のテレビ視聴行動の変化 5:00 テレビ ( ) インターネット ( ) テレビ ( 女性 ) インターネット ( 女性 ) 4:00 3:00 3:02 2:58 3:05 2:53 3:08 2:46 2:48 2:57 2:56 3:02 3:01 2:50 2:55 2:41 2:00 株式会社ビデオリサーチ ソリューション推進局生活者インテリジェンス部緒方直美 1:00 0:00 2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年 2005 年 2006 年 2007 年 2008 年 2009 年 2010 年 2011 年 2012 年 2013 年 ビデオリサーチ MCR 東京 30km 圏データ ( 調査対象 :10 69 歳 ) はじめに 1990 年代後半からインターネットの普及が進み さらに近年のスマートフォンの急激な普及も加わったことで 生活者のメディア利用は大きく変化しました しかしながら テレビ は未だ生活者と深く関わっています そのような テレビ だからこそ 生活者を取り巻く環境の変化は テレビ の視聴行動にわかりやすく現れます 今回は テレビ の見方の変化から 像の変化をひも解いていきたいと思います のテレビ視聴時間まずは 全体 (10 ~ 69 歳 ) の2000 年以降の 1 日当たりのテレビ視聴時間を見てみましょう ( 図 5:00 2000 年 2013 年 比較 2013 年インターネット 4:00 4:02 3:54 3:01 3:00 2:27 2:31 2:09 2:00 1:37 1:49 1:00 0:00 10 19 歳 20 34 歳 35 49 歳 50 69 歳 ビデオリサーチ MCR 東京 30km 圏データ ( 調査対象 :10 69 歳 ) 1) インターネットの利用が普及に伴って増加しているにもかかわらず のテレビ視聴時間は 3 時間前後をキープしている状態です しかしながら は生活のなかの大きなウェイトを 仕事 が占めている人も多く 女性に比べてテレビ視聴時間は1 時間近く短くなっています 28
年 年 1 プロ野球 67.8% 1 プロ野球 64.9% 2 洋画 65.7% 2 洋画 58.7% 3 スポーツニュース 58.3% 3 ニュース 55. 4 ニュース 51.7% 4 スポーツニュース 54.7% 5 ドキュメンタリー ルポもの 48.5% 5 気象情報 51. 6 旅行 行もの 45.9% 6 ドキュメンタリー ルポもの 39.8% 7 大相撲 41.2% 7 旅行 行もの 37.5% 8 報道解説 40.5% 8 楽型バラエティー 35.1% 9 マラソン 38.4% 9 サッカー 33.1% 10 知識型クイズ ゲーム 37.4% 10 大相撲 31.4% ビデオリサーチ ACR 1990 年東京 30km 圏データ ( 12 69 歳 ) ビデオリサーチ ACR 2000 年東京 30km 圏データ ( 12 69 歳 ) 年 : 女性 12~6 年 1 国内ドラマ 48.2% 1 国内ドラマ 68.7% 2 国内ニュース 46.2% 2 気象情報 天気予報 46.6% 3 お笑い番組 39.2% 3 国内ニュース 44. 4 気象情報 天気予報 38.4% 4 楽バラエティー 41.6% 5 洋画 () 37.9% 5 情報バラエティー 41.5% 6 情報バラエティー 35.6% 6 お笑い番組 38.6% 7 楽バラエティー 35.4% 7 クイズ ゲーム 33.4% 8 サッカー ( 日本代表戦 ) 34.4% 8 グルメ番組 ( 食べ歩き 店紹介 ) 33.2% 9 アニメ 31.7% 9 フィギュアスケート 33.1% 10 スポーツニュース スポーツ情報番組 30.9% 10 旅行 行番組 32.9% ビデオリサーチ ACR/ex 2014 年 4-6 月東京 50km 圏データ ( 12 69 歳 ) ビデオリサーチ ACR/ex 2014 年 4-6 月東京 50km 圏データ ( 女性 12 69 歳 ) テレビ視聴時間を全体で見ると インターネットの影響をあまり受けていないように見えますが 実は年代別ではその様子は異なっています ( 図 2) 2000 年と2013 年を比較すると 50 ~ 69 歳ではほとんど違いはありませんが それ以外の年代では 30 分以上テレビ視聴時間は短くなっています 特に 20 ~ 34 歳では 40 分近くマイナスとなっており この年代ではインターネットの利用時間がテレビを抜いています テレビ視聴時間が短くなってきている若年層では 以前よりもテレビ番組を厳選して視聴するようになってきているのかもしれません 現代のテレビ番組嗜好 ~ 巨人 大鵬 卵焼き 時代の崩壊 ~ 現代の嗜好性を知るために 歴代の好きなテレビ番組ジャンルTOP10 を見ていきましょう ( 図 3) 19 9 0 年 2 0 0 0 年では プロ野球 大相撲 をはじめとしたスポーツ番組が複数ランキングのなかに見られました 日本の高度経済成長期である 1960 年代は 巨人 大鵬 卵焼き という言葉が流行しましたが 実はにおいては 2000 年まで テレビ番組嗜好において このような時代が続いていたようです しかし 2 014 年では それらは姿を消し スポーツ番組で残っているのは サッカー ( 日本代表戦 ) のみとなっています また 以前は半数 2015 No. 126 29
