1. H.R.6264 Restoring America s Leadership in Innocation Act of 2018::RALI 法 (2018 年 6 月 28 日 ) 提出したのは Rohrabacher ( ローラベッカー ) 1 下院議員 他 2 名である セクション 1

Similar documents
米国特許ニュース AIA102( 条 (a)(1) の出願日前の販売 (on sale) は たとえ販売内容が秘密であっても旧法 102 条 (b) の オンセール と同じで 特許を無効にすると最高裁判決 服部健一米国特許弁護士 2019 年 2 月 HELSINN HEALTHCARE S. A.

あるクレームに対して特許侵害訴訟を提起されていた場合は それから 1 年以内にそのクレームについてレヴューを要求しなければならない ( 他のクレームにはその制限はない ) レヴュー手続きのあり方そのものを詳細に規定 以上の修正規定の一部は 下院のイノベーション法にもないプロ特許的新しい修正規定である

Microsoft Word - Unanimously confirmed invalidity - JAN.doc

Microsoft PowerPoint - IPRフォローアップミーティング(田村) (2)

O-27567

Microsoft Word - CAFC Update(107)

Microsoft Word 資料1 プロダクト・バイ・プロセスクレームに関する審査基準の改訂についてv16

Microsoft Word - CAFC Update(112)

Interview17

実体審査における審査官面接に関して GPE には面接における協議の方法 時期および内容など 詳細な要件が定められている 例えば GPE には 最初のオフィスアクションの応答書が出願人により提出された後 審査官は当該出願の審査を継続しなければならない と規定されている (GPE 第 II 部第 2 章

(Microsoft Word - \201iAL\201jAG-Link\227\230\227p\213K\222\350.doc)

法第 20 条は, 有期契約労働者の労働条件が期間の定めがあることにより無期契約労働者の労働条件と相違する場合, その相違は, 職務の内容 ( 労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度をいう 以下同じ ), 当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して, 有期契約労働者にとって不合

Microsoft Word - _本文)【専門家記事】27TR20-ver.3_確定__提出_

第26回 知的財産権審判部☆インド特許法の基礎☆

CAFC Update(135)

仮訳 / JICA 2012 [ 国章 ] インドネシア共和国最高裁判所 仮処分決定に関する インドネシア共和国最高裁判所規則 2012 年第 5 号 インドネシア共和国最高裁判所は a. 意匠に関する法律 2000 年第 31 号第 49 条から第 52 条 特許に関する法律 2001 年第 14

目次 1. 訂正発明 ( クレーム 13) と控訴人製法 ( スライド 3) 2. ボールスプライン最高裁判決 (1998 年 スライド 4) 3. 大合議判決の三つの争点 ( スライド 5) 4. 均等の 5 要件の立証責任 ( スライド 6) 5. 特許発明の本質的部分 ( 第 1 要件 )(

限され 当事者が商標を使用する能力に直接の影響はありません 異議申し立て手続きと取消手続きで最もよく見られる問題とは 混同のおそれ と 単なる記述 です TTAB は登録の内容のみを評価するため その分析の局面には 想定に基づくものもあります 通常 TTAB では どのように標章が実際の製品において

アラブ首長国連邦 (UAE) の労働法 - 雇用契約の法的強制力 ほか 2012 年 6 月 独立行政法人日本貿易振興機構 ( ジェトロ ) Copyright 2012 JETRO & Herbert Smith Freehills LLP. All rights reserved. 禁無断転載

訂正情報書籍 170 頁 173 頁中の 特許電子図書館 が, 刊行後の 2015 年 3 月 20 日にサービスを終了し, 特許情報プラットフォーム ( BTmTopPage) へと模様替えされた よって,

点で 本規約の内容とおりに成立するものとします 3. 当社は OCN ID( メールアドレス ) でログインする機能 の利用申込みがあった場合でも 任意の判断により OCN ID( メールアドレス ) でログインする機能 の利用をお断りする場合があります この場合 申込者と当社の間に利用契約は成立し

