を高めるとされているからである またトレーニ アでコアトレーニングという方法が紹介され ングにより体幹の安定が保証されることで 四肢 Local muscles の中でも 特に腹横筋の活動性向 に素早い正確な動きや動作能力が向上すると考え 上を求めることが トレーニングの目標となって られている い

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原著論文 効果的な体幹筋トレーニング方法の検討 異なる運動における腹横筋と内腹斜筋の収縮厚から 宮下 智 1 和田 良広 2 鈴木 正則 3 近年 体幹筋に着目したトレーニング方法が注目されている 体幹筋を Local muscles と Global muscles に分類し Local muscles の活動性を高めるトレーニングが進められている 体幹の安定性を求める理由は 体幹安定が保証されることで 四肢に素早い正確な動きが期待 でき 動作能力が向上すると考えられているからである 本研究は超音波診断装置を用い 腰 部に違和感を経験し 腹横筋活動に何らかの影響があると考えられる 8 名 年齢 29.6±6.5 歳 を対象とし 4 つの運動課題下で 主要体幹筋である外腹斜筋 内腹斜筋 腹横筋 それぞれ の筋厚を運動開始時と終了時に測定した 本研究で採用した 4 つの運動課題のうち double redcord training 課題の筋厚変化は 運動開始時には外腹斜筋よりも内腹斜筋の方が厚い傾向 運動終了時には腹横筋よりも内腹斜筋の方が厚くなることが認められた p 0.05 しかし個々 の筋厚比率を double redcord training 運動課題の前後で検討すると 内腹斜筋は運動開始時よ り運動終了時に筋厚が減少する傾向があり 逆に腹横筋は運動開始時より運動終了時に筋厚が 増加することが認められた p 0.05 このことから double redcord training 運動課題により 腹横筋の筋厚は増加し 内腹斜筋の筋厚は減少するというトレーニング効果を期待できる方法 であると言える 他の運動課題では腹横筋の筋厚増加に伴い 内腹斜筋の筋厚も増加する p 0.05 結果となった 運動により内腹斜筋厚が増加することは Global muscles の活動量が 上がることを示し 体幹トレーニングは Local muscles の活性化が重要であることを考えると 従来の体幹筋トレーニングは 再検討が必要であると思われる double redcord training 課題 の特徴は 上下肢を共に吊り上げることにより 空中姿勢を保ち運動するのが特徴である す なわち 不安定な運動環境の中で姿勢の安定性を求める高負荷な課題であると言える この課 題を正確に遂行するには 個々の筋肉は 速いスピードでの筋収縮が要求される上 関与する 筋肉同士の協調ある筋収縮が求められる Local Muscle である腹横筋が有効に働く 効果的 な体幹トレーニングという観点から double redcord training は画期的な体幹筋トレーニング 方法であると結論づけた キーワード 体幹トレーニング 筋厚測定 レッドコード 超音波診断 序論 2011 年 9 月 22 日受理 Examination of the effective trunk muscle training method The transversus abdominis muscle and the internal oblique muscle measure muscular thickness of different movement 1 Satoshi MIYASHITA 日本橋学館大学リベラルアーツ学部 2 Yoshihiro WADA 御代田中央記念病院リハビリテーション科 3 Masanori SUZUKI 東京衛生学園専門学校 近年 スポーツや健康科学 健康増進の分野で コアトレーニングという体幹筋に着目したトレー ニング方法に注目が集まっている 体幹安定性を 求める理由として 日常生活の基本動作や歩行 競技レベルの運動能力の基礎であると言われてい る mobility 可動性 と stability 安定性 の中で 特に stability に関与することは 体幹筋の活動

を高めるとされているからである またトレーニ アでコアトレーニングという方法が紹介され ングにより体幹の安定が保証されることで 四肢 Local muscles の中でも 特に腹横筋の活動性向 に素早い正確な動きや動作能力が向上すると考え 上を求めることが トレーニングの目標となって られている いる なぜ体幹安定性が 四肢の運動に重要なのかと 1 腹 横 筋 の 収 縮 に 言 及 し た 報 告 は 2001 年 の いう背景は先行研究が示している Hides は 体 Sapsford8 9 による骨盤底筋の収縮を促すことに 幹障害の代表である腰痛患者を対象に経過調査を より 結果的に腹横筋が収縮するといった運動連 行い 腰痛発症した患者の 90 は 2 4 週間 動性を使用した方法が広く知られており 運動ト で痛みの軽減もしくは消失するが このうち 60 レーニングで腹横筋収縮を促す検証はごくわずか 80 の腰痛患者は その後 12 カ月以内に再発 であり Local muscles と Global muscles の機能 していることを報告している このことは痛みの 的違いついて検討した報告は見あたらない 我々 軽減がされた後に 古くから行われている腰痛体 は以上の先行研究をふまえ 予備研究として 骨 操に加えて 何らかのトレーニングが新たに必要 盤底筋群の随意収縮における体幹筋厚を背臥位と 2 であることを示唆している 一方 伊藤ら は脊 立位の異なる姿勢で検討した この結果 腹横筋 柱の安定性には主に表層に存在する筋群 Global 収縮を促す肢位として立位より背臥位がより効果 muscles が重要であり この Global muscles の 的であると報告10 した