Microsoft PowerPoint _宇宙航行_山田和(MAAC)_2.pptx

Similar documents
発表の概要 名称の由来 : EGG( エッグ ) 衛星 =re-entry satellite with Gossamer aeroshell and GPS/Iridium ( 超軽量空気ブレーキと GPS およびイリジウム SBD 通信による運用を行う大気圏突入衛星 ) 衛星の大きさ カテゴリー

Microsoft PowerPoint _0517_DeepSpace_(Yamada).ppt

Microsoft PowerPoint _0107_宇宙科学シンポ(口頭).ppt [互換モード]

Microsoft PowerPoint _1219_Koko_Panel.ppt

火星大気循環の解明 ~ ダストデビルの内部調査 ~ Team TOMATO CPS 探査ミッション立案スクール 2016/08/26

資料9-5 イプシロンロケットの開発及び打上げ準備状況(その1)

回収機能付加型宇宙ステーション補給機 (HTV-R) 検討状況 1. 計画の位置付け 2. ミッションの概要 3. 期待される成果 4. 研究の進捗状況 5. 今後の計画 平成 22 年 8 月 11 日宇宙航空研究開発機構 (JAXA) 有人宇宙環境利用ミッション本部 委 29-4

資料 科学技術 学術審議会研究計画 評価分科会宇宙開発利用部会 ( 第 29 回 H ) HTV X の開発状況について 平成 28(2016) 年 7 月 14 日 ( 木 ) 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 有人宇宙技術部門 HTV Xプリプロジェクトチーム長伊藤

Microsoft Word - 01.docx

10-11 平成26年度 予算(案)の概要

構成 1. ISECG 国際宇宙探査ロードマップの概要と現状認識 2. 国際宇宙探査に向けた準備シナリオ ( 案 ) 3. シナリオを達成するための主要課題 2

資料 H3ロケットの開発状況について

APR. JUL. AUG. MAY JUN. 2

Microsoft PowerPoint - SPROUT_v3.pptx

資料 2 国際宇宙ステーション (ISS) 計画概要 平成 26 年 4 月 23 日 ( 水 ) 文部科学省研究開発局 1

H-ⅡA ロケット 第 1 段 第 2 段とも液体酸素と液体水素を推進薬に使用している 2 段式ロケット H-Ⅱ ロケットの開発により得られた技術を基に 信頼性を確保しつつ 低コスト化を実現 並びに固体補助ロケットや固体ロケットブースタを標準型に追加することで ラインアップ化を実現 打上げペイロード

第40回宇宙産業・科学技術基盤部会

求人面接資料PPT

極地研 no174.indd

小型ソーラー電力セイル実証機 IKAROS( イカロス ) の紹介 宇宙航空研究開発機構 (JAXA) 月 惑星探査プログラムグループ (JSPEC) IKAROS デモンストレーションチーム 1

経営理念 宇宙と空を活かし 安全で豊かな社会を実現します 私たちは 先導的な技術開発を行い 幅広い英知と共に生み出した成果を 人類社会に展開します 宇宙航空研究開発を通して社会への新たな価値提供のために JAXAは 2003年10月の発足以来 宇宙航空分野の基礎研究から開発 利用に至るまで一貫して行

2-工業会活動.indd

新たな宇宙状況監視 (SSA) システム構築に向けた事前調査平成 26 年度予算案額 11 百万円 ( 新規 ) 文部科学省研究開発局宇宙開発利用課 事業概要 目的 必要性 事業イメージ 具体例 スペースデブリの増加が世界的な課題として認識される中 宇宙状況監視 ( SSA : Space Situ

第 7 回 宇宙環境シンポジウム 講演論文集 デブリ防護設計標準 (WG3) の活動状況 宇宙環境 G 松本晴久 背景 WG3 の活動 アウトライン スペースデブリ防護設計マニュアルの概要 今後課題 まとめ 51 This document is provided by JAXA.

