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Transcription:

K-method 木原俊壱 1

1. 手術体位 2. 皮切から片側椎弓剥離まで 3. 有茎棘突起切断から対側椎弓剥離まで 4.C2 C7 の骨削除及び各椎弓の一部骨削除 5. 片開き側の椎弓切離 6. 蝶番側の骨溝作成から椎弓挙上まで 7. 骨孔の作成 8. スペーサー挿入から棘突起再建まで 9. 閉創 2

1. 手術体位 体位は腹臥位で Mayfield 型頭蓋固定器にて中間位とし 頭側を 15 30 度程挙上する ( 重症の後縦靱帯骨化症などで体位による神経症状悪化の危険がある場合は 術前に手術予定の体位にて神経症状の悪化がないか確認する 体位を取った後 皮膚が弛む場合は背部及び頭部の皮膚をテープにて軽く進展させると創の皮膚の弛みが無くなり 手術が容易となる ) 通常 C2-7 椎弓拡大形成術では皮切は C3 から C6 の棘突起先端を結ぶ正中線皮膚切開とする 患者の体格にもよるが多くは約 2 横指 3cm 前後の皮切となる a. 中間位からやや前屈位に体位を取るため皮切の伸展が容易であること b. 頭側や尾側から対側の操作を行うことにより扇形に広いワーキングスペースを確保できること c. 必要最小限の皮切 剥離により C2 棘上靱帯を含む後方要素を最大限に温存し 侵襲や死腔を最小限に押さえることが可能であること d. 皮切を C2 C7 の棘突起上まで伸ばさないことにより術後の創部痛を軽減できること e. 創部が目立たず 頭髪の剃毛を回避でき患者の満足度が高いこと 等の理由によりこの皮切で行っている 皮切予定部位を予めデザインし 手洗いの後 イソジン等にて創部を消毒する 3

手術体位 K-method 手術体位 ドレーピングはK-スパインクロス 1 枚で済み簡単である 術野周辺は防水コーティングしたバリア製の高い素材で補強されており 四方には器具の固定用にベルクロが着いているため ドレーピングの重ねがけや無駄な鉗子を使用する必要が無い 4

電気メス等の用意を行う その際 創部の上下にスプリングフックを準備する フックを使用することで創が上下に動き 小開創でもC2 C7 の処置が十分な視野で行うことができる ( このフックは皮膚のダメージを最小限にする形状の工夫がなされている ) 3cm の皮切では無影灯の明かりがうまく術野に入らず 操作も煩雑である そのためヘッドライトを使用する これだと術者の視点に合わせピンポイントに術野を照らし 深部の操作も容易となる 5

2. 皮切から片側椎弓剥離まで 皮切を行ったのち創の上下に小さいフックをかけ創を上下に進展させ その後 2,5 センチの直角ゲルピー開創器にて創を左右に展開する ( 術者が右利きの場合 患者の左側に立ち左片側進入で行う これにより術者の操作性を容易にし 多くの右利き患者の利き腕側の筋肉のダメージをより軽減できる また皮下の剥離を十分行い C2 椎弓下縁の処置は尾側に立ち C7 椎弓上縁の処置は頭側に立つと必要最小限の皮切により手術が可能となる ) 電気メスにて皮下の脂肪組織を分け 慎重に僧帽筋の筋膜を確認する C7 棘突起を確認したのちまず僧帽筋の項靱帯付着部をC6 棘突起左外側より電気メスで切離する ( その際 必要があれば頭側のフックを外すと創が尾側へ移動し視野が確保し易い ) 次に頭板状筋 頭半棘筋の順に切離を進めると C7 棘突起の項靱帯付着部を全く損傷せずに C6 棘突起基部に到達できる この内側へずれると棘突起先端へ到達し 項靱帯の棘突起付着部を棘突起左側で損傷することとなり 外側へずれると筋層に入り出血する 剥離部位の 6

