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併せて 先進事例を統一的なフォーマットでデータベース化する また 意欲ある地域が先進的な取組みを行った人材に 目的に応じて容易に相談できるよう 内閣官房において 各省の人材システムを再点検し 総合的なコンシェルジュ機能を強化する 各種の既存施策に加え 当面 今通常国会に提出を予定している 都市再生法

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平成 28 年度予算編成方針 我が国の経済は 景気は引き続き緩やかな回復基調を維持しているが その影響が地方経済にまで十分に行き渡っているとは言えず 我々地方の行財政運営の基本となる税等一般財源を確保するためには 臨時財政対策債に頼らざるを得ない状況が続くものと考える また 税制改正も予測されること

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このジニ係数は 所得等の格差を示すときに用いられる指標であり 所得等が完全に平等に分配されている場合に比べて どれだけ分配が偏っているかを数値で示す ジニ係数は 0~1の値をとり 0 に近づくほど格差が小さく 1に近づくほど格差が大きいことを表す したがって 年間収入のジニ係数が上昇しているというこ

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2 / 6 不安が生じたため 景気は腰折れをしてしまった 確かに 97 年度は消費増税以外の負担増もあったため 消費増税の影響だけで景気が腰折れしたとは判断できない しかし 前回 2014 年の消費税率 3% の引き上げは それだけで8 兆円以上の負担増になり 家計にも相当大きな負担がのしかかった

第第第ライフスタイルに対する国民の意識と求められるすがた50 また 働いていないが 今後働きたい と回答した人の割合は 男性では 7.4% であるのに対し て 女性は19.1% である さらに 女性の中では 30 代の割合が高く ( 図表 2-1-2) その中でも 特に三大都市圏で高い割合となってい

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我が国中小企業の課題と対応策

新たな外国人材受入れ制度の検討経緯及び概要 平成 30 年 7 月 12 日 経済産業省 製造産業局 今年 2 月 20 日の経済財政諮問会議において 総理から以下の指示 安倍政権として いわゆる移民政策をとる考えはありません この点は堅持します 他方で 5 年間のアベノミクスによって 有効求人倍率

参考 平成 27 年 11 月 政府税制調査会 経済社会の構造変化を踏まえた税制のあり方に関する論点整理 において示された個人所得課税についての考え方 4 平成 28 年 11 月 14 日 政府税制調査会から 経済社会の構造変化を踏まえた税制のあり方に関する中間報告 が公表され 前記 1 の 配偶

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研修シリーズ

二さらに現代社会においては 音楽堂等は 人々の共感と参加を得ることにより 新しい広場 として 地域コミュニティの創造と再生を通じて 地域の発展を支える機能も期待されている また 音楽堂等は 国際化が進む中では 国際文化交流の円滑化を図り 国際社会の発展に寄与する 世界への窓 にもなることが望まれる

資料 5 自治体クラウド推進 業務改革について 平成 27 年 9 月 14 日

経済 財政 社会保障の一体的建て直し 強い経済 税収の基盤 重要な成長分野 健康 分野で需要と雇用を創出 成長を実現する予算編成 持続可能な財政の下で可能となる消費 保険料の基盤 社会不安の最小化 強い財政 最大の支出項目 安定財源の確保による持続可能な 社会保障制度の確立 ( 抜本的税制改革による

第 1 部 施策編 4

第45回中期経済予測 要旨

14 日本 ( 社人研推計 ) 日本 ( 国連推計 ) 韓国中国イタリアドイツ英国フランススウェーデン 米国 図 1. 1 主要国の高齢化率の推移と将来推計 ( 国立社会保障 人口問題研究所 資料による ) 高齢者を支える

中期行動計画成24 年度の具体的な行動計画成24 年度の取組結果18 ( 財 ) 札幌勤労者職業福祉センター [ 所管課 : 経 ) 雇用推進課 ] 1 団体目標 新方針重点取組目標 18 ( 財 ) 札幌勤労者職業福祉センター 1 団体の廃止 新公益法人制度への対応平成 28 年度までは 施設の用

歳入総額 区分 平成 年度の財政フレーム ( 単位 : 百万円 ) 30 年度 31 年度 合計 構成比 構成比 構成比 263, % 265, % 529, % 一般財源特別区税特別区交付金その他特定財源国 都支出金繰入金特別区債 167

女性の活躍推進に向けた公共調達及び補助金の活用に関する取組指針について

社会保障 税一体改革大綱(平成24 年2月17 日閣議決定)社会保障 税一体改革における年金制度改革と残された課題 < 一体改革で成立した法律 > 年金機能強化法 ( 平成 24 年 8 月 10 日成立 ) 基礎年金国庫負担 2 分の1の恒久化 : 平成 26 年 4 月 ~ 受給資格期間の短縮

本日のテーマ

各 位 平成 27 年 5 月 11 日 会社名株式会社みちのく銀行代表者名取締役頭取髙田邦洋 ( コード番号 8350 東証第一部 ) 問合せ先経営企画部長須藤慎治 ( ) 第四次中期経営計画の策定について 株式会社みちのく銀行 ( 頭取髙田邦洋 ) は 平成 27 年 4

