『ヘルスケア施設の供給促進と不動産証券化手法の活用』

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我が国の不動産 インフラは 法人所有不動産約 470 兆円 社会資本等約 730 兆円のストックがある中で REIT( リート ) PFI を活用しているのは約 9 兆円 約 4.7 兆円にとどまっている 図 1(p.2) 今後 維持更新や環境 防災面に配慮した良質なストック形成のニーズが高まる中で

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J 1 J 2 J 3 J 1.J 4 J J J 5 J 6 J 1 J 2. J 2 GPIF J 3 4 J 1 J J NISA 3. J 2 REIT 3 J 4 JETF 5 J 1 J 4. J 2 J 3 J 4 J 5 REIT 5. 1

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2. 相談 29

平成 22 年 5 月 7 日 問い合わせ先 国土交通省土地 水資源局土地市場課課長補佐小酒井淑乃 係長塩野進代表 : ( 内線 :30-214, ) 直通 : 土地取引動向調査 (*) ( 平成 22 年 3 月調査 ) の結果について

新設 拡充又は延長を必要とする理由(1) 政策目的 消費者のニーズに応じた住宅を選択できる環境を整備する観点や低炭素化 循環型の持続可能な社会の実現の観点から 中古住宅取得や増改築等工事の適用要件の合理化や増改築等工事の対象を拡充することにより 中古住宅の流通促進 住宅ストックの循環利用に資する (

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<J リート > 資産運用のために設立された投資法人が 不動産等の取得 譲渡 賃貸等を行い その収益を分配する仕組み 投資口 ( 株式に相当 ) を上場することで幅広い投資家から資金調達を行うほか 年金など機関投資家の資金を集める非上場リートも存在 <GK-TK スキーム > < 特定目的会社 (T

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地域包括ケアシステムの構築について 団塊の世代が 75 歳以上となる 2025 年を目途に 重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう 医療 介護 予防 住まい 生活支援が包括的に確保される体制 ( 地域包括ケアシステム ) の構築を実現 今後

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日本版スクーク ( イスラム債 ) に係る税制措置 Q&A 金融庁

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(2) 高齢者の福祉 ア 要支援 要介護認定者数の推移 介護保険制度が始まった平成 12 年度と平成 24 年度と比較すると 65 歳以上の第 1 号被保険者のうち 要介護者又は要支援者と認定された人は 平成 12 年度末では約 247 万 1 千人であったのが 平成 24 年度末には約 545 万

北多摩南部圏域 東京都 武蔵野市 三鷹市 府中市 調布市 施設 36% 小金井市 狛江市 凡例 円グラフの大きさ 1,百万円未満 延べ 5百人未満 施設 居住系 1% 在宅 51% 在宅 71% 居住系 13% 大 中 小 1,百万円以上 1,百万円未満 1,百万円以上 5百人以上 1,百人未満 1



平成 22 年 11 月 12 日 問い合わせ先 国土交通省土地 水資源局土地市場課課長補佐小酒井淑乃 係長塩野進代表 : ( 内線 :30-214) 直通 : 土地取引動向調査 (*) ( 平成 22 年 9 月調査 ) の結果について 1. 調査目

サービス付き高齢者向け住宅の登録制度の概要 バリアフリー化や居住者への生活支援の実施等の基準を満たす住宅について都道府県等が登録を実施 サービス付き高齢者向け住宅の登録制度は 高齢者の居住の安定確保に関する法律 ( 高齢者住まい法 ) の改正により 平成 23 年 10 月に創設 料金やサービス内容

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2013 年以降の J リート市場 2015 年の東証 REIT 指数は 1,800 ポイント台で推移 ポイント東証 REIT 指数 TOPIX /1 2013/2 2013/3 2

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不動産の移転等のかかる主要な税制 不動産の移転等にかかる主要な税制は以下のとおりである ここに示した税制については その時点以降は法令等が変更されることになどより 変更される可能性がある また 実務上の法令の解釈 適用については 所管省庁 弁護士 税理士 会計士などの専門家の確認が必要となり 記載さ

2 経口移行加算の充実 経口移行加算については 経管栄養により食事を摂取している入所者の摂食 嚥 下機能を踏まえた経口移行支援を充実させる 経口移行加算 (1 日につき ) 28 単位 (1 日につき ) 28 単位 算定要件等 ( 変更点のみ ) 経口移行計画に従い 医師の指示を受けた管理栄養士又

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< ( 平成 29 年 9 月分 )> 2010 年平均 =100 ブロック別 北海道地方 東北地方

区西北部圏域 豊島区 北区 板橋区 練馬区 1,000百万円未満 500百人未満 居住系 在宅 51% 在宅 71% 居住系 13% 大 中 施設 19% 施設 36% 凡例 円グラフの大きさ 小 東京都 1,000百万円以上 10,000百万円未満 10,000百万円以上 500百人以上 1,00

住所地特例に係る事務の見直しの概要について Ⅱ- 資料 2 本事務は 介護予防 日常生活支援総合事業の実施時期に係わらず 平成 27 年 4 月から 全ての市町村において必要な事務であるので 留意されたい 1. 平成 27 年 4 月からの住所地特例に係る事務の見直しの概要 住所地特例の対象施設にサ

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することを可能とするとともに 投資対象についても 株式以外の有価証券を対象に加えることとする ただし 指標連動型 ETF( 現物拠出 現物交換型 ETF 及び 金銭拠出 現物交換型 ETFのうち指標に連動するもの ) について 満たすべき要件を設けることとする 具体的には 1 現物拠出型 ETFにつ

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1. 地方都市の不動産ファイナンス協議会の機能 役割 1 地域の地元企業 金融機関関係者により 具体のプロジェクトを念頭に事業形態等の検討を行うための不動産ファイナンス協議会を立ち上げ 検討会 セミナーなどを開催 2 協議会には 専門家 ( アセットマネージャー 金融 ( 都銀 信託銀行等 ) 法律

