表 -1 懸濁液の配合 種類 重量比 (%) カーボンブラック ( カーボンブラック FW-200 ) 5.0 イオン交換水 塗装試験体の前処理方法塗装試験体の前処理方法は 以下の手順で行う 1) 塗装試験体を 温度 50 ± 1 の温水に 3 日間浸漬する ( 温度 50 ± 1

Similar documents
Description_

土壌溶出量試験(簡易分析)

Cromax_Centar6000_MAZDA 46G_160808

Description_

Description_

<4D F736F F F696E74202D20824F DA AE89E682CC89E696CA8DED8F9C816A2E >

HP_GBRC-141, page Normalize_3 ( _GBRC-141.indb )

土壌含有量試験(簡易分析)


目次ページ 1 適用範囲 1 2 引用規格 1 3 用語及び定義 2 4 種類及び等級 2 5 品質 3 6 見本品 3 7 試験方法 サンプリング 試験用試料の検分及び調製 試験の一般条件 容器の中の状態 低温安定性 4 7.

しょうゆの食塩分測定方法 ( モール法 ) 手順書 1. 適用範囲 この手順書は 日本農林規格に定めるしょうゆに適用する 2. 測定方法の概要 試料に水を加え 指示薬としてクロム酸カリウム溶液を加え 0.02 mol/l 硝酸銀溶液で滴定し 滴定終点までに消費した硝酸銀溶液の量から塩化ナトリウム含有

石綿含有建材分析マニュアル第4章

グラスト Si 石材調の外観により高級感があり 落ち着きのある外観を兼ね備えた仕上げ材となります 色の種類 : 標準色 53 色他調色可 ( 注意 : 標準色以外の場合は限界色となる場合がございます ) 上塗材の特徴 : 高い耐候性を有し 防藻 防カビ剤を配合しており 長期にわたり美観を保ちます グ

tds_enamel-1_j_Ver02_

1. はじめに 流水洗浄とは 槽の一方から他方へ一様な流れを形成する構造の浸漬洗浄方式である 洗浄ワークから剥がれた汚れは下流に流される為 汚れの再付着が少なくなる その結果短い洗浄プロセスでも目的の洗浄品質が得られ 洗浄装置をコンパクトに構成出来る可能性がある 流水洗浄を従来洗浄方法と比較し ハー

01盤用熱対策機器_coolcabi.indd

ベースライトのスタンダード 色を自然に引き立てる Ra95 スタンダードタイプも光束維持率を向上 HIDタイプは約 6 万時間のロングライフ 1

Microsoft Word H29 LVL報告書7

能力グラフ 50Hz OCA-300BC-200V-R 60Hz 能力グラフの見方の説明は 編 P に掲載しておりますのでご参照ください OCA-300BC-200V-R 屋外盤用 外形寸法図 < 正面図 > < 側面図 > < 裏面図 > < 下面図 > パネルカット図 取付図 <

附属書1

ES-TX800/TX900_5th

ダイアボンド DE1108

ACモーター入門編 サンプルテキスト

untitled

鋼道路橋防食便覧 目次 A5 判 592 頁本体価格 7,500 円 平成 26 年 3 月 31 日初版第 1 刷発行平成 29 年 5 月 30 日第 3 刷発行 第 Ⅰ 編共通編 第 1 章総則 Ⅰ 総論 Ⅰ 適用の範囲 Ⅰ 用語 Ⅰ-4 第 2 章鋼

OCA-0BC-0V/V (-CE) 能力グラフ OCA-0BC-V (-CE) W W W W

Microsoft Word - YPTI PKG Test Report Sample.doc

ウスターソース類の食塩分測定方法 ( モール法 ) 手順書 1. 適用範囲 この手順書は 日本農林規格に定めるウスターソース類及びその周辺製品に適用する 2. 測定方法の概要試料に水を加え ろ過した後 指示薬としてクロム酸カリウム溶液を加え 0.1 mol/l 硝酸銀溶液で滴定し 滴定終点までに消費

YP_表紙cc_1804_4c

Microsoft Word - A1109(細骨材密度_ .doc

藻やカビを防ぐ 塗装前 は 水をコントロールして藻やカビの発生を抑制します 塗装前 塗装4年後 塗装 4年後 テスト施工 テスト施工 4年後 3年経っても キレイな外観! 全面施工 塗装 3年後

