地方財政論

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財政学

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資料 1 税財政制度を通じた論点 Ⅰ 現状と課題 1. 地方財政の財政の概要 地方財政の平成 23 年度決算は 歳入約 兆円 歳出 97.0 兆円となっている なお 借入金残高は約 兆円と依然と高い水準にある 国と地方における最終支出ベースにおける比率は 42:58 となって

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道州制基本法案(骨子)

地方財政論

資料1 第3回災害救助に関する実務検討会における意見に対する回答

県と市町村の役割分担の基準


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1 地域主権改革 Q1-6 市町村の人口規模はどのぐらいが適正かについて どういう議論があるのですか A1-6. 市町村の適正な人口規模について 大阪府自治制度研究会 においては 次のような検証 とりまとめがされています 検証 効率的な行政運営 備えるべき組織体制 望ましい行政サービス提供の 3 つ

平成 21 年 7 月 道州制への慎重な対応について 兵庫県知事井戸敏三 各政党においては 究極の分権改革とも言われる 道州制 について マニフェストへの盛り込みが検討されています しかし 道州制は本来国の形のあり方の問題であるにもかかわらず もっぱら地方制度の問題として議論されている最近の状況を鑑

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市町村における住民自治や住民参加、協働に関する取組状況調査

H28秋_24地方税財源

(2) 消費税率 10% への引上げ時に導入が予定されている軽減税率制度については 消費税 地方消費税の引上げ分のうち地方交付税原資分も含めると 約 3 割が地方の社会保障財源であり 仮に減収分のすべてが確保されない場合 地方の社会保障財源に影響を与えることになることから 確実に代替財源を確保するこ

☆表紙・目次 (国会議員説明会用:案なし)

資料1 第1回会議のポイントについて

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私立幼稚園の新制度への円滑移行について

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税源配分及び財政調整 < 税源配分 > 特別区と大阪府の事務分担に応じて財源を配分するとともに 特別区間の税源偏在の解消を図るために必要な税財源を大阪府の税源として配分 特別区税 大阪府が賦課徴収する税を除く市町村税( 個人市町村民税 市町村たばこ税 軽自動車税等 ) 大阪府税 市町村税のうち法人市

文化庁平成 27 年度都道府県 市区町村等日本語教育担当者研修 2015 年 7 月 1 日 生活者としての外国人 に対する日本語教育の体制整備に向けた役割分担 日本語教育担当者が地域課題に挑む10のステップ よねせはるこ米勢治子 ( 東海日本語ネットワーク )

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4 合併を選択した理由 合併を選択した理由は 直面する財政危機への対応よりも 将来に向けた行政体制の充実 強化や行政サービスの維持 向上 合併を選択した理由 地方分権時代にふさわしい基礎自治体としての行政体制の充実 強化を図るため 20 市町村 効率的 効果的な行財政運営により 行政サービスを維持

市場と経済A

介護保険制度改正の全体図 2 総合事業のあり方の検討における基本的な考え方本市における総合事業のあり方を検討するに当たりましては 現在 予防給付として介護保険サービスを受けている対象者の状況や 本市におけるボランティア NPO 等の社会資源の状況などを踏まえるとともに 以下の事項に留意しながら検討を

そもそも議会側から招集請求をしているにも関わらず 長がこれに応じないことは想定されていないが 今 そういう事態が生じていることから 何らかの法的な手当てを考え 解決を図るべきではないか 長が議会の招集請求に応じない場合の問題解決について 幾つかの考え方がある 一つは 住民なりその自治体の中で解消すべ

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子ども・子育て支援新制度の解説資料 1.制度概要 その1

どのような便益があり得るか? より重要な ( ハイリスクの ) プロセス及びそれらのアウトプットに焦点が当たる 相互に依存するプロセスについての理解 定義及び統合が改善される プロセス及びマネジメントシステム全体の計画策定 実施 確認及び改善の体系的なマネジメント 資源の有効利用及び説明責任の強化