深度に合わせ 5 または 6 センチの直角ゲルピー開創器を使用する 頸半棘筋 多裂筋を切離し C6 椎弓およびC7 椎弓上縁を同定したのち同様の操作で頭側へ進む ( 尾側に立ち後外側斜め上方より切離面を確認し 筋鉤にて適度の張力をかけながら筋膜付着部を切離すればほとんど出血は起こらない 時に棘突起の位置が左右にずれている症例もあるため 指で棘突起の位置を確認しながら切離操作を進めると安全である フックは必要に応じて頭側を掛けたり 尾側を外したりしながら創部を移動させる この操作により必要なワーキングスペースを確保するとともに 皮膚のテンションダメージを軽減できる 棘突起剥離の際 骨を露出させるのではなく 一部棘上及び棘間靭帯を残すようにする これにより棘突起を再建する際 骨のカットオフを防ぐことができる ) 椎間の処置では電気メスにて硬膜を損傷しないように十分注意する ( 術前に椎間の開き具合を単純写真にて確認することが必要である 椎間が開いている場合は電気メスのみでの剥離ではなく バイポーラ ヘルニア鉗子等を使用し剥離すると安全である ) C2 は頸半棘筋 多裂筋の下縁のみ剥離し 大 小後頭直筋および下頭斜筋は温存する ( 外側は糸通しの穴を設ける部位までとし 不必要に外側まで剥離しないように注意する また 外側塊の部位は静脈の骨へのチャンネルや静脈層が発達していることがあり予想外に出血を来たす事があるため十分注意する 電気メスにて剥離する場合は操作部が直視できるようにしておく 骨のチャンネルからの出血は骨蝋にて止血を行う K-ゲルピー片弁一関節開創器を使用すると術者が吸引管の操作を行うことができ 止血等の操作が容易となる ) 7

3. 有茎棘突起切断から対側椎弓剥離まで 直角のサジタルソーにて各棘突起基部を切断する ( このとき棘突起の項靭帯付着部を損傷しないよう また脊椎管側へ寄りすぎ椎弓が脆弱にならないよう注意する サジタルソーは角度や方向を確認したのちゆっくりと進める 無理に強く押すとブレードが脊柱管方向にたわみ危険であるため注意しなければならない 対側の皮質が切れた瞬間 棘突起先端はスライドするため 対側の筋層を損傷しないよう瞬時にサジタルソーを止める ) 棘突起の切離終了後はK-ゲルピー一関節開創器にて創を左右に展開する 左側と同様に頸半棘筋 多裂筋を電気メスで切離し 右側椎弓を剥離する ( 右側の剥離の時も最初は視野に制限があるため椎間に十分注意する必要がある ) 8

4.C2 C7 の骨削除及び各椎弓の一部骨削除 C2 C7 の椎弓削除の際は 角度がつくため通常のK-ゲルピー一関節開創器ではゲルピーのグリップが視野の障害となることがある K-ゲルピー二関節開創器を使用することでゲルピーのグリップが視野に入ることなく操作を行うことができる フックはC2 では頭側のみ C7 では尾側のみを使用する ( 大きいフックを使用するとフックが外れることがない ) C2 椎弓下縁の骨削除は 5 ミリダイヤモンドバーを使用しドーム状に内板と海綿骨の一部を削除する C2/3の黄色靭帯の頭側まで十分に削除し 硬膜が露出することを確認する フローティングにした尾側の骨は5または 3 ミリの髄核鉗子にて除去する C7 椎弓上縁はC7/Th1の黄色靭帯が確認できるところまで削除する 視野に軟部組織が突出してくる場合はゲルピー開創器モンローを使用すると十分な視野を得ることができる ( モンローは形状を工夫しており K-ゲルピーの内側より重ね掛けすることができ この場合もK-ゲルピー開創器と干渉することがない ) フローティングにした頭側の骨はC2 と同様に5または 3 ミリの髄核鉗子にて除去する ( その際 硬膜を押さないことが重要であり 鉗子にて把持した後 捻りあげるように摘出することがコツである 髄核鉗子にはストッパーがついておりこの操作が容易である また大きな歯をつけており骨をカットオフする危険性が低くなる ) C6の椎弓下縁を一部削除することでC7の削除が容易となる C7 椎弓の頭外側の骨が残存しないように注意し 必要があればペンフィールドで確認する 9

4 ミリのダイヤモンドバーに変更し椎弓切離を行う前に各棘突起切離部の前方やや左側断端を平にならすよう軽く削る ( これにより締結した棘突起が安定するばかりでなく 棘突起と椎弓の海綿骨接触面積が増加し 骨癒合が起こりやすくなる ) 10