4. 再生資源の利用の促進について 建近技第 385 号 平成 3 年 10 月 25 日 4-1

備編 水処理関連機器 ヘリカルポート ルーツタイプ ロータリブロワ連機器曝気用ルーツブロワ RS 型設 機構 独自のヘリカル機構 ブロワはうるさいもの ブロワの騒音は宿命的なもの と考えられがちでした それは 従来のルーツブロワでは ケーシング内の空気を一気に吐き出す構造のため 大きな衝撃や脈動が生

研究報告59通し.indd

研究報告61通し.indd

S28-1C1000Technical Information

テクノロジーレポート

<4D F736F F D20835E B90F482A28FEA E7B8D CC8F E5F A2E646F63>

AN504 Through-hole IRED/Right Angle Type 特長 パッケージ 製品の特長 φ3.6 サイドビュ - タイプ 無色透明樹脂 光出力 : 5mW TYP. (I F =50mA) 鉛フリーはんだ耐熱対応 RoHS 対応 ピーク発光波長指向半値角素子材質ランク選別はん


EOS: 材料データシート(アルミニウム)

PowerPoint プレゼンテーション

OCA-0BCD-V 能力グラフ OCA-0BCD-V 50Hz 60Hz (W) 0 ( ) (W) 0 ( ) 盤内希望設定温度 盤内希望設定温度 800 標 準 タイプ 側面取付型 能力


メンテナンスおよび作業方法 初期洗浄 ワックス塗布作業 床材施工後の期間を置いてから 本作業を行います 床材表面に床材施工に用いた接着剤跡がある場合は きちんと除去します 引き渡し清掃などで既にワックスが塗布されている場合は 密着テストを行い もし密着していない場合は ハクリ作業を行ってからワックス

series Installed by

E-1_2011.pmd

<4D F736F F D FB89BBBAC8B8C0B082CC FB964082C982C282A282C45F F2E646F63>

全油圧ポンプ仕様表:日本プララド


作成 承認 簡単取扱説明書 ( シュミットハンマー :NR 型 ) (1.0)

シーラント総合ガイド

           御中

<4D F736F F D20837E836A837D E82CC88D98FED E12E646F63>

roofing_guide.pdf

キャリブレーションガイド

萌芽抑制工の手引き書 ( 案 ) 河道内樹木 ヤナギ 伐採後の切り株の枯死対策 工法 塩挿入 [8 孔 深さ20cm] 木酢液挿入 [8 孔 深さ20cm] 木酢液塗布 [2 回塗り ] 平成 30 年 3 月 阿賀野川河川事務所 管理課

強化プラスチック裏込め材の 耐荷実験 実験報告書 平成 26 年 6 月 5 日 ( 株 ) アスモ建築事務所石橋一彦建築構造研究室千葉工業大学名誉教授石橋一彦

フォト IC ダイオード S SB S CT 視感度に近い分光感度特性 視感度特性に近い分光感度特性をもったフォトICダイオードです チップ上には2つの受光部があり 1つは信号検出用受光部 もう1つは近赤外域にのみ感度をもつ補正用受光部になっています 電流アンプ回路中で2

1 性凍結乾燥器 DRW シリーズ 少量サンプル用の多目的ユニットタイプ 目的に合わせて別売品の多岐管 ドライチェンバーを自由に組み合せて使用できる 多目的なユニットタイプの凍結乾燥器です オートモード運転では トラップ冷却温度 真空度を判断して 試料取付け可能状態を知らせます 外部電源口の使用によ

series RPD OK! RPD , RPD ,000 ブースト時電流 80A ブースト時電流 100A 60A 開放 開放 series DBA5A 151,000 MBA ,000 MBA500 TR ,000 NEW B

Microsoft Word GMTT200V カタログE.doc

フロントエンド IC 付光センサ S CR S CR 各種光量の検出に適した小型 APD Si APD とプリアンプを一体化した小型光デバイスです 外乱光の影響を低減するための DC フィードバック回路を内蔵していま す また 優れたノイズ特性 周波数特性を実現しています