イ特許専門業務特許戦略 法務 情報 調査 特許戦略に関し 次に掲げる事項について専門的な知識を有すること (1) 特許出願戦略 ( ポートフォリオ戦略等 ) (2) 研究開発戦略と特許戦略の関係 (3) 事業戦略と特許戦略の関係 (4) 標準化戦略 法務に関し 次に掲げる事項について専門的な知識を有


2016 年 5 月 25 日 JETRO アセアン知財動向報告会 ( 於 :JETRO 本部 ) ASEAN 主要国における 司法動向調査 TMI 総合法律事務所シンガポールオフィス弁護士関川裕 TMI 総合法律事務所弁理士山口現

☆ソフトウェア特許判例紹介☆ -第31号-

<4D F736F F D E B4B92F62895CA8E A2E646F6378>

☆米国特許判例紹介☆ -第129号-

審決取消判決の拘束力

Microsoft PowerPoint - aia

ことができる 1. 特許主務官庁に出頭して面接に応じる と規定している さらに 台湾専利法第 76 条は 特許主務官庁は 無効審判を審理する際 請求によりまたは職権で 期限を指定して次の各号の事項を行うよう特許権者に通知することができる 1. 特許主務官庁に出頭して面接に応じる と規定している なお

民法 ( 債権関係 ) の改正における経過措置に関して 現段階で検討中の基本的な方針 及び経過措置案の骨子は 概ね以下のとおりである ( 定型約款に関するものを除く ) 第 1 民法総則 ( 時効を除く ) の規定の改正に関する経過措置 民法総則 ( 時効を除く ) における改正後の規定 ( 部会資

特許庁工業所有権保護適正化対策事業

TPT859057

参加人は 異議申立人が挙げていない新たな異議申立理由を申し立てても良い (G1/94) 仮 にアピール段階で参加した参加人が 新たな異議申立理由を挙げた場合 その異議申立手続は第 一審に戻る可能性がある (G1/94) 異議申立手続中の補正 EPCにおける補正の制限は EPC 第 123 条 ⑵⑶に

では理解できず 顕微鏡を使用しても目でみることが原理的に不可能な原子 分子又はそれらの配列 集合状態に関する概念 情報を使用しなければ理解することができないので 化学式やその化学物質固有の化学的特性を使用して 何とか当業者が理解できたつもりになれるように文章表現するしかありません しかし 発明者が世

Taro-052第6章1節(p ).jtd

経済産業省産業技術環境局産業技術政策課 パブリックコメント担当 御中

Microsoft PowerPoint - 01_職務発明制度に関する基礎的考察(飯田先生).pptx

なって審査の諸側面の検討や評価が行われ 関係者による面接が開始されることも ある ベトナム知的財産法に 特許審査官と出願人またはその特許代理人 ( 弁理士 ) の間で行われる面接を直接定めた条文は存在しない しかしながら 審査官は 対象となる発明の性質を理解し 保護の対象を特定するために面接を設定す

1 アルゼンチン産業財産権庁 (INPI) への特許審査ハイウェイ試行プログラム (PPH) 申請に 係る要件及び手続 Ⅰ. 背景 上記組織の代表者は

経済産業省 受託調査 ASEAN 主要国における司法動向調査 2016 年 3 月 日本貿易振興機構 (JETRO) バンコク事務所知的財産部

資料 5 知財紛争処理に関する現状と 特許庁の取組 経済産業省特許庁 2015 年

控訴人は, 控訴人にも上記の退職改定をした上で平成 22 年 3 月分の特別老齢厚生年金を支給すべきであったと主張したが, 被控訴人は, 退職改定の要件として, 被保険者資格を喪失した日から起算して1か月を経過した時点で受給権者であることが必要であるところ, 控訴人は, 同年 月 日に65 歳に達し

