100325 あなたの会社の事業承継.doc

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(1) 相続税の納税猶予制度の概要 項目 納税猶予対象資産 ( 特定事業用資産 ) 納税猶予額 被相続人の要件 内容 被相続人の事業 ( 不動産貸付事業等を除く ) の用に供されていた次の資産 1 土地 ( 面積 400 m2までの部分に限る ) 2 建物 ( 床面積 800 m2までの部分に限る

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法人会の税制改正に関する提言の主な実現事項 ( 速報版 ) 本年 1 月 29 日に 平成 25 年度税制改正大綱 が閣議決定されました 平成 25 年度税制改正では 成長と富の創出 の実現に向けた税制上の措置が講じられるともに 社会保障と税の一体改革 を着実に実施するため 所得税 資産税についても

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土地の譲渡に対する課税 農地に限らず 土地を売却し 譲渡益が発生すると その譲渡益に対して所得税又は法人税などが課税される 個人 ( 所得税 ) 税額 = 譲渡所得金額 15%( ) 譲渡所得金額 = 譲渡収入金額 - ( 取得費 + 譲渡費用 ) 取得後 5 年以内に土地を売却した場合の税率は30

[2] 税率構造の見直し 相続税の税率構造が現行の6 段階から8 段階に変更されるとともに 最高税率が 50% から 55% に引き上げられることとなりました ただし 各法定相続人の取得金額が2 億円以下の場合の税率は と変わりありません この改正は 平成 27 年 1 月 1 日以後に相続または遺

< 業種別 > 2 製造業主要判断 の推移 製造業 29/ /3 見込 /6 予想 < 製造業 > 当期 は 8.0( 前期比 -1.7) 当期 は 9.1( 同 -8.9) 当期 は 5

事業承継関連税制について 関東経済産業局 平成 30 年 6 月 中小企業金融課

平成29年度     地域経済動向調査      調査報告書

事業承継税制の概要 事業承継税制は である受贈者 相続人等が 円滑化法の認定を受けている非上場会社の株式等を贈与又は相続等により取得した場合において その非上場株式等に係る贈与税 相続税について 一定の要件のもと その納税を猶予し の死亡等により 納税が猶予されている贈与税 相続税の納付が免除される

(2) みなし相続財産ものか13 第1 章12 2 課税される 相続財産 の範囲 海外にある財産も課税対象となる 贈与税の暦年課税適用財産も 3 年以内は課税対象となる 葬式費用 墓地や墓碑 仏壇 仏具等は非課税 相続税の課税対象となる相続財産は (1) 被相続人が亡くなったときに所有していた財産

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[2] 株式の場合 (1) 発行会社以外に譲渡した場合株式の譲渡による譲渡所得は 上記の 不動産の場合 と同様に 譲渡収入から取得費および譲渡費用を控除した金額とされます (2) 発行会社に譲渡した場合株式を発行会社に譲渡した場合は 一定の場合を除いて 売却価格を 資本金等の払戻し と 留保利益の分

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2. 制度の概要 この制度は 非上場株式等の相続税 贈与税の納税猶予制度 とは異なり 自社株式に相当する出資持分の承継の取り扱いではなく 医療法人の出資者等が出資持分を放棄した場合に係る税負担を最終的に免除することにより 持分なし医療法人 に移行を促進する制度です 具体的には 持分なし医療法人 への

事業承継税制の全体像は ( 図表 1) の通りである ( 図表 1) 事業承継税制の全体像 経営者 1 代目 経営者 2 代目 一括贈与 大臣認定 贈与税の課税 贈与税の納税猶予の適用 相続税の納税猶予制度と同様 雇用確保を含む 5 年間の事業継続を行い その後も株式を継続保有 生前贈与により株式の

2 b. 廃業 3) 事業承継計画 1 現状の把握 a. 事業承継に係る関係者の状況 中小家の親族関係 その他の関係者 氏名 年齢続柄 備考 氏名年齢 備考 中小太郎 60 歳 本人 T 社の創始者 ( 代表取締役社長 ) A 63 歳 T 社の専務取締役 ( 太郎の右腕 最近病気がち ) 中小花子

相続税・贈与税の基礎と近年の改正点

2. 改正の趣旨 背景 (1) 問題となっていたケース < 親族図 > 前提条件 1. 父 母 ( 死亡 ) 父の財産 :50 億円 ( すべて現金 ) 財産は 父 子 孫の順に相続する ( 各相続時の法定相続人は 1 名 ) 2. 子 子の妻 ( 死亡 ) 父及び子の相続における相次相続控除は考慮

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テキスト編 第 1 章相続税 贈与税とはなにか 目次 1 相続税が課税される理由 1 2 どれくらいの遺産がある場合 相続税は課税されるか 2 3 贈与税が課税される理由 3 4 相続税と贈与税の関係 4 第 2 章相続人と相続分 1 相続人と相続順位 5 2 相続の承認と放棄 14 3 相続人の相

1 検査の背景 (1) 租税特別措置の趣旨及び租税特別措置を取り巻く状況租税特別措置 ( 以下 特別措置 という ) は 租税特別措置法 ( 昭和 32 年法律第 26 号 ) に基づき 特定の個人や企業の税負担を軽減することなどにより 国による特定の政策目的を実現するための特別な政策手段であるとさ