8 プロ野球 7 大相撲 6 5 4 3 2 1 1986 年 1987 年 1988 年 1989 年 1990 年 1991 年 1992 年 若 ブーム 1993 年 1994 年 1995 年 1996 年 1997 年 1998 年 1999 年 2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年 2005 年 2006 年 2007 年 2008 年 2009 年 2010 年 2011 年 2012 年 2013 年 ビデオリサーチ ACR 東京 30km 圏データ ( 12 69 歳 ) 以上が好きだった スポーツニュース も 2 0 1 4 年には約 3 割にまで低下しています 2014 年にランキングから姿を消している プロ野球 と 大相撲 の変化を時系列で詳細に見ていくと 人気は徐々に低下傾向ではありましたが 2000 年以降 急激な低下が進んでいます ( 図 4) とりわけ プロ野球 は 2000 年まで 7 割をキープし みんなのプロ野球 であったものが 近年では 3 割台に低迷し 今や 一部のコアファンが応援するもの になっています 2003 年頃より プロ野球 は視聴率が低迷し 中継が地上波から衛星放送に移行していきましたが これにより生活者の目にふれる機会を失っていることで 人気の低下に拍車がかかっているのかもしれません ~ 生活者の多様化を反映するテレビ~ の好きなテレビ番組ジャンルの 2014 年のランキングを見ると 1 位は 国内ドラマ となっています ( 図 3) 番組でいうと 木曜ドラマ ドクター X 外科医 大門未知子 HERO などをよく視ており そのラインナップは女性と大きな違いはありません ( 表 1) 草食男子 オトメン ( 乙男 ) 女子力高い 木曜ドラマ ドクター X 外科医 大門未知子 (EX) HERO(CX) 師 兵衛 (NHK) 連続テレビ小説 ごちそうさん (NHK) 日曜 場 S 最後の(TBS) 連続テレビ小説 花子とアン (NHK) 日曜 場 ルーズ ェルト ゲーム (TBS) 連続テレビ小説 マッサン (NHK) 相 season12(ex) 信長協 曲 (CX) 関東地区視聴率データ HERO(CX) 連続テレビ小説 花子とアン (NHK) 連続テレビ小説 ごちそうさん (NHK) 木曜ドラマ ドクター X 外科医 大門未知子 (EX) 連続テレビ小説 マッサン (NHK) きょうは会社休みます (NTV) 木曜 場 顔 平日 後 3 時の恋人たち (CX) 相 season12(ex) 師 兵衛 (NHK) 日曜 場 S 最後の(TBS) 男子 などといった旧来的にいえば 男らしくない を表現したワードを耳にすることの多い現代ですが テレビ番組嗜好も女性に近くなっています 男女雇用機会均等法が 1986 年から施行 1997 年には改正がなされました 夫は外で働き 妻は家庭を守るべきである という考え方に対して 賛成 と 反対 の人の割合が 1997 年 ~ 2002 年の間に入れ替わり 現在は 反対 という人が多くなっています ( 図 5) 男 と 女 の違いが以前に比べてなくなっていることが テレビ番組嗜好にも出てきているようです 年代別に好きな番組ジャンルを見ても 時代の変化を感じることができます ( 表 2) 20 ~ 34 歳の好きなテレビ番組のトップは 12 ~ 19 歳と同じ アニメ となっています アニメ番組自体も生活者に合わせて進化しており テレビ番組のタイムテーブルでは大人に向けた深夜放送が増え 内容も大人向けのものがたくさん制作されています 日本では 2000 年頃から 個性 が重視される世の中となりました 大学入試では 2000 年に AO 入試が開始され 当初 1.4% であった AO 入試による 30