Webエムアイカード会員規約

PowerPoint Presentation

00表紙

弁理士試験短答 逐条読込 演習講座 ( 読込編 ) 平成 29 年 6 月第 1 回 目次 平成 29 年度短答本試験問題 関連条文 論文対策 出題傾向分析 特実法 編集後記 受講生のみなさん こんにちは 弁理士の桐生です 6 月となりましたね 平成 29 年度の短答試験は先月終了しました 気持ちも

た損害賠償金 2 0 万円及びこれに対する遅延損害金 6 3 万 9 円の合計 3 3 万 9 6 円 ( 以下 本件損害賠償金 J という ) を支払 った エなお, 明和地所は, 平成 2 0 年 5 月 1 6 日, 国立市に対し, 本件損害賠償 金と同額の 3 3 万 9 6 円の寄附 (

情報の開示を求める事案である 1 前提となる事実 ( 当事者間に争いのない事実並びに後掲の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実 ) 当事者 ア原告は, 国内及び海外向けのモバイルゲームサービスの提供等を業とす る株式会社である ( 甲 1の2) イ被告は, 電気通信事業を営む株式会社である

Microsoft PowerPoint ?1530_Contributory Infringement in Japan.ppt

第 32 回 1 級 ( 特許専門業務 ) 実技試験 一般財団法人知的財産研究教育財団知的財産教育協会 ( はじめに ) すべての問題文の条件設定において, 特に断りのない限り, 他に特殊な事情がないものとします また, 各問題の選択枝における条件設定は独立したものと考え, 同一問題内における他の選

目次 < 共通情報 > 1. 加盟している産業財産権関連の条約 2. 現地代理人の必要性有無 3. 現地の代理人団体の有無 4. 出願言語 5. その他関係団体 6. 特許情報へのアクセス < 特許制度 > 1. 現行法令について 2. 特許出願時の必要書類 3. 料金表 4. 料金減免制度について

Microsoft Word - US Duty of Disclosure-Japanese.doc

, -1463

学識経験を有する者の知見の活用 実績評価書資料の表 2( 審決取消訴訟が提起されなかった審決件数 ) 記載の 審決件数 が, うち審決取消訴訟が提起されなかった審決件数 及び表 3( 審決取消訴訟によって取り消された審決件数 ) 記載の 審決取消訴訟提起件数 の合計件数にならないのはなぜか ( 小西

1

第 1 条 ( 規約の適用 ) セキュリティ 360 powered by Symantec サービス利用規約 ( 以下 本規約 といいます ) は 株式会社つなぐネットコミュニケーションズ ( 以下 当社 といいます ) が株式会社シマンテック ( 以下 シマンテック といいます ) のソフトウェ

第 4 条 ( 証明書の管理者 注文手順 及びその他の利用者の義務 ) 利用者は 当社の事前審査にかかるドメイン名を提出するための 権限を有する担当者を選任します またこの担当者が 本約款に応じて 審査されたドメインの証明書の発行を承認することのできる権限者となります ( 以下 証明書管理者 ) 利

2 センターは 前項の届出を受理したときは 当該利用者の設定を解除するものとする ( 設定票等の再発行 ) 第 7 条利用者は センターが交付した Web-EDI 機能利用情報の書類の再交付を申請するときは 様式 WE-04 号 Web-EDI 機能利用証等再交付申込書 に必要事項を記載して センタ

きる ( 改正前民法 436 条 ) 1 改正法と同じ 2 前項の債権を有する連帯債務者が相殺を援用しない間は その連帯債務者の負担部分についてのみ他の連帯債務者が相殺を援用することができる 本条は 負担部分の限度で 他の連帯債務者が債権者に対して債務の履行を拒むことができると規定したものであり 判

PowerPoint プレゼンテーション


米国特許訴訟における弁護士・依頼者間の秘匿特権のCrime-Fraud Exceptionについて

平成 27 年度特許庁産業財産権制度問題調査研究報告書 商標制度におけるコンセント制度についての 調査研究報告書 平成 28 年 2 月 株式会社サンビジネス

Microsoft Word - 行政法⑨

2015 Patent Landscape

作成日 :2006 年 10 月 1 日 世界知的所有権機関 World Intellectual Property Organization (WIPO) 所在地 :34 chemin des Colombettes, 1211 GENEVE 20, Switzerland Tel : (41 2

