2018 年版
社会人として生活していくうえで必要な知識には様々なものがありますが 年金 健康保険 税金に関する知識や その支払いなどの金融に関する知識はその一つといえます また 充実した人生を送るためには ライフプラン マネープランについて学ぶことが重要であり セカンドライフに向けては 国民年金 厚生年金といった公的年金に加え 確定拠出年金などの自助努力による資産形成が不可欠です 公的年金は国が年金資産の運用を行ってくれますが 確定拠出年金は 自分の年金を自分で考え運用することになりますので 制度のしくみなどをしっかりと理解することが大切です この 確定拠出年金入門 では 確定拠出年金のしくみや特徴 留意点などについてわかりやすく解説しています まずは本冊子で確定拠出年金についての理解を深めていただき さらに金融商品それぞれの特徴などについて学習する際には 日本証券業協会発行の各種刊行物をご活用いただければ幸いです このテキストは 2018 年 8 月末現在の情報に基づいて作成しています 今後 法律改正等により 内容が変更になる可能性があります
注 このテキストでは 企業型確定拠出年金 を 企業型年金 個人型確定拠出年金 を i イ DeCo デコ と表記しています
平均寿命の延びとともに リタイア後の人生は余生ではなく よりアクティブに生活する第二の人生 ( セカンドライフ ) となりました 旅行や趣味など理想のセカンドライフを送るためには お金が必要です 老後のお金というと国から支給される年金 ( 公的年金 ) が大きな収入源となりますが 実はそれだけでは足りないのが現実です 老後はだれにでも等しく訪れます 若いうちから少しずつ セカンドライフに備えることが大切です 老後の最低日常生活費 ( 平均 22.0 万円 ) 以外に 月額 約 12.8 万円 必要 国 公的年金国民年金厚生年金 会社 退職金 企業年金退職一時金 企業型年金厚生年金基金 確定給付企業年金等 個人 自助努力 ideco NISA つみたて NISA 預貯金 投資信託 個人年金等 夫婦 2 人でゆとりのある老後生活を送るためには 最低日常生活費 ( 平均 22.0 万円 ) 以外に 月額 12.8 万円が必要であるといわれています セカンドライフに備えるための収入としては 退職金や企業年金 ideco 個人年金などがあります 生命保険文化センター 平成 28 年度生活保障に関する調査 2
日本の年金制度の構造は 3 階建ての建物にたとえられています 20 歳以上 60 歳未満の人は全員加入します 国民年金は加入する人の職業等により 第 1 号被保険者 第 2 号被保険者 第 3 号被保険者の 3 種類に分かれています 厚生年金は民間会社の会社員 公務員が加入します 加入者は 国民年金に厚生年金を上乗せした年金を受け取ることができます 厚生年金がない自営業者やフリーランスは 国民年金基金 ideco に 専業主婦 ( 夫 ) などは ideco に任意で加入して 国民年金に上乗せした年金を受け取ることができます 民間会社の会社員は 勤務先の会社が確定給付企業年金や厚生年金基金 企業型年金などの企業年金制度を導入していれば さらに上乗せして年金を受け取ることができます 公務員には 企業年金に代わる制度として年金払い退職給付があります また 企業年金がない会社員などが任意で ideco に加入して 上乗せして年金を受け取ることもできます 3 階 2 階 1 階 被用者年金一元化により 2015 年 10 月より公務員も厚生年金に加入し これまで 3 階部分として受け取っていた職域加算に代わり 新たに年金払い退職給付が設けられることになりました 2017 年 1 月より 確定拠出年金に加入できる人の範囲が拡大され 公務員や専業主婦 ( 夫 ) も ideco に加入できるようになりました 3
