エ エ 株式会社 取締役営業本部長 中村 公雄 2 年に始まった規制緩和による電力小売自由化は 1 年を迎え 日本が 低炭素社会 に向け大きく舵を切る 中 エネルギー事業は新たなビジネスチャンスの到来と課題に直面しつつある ここでは 1 年の事 業の歩みと新たなビジネス創造への取組みについて紹介する 28年自由化検討 自由化見送り 理由 需要家から見て選択肢が十分でない PPSが十分に成長していない 自由化した場合にーコスト 検針等 の費用 等がかさみ需要家に逆に転嫁 される可能性 2年3月より特別高圧電力にて自由化開始 25年より高圧全面自由化 競争促進策の推進が不十分 PPSシェア停滞 自由化済 電力自由化の流れを受け 2 年 7 月 NTT グループである NTT ファ シリティーズ 東京ガス 大阪ガス 特別高圧電力 2,V以上 大規模工場 デパート オフィスビル 等 契約数 約9,口 電力量 26% 低圧電力 1 2V 中小規模工場 スーパー 中小ビル 契約数 約74万口 電力量 37% 2.8兆円 19 の出資により ICT とエネルギーの 規制 高圧電力 6,V 電灯 一般家庭等 契約数 約7,万口 電力量 31% 6.7兆円 46 5.兆円 35 融合により新たな価値を創造し 電 市場全体 14.5兆円 参考 情報通信=14.6兆円 1 2 1 平成2年版情報通信白書より引用 2 固定通信 移動通信の合計 力事業に新風を起こすべく 図 2 電力小売市場自由化の概要 は誕生しました 表1にの会社概要を 図 1 にの電力事業に対するビ ジョンを示します 1 電力自由化の流れ 圧 6千 V へ自由化領域が拡大さ の自由化は 4回に渡る大きな制度 れてきました その中 産声を上げ 改革の議論が行われ 図2に示すよ た新規参入者である特定規模電気事 株式会社 英文名 ENNET Corporation ENNET =ENERGY + NETWORK ENERGYとNETWORKの融合から命名 設立時期 平成12年7日 本社所在地 東京都港区 資本金 63億円 出資会社 株式会社NTTファシリティーズ 4% 東京ガス株式会社 3% 大阪ガス株式会社 3% 電力売買事業 発電事業 熱エネルギー供給事業 省エネルギーコンサルタント事業 など 表 1 会社概要 7 うに特別高圧 2万 V 以上 から高 2 年に始まった電力小売事業 社名 事業内容 低圧 町工場 コンビニ等 契約数 約64万口 電力量 6% 電気事業分野の活性化とお客さまへの新たな価値提供 LNG火力発電を主力電源にコスト 環境性を配慮した電力供給により 電力市場を活性化 全国をカバーする小売事業の展開 ICTを活用した新たな付加価値 サービスを創造 提供 図 1 の電力事業に対するビジョン
電灯 電力計の料金単価は 平成6年度から平成19年度の間において 年平均1.5 低下し 平成6年度と平成19年度との単純比較では 18. の低下となっている 円 kwh 26. 業環境下でのPPSトップシェア は事業開始以降 図 5 に 24.81 24. 示すように自社関係及び株主である 22. 2.78 2. 19.38 18. 17.15 15.9 16. 13.66 14. 12. 2 エネルギー価格高騰の厳しい事 平成6年度 7年度 8年度 9年度 1年度 11年度 12年度 13年度 14年度 15年度 16年度 17年度 18年度 19年度 電灯 両ガス会社の環境性に優れた LNG 火力電源等からの電気の供給と NTT グループの需要をベースに東 京 関西電力エリアを出発点に 電灯 電力計 電力 電灯料金は 主に一般家庭部門における電気料金の平均単価 電力料金は 自由化対象需要分を含み 主に工場 オフィスに対する電気料金の平均単価 平均単価の算定方式は 電灯料収入 電力料収入をそれぞれ電灯 電力の販売量 kwh で除したもの 出典 資源エネルギー庁 電気事業制度のHPより 図 3 料金制度改定 電力料金単価の推移 25 年に東北 26 年に中国 北 海道 27 年には中部 九州電力 エリアでサービスを提供していま <自由化部門> す 需要家規模は 25 年に 1 万 kw を超え 27 年に NTT グルー 