- 目次 - 1. はじめに 協議会の構成員 地域の概要と主な課題 現状の取組状況等 減災のための目標 概ね5 年で実施する取組 フォローアップ... 24

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目次 1. はじめに 1 2. 協議会の構成 2 3. 目的 3 4. 概ね5 年間で実施する取組 4 5. フォローアップ 8

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25Ⅲ2経費(2)①歳出(ごみ)

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平成 29 年 12 月 1 日水管理 国土保全局 全国の中小河川の緊急点検の結果を踏まえ 中小河川緊急治水対策プロジェクト をとりまとめました ~ 全国の中小河川で透過型砂防堰堤の整備 河道の掘削 水位計の設置を進めます ~ 全国の中小河川の緊急点検により抽出した箇所において 林野庁とも連携し 中

1. はじめに 平成 27 年 9 月関東 東北豪雨災害により 鬼怒川の下流部では堤防が決壊するなど 氾濫流による家屋の倒壊 流失や広範囲かつ長時間の浸水が発生した また これらに避難の遅れも加わり 近年の水害では類を見ないほどの多数の孤立者が発生した このようなことから 国土交通大臣から社会資本整

水防法改正の概要 (H 公布 H 一部施行 ) 国土交通省 HP 1

避難開始基準の把握 1 水害時の避難開始基準 釧路川では 水位観測所を設けて リアルタイム水位を公表しています 水位観測所では 災害発生の危険度に応じた基準水位が設定されています ( 基準となる水位観測所 : 標茶水位観測所 ) レベル水位 水位の意味 5 4 ( 危険 ) 3 ( 警戒 ) 2 (

鬼怒川緊急対策プロジェクト 鬼怒川下流域 茨城県区間 において 水防災意識社会 の再構築を目指し 国 茨城県 常総市など 7市町が主体となり ハードとソフトが一体となった緊急対策プロジェクトを実施 ハード対策 事業費合計 約600億円 ソフト対策 円滑な避難の支援 住民の避難を促すためのソフト対策を

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Ⅰー8ー1(1)~(4) 福利厚生事業

浸水深 自宅の状況による避難基準 河川沿いの家屋平屋建て 2 階建て以上 浸水深 3m 以上 緊急避難場所, 近隣の安全な建物へ水平避難 浸水深 50 cm ~3m 緊急避難場所, 近隣の安全な建物へ水平避難上階に垂直避難 浸水深 50 cm未満 緊急避難場所, 近隣の安全な建物へ水平避難 自宅に待

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Ⅰ-3-(1) 勤務時間

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避難を促す緊急行動 被災した場合に大きな被害が想定される国管理河川において 以下を実施 1. 首長を支援する緊急行動 ~ 市町村長が避難の時期 区域を適切に判断するための支援 ~ できるだけ早期に実施 トップセミナー等の開催 水害対応チェックリストの作成 周知 洪水に対しリスクが高い区間の共同点検

平成 30 年度年法律第 57 号 ) 等により 要配慮者利用施設は 避難確保計画等の自然災害に関する計画 ( 以下 災害計画 という ) を作成することとなっており 災害計画の作成を促進するため 貴殿におかれても必要な支援に努められたい また 市町村が行う避難勧告等の発令に関する各種取組への積極的

Microsoft Word 最終【資料-4】.docx

Microsoft PowerPoint - ◯06_出水期における防災体制

Iー8ー(1)~(4) 福利厚生事業

(案)

別添 中防災第 1 1 号 平成 29 年 5 月 31 日 各指定行政機関の長各指定公共機関の代表殿 中央防災会議会長 ( 内閣総理大臣 ) 安倍晋三 梅雨期及び台風期における防災態勢の強化について 貴殿におかれては 日頃から各般の施策を通じて災害対策の推進に御尽力をいただいているところであるが

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平成30年度教育委員会における学校の業務改善のための取組状況調査結果(千葉県)

スライド 1

平成 29 年 7 月 20 日滝川タイムライン検討会気象台資料 気象庁札幌管区気象台 Sapporo Regional Headquarters Japan Meteorological Agency 大雨警報 ( 浸水害 ) 洪水警報の基準改正 表面雨量指数の活用による大雨警報 ( 浸水害 )

※※※H30 地価公示結果1

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Memo

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近畿地方整備局 資料配付 配布日時 平成 23 年 9 月 8 日 17 時 30 分 件名土砂災害防止法に基づく土砂災害緊急情報について 概 要 土砂災害防止法に基づく 土砂災害緊急情報をお知らせします 本日 夕方から雨が予想されており 今後の降雨の状況により 河道閉塞部分での越流が始まり 土石流

第 2 回久留米市街地周辺内水河川連絡会議 議事次第 1. 開会 2. 出席者紹介 3. 挨拶 4. 議事 前回連絡会議での確認事項〇各支川の浸水被害のメカニズム〇地域防災力の向上について〇その他 5. 閉会


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1. 災害の発生を未然に防止するため 防災事務に従事する者の安全確保にも留意した上で 職員の参集や災害対策本部の設置等適切な災害即応態勢の確保を図り 関係機関との緊密な連携の下に 特に以下の取組について万全を期すること 1 危険箇所等の巡視 点検の徹底河川等の氾濫 がけ崩れ 土石流等災害発生のおそれ

PowerPoint プレゼンテーション

重ねるハザードマップ 大雨が降ったときに危険な場所を知る 浸水のおそれがある場所 土砂災害の危険がある場所 通行止めになるおそれがある道路 が 1 つの地図上で 分かります 土石流による道路寸断のイメージ 事前通行規制区間のイメージ 道路冠水想定箇所のイメージ 浸水のイメージ 洪水時に浸水のおそれが

Microsoft Word 【洪水予報】報道発表資料_熊谷地台.doc

千葉県の気象概況

あおぞら彩時記 2017 第 5 号今号の話題 トリオ : 地方勤務の先輩記者からの質問です 気象庁は今年度 (H 29 年度 )7 月 4 日から これまで発表していた土砂災害警戒判定メッシュ情報に加え 浸水害や洪水害の危険度の高まりが一目で分かる 危険度分布 の提供を開始したというのは本当ですか

