第 11 章心理療法 カウンセリングの方法における心理学 1. 心理療法 カウンセリングの活用 ビジネス心理検定 初級 スライドコンテンツの著作権は各著作権者に帰属します 講義スライドの無断転載 複製を禁じます
担当講師 淵上 ECG 株式会社 美恵 代表取締役
第 11 章心理療法 カウンセリングの方法における心理学 学習のポイント 心理療法 カウンセリングは企業において メンタルヘルスの視点だけではなく 人材育成や能力開発に活かされている ラポール ( 心の架け橋 ) は カウンセリングという特別な場面だけではなく 日常生活やビジネスでの良好な人間関係の基礎を成すものである 人間は他者から受け入れられてはじめて 自分の向き合いたくなかった姿と対面できる 認知 行動 感情 身体は相互に作用し合っており 切り離す事ができない 認知 あるいは 行動 もしくはその双方に働きかけるのは比較的変化を与えやすく結果にも反映されやすいからである
第 11 章 1. 心理療法 カウンセリングの活用 心理療法 カウンセリングとは
第 11 章 1. 心理療法 カウンセリングの活用 心理療法 カウンセリングとは ~ 心理療法 ~ 問題を抱え生きづらさを感じているような不適応状態にある人の 認知 と 行動 に働きかけ 感情と身体を含む全体に変容と改善をもたらす事を目指すもの 行動 認知 感情 身体
第 11 章 1. 心理療法 カウンセリングの活用 心理療法 カウンセリングとは ~ 心理カウンセリング ~ 心理療法を包括する相談援助そのものを指す概念 行動 認知 感情 身体
第 11 章 1. 心理療法 カウンセリングの活用 ビジネスの現場における活用
第 11 章 1. 心理療法 カウンセリングの活用 ビジネスの現場における活用 人材育成 能力開発に活用問題解決能力 リーダーシップ能力の強化 セールススキル コミュニケーションスキルの向上等 メンタルヘルスの観点から活用うつ病や職場不適応の症状への予防策 復職支援 復職者の受け入れ
第 11 章心理療法 カウンセリングの方法における心理学 2. カウンセリングによるラポール ビジネス心理検定 初級
第 11 章 2. カウンセリングによるラポール カウンセリングによるラポール
第 11 章 2. カウンセリングによるラポール カウンセリングによるラポール ラポールとは フランス語で 橋をかける という意味 両者が互いに尊重し 信頼し 受け入れている状態 心の居場所 ( 安全地帯 ) 相手への尊重 信頼 受容のある関係性
第 11 章 2. カウンセリングによるラポール ラポールの形成 : ペーシング ミラーリング ラポールの形成 ペーシング 反映技法 チューニング マッチング ミラーリング 相手の鏡になり相手の仕草をまねる事で自分と似た存在であると相手が思える 警戒心を抱かない話し方 チューニング 相手の感情や気分の状態 思考方法やムードに心の周波数を合わせる話し方 マッチング 声のトーン 大きさ 話すスピードや口調などを合わせる話し方
第 11 章 2. カウンセリングによるラポール ラポールの形成 : 反映技法 ラポールの形成 ペーシング 反映技法 うなずき 言い換え 感情の反映 うなずき クライエントに 話を聞いてもらえている ( 受容 ) という安心感をもたらし より自由な自己表現を促す事ができる 言い換え 初段界ではまだまとまりがないクライエントの相談ごとは 強い怒りや不安の為に 自分自身の訴えたいこと ( 主訴 ) はまだ整理されていない事が多い 別の言葉で言い換える事で整理の手助けをする
第 11 章 2. カウンセリングによるラポール ラポールの形成 : 反映技法 ラポールの形成 ペーシング 反映技法 うなずき 言い換え 感情の反映 感情の反映 カウンセリングの目的は 必ずしも問題の解決ではない クライエントの話した事の中で感情に関わる部分に焦点を当てて話し手が使った言葉を繰り返したり 聞き手が自分の言葉で適切に表現する
第 11 章 2. カウンセリングによるラポール ラポールの形成のまとめ ラポールの形成には ペーシングの段階を経て 反映技法を活用していく 心理療法ラポール反映技法ペーシング
第 11 章心理療法 カウンセリングの方法における心理学 3. 心理療法 (1) 認知療法 ビジネス心理検定 初級
第 11 章 3. 心理療法 (1) 認知療法 心理療法 : 認知療法
第 11 章 3. 心理療法 (1) 認知療法 心理療法 : 認知療法 1970 年代にアーロン ベック (Beck AT) により提唱 認知とは 頭の中に浮かぶイメージ のこと 認知療法は 人々が自身の経験をどう知覚しているかを検討することを重視 気分の改善を目指す 認知の歪み ( 非合理的な自己知覚 ) 認知 認知の歪み 行動 感情 身体 相互関係
第 11 章 3. 心理療法 (1) 認知療法 同じ状況を 人がどう認知 ( 評価 ) するかはさまざま このコップの水の量をどう捉えますか? もう半分しかない ( 半分は空っぽだ ) まだ半分も入っている 気分は それぞれの 評価 ( 認知 ) により どのように異なってくるでしょうか?