確定拠出年金とは 会社や加入者が拠出した掛金を 加入者が自らの判断で運用し 運用結果 に基づいて 老後に年金を受け取る制度です 国民年金に加入している人は 原則としてすべてが 確定拠出年金に加入できます ただし 拠出限度額 ( 掛金の限度額 ) は 加入する確定拠出年金が企業型年金かiDeCoか 勤務先での企業年金の加入状況などによって異なります (P6~7 参照 ) 確定拠出年金の加入対象者と拠出限度額 1 2 1 マッチング拠出 (P9 参照 ) をしていない場合で 会社ごとの 企業型年金規約 で ideco に加入できる旨の定めがある場合に限り ideco への加入が認められ その場合の企業型年金への拠出限度額は年額 42.0 万円 ( 月額 3.5 万円 ) となります (P6 7 参照 ) 2 マッチング拠出をしていない場合で 会社ごとの 企業型年金規約 で ideco に加入できる旨の定めがある場合に限り ideco への加入が認められ その場合の企業型年金への拠出限度額は年額 18.6 万円 ( 月額 1.55 万円 ) となります (P6 7 参照 ) 4
確定拠出年金には 企業型年金と ideco があります 企業型年金は 会社が従業員の退職金や老後の年金の準備のために行う制度です 加入できるのは 企業型年金を実施している民間会社の会社員です 掛金は 原則として会社が拠出しますが 会社がマッチング拠出 (P9 参照 ) を導入していれば 加入者も一定の範囲内で自ら掛金を拠出できます ideco は 個人が自分の老後の年金を準備するための自助努力の制度です 加入できるのは 自営業者 フリーランス 専業主婦 ( 夫 ) 企業型年金に加入していない民間会社の会社員 公務員などで 企業型年金に加入している人も要件を満たせば加入できます 掛金は加入者が自分で拠出します 勤務先会社で中小事業主掛金納付制度 ideco + ( イデコプラス ) を実施しているときは 加入者が拠出する掛金に上乗せして 会社も掛金を拠出できます 企業型年金 ideco ともに 60 歳まで加入することができます ただし 企業型年金では 会社ごとの 企業型年金規約 による定めがあれば 最高で 65 歳まで 60 歳到達時に勤務していた会社の企業型年金に加入することができます 確定拠出年金では 年金資産は個人毎に管理され 加入者自らの判断で運用を行います 将来受け取る年金の額は 運用の結果により決まります そのため 資産運用に関する知識や 金融商品に関する知識を身につけ 定期的に見直しを行うなど 適切に資産運用を行うことが大切です (P11 参照 ) 確定拠出年金はポータビリティに優れた制度です ポータビリティとは積み立てた年金資産を持ち運べることです 継続して年金資産を積み立てることで まとまった年金資産を形成することができます 例えば 転職により勤務先が変わったときや 会社を退職して自営業者 専業主婦 ( 夫 ) になったときなど 企業型年金の間 あるいは企業型年金と ideco の間で 年金資産の持ち運び ( 移換 ) をすることができます また 2018 年 5 月より 確定拠出年金のポータビリティが拡充され 一定の要件のもとに確定拠出年金から確定給付企業年金への年金資産の移換が可能になるなど これまでにも増して 人生の様々な状況に合わせて 年金資産を移換することができるようになりました (P22 ~ 23 確定拠出年金が変わりました 参照 ) 5
民年金の第2号被保険者険者自営業者 フリーランス国3号被保険者原則として国民年金に加入している人 すべてが 企業型年金 ideco のいずれか一方 あるいは一定の要件を満たせば両方に加入することができます 加入できる確定拠出年金の種類や拠出限度額は 国民年金の被保険者の種別や 勤務先の企業年金の実施状況などによって異なります 第企業型年金の加入者になっている 1号被保会社員第公務員 勤務先で企業型年金を実施している 勤務先で企業型年金を実施していない 国民年金の保険料が免除されていない 国民年金の保険料が免除されている 企業型年金の加入者になっていない ideco 拠出限度額年額 14 万 4,000 円 ( 月額 1 万 2,000 円 ) ideco 拠出限度額年額 81 万 6,000 円 ( 月額 6 万 8,000 円 ) 確定拠出年金に加入できません ideco 拠出限度額年額 27 万 6,000 円 ( 月額 2 万 3,000 円 ) 専業主婦 ( 夫 ) など 6
