第 4 章災害復旧事業 1 災害査定に向けて (1) 一次調査地震発生後の緊急調査により被災が確認された施設について 一次調査を実施した ( 柏崎市については全路線で一次調査を実施した ) 一次調査は平成 19 年 7 月 17 日から 27 日までの 11 日間に4 市 1 町で実施され 延べ 113 班 788 人により 管路延長 829.1kmの調査を行った 一次調査実施状況 一次調査の主な内容 応急復旧の必要性の判定 ( 被害の拡大及 び二次災害の防止 ) 二次調査 ( テレビカ メラ調査 ) の必要性の判断を目的とする マンホールの蓋を開け 目視により破損 や滞水状況を確認する 一次調査の調査項目 マンホール及び管渠周辺の路面の異常の有無( 沈下 陥没 隆起 亀裂 段差等 ) マンホール及び圧送管からの下水の流出の有無 マンホールの異常の有無( 蓋 受枠のずれ 側壁のずれ 破損 本管接続部のずれ 土砂堆積等 ) 管路の異常の有無( 継ぎ目のずれ 管のたるみ 管内への漏水 土砂堆積等 ) 取付管 ます等の異常の有無( 突出し 破損 漏水 亀裂 ずれ等 ) < 管路施設の一次調査結果 > 表 4-1 一次調査結果 管理者 管路延長マンホール一次調査結果一次調査結果調査対総延長調査路面人孔滞途中管閉本管本管合計象個数土砂汚管接隆起鉄蓋躯体合計延長異常水水没塞破損侵入水合部沈下 km km 個数個数個数個数個数個数個数個数個数個数個数個数個数個数 長岡市 1,785 133 1 312 156 2 2 2 475 450 0 29 1 1 0 31 柏崎市 463 463 960 3,601 0 34 121 121 4,837 11,462 4,512 1,154 3,601 241 480 9,988 小千谷市 191 191 0 264 0 0 0 0 264 7,200 0 0 0 0 0 0 上越市 594 34 31 39 5 0 30 0 105 1,257 0 17 0 17 0 34 出雲崎町 40 9 85 60 0 0 0 0 145 123 0 0 0 50 6 56 計 3,072 829 1,077 4,276 161 36 153 123 5,826 20,492 4,512 1,200 3,602 309 486 10,109 各市町の管渠延長は 小数点以下を四捨五入しているため 合計値と一致していない 4-1
(2) 二次調査一次調査の結果から 管渠延長約 70.6km について二次調査が必要であることが判明した 災害査定に必要な被害状況資料を作成するため テレビカメラ等により 管路およびマンホールの詳細な調査を行った 調査は 7 月 30 日から 8 月 22 日までの 24 日間に延べ 291 班により実施した 二次調査の主な内容 管路部及びマンホール内の目視および直接計測マンホール躯体ブロックの亀裂 ズレ 隆起及び沈下量の計測マンホール内の帯水深 本管接続部の突出よび離脱量の計測 テレビカメラによる管内調査管路の破損 クラック たるみ蛇行 継手のズレの確認および記録滞水深 土砂堆積 侵入水 取付管突出よび離脱の確認および記録テレビカメラ調査実施フロー準備工 管渠内洗浄工 管路内調査工 異常箇所の発見 測定 記録 後片付け調査結果とりまとめ 終了二次調査実施状況 テレビカメラ 高圧洗浄車と吸引車 テレビカメラによる被災確認 テレビカメラ車による調査状況 4-2
< 管路施設の二次調査結果 > 表 4-2 二次調査結果管理者名期間二次調査対象の管路延長 被災マンホール数柏崎市 7 月 30 日 ( 月 ) 管渠延長 :72.6km ~8 月 22 日 ( 水 ) マンホール数 :2,401 基 24 日間上越市 7 月 27 日 ( 金 ) 管渠延長 :2.8km ~8 月 4 日 ( 土 ) マンホール数 :49 基 9 日間長岡市 7 月 24 日 ( 火 ) 管渠延長 :10.2km ~8 月 10 日 ( 金 ) マンホール数 :29 基 8 日間小千谷市 7 月 25 日 ( 水 ) 管渠延長 :3.2km ~8 月 4 日 ( 土 ) マンホール数 :0 基 11 日間出雲崎町 7 月 24 日 ( 火 ) 管路延長 :3.9km ~7 月 27 日 ( 金 ) マンホール数 :0 基 4 日間 査定申請した管路延長 