16年度第一回JACB品質技術委員会

アフリカ知的財産ニュースレター Vol.36 はじめに 本号では リビアの最近の政治情勢に注目してみる さらに マドリッド協定議定書 ( マド リッド プロトコル ) に基づく国際商標登録 (IR) に関係する 2 つの出来事についても論じる ことにする しかし 本号の大部分は パリ条約により認めら

問 2 戦略的な知的財産管理を適切に行っていくためには, 組織体制と同様に知的財産関連予算の取扱も重要である その負担部署としては知的財産部門と事業部門に分けることができる この予算負担部署について述べた (1)~(3) について,( イ ) 内在する課題 ( 問題点 ) があるかないか,( ロ )

とができます 4. 対象取引の範囲 第 1 項のポイント付与の具体的な条件 対象取引自体の条件は 各加盟店が定めます 5. ポイントサービスの利用終了 その他いかなる理由によっても 付与されたポイントを換金することはできません 第 4 条 ( 提携サービス ) 1. 提携サービスは 次のとおりです

一方 ロビー団体 Engine 3 の Julie P. Samuels 事務局長は PATENT 法案は低品質特許に基づく主張を抑制する強い法案であるが ディスカバリ手続条項において 核となる証拠書類 (core documentary evidence) の提出を義務付けた上で追加証拠の提出要請

第10回 出願公開 ☆インド特許法の基礎☆

INDEX ソフトウェア使用許諾契約書 インストール時に必要なシステム NAVI OFFICE 2のセットアップ お問い合わせ NAVI OFFICE 2 セットアップマニュアル < NAVISTUDIO_EV_7-B >

第1回 基本的な手続きの流れと期限について ☆インド特許法の基礎☆

橡●031222第2回環境・都市機能会議録【確定版】(0

Microsoft Word - 文書 1

Edyメールマガジン利用規約

標準化技術をめぐる特許問題対策の動向

【PDF】MyJCB利用者規定(セブン銀行用)

Microsoft Word - Webyuupuri_kiyaku.rtf

パラグアイ共和国 (PY) REPUBLIC OF PARAGUAY パラグアイの概要パラグアイ共和国は 南米大陸の内部に位置しブラジルやアルゼンチン又ボリビアと国境を接しております 総面積は約 41 万 k m2で 日本の約 1.1 倍の面積があります 総人口は約 607 万人で首都はアスンシオン

年 10 月 18 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 3 被控訴人 Y1 は, 控訴人に対し,100 万円及びこれに対する平成 24 年 1 0 月 18 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 4 被控訴人有限会社シーエムシー リサーチ ( 以下 被控訴人リサーチ

( 事案の全体像は複数当事者による複数事件で ついての慰謝料 30 万円 あり非常に複雑であるため 仮差押えに関する部 3 本件損害賠償請求訴訟の弁護士報酬 分を抜粋した なお 仮差押えの被保全債権の額 70 万円 は 1 億円程度と思われるが 担保の額は不明であ を認容した る ) なお 仮差押え

Microsoft Word - 中国商標判例(5)-HPメルマガ 3/10UP

PCT 出願人の手引 - 国内段階 - 国内編 -AL AL 1 頁 工業所有権総局 (GDIP) ( アルバニア ) ( 指定官庁又は選択官庁 ) 目 次 国内段階 - 概要 国内段階の手続 附属書手数料 附属書 AL.Ⅰ 委任状 附属書 AL.Ⅱ 略語のリスト国内官庁 : 工業所有権総局 (GD

米国特許法改正の概要とQ&A

5. 当社は 会員に対する事前の通知を行うことなく 本規約を変更できるものとします この場合 本サービスの提供等については 変更後の規約が適用されるものとします 6. 前項の場合 当社は変更前に又は変更後遅滞なく 変更後の本規約を本サイト上にて告知するものとします 第 4 条 ( 本サービスの利用料