電力会社送 配電網 プ需要の倍の 2 万 kw を超えると 一般電気事業者 電力会社需要家 日本卸電力取引所 ともに 販売電力量では沖縄電力を 抜き 事業規模 1, 億円を超える JEPX 企業に成長しました 需要家 様々なソースから 電力を調達 民間オフィス 官公庁ビル等 28 年の世界の原油価格の先行 指標である原油先物市場の WTI 原 自社発電設備 3分単位で需要量 発電量になるよう に出力を制御 契約余剰発電設備等 し安定的に電力を 清掃工場 公営水力他 供給 同時同量 一般営業や入札で 需要家を開拓 <規制部門> 油先物価格が1バレル 147 ドルと いう化石燃料価格が高騰するといっ た厳しい事業環境の中 調達する電 力及び需要家のポートフォーリオや PPSは余剰電力を一般電気事業者よりも高価買取する一方 効率的な事業運営 少ない間接費 を通じ 一般電気事業者 より安価な電力販売が可能 これにより需要側 供給側の双方 へのメリット提供を実現 電源のオペレーションの見直しによ 一般家庭 商店 等 電力会社が独占供給 り収益構造の改善を行い 図6に示 すように他の PPS が電力小売事業 図 4 自由化による電力供給のしくみ の縮退を行う中 は着実に 業者 PPS*1 は 1 社を越え 図3 ていないということで 5年後再度 事業拡大を進め PPS の過半数を に示すように電気料金の低減に貢献 議論を行うことになりました 占めるトップシェアを堅持してい してきました このように電力小売 図4に自由化による電力供給のし ます 事業では 高圧以上のお客さまに くみを示します 新規参入者の これまでの電力会社とは別の新規参 PPS は 競争力ある自社発電の電 入者である PPS より 今までと同 力や全国にある工場等のから 信頼性の高い業務の提供 等の品質で低コストの電気の供給を 購入した余剰電力をベストミックス 電力小売事業において大部分の稼 受けることができるようになりまし し 電力会社の送電網を利用するこ 動を占める料金計算 請求書発行等 た 27 年の第4次制度改革では とで 同じ品質の安い電力をお客さ の料金関係業務は ビリングエネ 低圧を含めた全面自由化の議論が行 まに供給しています ット により各種オペレーション業 われ 残念ながら競争が十分進展し *1 PPS Power Producer and Supplier 務を機能的に結合しシステム化する 3 システム化により高効率かつ 71
エ エ 給 電気設備の保安点検 検針 料 41 供給お客さま施設件数 金請求などの業務で連携してマンシ 35 ョン向け電力供給サービスを実現 16 株主大型電源運開 7 電 源 規 模 万 kw 4 35 3 25 2 15 1 5 し 低圧のお客さまにも安価で電力 供給量増強 余剰電源獲得 会社と同等の品質で電力の提供を行 っています 茨城 舞鶴 卸電力取引所開設 イースクエア H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 川崎 天然ガス 泉北 H2 H21 扇島パワー 6 地球温暖化対策への取組み H22 年度 RPS 法 *2 により 電力小売事業者 図 5 の電力供給推移と今後の電源計画 は一定の再生可能エネルギーの義務 ことで 4, 件を越える需要家に ギーマネジメントを支援する いん 量が課せられる中 は株主 対して高効率かつ高信頼の事務処理 ふぉ のサービスを提供し である東京ガス 大阪ガス関係の風 を可能とし コストダウンとお客さ ています 図7にその機能の概要を 力発電約2万 kw NTT ファシリテ まの高い信頼を得ております 示します ィーズ関係の太陽光 メガソ ーラ や自治体の清掃工場などのバ 5 グループシナジーを生かした 4 ICT を活用した付加価値サービ イオマスの電気を調達し ス いんふぉ 事業拡大 RPSにおいては北海道電力と並びト ICT を活用したサービスとして 電力小売事業の低圧電力のお客さ ップランナーとして 29年度義務 お客さま自ら電気使用量の把握 デ まへの拡大が延期される中 エネッ 量 1.14% の義務量を達成し 日本 マンド管理や省エネルギー対策など トと株主である NTT ファシリティ における再生可能エネルギーの利用 電気使用量の 見える化 でエネル ーズは 図8に示すように電気の供 促進に大きく貢献しています 総需要に対する全PPSのシェア PPS販売電力量シェアはが6 以上 29年3月実績 PPS 1.7 60 他社 一般電気事業者 電力社会 等 98.3 GWh 7, 1.