これまでは 掛金は月単位で拠出することになっていましたが 2018 年 1 月からは年単位で拠出できるようになりました そのため 毎月拠出する方法以外に 複数月分まとめて拠出する方法や 賞与時に使い残し分を拠出する方法などにより掛金を拠出することができます 会社毎の 企業型年金規約 で ideco に加入できる旨の定めがある 確定給付企業年金 厚生年金基金に加入している 確定給付企業年金 厚生年金基金に加入していない 企業型年金 拠出限度額年額 18 万 6,000 円 ( 月額 1 万 5,500 円 ) 企業型年金 拠出限度額 年額 42 万円 ( 月額 3 万 5,000 円 ) ideco 拠出限度額年額 14 万 4,000 円 ( 月額 1 万 2,000 円 ) ideco 拠出限度額年額 24 万円 ( 月額 2 万円 ) 会社毎の 企業型年金規約 で ideco に加入できる旨の定めがない 確定給付企業年金 厚生年金基金に加入している 確定給付企業年金 厚生年金基金に加入していない 企業型年金 拠出限度額 年額 33 万円 ( 月額 2 万 7,500 円 ) 企業型年金 拠出限度額 年額 66 万円 ( 月額 5 万 5,000 円 ) 確定給付企業年金 厚生年金基金に加入している ideco 拠出限度額年額 14 万 4,000 円 ( 月額 1 万 2,000 円 ) 確定給付企業年金 厚生年金基金に加入していない ideco 拠出限度額年額 27 万 6,000 円 ( 月額 2 万 3,000 円 ) 企業型年金の掛金の額は 会社毎の 企業型年金規約 で拠出限度額の範囲内で定められるため 拠出限度額まで拠出できないことがあります 2017 年 1 月 1 日より 原則として現役世代のすべての人が 確定拠出年金に加入できますが 次の人は加入できません 国民年金の保険料を免除されている人 ( 障害基礎年金を受給している人を除く ) 農業者年金に加入している人また 確定拠出年金は国民年金に加入している人を対象とする制度であるため 20 歳未満のアルバイト パートタイマーで 厚生年金に加入していない人は 確定拠出年金に加入できません 7
確定拠出年金では 掛金を会社又は加入者が拠出し 加入者が運営管理機関を通じて運用商品を指示します 年金資産の管理は 企業型年金では資産管理機関 ideco では国民年金基金連合会 ( 事務委託先金融機関 ) が行います その主なしくみを理解しましょう 1 会社 企業型年金では 会社が掛金を拠出し 資産管理機関 ( 1) にある加入者一人一人の確定拠出年金用の口座に振り込みます マッチング拠出 (P9 参照 ) をする場合は 加入者が拠出した掛金も一緒に振り込みます ideco では 加入者が掛金を拠出し 加入者本人名義の口座からの口座振替又は給与天引きの方法により 国民年金基金連合会 ( 2) から委託を受けた金融機関にある確定拠出年金用の口座に振り込みます 中小事業主掛金納付制度 (P9 参照 ) により会社が掛金を拠出する場合は 会社が拠出した掛金と 加入者から給与天引きの方法で拠出した掛金を一緒に振り込みます 2 加入者は 運営管理機関 ( 3) が提示する運用商品ラインナップの中から どの商品で資産運用するかを自らの判断で決定します 5 4 運営管理機関 は 加入者一人一人の運用結果や年金資産残高を定期的に報告します 運用関連 運用商品の選定 提示 運用商品の情報提供 記録関連 運用商品の指示の取りまとめ 記録管理 運用商品の指示 加入者は運用する年金資産の商品構成を変更することができます (P1 1 スイッチングとは ) 参照 ) 6 加入者 年金を受け取る人の給付申請により 運営管理機関 は 資産管理機関 または 国民年金基金連合会 ( 事務委託先金融機関 ) に給付の指示を行い その指示にしたがって年金が給付されます 8
マッチング拠出とは 企業型年金で 会社が拠出する掛金に上乗せして加入者が掛金を拠出することです 会社毎の 企業型年金規約 にマッチング拠出に関する定めがあれば 加入者も掛金を拠出することができます ただし 加入者が拠出する掛金は 会社が拠出する掛金額を超えることはできません 中小事業主掛金納付制度とは ideco で 加入者が拠出する掛金に上乗せして会社が掛金を拠出することです 従業員が 100 人以下などの要件を満たした会社が 制度を導入した場合に 会社も掛金を拠出することができます (P22 ~ 23 確定拠出年金が変わりました 参照 ) いずれの場合も 会社が拠出した掛金と加入者が拠出した掛金を合計した金額が拠出限度額以内でなければなりません 3 2 運営管理機関 は一人一人の運用商品の指示を 企業型年金では資産管理機関 