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03-1知事会提言かがみ文

資料 5 自治体クラウド推進 業務改革について 平成 27 年 9 月 14 日

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ミクロ経済学Ⅰ

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参考 平成 27 年 11 月 政府税制調査会 経済社会の構造変化を踏まえた税制のあり方に関する論点整理 において示された個人所得課税についての考え方 4 平成 28 年 11 月 14 日 政府税制調査会から 経済社会の構造変化を踏まえた税制のあり方に関する中間報告 が公表され 前記 1 の 配偶

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「経済政策論(後期)《運営方法と予定表(1997、三井)

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( 参考 ) 平成 29 年度予算編成にあたっての財務大臣 厚生労働大臣の合意事項 ( 平成 29 年 12 月 19 日大臣折衝事項の別紙 ) < 医療制度改革 > 別紙 (1) 高額療養費制度の見直し 1 現役並み所得者 - 外来上限特例の上限額を 44,400 円から 57,600 円に引き上

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第2回税制調査会 総2-2

市場と経済A

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障財源化分とする経過措置を講ずる (4) その他所要の措置を講ずる 2 消費税率の引上げ時期の変更に伴う措置 ( 国税 ) (1) 消費税の軽減税率制度の導入時期を平成 31 年 10 月 1 日とする (2) 適格請求書等保存方式が導入されるまでの間の措置について 次の措置を講ずる 1 売上げを税

日本の地方自治その現状と課題

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平成 26 年地方分権改革に関する提案募集要項 内閣府地方分権改革推進室 1 趣旨内閣府地方分権改革推進室では 地方分権改革に関する提案募集の実施方針 ( 平成 26 年 4 月 30 日地方分権改革推進本部決定 ) に基づき 地方分権改革に関する全国的な制度改正に係る提案を募集します 2 提案の主

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各府省からの第 1 次回答 1. 災害対策は 災害対策基本法に規定されているとおり 基礎的な地方公共団体である市町村による第一義的な応急対応と 市町村を包括する広域的な地方公共団体である都道府県による関係機関間の総合調整を前提としている を活用してもなお対応できず 人命又は財産の保護のため必要がある

市場と経済A

3 国 道州 基礎自治体の役割と権限 役割分担については 次のような意見があった 中間報告に国の役割として挙げられている16 項目については限定列挙とする意見と16 項目は例示であり さらに役割分担を考えていくべきとの意見があった 例えば 国土政策 農林政策 教育等は国 地方が協力して対処する問題が

第28回介護福祉士国家試験 試験問題「社会の理解」

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P10 第 2 章主要指標の見通し 第 2 章主要指標の見通し 1 人口 世帯 1 人口 世帯 (1) 人口 (1) 人口 平成 32 年 (2020 年 ) までの人口を 国勢調査 ( 平成 7 年 ~22 年 ) による男女各歳人口をもとにコーホー 平成 32 年 (2020 年 ) までの人口

ミクロ経済学入門

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三沢市行政経営推進プラン

2. 地方税原則地方税としての消費税のあり方を考える際にまず押さえておかなければならないことは 地方消費税が地方税として望ましい税目であるかどうかという点である 1 現在 国税として個人所得税 法人税 消費税 相続税などがあり 地方税として個人住民税 法人住民税 法人事業税 地方消費税 固定資産税な

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1. のれんを資産として認識し その後の期間にわたり償却するという要求事項を設けるべきであることに同意するか 同意する場合 次のどの理由で償却を支持するのか (a) 取得日時点で存在しているのれんは 時の経過に応じて消費され 自己創設のれんに置き換わる したがって のれんは 企業を取得するコストの一

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(全体)

租税の理論,物品税の帰着

問 2 次の文中のの部分を選択肢の中の適切な語句で埋め 完全な文章とせよ なお 本問は平成 28 年厚生労働白書を参照している A とは 地域の事情に応じて高齢者が 可能な限り 住み慣れた地域で B に応じ自立した日常生活を営むことができるよう 医療 介護 介護予防 C 及び自立した日常生活の支援が

地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(第7次地方分権一括法)の概要

市町村合併の推進状況について

第6回税制調査会 総6-3

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1. dia

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が実現することにより 利用希望者は認証連携でひもづけられた無料 Wi-Fi スポットについて複数回の利用登録手続が不要となり 利用者の負担軽減と利便性の向上が図られる 出典 : ICT 懇談会幹事会 ( 第 4 回 )( 平成 27(2015) 年 4 月 24 日 ) 2. 現状 日本政府観光局