事業承継支援について

税法入門コース 相続税 学習スケジュール 回数学習テーマ内容 第 1 回 第 2 回 第 3 回 第 4 回 第 4 回 第 1 章 第 2 章 第 2 章 第 3 章 第 4 章 第 4 章 第 5 章 テーマ 1 相続税 贈与税とは? テーマ 2 用語の説明 テーマ 1 相続人となれる人は? テ

⑷ 納税猶予の打ち切り P. 49 Q. 納税猶予の対象の農地を売却する場合 納税猶予が打ち切られてしまうのですか ⑸ 市町村合併と納税猶予 P. 54 Q.B 町が平成 3 年 1 月 1 日現在特定市であるA 市に合併される場合 旧 B 町の農地等は生産緑地の指定を受けていないと納税猶予の特例は

相続税 贈与税の基本がよくわかる! 誰が相続人になるの? 税額はどのようにして求めるの? 土地 建物の評価はどうするの? 住宅取得資金の贈与は最大 3,000 万円が非課税に? 教育資金や結婚 子育て資金の贈与は非課税に? 新しくできる配偶者居住権ってどんなもの? etc.

個人版事業承継税制の創設について 現行税制上の事業承継支援特例を踏まえた検討

ビジネスメールの基礎知識

2011年度税制改正大綱(相続・贈与税)

給与所得控除額の改正前後の比較 改正前 改正後 給与等の収入金額給与所得控除額給与等の収入金額給与所得控除額 180 万円以下 収入金額 40% 65 万円に満たない場合は 65 万円 180 万円以下 収入金額 40%-10 万円 55 万円に満たない場合は 55 万円 180 万円超 360 万

Microsoft Word - 第53号 相続税、贈与税に関する税制改正大綱の内容

はじめに 会社の経営には 様々な判断が必要です そのなかには 税金に関連することも多いでしょう 間違った判断をしてしまった結果 受けられるはずの特例が受けられなかった 本来より多額の税金を支払うことになってしまった という事態になり 場合によっては 会社の経営に大きな影響を及ぼすこともあります また

経 ViewPoint 営相談 相続時における小規模宅地等の特例の改正 谷口敬三相談部東京相談室 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例 ( 以下 小規模宅地等の特例 ) は 一定の要件を満たす宅地等 ( 特定事業用等宅地等 特定居住用宅地等 貸付事業用宅地等 ) につ

Microsoft Word - 第67号 来年からの贈与税改正と相続時精算課税を選択する際の注意点

海外財産の相続 : 事例研究 ~ 米国の財産の相続手続き ( 第 4 回 ) 三輪壮一氏三菱 UFJ 信託銀行株式会社リテール受託業務部海外相続相談グループ米国税理士 これまで 海外に財産を保有する場合の 海外相続リスク の存在 特にプロベイト手続き等の相続手続きの煩雑さについて 米国の例を基に説明

平成 25 年度税制改正解説相続税 ~ 基礎控除の引き下げ 税率構造の見直し等 法定相続人の数と基礎控除法定相続人の数と基礎控除 法定相続人の数 1 人 2 人 3 人 4 人 5 人 60,000 千円 70,000 千円 80,000 千円 90,000 千円 100,000 千円 36,000

(1) 改正の内容 内容 現行制度 特例制度 納税猶予対象株式 納税猶予税額 発行済議決権株式総数の 3 分の 2 に達するまでの株式 贈与の場合 : 納税猶予対象株式に係る贈与税の全額 相続の場合 : 納税猶予対象株式に係る相続税の 80% 取得した全ての株式 贈与の場合 : 納税猶予対象株式に係

株式の贈与 相続税を ゼロ に! 中小企業の事業承継税制と金融支援 - 中小企業経営承継円滑化法事業者向け手引き - 神奈川県

2. 控除の適用時期 Q. 12 月に取得した自宅の所在地に 年末までに住民票を移しましたが 都合で引っ越しが翌年になってしまった場合 住宅ローン控除はいつから受けることになりますか A. 住宅ローン控除の適用を受けるためには 実際に居住を開始することが必要です したがって 住民票を移した年ではなく

目次 Ⅰ 調査概要 1 1. 調査目的 1 2. 調査項目 1 3. 調査対象 1 4. 調査時期 1 5. 調査方法 1 6. 回収状況 1 7. 報告書の注意点 2 Ⅱ. 企業の属性 3 1. 所在地 3 2. 企業形態 4 3. 業種 5 4. 資本金 ( 出資金 ) 6 5. 従業員数 7

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(2) 青色申告書を提出する中小企業者等 ( 平成 3 年 4 月 日以後開始する事業年度については 適用除外事業者 ( 注 4) を除く ) が 平成 30 年 4 月 日から平成 33 年 3 月 3 日までの間に開始する各事業年度において 国内雇用者に対して給与等を支給する場合に継続雇用者給与

土地建物等の譲渡損失は 同じ年の他の土地建物等の譲渡益から差し引くことができます 差し引き後に残った譲渡益については 下記の < 計算式 2> の計算を行います なお 譲渡益から引ききれずに残ってしまった譲渡損失は 原則として 土地建物等の譲渡所得以外のその年の所得から差し引くこと ( 損益通算 )