光変調型フォト IC S , S6809, S6846, S6986, S7136/-10, S10053 外乱光下でも誤動作の少ない検出が可能なフォト IC 外乱光下の光同期検出用に開発されたフォトICです フォトICチップ内にフォトダイオード プリアンプ コンパレータ 発振回路 LE

AKARI CLUB 2017

王子計測機器株式会社 LCD における PET フィルムの虹ムラに関する実験結果 はじめに最近 PETフィルムはLCD 関連の部材として バックライトユニットの構成部材 保護シート タッチセンサーの基材等に数多く使用されています 特に 液晶セルの外側にPET フィルムが設けられる状態

P TOYOPEARL TOYOPEARL DEAE-650S, M, C TOYOPEARL CM-650S, M, C TOYOPEARL SP-650S, M, C TOYOPEARL SuperQ-650S, M, C TOYOPEARL QAE-550C TOYOPEARL

クロスファン_8p_ indd

㈱間組 増田[08/5/7]

「ガラス塗料」の評価公開資料改訂版

Microsoft Word - じょく層報告(三野道路用)_

塗料の研究第147号本体.indd

????? 1

Series catalog

一般揚水用立形多段うず巻インラインポンプ設備編 陸上ポンプ一般社団法人公共建築協会殿の 立形遠心ポンプ 評価品です TCR 型ポンプ 要部標準仕様 特殊仕様 ポンプ ラン 立 上記以外の特殊仕様につきましては最寄りの営業店迄お問い合わせください 特別付属品 JIS20K 相フランジ ( ボルト パッ

1:K 形異形管は 接合部品を含まない本体のみの価格です 2:K 形異形管の内面塗装はエポキシ樹脂粉体塗装 外面塗装は水道用合成樹脂塗装です 3:K 形異形管呼び径 700 以上については 別途御見積申し上げます

Taro-通知文

問題 2 資料 No.2 を見て 次の設問に答えなさい < 送風機の断面図 > で示す片吸込み型送風機において 過去に何らかの原因で運転中に羽根車のアンバランスが増大し 軸受損傷に至った経緯がある このアンバランス増大傾向をいち早く捉えるために ポータブル型の振動診断器によって傾向管理を行うことにな

不確かさ 資料 1/8

推奨条件 / 絶対最大定格 ( 指定のない場合は Ta=25 C) 消費電流絶対最大定格電源電圧 Icc 容量性負荷出力抵抗型名 Vcc Max. CL 電源電圧動作温度保存温度 Zo (V) 暗状態 Min. Vcc max Topr* 2 Tstg* 2 Min. Max. (ma) (pf)

形式 :KAPU プラグイン形 FA 用変換器 K UNIT シリーズ アナログパルス変換器 ( レンジ可変形 ) 主な機能と特長 直流入力信号を単位パルス信号に変換 オープンコレクタ 5V 電圧パルス リレー接点出力を用意 出力周波数レンジは前面から可変 ドロップアウトは前面から可変 耐電圧 20

目 次 産業洗浄技能検定試験の試験科目及びその範囲並びにその細目 1 ページ 制定昭和 61 年度改正平成 28 年度 産業洗浄 ( 見直し ) 職業能力開発専門調査員会 ( 平成 25 年度 ) 氏名所属氏名所属 清滝一宏栗田エンジニアリング ( 株 ) 坂内泰英荏原工業洗浄 ( 株 ) 鷺谷洋一

非歩行露出ナルファルト塗膜シート絶縁工法 NWW 非歩行露出 ( 遮熱 ) ナルファルト塗膜シート絶縁工法 NWW 軽歩行露出 ( 遮熱 ) ナルファルト塗膜シート絶縁工法 NWW 高耐久露出ナルファルト塗膜シート絶縁工法 NWW 軽歩行露出

超音波土壌洗浄装置

Microsoft Word - NDIS1204意見受付用_表紙.docx

目次 1. はじめに 実施工程

加振装置の性能に関する検証方法 Verification Method of Vibratory Apparatus DC-X デジタルカメラの手ぶれ補正効果に関する測定方法および表記方法 ( 光学式 ) 発行 一般社団法人カメラ映像機器工業会 Camera & Imaging Pr

