教育と法Ⅰ(学習指導要領と教育課程の編成)

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人間関係を深めるとともに, 児童が自己の生き方についての考えを深め, 家庭や地域社会との連携を図りながら, 集団宿泊活動やボランティア活動, 自然体験活動などの豊かな体験を通して児童の内面に根ざした道徳性の育成が図られるよう配慮しなければならない その際, 特に児童が基本的な生活習慣, 社会生活上の

第 1 章総則第 1 教育課程編成の一般方針 1( 前略 ) 学校の教育活動を進めるに当たっては 各学校において 児童に生きる力をはぐくむことを目指し 創意工夫を生かした特色ある教育活動を展開する中で 基礎的 基本的な知識及び技能を確実に習得させ これらを活用して課題を解決するために必要な思考力 判

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ICTを軸にした小中連携

Taro-自立活動とは

学習意欲の向上 学習習慣の確立 改訂の趣旨 今回の学習指導要領改訂に当たって 基本的な考え方の一つに学習 意欲の向上 学習習慣の確立が明示された これは 教育基本法第 6 条第 2 項 あるいは学校教育法第 30 条第 2 項の条文にある 自ら進んで学習する意欲の重視にかかわる文言を受けるものである

平成27年度公立小・中学校における教育課程の編成実施状況調査結果について

「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けて

平成31年4月1日から新特別支援学校高等部学習指導要領が適用されるまでの間における現行特別支援学校高等部学習指導要領の特例を定める件

各教科 道徳科 外国語活動 総合的な学習の時間並びに特別活動によって編成するものとする 各教科 道徳科 総合的な学習の時間並びに特別活動によって編成するものとする

愛媛県学力向上5か年計画

新学習指導要領の理念と カリキュラム マネジメント 2019( 平成 31) 年 1 月 16 日 文部科学省 3 階講堂 天笠茂 ( 千葉大学特任教授 )

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第 1 章 通級による指導 ~ 開始前に知っておくべき基礎知識 ~ 1 通級による指導とは 通級による指導とは 通常の学級に在籍する障がいのある児童生徒が 各教科等の大部分の授業を通常の学級で受けながら 一部の授業について 障がいに応じた特別の指導を 通級指導教室 といった特別な場で受ける指導形態の

3 調査結果 1 平成 30 年度大分県学力定着状況調査 学年 小学校 5 年生 教科 国語 算数 理科 項目 知識 活用 知識 活用 知識 活用 大分県平均正答率 大分県偏差値

【法令番号入】移行措置通知_教委

教育公務員特例法等の一部を改正する法律について

Ⅰ 評価の基本的な考え方 1 学力のとらえ方 学力については 知識や技能だけでなく 自ら学ぶ意欲や思考力 判断力 表現力などの資質や能力などを含めて基礎 基本ととらえ その基礎 基本の確実な定着を前提に 自ら学び 自ら考える力などの 生きる力 がはぐくまれているかどうかを含めて学力ととらえる必要があ

平成29年度 小学校教育課程講習会 総合的な学習の時間

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資料7 新学習指導要領関係資料

学習指導要領の改訂に伴う移行措置の概要 1 移行期間における基本方針 新学習指導要領への移行のための期間 ( 小学校 : 平成 年度 中学校 : 平成 30 ~32 年度 ) において 円滑な移行ができるよう内容を一部加える等の特例を設ける 指導内容の移行がないなど教科書等の対応を要しな

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教職課程を開設している学部・学科の専任教員数及び授業科目等_2018

総合的な学習の時間とカリキュラム・マネジメント

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スライド 1

総則

本日 2012 年 2 月 15 日の記者説明会でのご報告内容をお送りいたします 文部科学省記者会でも配布しております 報道関係各位 2012 年 2 月 15 日 株式会社ベネッセコーポレーション代表取締役社長福島保 新教育課程に関する校長 教員調査 新教育課程に関する保護者調査 小学校授業 国語

個人情報の保護に関する規程(案)

1 大学等を卒業して小学校教諭普通免許状を取得する ( 免許法別表第 1) 基礎資格 種類 基礎資格 専修 修士の学位 ( 大学 ( 短期大学を除く ) の専攻科又は大学院に1 年以上在学し,30 単位以上修得した場合を含む ) 一種 学士の学位 ( 学校教育法第 102 条第 2 項により大学院へ

