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ⅱ 調査地点調査地点は 事業実施区域の敷地境界 2 地点とし 調査時において 風上 風下となる地点とした 調査地点を図 7.4-1に示す ⅲ 調査方法調査方法を表 7.4-3に示す 表 悪臭の調査方法 調査項目 悪臭の状況 気象の状況 調査方法 臭気指数 : 三点比較式臭袋法試料採取時の

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室内環境設備における当院の感染対策の取り組み 医療法人社団邦腎会大井町駅前クリニック 河村良太片寄貴仁 白川幸広 丸山佳澄 大久保由紀子 馬場一成 近藤美幸 田中勤

はじめに 2009 年 9 月のクリニック移転に伴いクリーンな室内環境を目指し院内感染対策の取り組みとして空気清浄機 換気口 ( 換気ダクト内に換気ユニットを設置 ) 紫外線殺菌装置を設置した 今回 2010 年 12 月に24 時間上記設備を稼働させた環境 ( 空気清浄機 : 中風 換気ユニット : 弱換気設定 ) で各室内の環境性能 ( 浮遊粒子濃度 浮遊微生物 落下微生物 二酸化炭素濃度 ) を始業前 ( 午前 6 時 ) 始業後( 午後 3 時 ) の2 回測定し良好な室内環境を得ることができたので報告する 当院は 1 フロアー 32 床で朝 8 時 ~ 夜 11 時の間で毎日 2 クール行っており透析開始は朝 9 時と夕方 5 時となっている ( 但し 土曜日は朝 8 時 ~ 夜 7 時 30 分で 2 クール )

設備 測定機器 設備 空気清浄機 クリーン F F750E111WP :HEPA フィルタ ( 山武社製 ) ヘルコート塗装壁 +SUMICAS ( アーティク工房社製 ) 換気口 ( 換気ユニット ) ベンティエール :HEPA フィルタ ( ダイキン工業社製 ) 紫外線殺菌装置 : 周波数 253.7nm UK 18-50 ( エアロシールド社製 ) UK09-50 ( エアロシールド社製 ) PUN 30-50 ( エアロシールド社製 ) 測定機器 浮遊粒子 光散乱方式パーティクルカウンター KM-27 ( リオン社製 ) 浮遊微生物 落下微生物 多孔式エアサンプラー MAS-100 ( メルク ジャパン社製 ) 普通寒天培地 二酸化炭素 気体検知管 No.2LC (GASTEC) 多孔式エアサンプラーは浮遊微生物測定時のみ使用

室内環境と設備 1 ヘルコート塗装壁 換気口 ( 出口 ) 換気口 ( 戻口 ) 拡大 SUMICAS 紫外線殺菌装置 UK 18-50 透析室内 空気清浄機クリーン F

室内環境と設備 2 透析室 ( 個室 ) 紫外線殺菌装置 PUN 30-50

7 階機器設置場所 1 4: 浮遊粒子 浮遊微生物 落下微生物測定ポイント

8 階機器設置場所 6 10: 浮遊粒子濃度 浮遊微生物 落下微生物測定ポイント 11 13: 二酸化炭素濃度測定ポイント

測定方法 1 サンプリングポイントは浮遊粒子濃度 浮遊微生物 落下微生物を 1~10 二酸化炭素濃度を 11 13 と表示する 浮遊粒子濃度 サンプリングは1ポイントあたり1.0CFTの空気を3 回測定し その平均値をそのポイントの測定値とした サンプリングの高さは床上 1m 対象粒径は0.3μm 以上とした また クラス判定の対象粒径は0.5μmとした 二酸化炭素濃度 二酸化炭素濃度は人が最も多い透析室が施設内で高値を示すと思われるため透析室のみの測定とした サンプリングは床上 1mの高さにて1ポイント当たり2 分間気体採集器を用いて二酸化炭素検知管に室内空気を吸引することで行った