報道発表資料 2008 年 11 月 10 日 独立行政法人理化学研究所 メタン酸化反応で生成する分子の散乱状態を可視化 複数の反応経路を観測 - メタンと酸素原子の反応は 挿入 引き抜き のどっち? に結論 - ポイント 成層圏における酸素原子とメタンの化学反応を実験室で再現 メタン酸化反応で生成

untitled

宇宙開発委員会 推進部会 GXロケット評価小委員会(第8回)議事録・配付資料 [資料8-1]

宇宙開発委員会 推進部会(第6回)議事録・配付資料 [推進6-1-2]

平成30年度 卒業論文 低軌道衛星(LEO)使用よってもたらされる影響

国際宇宙ステーションへ,そして月へ -HTV-Xの開発-,三菱重工技報 Vol.56 No.1(2019)

<4D F736F F D CA495F18D E58B438B8582F B582BD8F5F8D5C91A28B4091CC82CC94F2E3C490AB945C8E8E8CB E BC2E646F63>

ソユーズ宇宙船の飛行概要

「きぼう」組立第3便ミッション(2J/A)の結果及び若田宇宙飛行士の長期滞在任務完了について

目次 1: 安全性とソフトウェア 2: 宇宙機ソフトウェアにおける 安全 とは 3:CBCS 安全要求とは 4: 宇宙機ソフトウェアの実装例 5: 安全設計から得た新たな知見 6: 今後 2

PowerPoint プレゼンテーション

IST サウンディングロケット モモ ユーザーズガイド 2 目次 更新履歴注記 1. はじめに 1-1. プロジェクト概要 1-2. サウンディングロケット モモ について 1-3. 射場 2. ミッション策定ガイド 2-1. 飛行について 2-2. 地上からの可視状況 2-3. 加速度環境 2-4

スライド 1

世界の将来宇宙輸送システムに関する動向 ( 米国 1/4) 米国において 民間企業により 再使用型ロケットや再使用型有人宇宙往還機の開発が進められている また 軍では再使用型無人宇宙往還機が運用されている Falcon9-R 2011 年 米 SpaceX 社は Falcon9 を再使用化する構想を

第73回宇宙政策委員会

初めに:

スライド 1

(Microsoft Word \203\202\203f\203\213\203\215\203P\203b\203g)

第 2 章 構造解析 8

スライド タイトルなし

H25宇宙航行力 最終案 C-4

PRESS RELEASE (2016/11/29) 九州大学広報室 福岡市西区元岡 744 TEL: FAX: URL:

欧州に見るマイナス金利が銀行に及ぼす影響

ACモーター入門編 サンプルテキスト

untitled

生頻度分布に 高高度放電発光による微量気体生成の数値計算結果を組み込むことによって 雷放電および高高度放電発光現象が地球大気組成変化に対して及ぼす影響を定量的に解明することができると期待される (2) 高高度放電発光現象の水平空間構造の解明 JEM-GLIMS では 2 台の CMOS カメラと 6

2. 新体制における文部科学省の役割 16

contents


<82D282A982C1746F95F18D908F57967B95B E696E6464>

秋植え花壇の楽しみ方


付録 A.2 システムズエンジニアリング マネージメント計画書 (SEMP) の例 1. 本文書の目的本文書の目的は 科学衛星 プロジェクトに関係するメンバー (ISAS 担当者 関連本部担当者 大学 研究機関の担当者 メーカー技術者等 ) が共通の認識に立って技術活動を遂行できるように あらかじめ

_2009MAR.ren

新たな宇宙基本計画に向けた提言


スライド 1

新たな宇宙基本計画における宇宙科学・宇宙探査の位置付け及び主な関連事業の概要

平成 23 年度 JAXA 航空プログラム公募型研究報告会資料集 (23 年度採用分 ) 21 計測ひずみによる CFRP 翼構造の荷重 応力同定と損傷モニタリング 東北大学福永久雄 ひずみ応答の計測データ 静的分布荷重同定動的分布荷重同定 ひずみゲージ応力 ひずみ分布の予測 or PZT センサ損

Microsoft Word - H doc

プラズマ バブルの到達高度に関する研究 西岡未知 齊藤昭則 ( 京都大学理学研究科 ) 概要 TIMED 衛星搭載の GUVI によって観測された赤道異常のピーク位置と 地上 GPS 受信機網によって観測されたプラズマ バブルの出現率や到達率の関係を調べた 高太陽活動時と低太陽活動時について アジア