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ハザードマップポータルサイト広報用資料


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試行の概要 試行の目的石狩川滝川地区水害タイムライン ( 試行用完成版 ) を試行的に運用することにより 対応行動や実施手順を確認するとともに 運用結果を検証し 同タイムラインを精査することを目的とする 試行の概要 実施時期 : 平成 29 年出水期 (8 月 ~10 月ごろ ) 実施場所 : 各主

試行の概要 試行の目的石狩川滝川地区水害タイムライン ( 試行用完成版 ) を試行的に運用することにより 対応行動や実施手順を確認するとともに 運用結果を検証し 同タイムラインを精査することを目的とする 試行の概要 実施時期 : 平成 30 年出水期 (8 月 ~10 月ごろ ) 実施場所 : 各主

[2] 千葉県内不動産市場動向アンケートの結果 (H 時点 ) 営業地域の全般的傾向について教えてください 問 1 あなたの営業地域で未だに震災の影響が残っていますか?(1 ヶ所回答 ) 県全体 : 昨年は半数以上が 影響が残っている と回答していたが 今年は 影響が大きく残っている

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土砂災害防止法よくある質問と回答 土砂災害防止法 ( 正式名称 : 土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関 する法律 ) について よくいただく質問をまとめたものです Ⅰ. 土砂災害防止法について Q1. 土砂災害は年間どれくらい発生しているのですか? A. 全国では 年間約 1,00


資料 2 東海管内における農業水利施設の防災 減災の取組 ( 農村地域防災減災事業 海岸事業 ) 平成 27 年 2 月東海農政局整備部防災課

東日本大震災における施設の被災 3 東北地方太平洋沖地震の浸水範囲とハザードマップの比較 4

Microsoft Word - 02.H28秋 重点提言本文【合本】1110.doc

中央防災会議会長(内閣総理大臣)による「梅雨期及び台風期における防災態勢の強化について」の通知について

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第 2-16 表 化学機動中隊の現況 ( 平成 29 年 4 月 1 日現在 ) 方 面 配 置 消 防 署 中 隊 名 第一方面 赤 坂 赤 坂化学機動中隊 第二方面 大 井 大 井化学機動中隊 第五方面 本 郷 本 郷化学機動中隊 第六方面 千 住 千 住化学機動中隊 第七方面 城 東 大 島化

豪雨災害対策のための情報提供の推進について

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資料 1-1 水防災意識社会の実現に向けた取り組み 平成 3 0 年 6 月 9 日第 4 回木曽川下流水防災協議会

改訂事項 改訂. 種類改訂日ページ数改訂内容改訂前改訂後 80 入札参加資格審査申請 随時申請 ( 新規 ) マニュアル H P1 1 ちば電子調達システムの概要を修正 ちば電子調達システムは 千葉県 ( 知事部局 行政委員会 水道局 企業土地管理局 病院局を含む ) と県内参加市町等

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新川水系新川 中の川 琴似発寒川 琴似川洪水浸水想定区域図 ( 計画規模 ) (1) この図は 新川水系新川 中の川 琴似発寒川 琴似川の水位周知区間について 水防法に基づき 計画降雨により浸水が想定される区域 浸水した場合に想定される水深を表示した図面です (2) この洪水浸水想定区域図は 平成

地区概況 7-6 ( 旧 ) 平三小学校 大字 平蔵 米原 小草畑 概要市の南東部に位置し 長南町 大多喜町に接している 丘陵地と平蔵川沿いの低地からなり 丘陵地にはゴルフ場が複数立地し 低地では 民家や農地が分布する 地区を南北に国道 297 号が通り 国道 297 号沿いには小規模な造成宅地があ

「南九州から南西諸島における総合的防災研究の推進と地域防災体制の構築」報告書

第8章 災害復旧計画


第 1 回手取川 梯川大規模氾濫に関する減災対策協議会議事概要 1. 日時 : 平成 28 年 5 月 9 日 ( 月 ) 13:30~15:00 2. 会場 : 川北町文化センター 2 階大ホール 3. 出席者 構成員小松市長和田愼司 ( 代理 : 都市創造部次長前多智徳 ) 白山市長山田憲昭 (

避難勧告等の 判断 伝達マニュアル ( 土砂災害編 ) ひと 緑がかがやく田園と交流のまち 安全に安心して暮らせるまちの実現に向けて ( 概要版 ) 平成 26 年 9 月 1 日 北海道長沼町

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平成 30 年 6 月定例会危機管理 大規模災害対策特別委員会における発言 細田委員 1 国土交通省が開発を進めている危機管理型水位計について 開発の進捗状況はいかがか 低コスト化されていると聞いているが 現行のものと比べてどの程度コストが抑えられるのか また 今後の整備見込みについて伺いたい 2

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( 参考資料 ) 緊急速報メールを活用した 洪水情報のプッシュ型配信 国土交通省四国地方整備局松山河川国道事務所平成 29 年 3 月

資料 3-1 水防災意識社会再構築ビジョン に基づく 矢作川の減災に係る取組方針 フォローアップ資料 平成 29 年 5 月 25 日 矢作川水防災協議会 岡崎市 碧南市 刈谷市 豊田市 安城市 西尾市 知立市 高浜市 幸田町 愛知県防衛省陸上自衛隊豊川駐屯地 名古屋地方気象台 国土交通省豊橋河川事

第 4 回 日野川水系大規模氾濫時の減災対策協議会 配席表大型スクリーン 鳥取県危機管理政策課 鳥取県河川課 鳥取県米子県土整備局 南部町 随 南部町長 伯耆町長 伯耆町随 行 行 者米子市 米子市建設部長 日吉津村長 者 日吉津村 鳥取県河川課 鳥取県危機管理局長 鳥取地方気象台 事 事 務 務

避難勧告等の発令に着目したタイムラインの概要 取組概要 市町村長が避難勧告等を適切なタイミングで発令できるよう 全国の直轄河川を対象に避難勧告等の発令に着目したタイムラインを策定 平成 26 年の出水期までに 全国 109 水系の 148 市町村と連携し 洪水を対象とするタイムラインを策定 各地域で

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国土交通省における気候変動適応計画に関する最近の動向 IPCC 政府全体水災害分野 ( 国土交通省水管理 国土保全局 ) 第 1 作業部会報告書 ( 科学的根拠 ) 公表 中央環境審議会地球環境部会気候変動影響評価等小委員会 ~ 社会資本整備審議会河川分科会気候変動に適応し