第 11 章 3. 心理療法 (1) 認知療法 認知モデル (ABC モデル ) 半分の水という状況 もう 半分しかない まだ半分もある 出来事 状況 ( Activation event ) 認知 イメージ ( Belief ) あぁ もうすぐに空になる がっかりだ もう駄目だ まだまだ十分乾きを潤せるがっかりするにはまだ早い 感情 行動の結果 ( Consequences)
認知の歪みの一例 もう 半分しかない 根底にある認知の歪みとは? 恣意的推論 根拠無く 他人の心や先を深読みして飛躍的 悲観的な結論をだす分極化思考 All-or nothing 白か黒か思考誤ったレッテル貼り 歪んだ自己認知に基づき否定的な自己イメージを作り出す誇大視 過小視 短所や失敗の拡大解釈や 長所の過小評価自己の関連づけ すべてが自分のせいであると考えるすべき思考 過剰に すべき しなければならない と考える
第 11 章心理療法 カウンセリングの方法における心理学 4. 心理療法 (2) 行動療法 ビジネス心理検定 初級
第 11 章 4. 心理療法 (2) 行動療法 心理療法 : 行動療法
第 11 章 4. 心理療法 (2) 行動療法 心理療法 : 認知療法 否定的な行動が 否定的な感情と結果を生み出す 人の行動の大半は 学習 によって身に付いたもの 緊張や不安のもとになるのは誤った学習だから それらの行動を修正することで症状を変えていく 行動 誤った学習 認知 感情 身体 相互関係
第 11 章 4. 心理療法 (2) 行動療法 心理療法 : 認知療法 学習とは 経験によって生じる比較的永続な行動の変化 望ましい行為 学習ポジティブな強化 ある行為 望ましくない行為 学習ネガティブな強化 行動生起の確率 報酬 行動生起の確率 負の刺激
第 11 章心理療法 カウンセリングの方法における心理学 5. 心理療法 (3) 認知行動療法と学習のまとめ ビジネス心理検定 初級
第 11 章 5. 心理療法 (3) 認知行動療法と学習のまとめ 心理療法 : 認知行動療法
第 11 章 5. 心理療法 (3) 認知行動療法と学習のまとめ 心理療法 : 認知行動療法 ベック ( 認知療法 ) とエリス ( 論理療法 ) 認知と行動は個別に機能しているのではなく 互いに影響し働きかけている 人の心は様々な要素の相互関係から成り立ち 影響し合っている 出来事 行動 状況 認知 感情 他者 身体
心理療法 : 認知行動療法 ( プレゼンの失敗の例 ) プレゼンに失敗する 上司に報告 ( 行動 ) がっかりさせてしまった 自分は能力が無い ( 認知 ) 事実が明白でない場合 非合理的な考えはマイナスの感情と結果しか生み出さない 集中力の低下 ( 感情 ) 自分はなんて未熟なんだ ( 認知 ) 落ち込み ( 感情 ) よく眠れない ( 行動 ) 仕事ができなくなる ( 状況 ) 人と話すことがなくなる ( 行動 )
心理療法 : 認知行動療法 ( 書き換え ) プレゼンに失敗する自分はなんて本当にプレゼンが未熟なんだ ( 認知 ) 落ち込み ( 感情 ) 上司に報告 ( 行動 ) 原因だったのか? 他にも原因のがっかりさせてし ( 認知の検証 ) 可能性は? まった 自分はよく眠れない仲間に聞こう能力が無い ( 認知 ( 行動 ) ( 行動 他者 ) それとも プレゼンの上司に相談して集中力の低下人と話すことがな方法を変えたアドバイスを得よう ( 感情 ) くなるらどうか ( 行動? ) ( 行動 他者 ) プレゼンの改善と成功仕事ができなくなる自信 意欲向上 ( 状況 )
第 11 章 5. 心理療法 (3) 認知行動療法と学習のまとめ 心理療法 : 認知行動療法 認知行動療法では現実的な認知へと書き換えていく 1 事実に基づいて考える 2 認知の歪みに気づく 3 視点を変えてみる
第 11 章 5. 心理療法 (3) 認知行動療法と学習のまとめ 心理療法 : 認知行動療法 客観的に把握しやすく, また変化させやすく結果に反映されやすい 出来事 行動 状況 認知 感情 他者 身体
第 11 章 5. 心理療法 (3) 認知行動療法と学習のまとめ 学習のまとめ
学習のまとめ 心理療法やカウンセリング またはそのスキルの実践では クライエント ( 相談者 ) とのラポールの存在が必須となる ラポールの形成にはペーシング ( 相手に合わせる ) と反映技法 ( 相手の言葉を受け止め伝え返す ) 技法がある 認知療法では 否定的に凝り固まった 認知の歪み に対し 反論 反証し 現実的かつ建設的な多面的解釈を生み出す手助けをする 行動療法では 否定的な行動が否定的な感情と結果を生み出す 認知行動療法は状況により 認知 あるいは 行動 あるいはその双方に働きかけ 影響を与える試みである