未成年者控除 障害者控除の見直し 未成年者控除 障害者控除 6 万円 20 歳に達するまでの年数 6 万円 ( 特別障害者 :12 万円 ) 85 歳に達するまでの年数 10 万円 20 歳に達するまでの年数 10 万円 ( 特別障害者 :20 万円 ) 85 歳に達するまでの年数 小規模宅地等につ

住宅取得等資金の贈与に係る贈与税の非課税制度の改正

服部法律事務所ニュース 遺言書について その4(相続税)

平成16年版 真島のわかる社労士

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1. はじめに 中小企業経営者の高齢化が進展する中 事業承継の円滑化は喫緊の課題です 平成 30 年度税制改正において 事業承継の際に生ずる相続税 贈与税の負担を軽減する 非上場株式等についての相続税及び贈与税の納税猶予及び免除の特例 ( 以下 事業承継税制 ) が抜本的に改正されました 本改正では

××税制(所得税・法人税・法人住民税・事業税)

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問題 1 1 問題 1 1 納税義務者 相続税の納税義務者及び課税財産の範囲 課税価格 1 納税義務者 ⑴ 次に掲げる者は 相続税を納める義務がある 1 居住無制限納税義務者 ( 法 1 の 3 1 一 ) 相続又は遺贈により財産を取得した個人でその財産を取得した時において法施行地に住所を有するもの

平成19年12月○日

相続税の節税対策としての生前贈与 相続税 贈与税はともに相手に渡る財産の金額に対して累進的な税率により税金がかかりま す そこで 相続税の税率よりも低い税率で贈与をすれば 相続税の節税になります 下の 図で相続税と贈与税税率を確認して下さい 贈与税は 相続税に比べ 基礎控除額が低く さらに税率が高く

個人事業者向けの事業承継税制が創設

税制改正を踏まえた生前贈与方法の検討<訂正版>

2011年税制改正のポイント

である 12 遺留分とは 遺言の内容にかかわらず一定の相続人が確実に受け取ることができる一定の 割合のことである 直系尊属のみが相続人である場合は 被相続人の財産の 1/3 その 他の場合には 被相続人の財産の 1/2 である ただし 兄弟姉妹には遺留分はない 13 相続の放棄は 被相続人の生前に行

A. 受贈者に一定の債務を負担させることを条件に 財産を贈与することを 負担付贈与 といいます 本ケースでは 夫は1 妻の住宅ローン債務を引き受ける代わりに 2 妻の自宅の所有権持分を取得する ( 持分の贈与を受ける 以下持分と記載 ) ことになります したがって 夫は1と2を合わせ 妻から負担付贈

11-1 経営の承継に向けて セミナー 研修等を受けたい 経営支援 事業 制度名 次世代経営者育成事業 ( 次世代経営者育成塾 ) 経営支援 金融支援 技術支援 商店街等支援 対象分野観光 イベント支援 人材育成支援 人材確保支援 雇用 労働支援 販路支援 企業誘致 増設支援起業 事業承継支援 その

報道関係者各位 Press Release 法政大学大学院中小企業研究所エヌエヌ生命保険株式会社 2015 年 4 月 6 日 中堅 中小企業の社長 727 名に訊いた事業承継に関する調査研究 後継者問題 相談相手なし 4 割弱 ~ 事業承継成功の秘訣は 相談相手 にあり ~ 法政大学大学院中小企業

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参考. 改正前の制度概要 ( 改正対象は太字 ) (1) 税の納税猶予の全体像 ( 概要 ) の要件 会社の代表者であったこと 時には代表権を有していないこと と同族関係者で決議数の 50% 超の株式を保有かつを除いた同族内で筆頭株主であったこと 認定対象会社の要件 の要件 会社の代表者であること

相続対策としての土地有効活用

ラリーマン 相続税の申告は? 45 相続税の申告はどのようにすればよいのでしょうか 相続が開始したことを知った日 ( 通常は被相続人が死亡した日 ) の翌日から 10 か月以内に 被相続人の住所 地の所轄税務署に申告し 相続税を納付する必要があります 申告書を提出する人が 2 名以上いる場合は 共同

滋賀県内企業動向調査 2018 年 7-9 月期特別項目結果 2018 年 11 月 滋賀銀行のシンクタンクである しがぎん経済文化センター ( 大津市 取締役社長中川浩 ) は 滋賀県内企業の事業承継の動向を調査するために 滋賀県内企業動向調査 (2018 年 7-9 月期 ) のなかで 特別項目

野村資本市場研究所|顕著に現れた相続税制改正の影響-課税対象者は8割増、課税割合は過去最高の8%へ-(PDF)

5 配偶者控除等 配偶者控除 配偶者特別控除 扶養控除及び勤労学生控除の合計所得金額の要件 について 一律 10 万円ずつ引き上げられます 6 青色申告特別控除正規の簿記の原則により記帳している者に係る控除額が 55 万円に引き下げられ 正規の簿記の原則により記帳し かつ e5tax 等により確定申

遺留分 遺留分とは 一定の親族 ( 配偶者 子 親等直系尊属 ) に残しておかなければならない遺産の割合です 特に遺言を作成する場合は 遺留分に注意する必要があります なお 遺留分を侵害された相続人には 遺留分に相当する部分の取り戻しを請求 ( 遺留分減殺請求 ) することが認められています [2]