高性能 AE 減水剤を用いた流動化コンクリート 配合設定の手引き ( 案 ) - 改訂版 - 平成 21 年 6 月 国土交通省四国地方整備局

フォトダイオードモジュール C10439 シリーズ 精密測光用フォトダイオードと低ノイズアンプを一体化 フォトダイオードモジュール C10439 シリーズは フォトダイオードと I/V アンプを一体化した高精度な光検出器です アナログ電圧出力のため 電圧計などで簡単に信号を観測することができます ま

Microsoft Word GMTT400V カタログD.doc

カーボマスチック 15 製品データシート SELECTION & SPECIFICATION DATA 塗料のタイプ 一般特性 特長 エポキシマスチック アルミニウム顔料を含有した収縮応力の小さいハイソリッドマスチック塗料で 現場で実証された歴史を持つ 数々の市場においてマスチック塗料の草分けであり

JUSE-StatWorks/V5 活用ガイドブック

Product News (IAB)

Product News (IAB)

3-1 2 修繕工事の実態 ( ヒアリング ) 計画修繕は 定期点検等で明らかになった建物の劣化の補修のため 調査 診断 修繕計画の作成 工事の実施へと 区分所有者の合意を形成しつつ 進められる 当勉強会で実施したヒアリングより 管理会社による点検 定期点検は 1 回 / 年の頻度で行っている 目視

3. 試験体および実験条件 試験体は丸孔千鳥配置 (6 配置 ) のステンレス製パンチングメタルであり, 寸法は 70mm 70mm である 実験条件は, 孔径および板厚をパラメータとし ( 開口率は一定 ), および実験風速を変化させて計測する ( 表 -1, 図 -4, 図 -) パンチングメタ

QOBU1011_40.pdf

超音波発振 計測 解析システム ( 超音波テスター ) 資料 超音波システム研究所 << 推奨タイプ NA>> 超音波洗浄機の音圧管理から部品の音響特性を確認して 最適な超音波洗浄 管理 検討 が可能なセット 内容超音波洗浄機の音圧測定専用プローブ 1 本超音波測定汎用プローブ

Series catalog

Microsoft Word - koudoka-seika-004

Transcription:

WG 報告 日建連式塗装材料促進汚染試験方法技術研究部会材料施工専門部会外装材の汚れ評価に関する WG 今回実施した促進汚染実験の結果をもとに 日建連式として 促進汚染試験方法を提案 する 以下にその内容を示す 1. 適用範囲 建築物の外装に用いる塗装材料の汚れの促進汚染試験方法について規定する 2. 塗装試験体の作製塗装試験体の作製は 以下の手順で行う 1) 基材は 表面処理 ( アロジン処理 ) したアルミニウム板またはフレキシブル板などを用いる 2) 基材の寸法は 100 150mm 以下 アルミニウム板の場合の厚さは 1 ~ 2mm フレキシブル板の場合の厚さは 4mm 程度とする 3) 塗装材料は平滑な仕上げとし 色相は白色でマンセル記号 N 9.0 以上とする 4) 材料の塗装方法 塗付量 乾燥方法は製造会社が指定する方法で行う また 基材との密着性を確保するために適切な下塗を用いてもよい 5) 塗装後の乾燥は製造会社が指定する方法で行う 乾燥後は 試験片表面が試験結果に影響を及ぼさないように保管する 6) 試験体の枚数は 3 枚とし すべて試験に供する 3. 懸濁液の作製方法 1) 懸濁液の配合は表 -1 とする カーボンブラックはカーボンブラック FW-200 ( 粒径 0.002 ~ 0.028 μm) を用いる 2) 懸濁液の作製は カーボンブラックをイオン交換水に撹拌機を用いて撹拌しながら混合する 混合した液にガラスビーズ ( 粒径が 1.4 ~ 2.0mm 程度のものが望ましい ) を全容積の約 1/3 加え 撹拌機を用いて回転数 2500rpm で分散する ガラスビーズは 20 メッシュの金網を用いて分離する 懸濁液の分散度は10 μ m 以下にする 懸濁液の分散度の確認は粒ゲージで行う 1