学習指導要領の領域等の平均正答率をみると 各教科のすべての領域でほぼ同じ値か わずかに低い値を示しています 国語では A 問題のすべての領域で 全国の平均正答率をわずかながら低い値を示しています このことから 基礎知識をしっかりと定着させるための日常的な学習活動が必要です 家庭学習が形式的になってい

第4章 道徳

教科に関する科目 ( 経済学部教員免許取得コース ) 学校 / 社会高校 / 地歴高校 / 高 一般的包括的科目 学社会 高校地歴 高校 日本史 日本史 T 日本経済史 430 T 外国史 A( 西洋史 ) 934 T 外国史 B( 東洋史 ) 9334 T 日本史及び外国史 外国史

訂されている 幼稚園 小 中学校学習指導要領改訂の基本的な考え方として 次の 3つがあげられる 1. 子供たちに求められる資質 能力を明確にし それらを社会と共有していくという社会に開かれた教育課程を実現していく 2. 現行学習指導要領の枠組みや教育内容を維持した上で 知識の理解の質を高めていく 3

123

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平成23年度全国学力・学習状況調査問題を活用した結果の分析   資料

特別支援学校学習指導要領解説 総則等編(幼稚部・小学部・中学部)

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資料3-1 学習指導要領について

2 具体的な指導内容について 各教科等を合わせた指導 としては これまで 特別支援学校 ( 知的障害 ) において 日 常生活の指導 生活単元学習 遊びの指導 作業学習 等が実践されています 1 日常生活の指導 日常生活の指導は 児童生徒が毎日の生活で繰り返す様々な活動を 日常の生活の流れにそって働

第 2 章 知 徳 体 のバランスのとれた基礎 基本の徹底 基礎 基本 の定着 教育基本法 学校教育法の改正により, 教育の目標 義務教育の目標が定められるとともに, 学力の重要な三つの要素が規定された 本県では, 基礎 基本 定着状況調査や高等学校学力調査を実施することにより, 児童生徒の学力や学

事業者が行うべき措置については 匿名加工情報の作成に携わる者 ( 以下 作成従事者 という ) を限定するなどの社内規定の策定 作成従事者等の監督体制の整備 個人情報から削除した事項及び加工方法に関する情報へのアクセス制御 不正アクセス対策等を行うことが考えられるが 規定ぶりについて今後具体的に検討

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ICT による新しい学び 急速な情報通信技術 (ICT) の進展やグローバル化など 変化の激しい社会を生きる子供たちに 確かな学力 豊かな心 健やかな体の調和のとれた 生きる力 を育成することがますます重要になってきています 2

資料3 道徳科における「主体的・対話的で深い学び」を実現する学習・指導改善について

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①H28公表資料p.1~2

必要性 学習指導要領の改訂により総則において情報モラルを身に付けるよう指導することを明示 背 景 ひぼう インターネット上での誹謗中傷やいじめ, 犯罪や違法 有害情報などの問題が発生している現状 情報社会に積極的に参画する態度を育てることは今後ますます重要 目 情報モラル教育とは 標 情報手段をいか

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小学校と中学校の連携について

(2) 国語 B 算数数学 B 知識 技能等を実生活の様々な場面に活用する力や 様々な課題解決のための構想を立て実践し 評価 改善する力などに関わる主として 活用 に関する問題です (3) 児童生徒質問紙児童生徒の生活習慣や意識等に関する調査です 3 平成 20 年度全国学力 学習状況調査の結果 (

平成 28 年度全国学力 学習状況調査の結果伊達市教育委員会〇平成 28 年 4 月 19 日 ( 火 ) に実施した平成 28 年度全国学力 学習状況調査の北海道における参加状況は 下記のとおりである 北海道 伊達市 ( 星の丘小 中学校を除く ) 学校数 児童生徒数 学校数 児童生徒数 小学校