将来 = 何年後 どのような状況になった時を明確に 誰に = 親族とは限らない どのように = 相続や提携や合併などの方法 どのような事業 = 既存事業とは限らない他事業との連携や転換も 自分や従業員 = 将来の家族も含めた生活保障重要な要素である 戦略を立て それを課題ごとに 時系列的に落とし込ん

相続税計算 例 不動産等の評価財産の課税評価額が 4 億 8 千万円 生命保険金の受取額が 2 千万円 現金 預金等が 4 千万円 ローン等の債務及び葬式費用等が 3 千万円である場合の相続税を計算します 相続人は妻と 2 人の子供の 3 人です ( 評価額を計算するには専門知識を要します 必ず概算

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債務控除できるもの できないもの 1. 概要相続税の申告で 債務控除できるものや葬式費用には 被相続人名義の銀行借入金や未納の所得税等の公租公課 未払医療費等のいわゆる債務の金額 葬式費用が挙げられます ( 相法 13) 斎場へのタクシー代や式後の飲食代なども含みますが 通常必要とされる範囲内とされ

第25回税制調査会 総25-1

注 1 認定住宅とは 認定長期優良住宅及び認定低炭素住宅をいう 注 2 平成 26 年 4 月から平成 29 年 12 月までの欄の金額は 認定住宅の対価の額又は費用の額に含まれる消費税等の税率が 8% 又は 10% である場合の金額であり それ以外の場合における借入限度額は 3,000 万円とする

課税遺産総額 = 各人の課税価格 ( ア ) の合計額 - 遺産に係る基礎控除額ウ相続税の総額の計算 1 課税遺産総額を法定相続人が法定相続分に応じて取得したものと仮定し 各人ごとの取得金額を計算する 2 1に税率をかけ 各人の税額を合計する (= 相続税の総額 ) エ各人の相続税額の計算相続税の総

目 次 最近における相続税の課税割合 負担割合及び税収の推移 1 地価公示価格指数と基礎控除(58 年 =100) の推移 2 最近における相続税の税率構造の推移 3 小規模宅地等の課税の特例の推移 4 相続税負担の推移( 東京都区部のケース ) 5 ( 補足資料 ) 相続税の概要 6 相続税の仕組

Aさん : 何ですか 課税の繰り延べ課税の繰り延べって? 減税とは違うのですか? 税理士 : はい 買換特例には 根本的には税金は減らす効果はなく あくまで納税時期を遅らせることしかできないのです 課税の繰り延べの意味 税理士 : 今お持ちの駅前にある不動産を 2 億円で売却し 郊外の賃貸用マンショ

第 1 ステップで A 社の株式は B 社が 100% 保有していますので 借入金の返済財源を補いつつグループの支配 権を維持 さらに会長から社長への株式の承継も資金負担を軽減しながら実施できます 以上 2 段階に分け提案を行い 現在順調に事業の承継を進めておられます ( 注 )B 社は資産保有会社

金庫株を活用した事業承継対策 1. 概要 非上場株式を相続して相続税が発生する場合は 相続で取得した自社株を相続税の申告期限後 3 年以内に金 庫株すればみなし配当課税しない (= 譲渡所得とする ) 特例があります ( 措置法 9 条の 7) 所得税の特例の内容 ( 自己株式をみなし配当課税しない

また 営業秘密の取扱いについても 社内の規程を整備することが秘密情報の流出時に法的保護を受ける上で重要であることから 今回の職務発明規程の整備に併せて 同期間 IN PITでは 営業秘密管理規程を含む企業の秘密情報管理体制の構築に関する情報提供や周知活動も積極的に行っていきます ( 本発表資料のお問

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3. 住宅税制 消費税率の引上げに伴う一時の税負担の増加による影響を平準化し 及び緩和する観 点から 住宅税利について以下のとおり所要の措置を講じます 住宅ローン減税を平成 26 年 1 月 1 日から平成 29 年末まで 4 年間延長し その期間のうち平成 26 年 4 月 1 日から平成 29

第 5 章 N

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施策展開の考え方 後継者不在の黒字企業等の廃業を防止する施策展開 京都経済を支える価値ある企業の廃業を防止するためには 後継者不在の黒字企業等の事業承継をどうやって円滑に進めるかが最大のポイント < 具体的事例への対応 > 親族に後継者が存在せず 従業員の中から後継者を選定する場合課題従業員が事業を

特別障害者一人につき 75 万円を所得から控除することができます 障害者控除は 扶養控除の適用がない16 歳未満の扶養親族を有する場合においても適用されます ⑶ 心身障害者扶養共済掛金の控除 P128 条例の規定により地方公共団体が実施するいわゆる心身障害者扶養共済制度による契約で一定の要件を備えて

相続税に関するチェックリスト

住宅取得等資金贈与の非課税特例 教育資金一括贈与の非課税特例 結婚 子育て資金贈与の非課税特例 相続時精算課税制度 贈与者 贈与年の 1 月 1 日現在で 60 歳以上の父母または祖父母 受贈者 贈与者の直系卑属 ( 子 孫 ひ孫等 ) で贈与の年の 1 月 1 日現在 20 歳以上 受贈年の合計所

目次第一章事業承継の重要性 中小企業の事業承継を取り巻く現状... 5 (1) 中小企業の重要性... 5 (2) 中小企業の現状と経営者の高齢化... 6 (3) 中小企業における事業承継の現状... 9 (4) 早期取組の重要性 事業承継とはどのようなものか..