表 -1 懸濁液の配合 種類 重量比 (%) カーボンブラック ( カーボンブラック FW-200 ) 5.0 イオン交換水 95.0 4. 塗装試験体の前処理方法塗装試験体の前処理方法は 以下の手順で行う 1) 塗装試験体を 温度 50 ± 1 の温水に 3 日間浸漬する ( 温度 50 ± 1 の恒温槽内に水槽を設置し 試験体全面が浸かる状態とする ) 2) 温水より引き上げた塗装試験体は直ちに 温度 23 ± 2 の 5 % 硫酸水溶液に 3 時間浸漬する 3) 浸漬後 塗装試験体表面に付着している硫酸を流水で洗い流し 温度 23 ± 2 相対湿度 50 ± 5 % の条件で 1 日以上乾燥する 4) 前処理を終了した塗装試験体は 1 週間以内に汚染試験を行う 5. 汚染試験方法 5.1 試験前の色差測定 1) 試験前の塗装試験体の明度 (L * 0 ) を色彩測色計を用いて測定する 2) 測定位置は 色彩測色計の測定径に応じて 図 -1 に示す塗装試験体の上部 中央部 下部の 3 点 または 5 点とする 3) 明度 L * 0 は 3 点 ( 5 点 ) の平均値を JIS Z 8401 により 小数点以下 1けたにまるめて示す 図 -1 測定箇所の例 ( 左 : 測定径 50 mm右 : 測定径 : 8 mm ) 5.2 汚染処理 1) 懸濁液は均一な状態に撹拌混合して 平置きした塗装試験体の表面にエアスプレーまたは刷毛で 塗装面が見えなくなるまで 均一に塗付する 2) 懸濁液の塗布前と塗布後の重さを測定し その差を塗装試験体に塗布された量を記 録する 2

3) 懸濁液を塗り付けた塗装試験体は 室温 ( 温度 23 ± 2 相対湿度 50 ± 5 % の条件 ) で 塗布面の光沢がなくなるまで乾燥する ( 目安として 1 時間程度 ) 5.3 洗浄処理 1) 塗装試験体の表面に固着したカーボンブラックを超音波洗浄機で洗浄処理を行う 超音波洗浄機は 試験体全体が洗浄槽内の水に浸漬する大きさの洗浄槽を持ち 周波数は28 ~ 45 khz を発生させる出力を持つものとする 2) 槽内に試験体の短辺が浸漬する深さまで水道水を入れ 超音波洗浄機を起動させる 3) 試験体の長辺をピンセット等で挟み 水面に対して垂直に入水させる 洗浄中 槽の内面に触れないようにする 4) 洗浄する時間は20 秒とする 5) 洗浄後すぐに引き上げ 引き上げの際に塗装試験体表面に再付着したカーボンブラックを 300cc の流水で洗い 除去する 6) 一時縦置きして水切りを行い その後平置きして 塗装面の水滴がなくなるまで 室温で乾燥させる ( 目安として 1 時間程度 ) 5.4 試験後の色差測定 1) 試験後の塗装試験体の明度 (L * ) を色彩測色計を用いて測定する 2) 測定位置は 図 -1 に示す塗装試験体の上部 中央部 下部の 3 点または 5 点とする 3) 明度 L * は 3 点 ( 5 点 ) の平均値を JIS Z 8401 により 小数点以下 1けたにまる めて示す 4) 明度差 L * は 下式によって算出する 明度差 L * = 試験後の平均明度 L * - 試験前の平均明度 L 0 * 3