ideco では事務委託先金融機関に行います 6 6 年金資産は銀行 証券会社 生命 損害保険会社等の金融機関が提供する商品で構成されます 年金を受け取る人 (60 歳以上 ) 1 資産管理機関 ( 事務委託先金融機関 ) 企業型年金で 会社及び加入者が拠出した掛金の管理を行います 具体的には信託銀行 生命保険会社などが担当します 企業型年金では 企業から ideco では 国民年金基金連合会から委託を受けています 2 国民年金基金連合会 ideco で 加入者が拠出した掛金の管理を行います また 個人型年金規約の作成や加入資格があるかどうかの審査を行います 3 運営管理機関運営管理機関には 運用商品の選定 提示等を行う 運用関連運営管理機関 と 運用商品の指示の取りまとめ等を行う 記録関連運営管理機関 があります 企業型年金では会社が選定し ideco では加入者が選定します 企業型年金では 企業から ideco では 国民年金基金連合会から委託を受けています 9
人の年金資産残確定拠出年金では 年金資産が個人毎に管理され 加入者自らの判断で運用を行います 運用関連運営管理機関が提示する運用商品メニューの中から商品を選択し 記録関連運営管理機関に運用商品の指示を行い 運用結果が個人の年金資産残高となります 転職や退職をしても 確定拠出年金に継続して加入することができます また 年金を受け取れるのは 原則として 60 歳以降です 加入から年金の受取りまでの流れを理解しましょう 個企業型年金では会社が拠出し マッチング拠出 (P9 参照 ) が導入されている場合は 加入者も拠出できます ideco では加入者が拠出し 勤務先で中小事業主掛金納付制度 (P9 参照 ) が導入されている場合は 会社も拠出できます ( 例 ) 会社掛金 ( 月額 ) 20,000 円 運用関連運営管理機関が提示する運用商品メニューの中から商品を選択し 記録関連運営管理機関に運用商品の指示をします ( 例 ) 定期預金 5,000 円 投資信託 A 15,000 円 投資信託 D 10,000 円 高加入者掛金 ( 月額 )10,000 円 合計 ( 月額 ) 30,000 円 加入 ( 企業型年金 ) 独立開業 (idecoに加入) 10
スイッチングとは 運用の途中で これまで積み立ててきた資産の商品構成 ( 割合 ) を変更することです 運営管理機関のホームページやコールセンターに指示することで変更することができます 年 1 回郵送される 確定拠出年金 残高のお知らせ などで 運用状況を確認したり 資産運用や金融商品に関する知識についてよく理解し 常に経済状況をみながら スイッチングを行うなど 適切な運用を行うことが大切です 加入者は スイッチング により 運用する年金資産の商品構成を変更することができます 運用の結果が悪ければ ( 掛金 運用損 ) が年金資産残高となります 受給開始年齢は 60 歳 ~65 歳です 年金で受け取るほか 一時金で受け取ることもできます 転職や退職をしても 個人の年金資産を 企業型年金と ideco の間で移換して 確定拠出年金に加入し続けることができます 60 歳 ~65 歳年金の受給開始年齢 11
確定拠出年金には 老齢給付金 障害給付金 死亡一時金 の給付があります 中心となるのは 老齢給付金 で 受取りは 60 歳以降です 中途解約は原則として認められません ( ) 受給開始年齢到達以降であれば 好きなときに受取 りを開始することができます ただし 遅くとも 70 歳ま でには受取りを開始する必要があります 受取方法は 年金 (5 年以上 20 年以下または終身 ) とし て受け取る方法と一時金として受け取る方法 両者を併 用する方法がありますが 金融機関によって選択肢が異 なります 受給開始年齢 確定拠出年金に加入した期間と資産の運用のみを行った期間の合計 ( 通算加入者等期間 ) により 以下のようになっています 通算加入者等期間受給開始年齢通算加入者等期間受給開始年齢 10 年以上 60 歳 4 年以上 63 歳 8 年以上 61 歳 2 年以上 64 歳 6 年以上 62 歳 1 月以上 65 歳 70 歳までに一定の障害状態となったときに 年金または一時金として受け取ることができます 加入者等が死亡したときに遺族に一時金として支給されます 12
