A-2 2013 年 7 月 2 日 テクトロニクス イノベーション フォーラム 2013 高速信号伝送の基礎と設計トレンド最前線 2-SI 編 芝浦工業大学電子工学科 須藤俊夫 1
内容 1.SI PI EMIの課題と背景 2. クロストークとスルーホールクとスルル 3. 導体損失と誘電損失 4. ガラスクロスの影響 5. 銅箔粗化の影響 6. まとめ 2
SI PI EMI の相互関連性 SI ( シク ナル インテク リティ ) ( ハ ワーインテグリティ ) 反射ノイズ クロストークノイズ アイパターン/ ジッタ 電源揺れによる信号シ ッタ増大 PI SSN グラウンドバウンス 基板給電面の共振解析 基板給電インピーダンス 電源デカップリング 信号系のEMI ( ノーマルモード放射 ) 電源系のEMI ( コモンモード放射 ) EMI/EMC 遠方界スペクトラム 3D 空間放射パターン 近傍電磁界 3
チップ内 ボード上信号の高速化動向 (MHz) 10GHz 1GHz GHz 帯に突入 Pentium4 PentiumⅢ Multi-core 差動伝送 高速シリアル I/O XIO(3.2Gbps) FlexIO(5Gbps) PCI Express (2.5Gbps) Serial ATA (1.5Gbps) HDMI USB3 DDR2 (~800Mbps) DDR3 (1.6 Gbps) DDR4(3.2 Gbps) 周波数 100MHz 内部クロック周波数 DDR (~400 Mbps) Pentium SDRAMA(133 MHz ) 100 MHz シングルエンド伝送 i386 66MHz 33MHz メモリバス周波数 10MHz 90 95 2000 2005 20XX 年 4
信号劣化 損失を引き起こす要因 はんだボール 差動インピーダンス 信号反射導体損失スルーホール構造 立上り時間 チャネル間隔 終端抵抗 ESD 容量 表皮効果 配線長 導電率 誘電率 表面粗さ 配線長 クリアランス 配線長 インダクタンス コーナ 角誘電正接 スタブ長 リターン不連続 モード分散 信号劣化 基板共振との結合 クロストーク誘電損失電磁波挙動 分布定数線路としての挙動 GHz 帯で顕著となる挙動 GHz 帯では 材料特性や配線構造までが影響を及ぼす 5
クロストークとスルーホール 6
差動信号伝送特性の解析モデル PRBS (5Gbps) ドライバ LSI ODT : オンチップ終端 Ci : 入力容量 PRBS : 擬似ランダム信号 パッケージ プリント基板 (PCB) パッケージ レシーバ LSI ODT (50Ω) Ci アイパターン観測点 ボードとパッケージの伝送線路モデル HSPICE W-element モデル (RLGC style) (2D 電磁界ソルバ ) R R L C G スルーホールモデルルモデル 3D 電磁界ソルバによるS パラ抽出 差動 S パラメータ [db] 0-5 -10-15 -20-25 -30-35 L C G Sdd11 Sdd21 0 5 10 15 20 25 Frequency [GHz] 7
アイパターンの評価指標 ½ UI ½ UI 開口 ジッタ UI : Unit Interval 8
チャネル間クロストークの解析モデル ドライバ LSI 出力バッファ ドライバ LSI 出力バッファ パッケージ 30cm パッケージ レシーバ LSI 入力バッファ レシーバLSI 入力バッファ 5Gbpsの PRBS 50Ω 1.5pF S2 パッケージパッケージ 50Ω 1.5pF 観測点 N 観測点 P ドライバ LSI 出力バッファ パッケージ S2 パッケージ レシーバ LSI 入力バッファ プリント配線基板 9
プリント配線板の断面構造 マイクロストリップ線路 (MSL) チャネル1 S2 チャネル2 S2 チャネル3 L / S1 / L (um) = 90 / 120 / 90 L S1 L チャネル1 ストリップ線路 (SL) チャネル2 差動インピーダンス Zdiff = 100Ω S2 (um) : チャネル3 100 200 300 500 700 S2 S2 tanδ: 0 001 0.01 004 0.04 L S1 L 10
クロストークノイズが信号品質に及ぼす影響 タイミングジッタ 電圧開口 timing jitter [p ps] ジッタ [ps] 80 70 60 50 40 30 20 10 0 MSL SL 表層配線内層配線 better 0 200 400 600 800 Channel チャネルギャップ gap, S2 [um] voltage 開口 opening [mv] [mv] 250 200 150 100 50 0 MSL SL 表層配線内層配線 better 0 200 400 600 800 チャネルギャップ S2 [um] Channel gap, S2 [um] チャネルギャップを広く取れる場合は マイクロストリップ線路が有利 高密度配線とするには ストリップ線路の方が有利線路の方 11
スルーホールの影響 磁界分布 解析モデル (8 層プリント配線板 ) 差動信号入力 信号用スルーホール 電源 GND プレーン GND 接続用スルーホール L1 層 L2 層 L3 層 L4 層 L5 層 L6 層 L7 層 L8 層 長いスタブ L3 層 スタブ 1.4mm 0.3 mm L1 層 L2 層 L3 層 L4 層 L5 層 L6 層 L7 層 L8 層 短いスタブ L6 層 スタブ 信号伝送品質が劣化 12