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平成 23 年 3 月期 決算説明資料 平成 23 年 6 月 27 日 Copyright(C)2011SHOWA SYSTEM ENGINEERING Corporation, All Rights Reserved

財政政策の考え方 不況 = モノが売れない仕事がない ( 失業増加 ) が代わりにモノを買う! 仕事をつくる ( 発注する )! = 財政支出拡大 ( がお金を使う ) さらに乗数効果で効果増幅!! 3 近年の経済対策の財政規模 名 称 内閣 事業規模 公共投資 減税 財政規模 日本経

三浦市長 吉 田 英男 新年明けまして おめでとうございます 市民の皆様には 気持ちも新たに 素晴らしい新年をお 迎えになられたこととお喜び申し上げます 昨年は 消えた年金問題 薬害肝炎犠牲者への対応 安倍首相の突然の辞任 ねじれ国会 による審議の停滞など 国政においては 国民に目を向けているとは思

用への助成を除くと 住宅に関する融資や助成制度等の情報提供の充実 との回答割合が高い( 子育て住み替え意識調査 ) 以上のことから 住宅が手狭であることを理由に市外へ転出する若い世代が相当数存在し また その傾向が強まっていることがうかがえる また 住み替え後は4LDKの間取りを中心とした持ち家 (

品質マニュアル(サンプル)|株式会社ハピネックス

評価項目 評価ポイント 所管部局コメント 評価 国際交流に関する情報の収集及び提供事業国際交流活動への住民の参加促進事業国際理解推進事業在住外国人に対する相談事業在住外国人に対する支援事業 安定 確実な施設運営管理 公正公平な施設使用許可や地域に出向いた活動に取り組むなど新たな利用者の増加に努め 利

鳩山政権の経済政策の効果

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Transcription:

第百六十六回国会における大田内閣府特命担当大臣(経済財政政策)の経済演説平成十九年一月二十六日

一一.はじめに経済財政政策を担当する内閣府特命担当大臣として 所信を申し述べます 二.回復が続く日本経済(日本経済の現状と見通し)日本経済は 長い停滞のトンネルを抜け出し ようやく正常な状態に戻りつつあります 今回の景気回復は 企業が設備 雇用 債務の過剰を解消させる過程であっただけに 正規雇用の回復が遅れるなど 雇用面での課題が残されています また 地域間で回復のばらつきが見られます こうしたことから 回復の実感に乏しいという指摘が聞かれます しかし バブル崩壊後の負の遺産を克服し 五年間の長きにわたって回復基調が持続しているということ これは意義深く 喜ばしいことです これをさらに息長く持続させることで 企業から家計へ また日本全体へと回復を広げる必要があります 平成十九年度には 物価安定の下で 国内民間需要を中心に 実質二%程度の成長を続けるものと見込んでいます 政府と日本銀行は マクロ経済運営に関する基本的視点を共有し 物価安定の下での民間主導の持続的な成長のため 一体となった取組を行ってまいります

二三.創造と成長に向けた改革(日本経済の新たな可能性を切り拓く改革)経済環境はこのように好転していますが グローバル化や少子高齢化など大きな変化に対応した 新しい経済 社会の仕組みはまだ出来上がっていません これをつくることが 安倍内閣の課題です 日本が目指すべき経済社会の姿と それを実現するための経済財政運営の中期的な方針について この度 日本経済の進路と戦略 を閣議決定いたしました これまでの改革は 日本経済の負の遺産を取り除くための改革でした これから始まるのは 日本経済の新たな可能性を切り拓くための改革です 進路と戦略 に沿って 経済財政諮問会議がエンジンとなって 改革を進めてまいります その目指すところは 人口が減る中にあって 成長を持続させ 生活の質を高くしていくことです これは 人口増加を前提とした社会を 人口減少に適合する社会に変革せずには実現しません 未曾有の高齢化に直面する日本が 優れた経済社会の仕組みをつくることができるならば それは欧米だけではなく 急速な高齢化が見込まれるアジアのモデルになります 人口減少社会において目指すべき成長の姿は 家計を起点とした好循環です イノベーションや規制改

三革によって 新しい商品 サービスが提供され 消費需要が創り出されれば それは質の高い雇用を生み出すことにもつながります 消費者の視点から供給サイドの大胆な改革を行うこと すなわち 消費革新 を行い 家計を起点とした成長の姿を作り出すことが重要です (成長のための三つのカギ)成長のカギとなるのは 生産性上昇 オープンな国づくり そして人材の活用です 第一の生産性については 例えば 生産性倍増 のような明快な目標を掲げたプログラムを 四月を目途に策定します 特に重視するのは 非製造業すなわちサービス産業の生産性改革です サービス産業はGDPの七割を占めますが 生産性の伸びは低くとどまっています また 健康 医療の分野 教育 職業訓練の分野 家事や子育て支援の分野などでは 利用者のニーズが高いにも関わらず それに応えきれていません 消費者の立場に立った規制改革を進めること それからITを本格的に活用することによって この分野の生産性はまだまだ高めることができます 政府の分野も生産性を高めなくてはなりません どうしても公務員でなければならない事業以外は 市場化テストの対象とするなど 民間の活力と創意工夫を取り入れることが必要です 第二は オープンな国づくり です 世界最大の成長センターであるアジアに位置する日本は オー