確定拠出年金では 障害給付金 や 死亡一時金 の受給要件に該当しない限り 原則として 60 歳になるまで給付を受けることはできません 中途解約して脱退一時金を受け取れるのは 以下の要件をすべて満たした場合に限定されます 脱退一時金の受給要件 国民年金保険料の納付を免除されていること 国民年金の障害基礎年金の受給権者ではないこと 確定拠出年金の障害給付金の受給権者ではないこと 掛金を拠出した期間が 3 年以下 又は個人別の年金資産残高が 25 万円以下であること 企業型年金または ideco の加入者の資格を喪失した日から 2 年以内であること 企業型年金の加入者の資格を喪失したときに 企業型年金から支給される脱退一時金を受け取っていないこと 企業型年金または ideco の加入者の資格を喪失した日が 2016 年 12 月 31 日以前の場合は 受給要件が異なります 上記の要件を満たさない場合でも 企業型年金の加入者の資格を喪失したときに 個人別の年金資産残高が極めて少額な場合は 企業型年金から脱退一時金を受け取れます 確定拠出年金の老齢給付金は 以下のように税金の計算上有利に取り扱われます 一時金で受け取った場合 退職所得とみなされて課税されます 退職所得の金額 = ( 収入金額 - 退職所得控除額 ) 1 退職所得控除額計算式 勤続年数 退職所得控除額 20 年以下 40 万円 勤続年数 ( 最低 80 万円 ) 20 年超 800 万円 +70 万円 ( 勤続年数 -20 年 ) 2 年金で受け取った場合 雑所得として課税されます ただし 公的年金と同様に公的年金等控除の対象となります 雑所得の金額 = 収入金額 - 公的年金等控除額 13
確定拠出年金はポータビリティ (P5 参照 ) に優れた制度であるため 転職や退職をした場合でも制度に継続して加入することができます 会社を辞めて転職する場合や自営業者 フリーランスとして独立する場合 専業主婦 ( 夫 ) になる場合など 人生の様々な状況の変化に合わせて 企業型年金と ideco の間で年金資産を移換することができます また 一定の要件のもとに 他の企業年金等制度との間で年金資産を移換することもできます (P22 ~ 23 確定拠出年金が変わりました 参照 ) 60 歳未満で転職 退職した場合 転職 退職前 転職 退職後 企業型年金がある ( 加入対象である ) 民間会社 確定給付企業年金がある ( 加入対象である )( 注 1) 企業型年金及び確定給付企業年金がない ( 加入対象でない ) 公務員 企業型年金加入者 自営業 フリーランス 専業主婦 ( 夫 ) など 企業型年金がある ( 加入対象である ) 民間会社 確定給付企業年金がある ( 加入対象である )( 注 1) 企業型年金及び確定給付企業年金がない ( 加入対象でない ) 公務員 ideco 加入者 自営業 フリーランス 専業主婦 ( 夫 ) など 14
企業型年金と ideco に同時に加入できるようになったことなどにより ポータビリティが拡充され 移換の選択肢が増えました そのため 年金資産を移換するためには 原則として 本人の 申出 が必要です 企業型年金の加入者資格を喪失した場合には 転職先の企業型年金や ideco に移換するための申出をしなければなりません 6 か月以内に移換手続きの申し出を行わない場合には 年金資産が強制的に移行 ( 自動移換 ) されます このときに 企業型年金 ideco の加入者や運用指図者 ( 拠出は行わず年金資産の運用のみを行う者 ) になっていない場合には 年金資産は国民年金基金連合会に自動移換され 自分の資産が運用できなくなるうえ 事務管理手数料も発生してしまいます 会社を辞めたときは 移換手続きの申出を忘れないようにしましょう 年金資産の移換等の選択肢 企業型年金規約 で ideco への加入が認められている 企業型年金規約 で ideco への加入が認められていない 確定給付企業年金の規約で企業型年金の資産の移換が認められている 確定給付企業年金の規約で企業型年金の資産の移換が認められていない 1. 転職先の企業型年金に年金資産を移換する 2.iDeCo に年金資産を移換して加入者となるか 転職 退職前の年金資産の運用のみを行う 1. 転職先の企業型年金に年金資産を移換する 2.iDeCo に年金資産を移換して 転職 退職前の年金資産の 運用のみを行う 1. 