のコーポレート ガバナンス原則 2 コーポレート ガバナンス原則 ( 抜粋 ) 企業の目的企業の目的は 長期間にわたり株主価値の最大化を図ることにある なお 株主価値の最大化は 従業員 取引先 地域社会などのステークホルダーの利益と矛盾するものではなく これらのステークホルダーとの良好な協力関係の確立によって達成できるものである 取締役会 企業の目的を達成するためには 企業経営における執行と監督の機能を分離することが必要であり 取締役会は株主の立場から最高経営執行者 ( 以下 CEO という ) の経営執行を監督する機能を適切に果たさなければならない 取締役の少なくとも 3 分の 1 は 社外取締役とする 社外取締役は 当該企業と利害関係を一切有しない 独立性 を要する CEO が取締役会の議長を兼ねることは望ましくない 委員会設置会社 への移行は 積極的に評価する 監査役会 ( 監査委員会 ) 監査役 ( 監査委員 ) は 当該企業からの 独立性 を要する 11

3. 企業年金連合会のコーポレート ガバナンス原則 3 コーポレート ガバナンス原則 ( 抜粋 ) 会計監査人 会計監査人は 当該企業からの 独立性 を要する 会計監査人の選任および報酬の決定に際しては 監査役会 ( 監査委員会 ) の意見が十分尊重されるべきである 情報開示 説明責任 CEO は 株主等に対して事業計画や経営活動等について正確で適切な情報を迅速に提供し 説明責任を果たさなければならない 役員報酬 株主等に対し役員報酬の基本的な考え方が示されるべきであり 報酬体系の中には業績や長期的な株主価値と連動する要素が組み込まれるべきである 12

3. 企業年金連合会のコーポレート ガバナンス原則 4 議決権行使基準 連合会は 前述のコーポレート ガバナンス原則を踏まえ 次の基準に従い株主議決権を行使する なお 提案された議案がこの基準に適合しない場合でも 企業から納得のいく説明あるいは取り組みが得られれば 議案に賛成する 取締役の選任 委員会設置会社への移行は肯定的に判断する 取締役会は適正な規模 (20 名以内 ) であることを要する 当面 少なくとも社外取締役が 1 名含まれていることを要する 3 期連続して ROE が 8% を下回る企業の場合 事業計画や資本政策について納得のいく説明が得られなければ 再任候補者に肯定的な判断はできない 不祥事が発生し 経営上重大な影響が出ている場合 再任候補者に肯定的な判断はできない 取締役会の判断で買収防衛策を導入した企業 取締役会の判断で大量の公募増資や第三者割当て増資をした企業は その必要性や株主価値を向上させることについて納得のいく説明が得られない限り 取締役再任議案に肯定的な判断はできない その他株主価値を毀損するような行為が認められた場合 取締役再任議案に肯定的な判断はできない ( 企業年金連合会株主議決権行使基準から抜粋 ) 13

3. 企業年金連合会のコーポレート ガバナンス原則 5 議決権行使基準 監査役の選任 不祥事が発生し 経営上重大な影響が出ている場合 再任候補者に肯定的な判断はできない 監査役の増員は肯定的に判断する 減員はその理由が明確に示されない場合肯定的な判断はできない 社外監査役候補者は 原則として独立した立場の者であることを要する ただし 監査役会全体として独立性が確保されていると認められる場合は この限りではない 役員報酬 役員退職慰労金 ストックオプション 3 期連続赤字かつ無配 または 5 期通算の最終損益がマイナスの場合 役員報酬は減額または無報酬とすることが妥当である また この場合退任取締役への退職慰労金支給は肯定的な判断はできない 不祥事に関与し 退任した役員に対する退職慰労金支給は肯定的な判断はできない 社外取締役 社外監査役への退職慰労金支給は 肯定的な判断はできない ストックオプションについては原則として肯定的に判断するが 株主価値の大幅な希薄化を招く場合 業績向上との関連性が乏しい者 ( 監査役 外部者等 ) に対する付与 行使価格の引き下げについては 肯定的な判断はできない 剰余金の処分等 株主に対しては 将来の事業計画 従業員処遇 役員報酬などとバランスのとれた利益配分がなされるべきである 既に厚い自己資本を有していながら 納得のいく説明もなく内部留保を積み増している場合 肯定的な判断はできない ( 企業年金連合会株主議決権行使基準から抜粋 ) 14

