視聴率の仕組みについて学び 本題に入っていきたい 第 1 項視聴率調査の仕組み視聴率には 世帯視聴率と個人視聴率の2 種類があり一般的にニュースで取り上げる場合は世帯視聴率を用いている 今回は 世帯視聴率について追究していきたい 現在 世帯視聴率調査を行っている有力会社が ビデオリサーチ 1つのみで

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1 ドラマの人気からみえる情報の認識 所属 : 数学 情報系 2 年 4 組 15 番佐藤大暉 第 1 章はじめに 第 1 節テーマ設定の理由 2013 年 日本では流行語大賞にドラマでのセリフが2つノミネートされるといった空前のドラマブームが巻き起こった そのドラマの人気はニュースで視聴率をもとに報道されているのを見て 視聴率がどれだけ正確にドラマの人気を示しているのか疑問に思った これがテーマ内容であり理由である 第 2 節研究のねらいドラマの人気の指標である視聴率を通して我々の情報に対する認知度や利用状況を把握し 今後どのように身の回りの様々な情報と向き合うべきか考察することがねらいである 第 3 節研究内容と方法 第 1 項研究の内容視聴率についての理解を深めた上で視聴率が本当にドラマの人気の指標となっているのかというテーマに対し 視聴率の値の高さと各ドラマの視聴率の変動の2 点から実際の視聴率データをもとに検証していく 第 2 項研究の方法 視聴率に関する知識を文献で学び ドラマの視聴率データをインターネットで収集 引用してそのデータから考察を行う 第 2 章研究の展開 第 1 節視聴率とドラマの人気の関連性まず ドラマの人気と視聴率の関係性について考える前に私たちは視聴率について正しく理解する必要がある ビデオリサーチによると視聴率とは テレビ番組やCMがどれくらいの世帯や人に見られているかを示す1つの指標であり テレビの媒体力や広告効果を測るためにも利用されているものと述べておりこれが一般的認識でもある 次に 1

2 視聴率の仕組みについて学び 本題に入っていきたい 第 1 項視聴率調査の仕組み視聴率には 世帯視聴率と個人視聴率の2 種類があり一般的にニュースで取り上げる場合は世帯視聴率を用いている 今回は 世帯視聴率について追究していきたい 現在 世帯視聴率調査を行っている有力会社が ビデオリサーチ 1つのみであり 同社の調査結果が世帯視聴率となっている これから説明する視聴率に関する知識及び検証に用いる視聴率データは全てビデオリサーチの世帯視聴率を参考 引用したものとする 視聴率は全国 27 地区で6600 世帯 このうち関東地区は600 世帯が系統抽出法によって調査対象となっている 系統抽出法とは 統計学に基づいて無作為に対象世帯を選ぶ手法 ( ランダムサンプリング ) の一種で母集団を構成するものに通し番号を付けておき はじめの調査対象世帯のみランダムで選び あとの調査世帯は一定間隔の値をはじめの調査対象世帯の番号に足していった番号の世帯を選ぶ方法である ここでの一定間隔とは 一定エリア内における総世帯数をそのエリアにおける調査対象世帯数で割ったものである 次に視聴率の測定には図 1のようにピープルメータ (PM) というシステムを用いる調査と図 2のようにオンラインメータというシステムを用いる調査の2 種類が主に行われていて どちらも集計後の仕組みは同じだが PMシステム調査はPM 表示機という機械をオンラインメータに加えて用いることで世帯視聴率と個人視聴率の両方を測定することができて 人々のメディアにおける利用状況が詳しく把握できるため関東 関西 名古屋地区の3 地区で行っている また測定の対象物はテレビ放送であり録画や携帯などのワンセグ ゲームなどは含まれないが パソコンによるテレビ放送は調査対象となっている 世帯視聴率の算出方法は ある1つの局の世帯視聴率について次のように行う ( その局を見ている世帯数 ) ( 調査対象世帯数 ) 100= 視聴率 (%) ただし1 世帯内で複数のテレビが同じ局になっていたとしても世帯数で数えるためカウントは1である 最後に視聴率には 考慮すべき誤差があるのをご存じだろうか 視聴率は標本調査によって得られるため 標本誤差が生じる 標本誤差の算出法は以下の通りである 世帯視聴率 (100 世帯視聴率 ) ( 標本誤差 )=±2 標本数 そして視聴率が算出した値 + 標本誤差内に入る信頼度は95% でありそれを図に表したものが図 3である 標本誤差は視聴率と標本数によって異なる 例えば関東地区などの標本数 600と仙台地区などの標本数 200における標本誤差は表 1となる これが視聴率に関する知識である このうち調査対象物と標本誤差に着目して研究を進めていく 2