高等学校学習指導要領解説 総則編

(6) 調査結果の取扱いに関する配慮事項調査結果については 調査の目的を達成するため 自らの教育及び教育施策の改善 各児童生徒の全般的な学習状況の改善等につなげることが重要であることに留意し 適切に取り扱うものとする 調査結果の公表に関しては 教育委員会や学校が 保護者や地域住民に対して説明責任を果

(1) 体育・保健体育の授業を改善するために

2 教科に関する調査の結果 ( 各教科での % ) (1) 小学校 国語 4 年生 5 年生 6 年生 狭山市埼玉県狭山市埼玉県狭山市埼玉県 平領均域正等答別率 話すこと 聞くこと 書くこと

自立活動とは

解禁日時新聞平成 30 年 8 月 1 日朝刊テレビ ラジオ インターネット平成 30 年 7 月 31 日午後 5 時以降 報道資料 年月日 平成 30 年 7 月 31 日 ( 火 ) 担当課 学校教育課 担当者 義務教育係 垣内 宏志 富倉 勇 TEL 直通 内線 5

主体的に学習に取学習意欲を向上させるためには 児童生徒が学習の目的を自覚して見通しり組む意欲 態度を立てたり 学習したことを振り返ったりする活動を計画的に取り入れるように工夫し 学習することの意味をとらえたり 成長を実感できるようにしたりして 児童生徒の興味 関心を生かした学習指導を展開することが重

<H19 年度からの平均正答率の経年変化を表すグラフ > * 平成 22 年度は抽出調査のためデータがありません 平成 23 年度は震災のため中止となりました 豊能町立小学校全国学力学習状況調査結果 ( 平均正答率全国を 1 として ) H19 H20 H21 H

幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について(答申)補足資料

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ホームページ掲載資料 平成 30 年度 全国学力 学習状況調査結果 ( 上尾市立小 中学校概要 ) 平成 30 年 4 月 17 日実施 上尾市教育委員会

010国語の観点

目 次 1 学力調査の概要 1 2 内容別調査結果の概要 (1) 内容別正答率 2 (2) 分類 区分別正答率 小学校国語 A( 知識 ) 国語 B( 活用 ) 3 小学校算数 A( 知識 ) 算数 B( 活用 ) 5 中学校国語 A( 知識 ) 国語 B( 活用 ) 7 中学校数学 A( 知識 )

p.1~2◇◇Ⅰ調査の概要、Ⅱ公表について、Ⅲ_1教科に対する調査の結果_0821_2改訂

北九州市学力向上ステップアップ事業第Ⅱ期推進指定校 実施計画

中央教育審議会 初等中等教育分科会 教育課程部会 生活・総合的な学習の時間専門部会(第7回)議事録・配付資料 [資料7]

3. 分析と結果 公表に対する配慮事項 公表に際しては 文部科学省が定めた平成 29 年度全国学力 学習状況調査実施要領に基づき 次の点に配慮して実施します 1) 本調査は 太子町の子どもたちの学力や学習状況を把握し分析することにより 全国 大阪府の状況との関係において教育及び教育施策の成果と課題を

5 所要資格 基礎 免許 在職年数 有することを必要とする学校の免許状高等学校教諭普通免許状 1 基礎免許取得後 当該免許で良好な成績で勤務したことを必要とする最低在職年数以下に掲げる高等学校等における教員経験 高等学校 3 年 中等教育学校の後期課程 特別支援学校の高等部 基礎免許取得後 大学等に

幼児期の教育と小学校教育との円滑な接続の在り方について ( 報告 ) ( 概要 ) 子どもの発達や学びの連続性を踏まえた幼児期の教育 ( 幼稚園 保育所 認定こども園における教育 ) と児童期の教育 ( 小学校における教育 ) の円滑な接続の在り方について検討し 以下のとおり 報告をとりまとめた 1

2. 教科別結果の見方各学年の教科別の結果については 教科全体 及び 基礎 と 活用 の結果について示しています また 横須賀市の結果と共に 調査全体の数値を載せています 調査全体について : 同じ問題を受検した全国の児童全体です 学年や教科によって違いますが 母数は 13 万人から 20 万人とな

日本・OECD共同イニシアチブプロジェクトの取組報告1 (岸学 東京学芸大学名誉教授)