<4D F736F F D DC58F4994C5817A95BD90AC E8E99837C89FC90B A78BC78A6D94468DCF816A202D B2E646F6378>

Microsoft PowerPoint - 米国特許法改正AIAの概要_第3版_ ppt [互換モード]

何故 IDS をする必要があるのか? 米国特許出願をするときは 発明者が以下の要件に対して宣誓をする宣誓書 (37 CFR 1.63) に署名しなければならない (1) 明細書 ( クレームを含む ) の内容を検討し 理解している (2) 真実であり 最初の発明者であると信じる ; (3) 規則 1

米国特許法改正AIAの概要_第5版_final_131226

目次 < 共通情報 > 1. 加盟している産業財産権関連の条約 2. 現地代理人の必要性有無 3. 現地の代理人団体の有無 4. 出願言語 5. その他関係団体 6. 特許情報へのアクセス方法 < 特許制度 > 1. 現行法令について 2. 特許出願時の必要書類 3. 料金表 4. 料金減免制度につ

Microsoft PowerPoint - 米国特許法改正AIAの概要_第4版R13

資料 4 平成 26 年度特許庁実施庁目標 参考資料 2014 年 3 月 28 日

民事訴訟法

発信者情報開示関係WGガイドライン

KSR判決のその後

日本における特許権行使

〔問 1〕 Aは自己所有の建物をBに賃貸した

Transcription:

米国特許ニュース ( 速報 ) トランプ政権が提案している米国特許制度を先発明主義に戻し 米国特許を強化する等の 5 つの法案 概略 1. H.R. 6264: 先願主義の AIA 特許制度を廃止し 先発明主義に戻し 101 条を強化する法案 2. H.R. 5340:AIA 特許制度は維持するが IPR/PGR を抜本的に改正する法案 3. H.R. 6577: 個人特許保有者を優遇する法案 4. S. 2733: 特許訴訟の裁判地を改善する法案 5. H.R. 3517: 発明者の諸情報 ( 性別 人種 国籍等 ) の統計データを作る法案 服部健一米国特許弁護士 2018 年 9 月 トランプ政権は中国の知的財産権侵害に対して厳しい貿易是正姿勢で対処しているが 米国内にあっては AIA 特許制度で米国特許が無効にされ易くなっているため 主に個人発明家の団体の突き上げで 米国特許制度を再び先発明主義に戻し 米国特許を強化する法案をいくつか出している ただし トランプ大統領の知的財産法に関する知識は限定されており 且つほとんどの大企業は外国への出願を考慮すると先願主義を好むので これらの法案をどこまで真剣に成立させる意図があるかは不明である しかし トランプ政権はオバマ大統領が成立させた法律や条約を米国にとって少しでも不利であるなら 形振り構わず次々と破棄してきている そのため たとえ再び先発明主義に戻すことは至難と思われるものの 大統領選で米国のプライドを全面的に押し出して選挙で大逆転勝ちをした経緯から 米国発明者に火がつくとどうなるかわからず AIA 特許制度に暗雲を示す状況となっているといえなくはない よって 今後の米国議会の動きを注視する必要がある 以下に各法案の概要を紹介する 1