しかしこの研究では 口 筋力や筋持久力の向上が腹腔内圧を上昇させ 腰 答指示を遂行した際の腹横筋厚であり 静止姿勢 椎前弯を減少させることにより 結果として腰痛 での検討であった 治療及び予防に役立つと報告している しかし 3 本研究では腹横筋収縮に有効であると言われる Cresswell の研究により表層にある筋群を活性 ノルウエーで開発研究された Redcord trainer 以 化させても腹腔内圧は上昇せず 深部筋 Local 下 redcord というトレーニング機器を使用した muscles の活動によって腹腔内圧が上昇するこ redcord は近年 多くのアスリートが使用してお とが確認された このことから腰痛対策として り 11 Closed Kinetic Chain 以下 CKC が簡 Local muscles へのアプローチが必要と考えられ 便に設定でき 自重を使用することにより 不安 注目されはじめたのである 定環境の中での安定性を求められる機器として Global muscles と Local muscles という考え方 リスクの少ないトレーニング方法と紹介されてい 4 は 1989 年に Bergmark が発表し 脊柱筋を機 る redcord で可能な異なる二つの運動と 多く 能別に固定筋と運動筋に分類し 腹直筋 外腹 の施設や場面で取り入れられているバランスボー 斜筋 内腹斜筋は動きに大きく関与する Global ルを使用したトレーニングを比較することで muscles 運動筋 とし 腹横筋および多裂筋を 個々の体幹筋厚から効果的な腹横筋収縮を得られ 脊柱の安定に関与する Local muscles 固定筋 る体幹筋トレーニング方法を明確にすることを目 と定義した その後 Local muscles に対しての 的とする 5 研究は進み Cresswell は 体幹の素早い動きを 要求したとき 体幹の動きに先駆けて腹横筋が 対象 収縮すると報告し Hodges6 7 も 早い下肢の運 日常生活に影響を及ぼしていないが 腰が痛 動においても運動に先駆けて腹横筋が収縮し 上 い もしくは 重い と訴え 腹横筋機能が何ら 肢についても同様の結果がみられると報告してい かの影響を受けている可能性があると考えられる る 以上のことから体幹筋トレーニングを検討す 8 名 男性 3 名 女性 5 名 平均年齢 29.6±6.5 る際 Local muscles に対するアプローチが必要 歳を対象とした 対象者には ヘルシンキ宣言に であると考えられるようになり 様々なメディ 基づく倫理規定を遵守し 書面および口頭で十分

宮下智 和田良広 鈴木正則 効果的な体幹筋トレーニング方法の検討 異なる運動における腹横筋と内腹斜筋の収縮厚から なインフォームドコンセントを実施し 同意 署 したとき 運動終了時 の筋厚を測定した 図 1 名を得た 運動課題 2 以下 ball training 腕立て伏せ 肢位で足部下にバランスボールを入れ 上肢は床 方法 面に設置し 位置を固定したまま 股関節およ 体幹筋の筋厚測定は外腹斜筋 内腹斜筋 腹横 び膝関節を屈曲させ 膝部を胸に近づけさせる 筋の 3 筋とし 測定機器は東芝社製超音波診断装 CKC Closed kinetic chain 運動を行った時の 置 Xario SSA-660A を用い 表層画像が測定で 運動開始時と終了時の筋厚を測定した 図 2 きる 8 MHz リニアプローブを用いた 筋厚は筋 運 動 課 題 3 以 下 single redcord training 膜を基準として超音波診断装置内のマーキング装 ball training 課題と同様に腕立て伏せ肢位で 足 置にてポインティングし 表示された数値を採用 部を redcord で肩の高さまで吊り上げ 股関節お した 測定箇所は臍レベルの水平線と前腋下線上 よび膝関節を屈曲させ 膝部を胸に近づけさせた の交点から前内方部にプローブを置き 外腹斜筋 CKC 運動の運動開始時と終了時の筋厚を測定し 内腹斜筋 腹横筋が最も摘出しやすい位置である た 図 3 尚 足部のハンギングポイントは腕 臍部から外側 10 cm 付近とした 立て伏せ肢位の股関節上とした 運動課題は以下の 4 条件とし 運動開始時およ び終了時の筋厚をそれぞれ計測した 運動課題 4 以下 double redcord training 2 台の redcord を使用し single redcord training 運動課題 1 以下 supine position 背臥位姿 課題で足部を吊り上げたことに加え 両上肢も空 勢では 安静時 運動開始時 と Sapsford によ 中に吊り上げた姿勢を作り 上肢に膝部を胸に近 る 排尿を止めるように とする口頭指示を遂行 づけさせる CKC 運動を行った際の運動開始時と 図 1 supine position 図2 ball training

図 3 single redcord training 図4 double redcord training 終了時の筋厚を測定した 図 4 尚 ハンギン グポイントは 足部は股関節上 上肢は肩関節上 を垂直に通るラインとした 統計処理は 運動 4 課題 supine position ball training single redcord training double redcord training における 3 筋 外腹斜筋 内腹斜筋 定 Fisher s LSD で検討した 結果 Ⅰ 各条件別において測定された筋厚の平均値お よび標準偏差 表 1 1 運動開始時および運動終了時の 3 筋合計筋 腹横筋 の運動開始時および終了時の筋厚の実測 厚 外腹斜筋 内腹斜筋 腹横筋 の平均 平均値および標準偏差を算出する また全腹部筋 値 と 標 準 偏 差 値 は supine position で 19.1 厚 外腹斜筋筋厚 内腹斜筋筋厚 腹横筋 に ±.4.2 mm 21.0±.4.9 mm ball training 対する各筋厚の比率 外腹斜筋 全腹部筋厚 で 