算数でも 知識 (A) 問題 活用 (B) 問題とも 全領域で全国平均を上回りました A 問題では 14 問中 12 問が全国平均を上回り うち8 問が5ポイント以上上回りました 下回った2 問は 直径と円周の長さの関係理解 と 除法で表す2 量関係の理解 でした B 問題では 10 問中 9 問が

2 教科に関する調査の結果 (1) 平均正答率 % 小学校 中学校 4 年生 5 年生 6 年生 1 年生 2 年生 3 年生 国語算数 数学英語 狭山市 埼玉県 狭山市 61.4

別記 北海道立高等学校教育課程編成基準の一部改正について ( 平成 30 年 3 月 14 日教育委員会決定 ) 北海道立高等学校教育課程編成基準 ( 平成 23 年 3 月 10 日教育委員会決定 ) の一部を次のように改正する 別記 1の2 中 (16) を (18) とし (12) から (1

Taro-① 平成30年度全国学力・学習状況調査の結果の概要について

Ⅱ 章教育課程の編成 1 教育課程の意義と編成の基準章(1) 教育課程の意義 学校において編成する教育課程とは, 教育基本法及び学校教育法その他の法令に従い, 学校教育の目的や目標を達成するために, 教育の内容を児童生徒の心身の発達に応じて, 授業時数との関連において総合的に組織した各学校の教育計画

市中学校の状況及び体力向上策 ( 学校数 : 校 生徒数 :13,836 名 ) を とした時の数値 (T 得点 ) をレーダーチャートで表示 [ ] [ ] ハンドボール ハンドボール投げ投げ H29 市中学校 H29 m 走 m 走 表中の 網掛け 数値は 平均と同等または上回っているもの 付き

瑞浪市調査結果概略(平成19年度全国学力・学習状況調査)


(2) 学習指導要領の領域別の平均正答率 1 小学校国語 A (%) 学習指導要領の領域 領 域 話すこと 聞くこと 66.6(69.2) 77.0(79.2) 書くこと 61.8(60.6) 69.3(72.8) 読むこと 69.9(70.2) 77.4(78.5) 伝統的な言語文化等 78.3(

平成16年度小学校及び中学校教育課程研究協議会報告書

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(2) 国語科 国語 A 国語 A においては 平均正答率が平均を上回っている 国語 A の正答数の分布では 平均に比べ 中位層が薄く 上位層 下位層が厚い傾向が見られる 漢字を読む 漢字を書く 設問において 平均正答率が平均を下回っている 国語 B 国語 B においては 平均正答率が平均を上回って

特別支援学校 教育要領・学習指導要領

国語の授業で目的に応じて資料を読み, 自分の考えを 話したり, 書いたりしている

3 審査基準等 4 参考 (2) 同書は 文字通り申請の為の事務的な手引きであるため 教科に関する科目 について 4 区分の取り扱いなどについての言及はない もちろん 教職課程の申請をする場合には 文部科学省初等中等教育局教職員課免許係との事前相談との中で 口頭による指導が行われ 成文化されていない

今年度は 創立 125 周年 です 平成 29 年度 12 月号杉並区立杉並第三小学校 杉並区高円寺南 TEL FAX 杉三小の子

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資料1 審議のまとめ(素案)のポイント

Transcription:

教育と法 Ⅰ ( 学習指導要領と教育課程の編成 ) 明星大学教授 樋口修資

1 教育課程の基準の設定について 学校は 公の性質 を有する ( 教育基本法第 6 条 ) ものであり 国は 全国的な観点から 教育の機会均等と教育水準の維持向上のため 学校が編成する教育課程についての全国的な基準 ( ナショナル ミニマム ) の設定権を有する ( 昭和 51 年 5 月 21 日永山中学校事件最高裁判決 ) 国は 国政の一部として広く適切な教育政策を樹立 実施すべく また しうる者として 憲法上は あるいは子ども自身の利益の擁護のため あるいは子どもの成長に対する社会公共の利益と関心にこたえるため 必要かつ相当と認められる範囲において 教育内容についてもこれを決定する権能を有するものと解さざるをえず これを否定すべき理由ないし根拠は どこにも見出せないのである

