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イ検証の視点について ( ア ) 統計データの分析について岩井総務局参事官から, 第 8クールにおいても, これまでの検証と同様, 民事第一審訴訟事件, 刑事通常第一審事件, 家事事件, 上訴審訴訟事件を幅広く取り上げ, 重要かつ基本的な統計項目を中心に整理 分析をするとともに, その時々の検証対象

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訂正情報書籍 170 頁 173 頁中の 特許電子図書館 が, 刊行後の 2015 年 3 月 20 日にサービスを終了し, 特許情報プラットフォーム ( BTmTopPage) へと模様替えされた よって,

被告に対し, 著作権侵害の不法行為に基づく損害賠償として損害額の内金 800 万円及びこれに対する不法行為の後の日又は不法行為の日である平成 26 年 1 月 日から支払済みまで年 % の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である 1 判断の基礎となる事実 ( 当事者間に争いのない事実又は後掲の各

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的にも影響があるので, 期間をできるだけ短縮することに向けて尽力していただきたい 争点がない事件でも三, 四か月かかるということであるが, 結構時間がかかっているという印象である 事案によっては, 慎重にしなければならないが, 争点がない事件では2か月くらいでできるのではないか 一般人からして裁判は

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控訴人は, 控訴人にも上記の退職改定をした上で平成 22 年 3 月分の特別老齢厚生年金を支給すべきであったと主張したが, 被控訴人は, 退職改定の要件として, 被保険者資格を喪失した日から起算して1か月を経過した時点で受給権者であることが必要であるところ, 控訴人は, 同年 月 日に65 歳に達し

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2012 3

O-27567

限され 当事者が商標を使用する能力に直接の影響はありません 異議申し立て手続きと取消手続きで最もよく見られる問題とは 混同のおそれ と 単なる記述 です TTAB は登録の内容のみを評価するため その分析の局面には 想定に基づくものもあります 通常 TTAB では どのように標章が実際の製品において

司法制度改革審議会の意見書について, 佐久間邦夫委員長が説明をした (3) 司法制度改革審議会意見書に基づき新たに制定された法律及び制度ついてア菅原民事首席書記官が, 労働審判法 ( 労働審判手続 ), 民事訴訟法改正 ( 簡易裁判所の事物管轄の拡大など ), 行政訴訟法 ( 行政訴訟制度の見直し

特許制度小委員会報告書案 実効的な権利保護に向けた知財紛争処理システムの在り方 ( 案 ) に寄せられた御意見の概要と御意見に対する考え方 全体に関して 通し番号 寄せられた意見の概要 御意見に対する考え方 今回の知財紛争処理システムに関し 知的財産権ユーザである産業界の一員として

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(2) 原則として 1 人の弁護士があっせん 仲裁人となりますが 事案によっては 更に弁護士や弁護士以外のあっせん 仲裁人を選任し あっせんでは 2 人又は 3 人 仲裁では 3 人で行うことがあります (3) また あっせん 仲裁人を補佐するために弁護士や専門的知識を有する者を専門委員に選任するこ

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5 提出された書類等の閲覧 謄写 ( コピー ) 申立人の提出した申立書については, 法律の定めにより相手方に送付されます それ以外に調停手続中に一方の当事者が提出した書類等については, 他方の当事者は, 閲覧 謄写の申請をすることができます この申請に対しては, 裁判官が, 円滑な話合いを妨げない

事実 ) ⑴ 当事者原告は, 昭和 9 年 4 月から昭和 63 年 6 月までの間, 被告に雇用されていた ⑵ 本件特許 被告は, 次の内容により特定される本件特許の出願人であり, 特許権者であった ( 甲 1ないし4, 弁論の全趣旨 ) 特許番号特許第 号登録日平成 11 年 1

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( 事案の全体像は複数当事者による複数事件で ついての慰謝料 30 万円 あり非常に複雑であるため 仮差押えに関する部 3 本件損害賠償請求訴訟の弁護士報酬 分を抜粋した なお 仮差押えの被保全債権の額 70 万円 は 1 億円程度と思われるが 担保の額は不明であ を認容した る ) なお 仮差押え

事案である 3 仲裁合意本件では 申立人の申立書において仲裁合意の内容の記載があり 被申立人は答弁書においてこれを争わなかったので 本件についての書面による仲裁合意が存在する なお 被申立人は審問期日においても本仲裁に応じる旨の答弁をした 4 当事者の主張 (1) 申立人の主張申立人は 請求を基礎づ