24.0±7.4 mm 26.2±7.5 mm single 100 内腹斜筋 全腹部筋厚 100 腹横筋 全 redcord training で 23.4±4.7 mm 24.9± 腹部筋厚 100 を算出し平均値および標準偏差 5.4 mm double redcord training で は 25.2 を求めた ±4.8 mm 27.7±7.2 mm であった 全腹部筋厚に対する各筋厚比率に対して 運動 2 運動開始時の supine position に対する 3 筋合 条件別における筋別 3 条件 および運動開始時 計実測筋厚は ball training で 1.26 倍 single 運動終了時 2 条件 を主要因とする分散分析 3 redcord training で 1.23 倍 double redcord 2 を施行する さらに有意な主効果および交 training で 1.32 倍となり 運動終了時の supine 互作用が認められたものについては 多重比較検 position に対 する 3 筋 合 計 実 測 筋 厚は ball

宮下智 和田良広 鈴木正則 効果的な体幹筋トレーニング方法の検討 異なる運動における腹横筋と内腹斜筋の収縮厚から trainingで1.25 倍 single redcord trainingで1.19 training で筋厚が増加する p 0.05 筋別 倍 double redcord training で 1.32 倍であった 要因では 外腹斜筋よりも内腹斜筋 腹横筋 3 運動開始時および運動終了時の運動 4 課題 よりも内腹斜筋の筋厚が増加するという結果 おける各筋平均厚の変化は 外腹斜筋で 5.5 が見られた p 0.05 運動開始時と運動終 ±1.5 mm 6.3±1.7 mm 内 腹 斜 筋 で 11.0 了時の要因で検討すると運動開始時より運動 ±3.0 mm 11.1±3.1 mm 腹横筋で6.4± 終了時の筋厚が増加していた p 0.05 2.8 mm 7.6±3.4 mm であった 4 運動開始時における内腹斜筋に対する外腹 Ⅱ 全腹部筋厚に対する外腹斜筋 内腹斜筋 腹 斜筋および腹横筋の筋厚は それぞれ 50 横筋それぞれの筋厚比率の平均値および標準 58 であった 運動終了時における内腹斜筋 偏差 表 2 に対する外腹斜筋および腹横筋の筋厚は そ れぞれ 57 68 であった 1 supine position における筋別 3 条件 開始時 終了時 2 条件 を主要因とする分散分析を行っ 5 運動別 筋別 運動開始時 運動終了時の 3 た 筋別の要因において有意な主効果が認め 要因について分散分析を行った結果 運動 られ F 2,14 26.62 p 0.01 運動開始時 別の要因 筋別の要因 運動開始時 運動 運動終了時の要因では有意な主効果は認めら 終了時の要因の 3 要因すべてにおいて有意 れなかった また筋別 運動開始時 運動終 な主効果が認められた それぞれ F 3 21 了時に対する交互作用は認められなかった 5.94 p 0.01. F 2 14 19.23 p 0.01. 筋別の有意な主効果に対する多重比較検定の F 1 7 21.64 p 0.01 が 3 要 因 の 有 意 結果 運動開始時 終了時ともに外腹斜筋よ な交互作用は認められなかった 多重比較 り内腹斜筋 腹横筋より内腹斜筋の筋厚が有 検 定 Fisher s LSD の 結 果 運 動 要 因 で 意に厚いことが認められた p 0.05 は supine position と 比 較 し ball training single redcord training double redcord 表1 2 ball training における筋別 3 条件 運動開 始時 運動終了時 2 条件 を主要因とする分 各運動課題における筋厚実測平均および標準偏差 n 8 表 2 各運動課題における全腹部筋厚に対する外腹斜筋 内腹斜筋 腹横筋の筋厚比率 n 8

散分析では 筋別の要因において有意な主効 果が認められたが F 2 14 16.56 p 0.01 考察 運動開始時 運動終了時の有意な主効果は認 体幹の身体重量は松井の身体部分係数 12 から められなかった また筋別 運動開始時 運 は 質量比で男性 47.9 女性 48.7 を占め こ 動終了時に対する交互作用は認められなかっ の大きさから考えても各動作における体幹機能は た 筋別の有意な主効果に対する多重比較検 重要であると考えられる その中でも特に腹横筋 定の結果 運動開始時 終了時ともに外腹斜 収縮が注目される理由として 前述した Hodges 筋より内腹斜筋 腹横筋より内腹斜筋の筋厚 の報告があげられる 健常人のグループでは 四 が有意に厚いことが認められた p 0.05 肢が活動する前に腹横筋が収縮するが 慢性腰痛 3 single redcord training における筋別 3 条 のあるグループの腹横筋は四肢の運動開始よりも 件 運動開始時 運動終了時 2 条件 を 遅れて収縮するという結果が示されている Local 主要因とする分散分析では 筋別の要因にお muscles とされる腹横筋が多裂筋と共に体幹部の いて有意な主効果が認められたが F 2,14 安定性を高め 四肢の運動に関与するという報告 13.31 p 0.01 運動開始時 運動終了時 である しかし この報告は四肢の運動より先に の有意な主効果は認められなかった また筋 腹横筋が収縮するという現象を説明したものであ 別 運動開始時 運動終了時に対する交互作 り 収縮力の強弱を示しているものではない 測 用は認められなかった 筋別の有意な主効果 定自体 鍼電極を体内に埋め込み 収縮のタイミ に対する多重比較検定の結果 運動開始時 ングを計測していることから 実際の運動中での 運動終了時ともに外腹斜筋より内腹斜筋 腹 測定は難しいことを示す実験デザインである 以 横筋より内腹斜筋の筋厚が有意に厚いことが 上のことから非侵襲的な測定を検討する場合 超 