日建連式塗装材料促進汚染試験方法 ( 解説 ) 日建連式塗装材料促進汚染試験方法の解説を以下に示す Ⅰ. まえがき環境問題が注目され 建物の高耐久化が要求されるようになったことで 外装仕上材等の建材の耐久性能が向上すると推測される そのため性能評価にかかる時間がより長くなり 比較的短時間で評価を行うことのできる促進試験の重要性がより高まってきた ここで 汚れに着目してみると 促進試験方法に関しては 建材試験センター法 土木研究所法などが提案されている 前者については 汚れのメカニズムを忠実に再現しているが 高価な装置を必要とすることから あまり実施されていない また後者については 方法が簡便ではあるが トンネルや透光板等 土木構造物およびその付帯設備に使用される材料を対象としているため 建築系の仕上げ材料の評価には適していない その結果 メーカー各社は独自の試験方法で自社製品を評価しており ユーザーとして同じ土俵で適切な評価を行うことができないのが実状である そこで ( 一社 ) 日本建設業連合会では 適切な試験方法を提案すべく 外装材の汚れ評価に関するWG にて 屋外暴露試験の実施 促進汚染試験方法の検討等様々な活動を行った結果 暴露試験結果と相関の高い促進汚染試験方法を確立することができた ここにその成果を示す Ⅱ. 本文解説 1. 適用範囲本試験方法は 建築物の外装に用いる塗装材料の汚れを対象としており 塗装材料の劣化や 汚れの対象はカビ等の生物由来のものやシーリング材に起因する汚れのものは対象外とした 2. 塗装試験体の作製 基材の種類 寸法については 測定面積 超音波洗浄装置の寸法などを考慮して決定した 色相については 明度差が大きくなるように また 塗装 乾燥方法については 塗料の性能が十分発揮されるように 製造会社の推奨する方法で行うこととした 4

図 -1 塗装試験体の例 3. 懸濁液の作製方法 促進汚染物質については カーボンブラック粉体のまま使用することも試みたが 塗材別の差が生じるほどは汚れず また 汚染中に粉が舞うなど 試験場所その他を汚す恐れがあるため懸濁液を用いることとした 図 -2 カーボンブラック FW-200 と懸濁液の状態 4. 塗装試験体の前処理方法 前処理方法は 塗装試験体表面を屋外暴露した状態( 暴露 3 ヶ月時 ) を再現するために行うものである その指標として 前処理した試験体の水接触角が 暴露 3 ヶ月時と合うように前処理方法を検討し 決定した 前処理( 酸 ) によって劣化する塗装材料の場合は 他の種類の塗装材料との比較に本方法を用いることは避ける 5

5. 汚染試験方法 5.1 試験前の測色 色彩測色計の性能については 本実験で使用した機種を標準とする 表 -1 標準とする色彩測色計 製品例 1 2 3 計測器 簡易型分光色差計 色彩色差計 色彩色差計 受光素子 フォトダイオード シリコンフォトセル シリコンフォトセル 測定用光 源 多色 LED パルスキセノンランプパルスキセノンランプ 測定径 φ 8 mm ( 標準 ) または φ 50 mm φ 8 mm φ 4 mm 測定再現 E*= 0.02 以下 ( φ 8 E*ab = 0.07 以内 E*ab = 0.07 以内 性 mm ) E*= 0.05 以下 ( φ 4 mm ) 5.2 汚染処理 平置きした塗装試験体の表面にスプレーまたは刷毛で 塗装面が見えなくなるまで 均一に塗布する 刷毛で塗布する場合は 懸濁液がはじかれて塗装面が見える場合もあるが その際は その箇所に懸濁液を載せるように塗布する 図 -3 懸濁液の塗布状況 ( 左 : 刷毛塗り右 : スプレー塗り ) 6

懸濁液を塗り付けた直後の試験体を洗浄すると洗い流されてきれいになり 差が出なかった また 乾燥温度を60 以上の高温で乾燥した場合 カーボンブラックの固着が強くなりすぎ 実暴露結果との相関が得られなかった そのため 懸濁液を塗り付けた塗装試験体は 室温 ( 温度 20 相対湿度 50% 程度 ) で 塗布面の光沢がなくなるまで乾燥させる ( 目安として 1 時間程度 ) こととした 図 -4 塗布後の表面の状況 ( 左 : 塗布直後右 : 1 時間乾燥後 ) 5.3 洗浄処理 洗浄時の洗浄状態の個人差をなくすために 本試験方法では超音波洗浄機を採用した 超音波洗浄機の仕様は 試験体全体が洗浄槽内の水に浸漬する洗浄槽の大きさを持ち 周波数は28 ~ 45 khz を発生させる出力を持つものとした 周波数が低いほど洗浄能力が高く 高いほど微細な隙間などの洗浄が可能となるが 本 試験体では 100 khz になると試験体全体を振動させることができず カーボンブラック を除去する能力が極端に低下したため 周波数帯を 28 ~ 45 khz とした 表 -2 超音波洗浄機の例 製品例 1 2 3 定格出力 (W) 100 100 100 公称発振周波数 (khz) 38 28 45 (100) 28 45 電源入力 AC100V 50/60Hz AC100V 50/60Hz AC100V 50/60Hz 槽内寸法 W=237 D=137 H=100 W=240 D=140 H=100 W=240 D=140 H=150 ( mm ) 外形寸法 W=319 D=217 H=194 W=290 D=208 H=249 W=279 D=265 H=310 ( mm ) 容量 ( l ) 2.6 3.0 5.0 質量 ( kg ) 3.7 4.4 7.0 7