確定給付企業年金に年金資産を移換する 2.iDeCo に年金資産を移換して加入者となるか 転職 退職前の年金資産の運用のみを行う ideco に年金資産を移換して加入者となるまたは 転職 退職前の年金資産の運用のみを行う 国民年金保険料を免除されている場合は 加入者となることはできない ( 注 2) 企業型年金規約 で ideco への加入が認められている 企業型年金規約 で ideco への加入が認められていない 確定給付企業年金の規約で ideco の資産の移換が認められている 確定給付企業年金の規約で ideco の資産の移換が認められていない 1. 転職先の企業型年金に年金資産を移換する 2.iDeCo に年金資産を残して継続して加入者となるか 転職 退職前の年金資産の運用のみを行う 1. 転職先の企業型年金に年金資産を移換する 2.iDeCo に年金資産を残して転職 退職前の年金資産の運用のみを行う 1.iDeCo に年金資産を残して継続して加入者となるか 転職 退職前の年金資産の運用のみを行う 2. 確定給付企業年金に年金資産を移換する ideco に年金資産を残して継続して加入者となるまたは 転職 退職前の年金資産の運用のみを行う 国民年金保険料を免除されている場合は 加入者となることはできない ( 注 2) ( 注 1) 企業型年金もある場合は 企業型年金に移換することもできます また 企業型年金規約で ideco への加入が認められていれば ideco への加入も可能です ( 注 2) 国民年金保険料を免除されている場合で 一定の要件を満たした場合は 脱退一時金を受け取ることもできます (P13 参照 ) 15
加入者が拠出した掛金は 全額所得控除を受けることができますので 所得税 住民税が軽減されます (P20 参照 ) 運用益は非課税となります (P20 参照 ) 老齢給付金を一時金として受け取るときは退職所得控除 年金として受け取るときは 公的年金等控除の適用を受けることができます (P13 参照 ) 転職した場合 これまで積み立てた年金資産を次の勤務先の企業型年金に移すことができます 転職先に企業型年金がない場合や 独立して自営業者 フリーランスになった場合でも ideco の加入者として 引き続き掛金を拠出して積み立てることができます (P14 15 参照 ) 年金資産の運用は 運営管理機関から提示された商品の中から 加入者が自由に決めることができます (P8 11 参照 ) 自分のライフプランに合わせた資産運用が可能です 加入者は運営管理機関のホームページやコールセンターを利用して いつでも自分の運用商品の変更や 年金資産残高を確認することができます 魅力 さらに idecoでは 次のメリットもあります 企業型年金では運営管理機関は会社が選定しますが idecoでは運営管理機関の選定も加入者自らが行います そのため より広い範囲の運用商品を選択することができます (P18 19 参照 ) 16
確定拠出年金では 加入者が投資に関する正しい知識を持って 資産運用にのぞむことが重要です そのため 企業型年金を実施している会社では 継続的に投資教育の実施に努めなければなりません 投資教育で行う内容は 投資経験のレベルなどによって異なりますが 主な項目は以下のとおりです わが国の年金制度の概要 確定拠出年金制度の概要 金融商品のしくみと特徴 資産運用の基礎知識 確定拠出年金制度を含めた老後の生活設計など 加入者が将来受け取る給付の額は その人の運用の結果次第で決まります 運用の結果が良ければその分多く受け取ることができますが 運用の結果が悪くても 会社がその分を補てんしてくれるということはありません 運用結果は自己責任です 運用商品にはリスクがあります 投資に関する知識が必要です 企業型年金を実施している会社では 継続的な投資教育の実施に努めなければなりません 原則として中途解約ができず 60 歳までは年金資産を引き出すことができません 病気やけがへの備え 住宅資金や教育資金などには 別途資金を用意しておく必要があります このほかに ideco では 次の留意点もあります ideco では 掛金だけでなく 手数料などのコストも加入者の負担となります 留意点 17