1. H.R.6264 Restoring America s Leadership in Innocation Act of 2018::RALI 法 (2018 年 6 月 28 日 ) 提出したのは Rohrabacher ( ローラベッカー ) 1 下院議員 他 2 名である セクション 1: セクション 2: セクション 3: セクション 4: セクション 5: セクション 6: セクション 7: この法案のタイトルは 技術革新における米国のリーダーシップを取り戻す 2018 年法案 議会の認識議会は科学の発展のため特許制度を構築したが AIA 特許法は米国特許の強さや価値を低減させ 米国の科学発展に被害を与えている 特許は発明者の個人財産であり 議会はそれを守るために存在する Leahy-Smith AIA 法のセクション 3( 先願主義等の規定 ) を廃止し 元の先発明主義に戻す 従前の出願前 1 年間までのグレース期間を戻す IPR と PGR を廃止する 現在の特許公判控訴審判部 (PTAB) を廃止し 従前の特許控訴インターフェアランス部を復活させる 米国特許商標庁の収入を他に流用させない 科学的発見とソフトウェア特許の強化現行 101 条を (a) 項とし 更に下記の (b) (c) 項を追加する (b) クレーム発明が自然界に存在していたり 人の心の中にのみに存在する場合は不特許事由である (c)(a) 項と (b) 項の特許事由性の判断は 102 条 102 条と 112 条は考慮しない この法改正は最高裁の Alice Corp. v. CLS Bank Int l, 134 S. Ct. 2347 (2014) を破棄し 生命科学 コンピューターソフトウェア等に特許性があるとするものである セクション 8: 102 条を AIA 前の 102 条に戻し AIA102 条 (b)(2) の 発明者による出願前の発明の開示に類似する例外規定を追加する 1 同議員は AIA 特許制度の先願主義は大企業に有利で米国を支えてきた個人発明家に不利であると反対してきた 2

セクション 9: セクション 10: セクション 11: セクション 12: セクション 13: 特許を個人財産権と明記した 106 条を新設する 122 条 (b) を改正し 特許出願は出願人からの要請があった時にのみ公開公報を発行する ( 現行法では原則公開 ) 特許有効の推定 : 抗弁 282 条 (a) を改正し 特許無効に対しては裁判所でも連邦行政手続きでも州手続きにおいても有効の推定が働くとする ( 現行法では裁判所のみ有効の推定が働く ) 差し止め 283 条を改正し 特許侵害があった時は裁判所は取り返しのつかない被害が生じていると推定すると規定する ( 注 : 侵害者が差し止めは不当であるという立証をしなければならない ) ベストモード AIA 特許法のセクション 15 を廃止し ベストモードの規定は従前と同じに戻す 3

2. H.R.5340 (STRONGER Patent Act:2018 年 3 月 20 日 ) S.1390 ( 同タイトル : 2017 年 6 月 21 日 ) この法案は AIA 特許法の先願主義等はそのまま維持し IPR や PGR を改正して特許が無効になりにくくしたり 特許を欺瞞的に違法に用いることを禁止する法案である H.R. 5340 は S. 1390 を修正してあり その概略は下記の通りである. 101: 議会が認識している特許問題 (P.2) 2 タイトル I- 強い特許法案 特許は米国にとって非常に重要で 強い特許が必要であるが AIA( 特にレビュー制度 ) や最高裁判決は米国技術開発に想定外の問題を提起し 米国企業や経済を弱くしているので是正する必要がある. 102: 当事者レヴュー (P.5) クレーム解釈 立証基準を訴訟と同じ高い基準にする等 ( 通常の審査のように軽々に特許を無効にできないようにする ). 103: 登録後レヴュー (P.24) クレーム解釈 立証基準を訴訟と同じ高い基準にする等 ( 通常の審査のように軽々に特許を無効にできないようにする ). 104: 当事者レヴューと登録後レヴューの審判パネルの構成を中立にする (P.42) レヴュー開始を限定した審判官は 3 人の審判パネルから除外される. 105: 再審査 (P.43) 利害関係者を開示させ 匿名の要求を出来なくする. 106: 特許の財産価値を高める (P.44). 107: 米国特許商標庁の料金を議会が他に流用することを撤廃する (P.44). 108: 特許侵害 (P.49) 問接侵害を強化する. 109: 高等教育機関 (P.50) 大学をマイクロ出願人にして出願し易くする ( 米国では大学の発言力は非常に強い ). 110: 米国特許制度における小規模団体の役割りを調査する (P.51) タイトル II- 要求レターへの対処 (P.53). 201: 定義 (P.54). 202: 特許主張によるアンフェアないし欺瞞的行為は違法にする (P.55) 特許を有していないのに有している不利をして警告状を送る行為等を違法とする. 203: 欺瞞的違法行為に対する違法行為に対して連邦取引委員会 (FTC) の訴訟 (P.59) 2 ページ番号は原文ページ番号 4