革新的衛星技術実証 1 号機とは 7 機の衛星 (13 の実証テーマ ) を高度 500km の太陽同期軌道に投入する 民間企業 大学 研究機関等 10 の機関が参加 ALE-1 ( 株式会社 ALE) 型実証衛星 1 号機 (RAPIS-1) Micro Dragon ( 慶應義塾 学 ) 裏側

資料21-4 小型探査機による高精度月面着陸の技術実証(SLIM)について

News Release 国立研究開発法人新エネルギー 産業技術総合開発機構 福島県 南相馬市 株式会社 SUBARU 日本無線株式会社 日本アビオニクス株式会社 三菱電機株式会社 株式会社自律制御システム研究所 世界初 無人航空機に搭載した衝突回避システムの探知性能試験を実施

1 NASA 2 PLANET-C 2 ISAS No


1: : Voyager 1 : Keck 1) : 2) 10 1( ) 15 1/3 50% 3) 1990 adaptive optics ( )

調査 1-2 あかつき の現状と今後の運用について 宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所 2012 年 1 月 31 日

宇宙科学・探査ロードマップと惑星科学

本文

<4D F736F F F696E74202D208BDF96A D682CC8FB591D28FF3332E B93C782DD8EE682E890EA97705D>

JAXA/NASA 1 2

光赤外将来計画検討書: 改訂の進捗

SICEセミナー 制御のためのシステム同定

Microsoft PowerPoint - 宇宙の交通

衛星の非デブリ化のためのバルーン立体展開機構 東京都立産業技術高等専門学校荒川キャンパス宇宙科学研究同好会および石川研究室肥沼晃史, ジェインマヤンク, 佐藤未悠, 小野鴻希, 小林大輝, 佐久間隆友, 結城健斗吉田智将, 若松大和, 長田光希指導教員石川智浩 1. 序論 1-1. 背景小型衛星の運

資料12-1-1_国際宇宙探査協働グループ(ISECG)での調整状況

<4D F736F F F696E74202D E92090EA96E EF90E096BE8E9197BF4D E B8CDD8AB B83685D>

2. 輸入動向 長崎税関は 輸入数量 輸入価額ともに全国第 2 位 (10 間 ) 過去 10 間の輸入動向を見ますと 輸入数量 ( ) は 33 個 ( 対前 10 比 15.4% 減 ) 輸入価額 ( ) は 791 億 32 百万円 ( 同 81.0% 増 ) でした このうち長崎税関の輸入数

熱処理油カタログ.xls

付録2 第26号科学衛星(ASTRO-H)プロジェクトについて

Microsoft Word - YPTI PKG Test Report Sample.doc

Microsoft PowerPoint - presentation.ppt [互換モード]

有明海・八代海総合調査評価委員会 委員会報告書 別添資料

untitled

高軌道傾斜角を持つメインベルト 小惑星の可視光分光観測

スライド 1

PowerPoint プレゼンテーション


現行の宇宙基本計画のフォローアップ (1) 資料 1 現行の基本計画進捗状況評価 A アジア等に貢献する陸域 海域観測衛星システム 現在運用中の米国の地球観測衛星 Terra に搭載した ASTER センサ や だいち については 災害時の情報把握や国土情報の蓄積 石油 鉱物等の調査などの利用を引き

第1回宇宙活動法基準・安全小委員会

秋田県2012-初校.indd

タイトル

将来宇宙輸送システムの性能諸元 各国において使用目的に応じたシステム構想が検討され 実用化に向けた研究が進められている Launcher One ( 米国 ) Dream Chaser ( 米国 ) Reusable Falcon ( 米国 ) Lynx Mk III ( 米国 ) SKYLON (

GPS 海洋ブイの概要 GPS 衛星 GPS 衛星 陸上局 ( 基準点 ) 基準点の測位 RTK-GPS 補正データ 観測データ 観測点の測位 GPS 海洋観測ブイ 20km RTK (Real Time Kinematic) 測位 数 cm オーダの測位精度 観測センター GPS 測位により 海面

宇宙輸送システムの動向について

Transcription:

展開型柔軟エアロシェルを利用した 超小型惑星プローブに関する研究 山田和彦 (JAXA / ISAS) 鈴木宏二郎 ( 東大新領域 ) 秋田大輔 ( 東工大 ) 今村宰 ( 日大 ) 永田靖典 ( 岡山大 ) 高橋裕介 ( 北大 ) MAAC-WG

CONTENTS < 今年度の活動報告 > 超小型衛星 EGG の運用 (1 月 ~5 月 ) EGG の成果 EGG の先へ SPUR( 超小型惑星探査 ) 構想の立案 BEAK( 次期実証衛星 ) の提案それらを実現するための研究活動 1 インフレータブル構造体の耐熱性向上に関する研究 2 柔軟エアロシェルの大型化 構造強度に関する研究 3 柔軟材料の耐宇宙環境性能評価 4 超小型衛星用スラスタ 5SMA を使ったエアロシェルの展開手法の確立 柔軟シェル技術のスピンオフ観測ロケット実験データ回収システム火星ペネトレータ

超小型衛星 EGG に関する報告

超小型衛星 EGG の目的 EGG ~re-entry satellite with Gossamer aeroshell and GPS/Iridium : 3U の超 型衛星で ISS の きぼう から JSSOD により低軌道に放出される < 超小型衛星 EGG の目的 > 低軌道上で 将来の展開型柔軟エアロシェルを有する大気圏突入機の技術実証試験に必要な技術を実証すること プリカーサ実験としての位置づけ 1) 柔軟エアロシェルの展開実証 2) イリジウム衛星網を利用したテレコマシステムによる衛星運用の実証 3) 民生品 GPS による 空力減速による軌道崩壊の様子の観察 ------ 以下はエクストラ ------------ 4) 柔軟エアロシェルを有する飛翔体の希薄気体中での挙動や空力特性の測定 5) 大気圏突入中の空力加熱環境の測定 低軌道上での新規技術の実証機会として JSSOD からの超 型衛星の放出機会が 有 であることを実証する

超小型衛星 EGG の運用 (2017 年 1 月 ~5 月 ) Date Events Sep, 2014 EGGがISSからの放出衛星として採択. Aug, 2015 ゴム気球による実フライト通信試験 (B-EGG). Jan. 2016 ~ FMの確認 ( 振動試験 熱真空試験等 ). Nov. 7-9, 2016 JSSODへのインテグレーションと引き渡し Dec. 9, 2016 EGGを搭載したHTV6 号機の打ち上げ Dec. 13, 2016 HTV6 号機のISSへの到着 Jan. 16, 2017 JSSODにより EGGが低軌道への放出 ミッション開始 Jan. 17, 2017 イリジウムを介しての最初の通信成功 Feb. 11, 2017 エアロシェル展開シークエンス実施 May 15, 2017 大気圏へ突入 焼失

超小型衛星 EGG の成果 低軌道上の展開型柔軟エアロシェルの挙動の取得 イリジウム SBD を使ったテレメトリコマンドシステムの低軌道上実証 省電力小型民生品 GPS(Firefly) による軌道同定 空気力による軌道崩壊過程と大気圏突入環境の実測 リチウムポリマー 2 次電池 太陽電池 充放電 IC による冗長な電源システム 超小型ファラデーカップセンサによる希薄気体中での対気姿勢の観測 など < 画像による軌道上エアロシェルの形状の同定 > < インフレータブル構造体の健全性 > ( インフレータブル内圧履歴 ) 2 日間 気密を維持 ( 地上試験と同性能 )

超小型衛星 EGG の成果 低軌道上の展開型柔軟エアロシェルの挙動の取得 イリジウム SBD を使ったテレメトリコマンドシステムの低軌道上実証 省電力小型民生品 GPS(Firefly) による軌道同定 空気力による軌道崩壊過程と大気圏突入環境の実測 リチウムポリマー 2 次電池 太陽電池 充放電 IC による冗長な電源システム 超小型ファラデーカップセンサによる希薄気体中での対気姿勢の観測 など < イリジウム SBD の受信回数履歴 > <GPS& イリジウムによる軌道崩壊の取得 > Aeroshell deployment 合計 6817 回の通信