企業型年金では会社が加入手続きをしますが idecoでは 加入者が自分で申込手続きをする必要があります どのような手順で行うのかみてみましょう 企業型年金に加入するためには 勤務先会社で企業型年金が実施されていることが前提となり 会社毎の 企業型年金規約 に加入対象者が定められています 加入にあたっての手続きは会社が行うので 加入者が自分で手続きをする必要はありません ただし 企業型年金への加入について選択制を導入している会社にお勤めの場合には 会社に 加入することを伝える必要があります ideco に加入するためには 加入者が自ら申込み手続きを行う必要があります 申込みの窓口は ideco の取扱いをしている金融機関などです ideco では 掛金の額を自分で決めることとなります 自分の拠出限度額がいくらなのか きちんと確認する必要があります また ideco では運営管理機関も加入者が選択します 運用したい商品があるかどうか サービスは充実しているか 手数料はいくらかかるか などを比較検討し 自分のニーズに合う運営管理機関を選択しましょう 18
ideco の掛金は 民間会社の会社員 公務員については 加入者本人名義の口座からの口座振替又は給与天引きの方法により支払いますが 自営業者や専業主婦 ( 夫 ) などは 本人名義の口座からの口座振替により支払います 配偶者や子など 家族の掛金を 自分の口座から口座振替したり 給与天引きで支払うことはできないので 注意しましょう 1 ideco を取り扱っている金融機関などの窓口で申込みをします ( 参照 HP:iDeCo 公式サイト運営管理機関一覧 http://www.ideco-koushiki.jp/operations/) 2 ideco の運営管理機関は それぞれ運用商品ラインナップを用意しています 運営管理機関によりラインナップや手数料は異なるため 比較して自分のニーズに合う運営管理機関を選択しましょう 3 ideco の掛金は 加入者が自ら拠出限度額の範囲内で金額を決め 自らが拠出します なお 民間会社の会社員 公務員については 加入者本人名義の口座からの口座振替又は給与天引きの方法により 掛金を払い込みます 中小事業主掛金納付制度を導入している会社では 会社も掛金を拠出できます (P22 23 確定拠出年金が変わりました 参照 ) 19
税金全額再投資できる全額再投資できない 確定拠出年金には 掛金拠出時 運用時 受給時 の 3 つの税制メリットがあります 制度に加入してから給付を受け取るまでの全期間にわたって 税制メリットを受けることができます 加入者が拠出した掛金は 全額が所得控除 ( 小規模企業共済等掛金控除 ) の対象となるため 所得税 住民税が軽減されます 確定拠出年金に加入者が掛金を拠出した場合の軽減分 ( 例 ) 年齢 25 歳 35 歳 45 歳 年収 300 万円 450 万円 600 万円 扶養家族 税金の軽減効果を受けるためには 課税所得があることが前提となります なし 妻 (32 歳 ) 妻 (44 歳 ) 子 (3 歳 ) 子 (16 歳 ) 掛金 ( 月額 )( 加入者拠出分 ) 10,000 円 15,000 円 20,000 円 税率 税金軽減分 ( 年間 ) 子 (3 歳 ) は扶養控除対象外です 所得税の軽減分には 復興特別所得税の軽減分も含まれます 所得税 5% 5% 10% 住民税 10% 10% 10% 所得税 6,100 9,200 24,500 住民税 12,000 18,000 24,000 合計 18,100 27,200 48,500 通常は金融商品を運用すると運用益に課税されますが 確定拠出年金では運用益が非課税になります 運用益 元本 運用益 元本 老齢給付金を年金で受け取る場合は 公的年金等控除 一時金で受け取る場合は 退職所得控除 の対象となります (P13 参照 ) 20