アライメントがオーバーロードシスの時や 関節や棘突起が重なるように癒合している場合 重なった棘突起や椎弓のトリートメントは大切である 尾側の重なった部分をバーできれいに削ることで 椎弓挙上の操作が容易となるばかりではなく 仕上がりも美しくなり 術後頚椎可動時の干渉も防げる 11

5. 片開き側の椎弓切離 椎弓切離には 2 センチ幅のK-ゲルピー一関節開創器を使用する ( 幅が広いほうが上下の操作が容易となる ) 椎弓根よりやや内側にて椎弓に垂直になるよう内側にバーの先端を向け椎弓切離を行う 直径 4ミリのダイアモンドバーを用い 椎弓の薄い尾側より厚い頭側へ椎弓の切離は進めていく 椎弓切離の位置は椎間関節内側部より極端に外側にならないように注意する 椎弓切離が外側になりすぎた場合 tethering の原因となる 切離面は椎弓の傾きに合わせ やや尾側広がりに切離すると 頭側の椎弓が尾側より厚いことと相まってスペーサーの据わりが安定する ( 厚くて硬い頭側の椎弓にスペーサーがしっかりと挟み込まれる感じとなる ) バー操作は先端の感覚を大切にし 決して押し付けつけることのないように注意する ( はけを操作するようにするのがポイントである また骨の全てを削除するのではなくエッグシェルに残すと硬膜外静脈叢損傷にともなう出血を防止できる 更にこの一連の操作によりパウダー状の骨粉が切離面の骨髄に塗り込められ骨髄からの出血を予防する ) 12

6. 蝶番側の骨溝作成から椎弓挙上まで 蝶番は椎弓根内側面から外側塊へ移行する部位すなわち神経根が椎弓根を回って椎間孔の方へ伸びているその上壁を持ち上げるように作成する 外側塊は隆起しているため弓形でやや尾側広がりに作成する ( 溝は必要十分な深さとし けっして削りすぎないようにする 椎弓は頭側が厚いため 追加の骨削は頭側に加えると挙上しやすくなる ) 骨溝の幅は対側椎弓を挙上し スペーサーで固定したとき骨溝両面の皮質が合わさり死腔がない状態が理想的である 骨溝の海綿骨をできる限り残すことにより 蝶番は安定し早期骨癒合が可能となる 削りすぎると蝶番が弱くなり 椎弓全体が不安定になるため注意を要する ( 各椎弓は鉛を曲げるような感じで一塊として徐々に挙上し 脊髄の捻れや圧迫を防ぐ 椎弓を必要以上に挙上すると 骨溝の内板が骨折し蝶番が弱くなるため 硬膜の膨隆と拍動をみながら慎重に行わなくてはならない プラスティー用ペンフィールドは通常のペンフィールドより強度も強く 角度もつけているため椎弓挙上時にスリップせず 安全に挙上することができる ) 椎弓挙上後 スタンチェにて黄色靱帯を切離摘出する このとき硬膜とともに膨隆してきた硬膜外静脈を靱帯と一緒に咬み込まないよう注意しなければならない ( プラスティー用スタンチェは黄色靭帯をカットせず しっかりと噛みこむように工夫されており 黄色靭帯付着部をピールオフし一塊として摘出することができる ) 骨溝作成には通常 4 ミリのダイヤモンドバーを使用するが 骨が極端に厚い場合 5 ミリのバーを選択する 13

7. 骨孔の作成 骨孔の作成は外側塊側は 5 ミリのバーを使用して作成する 場所的にはちょうど椎弓根直上に位置する K-ゲルピー片弁一関節開創器を使用すると外側まで十分な視野を得ることができる (K-ゲルピー片弁一関節開創器の刃は吸引管で容易に外側に圧排することができ 更に外側まで視野を得ることができる ) 椎弓側は 2 ミリのバーにて骨孔を作成する プラスティー用ペンフィールドは直角部の幅を広く 強度を強くしており 安全に骨孔を作成することができる 骨孔は各椎弓および関節にペアで正中よりやや頭側よりに作成すると強固で安定した状態でのスペーサー締結を可能とする ( このとき椎弓の骨孔が尾側よりにならないように注意しなければならない 有茎棘突起のレバーアクションと相乗しスペーサーが時計回りに傾く原因となる ) 14