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一太郎 10/9/8 文書

宮城県総合防災情報システム(MIDORI)

PowerPoint Presentation

資料 -2 平成 30 年度佐賀平野大規模浸水危機管理対策検討会 ( 第 1 回実務者連絡会 ) 施策取り組み事例紹介 平成 30 年 5 月 30 日

~ 二次的な被害を防止する ~ 第 6 節 1 図 御嶽山における降灰後の土石流に関するシミュレーション計算結果 平成 26 年 9 月の御嶽山噴火後 土砂災害防止法に基づく緊急調査が国土交通省により実施され 降灰後の土石流に関するシミュレーション結果が公表された これにより関係市町村は

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千葉県館山市有限会社 石井商店ガラス処理場千葉県館山市有限会社ガラスびん ( 緑色 ) 石井商店ガラス処理場千葉県館山市有限会社ガラスびん ( 黒色 ) 石井商店ガラス処理場千葉県館山市アンビ環境 PETボトル株式会社資源物ストックヤード 有限会社石井運輸 本社工場 230 3,050 本社工場 9

第6回千葉県内企業のメーンバンク実態調査

別紙 大雨時の川のはん濫の危険性を知らせる 身近な 雨の状況 川の水位と危険性 川の予警報 などを リアルタイムでお知らせするウェブサイトです 川の水位 川の画像 PC 版 スマホ版 浸水想定区域図 住民の方々が自らはん濫の危険性を知り 的確な避難行動などに役立つように 利用者目線に立った新しい 川

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平成 27 年 9 月 15 日現在 出水概要 _ 平成 27 年 9 月台風 17 号および 18 号 _ 国土交通省関東地方整備局利根川下流河川事務所 速報値のため 今後数値等が変わる場合があります

気象庁 札幌管区気象台 資料 -6 Sapporo Regional Headquarters Japan Meteorological Agency 平成 29 年度防災気象情報の改善 5 日先までの 警報級の可能性 について 危険度を色分けした時系列で分かりやすく提供 大雨警報 ( 浸水害 )

国土技術政策総合研究所 研究資料

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資料 2 千葉県の大規模氾濫に関する 地域の取組方針 ( 案 ) 平成 30 年 月 千葉県大規模氾濫に関する減災対策協議会

- 目次 - 1. はじめに... 1 2. 協議会の構成員... 2 3. 地域の概要と主な課題... 4 4. 現状の取組状況等... 11 5. 減災のための目標... 18 6. 概ね5 年で実施する取組... 19 7. フォローアップ... 24

1. はじめに 平成 27 年 9 月関東 東北豪雨では鬼怒川の堤防が決壊し 氾濫流による家屋の倒壊 流出や 広範囲かつ長期間の浸水が発生した また 平成 28 年 8 月には 相次いで発生した台風に伴う豪雨による中小河川からの氾濫や要配慮者利用施設において入所者が逃げ遅れて犠牲になるなど 痛ましい被害が全国で発生した 今後 気候変動の影響により このような施設能力を上回るような大規模洪水の発生頻度の増加が懸念されている これら中小河川等における被害の状況を踏まえ 社会資本整備審議会では 中小河川等における水防災意識社会の再構築のあり方について として 都道府県が管理する中小河川においてもただちに水防災意識社会再構築の取組を加速すべき と平成 29 年 1 月に答申を行っている これらを踏まえ千葉県では 国 県 市町村及び河川管理者等の関係機関が連携 協力して 減災のための目標を共有し ハード対策とソフト対策を一体的 計画的に推進することにより 千葉県の県管理河川流域において大規模氾濫が発生することを前提として社会全体で常に洪水に備える 水防災意識社会 を再構築することを目的に 平成 29 年 5 月に 千葉県大規模氾濫に関する減災対策協議会 ( 以下 協議会 という ) を設立した 本資料は 協議会を構成する各構成員がそれぞれ又は 連携して実施している現 状の減災に係る取組状況 ならびに今後取り組む事項についてとりまとめたもので ある 1

2. 協議会の構成員 協議会の参加機関及び構成員は 以下のとおりである [ 圏域共通 ] 気象庁銚子地方気象台長千葉県県土整備部災害 建設業担当部長千葉県防災危機管理部防災政策課長千葉県防災危機管理部危機管理課長千葉県県土整備部河川整備課長千葉県県土整備部河川環境課長 [ 利根川圏域 ] 千葉県東葛飾地域振興事務所長千葉県印旛地域振興事務所長千葉県香取地域振興事務所長千葉県海匝地域振興事務所長千葉県山武地域振興事務所長千葉県柏土木事務所長千葉県印旛土木事務所長千葉県成田土木事務所長千葉県香取土木事務所長千葉県銚子土木事務所長銚子市長成田市長佐倉市長柏市長我孫子市長四街道市長印西市長白井市長富里市長香取市長酒々井町長栄町長神崎町長多古町長東庄町長芝山町長印旛利根川水防事務組合管理者千葉県長沼水害予防組合管理者 オブザーバー国土交通省利根川上流河川事務所国土交通省利根川下流河川事務所国土交通省霞ヶ浦河川事務所水資源機構利根川下流総合管理所水資源機構千葉用水総合管理所 [ 江戸川圏域 ] 千葉県葛南地域振興事務所長千葉県東葛飾地域振興事務所長千葉県葛南土木事務所長千葉県東葛飾土木事務所長市川市長船橋市長松戸市長野田市長流山市長鎌ケ谷市長浦安市長 オブザーバー国土交通省利根川上流河川事務所国土交通省江戸川河川事務所 [ 東京湾圏域 ] 千葉県葛南地域振興事務所長千葉県君津地域振興事務所長千葉県千葉土木事務所長千葉県君津土木事務所長千葉県市原土木事務所長亀山 片倉ダム管理事務所長高滝ダム管理事務所長千葉市長木更津市長習志野市長市原市長八千代市長君津市長富津市長袖ヶ浦市長 オブザーバー関東地方整備局水資源機構千葉用水総合管理所 2