3. 企業年金連合会のコーポレート ガバナンス原則 6 議決権行使基準 社外役員の独立性に関する判断基準 次のような関係がある場合には 独立性 があるとはしない 1 当該企業の大株主又は主要取引先企業の役員又は業務執行者として勤務経験を有する者 ただし 退任後 5 年を経過している場合には個別に判断する ( 注 1) 大株主とは 総議決権の 10% 以上の株式を保有する者をいう ( 注 2) 主要取引先とは 当該企業に影響を及ぼしうる あるいは当該企業から影響を受けうる程度の重要な取引先であり 例えばメインバンク 下請企業 株主上位 10 社に含まれる金融機関や事業会社等が該当するものとみなす 2 当該企業との間で役員を相互に派遣している企業の役員または業務執行者 3 当該企業から役員報酬以外に報酬を受けている者 ( 報酬を受けている者が法人 組合等の団体である場合は その団体に所属する者をいう ) ( 注 ) 報酬とは 例えば顧問弁護士料 コンサルタント料等が該当する 4 当該企業の役員または業務執行者と親族関係にある者 ( 注 ) 親族関係とは 3 親等以内の親族をいう 5 その他 当該企業との間に利害関係を有しているなど 独立性に疑いがあると認められる者 15

4. 機関投資家からみた企業法制に関する課題 1 (1) 基本的な問題認識 1 日本企業の低い 効率性 一般にガバナンスの役割は 経営の 健全性 と 効率性 の確保にあるとされるが 日本企業の場合 とりわけ 効率性 ( 企業価値向上のために 経営者の経営判断を監視あるいは助言する機能 ) の面に大きな課題がある 会社法 は 企業のガバナンスを規定する基本法であるが この問題に十分応えられているか 2 一般株主 ( 少数株主 ) 保護の視点の脆弱性 近時の商法改正は 事前規制の緩和によって 経営のスピード化 効率化を高めようとしたものと理解されている たしかに 経営の効率性を高めるために 経営の自由度を高めることは有効であろう しかしそのことによって 経営者に対する監督機能が弱まり 株主 ( 特に一般株主 ) の権利 利益が軽視されてよいということではない 企業法制において 一般株主 ( 少数株主 ) の利益保護 という視点をより明確にすることが必要ではないか 3 グローバルな投資家の納得性 資本市場のグローバル化が進む中では 国際的なコンバージェンス 国際的投資家の納得性という視点も求められているところである また 日本企業の国際競争力の向上という観点からも 国際的投資家からの 日本企業への信頼を得られるような法制度であることが必要ではないか 16

4. 機関投資家からみた企業法制に関する課題 2 (2) 検討すべき法的課題 1 株主 の法的位置づけの明確化現行の会社法では 株主 の法的位置づけが必ずしも明確ではない 株主 の法的位置づけを明確にした上で 経営者が 株主 に対し負うべき責任等をもう少し明確にすべきではないか 2 上場会社における 一般株主 ( 少数株主 ) 保護 の強化会社法は 株主平等の原則 を謳っている ( 会社 109 条 ) が 株主平等の原則の機械的運用が 一般株主の権利を事実上制限する虞もないとはいえない 上場会社については 一般株主に対する法的保護を強化する必要があるのではないか 3 独立社外取締役 の設置独立社外取締役の義務化や 独立性要件の強化によって 海外投資家からの 日本企業のガバナンスへの信頼が向上するものと思われる 一般株主に代わって経営陣を監督する 独立社外取締役 の設置の義務化 あるいは 設置を誘導する法規定の創設を検討すべきではないか 4 委員会設置会社の法的メリットの明確化委員会設置会社が選択されない法的な障壁を検証し 改善できる点を改善する必要性があるのではないか 5 株主による監視機能の強化わが国において株主による監視機能が働きにくいことの背景には 株式持合い等による議決権の空洞化と 企業買収市場の機能不全があるものと考えられる これらの問題について ソフトローを含めた企業法制全体で対応を検討すべきではないか 17