被災マンホール数管渠延長 :37.4km マンホール :1,313 基管渠延長 :0.9km マンホール :17 基管渠延長 :5.8km マンホール :29 基管渠延長 :3.7km マンホール :0 基管渠延長 :2.6km マンホール :0 基 一次調査及び二次調査により 災害査定に申請する延長 L=50.4 km が確定した 災害査定申請延長 / 一次調査実施延長 =50.4 km / 829.1km = 6.1% 災害査定申請延長 / 二次調査実施延長 =50.4 km / 70.6km = 71.4% なお 災害査定により決定した被災管渠延長は L=48.7 km であった 4-3
図 4-1 下水道管きょ調査延長と災害査定申請延長 2994.5km 3000 2500 2000 1500 1000 500 829.1km 0 一次調査延長 中越沖地震 中越地震 307.9km 154.3km査定決定 152.1km 70.6km 50.4km 査定決定 48.7km 二次調査延長査定申請管きょ延長 (3) 査定の簡素化措置等新潟県中越沖地震では 災害査定事務の速やかな処理を図るため 下記のとおり簡素化の措置がなされた 表 4-3 災害復旧事務手続きについて 項目 事項現行中越沖地震での対応 1 箇所の考え方 処理場 処理場 処理場毎に1 箇所 処理場毎に1 箇所 管渠 管渠 処理分区 幹線管渠を基本とするブ 吐口 1 箇所毎に1 箇所 ロック割とし 工事として適正なまとま りを1 箇所とする 4-4
(4) 査定資料の作成 新潟県下水道課では 査定申請の円滑な推進を目的として 被災市町村への情報提供を 随時行った 情報提供日平成 19 年 8 月 2 日 H190716 中越沖地震に伴う下水道の災害申請に向けて 情報提供日平成 19 年 8 月 16 日 H190716 中越沖地震に伴う下水道の災害申請に向けて ( その 2) 情報提供日平成 19 年 8 月 29 日 H190716 中越沖地震に伴う下水道の災害申請に向けて ( その 3) 情報提供日平成 19 年 9 月 19 日 柏崎市査定設計書における留意事項 (5) 査定までのスケジュール 公共土木施設の災害査定は原則 2ヶ月以内に実施するよう国土交通省河川局防災課から通知されている しかし下水道施設は地下に埋設されており 査定のための調査に時間を要することから国土交通省都市 地域整備局都市防災対策室と査定日程を調整し 約 3ヶ月後の10 月 19 日までに全ての査定を完了させた 表 4-4 災害査定までのスケジュール日時事項 19.7.16 新潟県中越沖地震発生新潟県下水道対策本部 ( 以下本部 ) を新潟県下水道課内に設置柏崎市 出雲崎町から本部に支援要請あり 本部から県内自治体 中部ブロック ( 窓口 : 富山県 ) に支援活動可能体制の報告依頼 19.7.17 本部から支援が可能な県内自治体に支援要請 19.7.18 本部から支援が可能な中部ブロック各自治体に支援要請 19.7.19 県内自治体による支援活動開始 ( 柏崎市 出雲崎町 ) 19.7.20 中部ブロック各自治体による支援活動開始 ( 柏崎市 ) 19.7.23 本部から大都市 ( 東京都他 ) に 柏崎市への支援要請 19.7.24 大都市による支援活動開始 ( 柏崎市 ) 19.7.25 本部から名古屋市 新潟市へ2 次調査への支援要請 ( 柏崎市からの要請による ) 19.7.27 柏崎市の1 次調査終了 19.7.30 2 次調査開始 ( 柏崎市は名古屋市 新潟市 管路協の支援による ) 19.8.22 2 次調査終了 19.9.25~ 災害査定 ( 第 1 次 ) 実施 ( 柏崎市 長岡市 小千谷市 上越市 出雲崎町 :28 日まで ) 19.10.15~ 災害査定 ( 第 2 次 ) 実施 ( 柏崎市 :19 日まで ) 19.10.31 新潟県下水道対策本部を閉じる 4-5