[ 九十九里圏域 ] 千葉県海匝地域振興事務所長千葉県山武地域振興事務所長千葉県長生地域振興事務所長千葉県海匝土木事務所長千葉県山武土木事務所長千葉県長生土木事務所長茂原市長東金市長旭市長匝瑳市長山武市長大網白里市長九十九里町長横芝光町長一宮町長睦沢町長長生村長白子町長長柄町長長南町長 [ 房総圏域 ] 千葉県夷隅地域振興事務所長千葉県安房地域振興事務所長千葉県夷隅土木事務所長千葉県安房土木事務所長館山市長勝浦市長鴨川市長南房総市長いすみ市長大多喜町長御宿町長鋸南町長 オブザーバー関東地方整備局 オブザーバー関東地方整備局水資源機構千葉用水総合管理所 3

3. 地域の概要と主な課題 3.1 千葉県の概要と圏域千葉県は 北部を利根川 西部を江戸川で接した 東京湾と太平洋に囲まれた房総半島に位置する 地勢は全般に標高が低く 南部の 200~400m 級の山々が連なる房総丘陵 平坦な下総台地 北部の利根川沿川や九十九里沿岸には低平な平野が広がる 千葉県の河川は 流下する地域に応じて大きく 5 分割することができる 利根川圏域 : 県の北部に位置し 下総台地に水源を有し 利根川に注ぐ河川流域 この地域の河川は利根川の内水河川となっており 出水時には利根川の水位上昇の影響を受けやすい地域となっている 江戸川圏域 : 県の北西部に位置し 下総台地から西流して江戸川に注ぐ河川流域 この地域の河川は江戸川の内水河川となっており 出水時には江戸川の水位上昇の影響を受けやすい地域となっている 東京湾圏域 : 県の西部に位置し 東京湾に流出する河川流域 この地域の河川は 東京湾岸の都市化の進行した地域を流下しており 下流部は潮位の影響を受けやすい地域となっている 九十九里圏域 : 県の東部に位置し 下総台地から東流して 九十九里平野を経て太平洋に流下する河川流域 この地域の河川は河口部では河口閉塞がみられる河川もある 房総圏域 : 県の南部に位置し 房総半島南部の河川は 房総丘陵を水源とし 急峻な地形を流下し 急激な水位上昇が起こりやすい河川流域となっている 千葉県大規模氾濫に関する減災対策においては これら千葉県の地域特性を考慮 し その特性に応じた取り組みを整理することとする 4

利根川 江戸川 東京湾 九十九里 房総 千葉県圏域図 3.2 地形的特徴 3.2.1 利根川圏域 利根川圏域 は 県の北部に位置し 利根川に流入する河川流域の銚子市 成田市 佐倉市 柏市 我孫子市 四街道市 印西市 白井市 富里市 香取市 酒々井町 栄町 神崎町 多古町 東庄町 芝山町の 10 市 6 町が関係している 当圏域の地形の特徴は以下のとおりである 流域の大部分は下総台地から成る 下総台地を水源とした河川は 北部の低地に流れ 利根川に注ぐ内水河川となっており 出水時には利根川の水位上昇が長期に及ぶため排水に苦しむ地域である 5

農地の面的整備が進んでおり 台地部では西から都市化が進行してきている 台地部の都市化の進行により流出増を招き 下流河川への負担を大きくしている 洪水時には利根川の水位の影響で水防活動が長時間にわたり また監視すべき軟弱地盤上の堤防や水門 排水施設等が多く 水防活動が重要な地域である 圏域の地形は 標高 20~90m の下総台地と標高 1~5m 程度の利根川沿いの沖積平野で形成されている 下総台地には谷津と呼ばれる浸食谷が樹枝状に食い込んでいる 地質は主に砂 シルト 粘土層であり 下総台地の表面には風化火山灰層であるローム層が堆積している 関東ローム層は透水性が高く 地下水の涵養に寄与している 沖積平野は軟弱な地質で堤防の沈下要因となっている 土地利用については 圏域東部では利根川沿川を通る JR 成田線沿線に市街地が広がっており 低地は水田 台地部は畑と山林となっている 圏域西部の下総台地では ニュータウンや大規模団地が開発され 市街化率が高くなっている また 河川沿いの低平地や谷津は主に水田として利用されている 3.2.2 江戸川圏域 江戸川圏域 は 県の北西部に位置し 江戸川左岸に流入する河川流域の市川市 船橋市 松戸市 野田市 流山市 鎌ケ谷市 浦安市の 7 市が関係している 当圏域の地形の特徴は以下のとおりである 流域の大部分は下総台地から成る 下総台地を水源とした河川は 西部の低地に流れ 江戸川に注ぐ内水河川となっており 出水時には江戸川の水位上昇が長期に及ぶため排水に苦しむ地域である 台地部では西から都市化が進行してきている 台地部の都市化の進行により流出増を招き 下流河川への負担を大きくしている 本圏域の地形は 最高標高 30mの下総台地と標高 5m 未満の江戸川沿いの沖積平野 および湾岸地域の埋立地の 3 種に分類される 下総台地は谷津と呼ばれる浸食谷が樹枝状に食い込み 泥層 ( シルト層 ) を挟む砂層を主体とする地層で構成され 上部数 mは透水性が高く地下水の涵養に寄与する火山灰層 ( 関東ローム層 ) に覆われている 沖積平野や埋立地は 未固結の軟弱な地質で シルトや泥炭層が最大 40m 以上堆積し 地盤沈下や液状化の要因のひとつとなっており 浦安 行徳地区の沖積平野や埋立地には ゼロメートル地帯も存在している 6