8. スペーサー挿入から棘突起再建まで 先ず頭側にスプリングスーチャ ホルダーを もっとも高い位置にくるように固定する このホルダーを使用すると糸が絡まることがなく スペーサー挿入時の煩雑さが軽減される ( 糸をホルダーに固定する際 糸をいっぱいに張るのではなく 若干の遊びを作っていたほうが 糸が外れにくくなる ) 糸は内側より関節側の骨孔に通す 針の刺入部が硬い場合 2mm バーで刺入孔を作成したり 4mm バーにて骨孔を拡大しておくと針を通しやすい 椎弓が極端に薄い場合は 両皮質でバーを貫通させ脊柱管内を慎重に通す場合もある ( その際 エッグシェルテクニックが大切である ) 椎弓側は糸にあらかじめ付いている針を糸のついている鈍先の方から糸と一緒に挿入する ( こうすれば硬膜を傷つける心配なく糸を通すことができる ) スペーサーに糸を通したのち スペーサーの爪を関節側に合わせ 3mm スタンツェまたはペンフィールドにて椎弓を挙上しながらスペーサーを填め込む 締結はすべてクリンチノットと外科結びの複合結びで行っている クリンチノットの結び目が緩まないよう万全を期すため外科結びでしっかりと締結する クリンチノットはマスターすれば強固に締まる結び目となるが ちょっとしたこつが必要である ( 下に示す ) 棘突起を結ぶ場合は糸を針にて通すが C6 等棘突起が硬い場合はあらかじめバーにて糸を通す穴を作成した方が操作が容易となる また 棘突起に糸を通す場合 スペーサーの爪より高い位置で通さないようにする ( 糸を結ぶ際 スペーサーの爪より低い位置に通したほうが 結び目がスペーサーを棘突起に嵌まり込み強固な固定ができる ) 椎弓側の糸を結ぶ際 術者は助手が糸を結ぶまで棘突起を指摘部位に固定して置くようにする 15

クリンチノットのコツ 1. 両方の糸を手繰り糸が絡まっていないかを確認する このとき術者はスペーサーをしっかりと押さえておかなくてはいけない 糸の弛みや絡みを直すときにスペーサーが外れる可能性があることと 糸を通した骨皮質に負担が掛かり cut out の危険があるからである 2. 左の糸を引いたときに余裕がもてるようあらかじめ右の糸を長めに設定しておく 3. 左右の糸の間に無鈎鑷子を挟みそれを起点に 3~5 回左右の糸を回転させる 4. 右糸の先端を鑷子の先に掴ませ輪の中を通して結び目を作る このとき左中指を挟むと指先程の適当な結び目が出来る 5. 軽く結び目を作る 左糸を引くと 結び目は締まることなくすうーっとスペーサーのところまで降りて行く 6. 糸溝に糸がはまったことを確認し 左糸を引きつつ右指先で結び目を可能な限り押し込む このときピンク針を使って結び目を押し込んでもよい 大事なことは左右同時に同じ力で引き けっして右糸のみを強く引かないことである 右糸のみを強く引いた場合 結び目が緩む原因となる 7. 棘突起を結ぶ場合 あらかじめ糸が糸溝にはまりやすい位置に棘突起を有鈎鑷子で固定しクリンチノットで結ぶ 糸溝を使うことにより一層結び目の締まりが強くなり 締めたのちも結び目が左右にずれることがない 16

複数回のクリンチノットを行うと 結び目を抑える指の爪に過度の負担がかかり爪の損 傷を起こす その際 ノットプッシャーを使用すると 爪の損傷を防ぎ また強固に結び目を締結することができる 17

9. 閉創 止血を行い 十分に創内を洗浄する C2 付近に骨の粉等が残存する傾向にあり 頭側を十分に洗浄する 洗浄の時は原液のオキシフルを使用する 止血 洗浄終了後創の頭側にドレーンを挿入する イソジンは創の再生を妨げるため使用はしていない 皮下の縫合 項靭帯 ニューロロン /EH6625E( 非吸収糸 ) を使用して強固に固定する 皮下 バイクリル /J637( 吸収糸 ) を使用して縫合する 真皮 PDSⅡ/Z507( 吸収糸 ) を使用して縫合する 創表面 縫合は行わずステリーストリップを貼って手術を終了する 18