10 8 6 4 2 賛成反対 1978 年 1992 年 1997 年 2002 年 2004 年 2007 年 2009 年 2012 年 2014 年 内閣府 女性の活躍推進に関する世論調査 1 8% 8.0 8.4 8.8 8.7 8.5 6.9 6% 5.6 6.0 4.9 4% 4.2 3.6 2% 2.7 1.4 2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年 2005 年 2006 年 2007 年 2008 年 2009 年 2010 年 2011 年 2012 年 文部科学省選抜方法別入学者割合 /AO 入試 12~1 20~34 35~4 50~6 1アニメ 57.2% 1アニメ 45.1% 1 国内ドラマ 51.2% 2お笑い番組 43.3% 2 国内ドラマ 40.2% 2 国内ニュース 49.2% 3 国内ドラマ 37.7% 3 楽バラエティー 38.2% 3お笑い番組 44.3% 4アニメ映画 36.3% 4お笑い番組 36.2% 4 楽バラエティー 40.8% 5 楽バラエティー 34.9% 5 情報バラエティー 32.3% 5 情報バラエティー 39.9% ビデオリサーチACR/ex 2014 年 4-6 月東京 50km 圏データ ( 12 69 歳 ) 1 国内ニュース 61.8% 2 気象情報 天気予報 60.3% 3 国内ドラマ 54.2% 4 旅行 行番組 48.8% 5 洋画 () 48.5% 入学者割合は 2012 年に 8.5% になっています ( 図 6) 2002 年にはゆとり教育が開始され 評価は 相対評価 から 絶対評価 となり 子供たちのお遊戯会では 主役が 1 0 人 などといったニュースも話題となりました テレビドラマから生まれたヒット曲で 2003 年に流行した SMAP の 世界に一つだけの花 はその象徴ともいえるでしょう 余談になりますが オタク = 自分の好きな事柄や興味のある分野に傾倒しすぎる人 という言葉があります 以前は オタク といえば 宅八郎のようなネガティブなイメージもありましたが 今の大学生に話を聞くとネガティブな感情はなく むしろ カッコイイ という評価さえもするようなワードになっているようです 個性 の時代に生まれた子供たちが大人になってきたのだなと感じた瞬間でし た このような流れを受けて 以前は 結婚 や 子供をもうける お酒を飲む 煙草を吸う など 大人だから という理由で誰もが疑問をもたずに当たり前のようにそうしてきたことがたくさんありましたが 現代は各自が自由に選択するというスタイルに変わってきています 以前では大人になったら卒業していた マンガを読む ことを いくつになっても続けている大人もたくさんいます アニメ が 2 0 ~ 3 4 歳のトップになっていることは そのような社会変化の表れなのかもしれません ( 表 2) ~ 家族との 絆 を作るテレビ ~ 2011 年の東日本大震災で 絆 が注目され 人とのつながり を見つめなおす機会にもなりました 2015 No. 126 31
10 8 6 4 73.5 70.7 78.1 69.2 73.0 6 4 2 ザ! 鉄腕!! 35.3 35.3 31.8 40.9 32.1 29.6 26.1 38.5 世界の果てまでイッテ! 32.032.1 31.8 39.1 28.0 39.4 38.3 44.0 31.2 26.6 2 全体 (12 69 歳 ) 12 19 歳 20 34 歳 35 49 歳 50 69 歳 ビデオリサーチ ACR/ex 2014 年 4-6 月東京 50km 圏データ ( 12 69 歳 ) 全体女性女性女性女性 (12 69 歳 ) 12 19 歳 20 34 歳 35 49 歳 50 69 歳 12 19 歳 20 34 歳 35 49 歳 50 69 歳 ビデオリサーチ ACR/ex 2014 年 4-6 月東京 50km 圏データ 現在 7 割以上のが プライベートな時間は家族や友だちと一緒にいたい と思っており これはどの年代でも共通の意識となっているようです ( 図 7 ) 現在 ザ! 鉄腕!DASH!! 世界の果てまでイッテ Q! が世帯視聴率 2 を超える人気番組となっていますが 性別 年齢を問わず 老若男女誰からも視られています ( 図 8) これらの番組は 家族で一緒に視ることができ 誰とでも話題を共有できる とされているもので 今の時代にマッチしているのでしょう 影響を受けて テレビ番組嗜好も男女の差は小さくなってきています 今後 このような時代しか知らない若者たちが大人になり 世の中を動かす中心的存在となっていくことを考えると この傾向はさらに強まっていくものと考えられます 最後に世の中の動きを整理していくと インターネットの普及 男女雇用機会均等法改正 個性重視の時代の到来 さまざまな出来事が 1 9 9 0 年代後半以降に集中しています そのような時代のなかで も周囲とのコミュニケーションを大切にし コミュニティのなかでの自分の役割を重視するようになりました このような考え方は女性の世界では昔からあったことですが 現代では性別を越えて日本人の共通意識となっています そして このような 緒方直美 ( おがたなおみ ) 2004 年 株式会社ビデオリサーチ入社 テレビ視聴率 衛星放送の調査 分析 顧客個別課題対応の調査設計 分析を経て現職 若者研究 生活者セグメントの研究 開発に従事 32