3.2.3 東京湾圏域 東京湾圏域 は 県の西部に位置し 東京湾に流入する河川流域の千葉市 習志野市 八千代市 君津市 木更津市 富津市 袖ケ浦市 市原市の8 市が関係している 当圏域の地形の特徴は以下のとおりである 東京湾の北部から東部に面しており 北部の河川は下総台地を水源として東京湾岸平野を流れ 東京湾に注いでおり 下流部は潮位の影響を受けやすい 南部の河川は 房総半島南部の清澄山系を水源として北西方向に流下し 東京湾に流下している この圏域の河川流域の東京湾に隣接する低地部は県内で都市化が進んでいる地域である 河口部は干潟を形成していたが 現在ではそのほとんどが埋立地になっている 3.2.4 九十九里圏域 九十九里圏域 は 県の東部に位置し 九十九里平野から太平洋に流下する河川流域の匝瑳市 旭市 東金市 大網白里市 山武市 茂原市 横芝光町 九十九里町 一宮町 白子町 睦沢町 長南町 長柄町 長生村の6 市 7 町 1 村が関係している 当圏域の地形の特徴は以下のとおりである 西部は下総台地 東部は太平洋に面した九十九里平野を形成している 河川は下総台地を水源とし 低平地である九十九里平野を緩やかに流れ 太平洋に注いでおり 河口部付近では河口閉塞がみられる 3.2.5 房総圏域 房総圏域 は 県の南部に位置し 主に太平洋に流下する河川流域のいすみ市 勝浦市 館山市 南房総市 鴨川市 御宿町 大多喜町 鋸南町の5 市 3 町が関係している 当圏域の地形の特徴は以下のとおりである 豊かな自然環境に恵まれた水源涵養地域で 県下で最大の多雨地帯となっている 上流部は谷が深く急峻で中流部にかけて蛇行が激しく一部河川では河口閉塞が発生している 上流部は砂防河川に指定されている区域が多い 急峻な地形が大部分を占め 平地が少なく 地すべり地帯を形成している 小河川が多く 丘陵域の上流は砂防河川として改修を行っている 急流河川のため局部的な河床変動が生じている 7

3.3 過去の被害状況千葉県が管理する河川では 戦前から一部河川で改修事業が行われていたが 高度経済成長期を迎える中 度重なる災害が発生 これを契機に短期間で集中的に被災箇所を復旧する改良復旧制度を利用して河道整備を中心とした治水対策が進んだ また 高度経済成長に伴う水需要への対応 かつ洪水被害の軽減に資するため 河川総合開発事業によるダム整備が進められた しかしながら近年においても依然として大きな被害をもたらす水害が発生している 平成 8 年 7 月 8 日から 7 月 11 日にかけての梅雨前線豪雨及び台風第 5 号は 県南東部を中心に多量の降雨をもたらし 九十九里平野を流れる河川を中心に浸水被害を発生させました 特に 南白亀川の支川赤目川の上流域の浸水により JR 外房線が不通となり また 一宮川では 第 1 調節池が機能したものの その下流で一部浸水被害が発生した 9 月 21 日から 22 日にかけての台風第 17 号は 県内全域に既往最大規模の多量かつ集中した降雨をもたらし 各地に多くの浸水被害を発生させた 特に 一宮川では 2 つの調節池が機能したものの 随所で溢水が発生し 2,000 棟以上もの家屋が浸水被害を受け 赤目川上流域も浸水し 再びJR 外房線が不通となった また 養老川においては 数箇所において溢水が発生し 下流部の市街地において 約 900 棟の家屋が浸水被害を受けた 一方 真間川流域では 総合治水対策事業の進展や国分川分水路の完成などにより その効果が十分に発揮されたため 最小限度の被害にとどめることもできている 平成 16 年においては 台風第 22 号の接近により刺激された秋雨前線により 10 月 8 日タ方から千葉県内で降雨が強まり 台風通過時も含めて 大原町 ( 現 いすみ市 ) の大原観測局で総雨量 422mm の大雨を記録した また 県内 87 の雨量観測局のうち 49 の観測局で 200mm 以上の降雨を記録する大雨となった 被害は 外房を中心に県内各地に大きな被害が発生した 御宿町では増水した川に転落し死者 1 名 市川市でも川に転落し行方不明 1 名 この他住家被害 がけくずれ等が多発した 14 市町村で 1,703 世帯に避難勧告が出され 50 市町村の 719 世帯が自主避難した 大雨により 県内の多くの河川が警戒水位を超え 8 河川で溢水し 道路冠水や住宅浸水被害が発生し 夷隅川が増水した勝浦市では老人ホームと民家 23 軒が孤立した 平成 25 年においては 10 月 15 日から 16 日にかけての台風第 26 号は 従来の 気象観測の極値を風速 降水量 気圧等で更新し 千葉県に影響を及ぼした従来の 8

台風に比べて 極めて勢力の大きな台風となった 短時間に多量の雨が広範囲に降 り 県下の 7 河川で氾濫注意水位を上回った 降水量に関するアメダスの極値更新状況 区分 地点名 更新状況 更新値 ( mm ) 従来値 ( mm ) 統計開始年 日降水量 船橋 統計開始以来 224.0 221.2 1999 年 成田 統計開始以来 215.5 190.0 1976 年 佐倉 10 月としての極値 226.5 209.0 1976 年 坂畑 10 月としての極値 208.5 201.0 1978 年 鋸南 10 月としての極値 219.5 185.0 1976 年 日最大 1 時間降水量 船橋 統計開始以来 58.5 42.0 1999 年 佐倉 10 月としての極値 49.5 42.0 1976 年 成田 10 月としての極値 49.0 39.0 1976 年 鋸南 10 月としての極値 46.0 42.0 1976 年 このため 千葉県内は 甚大な被害を受けた 多数の人的被害 ( 死者 1 人 負傷 21 人 ) の他 広範囲に及ぶ家屋被害 ( 全 半壊 18 棟 一部損壊 315 棟 床上浸水 1,588 棟 床下浸水 3,047 棟 ) がけ崩れ (34 箇所 ) 道路被害 (111 箇所 ) 河川施設 ( 護岸崩壊等 273 箇所 ) の損壊等を蒙り 各地で鉄道運休や道路の通行止めも発生し 県民の生活 経済活動に大きな支障を与えた 9

3.4 主な課題 千葉県が管理する河川では 改修事業が行われているものの 平成 25 年の台 風第 26 号による被害など 近年においても水害被害が発生している また 全国的には平成 27 年 9 月関東 東北豪雨により鬼怒川等で大規模な浸 水被害が発生した さらに平成 28 年 8 月以降に相次いで発生した台風による豪 雨災害では 中小河川においても甚大な被害が発生した こうした被害は 条件さえ重なればどこでも起きりうることから 本県独自の 課題や全国の中小河川における共通課題などを整理し 以下のとおり課題を抽出 した 緊急時における情報伝達の不確実性 水害リスク情報や避難勧告発令に必要 な情報が不十分であり 円滑かつ適切な避難誘導に課題がある 重要水防箇所などの情報が共有化されていなかったり 水防団員などの後継 者不足などで地域の水防体制に課題がある 大規模氾濫時に既存施設の機能不全等で氾濫の長期化や不測の事態におけ る支援体制等に課題がある 河川整備には長期間を要し 現在の流下能力不足の区間における水害リスク や河川管理施設の健全性を担保するための管理体制などに課題がある 以上を踏まえて 対応すべき課題を下記の 4 項目とした 円滑かつ迅速な避難のための課題 的確な水防活動のための課題 氾濫水の排水 浸水被害の軽減に関する課題 河川管理施設の整備に関する課題 10