2 教育課程に関する法制 学校教育法第 33 条 小学校の教育課程に関する事項は 第 29 条及び第 30 条の規定に従い 文部科学大臣が定める 第 29 条 ( 小学校の目的 ) 第 30 条 ( 小学校教育の目標 ) 中学校等に準用 文部科学大臣の定め 学校教育法施行規則第 52 条 小学校の教育課程については この節に定めるもののほか 教育課程の基準として文部科学大臣が別に公示する小学校学習指導要領によるものとする

2-2 この節に定めるもの とは 教育課程編成の基本的要素 1 教育課程の編成 ( 第 50 条 ) 小学校の教育課程は 各教科 道徳 外国語活動 総合的な学習の時間並びに特別活動によって編成する 2 授業時数 ( 第 51 条 ) 小学校の各学年における各教科 のそれぞれの授業時数並びに各学年におけるこれらの総授業時数は 別表第 1に定める授業時数を標準とする 教育課程編成の特例措置 3 教育課程編成の特例 ( 第 53 条 ) 4 履修困難な各教科の学習指導 ( 第 54 条 ) 5 教育課程の研究上の特例 ( 第 55 条 ) 6 特色ある教育課程編成の特例 ( 第 55 条の 2) 7 不登校児に対する教育課程編成の特例 ( 第 56 条 ) 8 日本語教育のための教育課程編成の特例 ( 第 56 条の 2) 9 日本語教育授業の特例 ( 第 56 条の 3)

3 学習指導要領について 学習指導要領 文部科学大臣が定める教育課程の基準 ( 最小限基準 ) 国公私立学校を通じて適用される教育課程編成の準則であり 法的拘束力 を有する 各学校においては 教育基本法及び学校教育法その他の法令並びにこの章以下に示すところに従い 児童の人間として調和のとれた育成を目指し 地域や学校の実態及び児童の心身の発達の段階や特性を十分考慮して 適切な教育課程を編成するものとし ( 小学校学習指導要領総則第 1 教育課程編成の一般方針 )

3-2 学習指導要領の 基準性 とは 小学校学習指導要領第 1 章総則 第 1 教育課程編成の一般方針 各学校においては 教育基本法及び学校教育法その他の法令 に従い 適切な教育課程を編成するものとし 第 2 内容等の取扱いに関する共通事項 1 第 2 章以下に示す各教科 道徳 外国語活動及び特別活動の内容に関する事項は 特に示す場合を除き いずれの学校においても取り扱わなければならない 2 学校において特に必要がある場合には 第 2 章以下に示していない内容を加えて指導することができる また 第 2 章以下に示す内容の取扱いのうち内容の範囲や程度等を示す事項は すべての児童に対して指導するものとする内容の範囲や程度等を示したものであり 学校において特に必要がある場合には この事項にかかわらず 指導することができる ただし 各学年の目標や内容の趣旨を逸脱したり 児童の負担過重となったりすることがないように

教育課程の意義 4 教育課程の編成 学校において編成する教育課程とは 学校教育の目的や目標を達成するために 教育の内容を児童の心身の発達に応じ 授業時数との関連において総合的に組織した学校の教育計画である 教育課程の基本的要素 〇学校の教育目標の設定 教育基本法及び学校教育法を踏まえる〇指導内容の組織 学校教育法施行規則や学習指導要領に従う〇授業時数の配当 学校教育法施行規則を踏まえる

4-2 教育課程編成に当たって 学校教育の目的 目標 教育基本法教育の目的 ( 第 1 条 ) 及び目標 ( 第 2 条 ) 義務教育の目的 ( 第 5 条 2 項 ) や学校教育の基本的役割 ( 第 6 条 2 項 ) 学校教育法義務教育の目標 ( 第 21 条 ) 小学校の目的 ( 第 29 条 ) 目標 ( 第 30 条 ) 中学校の目的 ( 第 45 条 ) 目標 ( 第 46 条 ) 高等学校の目的 ( 第 50 条 ) 目標 ( 第 51 条 ) 特別支援学校の目的 ( 第 72 条 ) 学力の 3 要素 1 基礎的な知識 技能の習得 2 課題解決に必要な思考力 判断力 表現力等の育成 3 主体的に学習に取り組む態度の養成