認められた p 0.05 音波測定装置による筋厚を検討するのであれば 4 double redcord training における筋別 3 条 運動肢位の変化にも対応でき 最も有効である 件 運動開始時 運動終了時 2 条件 を という結論に至った また本研究で運動の開始 主要因とする分散分析では 筋別の要因にお 時 終了時の筋厚に注目したことは トレーニン いて有意な主効果が認められたが F 2,14 グの効果を検討しやすく 運動中の筋厚変化を観 17.32 p 0.01 運動開始時および運動終 察できるという点で特徴的である McMeeken13 了時の有意な主効果は認められなかった 筋 らは腹横筋厚の変化について 超音波診断装置と 別および運動開始時 運動終了時の交互作用 筋電図を用いて両者の関連性を報告している 結 については有意性を認める傾向があった F 果 筋厚の変化と筋電活動に関連があることを示 2,14 3.02 p 0.10 筋別の有意な主効 し 筋厚が増加することと筋活動が増加すること 果に対する多重比較検定の結果 運動開始時 には強い相関があることを報告している 本研究 運動終了時ともに外腹斜筋より内腹斜筋の筋 は supine position 運動開始時 安静時 の外腹 厚が有意に厚く 腹横筋より内腹斜筋の筋厚 斜筋 内腹斜筋 腹横筋の 3 筋合計実測筋厚を基 が有意に厚いことが認められた p 0.05 準として比較した結果 ball training で 1.26 倍 また内腹斜筋においては 運動開始時より運 single redcord training で 1.23 倍 double redcord 動終了時に筋厚が薄くなる傾向がみられ p training で 1.32 倍 を 示 し て い た ま た supine 0.10 腹横筋においては運動開始時より position で 排尿を止めるように腹部に力を入れ 運動終了時に有意に p 0.05 筋厚が厚く る という指示を出し 腹横筋収縮を求めた筋厚 なることが認められた を基準として 運動終了時の 3 筋合計実測筋厚を 比較すると ball training で 1.25 倍 single redcord

宮下智 和田良広 鈴木正則 効果的な体幹筋トレーニング方法の検討 異なる運動における腹横筋と内腹斜筋の収縮厚から training で 1.19 倍 double redcord training で 1.32 は 肩 に 対 す る Inner muscles と Outer muscles 倍となったことは 運動により体幹筋に対する収 とは異なるものである 肩の Inner muscles は 縮量が増加した結果と解釈できる 肩関節の固定と同時に運動にも大きく関与する 腹横筋の機能を検討する際 先行研究では四肢 これに対して Local muscles の作用は脊柱周囲 の運動前に まず腹横筋収縮が生じ 外腹斜筋お の固定 安定 に働くことが特徴である この よび内腹斜筋は 四肢が動作を開始するとほぼ同 Global muscles と Local muscles を神経支配から じタイミングで収縮している このことは Local 検討すると 外腹斜筋は胸腹神経 内腹斜筋は下 muscles である腹横筋と Global muscles である 位胸神経 腹横筋も下位胸神経と説明され 電子 外腹斜筋と内腹斜筋は 異なる運動機能を持つと 版ステッドマン医学事典 内腹斜筋と腹横筋の 考えることができる 腹横筋の作用について 森 神経支配は同じとされている 前述した解剖学書 14 ら は 著書の中で 腹斜筋とともに腹圧を高め からは 外腹斜筋の支配神経は肋間神経と腸骨下 腹腔の容積を小さくし 腹腔および骨盤内臓を圧 腹神経 内腹斜筋の支配神経は肋間神経 腸骨下 迫し その内容の排出を促す 一方 横隔膜を押 腹神経 腸骨鼠径神経 腹横筋の支配神経は肋間 し上げて呼息を行う と記載している そのた 神経 腸骨下腹神経 腸骨鼠径神経 陰部大腿神 め腹横筋に関する国内研究は 1990 年代までの 経と記載されている 腹横筋は腹部を共に構成し ほとんどは呼吸 循環器学と解剖学に関するもの ている外腹斜筋 内腹斜筋では記載されていない が多く 動作および運動機能に関わる検討は少な 陰部大腿神経によって支配されている このよう 15 い 伊藤 は ヒト側腹筋の筋線維の構成を検討 に支配神経については書籍により若干異なる表現 し 筋層の厚さは内腹斜筋がもっとも厚く 次い となっており 検討の必要性を示唆しているが で外腹斜筋 腹横筋の順で 3 筋とも女性よりも 腹横筋を収縮させる方法として Sapsford の 排 男性の方が厚かったと報告し 外腹斜筋と内腹斜 尿を止めるように とする口頭指示により 超音 2 筋の 1 mm 中の筋線維数は 男性が女性を上回る 波診断装置上 腹横筋の収縮を確認できることか 傾向が見られるが 腹横筋と腹直筋では性別差を ら 排尿を止めるように という指示をするこ 認めなかったと報告している このことから本研 とにより 外腹斜筋および内腹斜筋にない陰部大 究は実測値測定の後 外腹斜筋 内腹斜筋 腹横 腿神経の活動が腹横筋の収縮を促しているものと 筋の 3 筋筋厚実測値よりも 外腹斜筋 内腹斜筋 考えられる この点が Local muscles と Global 腹横筋の合計厚を基準とした筋厚比率で検討する muscles の区分けのポイントであると判断でき ことが望ましいと考えた る 尚 排尿を止めるように腹部に力を入れる 被験者の選択には 腹横筋収縮機能の低下が予 という口頭指示は 従来収縮を促すことが難し 測される対象者を想定した この腹横筋機能低下 かった Local muscles の収縮を誘導することを目 は 慢性腰痛が起因と考えられていることがあり 的とした指示方法であり 実際に排尿中に行うの 腹横筋の収縮のタイミングは 四肢の活動性に影 ではなく模擬的に下腹部に力をいれることにより 響を与えるという点から 測定時点で治療を受け Local muscles の収縮を促す方法である ておらず 且つ腰部への違和感か 若干の痛みを 以上のことから 収縮方法からも Inner muscles 感じている者を対象とした このことは本研究が は随意的収縮可能な筋肉であり Outer muscles 最も効果的に腹横筋収縮を促す体幹筋トレーニン と 協 調 し て 収 縮 さ れ る こ れ に 対 し て Local グ法の検討であるために 腹横筋機能低下が予測 muscles は Global muscles と収縮方法が異なるこ される被験者の検討は 健常者への応用も可能で とから この点でも異なる機能を持つものと理解 あると考えたからである できる 腰部における Local muscles と Global muscles 運動 3 種類の設定には コアトレーニングと