平成 29 年 2 月 図 -5 超 音 波 洗 浄 機 の 例 左 か ら 表 -2 の ① ③ 超 音 波 洗 浄 す る 時 間 は20秒 と し た こ れ 以 下 で は 十 分 に カ ー ボ ン ブ ラ ッ ク を 除 去 で き ず ま た 20秒 を 超 え て 洗 浄 し て も 除 去 状 況 に 変 化 は な か っ た た め 洗 浄 時 間 を20秒 と 定 めた 洗浄前 洗浄中 図 -6 洗浄後 超音波洗浄の状況 超 音 波 洗 浄 後 す ぐ に 塗 装 試 験 体 表 面 を 300cc の 流 水 で 洗 い 流 す こ れ は 試 験 体 を 引 き上げるときに再度付着するカーボンブラックを洗い流すことを目的としており 洗い 流すのに必要十分な水量を定めた 一時縦置きして水切りを行い その後平置きして 塗装面の水滴がなくなるまで 室温 で 乾 燥 す る 目 安 と し て 1 時 間 程 度 拭 き 取 り な ど の 個 人 差 を な く す た め に 室 内 で の自然乾燥とした 流水洗浄 水切り 図 -7 乾燥後 超音波洗浄後の処理状況 8 一般社団法人 日本建設業連合会

定される汚れ具合ある試験結果推平成 29 年 2 月 5.4 試験後の色差測定 測定箇所の汚れ具合については 本文に定めた測定位置で行うことが基本であるが 塗装材料の表面状態によっては一部にカーボンブラックのムラがあることも考えられるため その場合は 位置をずらすなどの配慮も必要となる 色彩測色計 1 測定状況 図 -8 色差測定の例 色彩測色計 2 測定状況 6. 試験結果の評価 複数の製品をスクリーニングする場合 明度あるいは明度差の大小により性能を比較することができる 例えば 図 -9 に示すように 促進汚染試験と屋外暴露試験とのデータの関係式を求めておくことで 促進試験の結果から実環境における汚れ具合 ( L*) を推定することができる 屋外暴露試験 ΔL* 屋外暴露試験後の明度差-60-40 -20 0 0-2 -4-6 -8-10 本促進試験後の明度差 促進汚染試験 ΔL* y = 0.1517x - 0.2169 R 2 = 0.6439 y 図 -9 促進汚染試験と屋外暴露試験との明度差 ( L*) の関係 ( 例 ) 9

7. 今後の課題 前処理による塗膜劣化への影響に関しては 以下の前処理方法と塗装材料 方法にて 塗膜劣化の可能性があり 詳細の検討が必要である 1 温水処理 (50 ) に対する熱可塑性材料 2 酸処理 (5% 硫酸 ) に対する1 液形塗料 加熱硬化形塗装 本試験方法の前処理を行った後と 屋外暴露試験 3ヶ月時との水接触角の関係において 低汚染品については 水系に比べて溶剤系でデータのばらつきが見られる これは 親水化メカニズムの違いによると推察される さらに 低汚染品の溶剤系および汎用品の一部について 前処理による水接触角の低下が不十分であり より適切な前処理方法の余地がある 45 傾斜面 3 ヶ月後水接触角 ( 清瀬市 ) 100 80 60 40 20 20 40 60 80 100 汎用品低汚染品 水系低汚染品 溶剤系 50 温水 3 日 5% 硫酸浸漬 3 時間の水接触角 図 -10 促進試験前処理と屋外暴露との水接触角の関係 ( 低汚染品 汎用品別 ) 本試験方法による測定結果 ( L*) の値は 屋外暴露試験と比べて大きい ( 約 7 倍 ) 汚れ物質に関して たとえばカーボン量を制御することで この差を縮める余地がある 10