4. 現状の取組状況等 千葉県における減災対策について 各構成員が現在実施している取組の現状とその課 題の抽出を行った 概要は以下のとおりである 4.1 円滑かつ迅速な避難のための取組 4.1.1 災害時の情報伝達 避難計画等に関する事項 A 災害時の住民への情報伝達に関する課題 現状課題 避難情報は 防災行政無線等により住民に伝達している 避難情報が全ての地域住民等に伝わっていない恐れがある 高気密住宅が増えていることに加え 風雨等の影響により広報車等の音声による情報の聞き取りが困難となることがある 高齢者等の避難行動要支援者や 情報入手ツールを持たない住民の避難が遅れる可能性がある 水位情報等の防災情報が地域住民等にとってわかりにくい可能性がある または住民等が行動しやすい避難勧告の伝達文の検討が必要となる 情報を正しく活用するには 住民の平時からの防災意識の向上を図る必要がある 河川水位等の情報を提供できる河川が限られている B 行政 水防機関間の防災情報の共有に関する課題 現状 課題 避難勧告の発令の目安となる氾濫危険情報を提供している 基準観測所の水位により水防警報を発表している 出水時には 水防本部等と水防管理団体等との連絡体制を設定している 迅速かつ正確な河川水位等に係る情報提供が課題である 避難勧告 指示等のタイミングや判断に苦慮している 大規模水害における避難勧告の発令や 広域避難の実態の判断基準に課題がある 避難勧告の発令に際し 降雨や水位予測が難しい状況の中で適切なタイミングでの発令基準に課題がある 非常時に災害拠点病院等に水害リスク情報が確実に伝達されるか懸念がある C 避難勧告等の発令に関する課題 現状 課題 避難勧告判断マニュアルや避難勧告等の発令に関する内容を地域防災計画等で決めている 避難勧告の発令にあたって 水位観測所の避難注意水位 氾濫警戒 ( 危険 ) 情報等の他 土砂災害警戒情報も目安として発令している 避難勧告 指示等のタイミングや判断に苦慮している 大規模水害における避難勧告の発令や 広域避難の実施の判断基準に課題がある 避難勧告の発令に際し 降雨や水位予測が難しい状況の中で 適切なタイミングでの発令基準に課題がある 水位計の無い区間など 情報提供の難しい区間がある 11

D 避難場所や避難経路の確保に関する課題 現状 課題 水位周知河川における計画規模の降雨による洪水浸水想定区域図を千葉県 HP 等で公表するとともに 関係市町村にそのデータを提供している 洪水浸水想定区域図に基づき計画規模の降雨に対する洪水ハザードマップ等を作成し 浸水範囲 避難所 避難場所を周知している 大規模水害の場合 避難場所や避難経路が浸水し 住民が適切に避難できない可能性がある 多くの避難者が集中した場合に 避難所に避難者を収容できないことが懸念される 浸水 土砂崩れ等の理由から近傍の避難所や避難場所が利用できないことや 多数の孤立者が発生することが懸念される 主要道路が途絶した場合の避難所等の備蓄は必ずしも十分でない 想定最大規模の浸水想定区域図が策定されていないことから 地域住民等が大規模水害時の浸水リスクを十分認識できていないおそれがある E 住民の避難行動に関する課題 現状 課題 住民自らが避難経路を事前確認するよう啓発している 出前講座やマイ防災マップ作成の取組を通じて 避難場所や避難路 状況に応じて垂直避難を選択するなど地域住民がとるべき避難行動について周知している 具体的な避難経路を設定していないため 確実な住民の避難に課題がある 氾濫形態によって 地域毎に避難方法が異なる 水害時における関係機関の効率的な誘導体制の確保が課題である 適切な避難のためには 住民の避難意識の向上を図る必要がある F 要配慮者の避難に関する課題 現状 課題 要配慮者の避難誘導は 自治体職員 警察官 水防団 自主防災組織等が連携して 実施している また 平常時から要配慮者名簿を作成し 自主防災組織等関係機関に提供しているとともに 要配慮者利用施設の避難確保計画策定を支援 指導している 水害時における関係機関の効率的な誘導体制の確保が課題である 急激な水位上昇に対する要配慮者の迅速な避難が懸念される 主要道路が途絶した場合の要配慮者等の迅速な避難体制が十分確保できない 12

4.1.2 平時からの住民等への周知 教育 訓練に関する事項 G 平時の水害リスク周知に関する課題 現状 課題 水位周知河川における計画規模の降雨による浸水想定区域図を千葉県 HP 等で公表するとともに 関係市町村にそのデータを提供している 洪水浸水想定区域図に基づき 計画規模の降雨に対する洪水ハザードマップ等を作成し 浸水範囲 避難所 避難場所を周知している 地域住民等が大規模浸水時の浸水リスクを十分認識できていないおそれがある 浸水想定区域等が十分に住民に認識されていないことが課題である H 防災意識の啓発に関する課題 現状 課題 大規模水害時の浸水リスクを住民に周知するため ハザードマップの取組 出前講座の開催等の防災意識向上の取組を行っている 避難勧告等判断基準マニュアル概要版の配布 自主防災組織等が開催する防災訓練等への訓練指導としての参加など防災意識向上の取組を行っている 現状の取組は 住民の自主的な情報取得に頼っており 地域全体の取組に繋がっていない可能性がある I 避難訓練に関する課題 現状 課題 総合防災訓練や地区単位での避難訓練を実施している 自主防災組織による避難訓練や要配慮者に対応した避難訓練を実施している 地域住民の避難行動に繋がる実践的な訓練となっているか懸念される 要配慮者に対応した避難訓練や 地域の実情を踏まえた訓練となっているか懸念される 13