して 多くの健康増進施設で行われている ball 祉の現場からアスリートトレーニングに応用され training を採用した 腕立て伏せ肢位で下肢をボー ている この redcord で行われる single redcord ルの上に載せることで 両上肢でバランスを保ち training と double redcord training の運動課題は つつ 自在に動く両下肢を制御することで 下肢 CKC であり 吊り上げる位置を調整することで 体幹協調運動として考えられている またこの 負荷を自在 活動する筋肉の分布範囲 に変化さ 方法は 体幹への刺激が多いトレーニングとされ せることができる また運動する範囲を変えるこ ている single redcord training の設定について とで 対象者にあった負荷量を決定することがで は 下肢のみを吊り上げることは ball training きる特徴がある 本研究では 被験者個々に同じ と類似しているが 下肢の動きは一定の前後運動 負荷量を提供するため 下肢を吊り上げる高さは 方向に制御され 体幹への刺激が入るものと考え 腕立て伏せ肢位の肩関節の高さに合わせた 体幹 採 用 し た double redcord training に つ い て は 部のトレーニングは 今まで自重をかけた状態で 固定を行っていた両上肢の部分も空中で保持する のトレーニングは難しかったが redcord は こ ことにより より不安定環境を整えた運動と考え れを解決し 動作に関わる重力をコントロールし 設定した 運動 3 種類で設定したいずれの運動も アプローチポイントを明確にするために有用なも CKC 運動という考え方がベースにある CKC と のとなっているため採用した は人の活動に近い運動として考えられており ト 実測値測定時での運動別の要因 筋別の要因 レーニングはパフォーマンス向上に直結すると考 運動開始時および終了時の 3 要因分散分析では えられている 運動学的には身体の遠位を固定 有意な主効果を認めることができたが 交互作用 した上で 近位が動き 荷重は自重を利用するト は認められず 多重比較では supine position に対 レーニングであると説明することができる これ する ball training single redcord training double に対して OKC Open kinetic chain というトレー redcord training の筋厚が有意に増加することが認 ニング方法がある OKC の代表的なベンチプレ められた また筋別要因では 外腹斜筋よりも内 スで検討すると CKC とは異なり 近位を固定 腹斜筋 腹横筋よりも内腹斜筋の筋厚が増加する して遠位を動かすという運動となる OKC の場 という結果が示され 運動開始時より運動終了時 合 負荷となる荷重は重り 例 バーベル であ の方の筋厚が増加している結果が得られた この るため人の限界を超えると 人に損傷を引き出す ことは先に示したように 男女差が大きく関わっ これに対して CKC は 人の活動に近いものであ ているものと考えられる 従って このデータを ることに加え 自分の体重が負荷になるため リ 元に 外腹斜筋 内腹斜筋 腹横筋の 3 筋厚を合 スクの軽減された運動とされ 近年のトレーニン 計し それぞれの筋肉別に筋厚を比率で表すこと グにより多く取り入れられている この CKC の により 体幹 3 筋の収縮の傾向を見いだすことが 環境を容易に作り出すことを可能にした機器が できると考え 加えて検討した Redcord trainer である Redcord trainer はヨッ 筋厚比率で統計処理を行うと supine position トのマストを固定する機能を応用し 2 本の赤い ball training single redcord training においては ロープを自在の長さに調整し 手足を吊ったり 筋別の有意な主効果が認められ 多重比較では 補助したりするもので ロープは 150 kg の荷重ま 外腹斜筋よりも内腹斜筋 腹横筋よりも内腹斜筋 で対応できる構造となっている この機器を利用 の筋厚が増加するという実測測定と同様の結果が し 他動運動から自動運動 そして抵抗運動や粗 見られた また運動開始時および運動終了時で 大運動 特定の筋を用いる巧緻運動などの組み合 の差は認められなかった これに対して double わせが可能で さまざまな場面での対応が可能な redcord training では 運動開始時と比較し 運 機器で 機能的トレーニング機器として医療 福 動終了時においては内腹斜筋の筋厚は薄くなり