% 7.% 自由化領域総需要 PPSシェア ダイヤモンドパワー 新日鉄エンジニアリング GTFグリーンパワー イーレックス サミットエナジー 新日本石油 丸紅 大王製紙 エネサーブ 王子製紙 出光興産 パナソニック F-Power 旧ファーストエスコ) 昭和シェル石油 日本風力開発 オリックス 日本テクノ 9.% 6, 8.% 5, 7.% 6.% 4, 6.% 5.% 4.% 5.% 2, 4.% 3.% 3.% 2.% 2.% 1, 1.% 24年度 25年度 26年度 27年度 28年度 29年度 全自由化領域におけるPPSグループのシェア推移 出典 経済産業省.% 1.%.% 3, 24年度 25年度 26年度 27年度 28年度 29年度 PPSグループ内の各社シェア推移 資源エネルギー庁 出典 経済産業省 資源エネルギー庁 図 6 PPS シェアの年度別推移 72
また 27 年7月には 京都議定 自由化領域の高圧以上では2 % 強に 書拘束期間である 28-212 年度平 過ぎない状況です この要因は図9 均の使用端 CO 2 排出原単位を 21 に示すようにPPSが電力会社と比べ 年度実績から3 % 削減するよう努 原子力 水力といった長期に安定し める という PPS1 社による環境 たベース電源がないことが一因です 電気通信において新規参入者が二 昨年の1に開始された太陽光発電 を策定しました 桁台でのシェアを占める中 電気事 の固定買取制度は 新政権下で太陽 *2 RPS Renewable Portfolio Standard 法 23年に施行された 電気事業者による 新エネルギー等の利用に関する特別措置法 業においては図6に示したように 光発電以外の風力 バイオマス 水 PPS のシェアは総需要では1 台 力といった再生可能エネルギーの全 行動計画 いわゆる自主行動計画 使用電力量の表示 量買取へと拡大議論が開始 使用電力データのダウンロード 3分毎 日別 月別 曜日別 昼間 夜間別 されています 使用電力量をデータでダウンロードができます このようにPPSのゼロエ 使用電力量をグラフおよび表にて表示します ミション電源 ゼロエミ電 検索機能 指定した期間内における最大電力発生日および指定した電力値を超過した日を 検索し グラフおよび表に表示します 源 への調達が ますます 厳しくなってきている状況 です 今後 PPSの事業拡 デマンドの監視 3分毎 設定により 使用電力がお客さまの設定値を超過した時にご指定の宛先 メール FAX に通知できます 3分毎実績使用電力 大により更なる電力事業の 活性化 需要家選択肢の拡 お客さまの指定した値 指定値の超越 大を進めるためには 水力 原子力といったゼロエミ電 源のPPSへの利用開放を進 閲覧を超越いたしました ご指定のFAX メール先にお知らせ 月別 図 7 のサービスライン いんふぉ めることが重要であると考 えます は これからの 低炭素社会の実現に向け 等集合住宅施設内に 株 NTT ファシリティーズが受変電設備を設置 ベースにバイオマス 風力 太陽光発電といった再生可 分電盤 から供給される電力は電力会社の託送 サービスにより供給されるため 電源品質 の優れた LNG 火力発電を 内で家庭用に変圧して各住戸や共用 部に低圧の電力を分配 WHM 高圧 変圧器 受電 共用施設用 凡例 信頼性については従来と同等 電力会社資産 建築主 オーナ資産 NTTファシリティーズ資産 電力会社送配電網 更に 共用 施設 システム利用契約 約5 安い電気を全住戸へ提供 システム利用契約 管理組合 全住戸者 向け電力供給サービスイメージ 向け電力提供サービスはNTTファシリティーズの提供サービスです 図 8 のサービスライン 能エネルギー電源の開発 調達を進めるとともに電力 会社の有する水力 原子力 発電のPPSへの利用開放に 提供形態 特別高圧電力 NTTファシリテ エ または高圧電力 ィーズが提供する ネ 需給契約 ッ 電力供給システム ト 化石燃料の中で最も環境性 ついて継続的に働きかけを 行い 市場原理を活用した 自由化 と 環境 の両 立の実現を訴求 推進して いきます 73