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登録商標 は著作権が侵害された旨の宣言 侵害製品販売に対する終局的差止め命令 並びに 損害賠償 但し 以下の点に注意が必要 : 裁判所において 損害裁定の指針が確 されておらず 裁判官が思い付きで判決を下すことが時折みられる 損害賠償 裁定の強制が困難であり 被告が失踪するか がないと申し てること

REPORT あいぎ特許事務所 名古屋市中村区名駅 第一はせ川ビル 6 階 TEL(052) FAX(052) 作成 : 平成 27 年 4 月 10 日作成者 : 弁理士北裕介弁理士松嶋俊紀 事件名 入金端末事件 事件種別 審決取消

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第 36 回 東京地方裁判所委員会 ( 平成 27 年 10 月 22 日開催 )

東京地方裁判所委員会 ( 第 36 回 ) 議事概要 ( 東京地方裁判所委員会事務局 ) 第 1 日時平成 27 年 10 月 22 日 ( 木 )15:00~17:00 第 2 場所東京地方裁判所第 1 会議室第 3 出席者 ( 委員 ) 貝阿彌誠, 足立哲, 大沢陽一郎, 大野正隆, 岡田ヒロミ, 門田美知子, 小林克信, 柴垣明彦, 渋谷義彦, 髙橋順一, 橋本淳, 深見敏正, 藤田幸子, 八木一洋, 山元裕史, 若園敦雄 ( オブザーバー ) ( 事務局 ) 東京地裁民事首席書記官, 同刑事首席書記官, 同事務局長, 東京簡裁事務部長, 東京地裁総務課長, 同総務課課長補佐, 同総務課庶務第一係長 ( プレゼンター ) 東京地裁裁判官東海林保第 4 講演及び議題等 1 消費者団体の消費者のための訴訟 ( 講演 ) 2 少年の刑事事件を審理する際の留意点 ( 説明 ) 3 裁判所における知的財産事件の状況 ( 議題 ) 第 5 配布資料 消費者団体の消費者のための訴訟 と題するレジュメ( パワーポイント用 ) 裁判所における知的財産事件の状況 ~ 特許権侵害訴訟を中心として~ と題するレジュメ ( パワーポイント用 ) 第 6 議事 1 開会 2 新任委員の紹介 ( 八木委員, 若園委員 ) 3 法曹以外の外部委員による講演等講演担当の外部委員から 消費者団体の消費者のための訴訟 について講演が行われた 4 裁判所委員による説明 1

裁判所委員から 少年の刑事事件を審理する際の留意点 について説明が行われた 5 議題 裁判所における知的財産事件の状況 発言者の表示 = : 委員長, : 委員, : 裁判所委員, : 講演者, オブザーバー プレゼンターによる知的財産事件における審理の概観, 同事件のうち特許権侵害訴訟を中心として, 審理の概要や特色等について説明を行った後, 以下のとおり質疑応答があった 知的財産事件について, 現在は国際的にも日本の裁判所が注目されるようになってきている, という印象を受けました 特許権侵害訴訟の審理過程において, 技術説明会が行われているが, これは民事訴訟における位置付けとして, 主張又は立証のいずれに該当すると理解すればよいか また, 同様にアミカス キュリエも主張又は証拠 ( 立証 ) のいずれに該当又は位置付けられているか 知財訴訟は, 通常の民事訴訟と異なり, 事実に関して争われることはほとんどない したがって, 特許権侵害訴訟では, 評価の問題となるのが大半である この評価は, 例えば争われている技術等を充足論において被告製品に当てはめるなどして検討するが, 技術説明会は, そうした検討を行う上で, 争われている技術等が高度かつ専門的なものであるので, 裁判所及び当事者に誤った理解や認識がないかを技術的な観点から専門家に監視していただくという位置付けにあり, 評価に関わるものと言える アミカス キュリエ ( 意見募集 ) について, そもそも日本の裁判手続では, 特許庁長官への意見照会以外には,( 第三者の ) 意見を募集するようなシステムがない したがって, 訴訟手続において, アミカス キュリエを実現するためには, 収集した意見に関する書類を当事者から書証として提出していただく方法をとっている 書証の提出では, 何を提出するかを含め, 本来, 当事者が自由に選択することができることになっているが, アミカス キュリエでは, 意見募集を当事者双方の合意の上で実施しており, 意見書の送付先を便宜上, 代理人事務所としていることから, 書面 ( 意見 ) の送付を受けた代理人は, 提出する書面を選択することはできず, 全てを裁判所に提出することとなる ゴルフクラブヘッド事件は充足論とどのような関係であったか 充足論に基づき検討する上では, 被告製品が文言侵害にあたるのか, また, 文言侵 2