宮下智 和田良広 鈴木正則 効果的な体幹筋トレーニング方法の検討 異なる運動における腹横筋と内腹斜筋の収縮厚から 腹横筋は厚くなるという結果が得られた supine 筋は単独で収縮させることが困難な筋であるが position ball training single redcord training と double redcord training を使用することによって double redcord training には 明らかに異なるト 大きな不安定環境を設定することにより 腹横筋 レーニング効果が認められた への刺激が可能である つまり double redcord 体幹安定性 コアスタビリティー という言葉 training を使用し 強い不安定環境から導きされ が一人歩きする中 Local muscle である腹横筋筋 たデータにより 体幹筋トレーニングの効果を示 厚の増加に注目されるが 腹横筋と類似する神経 したことは 大きな意義がある 支配を受ける内腹斜筋の動きにも注目しなくては 実際の効果的な体幹トレーニングの進め方を考 ならない 従来使用されているトレーニング方法 えるとき まずは supine position で Sapsford の で腹横筋の収縮を求めることはできるが Global 方法を用い 骨盤底筋群からの刺激により腹横筋 muscle である内腹斜筋も同時に活性化するとい を収縮させる その後 ball training 等の不安定 う結果が本研究で示された 慢性化された腰痛を 要素の入るトレーニングに移行することが必要と 持つ患者やアスリートには 腹横筋の活性化を求 考えるが この際 Global muscle である内腹斜 めてトレーニングを進めていると思っていても 筋が大きく働き 腹横筋収縮が不十分となる可能 double redcord training 以外のトレーニングでは 性があることを注意する必要がある トレーニン 内腹斜筋が強く働いてしまうことが明らかになっ グ中の内腹斜筋触診により 動きの量 負荷量 た 従ってコアスタビリティートレーニングとさ を判断する必要がある 最終的には痛みや腰の れている従来のトレーニング方法は 本来の目的 違和感を抑え double redcord training により を達成していない可能性がある Global muscles Global muscles の 影 響 を 最 小 限 に 抑 え Local である外腹斜筋 内腹斜筋と Local muscle であ muscles を活性化できるトレーニングに移行して る腹横筋は異なる運動をトレーニングによって導 いくことが重要である 本研究で示した高負荷な き出さなくてはならない この視点に本研究の課 体幹筋トレーニングは 姿勢制御に伴い リスク 題を照らし合わせると double redcord training があることを理解した上で適切な指導を必要とす が内腹斜筋厚の減少 腹横筋厚の増加を可能とし る ており 有用なトレーニングであると言える 今 後 の 展 望 と し て 本 来 Local muscles と このような結果をもたらした理由として ball Global muscles で説明されている機能の通り 四 training と single redcord training では上肢が地 肢の動作を行う際に Local muscles があらかじめ 面と接地し 下肢のみを空中に上げ 吊り上げ 収縮した後 Global muscles が活動する状況を 不安定環境となっていることと比較し double 今後 確認できることが重要であると思われる redcord training は下肢のみならず上肢も空中に しかし トレーニングの場面では 侵襲的なテス 吊り上げている 強い不安定環境 であることが トは行えないため 腹横筋の活性化をパフォーマ あげられる double redcord training は 上肢と ンスで確認していくことも進めていく 我々の先 下肢が紐により吊り上げられ その中で姿勢を保 行研究でも低負荷体幹筋トレーニングを行った後 ち 運動を行うことは 体幹部には強い安定性が に 全身反応時間の短縮 正確な運動再現性 求められる 常にバランスを取るために早い筋収 が 認 め ら れ て い る が Local muscles と Global 縮により 体幹中心部を支えなくてはならない muscles の機能的考慮をしたトレーニングの効果 すなわち Hodges の言う四肢運動に先立って については 改めて検討する必要があると考えて 腹横筋の早い収縮が要求される環境であると言え いる また高度な不安定要素を検討していく際に る 動作筋を強化するとともに固定筋の強化もパ 振動刺激等の外部刺激を利用する方法も検討して フォーマンスを向上させるのに重要である 腹横 いくことが重要であると考える 16

結論 Local muscles と Global muscles という概念が 2 伊藤俊一 隈元庸夫 腰部脊柱安定化エクササ イズによる腰痛治療と再発予防 Orthopaedics 21, (6), 49-56, 2008. 3 Cresswell A G:Responses of intra-abdominal 発表されて 20 年以上になる この間 様々な検 pressure and abdominal muscle activity during 討が行われ Local muscles である腹横筋および dynamic trunk loading in man. European 多裂筋の活性化の重要性が指摘され 様々なト Journal of Applied Physiology and Occupational レーニングで実践が図られてきた 本研究は 3 Physiology, 66, (4), 315-320, 1994. 4 Bergmark A:stability of the Lumbar Spine. つの運動課題について 外腹斜筋 内腹斜筋 腹 A study in mechanical engineering. Acta 横筋の筋厚を検討することにより 効果的な体幹 Orthopaedica Scandinavica Supplementum 筋トレーニングを探った double redcord training 230(60):1-54, 1989. 