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ステップ1.家族構成の入力

スポンサー企業 増減資により 再生会社をスポンサー企業の子会社としたうえで 継続事業を新設分割により切り分ける 100% 新株発行 承継会社 ( 新設会社 ) 整理予定の事業 (A 事業 ) 継続事業 会社分割 移転事業 以下 分社型分割により事業再生を行う場合の具体的な仕組みを解説する の株主 整

特集 相続税の課税方式の改正が検討されています 今までの相続税の常識が 通用しなくなる??? 相続税の課税方式の変更を検討 * 平成 20 年 1 月 11 日 財務省発表の 平成 20 年度税制改正要綱 より ( 前略 ) この新しい事業承継税制の制度化にあわせて 相続税の課税方式をいわゆる 遺産

納税猶予打切りリスクの緩和 利子税率の引き下げ 承継 5 年超で 5 年分の利子税の免除 債務控除方式の変更 債務控除を株式以外の財産から行うことで 納税猶予の効果を高める < 平成 27 年度税制改正 > 贈与税の納税猶予 免除制度の拡充 1 代目が存命中に 2 代目が 3 代目に納税猶予 免除制

Ⅰ 法人関連税制 1 減価償却制度 2 年連続の大改正になった背景 減価償却制度については 平成 19 年度税制改正により 残存価額および償却可能限度額の取扱いが廃止される大改正が行われ 定率法はいわゆる 250% 定率法 と呼ばれる従来にない新しい計算の仕組みが採用されました そして平成 20 年

1 特別受益の持戻し免除条項 現在の親は, ある程度以上の資産があると, 余裕からも, また, 相続税対策を考えることからも, 子に生前贈与する傾向がありますが, 子にした生前贈与や遺言書で子に 相続させた 財産について, 持戻しを免除する気持ちがあるのか否かの意思の表明をしない場合が極めて多く,

(1) 政策目的 多様な就業の機会を提供すること等により我が国の経済の基盤を形成している中小企業の事業承継を円滑化することにより 中小企業の事業活動の継続を実現し 雇用の確保や地域経済の活力維持につなげることを目的とする (2) 施策の必要性 全国の経営者の平均年齢は年々上昇しており 例えば資本金

暦年課税の贈与を毎年する人のデータ 暦年課税の贈与は 現金を贈与するのか不動産を贈与するのかで違ってきます 土地は路線価方式または倍率方式で評価し建物は固定資産税評価額で評価しますので 現金での贈与の場合よりも税率は低くなります ただし不動産の贈与では 土地や建物の贈与または共有持分の贈与になります

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中小企業者のための事業承継 ~ 円滑な事業承継の進め方と基礎知識 ~ 中小企業経営者の 後継者への事業引き継ぎ について 平成 21 年 10 月 江塚経営研究所 1

Ⅰ. 我国の事業承継の実態 あなたの会社は後継者を考えていますか? 1. 先送り されている 後継者 の決定 我国の経営者は このところ 高齢化 が顕著になってきました この 20 年間でじつに 6 歳も高齢化しています 表 1 我国企業経営者の平均年齢 ( 単位歳 ) このように高齢化が進んでいるにもかかわらず いざ自社の事業承継となると 1 経営者にとって遠い将来の話である 2 経営者が影響力を維持したい 3 死亡という不幸 を連想させる問題である などを理由にしてその対策は先送りされがちです 実際に 企業の半数近くが後継者選定に目処を立てていません 表 2 中小企業の後継者の 決定状況 2

この状況を 経営者の年齢別に見ると右表のとおりです 表 3 中小企業の後継者の決定状況 ( 代表者年代別状況 ) 2. その結果 廃業が急増しています! 企業経営者の高齢化は 我国では企業の廃業に直接つながってきます 下記のグラフは 30 年間の開業 廃業の推移表です バブル期が終了してから 廃業率が 4% 前後から 5~6% に上昇しています 一方で 安定成長期に入ったこともあって開業率は低下基調です 表 4 企業の開業 廃業推移 3

廃業理由については 経営環境激変という理由も大きいものがありますが 一方で特に零細企業では 代表者の高齢化 後継者がいない という理由が大きなウエイトを占めています 表 5 中小企業の廃業の理由 Ⅱ. 後継者対策 とは どのようなものでしょうか? 1. 2 つの側面 経営そのもの 自社株式 事業資産 の引き継ぎ 我国の中小企業は 大半の企業が経営者による オーナーシップ経営 です 強いリーダーシップのもと 経営者の 経営そのもの と 資産 を重要な 2 つの要素として 事業性が成立し 商売をしているのです このことは ご自身の会社を考えてみてご理解いただけるでしょう u 1 つ目の要素である 経営そのもの については まさに経営者の 個性 であり 事業かじ取りのノウハウや 人脈 業界経験などです u 要素 2 つ目は 自社株式や経営者が提供している 経営者資産 ( 例えば本社底地など ) や 銀行への連帯保証 などの 事業用資産 です 後継者対策 を立案する時 2 つの要素をしっかりと承継することの検討が必要になります それでは この 2 つの要素について 考えてみましょう 4