3 図 3 正規分布図 図 1 PMシステム図 2 オンラインメータシステム 表 1 標本誤差表 図 及び表 1の出典 : ビデオリサーチホームページ 世帯視聴率 標本数 600 標本数 200 5% 95% ±1.8% ±3.1% 10% 90% % 80% % 70% % 60% % 第 2 項ドラマの人気を示す視聴率の実態 私達は普段何のために視聴率をみているのだろうか と問われると 明確な目的を答える人は少ないだろう 視聴率とは何かについて第 2 章第 1 節の冒頭部分で述べたが 要するに企業がCMをどの番組に出すか またはある番組のスポンサーをこのまますべきなのかといった主に企業目的に視聴率を利用する では 一体私達は何のために視聴率をみているのだろうか 私の見解では あるドラマを一体どれほどの人が観ているのだろうか 一体どれくらいそのドラマはどのくらい人気なのだろうかを把握し 話題の 3

4 一つとしている ということである ここでは人々が 視聴率から番組の人気を判断していると仮定し論を進めていく その場合視聴率のどの点から番組の人気を判断するかというと主に視聴率の値の高さと視聴率の変動が挙げられる しかし本当に視聴率が番組の人気を示しているのだろうか 私はこの高さと変動の2 点を番組 ( 今回はドラマ ) の実際の視聴率データを基に検証していく 第 1 目視聴率の値の高さとドラマの人気人々は一般的に何 % 以上のドラマを 高視聴率だ と判断するだろうか 実際に高視聴率に関する基準は決まっていない Livedoorニュース2014/07/3 1の記事では合格基準として15% リアルライブ2014/06/25の記事でも1 5% と述べてあり 妹尾紗恵氏の研究論文 テレビドラマの構造化と評価要因分析 では 高視聴率と低視聴率ドラマの区別に15% を基準にしていることから 一般的に15% が現在の基準であると私は判断するが果たして本当に 視聴率 15% 以上のドラマは人気であるといえるのだろうか 私は いえない と主張する その根拠は2 点ある 1 点目は標本誤差についてである 表 1の標本誤差表を用いると 10% において 関東地区 ( 標本 600) で ±2.4% だが 仙台などの地区 ( 標本 200) では ±4. 2% もある つまり例えばあるドラマの視聴率が10.0% と全国的に記録したとする 関東地区では視聴率が7.6~12.4% 内に95% の確率でいると考えるが 仙台地区では視聴率が5.8~14.2% 内に95% の確率でいると考える するとどうだろうか 地域によって視聴率に大幅な違いが生じる可能性もある また関東地区のみで考える場合 ビデオリサーチによると世帯視聴率 1% の推定世帯数 = 約 18 万 2 千世帯であり厚労省が発表した 国民生活基礎調査の概況 によると2013 年度の1 世帯当たりの平均人数は2.51 人なので単純計算で世帯視聴率 1% の推定人口 = 約 4 5 万 7 千人となる つまり誤差の幅は約 220 万と考えることができ 私達群馬県の人口 :197.7 万人 (2014/10/1 群馬県移動人口調査 ) よりも多い このことはあるドラマをどのくらいの人が観ているのか把握するという目的において視聴率は非常に曖昧なデータと読み取ることができる 2 点目は 視聴方法の多様化である 従来はテレビもしくはパソコンでリアルタイム視聴する方法が主だったが 現在では録画再生 ( タイムシフト視聴 ) やテレビ動画 SNSで視聴する方法があり視聴方法の多様化がうかがえる また NHK 放送文化研究所の放送に関する世論調査 (2014/2/1) によると 現代的視聴 ( 録画再生 テレビ動画視聴 テレビSNSのいずれかを週に1 日以上する人 ) の割合が49.3% 従来視聴 ( リアルタイム視聴を1 日 1 時間以上するが現代的視聴をしない人 ) が45. 3% となっており 現代的視聴の方が上回っていることが分かる また年代別にみると 若い年代層ほど現代的視聴の割合が高く 今後の現代的視聴の増加が予想される 4