2 災害査定 (1) 災害査定申請方針 下水道施設の被災箇所の復旧は公共土木施設 ( 都市災害 ) 復旧事業で行うこととした 被災の事実 採択要件を確認し事業費等を決定するため 国土交通省及び財務省の担当官による災害査定が実施された 以下に復旧工法基準を示す 表管路復旧判定基準表 4-5 管路復旧判定基準 区分種別細目判定基準引用基準ス最低流速 0.6m/s 以下下水道施設計画パ管路勾配逆勾配ン管径の1/5 以上 (φ250mm 未満 ) 地震対策マニュアル全管路のたるみ体または 5cm 以上 (φ250mm 以上 ) の管径の1/5 以上 (φ250mm 未満地震対策マニュアル評管路の蛇行または 5cm 以上 (φ250mm 以上 ) 価亀裂円周方向ク半円周以上または幅 5mm 以上宮城県 神戸市ヒューム (CV) ラック欠落 浸入水維持管理指針管 BOX カルバート破損管軸方向ク管半分以上で幅 5mm 以上維持管理指針管本体 (CH) ラック欠落 浸入水管変形 扁平のあるもの JAWAS K-1 1 変形塩ビ管 5% 以上変形 扁平本破損管に亀裂が入っているものごとの継手のずれ評価 ふた 受枠 斜壁 直壁 底版 継手部 小型マンホール 1 号マンホール以上 亀裂 破損 防護蓋内蓋鉄蓋受枠 斜壁 直壁 底版 インバート 本管接続部 継手のずれ 2cm 以上 宮城県 神戸市 脱落 浸入水 維持管理指針 宮城県 亀裂 2mm 以上 部分的亀裂を超えるもの 破損 離脱 ( 塩ビ管は上下のズレ含む ) 地震対策マニュアル破損 浸入水宮城県 破損 あり 宮城県 神戸市 破損 あり 宮城県 破損 あり 宮城県 破損 あり 宮城県 ずれ 壁厚 1/3 以上地震対策マニュアル (171P) 漏水 : にじむ 流れる 噴出 ( 被害程度の分類 ) 宮城県 地震対策マニュアル 亀裂 1mm 以上 ( はく離含む ) 漏水 : にじむ 流れる 噴出 破損 あり 宮城県 地震対策マニュアル 亀裂 1mm 以上 漏水 堆積 破損 あり 宮城県 破損 あり 宮城県 突出 あり 抜け あり 4-6
表 4-6 表管路部復旧工法基準管路部復旧工法基準 区分 種別 細目 状 況 対策工 備考 ス管路勾 最低流速 0.6m/s 以下パ配 逆勾配 評ン 管路のた 管径の1/5 以上 5cm 以上 布設替 地震対策マニュアル 価全 るみ 管更生工法 体管路の蛇の行 管径の1/5 以上 5cm 以上 地震対策マニュアル 亀裂クラックの有るもの 部分布設替 工法選定手引き ( 案 ) 亀裂 部分管更生工法 地震対策マニュアル 管本体 クラック 1スパンの内亀裂 クラックが半分以上ある布設替管更生工法 変形 変形 扁平のあるもの 部分布設替 部分の評価 継手部 破損 継手のずれ 1スパンの変形部の合計が1スパンの半分以上ある布設替 漏水のみ 亀裂 破損のないもの 止水工法 地震対策マニュアル 亀裂 破損の有るもの 部分管更生工法 抜け出し 脱落の有るもの 部分布設替 工法選定手引き ( 案 ) 取付管部のみの損傷 部分管更生工法 1スパンの継手箇所数のうち半分以上の継手のずれ布設替 がある場合 区分種別状況対策工備考目地目地のはく離止水工法地震対策マニュアル浸入水 : 無し止水工法地震対策マニュアル躯体亀裂浸入水 : 有り ( にじみ 流れる 噴出 ) 組ホー立マルン 管口 表 4-7 表マンホール復旧工法基準 突出 管口破損 : 浸入水無し 止水工法 管路布設替え 抜け 管口破損 : 浸入水有り ( にじみ 流れる 噴出 ) 区間は除く 4-7
(2) 査定スケジュール 新潟県中越沖地震による都市災害査定は 第 1 次査定が平成 19 年 9 月 25 日 ~28 日に 第 2 次査定が平成 19 年 10 月 15 日 ~19 日に実施された 表 4-8 都市災害査定スケジュール 査定 自治体名 査定班 第 1 次査定 長岡市 小千谷市 柏崎市 上越市 出雲崎町 本省 1 班地方整備局 1 班 第 2 次査定 柏崎市 本省 3 班地方整備局 1 班 災害査定実施状況 4-8
(3) 災害査定 1 査定額および対象施設 下水道施設への被害が大きかった柏崎市において約 50 億円をはじめとして 新潟県全 体では 4 市 1 町で約 62 億円が都市災害復旧事業として認められた 管渠の被害はマンホール 1,333 個 管路延長 48.7km が認められた また 市町村別の被害では箇所数 査定決定額ともに柏崎市が最も多かった 表 4-9 管理者 災害査定決定額及び査定対象施設査定決定額 ( 千円 ) 箇所数 全体 内応仮工 マンホール ( 個 ) 復旧延長 (km) 長岡市 9 625,824 1,129 29 5.6 柏崎市 37 4,968,830 59,659 1 2 1,287 