地方税法等の一部を改正する法律案の概要 総務省 1 地方法人課税における新たな偏在是正措置 平成 31 年 10 月 1 日施行 都市 地方の持続可能な発展のための地方税体系の構築の観点から 特別法人事業税及び特別法人事業譲与税に関する法律案 において特別法人事業税 ( 国税 ) を創設することに併

平成18年度地方税制改正(案)について

平成 24 年度国民健康保険税税率改定案 1 医療保険分 ( 基礎課税額 ) 現行 改定 増減 伸率 所得割額 4.30 % 4.63 % % 資産割額 % 9.80 % % 税率等 均等割額 17,100 円 18,000 円 900 円 5.3%

図 1 小松市の産業の付加価値額 ( 中分類 )(2012 年 ) 図 2 は 石川県と福井県の繊維工業の取引関係を 見える化 したものです これより 両県の繊維工業の企業間取引は 県境を越えてなされていることがわかります このように 行政区域を越えた産業の広がりやサプライチェーンを把握することで

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本稿では筆者が知る範囲で この個人住民税検討会での検討内容とこれからの課題について論じたい なお 本文中意見に関わる部分は筆者の個人的な見解である 一一九九〇年代の検討会一九八〇年代後半に世界的な潮流となった税制改革の方向性は 家計の税負担のフラット化であった 日本でも中曽根政権のもとで シャウプ勧

Taro-★【2月Ver】01~05. ⑲計

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2 都市的税目に乏しい市町村税 市町村税は 法人所得課税 消費 流通課税といった経済活動を反映する都市的税目に乏しいため 増大する都市的財政需要に市税収入が対応しきれない大きな要因となっています 都市的税目の割合比較 ( 平成 22 年度 ) 100% 80% 37.7% 34.9% 60% 資産課

Transcription:

講義ノート8 地方財政論入門第 3 章

公共サービスの受益の空間的範囲 規模の経済 ( 固定費用 )= 規模は大きいほど節約 混雑現象 ( コスト )= 公共サービス消費の競合性 地域の選好の異質性 = 規模が大きいほど異質性大 地域間競争への効果 = 地域数が多いほど活発化 要因間でトレード オフ

規模の測り方面積 人口 決定要因 公共サービスの受益の空間的範囲参考 : 空間的範囲 > 行政区域 地域間外部性 規模の経済 vs 混雑コスト 選好の異質性 以下では人口規模に着目

Perfect mappig= 受益の範囲と行政区の境界が一致 境界のかい離としての外部性 かい離を最小化させるための行政区規模の 最適化 受益は境界を越えて拡散 =スピルオーバー = 外部便益公共施設 ( 例 : 中核病院 ) 行政区域 ( 境界線 ) 公共施設からの受益の及ぶ範囲 利用

公共サービス X の限界便益 SMB = MB A + MB B MB A MB B = 限界外部便益 F 外部性に起因する効率性ロス c 地域 A に帰着する便益 A = 地域最適 E = 社会最適 0 * X A * X S X

多くの財貨は純粋公共財と私的財の中間 = 準公共財 準公共財の特徴 - 部分的競合性 = 混雑現象を伴う -( 部分的 ) 排除可能性 混雑の程度は状態 ( 時間帯 ) に依存 財の性格は 状態依存型 ピークロード プライシング= 混雑の程度に応じた価格づけ 公共財の受益の範囲が普遍的 ( 経済全体に行き渡る ) とは限らない クラブ財 = 受益は会員に限定 地方公共財 = 受益の範囲が空間的に限定 8

競合性 私的財 一般道地方公共財高速道路 クラブ財 ( プールなど ) 0 純粋公共財 ケーブル TV 排除可能性 9

クラブ財 = 排除可能性を伴う財貨 限定された会員 ( 消費者 ) のみが消費例 : プール ゴルフ クラブ財の供給問題 - 供給水準の決定 - 会員数の決定 自発的集団 (Coalitio) 形成 クラブ数 = 人口 / 一クラブ規模 クラブ財としての 地方公共財 地域住民 = クラブ会員 クラブ選択 = 足による投票