以外の ball training single redcord training では 5 Cresswell AG, Oddsson L, Yhorstensson A:The influence of sudden perturbations on Trunk 腹横筋の筋収縮を促すものの Global muscle で muscle activity and intra-abdominal pressure ある内腹斜筋の収縮も増加した Local muscles while standing. Exp Brain Res 98:336-341, 1994. と Global muscles の 機 能 は 異 な る た め Local 6 Hodges PW, Richardson CA:Contraction of the muscles 収縮とともに Global muscles の大きな収 abdominal muscle associated with movement of the lower lomb. Physical Therapy 77:132-142,1997. 縮が生じる ball training single redcord training 7 Hodges PW, Richardson CA:Feedforward の運動課題は 今後 再検討する必要があると思 contraction of transversus abdominis is not われる それに対して double redcord training 課 influenced by the direction of arm movement. 題は Local muscle である腹横筋の筋厚の増加 Exp Brain Res 114:362-370, 1997. 8 Sapsford, R.R., Hodges, P.W., Richardson, と Global muscle である内腹斜筋の筋厚減少が見 C.A., et al. :Co-activation of the abdominal and られ 体幹筋トレーニングの目標に近づく結果 pelvic floor muscles during voluntary exercise, となった double redcord training の特徴は 上 Neurourology and Urodynamics, 20, 31-42, 2001. 下肢を共に吊り上げることにより 空中姿勢を保 9 Sapsford, R.R. and Hodges, P.W. :Contraction of the pelvic floor muscles during abdominal ち運動するのが特徴である すなわち 不安定な maneuvers, Arch Phys Med Rehabilitation, 82, 運動環境の中で姿勢の安定性を求める高負荷な課 1081-1088, 2001. 題であると言える この課題を正確に遂行するに は 個々の筋肉の速いスピードの筋収縮に加え 関与する筋肉同士の協調ある筋収縮が求められ る このような高負荷トレーニングにより Local muscles としての活性化を図る事ができたこと は 今後の腹横筋強化に重要な役割を果たすもの と考えられる 従って 効果的な体幹筋トレーニ 10 和田良広 宮下智 随意収縮における深部体幹 筋厚の検討 バイオメカニズム 20 バイオメカ ニズム学会編 225-231 慶應義塾大学出版会 東京 2009 11 中村宏之 日本人が五輪 100m の決勝に立つ日 23-26 日文新書 2011. 12 松井秀治 身体運動学入門基礎編 体育の科学 112 杏林書院 1967. 13 McMeeken JM, Beith ID, Newham DJ:The ングという観点からは double redcord training relationship between EMG and change in は有用な方法であると結論づけることができる thickness of transversus abdminis, Clinical Biomechanics, 19, (4), 337-342, 2004. 14 森於兎 小川鼎三 大内弘 森富 分担解剖学 第 参考文献 1 Hides JA, Richardson CA, Jull GA:Multifidus Muscle recovery is not automatic after resolution of acute, first-episode low back pain. Spine, 21:2763-2769, 1996. 1 巻 321-332 金原出版 1995. 15 伊藤純治 ヒト側腹筋の筋線維構成について 昭和医学会雑誌 48(4) 471-483 1988. 16 宮下智 編集 レッドコードグループトレーニ ング 59-69 三輪書店 2009.

宮下智 和田良広 鈴木正則 効果的な体幹筋トレーニング方法の検討 異なる運動における腹横筋と内腹斜筋の収縮厚から Examination of the effective trunk muscle training method The transversus abdominis muscle and the internal oblique muscle measure muscular thickness of different movement Satoshi MIYASHITA 1 Yoshihiro WADA 2 Masanori SUZUKI 3 Synopsis Recently, many people have observed the value of trunk muscle training. Trunk muscle training is divided into Local muscle group and Global muscle group, and it is thought that improving local muscle group is what is