スルーホールの通過特性 貫通 TH 0 MSL Sd dd21 [db B] -5-10 -15-20 -25-30 TH (short stub) 短いスタブ SL TH (long stub) 長いスタブ SL -35 0 5 10 15 20 25 Frequency [GHz] 13
シミュレーションと実測の合わせ込み -FlexIO(5Gbps)- Cell 50mm 観測ポイント Super Companion Chip -0.6-0.7-0.8-0.9-1 -1.1-1.2 実測 シミュレーション -1.3 0 2 4 6 8 10 温度, 電圧の変動 シリコン, インピーダンスのバラツキで Eye が変わる 14
導体損失と誘電損失 15
信号の劣化 損失要因 DC での損失 直流抵抗 信号伝送 AC での損失 誘電損失 導体損失 散乱損失 16
分布定数線路の等価回路 x = 0 v( x, t ) i( x, t ) x = l i(t) インダクタンス L 抵抗 R 単位区間当り v(t) 容量 C コンダクタンス G 17
導体損失と誘電損失の起源 特性インピーダンス + ) ( 1 1 G R L L j R Z ω 伝搬定数 G R + = + = ) 2 2 ( 1 C G L j C C j G j Zo ω ω ω + + = + + + + = + + = + GZo R LC j G R LC j C j G L j R LC j G C j R L j j 1 ) ( 1 1 ) )(1 (1 ) )( ( ϖ ϖ ϖ ϖ ϖ ω ω β α 導体損失 + + = + + GZo Zo LC j C L j LC j 2 ) ( 2 1 ϖ ϖ ϖ 導体損失 Skin depth πμ σ πμ ρ δ f f 1 = = 誘電損失 (tanδ) δ ϖ tan C G = 18
表皮効果 表皮深さ d は d= 2 ωσμ = 1 ρ = πσ μ f πμf Cu の場合には σ=5.8 10 7 (S/m) あるいは ρ=1.72 10-8 (Ωm) であるため 4π f[hz] とすると 以下のようになる なお透磁率は μ 0 = 7 10 d = 0.066 f [m] 19
表皮深さの周波数依存性 100 Cu m) 表皮の厚深表深さ厚さ (μ 10 1 0.1 0.01 0.1 1 10 周波数 (GHz) 20
表皮効果 : 深さ方向の電流分布 1 0 1 2 3 4 5 6 7 8 μm (1GHz) d e x 0 1 2 3 4 d x 21
表皮効果 - 配線断面内の電流集中の周波数依存性 - 100MHz 500MHz 1GHz Skin depth δ=6.6 66um δ=2.95 295um δ=2.08 208um MS 線路 W=210um t=28um 22
表皮効果による導体損失 マイクロストリップ線路の場合 f R 1 πμρ = ρ = Wd W = ここで配線は非強磁性体とすると 2.6 10 導体損失は Z 0 を 50Ω とし 配線長を Loss 7 W μ = μ = l 0 とすると f 4π 10 7 リターン分の抵抗も考慮する必要がある V (l l ) C l log10 = 20log10 ε α = 20log ε ( α l) V (0) Cl = 20 10 c 単位長当りの導体損失は R R = 20 0.4343 l = 0.4343 l = 0. 08686 R l 2Z Z 0 0 [db] Loss C = 2.26 10 W 8 f = 715 W f ( GHz) ( μm) [db/m] 導体損失は周波数の平方根に比例する 23
誘電正接 (tanδ) 虚軸 Y C G jωc δ G=ωCtanδ Y=G+jωC 実軸 0 G 24
誘電正接による誘電損失 誘電損失は G = ωc tanδ から Loss = V ( l) Dl log10 = 20log10 ε α = 20(log ε )( α l) V (0) Dl 20 10 D GZ = 20 2 単位長当りの誘電損失は 0 8 l = 4.343 2πf LC tanδ l = 9.09 10 f ε tanδ l r [db] Loss = 90.9 ε tanδ f ( GHz) D r [db/m] 誘電損失は周波数に比例する 25
導体損失と誘電損失の周波数特性 100 10 (db/m 減衰 ) 1 0.1 0.01 0.017 0.01 0.004 200 35 100 18 50 18 0.001 0.01 0.1 1 10 周波数 (GHz) 26
誘電体による損失比較 0-2 -4-6 STL single 200mm MW-G FR-4 MEG4 MEG6 損失 [db] -8 ]-8.1dB -10-12 -14-16 -10.3dB -18-20 0 5 10 15 20 周波数 f [GHz] -19.5dB 27