4-3 教育課程編成に当たって (2) 指導内容の組織 学校教育法施行規則 ( 第 50 条 1 項 ) 〇教育課程は 国語 社会 算数 理科 生活 音楽 図画工作 家庭及び体育の各教科 道徳 外国語活動 総合的な学習の時間並びに特別活動により編成すること ( 小学校の場合 ) 学習指導要領 〇各教科等の指導内容を学年段階に即して示している 各学校では これらの基準に従うとともに地域や学校の実態及び児童の心身の発達の段階と特性を考慮して指導内容を組織する必要

4-4 教育課程の編成に当たって (3) 授業時数の配当 〇授業時数は 教育の内容との関連において定められるべきもの 学校教育は一定の時間内に行われなければならないので その配当は教育課程の編成上重要な要素 〇授業時数については 学校教育法施行規則第 51 条に各教科等の標準授業時数が定められているので 各学校はそれを踏まえ授業時数を定める

授業時数等 年間授業時数 各教科等の内容を指導するに必要な時数であり これを下回ることは 学習指導要領の基準性の観点から適当ではない 小学校の場合 850 時間 ( 小 1) 910 時間 ( 小 2) 945 時間 ( 小 3) 中学校の場合 980 時間 ( 小 4~6) 週 28 時間 年間 35 週 1015 時間 週 29 時間 年間 35 週 1 単位時間 児童の発達段階及び各教科等や学習活動の特質を考慮して 適切に定める 教育効果を高める観点から 授業時間の区切りの変更は可 小学校の場合 45 分 例 : 実験 観察の理科授業 (60 分 ) 中学校の場合 50 分計算や漢字の反復学習 (10 分程度 ) 時間割の弾力的な編成 地域や学校及び児童の実態 各教科等や学習活動の特質等に応じて 創意工夫を生かし時間割を弾力的に編成できる 時間割を年間で固定せず 弾力的に組み替えることに配慮する必要

5 教育課程編成と教育委員会の役割 地方教育行政の組織及び運営に関する法律 〇第 21 条第 5 号において 教育委員会は 所管する公立学校の教育課程に関する事務を管理 執行することとされている 〇第 33 条第 1 項により 教育委員会は 法令又は条例に違反しない限度において教育課程について必要な教育委員会規則を定めるものとされる 〇この規定に基づき 教育委員会は教育課程について規則などを設けている場合には 学校はそれに従って教育課程を編成しなければならない

6 学習指導要領をめぐる最新動向 (1) 特別の教科道徳 の創設 〇平成 27 年 3 月の学校教育法施行規則及び小中学校等の学習指導要領の一部改正 小学校では平成 30 年度 中学校では平成 31 年度から全面実施 小学校学習指導要領 第 1 章第 1 の 2 2 学校における道徳教育は 特別の教科である道徳 ( 以下 道徳科 という ) を要として学校の教育活動全体を通じて行うものであり 児童の発達の段階を考慮して 適切な指導を行わなければならない 〇 特別の教科 の意義 1 検定済教科書の使用 2 各教科の指導とは異なり 専門の免許状が設けられていないこと 3 各教科の評価とは異なり 指導要録等に示す指標として数値などによる評価は行わず 記述による評価を行うこと

6-2 学習指導要領をめぐる最新動向 (2) 新しい学習指導要領の告示 〇平成 29 年 3 月 小中学校等の学習指導要領の全部を改正する告示が公示 小学校は平成 32 年度から 中学校は平成 33 年度から全面実施 ( なお 高校は 平成 29 年度中に改訂の予定で 平成 34 年度から年次進行により実施の予定 ) 〇改訂のポイント 1 何を学ぶか という指導内容の見直しに加え どのように学ぶか 何ができるようになるか の視点からの学習指導要領の改善 2 主体的 対話的で深い学び ( アクティブ ラーニング ) の視点からの学習過程の改善 3 カリキュラム マネジメントの取組など 〇指導内容の見直し 小学校 5 6 年生の外国語活動の教科化 ( 週 2 コマ ) 及び小学校 3 4 年生の外国語活動の導入 ( 週 1 コマ ) 各教科等で育む資質 能力が明確化され 目標や内容が構造的に示されている