),, ( },, { g x U Max g x I g C x = + ), ( Subject to 地域資源制約 ), ( 1 ), ( ), ( * * * * * * * g C g C g C U U g x g = = サミュエルソン条件 = 地域内資源配分の最適化最適人口 ( 会員 ) 規模 = 地域間人口配分の最適化代表的地域住民の厚生 ( 効用 )

クラブとしての自治体の 最適規模 提供する公共財 サービスの供給費用構造に依存 クラブ財としての地方公共財 = 消費者 ( 地域住民 ) が増えると同じサービス水準 (g) を維持するための費用が増加 = 混雑現象 ( コスト ) 例 : 警察 消防サービス 地域人口 ( 会員 ) 増の効果 - 混雑コスト (+) - 規模の経済 (-) 規模の経済 = 住民増による一人あたり費用負担の軽減

二つの最適化 ( 効率化 ) 地域内資源配分 ( 地方公共財供給 ) の効率化 MB=MC( サミュエルソン条件 ) 地域間資源 ( 人口 ) 配分の効率化 = 地方自治体 ( 共同体 ) の最適規模 ( 住民一人当たり ) 平均費用を最小化 最適規模の決定要因 = 規模の経済 vs 混雑コスト 人口増のトレードオフ 必ずしも二つの最適化 ( 効率化 ) が同時に満たされるわけではない 公共サービス水準が効率的でも 自治体規模は効率的ではないかもしれない

平均費用 C = C / C ( g *, ) / C < C / C > C / 混雑コスト < 規模の経済 混雑コスト > 規模の経済 * 最小費用 0 = 最適人口規模 会員数

出所 : 林正義 ( フィナンシャルレビュー 2002 年 2 月号 )

出所 : 林正義 地方自治体の最小効率規模 財務省財務総合政策研究所 フィナンシャル レビュー February-2002

出所 : 経済財政白書 2010

理論上 最適規模は公共サービス ( 例 : 警察 教育 医療等 ) 別に決定 実証分析上 市町村が提供している現行の公共サービス群を与件として 人口一人当たり歳出 を最小化 行政コストに着目混雑コストや選好の相違等は勘案されない 最適規模は 市町村が担う支出責任の範囲に応じて変化 最小コスト が前提になっているわけではない

情報の非対称性 選好 ( ニーズ ) の違い 生産に係る規模の経済 (= 固定費用 ) 混雑現象 (= 部分的競合性 ) 受益の拡散 最適規模 19

[ 足による投票 は最適規模を実現するか? 地域 内 資源配分 地域 間 資源配分 地域 内 資源配分 = 公共サービス供給の効率性 足による投票による誘因づけ 地域 間 資源配分 = 人口配分 公共サービス水準を一定とすれば 個人は税負担の低い方に居住 税負担の軽減の誘因 平均費用 ( 税負担 ) の最小化

C A / A C B / B 各住民の税負担 T = C / < C / = T A A A B B B C ( g *, ) / B B B E= 均衡点 B C ( g *, ) / A A A A 最小費用 e A e B B A 0 A * A * B 0 B

足による投票 の均衡条件地域間で効用水準が同一化地域 ( 自治体 ) 規模の効率条件平均費用の最小化 B B B A A A T C C T = = = / / C C / = 人口移動の外部性 = 両地域で 平均 コストが変化 他の住民の税負担に影響 外部性分 均衡と効率がかい離 0 ), ( 1 ), ( * * >< = = C C g C d d C C g C d d 限界的人口移動による他の住民の税負担の変化合計外部性 ( 便益 費用 )

C A / A 個人は地域 B から A へ移動 両地域に居住する他の住民の平均税負担は増加 = 外部コスト C B / B C ( g *, ) / B B B E= 均衡点 B 地域 B の平均税負担増 C ( g *, ) / A A A A 地域 A の平均税負担増 e A e B B A 0 A * A * B 0 B