36.2 小千谷市 4 287,030 3.7 上越市 2 80,270 17 0.8 出雲崎町 6 241,028 2.4 合計 58 6,202,982 60,788 1,333 48.7 金額保留 : 柏崎市浄化センター 1 箇所平成 19 年 12 月 5 日保留解除 処理場 ( 箇所 ) 査定対象施設管路施設 ポンプ場 ( 箇所 ) 2 処理場およびポンプ場の内訳 柏崎市の処理場 1 箇所 中継ポンプ場 2 箇所で災害査定申請をし ほぼ申請どおり決定した また 処理機能の維持や回復のため地震直後から行った応急工事についても ほとんどが査定で認められた 処理場 ( 柏崎自然環境浄化センター ) は 決定見込金額が4 億円以上となったので 国土交通省と保留解除協議を行い 12 月 5 日に解除となり査定額が確定した 4-9
表 4-10 処理場およびポンプ場の査定結果 事業主体 施設名 ( 処理区名 ) 設 計 概 要 決 定 額 決 定 工事費 ( 千円 ) アスファルト舗装工 A=268m2 千円 公共下水道 歩車道境界ブロック L=6m U 型側溝布設替 L=3m 柳橋中継 自由勾配側溝布設替 L=2m 5,625 ポンプ場 手洗い場 N=1 箇所 電柱引込柱 N=1 本 内応急仮工事 (265) 応急仮工事 柏崎市 路面復旧 V=24m3 アスファルト舗装工 A=254m2 千円 公共下水道 歩車道境界ブロック L=16m BF 布施替 L=20m 柏崎処理区 U 型側溝布設替 L=30m 7,012 八坂中継 止水工 N=1 箇所 ポンプ場 管渠開削工 φ400mm L=4.4m 場内復旧工 1 式 千円 公共下水道 土木建築工 1 式 監視汚泥棟 地盤改良工 1 式 631,448 柏崎自然環境 ガスタンク 杭基礎工 N=8 本 浄化センター 脱硫塔 杭基礎工 N=5 本 建築機械工 1 式 建築電気工 1 式 内応急仮工事 機械設備工 1 式 (2,131) 電気設備工 1 式 管渠工 φ300mm 86.5m 舗装復旧工 A=4,800m2 応急仮工事 1 式 仮設道路工 1 式 機械設備 ( 汚泥圧送管 ) 1 式 建築機械設備 ( 受水槽ほか ) 1 式 処理場 :1 箇所 644,085 内応急仮工事ポンプ場 :2 箇所 (2,396) 4-10
3 災害支援の概要 県内市町村 中部ブロック 大都市への支援要請 被災した5 市町のうち 特に被害が甚大であった柏崎市 出雲崎町では下水道施設の調査への対応が困難であった 7 月 16 日地震発生時より立ち上げた下水道対策本部から県内外に支援を要請したところ 58の地方公共団体や公的機関から支援を頂いた 支援は10 月の災害査定まで行われ 支援者数は延べ 1,900 人以上に及んだ 表 4-10 新潟県中越沖地震下水道災害復旧支援者 ( 国 地方公共団体等 ) 総括表 単位 : 人 一次調査 二次調査 査定資料作成他 国土交通省 15 1 0 県外支援者 492 456 437 県内支援者 200 134 250 計 707 591 687 累計 707 1298 1985 一次調査期間 : 柏崎市 7 月 19 日 ~7 月 27 日 出雲崎町 7 月 19 日 ~7 月 22 日 二次調査期間 : 柏崎市 7 月 28 日 ~8 月 22 日 出雲崎町 7 月 23 日 ~7 月 27 日 査定資料作成他 : 調査以外の支援活動 写真 4-1 支援活動の様子 ( 柏崎市 ) 4-11
表 4-11 支援団体一覧 国土交通省 都市 地域整備局 福井県 福井県 新潟県 新潟市 下水道部 福井市 長岡市 北陸地方整備局 大野市 三条市 国土技術政策総合研究所 勝山市 新発田市 富山県 富山県 越前市 加茂市 富山市 坂井市 十日町市 高岡市 岐阜県 岐阜県 見附市 魚津市 岐阜市 村上市 黒部市 大垣市 燕市 小矢部市 静岡県 藤枝市 糸魚川市 射水市 滋賀県 滋賀県 五泉市 石川県 石川県 彦根市 阿賀野市 金沢市 名古屋市 魚沼市 小松市 静岡市 南魚沼市 輪島市 浜松市 胎内市 加賀市 東京都 ( 財 ) 富山県下水道公社 羽咋市 横浜市 日本下水道事業団 かほく市 川崎市 ( 社 ) 日本下水道管路管理業協会 中能登町 千葉市 ( 社 ) 新潟県下水道管路維持改築協会 能登町 さいたま市 4-12