. 202 の違法行為があった場合は連邦取引委員会が訴追できるようにする. 204: 欺瞞的違法行為に対する州司法長官の訴訟 (P.60). 202 の違法行為によって 州内小企業ないし市民が脅かされている場合は 州司法長官が訴追できるようにする 5

3. H.R. 6557 (Inventor Protection Act) この法案は発明者が自身で特許を所有している 発明者所有特許 の場合に 侵害や損害賠償の立証をし易くする法案である この法案は H.R. 6264( 先発明主義 ) を提案しているローラベッカー下院議員等が提唱している法案である セクション 1: セクション 2: セクション 3: この法案のタイトルは 発明者保護法 である 議会の認識発明者は米国の技術革新の原動力となってきていたが 最近の AIA 特許法や最高裁判所の判例はそれを阻害するものである ebay Inc. v. MercExchange LLC (2006 年 ) ( 差し止めは自動的ではなく 取り返しのつかない被害があるか等を考慮しなければならない ) TC Heartland LLC v. Kraft Foods Group Brands LLC (2017 年 : 裁判地は被告が登録している州 ) 米国特許商標庁審判部は米国特許を何回も当事者系レヴュー等で無効にでき 無効率は 85% にもなっている そのため予算がある大企業が個人発明家の特許を無効にしている 発明者保護の以下の改正 100 条 (k): 発明者所有特許 とはクレーム発明が発明者自身によって所有されている特許 ( ライセンスや譲渡がない特許 ) である 以下の法改正は 発明者保有特許 のみに適用される 新 330 条 : 審判部は発明者が同意しない限り 再審査等を行うことは出来ないと規定する 訴訟提起裁判地は 特許侵害がある地でよい 特許無効の確認訴訟は発明者在住地か発明者が同意した地 特許侵害があると取り返しのつかない被害があると推定する 特許を無効にするためには明白且つ説得力がある証拠で立証しなければならない 損害賠償は 1 侵害者の全利益か 又は 2 販売額の 25% として請求し易くする 故意侵害は 3 倍賠償までできる 6

4. S. 2733 (Venue Equity and Non-Uniformity Elimination Act:2016 年 3 月 17 日 ) この法案は特許訴訟の裁判地をより改正する法案である セクション 1: この法案のタイトルは 裁判地平等均等化法 という (2016 年 3 月 17 日 ) セクション 2:(a) 裁判地 1400 条 (b) 特許訴訟の裁判は (1) 被告の主要ビジネス地 (2) 侵害地 (3) 被告が同意した地 (4) 発明者が発明した地 (5) 当事者の主要ビジネス地 又は (b) 外国企業の場合は 1391 条 (c)(3) とする (b) もし裁判地が上記でなかった場合は取り返しのつかない被害が生じたとみなす (c) 在宅勤務者の住居地は裁判地にはならない 5. H.R.3517 (Women Inventor Development & Equity Act) H.R.5862 (Inventor Diversity & Equity Act) 両法案共に 発明者のバックグラウンド情報 ( 性別等 ) を自発的に報告させて統計を作り 特許制度の分析の材料とする H.R. 5862 の概略は以下の通りである セクション 1: この法案のタイトルは 発明者の多様性と平等性の法 である セクション 2: 下記に関する新 124 条を新設する 特許出願の発明者層の情報収集発明者の性別 人種 民族 国籍 年齢 年収に関する情報を自由意志に提供させる 上記情報は出願審査に用いることはなく 秘密情報として保管される 米国特許商標庁は毎年その統計を発表する 以上の速報の改訂版そして新法案のより詳細な翻訳は現在作成中である 7