2. 経営そのものの引き継ぎ 経営者の 個性 の引き継ぎ 選定した後継者に対して 現経営者が持っている 経営ノウハウ や 経営のコツ を円滑に承継させることが必要です u 経営理念など 会社の重要な目的 位置づけ 基本方針などの承継 会社は 経営者や社員など一部の ひとの交代 だけで大きな変化をさせてはいけません 継続性の原則 もあって 一定の基本コンセプトや企業理念などは 過去からのバトンをしっかり引き継いでいくことが重要です 経営理念 創業の志 社是 社訓 全員の誓い など会社の中脈々と引き継がれている 価値観 や 信条 などは 後継者に対してしっかりと伝えていくことが求められます u 経営ノウハウやコツの承継 後継者には 現経営者が長年苦労して積み上げてきた取引先 リーダーシップ 経営ノウハウ 人脈 業務知識 経験 販売ノウハウなどを 可能な限り多く吸収させることが求められています 現経営者が 手塩にかけて作り上げてきた会社の仕組みを 後継者への不十分な引き継ぎであっという間に ぶち壊し されることを回避しなければなりません 経営そのもの の 承継の失敗 企業の破局 事業継続の失敗! そのためには 早期に後継者を決定して 社内外の理解を得ながら 後継者教育 を行いながら 経営の継承 を実施していきます 5

3. 自社株式 経営資産についての引き継ぎ 経営の引き継ぎ だけで バトンタッチ OK というわけにはいきません 経営者のリーダーシップの背景にあるのは 自社株式による支配であり また経営者が会社に貸与する資産等があるからで 何も持たない経営者 は 社内において経営の支配権を司ることができないからです この点はしっかりと理解しないと 事業の承継は失敗します 具体的には 以下の 2 つの対策が必要になります u 自社株式 事業用資産の 後継者への集中 ( 親族承継の場合は 遺留分対策 = 相続対策 も ) 現経営者と同様の 安定的な経営 をしていくためには 経営者が持っている 自社株式や事業への供出資産 を新しい経営者 ( 後継者 ) に集中的に承継させることが求められます 親族承継の場合 経営者に複数の子息がいるケースも多いと思われます 複数の子息がいるとき 後継者以外の子息に対する 遺留分 ( 原則基礎財産の半分 ) とのバランス 相続紛争がない納得性のある資産承継を進めていくことが重要になります u 必要な資金の確保 新しい後継者に経営上の株式や資産を集中する過程で 新たにそのための資金が必要となるときがあります 遺留分や相続のために後継者以外に渡った株式や事業用資産について 場合によっては後継者あるいは会社が買取する場合です また 多額の 相続税 が発生するケースもあります このように 事業承継に際しては後継者あるいは会社は自社株式や事業用資産の買い取りや相続税納付のために 多額の資金が必要となる場合を想定して 早めに準備をしておく必要があります 6

Ⅲ. 後継者の選び方と準備するポイント および新しい 事業承継支援策 1. 誰を後継者とすることができるのでしょうか 事業の承継する方法としては 現在は中小企業の 60% 前後が親族によるものとなっています この他に 親族以外の社内人材や外部から招聘するケース また経営者の持ち株を他社に売却するあるいは会社事業を他社に譲渡する など様々なケースがあります 大別すると 次のとおりです (1) 親族 ( 子息など ) に承継する (2) 社内の幹部や社員に承継する (3) 外部の取引先などに会社を売却する 2. 親族 ( 子息など ) に承継するケース 最も一般的なケースです その他の継承方式と比較しても 社内紛争も少なくスムーズな承継が可能です オーナー企業の場合 現経営者の親族とくに子息を選定すると 会社の関係者の納得性が最も高い と考えられます この時に 子息に資質と自覚があればもっと理解を得やすいでしょう 子息に経営者としての資質がないと判断する場合や 子息に引き継ぐ意思がない時は 他の親族例えば 甥 子息の配偶者 などを後継者に指名することも考えられます なお 親族に会社を承継するときは 場合によっては 多額の税金が必要 ( 課題 1 ) 相続紛争が心配 ( 課題 2 ) など資産を承継する様々な課題が発生します 7

u 課題その 1 相続税 贈与税対策 (1) 事前の贈与税による対策 早い段階から後継者に自社株や事業用資産を承継しておくこと がポイントです 高年齢になればなるほど 節税する機会や余裕が少なくなります また 自社株を 安く 承継すること また移転する機会 ( チャンス ) を創出することなど 工夫や研究も有効な対策につながります < 毎年の贈与 > 計画的に株式を後継者に贈与していく方法です 毎年の贈与税の基礎控除額 (110 万円 ) を活用して 税額を節約して後継者に少しずつ資産を承継します < 相続時精算課税制度 > 相続時に相続税で清算する ということを前提に 特別控除額が 2,500 万円となる制度です (65 歳以上の親と 20 歳以上の相続人 ) 一度本制度を利用した場合は 毎年の贈与控除は使用できなくなり 通算して相続時に清算する仕組みです (2) 事業承継を支援する相続時の特例措置がスタートしました スムーズな事業承継を税制面で支援するために 今年度から相続時に特例措置が設けられるようになりました 相続税および贈与税 80% 納税猶予制度 です < 相続税の 80% 納税猶予制度 > 発行済み株式総数の 3 分の 2 までの自社株式の 80% までを相続対象額から減額する制度です ( ただし 納税猶予であり 要件 がある 要件を逸脱すると納税復活 ) 例えば 評価額 6 億円の株式の 3 分の 2 は 4 億円であり その 80% 3.2 億円の株式は減額され 3 分の 1 の 2 億円と 20% の 8 千万円分の株式についてのみ相続税が課税されます 6 億円 2.8 億円分への課税 と 大幅に課税対象額が小さくなります 8