測定方法 2 浮遊微生物 サンプリングする空気体積は 100L とし 高さは床上 1m とした 採取したサンプルを培地に吹き掛け 37 で 48 時間培養し 育生したコロニー数をそのポイントの浮遊微生物数として換算し 菌種同定を行った 落下微生物 サンプリングは床上 1m の高さにて Koch 法により対象培地を 1 時間空気中に放置した サンプリングした培地は浮遊微生物と同様の操作を行いコロニー数をそのポイントの落下微生物数として換算し 菌種同定を行った 落下微生物数については EU-GMP に従い CFU/4h と表示し 4 時間放置した場合に換算して評価を行った

菌種同定 育生したコロニーについては菌株ごとに菌種同定を行い 以下に列挙する菌種以外については Other と表記した 対 象 菌 黄色ブドウ球菌 コリネバクテリウム アシネトバクター ブドウ球菌 (CNS) バチルス エンテロバクター ミクロコッカス 緑膿菌 キサントモナス 腸球菌 α 溶連菌 シュールドモナス フラボバクテリア

評価基準 1 各測定対象は以下の基準を参考に評価を行った 浮遊粒子 :JIS B9920-2002( 以下 JIS) JIS クラス JIS( 単位 : 固 /m 3 ) R( 粒径 ) 0.5μm 5 3520 以下 6 35200 以下 7 352000 以下 8 3520000 以下 9 35200000 以下 二酸化炭素濃度 : 建築物環境衛生管理基準 二酸化炭素濃度 1000 ppm 浮遊微生物 落下微生物 :EU-GMP( ヨーロッパ規格 ) 区域表記 Grade A Grade B Grade C Grade D 浮遊微生物 (CFU/m 3 ) <1-10 100 200 落下微生物 (CFU/4h) 直径 :90mm <1-5 50 100 対応類似 JISクラス 5 6 7 8

評価基準 2 浮遊粒子濃度 浮遊微生物を元に病院設計管理指針 HEAS-2-2004( 以下 病院設計管理指針 ) に則って病院施設 清浄度区分の評価を行った 名称摘要代表的な部屋の例 浮遊微生物 (CFU/m 3 ) 類似規格 JIS クラス 高度清潔区域 Ⅰ HEPA フィルタを使用した垂直層流方式または水平層流方式のバイオクリーンシステムを適用し 周辺諸室に対して陽圧を維持しなければならない バイオクリーン手術室易感染患者用病室 10 以下 5 清潔区域 Ⅱ 高性能フィルタまたは HEPA フィルタを使用して空気浄化を行い周辺諸室に対して適切な空気圧と気流の方向を維持しなければならない 一般手術室 200 以下 7 準清潔区域 Ⅲ 中性能以上の ( 中でも高性能側の ) フィルタを使用するとともに清浄度クラス Ⅳ 以下の区域に対し陽圧を保ち適切な空気圧と気流の方向を維持しなければならない 膀胱鏡 血管造影室 NICU ICU CCU 分娩室等 200 以下 8 一般清潔区域 Ⅳ 中性能以上のフィルタを使用することが望ましく感染防止対策上も適切な気流が得られるように吹出し口と吸込み口の位置関係などを検討しなければならない 診察室 人工透析室待合室 X 線撮影室内視鏡室 ( 消化器 ) 等 200 500 汚染管理区域 Ⅴ 室内圧を周辺区域よりも負圧に維持し 室内の汚染空気が室外に漏出することを防止しなければならない 隔離診察室感染者用隔離病室等 一般区域 Ⅵ 建築物における衛生的環境の確保に関する法律 ( ビル管理法 ) に準拠しなければならない 事務室医局会議室等 拡散防止区域 Ⅶ 強制排気設備を設け 室内の汚染空気が外部に漏出しないように注意しなければならない 汚物処理室患者用便所等

結果 ~ 浮遊粒子濃度 ~ 浮遊粒子濃 4000000 3500000 3000000 2500000 2000000 1500000 1000000 始業前始業後クラス8 クラス7 度 500000 [ 固 /m 3 ] 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 測定した結果 全体的に JIS クラス 8 相当の清浄度を得る事ができた

結果 二酸化炭素濃度 ( 透析室 ) 二酸化炭 1000 900 800 700 600 500 始業前 始業後 基準値 測定の結果二酸化炭素濃度は 建築物環境衛生管理基準によって規定されている基準値 (1000ppm 以下 ) 以下で検出された 素 400 300 濃 200 度 100 [ppm] 0 11 12 13 病院は上記法令の適応対象ではないがクリニックの位置がオフィスビル内にあり ( オフィスビルは上記法令の対象 ) 院内の換気が正常に行われている事を確認する為の参考値とする

