第 3 章 / 土地利用計画 土地利用計画は 住宅 店舗 事務所 工場等 競合するさまざまな土地利用を秩序立て 効率的な都市活動の増進 優れた環境の保護 特色ある街並みの形成等を図ることを目的として 土地利用のルールを定めるものです 都市計画法において土地利用計画を定めるものには 市街化区域及び市街化調整区域や地域地区及び地区計画等があります 区域区分 ( 市街化区域と市街化調整区域 ) ( 参照 :3-1 / 区域区分 ) 都市部へ産業や人口が過度に集中すると 市街地周辺部等では無秩序な市街化が進行し 居住環境の悪化を招くだけでなく 周辺の農業活動等へも悪影響を与えます このような事態を防ぎ より機能的な都市を建設するために 必要に応じて都市計画区域都市計画区域 1 を 市街化区域 2 と 市街化調整区域 3 に区分することができます 地域地区 ( 参照 :3-2/ 地域地区 ) 都市計画区域内の土地をどのような用途で 容積的にどの程度利用するか等を用途地域用途地域 4 として定めるとともに 必要に応じてその他の地域地区 5 を定め 土地利用の規制 誘導を図ります 地区計画 ( 参照 :3-3/ 地区計画 3-4/ 白地地域における土地利用の規制 誘導手法 ) 地区計画 6 は地区単位の計画で 地区独自のまちづくりルールを定めるものです 土地の用途や外観等の建築行為に対して一定の制限を加えることにより 良好な市街地の形成を誘導します 自発的なルールによる土地利用等の規制 誘導 より良いまちづくりを目指して 当該地区に居住する住民の合意に基づく建築協定やまちづくりのルール 7 等 自発的な規制 誘導策を定めることができます 土地利用計画のイメージ ( 都市計画区域を定めた場合 ) 7 建築協定やまちづくりのルール 6 地区計画 5 その他の地域地区 4 用途地域 地域地区 3 市街化調整区域 2 市街化区域 1 都市計画区域 19
第 3 章土地利用計画 3-1/ 区域区分区域区分とは 都市計画区域内の無秩序な市街化を防止し 計画的に市街化を図るため 必要に応じて都市計画区域を市街化区域と市街化調整区域に区分することです 市街化区域と市街化調整区域は以下のように定義されています 市街化区域 : すでに市街化を形成している区域及び概ね 10 年以内に優先的かつ計画的に市街化を図る区域 市街化調整区域 : 市街化を抑制すべき区域この区分は一般に 線引き と呼ばれ 区域区分された都市計画区域を 線引き都市計画区域 区域区分されていない都市計画区域を 非線引き都市計画区域 といいます 区域区分 区域区分の考え方 区域区分の要否の判断及び区域区分を定めるに当たっての判断は 無秩序な市街化を防止し 計画的な市街化を図る という目的を達成するため 以下の視点から行います (1) 市街地の拡大の可能性新たな都市的土地利用の需要を適切に見通し 将来的に 周辺の土地を大量に都市的土地利用に転換せざるを得ない状況が生じる可能性が高いかどうかについて考慮します (2) 良好な環境を有する市街地の形成市街地における公共施設整備の進捗状況等を勘案し まとまりのある良好な市街地を形成するため 都市的土地利用の拡散を制限する必要があるか否かを検討します (3) 緑地等自然的環境の整備又は保全への配慮市街地の縁辺部や外部に 緑地その他の自然資源が存する場合 この土地利用を保全していくことが 都市計画としても積極的に意義を見いだせるものであるかを考慮します 20
(2) その他地域地区 1) 特別用途地区特別用途地区は 用途地域が定められている地区において 地区の特性にふさわしい土地利用の増進 環境の保護等の特別な目的を実現するために 用途地域を補完して定めるものです 特別用途地区の類型 規制内容は地方公共団体ごとに規定することが可能であり 規制内容については 建築基準法第 49 条の規定により地方公共団体の条例で定めます 例えば 中高層階住居専用地区 商業専用地区 特別工業地区 文教地区 小売店舗地区 事務所地区 厚生地区 娯楽 レクリエーション地区 観光地区 特別業務地区 研究開発地区 中小小売店舗特別用途地区 宿場町環境保全特別用途地区等高知県では 四万十市が特別用途地区を定めています 特別用途地区の指定状況 ( 平成 22 年 3 月 31 日現在 ) 2) 高度地区高度地区は 用途地域が定められている地区において市街地の環境を維持したり より高度な土地利用を促すために 建築物の高さの最高限度又は最低限度を定めるものです 高知県では 高知市が高知城の周辺の景観や眺望に配慮すべき区域に建築物の高さの最高限度 28mの高度地区を定めています 高度地区の指定状況 ( 平成 22 年 3 月 31 日現在 ) 27