u 課題その 2 後継者に事業資産集中するときの相続紛争防止策 円滑な事業承継を行い 経営を早期に安定させるためには 後継者に対して自社株や事業性資産を集中させる必要があります しかし 経営者の相続人は後継者ばかりではありません 子息も複数いる場合もありますし その際 相続紛争 になる可能性も高いと思われます 相続人全員とのバランスをとりながら事業承継をスムーズに進めていくには 十分な準備と全員の認識統一が必要です 相続人全員の了解のもとで しっかりと後継者に事業用株式や資産を集中させていくことを進めてください (1) 生前贈与 遺言の活用 生前に 何も対策をしないままで経営者が死亡して相続が始まると 後継者が 他の親族の同意 を求めて 事業用株式や資産を集中 させることが難しくなります 従って 経営者は事業の安定的な承継のためにも 生前に贈与をする あるいは遺言を作成して予め準備 対策を講じておくことが重要です (2) 新法 民法特例 ( 経営承継円滑化法 ) の活用 昨年 5 月に成立し すでに施行されている 経営承継円滑化法 による民法特例の活用も可能です 今の法律では 遺留分 といって相続基礎財産の 2 分の 1 は最低限の権利として相続人全員による確保ができる制度になっています ( 基礎財産 生前贈与された自社株式も 現在価格で算入される ) ところが 生前贈与された事業用株式を相続基礎財産に加えて遺留分として分配すると 後継者に十分な資産継承ができず 経営安定への基盤が脆弱になる心配があります そこで 相続人が事前に 合意 をして 契約をしておけば相続基礎財産から事業用の株式を一部 除外 することが可能になりました 内容は 経営者が生前に贈与した自社株式について 遺留分算定の基礎財産から除外する 除外特例 と 遺留分算定の基礎財産への株式価格を予め固定する 固定特例 の二つがあります 9

(3) 会社や後継者による事前の買い取り 相続後の買い取り 株式を中心とした事業用資産を後継者に集中する時 事前に 売買 にて確保することも選択肢として有効です 売買ですので 将来的に相続基礎財産にも算入されませんし 他の相続人にも極めて合理的です しかし 買い取り費用 ( 資金 = 借り入れ?) の問題や受け取り側の税金の問題が発生しますので そのような余裕がある場合に限定されます 相続発生後 分割 が避けられなくなった場合 分散された事業用資産を後継者か会社が他の相続人から買い取りする方法もあります ただし 極めて非効率であり 回避したい方法です (4) 会社法の活用 新しい 会社法 では 種類株式 という概念があります このうち 議決権制限株式 を利用して 後継者への議決権集中を図る方法もあります 後継者には議決権株式を相続させ 経営に携わらない相続人には議決権制限株式を渡して後継者に経営を集中できる体制を作る方法です この方法も とても専門的ですので もしご希望ある場合は商工会議所などの専門家に相談しましょう 3. 後継者を社内から選定する あるいは外部から経営者を招聘する 親族に適当な後継者人材がいない場合 社内 ( 社員 ) のなかから選抜するか あるいは外部の方に入社してもらって継承してもらうというケースが考えられます オーナー企業でも 株式の一部を社員が保有しているケース 役員になっているケースでは 社内の社員納得性 = 理解は高いものと思われます u 経営そのもの の承継については あまり問題がなくスムーズに引き継ぎができる場合が多いでしょう u その一方で 資産の引き継ぎ がまったく無視されると 経営を進める基盤である株式や事業用資産というバックアップがない 不安定な経営 を余儀なくされます 資産の引き継ぎは とても厄介な問題です 親族ではありませんので相続対象でもありません 贈与するというわけにもいきませんので 後継者に意欲があっても実際は後継できない場合が大半になります 事業用の資産 具体的には株式 経営者提供資産になるわけですが 後継者に現金がある場合は 買い取りすれば良いので問題がありません 10

しかし 後継者に現金や資産がない場合は 銀行から借り入れことが考えられますが 調達できるかどうかは難しい問題です MBO( マネジメントバイアウト ) といって 株式を譲渡してもらい その株式を担保に借り入れを起こすことも一つの方法です 経営者が 親族以外の経営者に ある程度資金的支援 をする覚悟がある場合は 外部から 経営希望者 や 経営専門家 を招聘して経営者になってもらう という方式もでてきました このために 全国の 事業承継支援センター によって 後継者不在企業と開業希望者のマッチング ( あっせん ) を行っています 4. 外部の取引先などに会社を売却するケース 親族にも社内にも適当な後継者がいない場合は 選択肢は二つになります 会社を外部の取引先や同業者などに引き取ってもらう方法 または廃業です u 外部の企業などに引き取ってもらう方法 世間でいわゆる M&A と呼ばれている方法です 経営者の保有株式の価格を評価して 外部の取引先や同業者あるいは別の法人に株式売却を通して 企業を売却するものです また 株式ではなく営業権や不動産という形にして 事業として売却 するケースも考えられます しかし この M&A 方式は 世間で騒がれるほど簡単ではありません 買い手がないのです 中小企業 100 社あって この方式で成功するのは 1 社あれば良い方でしょう 地域内の同業者に頼み込んで 会社を引き取ってもらう あるいは数社が連携して 一つの会社 になって事業を継続する など日常の 生活の知恵 がない限り この方式はまず成立しません u 廃業 会社を清算する方式です この場合は せっかくの事業は終局を迎えます 11