結果 浮遊微生物 浮 0 10 始業前始業後 遊微 40 Grade C 50 20 Grade A 30 Grade B 60 生 70 80 物 90 100 [CFU/m 3 ] 12 3 4 5 6 7 8 9 10 始業前の全てのポイントにて Grade A を満たす値が得られた

結果 落下微生物 浮 遊 微 生 物 [CFU/m 3 ] 0 10 20 30 40 50 60 70 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 始業前の全てのポイントにて Grade A を満たす値が得られた 始業前 [CFU/1h] 始業後 [CFU/1h] 始業前 [CFU/4h] 始業後 [CFU/4h] Grade A Grade B Grade C

始業 結果 菌種同定 浮遊微生物 浮遊微生物 ポイント 対象菌 コロニー数 (90mm シャーレ ) ポイント 対象菌 コロニー数 (90mm シャーレ ) 1 検出 (-) 0 前始6 検出 (-) 0 業6 バチルス 1 後7 検出 (-) 0 7 検出 (-) 0 1 Other 1 2 検出 (-) 0 2 ミクロコッカス 2 Other 2 3 検出 (-) 0 3 ミクロコッカス 3 Other 3 4 検出 (-) 0 4 Other 7 5 検出 (-) 0 5 Other 2 8 検出 (-) 0 8 9 検出 (-) 0 9 バチルス Other ブドウ球菌 (CNS) Other 1 2 1 3 10 検出 (-) 0 10 ブドウ球菌 (CNS) アシネドバクター Other 検査の結果 浮遊微生物は院内感染上特に問題となるような多剤耐性菌は検出されなかった 2 1 5

始業 結果 菌種同定 落下微生物 落下微生物 ポイント 対象菌 コロニー数 (90mm シャーレ ) ポイント 対象菌 コロニー数 (90mm シャーレ ) 1 検出 (-) 0 前始6 検出 (-) 0 業6 Other 1 後ブドウ球菌 (CNS) 1 1 検出 (-) 0 2 検出 (-) 0 2 Other 1 3 検出 (-) 0 3 Other 3 4 ブドウ球菌 (CNS) 1 4 ブドウ球菌 (CNS) ミクロコッカス Other 3 1 1 5 検出 (-) 0 5 Other 2 7 検出 (-) 0 7 エンテロバクター Other 1 4 8 検出 (-) 0 8 Other 4 9 検出 (-) 0 9 アシネトバクター 1 10 ブドウ球菌 (CNS) 1 10 ブドウ球菌 (CNS) バチルス Other 検査の結果 落下微生物は院内感染上特に問題となるような多剤耐性菌は検出されなかった 4 5 5

考察 清浄度の指標である浮遊粒子の測定結果は JIS クラス 8 病院設計管理指針クラス Ⅲ と診察室 透析室の清浄度としては問題ない値が得られ 空気清浄機が十分に機能しているものと思われる 浮遊微生物 落下微生物ともに始業前に比べて始業後に多く検出されたが ( 特に廊下 待合室 ) これは人の往来により微生物が舞い上がったためと思われる しかし 始業前にはコロニー数はほぼ0となっており始業後に両微生物が増加しても明朝には微生物がいないクリーンな環境で始業出来ており空気清浄機 紫外線殺菌装置が効果的に機能しているものと考えられる 院内感染上特に問題となる多剤耐性菌は検出されず始業前の測定では Grade Aを満たす値が得られた 空調指標である二酸化炭素濃度の測定においても良好な結果が得られ透析室内で十分な換気が行われているものと考えられる

まとめ 今回の測定では各項目とも透析室としては良好な評価を得られた 空気清浄機フィルター 換気ユニット HEPA フィルター 2 ヶ月 紫外線殺菌ランプ 1 年の定期交換及び室内調査や検査を定期的に行い室内環境を維持して行く必要がある また より清潔環境を目指し昼夜透析後に消毒薬による機械の清拭や床 ベッド周辺の清掃を日々行っている