エ エ す は 29年1月にグリ 調達形態 電源ポートフォリオ 相対契約期間 原子力 水力 火力等 全ての電源 自社による発電及びIPP ポートフォリオを構成し それぞれが 卸電気事業者からの長期相対契約が 持つ特性 役割に応じて発電 大半 電力会社 1年以上の長期 契約が大半 力 太陽光 バイオマスといった再 生可能エネルギーの電源調達の実績 歴史的に原子力や大型水力を持ち 自家発等からの余剰電力やPPS向け 他社受電の8割が 得ず 火力発電が中心の電源ポート 電力 電力会社からの卸電力等の相対 契約期間が5年未 契約による他社受電の比率が高い 満の短い契約 フォリオとなっている PPS ーン電力証書発行事業者となり 風 を通して 需要家に CO2 の削減を義 務化する東京都条例等への対応が可 参考 H19.2.3電気事業分科会第5回制度改革評価小委員会資料 卸市場全体の構造把握 電力会社 能なグリーン電力証書の販売を6月 PPS 一日の時間帯別発電イメージ 卸電力等 市場取引 揚水式 貯水池式 調整池式 需要のピーク 水力発電 ピーク より開始しました さらに図1に示 すように ICT を活用することにより 石油等火力 供給サイドと需要家が相互の連携 需要曲線 火力発電 揚水用動力 ミドル 原子力発電 6 12 ったお客さまにエネルギーを含めた 新たな環境価値を提供する事業を創 ベース 流込式水力発電 18 し コスト低減 CO2 削減するとい LNG火力発電等 需要曲線 造して行こうと考えています 電力会社卸電力 バイオマス発電等 24 時 出典 資源エネルギー庁 原子力24 3 6 9 12 15 18 21 時 24 これには NTTグループの一員と しては スマートエネルギー 図 9 PPS 電力小売用電源 の特徴 ネットワーク スマートグリッド ス ICTを活用した次世代電力ネットワーク ICT等を活用した送配電網の自動化 スマートグリッドの 分散型再生可能エネルギー導入への対応 技術要素 需要化サイドの多様なマネジメント DSM Demand Side Management 送電網自動化 送電ネットワークの状態 の監視と自動的な制御シ ステムを導入実施済 配電自動化 停電範囲を最小化する 制御システムをほぼ導入 実施済 再生可能エネルギー 今後大量導入される太陽光発電 ネットワーク側蓄電池と 既存の火力発電 水力発電等との協調制御が今後の課題 スマートコミュニティ 送配電 蓄電池 スマートハウス ビル 太陽光 マートといったエネルギー分野 の低炭素社会インフラへのNTTの次 世代ネットワーク NGN の利用訴 求と グループシナジーを生かした環 境 エネルギー分野の新たなビジネス に向け 産官学一体となった実証研究 風力 原子力 などへの参画等を進めて行きます スマート ビル 水力 ICT エネルギー 火力 エネルギーネットワーク スマートハウス 通信ネットワーク 需要家との双方向通信 スマートー等 小口需要家に対する遠隔検針を一部電力会社が試験導入中 DSM 需要側管理 は今後の課題 スマート家電 プラグインハイブリッド車等との連系は研究開発段階 ビルの省エネ化 BEMS Bu i l d i ngand Energy ManagementSystemなど ESCO事業として各種事業者が取組み継続中 出展 低炭素電力供給システムに関する研究会報告書29/7を参考に編集 図 1 電気事業と ICT スマートグリッド 低炭素社会実現に向け 再生可能 エネルギーの全量買取 排出量取引 など 今後ますます太陽光 風力発 電といった再生可能エネルギーの導 入拡大や 省エネに関する規制強化 といった政策が進むと考えられま 74 のグリーン電力証書発行事業者マーク お問い合わせ先 株式会社 営業本部 TEL 3-5733-2234 URL http://www.ennet.co.jp/