評価基板の測定例 評価基板 誘電損の比較 (3 種類 ) εr tan δ A(FR-4) 4.35 0.017017 B 3.7 0.010 C 3.5 0.004 @ 1 GHz 線路構造の比較 (MS 線路とST 線路 ) ( 単位 :mm) W/S H L MS 線路 0.18/0.18 0.1 150/300 ST 線路 0.08/0.08 0.1 150/300 測定方法 PRBS 発生器 : アンリツ MP1761C 28
ガラエポ (FR-4) 基板はどこまで使えるか? 2.5Gbps 100ps/div 5.0Gbps 50ps/div 10 Gbps 20ps/div MS 15cm MS 30cm ST 15cm ST 30cm ST 線路は MS 線路より劣化が大きい 配線長の影響も大きい 29
低誘電損失材料による改善度 (1) MS 線路 30cm 2.5Gbps 100ps/div 5.0Gbps 50ps/div 10 Gbps 20ps/div A (FR-4) B C MS 線路では低誘電損失材料の効果は少ない 30
低誘電損失材料による改善度 (2) ST 線路 30cm 2.5Gbps 100ps/div 5.0Gbps 50ps/div 10 Gbps 20ps/div A (FR-4) B C 低誘電損失材料は ST 線路や配線長が長い場合に効果は大きい 31
ガラスクロスの影響 32
配線断面の SEM 画像 SEM 画像 SEM 画像 33
ガラスクロスの種類 ピッチ :300-400 um 34
ガラスクロスのモデル化 上から ガラス繊( 参考資料 ) 維の隙間断面 ガラス繊維がクロスしているところ ガラス繊維の隙間 35
差動伝送特性 : コモン成分への変換 Sdd21: ( 入力 ) 差動モード ( 出力 ) 差動モード Scd21: ( 入力 ) 差動モード ( 出力 ) コモンモード ガラスクロスあり ガラスクロスなし 0 0 S parameter [d db] -20-40 -60-80 Sdd21 Scd21 S parameter [d db] -20-40 -60-80 Sdd21 Scd21-100 -100 0 10 20 30 40 0 10 20 30 40 Frequency [GHz] Frequency [GHz] ガラスクロスの影響により ペア信号線間のスキューが大きくなり 差動モードからコモンモードに変換される率が高くなる 36
45 度斜め配線の効果 ( シングルエンド ) θ = 0 度 θ = 45 度 0 0 S2 21 [db] S21 [deg] -0.5-1 -1.5 Posi 配線 Nega 配線 S2 21 [db] S21 [deg] -0.5-1 -1.5-2 -2 180 180 120 120 60 60 0 0-60 -60-120 -120-180 -180 0 10 20 30 40 Frequency [GHz] Posi 配線 Nega 配線 0 10 20 30 40 Frequency [GHz] 45 度斜め配線にすることにより Posi 配線と Nega 配線の遅延差が緩和される 37
45 度斜め配線の効果の実測検証 基板 1 信号配線がガラスクロスと平行 基板 2 信号配線がガラスクロスと 45 度 ガラス 信号配線 38
45 度斜め配線の効果の実測検証結果 ( 配線長 :10 cm) ) 0 Sdd21 0 Scd21-1 -20 Sdd21 [db] -2-3 -4-5 θ = 0 deg θ = 45 deg 0 5 10 15 20 Scd21 S [db] -40-60 -80-100 θ = 0 deg θ = 45 deg 0 5 10 15 20 Frequency [GHz] Frequency [GHz] Sdd21 Scd21 θ 2.5GHz 10GHz 20GHz 2.5GHz 10GHz 20GHz 0 deg -1.08-2.176-3.990-39.388-27.585-26.500 45 deg -1.136-2.229-4.324-55.964-34.242-34.229 10 db 程度低下 Sdd21 に対しては大きな影響はないが Scd21 に対しては影響は大きく コモンモードの抑制に効果的といえる 解析と同様の傾向を示す 39
銅箔粗化の影響 40
銅箔表面の粗さ A B C 41
Cu 粗化面の SEM 像 42
導体表面の粗さ 出典 : ホール & ヘック高速デジタル回路設計丸善出版 43
Cu 表面の山谷測定例 出典 : ホール & ヘック高速デジタル回路設計丸善出版 44
Cu 表面粗さに対する挿入損失 S 21 測定結果 出典 : ホール & ヘック高速デジタル回路設計丸善出版 7 in = 17.78 cm 45
まとめ 1) 高速化 高周波化が進み ますます銅配線でどこまで達成でき高周波化が進みるかのチャレンジが進んでいる 2) 表皮効果による導体損失 誘電正接による誘電損失を正確に見積もる必要ができてきた 3) 差動伝送においてガラスクロスは 差動信号をコモン成分に差動信号をコモン成分に変換させ 信号品質の劣化をもたらす要因となる 4)GHz 領域では まず低誘電損失化は不可欠になっていくと考えられ 相対的に導体損失の比率が増える 従って銅箔自体の影響度が大きくなるため 粗化による散乱損失も損失要因として顕在化してきた 46
ご静聴ありがとうございました 47