害に当たらないとした場合, 均等侵害の該当性はどうかを考える必要がある 上記事件では, 文言侵害の 縫合材 には当たらず, 非充足という判断であった ただし, 被告製品は, 縫合材 と同様の作用効果が認められることから, 均等侵害には当たるという結果であった アミカス キュリエについて, 書証として裁判所に提出されるということは, 裁判所の観点からすると, 鑑定人による鑑定意見書と同様の位置付けという理解でよいか 知財訴訟では基本的に事実関係に争いがないので, 鑑定が行われることはない 侵害の有無は評価の問題であり, 評価を検討する上で法律論を展開することになるが, その際, しばしば学者や専門家の意見書が提出されることがある それは, 裁判所を拘束するものではなく参考資料としての位置付けである アミカス キュリエについても同様であり, 提出された資料 ( アミカス キュリエ ) を参考として, 裁判所は全体として国際的に通用する判断をするよう努めている アミカス キュリエについて, 日本での意見聴取の具体的な方法は, 裁判所又は当事者のどちらが主導して行っているのか また, アメリカではどうか 日本の訴訟手続において, 意見募集 ( アミカス キュリエ ) を行うシステムがない以上, 当事者から書証として提出してもらう方法をとっているが, 実際には, 裁判所が主導して, 著名な法律雑誌に意見を募集する旨の広告を掲載し, 実施した 意見募集に関する問い合わせでも, 実際は裁判所が対応した 一方, アメリカでは, アミカス キュリエに関する手続が最高裁規則及び高裁規則において, 規定されており, 地裁では特に規定はないものの知財訴訟では常識的なものとして行われている そのため, アメリカでは自動的に意見が集まってくるという現状にあり, その数も日本と比べ, 圧倒的に多い 日本の知財訴訟が国際的に注目されるようになったのはいつごろか 十年位前は, むしろ, 日本はアメリカの判決に注視し, それを研究していたところである FRAND 事件は国際的に注目を浴びた日本の判決と言える 世界における知財の中心的な市場は, アメリカ ヨーロッパ諸国 韓国 中国及び日本の5 局と言われており, その中で日本の裁判も国際的に注目されるようになってきてはいるが, 今後も国際的な協議会等を通じ, 日本の現状を発信していく必要があると考えている 知財訴訟では, 中小企業等が原告となる事件もあろうかと思われ, その場合, 中小企業等自らが訴訟を遂行することは難しいと考えられる 中小企業等が知財事件を弁 3

護士に依頼するにあたり, 弁護士の充足状況はどうか 知財事件を専門とする法律事務所は, 東京及び大阪に多くあり, また, 渉外事件を取り扱う事務所でも知財事件を取り扱っていることは多い ( 弁護士費用を含め ) 裁判にかかる費用が高額になることが予想されるが, 裁判所の判断は, 代理人の有無にはかかわらないが, 訴訟が弁論主義であることから, 主張の巧拙は避けられないところではある 特許権侵害訴訟において, 当該商品が大量に販売されていることが弁護士費用等に影響を及ぼすことがあるか 請求額が高額であれば, 弁護士費用も高額になるのが実態であり, タイムチャージ制の弁護士であれば, 解決までに時間がかかることによって, その費用が増すこととなる 特に, アメリカでは, 弁護士費用がタイムチャージ制であることも多く, 裁判が長引いたりすると相当高額な弁護士費用となる現状がある そのため, そうしたリスクに鑑みて裁判の前に和解が行われるという例もある そのような事情を背景として弁護士費用を敗訴者負担にすべきという議論がないわけではない 東京オリンピックのエンブレムに関する問題は, 著作権なのか, 意匠権なのか エンブレムに関する問題は, 著作権とも考え得るが, おそらく商標権に関する分野の問題と思われる 商標権に関する問題も知的財産であるから, 特許庁を巡りグローバルに展開されているものではあるが, 現状, 特許権ほど国際的な協調は進んでいないという印象である 第 7 次回のテーマについて外部委員から法曹以外の委員の立場から, 地方裁判所の運営に関する意見, 提案のプレゼンテーションを行っていただくこと, 並びに裁判所委員から, 裁判所において建築紛争を巡る訴訟をどのように取り扱っているかを最近の動向等を踏まえ取り上げたい旨の意見が出されたことから, これを踏まえて検討した結果, 第 37 回は, 建築訴訟について をテーマとすることになった 第 8 次回以降の開催期日について次回 : 平成 28 年 2 月 18 日 ( 木 ) 午後 3 時 00 分 4