超小型衛星 EGG の成果 低軌道上の展開型柔軟エアロシェルの挙動の取得 イリジウム SBD を使ったテレメトリコマンドシステムの低軌道上実証 省電力小型民生品 GPS(Firefly) による軌道同定 空気力による軌道崩壊過程と大気圏突入環境の実測 リチウムポリマー 2 次電池 太陽電池 充放電 IC による冗長な電源システム 超小型ファラデーカップセンサによる希薄気体中での対気姿勢の観測 など < 大気圏突入時の温度履歴 > <FC による対気姿勢の同定 >

公募型小型提案予定 SPUR 構想 (Shrinking mars entry Probe with Unfolding Robe aeroshell) & 小規模計画採択 BEAK 実証試験 (Breakthrough by Egg-derived Aerocapture Kilt vehicle)

SPUR の構想 分散型惑星探査という惑星探査の新しい手法を生み出す その先駆けとして 複数の超小型ランダーと周回機で構成される惑星探査ローカルネットワークを実現することを目的する <SPURミッションを小型公募に提案 ( 予定 )> イプシロンロケット+キックモータで 100kg 級の探査機を火星圏に輸送し * 柔軟エアロシェルを利用したエアロキャプチャでリレー衛星を周回軌道に投入する * 柔軟エアロシェルを使った大気圏突入システムで超小型 (5kg 級 ) 火星着陸機を実現する プロキオン & エクレウスの超小型衛星技術に 展開型膜面エアロシェルという新しい空力技術が加われることでもたらされるバラエティ豊かな惑星探査ワールド ( 軌道 空中 地上 地下の立体探査 )

エアロキャプチャによる惑星周回軌道への窓 惑星大気を利用した周回軌道投入技術を 展開型柔軟エアロシェルを利用したドラッグモジュレーション方式で実現する 超小型衛星のような低リソースの制約下でも 探査機を周回軌道に投入できる可能性がある

エアロキャプチャによる周回軌道への窓 モデルケースを想定して エアロキャプチャの実現性を検討 * 突入機重量 50kg(or 30kg, 80kg) の探査機を想定 * 大気圏突入前にエアロシェルを展開 * 大気圏突入中に必要な減速度 (1km/s) を得た時点でエアロシェルを分離 * 探査機本体は 空気力を失い速度を維持して軌道へ戻り エアロシェルは火星表面へ落下 * 本体部は周回軌道上へ ( 探査機本体の直径 80cm とする ) R80cm 80cm

突入機重量 50kg エアロシェル直径 2.8m の場合 エアロキャプチャの突入ウィンドウ解析結果 大気密度の最大ケースと最小ケースの場合の突入経路角と大気圏通過後の遠地点高度 突入角度 19.3deg の場合の熱空力環境 淀み点熱流束 100kW/m 2 突入ウィンドウ 空力荷重 ~150kgf

突入重量を変化させた場合の実現性 設計制約として 最大加熱率 100kW/m 2 程度になるように エアロシェルの直径を決める 突入機重量 30kg 50kg 80kg エアロシェル直径 2.0m 2.8m 3.5m 最大加熱率 ~80kgf ~150kgf ~250kgf 最大空力荷重 ~90kW/m2 ~110kW/m2 ~120kW/m2 突入経路角範囲 (AC ウィンドウ ) 19.2~19.3deg 19.16~19.36deg 19.17~19.43deg 重量 50kg の場合は これまでの実績から実現可能なエアロシェルへの要求であることがわかる 一方で エアロシェルを大きくすることで 大重量の探査機本体を周回軌道に投入できる エアロシェルの面積と探査機の面積差が大きくなれば エアロシェルキャプチャ (AC) のウィンドウは広がる ただし 空力加熱が一定の条件だと 空力荷重が大きくなるため インフレータブルリングのチューブ直径が大きくなり エアロシェルの重量や必要なガス重量が増加する 設計の確定には トレードオフスタディが必要であるが 探査機総重量 100kg での火星周回軌道への投入の実現に可能性は十分にある