4.1.3 円滑かつ迅速な避難に資する施設等の整備に関する事項 J 河川の状況把握に関する課題 現状課題 水位周知河川等に対し水位計を設置し テレメータにより一元管理している 橋脚等に量水標を設置し 水防団や住民が水位を把握できるようにしている 水位計を設置していない河川について 水位等の情報を得る手段が巡回等個別のものしかない K 水防資機材に関する課題 現状 課題 水防計画に水防資機材の配置数量を記載して 県 市町村等の関係機関に配布している 水防倉庫や消防倉庫等に 土のう袋やブルーシート 縄等の水防資機材が備蓄されている 側帯等に水防用土砂を備蓄している 排水ポンプ車を保有している 水防団と河川管理者が連携して的確な水防活動を実施するための適切な資機材が配置されていない恐れがある 大規模水害に対応した水防資機材の拡充が必要である 水防活動に必要なルートが浸水する恐れがある 水防資機材の保有数量を定期的に確認し 適切な補充及びメンテナンスの実施が課題である 14

4.2 的確な水防活動のための取組 4.2.1 水防体制の強化に関する事項 L 河川巡視に関する課題 現状 課題 河川管理施設を点検するための河川巡視を実施している 出水期前に 自治体 水防団等と重要水防箇所の合同巡視を実施している 出水時には 水防団等と河川管理者がそれぞれ河川巡視を実施している 河川巡視で得られる堤防等の被災情報が水防団と河川管理者で十分共有されていないおそれがある 限られた時間 人員での広域的な巡視の確実な実施に課題がある M 水防団等に関する課題 現状課題 自主防災組織の結成と活動の促進に取り組んでいる 水防団員の高齢化やなり手不足 サラリーマン化からの水防団の機動力について懸念がある N 水防訓練に関する課題 現状課題 水防技術の向上や連携協力体制の確立等を目的として総合防災訓練を実施している 河川管理者と自治体間で 河川水位等の状況や予測 被害状況 及び避難勧告 避難指示発令状況等の情報共有が十分でない 水防活動に関する専門的な知識等を習得する機会が減少し 適切な水防活動に懸念がある 4.2.2 市町村庁舎や災害拠点病院等の自衛水防の推進に関する事項 O 市町村庁舎や拠点災害病院等の自衛水防 現状 課題 浸水想定区域内の災害拠点病院等の立地状況を確認している 洪水浸水想定区域内に該当する庁舎において 代替施設の設定 浸水しない 2 階以上に対策本部の設置及び非常電源の設置等の対応を実施している 非常時に災害拠点病院等に水害リスク情報が確実に伝達されるか懸念される 大規模水害時には 災害拠点となる庁舎が浸水し 機能が低下 停止しないようにすることが課題である 15

4.3 氾濫水の排水 浸水被害軽減に関する取組 P 排水施設 排水機材に関する課題 現状 課題 洪水時の樋門及び排水機場等の施設は操作規則を定めて操作を実施している 関係機関が連携した排水訓練や樋門等の操作点検を出水期前に実施している 排水ポンプや照明等の災害対策機器は平常時から定期的な保守点検を行うとともに 機材を扱う職員等への教育体制も確保し 常時災害発生に対応した出動態勢を確保している 被害の最小化を目的に関係機関の連携によるポンプ運転調整を実施しているが地域住民の理解が十分なされていない 大規模浸水時は効果的な排水作業を実施しなければ浸水が長期化する懸念がある 大規模浸水時は既存排水施設が機能不全に陥るおそれがある 大規模水害時の関係機関が連携した氾濫水の排水のための操作 運用体制に課題がある 洪水時の現地での樋門等の操作は危険を伴う 16

4.4 河川管理施設の整備等に関する取組 Q 堤防等整備に関する課題 現状課題 河川整備計画等に基づき 河川改修を実施している 河川整備率 (H28 年度末時点での時間雨量 50mm 対応の河川整備率 ) が 57.5% であることから 引き続き河川整備の推進を図る必要がある 特に全国中小河川の緊急点検結果を踏まえ 流下能力が不足している区間等については 水害の発生に対するリスクが高いことから 優先的に堤防等施設整備を推進する必要がある R 河川管理に関する課題 現状課題 河川の点検について 要領に基づき実施している 人員が不足し 十分な点検ができないことが懸念される 17

5. 減災のための目標 円滑かつ迅速確実な避難や安全な避難の実施 及び円滑かつ迅速な氾濫水の排除等の対策を実施するため 各構成員が連携して平成 33 年度までに達成すべき減災目標は 以下の通りとした 5 年間で達成すべき目標 県管理河川における大規模水害に対し 逃げ遅れによる人的被害をなくす こと 地域社会機能の継続性を確保すること を目指す 目標達成に向けた 4 本柱 上記目標の達成に向け 下記取組を基本事項として 具体的な取組を定める 1. 円滑かつ迅速な避難のための取組 2. 的確な水防活動のための取組 3. 氾濫水の排水 浸水被害の軽減に関する取組 4. 河川管理施設の整備に関する取組 18

6. 概ね 5 年で実施する取組 氾濫が発生することを前提として 社会全体で 常にこれに備える 水防災意識社会 を再構築することを目的に 各構成員が取り組む主な内容は次のとおりである 6.1.1 円滑かつ迅速な避難のための取組 1 災害時の情報伝達 避難計画等に関する事項 住民への情報伝達 主な項目 課題対応 取組機関 水害危険性の周知促進 A 災害時の住民への情報伝達 B 行政 水防関係機関間の防災情報の共有 C 避難勧告等の発令 D 避難場所 避難経路の確保 防災情報総合サイトの活用と周知( 防災情報等の取得方法の周知 ) A 災害時の住民への情報伝達 様々な防災情報提供ツールを用いた防災 A 災害時の住民への情報伝達市町村 情報伝達の強化 多重化 ( 確実な情報伝達のための整備 ) 水防災に関する説明会や避難訓練の開催 ( 避難情報等の取得方法の周知 実践 ) A 災害時の住民への情報伝達 G 平時の水害リスク周知 危機管理型水位計等の設置検討 水防団や自治会が参加し 洪水リスクが高い区間の共同点検等の実施 A 災害時の住民への情報伝達 B 行政 水防関係機関間の防災情報の共有 C 避難勧告等の発令 J 河川の状況の把握 A 災害時の住民への情報伝達 I 避難訓練に関する課題 行政 水防関係機関間の防災情報の共有 主な項目 課題対応 取組機関 洪水時における河川管理者からの情報提供等 ( ホットラインの構築 ) B 災害時の防災情報の共有 C 避難勧告等の発令 水防団等への連絡体制の再確認と伝達訓練等の実施 ( 確実な情報伝達のための準備 ) B 災害時の防災情報の共有 避難勧告等発令の対象区域 判断基準等の確認 ( 水害対応タイムラインを作成 ) 災害拠点病院等の施設関係者への情報伝達の充実 流域雨量指数の予測値 洪水警報の危険度分布 等の防災気象情報の提供 B 災害時の防災情報の共有 C 避難勧告等の発令 B 災害時の防災情報の共有 B 災害時の防災情報の共有 C 避難勧告等の発令 気象台市町村 気象台 19