四プンな経済システムをつくることで 成長のエネルギーを相互にいかすことができます 海外特にアジアとの経済連携を強化することが必要です WTOを基本としつつ 経済連携協定(EPA)交渉を戦略的に展開するため 今年春までに EPA工程表 を改定し 今後二年間で締結国を現在の四カ国から少なくとも十二カ国へと 三倍にすることを目指します また 対日直接投資を飛躍的に増加させることが 産業の空洞化を防ぎ 国内で質の高い企業間競争を行うために重要です さらに 金融 資本市場の国際競争力強化など グローバル化のための包括的な政策を打ち出していきます 第三は 人材 です すべての人がそれぞれの能力をいかし 働き甲斐を持ち それが経済の活力と両立するような環境が整えられなくてはなりません これまでの労働市場に残されている六つの壁 すなわち 正規 非正規の壁 働き方の壁 年齢の壁 性別の壁 国境の壁 官民の壁 この六つの壁を克服し 人口減少下で貴重な人材がいかされる労働市場の在り方を審議し 政策に反映させていきます また 九十年代以降の経済低迷期に新卒で社会に出た人々の雇用が問題になっています 正規社員への道が閉ざされ 技能を身に着ける機会がないまま 不安定な雇用を余儀なくされているこれらの人々についても 人材活用の視点が重要であり 能力形成支援などを打ち出していきます

五サービス産業の生産性向上 アジアとの連携強化 多様な人材の活用は 地域の活力を高めるためにも重要なカギとなります ヘルスケアや家事支援 観光などの需要拡大は 地域の消費と雇用に直結します 四.財政健全化への取組(財政再建への取組)さて 成長への取組と並ぶ車の両輪として 財政健全化への取組を進めます 基本方針二〇〇六 に沿って 歳出 歳入一体改革を着実に推進し 二〇一一年度には国 地方合わせた基礎的財政収支を確実に黒字化させます 国民負担の増加を最小にするために 歳出削減の裏付けとなる制度改革を 基本方針二〇〇七 においてとりまとめるなど歳出改革を全力で進めます また 財政再建と景気変動への対応を両立させるには 経済状況に応じて財政再建のスピードをコントロールしながら 中期で予算を管理する必要があります 歳出改革がきちんと行われているかどうか 五年間にわたって点検することといたします 同時に 若い世代の負担が過重にならないように 医療 介護サービス分野のコスト構造の是正など 社会保障制度の一体的見直しを進めます 子どもや孫の世代の公的負担を極力抑制することは 私たちの責任です 高齢世代が未来の子どもたち

六の選択肢を狭めることがないように ほかの世代に過度に頼らない 世代自立 の社会構造を築くことが必要だと考えます 五.中期的な経済の展望我が国は これからの五年間で新しい成長経済への移行を目指します 当初の二年間をそのための離陸期と位置付け 集中的に改革に取り組みます 適切なマクロ経済運営の下で こうした取組が行われることによって潜在成長率が徐々に高まり 今後五年間のうちに 人口の減少にもかかわらず 二%程度あるいはそれをかなり上回る実質成長率が視野に入ることが期待されます 六.むすび我が国は 成長のための潜在的な力を十分に持っています 働く人々の能力が存分にいかされ 内外の資金が効率的に経済活動に活用され そして イノベーション すなわち技術のみならず広く経済社会のシステムの革新が絶えず創造される環境が整うならば 人口減少下にあっても 成長を続け 生活の質を向上させることができます しかし そのためには制度の大胆な改革が必要です 五年後には団塊世代が高齢期に到達することや

七経済のグローバル化が急速なスピードで進むことを考えれば この五年間は 日本がしっかりした成長基盤をつくるラストチャンスです 改革のために残された時間は決して長くはありません 昭和三十一年の経済白書は もはや戦後ではない という言葉であまりに有名ですが この白書の真骨頂は 世界技術革新の波に乗って 日本の新しい国造りに出発することが当面喫緊の必要事ではないであろうか と述べ その後の技術革新を中心とした高度成長の姿を予見したことです 資源に乏しい日本は イノベーションが核となって成長してきました これは 日本がイノベーションを生み出し それを活用する優れた人材に恵まれている証拠です この経済白書から五十年経った今 第三次産業革命といわれるIT革命の只中で 日本は新しい成長の姿を作り出し 新しい国づくりに出発する時を迎えています 私は もう一度 日本の優れた人材の力を十分に引き出し 新たな成長につなげていきたいと思います 安倍総理のリーダーシップの下 緊張感を持って 経済財政政策の運営と 経済財政諮問会議の運営に当たります 国民の皆様と議員各位の御理解と御協力をよろしくお願い申し上げます