5. 新しい事業承継支援策 ( 納税猶予制度および経営承継円滑化法 ) (1) 21 年度税制で 事業承継に関わる 後継者の相続税 生前贈与の贈与税 について 80% の納税猶予制度がスタートしました 非上場株式等に係る相続税の納税猶予制度の概要 非上場株式等に係る贈与税の納税猶予制度の概要 12

(2) 昨年 10 月に施行された 中小企業経営承継円滑化法 では 遺留分に関する民法の特例 によって 後継者への自社株式の集中が容易になりました 経営承継円滑化法による遺留分の特例概要 除外特例および固定特例 遺留分は 相続財産の一定部分を法定相続人に対して保証する制度 直系尊属のみが相続人である場合 被相続人財産の 1/3 それ以外の場合 被相続人財産の 1/2 13

Ⅳ. 後継者への引継ぎ 育成の留意点 1. 事業承継において経営引き継ぎが成功するポイント 後継者が世代交代後に 経営力を発揮し社内を安定的に指導していく 成功の秘訣 ポイント は 次の 3 つになります u 先代経営者による経営力伝授 計画的に後継者を育成していく 先代経営者の強いリーダーシップで後継者に 経営経験の共有 を推し進めさせることであり 次のような場合は 後継者の経営力促進の面で大きな効果があります 営業体制変更など 社内体制整備 を後継者とともに実施します 資金繰りタイトなど 業況が厳しいとき に共に体験します 後継者に 背中 を見せます 後継者に通常業務を間近に見せ 先代経営者の経営振りを見せます あるいは一緒に議論します u 後継者自身の独自の経営力獲得努力が重要 後継者が独自に問題意識の醸成を図る努力をすることです 先代の良さを引き継ぎながら 自らが問題意識を高める取組みでもあります 社内経験の蓄積を図ることであり 入社後に幅広い社内経験を蓄積することで経営力が身に付きます 社外における経験であり 他社経験 後継者独自の経営力がつきます u 組織の全面的バックアップ とくに 社内での思い切った権限委譲は効果が高いと思われます その時の会社内部のバックアップが欠かせません 早い段階で 後継者に重要な経営判断を任せることが後継者の計画的育成にとって重要でしょう 例えば 大きな裁量を与える あるいは重要なポストを経験させるなどにより成功している例は多いと思われます 14

2. 後継者決定のときに一緒に 経営革新計画 にチャレンジすると改善効果 が高い 現経営者が長く経営を担当してきた企業では 経営が安定的に見えても環境変化に十分な対応ができていないままの状態が多い と考えられます このような企業において 環境変化への早期の対応 すなわち会社改革や 経営革新 を 着任直後の後継者がひとりですぐには着手できない ということは明白でしょう 後継者が決定し 引き継ぎがスタートした段階で ともに企業の将来ビジョンを討議しあい 経営の刷新や改革に向けて一緒になって 経営革新計画 づくりに邁進することにより 環境への対応や新しい経営スタイルが生まれる絶好の契機になります 経営革新制度 法律で中小企業を支援するとても良い制度があります 現在の経営を少しでも変革する 計画 を千葉県に提出して承認されますと 低利融資や減価償却減税 利子補給などの支援を受けられます また 事業承継を契機に経営革新制度への取り組みを特集した冊子が中小公庫 ( 現日本政策金融公庫 ) からレポートされています 事業承継を契機とした経営革新 2008 年 5 月レポート 15

Ⅴ. あなたの会社も早期の決断が重要です! 外部支援組織活用も便利! 1. 事業の継承対策 早期のスタートが肝心! 今までいろいろとお話ししてきたように 事業承継を検討して実施開始するまでには 手間がかかるし時間を要します しかも 他人や社員にも相談できないために どうしても 先送り しがちで あっという間に経営者が高齢化してしまいます ご自身の事業を 次世代に引き継ぎたい あるいは社会のため社員のために 引き継がねばならない という場合は 決心を早めましょう! 2. ご相談は 事業承継支援センター あるいは商工会議所が便利です! u 松戸商工会議所などの公的支援組織が便利です 各地の商工会議所にある中小企業相談所では 事業承継に関するご相談をはじめ 高度で専門的な相談に対応できるよう 中小企業診断士 税理士 弁護士 社会保険労務士 行政書士 公認会計士 商業施設士の方々による無料相談会を開設しております なお 会議所では会社機密は厳重に管理いたしますのでご安心して相談ください u より詳しいご相談は 事業承継支援センター へ ( 松戸会議所で取り次ぎします ) 千葉県では 千葉商工会議所 内に設置されています 電話 043-227-4103 以上 16