5 視聴率と関連付けると 現代的視聴は視聴率調査の対象外の視聴方法である そのため あるドラマを視聴率で推定される視聴人数よりもはるかに多くの人が観ている可能性が高い つまり 視聴率調査からの視聴人数把握を行うことは限界があることを示しており たとえ視聴率が15% 以上でなくても 実態は人気である場合もあるということだ このことから 私達はドラマの人気を視聴率だけで判断するのではなく 別の方法による複数のデータを含めて総合的に判断をする必要があるのだ 第 2 目視聴率の変動とドラマの人気 徐々に視聴率が上昇していくと 世間は ヒットしたな という実感を抱きます 前期のドラマで 全話平均視聴率 1 位は HERO でした 2 位が 昼顔 です しかし 初回 26.5% スタートで 全話平均 21.27% の HERO よりも 初回 13.3% ながら回を追うごとに数字を上げ 残り 2 話で 16% 台をマークした 昼顔 のほうが ヒットした という印象を持たれているように感じます これはSocialTrendNewsの記事 (2014/10/27) の一部だが 確かに私達は視聴率の上昇 =ヒットした ( 人気となった ) と捉えるが記事をよく見ると 実感を抱く と述べているだけで実際にそうであるとは述べていない では統計的にみると果たしてその実感は正しいものなのだろうか 2013 年に大ヒットし 社会現象を巻き起こした 半沢直樹 を例に考えていきたい 表 2は半沢直樹の視聴率推移である 数字だけをみると分かるように右肩上がりであることが分かる しかし 本当に視聴率が常に上がっていると判断して良いのだろうか 例えば2 話から3 話にかけては1.1% 上がっているが 第一目でも述べた通り 視聴率には誤差があることを忘れてはいけない この場合 1.1% は標本誤差 2.4% 内にあるため 違いは認められない と判断するのが正しい この点において 先ほどの記事の 実感がする という表現が理解できる つまり 必ずしも視聴率の増加を人気が上がったと判断してはならないのである ただしこの 半沢直樹 においては 1 話から2 話にかけて2.4% 3 話から4 話にかけて4.7% 8 話から9 話にかけて3.0% そして9 話から10 話にかけては6.3% も増加しておりこの部分は 違いが認められる と判断することができ この上昇は通常のドラマでは見られない現象である また 全体を通してみると 1 話から10 話にかけて22.5% も増加しており人気の上昇は 統計的な判断においても確かなものであるといえる 表 2 半沢直樹の平均視聴率推移 ( 関東地区 ) ビデオリサーチのデータより自主作成 1 話 2 話 3 話 4 話 5 話 6 話 7 話 8 話 9 話 10 話 19.4% 21.8% 22.9% 27.6% 29.0% 29.0% 30.0% 32.9% 35.9% 42.2% 5

6 第 3 章感想 まとめ 今回 視聴率とドラマの人気との関連性を通して得た視聴率に対する私自身の結論は3 点である 1 点目は 視聴率の仕組みと私達の数値の捉え方にズレがあり どれくらいの人が観ているかを把握することにおいて極めて視聴率は曖昧なデータであるということ 2 点目は視聴方法の多様化に伴い 視聴率だけでなく新たに別の方法から視聴した人数把握をする必要があること 3 点目は私達が視聴率に対する正しい知識を持ち 数値を鵜呑みにして判断しないことである 情報社会である現在 正しい情報と誤った情報を区別するために常識と思われていることにも疑問視する必要がある 視聴率はある意味この一例であるかもしれない 第 4 章参考文献 藤平芳紀著 視聴率の正しい使い方 朝日新聞社 2007 年妹尾紗恵論文 テレビドラマの構造化と評価要因分析 木村義子世論調査 多極化 するデジタル時代のテレビ視聴者 2014 年 npn.co.jp/article/detail/ / 2014 年 news/livedoor.com/article/detail/ / 2014 年 6