加入を検討するときや 加入後に資産運用について学びたいときなどは インターネットで必要 な情報を入手することができます 下記はその一例です 厚生労働省ホームページ (http://www.mhlw.go.jp/) ideco 公式サイト (https://www.ideco-koushiki.jp/) ideco 公式サイト運営管理機関一覧 (https://www.ideco-koushiki.jp/operations/) 日本証券業協会ホームページ投資の時間 ideco 公式サイト資産運用の基礎知識 (https://www.ideco-koushiki.jp/library/knowledge/) 投資信託協会ホームページ (http://www.toushin.or.jp/) すでに確定拠出年金に加入している人は 運営管理機関のホームページや コールセンターも活用すると良いでしょう 制度の仕組み 資産運用 ライフプランニング 各種手続きなど 確定拠出年金に関する幅広い情報を提供しています 知りたいことや疑問に思うことがあったら 積極的に情報を入手したり 学習したりすることが 確定拠出年金を上手に利用するコツです 21
企業年金の実施が困難な小規模な会社が 従業員のセカンドライフに向けた資産形成を支援できるように 中小事業主掛金納付制度 が創設されました 中小事業主掛金納付制度を実施すると 会社は idecoに加入している従業員の掛金に追加で掛金を拠出できるようになります 会社がこの制度を実施するためには 従業員が100 人以下であることや 企業年金を実施していないことなどの要件を満たす必要があります また idecoの加入者は 給与天引きの方法により加入者掛金を拠出する必要があります 小規模な会社を対象とした 制度運営の負担の少ない企業型年金 ( 簡易企業型年金 ) が創設されました 簡易企業型年金では 制度内容が定型的になる代わりに設立時に必要な書類が少ないなど 事務が簡素化されるため 通常の企業型年金よりも導入しやすくなっています この制度を実施するためには 従業員数が100 人以下であることなどの要件を満たす必要があります 22
これまで以上に利用しやすい制度になりました! 人生の様々な状況の変化に対応するため 確定拠出年金のポータビリティが拡充されました 年金資産の積み立てを継続できるように 転職時に 確定拠出年金の年金資産を確定給付企業年金に移換できることになりました 年金資産を移換できるのは 確定給付企業年金の規約に 確定拠出年金の年金資産を移換できることが定められている場合です 事業再編が活発な今日の状況が考慮され 合併などがあった場合に 企業型年金から中小企業退職金共済 あるいは 中小企業退職金共済から企業型年金への年金資産の移換ができるようになりました この措置により 社内の企業年金等の制度を統一することができます これまでは 確定拠出年金の年金資産の移換先は 転職 退職時の状況別に決まっていまし たが 選択肢が増え 本人の申出に基づいて移換が行われることになりました 企業型年金 ideco 別々に年金資産の積み立てや運用をしたり 企業型年金に年金資産を一つにまとめたりして その人の希望する形でセカンドライフに向けた資産形成ができます 加入者が運用の指図 ( 指示 ) ( 金用商品の選択 ) を行わない場合に自動的に選択される運用商品 ( デフォルト商品 ) に 指定運用方法 という法律上の名称が定められました 指定運用方法は運営管理機関が選定 提示します 運営管理機関は 指定運用方法を選定 提示する際は 確定拠出年金制度の趣旨をふまえ セカンドライフに向けた資産形成にふさわしい運用商品を選定 提示する必要があります 指定運用方法による運用が実施されるのは 確定拠出年金の規約ごとに定められる 特定期間 (3 か月以上 ) 及び 猶予期間 (2 週間以上 ) を経過しても加入者が運用の指図 ( 指示 ) を行わず 運営管理機関が加入者に所定の通知を行っているなどの要件を満たした場合です これらの定めに基づいて指定運用方法による運用が行われた場合は 加入者が指定運用方法を指図 ( 指示 ) したものとみなされ その運用結果の責任は加入者本人に帰属することになります 法律上は 指図 とされていますが 本書の本項までは 指示 と表現しています 23
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1 2 3 確定拠出年金入門 2018 年 11 月 1 日第 6 版発行 編集 発行 : 日本証券業協会 協制 103-0027 東京都中央区日本橋 2-11-2 電話 03(6665)6765 FAX 03(6665)6809 力 : 日本商工会議所商工会議所年金教育センター作 : TIM Consulting 本協会の刊行物に対するご意見 ご要望がございましたら 上記までお寄せください 本書の無断転用 転載を禁じます 25