BEAK による実証試験 EGG の技術をベースにした 3U(ISS からの放出衛星 ) の超小型衛星での超小型惑星探査の実現にむけた技術実証試験を計画 小規模計画に採択済 来るべき超小型着陸探査にむけて エアロキャプチャ技術の習得 ナノスラスタ搭載で軌道 / 姿勢に何がしかの制御力を 分離機構を搭載し切り離し技術の練習

SPUR&BEAK を実現する技術研究

超小型惑星探査にむけた研究 柔軟エアロシェルの耐熱性向上の研究シリコンゴムシートのアブレーション効果を利用した耐熱性能向上研究 ICP 加熱器の試験により 短時間の加熱であれば性能向上が見られることを確認 今後 定量的な評価も実施する予定 柔軟エアロシェルの大型化に関する研究直径 3.5m のエアロシェルの製作とその構造強度の理解 大型低速風洞で 耐空力荷重強度を評価 これまでの設計モデルを拡張 風洞データをレファレンスにした数値解析による現象の理解と 計算手法の確立

柔軟シェルを使った超小型惑星探査にむけた研究 柔軟材料の耐宇宙環境性能試験 ZYLON 繊維の耐紫外線劣化試験 真空中での強度劣化を評価し 真空中ではその劣化速度が劇的に遅いことを実験的に確認 超小型衛星用スラスタの開発超小型衛星に搭載できる水レジストジェットを開発 エクレウスに搭載予定の水レジストジェットを参考にし 簡素を進め 小型化を実現する SMA を使った展開型エアロシェルの開発超小型衛星惑星ランダへの応用を目指して SMA( 形状記憶合金 ) を使った展開エアロシェルを開発 BEAK で実証し SPUR のプローブで利用

柔軟エアロシェルのスピンオフ

火星ペネトレータ (MP-FANG) Martian Penetrators with Flexible Aeroshell for Networked underground observation ペネトレータ型探査機を 火星大気圏に突入させ地表に届けるために 柔軟エアロシェルを利用を検討する 火星ペネトレータの EDL シークエンスの概念設計を実施 < 風洞試験で空力データを取得し概念検討に反映 > <EDL シークエンスを策定 ( トレードオフスタディ )> 火星周回軌道 (400km の円軌道 ) 1 大気圏突入 空力加熱対策 ~30kW/m 2 < 概念設計結果 > * 総重量 16kg( ペネトレータ12kg) * 柔軟エアロシェル直径 :1.6m * 最大空力加熱 30kW/m 2 以下 * 最大空力荷重 30kgf 程度 * パラシュート直径 :1.6m 程度 * 終端速度 100m/s 2 エアロシェル投棄 パラシュート開傘 3 地表に貫入 終端速度 100m/s

観測ロケット回収システム (RATS) Reentry and Recovery module with membrane Aeroshell Technology for Sounding rocket 観測ロケット実験で収集した大量のデータを回収するための大気圏突入 & 回収モジュールを実現するために展開型柔軟エアロシェルを応用 大気圏突入 緩降下 海上浮揚の 3 役をこなす S-520 ロケットから回収を想定 ( 高度 310km 速度 720m/s) し 概念検討を実施 < 概念設計結果 > 総重量 5kg( 柔軟シェル 1.5kg 程度 ) エアロシェル直径 1.6m チューブ直径 0.09m 淀み点空力加熱 30kW/m 2 以下最大空力荷重 45kgf 現時点の技術で十分に実現可能 S-520-31 号機への搭載を目指す

まとめ 大気圏突入用の柔軟エアロシェルの研究活動は 2012 年の観測ロケット実験以降の次のフェーズとして下記の 2 つの重要な成果を得た 1 超小型衛星 EGGによる軌道上実験試験の実施との 3U 超小型衛星をつかった軌道上実験手法の獲得 2 大気圏突入環境システムに実用可能な 実サイズの展開型柔軟エアロシェルの開発 柔軟エアロシェルを使った 新しい惑星探査ワールドの実現にむけての研究活動にシフトする 小規模計画 BEAK を足掛かりに イプシロンロケットを使った SPUR で超小型ならでは革新的探査手法である分散型立体的惑星探査の道を拓く