第 3 章土地利用計画 3) 防火地域 準防火地域防火地域や準防火地域は 建築物の構造等を規制することにより 市街地の火災の危険を防除することを目的として定めるものです 高知県では 高知市 四万十市及び宿毛市が防火地域や準防火地域を定めています 防火地域 準防火地域の指定状況 ( 平成 22 年 3 月 31 日現在 ) 4) 駐車場整備地区駐車場整備地区は 商業地域 近隣商業地域又は周辺の地域において 自動車交通が混雑する地区で 道路の機能を確保すべき区域 円滑な道路交通を確保する必要がある区域について都市計画法及び駐車場法に基づき定めるものです また 地方公共団体は 条例によって一定規模以上の建築物の新築又は増築に対して 自動車の駐車のための施設の設置を義務づ駐車場整備地区の指定状況 ( 平成 21 年 3 月 31 日現在 ) けることができます 高知県では 高知市が駐車場整備地 区を定めています 5) 臨港地区臨港地区は 港湾を管理 運営するために定めるものです 臨港地区では港湾法に基づいて港湾管理者が分区 ( 商港区 特殊貨物港区 工業港区 漁港区 バンカー港区等 ) を定めることができ それぞれの分区について建築物の用途の規制が行われます なお 都市計画区域外では 港湾法により臨港地区を定めることができます 高知県では 右表のとおり 6 市 2 町 (10 港 ) が臨港地区を定めています 臨港地区の指定状況 ( 平成 22 年 3 月 31 日現在 ) 28
3-3/ 地区計画地区計画とは それぞれの地区の特性にふさわしいまちづくりを進めるため 地区レベルの視点にたって 宅地まわりの生活環境を整備したり 保全したり きめ細かく土地利用をコントロールする制度です 地区単位でまちづくりの方針を定めるとともに その地区の状況や特性に応じ 道路 公園等の地区施設の配置や建築物の用途 形態の制限等まちづくりに必要なルールを選択的に定めることができます (1) 地区計画の種類地区の特性に応じて幅広く活用できる地区計画の種類が用意されています 地区計画の種類 地区計画等 地区計画 ( 都市計画法第 12 条の5) 都市計画区域マスタープラン又は市町村マスタープランにおいて示される当該地区の望ましい市街地像の実現を図るもの再開発等促進区 ( 公共施設の整備と併せて容積率を緩和 ) 開発整備促進区 ( 公共施設の整備と併せて大規模な店舗等の用途制限を緩和 ) 誘導容積型 ( 公共施設の整備状況に応じて容積率を段階的に緩和 ) 容積適正配分型 ( 区域内で容積を配分 ) 高度利用型 ( 空地の確保により容積率を割り増し ) 用途別容積型 ( 住宅用途について容積率を1.5 倍まで割り増し ) 街並み誘導型 ( 前面道路幅員による容積率制限等を適用除外 ) 立体道路制度 ( 道路の上空又は路面下において建築物等の一体的整備を許可 ) 防災街区整備地区計画 ( 密集市街地整備法第 32 条第 1 項 ) ( 防災上有効な道路整備と 建築物の耐火構造化を促進 ) 歴史的風致維持向上地区計画 ( 歴史的風致維持向上のため整備すべき建築物等の用途制限等の緩和 ) 沿道地区計画 ( 幹線道路の沿道の整備に関する法律第 9 条第 1 項 ) ( 幹線道路沿道において騒音防止と建築物の高度利用を促進 ) 集落地区計画 ( 集落地域整備法第 5 条第 1 項 ) ( 営農条件と調和のとれた良好な居住環境を確保 ) (2) 地区計画の構成地区計画は 地区の目標像を示す 地区計画の方針 と 生活道路の配置や 建築物の建て方のルール等を具体的に定める 地区整備計画 で構成され 住民等の意見を反映して街並み等 その地区独自のまちづくりのルールをきめ細かく定めます 地区計画の構成 地区計画 地区計画の方針 地区整備計画 29 地区のまちづくりの全体構想を定めるものです 地区計画の目標や地区の整備 開発及び保全の方針を定めます まちづくりの具体的な内容を定めるものです 地区計画の方針 に従って 地区計画区域内に 道路 公園 広場等の配置や建築物等に関する制限等を詳しく定めます