important, because if the body s trunk has stability and flexibility, limbs will move quickly and movements can be done correctly. In this research, an ultrasonic wave machine was used in order to measure muscular thickness. The subjects were eight people (29.6±6.5years) who seemed to have problems with the transversus abdominis muscle due to low back pain. Each subject performed four exercises, and the thickness of the external oblique muscle, the internal oblique muscle, the transversus abdominis muscle was measured before and after the exercise. In this study, of the four exercises, the exercise using the double redcord training resulted in the finding that before the exercise, the internal oblique muscles were thicker than the external oblique (p 0.05) but following the exercise, the internal oblique muscle were thicker than the transversus abdominis. When analyzing the impact of the exercise on the various muscles, it can be said that based on before and after measurements, the internal oblique was thinned, and the transversus abdominis become thicker (p 0.05). It can be said that using this double redcord training method will decrease the muscular thickness of internal oblique, while increasing the thickness of the transversus abdominis. The result of other types of exercise led to an increases muscular thickness of both the internal oblique as well as increasing the thickness of the muscle of transversus abdominis (p 0.05). The training methods of the past seem to need reexamination when thinking about muscular thickness of internal oblique increasing because it moves from the purpose of strengthening the activity of Local muscle training by strengthening the activity of Global muscle. The feature of double redcord training changes instability into stability to maintain proper posture. Double redcord training is unique in that it suspends all four limbs, and has the subject do the exercises while suspended. In other words, it forces the subject to strive for stability in a unstable high stress environment. To stabilize posture, speedy individual muscle contractions need to cooperate with other muscle group contractions. The role of the transversus abdominis in this cooperative effort is critical. It was able to be concluded that double redcord training was a useful method from the viewpoint of effective body trunk training. Key words Trunk muscle training, Measure muscular thickness, Redcord, Ultrasonic diagnosis. *1 Faculty of Liberal Arts. *2 Department of Rehabilitation Miyota central memorial hospital. *3 Tokyo Eisei Gakuen college. NIHONBASHI GAKKAN UNIVERSITY Bulletin No.11