避難勧告等の発令 主な項目 課題対応 取組機関 避難勧告等発令の対象区域 判断基準等の確認 見直し C 避難勧告等の判断 気象台 夜間 荒天時における避難勧告等の発令基準の作成及び避難誘導体制の検討 C 避難勧告等の判断 市町村 避難場所や避難経路の確保 主な項目 課題対応 取組機関 隣接市町村における避難場所の設定( 広域避難体制の構築 ) 等 D 避難場所 避難経路の確保 E 住民の避難行動 浸水や土砂災害による交通途絶を考慮した避難経路や避難場所の確保に向けた連携 協働の取組 D 避難場所 避難経路の確保 E 住民の避難行動 避難計画 市町村 避難所 避難経路の安全性確認及び見直し D 避難場所 避難経路の確保 E 住民の避難行動 避難計画 市町村 要配慮者の避難 主な項目 課題対応 取組機関 要配慮者利用施設における避難計画の作成及び避難訓練の実施を支援 指導 D 避難場所 避難経路の確保 E 住民の避難行動 F 要配慮者の避難 I 避難訓練 要配慮者利用施設のほか 地下施設 大規模工場への対応等を考慮した避難計画の検討 施設管理者による計画案の作成の支援 A 住民への情報伝達 F 要配慮者の避難 20

2 平時からの住民等への周知 教育 訓練に関する事項 平時の水害リスク周知 主な項目 課題対応 取組機関 想定最大規模の洪水に係る浸水想定区域図等の作成と周知 ( 大規模災害時の水害リスク周知 ) D 避難場所や避難経路の確保 Gリスクの周知 水害ハザードマップの改良 周知 活用 Gリスクの周知 市町村 県 浸水実績等の周知( 浸水実績等に関する情報の共有 住民等への周知 ) Gリスクの周知 H 防災意識の啓発 まるごとまちごとハザードマップ の検討 案内板の整備等 E 住民の避難行動 G リスクの周知 H 防災意識の啓発 市町村 防災意識の啓発 主な項目 課題対応 取組機関 防災教育の促進 A 住民への情報伝達 Gリスクの周知 H 防災意識の啓発 気象台 I 避難訓練 マイ防災マップづくり( 防災意識向上 ) H 防災意識の啓発 市町村 水防災教育 出前講座等を活用した講習会の取組の拡大 水防に関する広報の充実 H 防災意識の啓発 N 水防技術の維持 向上 G リスクの周知 H 防災意識の啓発 L 河川巡視 M 人材確保 N 水防技術の維持 向上 気象台 3 円滑かつ迅速な避難に資する施設等の整備に関する事項 水防資機材 主な項目 課題対応 取組機関 河川防災ステーションの整備 活用の検討 K 水防資機材 氾濫水を迅速に排水するための緊急排水計画の検討 策定 K 水防資機材 水防資器材の保有状況の確認 配備資器材の見直し 新技術の活用等 K 水防資機材 21

6.1.2 的確な水防活動のための取組 1 水防体制の強化に関する事項 河川巡視 主な項目 課題対応 取組機関 重要水防箇所の共同点検による情報の共有 L 河川巡視 N 水防技術の維持 向上 水防団間での連携 協力に関する検討 ( 人員確保による確実な巡視の実行や大規模氾濫時の効率的な巡視 ) L 河川巡視 人材確保 主な項目 課題対応 取組機関 関係機関が連携した水防訓練 連絡体制 M 人材確保 市町村 情報共有の強化 水防技術の維持 向上 主な項目 課題対応 取組機関 水防訓練の充実 L 河川巡視 M 人材確保 N 水防技術の維持 向上 水防団間での連携 協力に関する検討 ( 大規模な氾濫に対する効果的な訓練 ) N 水防技術の維持 向上 市町村 2 市町村庁舎や災害拠点病院等の自衛水防に関する事項 災害時における庁舎 拠点病院等の自衛水防の推進 主な項目課題対応取組機関 市町村庁舎や災害拠点病院等の機能確保 O 災害時における庁舎 拠市町村のための対策の充実点病院等の自衛水防の推進 22

6.1.3 氾濫水の排水 浸水被害の軽減に関する取組 排水施設 排水機材 主な項目 課題対応 取組機関 排水施設 排水資機材の運用方法の改善及び排水施設の整備等 P 氾濫水の排水 樋門 樋管等の施設の確実な運用体制の確保 P 氾濫水の排水 排水計画に基づく排水訓練の実施 P 氾濫水の排水 市町村 6.1.4 河川管理施設の整備に関する取組 堤防等の整備 主な項目 課題対応 取組機関 堤防等河川管理施設の整備状況を関係機関と共有 Q 堤防等の整備 決壊までの時間を少しでも引き延ばす堤 Q 堤防等の整備 県 防構造の工夫 ( 危機管理型ハード対策 ) 堤防等河川管理施設の整備( 洪水氾濫を未然に防ぐ対策 ) Q 堤防等の整備 県 河川管理 主な項目 課題対応 取組機関 効率的な点検方法の検討( ドローン等の R 河川管理上の課題 県 活用を含む ) 河川管理施設の適切な維持管理の推進 R 河川管理上の課題 県 23

7. フォローアップ 今後 関係機関相互で取組状況を確認し 必要に応じて取組方針の見直しを行うこととする また 本協議会は 各関係機関が設定した取組方針に掲げた事項が達成出来るよう調整 支援を行うこととする 24