第 3 章土地利用計画 (3) 地区計画で定めることができる内容地区整備計画は次のうち 必要なものを定めます 1 地区施設の配置及び規模地区施設とは 道路 公園 緑地 広場等をいいます 2 建築物やその敷地等の制限に関すること建築物やその敷地等について次のような制限を定めることができます ア. 建築物等の用途の制限 イ. 容積率の最高限度又は最低限度ウ. 建ぺい率の最高限度エ. 建築物の敷地面積の最低限度 オ. 建築面積の最低限度 3その他 土地利用の制限 カ. 壁面の位置の制限 キ. 建築物の高さの最高限度又は最低限度ク. 建築物等の形態又は意匠の制限ケ. かき又はさくの構造の制限 市街化調整区域では定めない 現存する樹林地 草地等の良い環境を守り 壊さないように制限することができます 地区計画で定められるまちづくりのルール 1 地区施設 ( 生活道路 小公園 広場 遊歩道等 ) の配置 2 建物の建て方や街並みのルール ( 用途 ( 緩和も含む ) 容積率 建ぺい率 高さ 敷地規模 セットバック デザイン 生垣化等) 3 保全すべき樹林地 建物の高さを決めよう ここは低い建物はダメ 大切なくぬぎの林を残しましょう 良く話しあって道路の位置と規模を決めましょう ここは商店街 1 階部分はお店にしましょう ここは住宅地です 工場はダメ 道路や公園の予定地に建物を建てるのは控えてください 歩道を広くするために建物をセットバックしましょう 建物のへいは生垣にしよう ここは高い建物はダメ ミニ開発はダメですよ 道路の位置も違います 30
(4) 高知県における地区計画決定状況高知県では 以下のように23 地区の地区計画と1 地区の集落地区計画を定めています 地区計画決定状況 ( 平成 22 年 7 月 1 日現在 ) 集落地区計画決定状況 ( 平成 22 年 3 月 31 日現在 ) 地区計画による良好な住環境の形成 ~ 地区計画の事例 ( 高知市観月坂地区 )~ 観月坂地区では 地区内を更に 5 つの地区に細分化し それぞれについて 建築物等の用途の制限 敷地面積の最低限度等のルールを設定することで 低層の住宅地を主体とした良好な住環境の形成を図っています 31
第 3 章土地利用計画 (5) 地区計画の決定手続き 地区計画の決定手続きフロー 住民 利害関係者 土地所有者等意見書の提出 ( ) 住民及び利害関係者意見書の提出 市町村 手続条例の制定 素案の作成 素案の公告及び縦覧手続き条例で定めた方法による土地所有者への案の提示 案の作成 案の公告及び縦覧 市町村都市計画審議会 都市計画決定 告示及び縦覧 高知県 高知県知事の同意 ( ) ( ) 意見の提出方法は条例で定める ( ) 知事の同意事項は令第 14 条 2に揚げる事項に限定します (6) 市街化調整区域における地区計画市街化調整区域は市街化を抑制すべき区域ですが 地区計画を決定すれば開発許可の特例 ( 都市計画法第 34 条第 10 号 ) により開発ができることになります ただし 市街化調整区域は 市街化を抑制すべき区域ですので 市街化調整区域の地区計画の運用にあたっては 線引き制度の趣旨も踏まえて検討することが必要です このため 高知県では 市街化調整区域における地区計画の同意の指針について ( 平成 21 年 11 月 ) を作成し 線引き制度との調整及び広域的な運用の統一性を図っています 3-4/ 白地地域における土地利用の規制 誘導手法 都市計画区域のうち用途地域が定められていない地域 ( 白地地域 ) では その地域のゆとりある居住環境や魅力ある景観を維持しつつ まとまりのある集落地を形成し地域の活力が維持できるように 次のような土地利用の規制 誘導手法等が活用できます 白地地域における土地利用の規制 誘導手法の例 32