理論モデル = 単一 の公共サービス ( 例 : 教育 ) に着目 - 最適人口規模 = 当該サービス消費の最適消費者数 -Perfect mappig= 当該サービスの受益の範囲 実際には地方自治体 ( 都道府県 市町村 ) は複数 ( 数多く ) の公共サービスを提供 各々のサービスごとに自治体 ( 提供主体 ) を作ることは非効率 例外?: 学校区 ( 米国 カナダ ) 最適規模 = 複数の公共サービス群に対して決定

現行の都道府県 市町村制度の下での最適規模の実現 その 1: 市町村合併 = 地方分権の受け皿としての財政基盤の強化 ( 平均コストの軽減 ) その 2: 道州制 = 都道府県レベルの合併 留意 : 公共サービス ( 例 : 介護保険 ) の割当 ( 例 : 市町村 ) は与件 その3: 最適規模に即した公共サービスの割当 最適規模の大きい ( 小さい ) 公共サービスは都道府県レベル ( 市町村レベル ) に割当

出所 : 総務省資料

その 1: 財政の視点 マクロ = 行政サービス ( 教育 福祉 インフラ等 ) をフルセットで住民一人あたり行政コストを最小化するように自治体の人口規模を ( 合併等で ) 決定 ミクロ = 各行政サービスごとに住民一人あたりコストを最小化する人口規模に近い層の政府 ( 国 都道府県 自治体 ) に割当 その 2: 受益の視点 各行政サービスごとに地理的 空間的受益の範囲が収まるレベルの政府 ( 受益のスピルオーバー = 漏れの内部化 ) その 3: 人員の視点 専門性の高い行政サービス ( 例 : 福祉 公共調達 医療等 ) については人材確保が可能なレベルの政府 28

大阪府自治制度研究会第 8 回研究会 ( 平成 22 年 11 月 8 日 ) 資料 29

大阪府自治制度研究会第 8 回研究会 ( 平成 22 年 11 月 8 日 ) 資料 30

基礎自治体を 受け皿 とした分権化 =Secod tier decetralizatio 例 : 平成の大合併 道州制 ( 都道府県の再編成 ) を基礎とした分権化 例 : 伝統的連邦国家 ( カナダ 米国等 ) 我が国の選択肢? 医療 介護保険 経済政策等 広域行政は都道府県に移管 + 道州制 = 都道府県の再編成 大都市と地方都市 ( 地域圏 ) に異なる権限配分 = 非対称な分権化 例 : ドイツの都市州 ( ベルリン ハンブルグ ) 31

32

広域自治体改革を通じて国と地方双方の政府を再構築し 新しい政府像の確立を目指す - 広域自治体として都道府県に代えて道州を置く ( 全国を 9~13 に区分 ) - 現行の都道府県事務は大幅に市町村に移譲 - 国 ( 地方支分部局 ) の事務を道州へ移譲 - 国からの適切な税源移譲 - 税源と財政需要に応じた 適切な財政調整制度 を検討

地方分権 地方税 国と地方の関係 現状 全国一律 = 自治体の規模 財政力とは無関係に同じ権限 責任 集権的分権改革 横並び志向 法人課税に偏重した応益原則 国の幅広い財源保障が前提 = 保護者責任 あるべき地方分権 非対称的地方分権 = 自治体の実力に応じた分権 先行事例の積み重ね 各地方が独自に財政責任を充足 応益原則は住民課税に徹底 国と地方の役割分担 責任関係の明確化 財源保障の縮減 範囲の明確化 37

所定の支出責任 ( 例 : 教育 医療 介護 ) に応じた自治体規模の決定 VS 所定の規模の応じた支出責任の配分 全ての地方自治体 ( 市町村 ) に対して同等の分権化 ( 権限 責任 ) の移譲を行うべきか? 行うことができるか? 西尾私案 (2002 年 11 月地方制度調査会小委員会 )= 人口が一定規模に至らない小規模自治体については 法令により基礎的自治体に義務づけられた事務のうち窓口サービス等を処理することとし 他の事務は都道府県に処理を義務づける ( 事務配分特例方式 ) 新しいアプローチ : 地方行政の広域化 = 自治体間の連携 役割分担

出所 : 総務省資料 39