J リートとは? J リートは 投資家から集めた資金を複数の賃貸不動産に投資し その賃貸収入や不動産売却収入から得た利益を投資家に分配する金融商品です 投資をする方から見ると J リートへの投資は 不動産を投資対象とする会社型の投資信託 ( 不動産投資法人 ) に投資する仕組みであり J リートを介

1 福祉施設の動向 1.1 特養 平米単価は平成 22 以降初めて低下 近年は高止まりの様相を呈す 地域別では首都圏 近畿地方等で平均を上回る (1) 平米単価 平米単価は 全国平均および首都圏ともに平 成 22 を底に上昇傾向にあったが 平成 29 は初めて低下した ( 図表 1) 長期的にみ れ

上場不動産投資法人の数 (J-REIT 銘柄数 ) も保有不動産総額と同様に 27 年以降横ばいないし漸減傾向が 続いていたが 保有不動産総額からやや遅れたタイミングでやはり増加傾向に

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3 年ごとの定期借家契約を交わす仕組となっており 利用者は住宅の借り手を自身で探す必要もないことから 中古住宅市場の活性化や空き家問題の解決等の面でも期待されている取組である リバースモーゲージローン 住活スタイル は 住まなくなった家を活用し 充実したセカンドライフ 住みかえライフを送るための個人

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平成 24 年 5 月 1 日 問い合わせ先 国土交通省土地 建設産業局土地市場課課長補佐松本浩 係長長瀨裕太代表 : ( 内線 :30-214) 直通 : 土地取引動向調査 ( 平成 24 年 3 月調査 ) の結果について 1. 調査目的 本調査は

要望理由 (1) 政策目的 既存住宅の流通の円滑化を通じ 既存住宅流通 リフォーム市場の拡大 活性化を図る また 消費者のニーズに応じた住宅を選択できる環境を整備するとともに 既存住宅の耐震化を促進し 住宅ストックの品質 性能を高め 国民の住生活の向上を目指す (2) 施策の必要性 国民がライフステ

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寄附文化の醸成に係る施策の実施状況 ( 平成 26 年度に講じた施策 ) 別紙 1 < 法律 制度改正 > 総務省 ふるさと納税の制度拡充 ( 平成 27 年 4 月 1 日施行 ) 学校法人等への個人寄附に係る税額控除の要件の緩和 ( 平成 27 年 4 月 1 日施行 ) 特例控除の上限の引上げ

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目 次 調査結果について 1 1. 調査実施の概要 3 2. 回答者の属性 3 (1) 主な事業地域 3 (2) 主な事業内容 3 3. 回答内容 4 (1) 地価動向の集計 4 1 岐阜県全域の集計 4 2 地域毎の集計 5 (2) 不動産取引 ( 取引件数 ) の動向 8 1 岐阜県全域の集計

HAKUSAN HOUSE ( 以下 白山ハウス といいます ) です 本投資法人は 白山ハウスを所有する特定目的会社への出資者に投資助言を行っている GSASA LTD との間で 2018 年 1 月に白山ハウスに係る優先交渉契約を締結しました ( 詳細は 2018 年 1 月 12 日付で公表の

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相続財産の評価P64~75

< 賃貸住宅管理業者登録制度 > 国土交通省では 賃貸住宅管理業の適正化を図るため 平成 23 年から任意の登録制度として賃貸住宅管理業者登録制度を実施しています 賃貸住宅管理業者登録制度では サブリースを含む賃貸住宅管理業の遵守すべきルールを設けており 登録業者は このルールを守らなければなりませ

Transcription:

ヘルスケア施設の供給促進と 不動産証券化手法の活用 国土交通省土地 建設産業局不動産市場整備課小林靖 平成 25 年 7 月 Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism

目 次 1. ヘルスケア施設の供給状況と今後の見込み 2. ヘルスケア施設の証券化の現況 3. ヘルスケアリート活用に向けた環境整備

施策の方向性 1. ヘルスケア施設の供給には 将来的な資 金需要が見込まれ リート ( 特に ヘルス ケアリート ) を活用 2. リート商品を多様化し 不動産市場へ民 間資金を取り込む

1. ヘルスケア施設の供給状況と今後の見込み 1 高齢者人口の増加 1 総人口が減少する一方で 東京圏の高齢者数は 将来に向けて著しく増加 増加数 ( 率 ) は 他の地域と比べても著しく高い 高齢者 (65 歳以上 ) 人口の推計 (2010 年 2040 年 ) 埼玉県 147 万人 220 万人 神奈川県 183 万人 292 万人 東京都 268 万人 412 万人 千葉県 134 万人 196 万人 増加数 東京圏 は埼玉県 千葉県 東京都 神奈川県 名古屋圏 は愛知県 三重県 岐阜県 関西圏 は大阪府 京都府 兵庫県 奈良県 増加率 東京圏約 388 万人 53.0% 名古屋圏約 90 万人 36.8% 関西圏約 138 万人 32.7% その他約 303 万人 19.6% ( 注 )2010 年全国の総人口約 1 億 2,806 万人 約 2,000 万人減少 ( 出所 ) 国立社会保障 人口問題研究所 日本の地域別将来推計人口 2040 年全国の総人口約 1 億 728 万人

1. ヘルスケア施設の供給状況と今後の見込み 2 ヘルスケア施設の供給状況 サービス付き高齢者向け住宅は 平成 23 年 10 月に登録開始 平成 25 年 1 月時点で 2,922 件 93,911 戸が登録 また有料老人ホームは 平成 24 年には 7,563 施設 入居定員 315,678 人まで拡大 今後の急速な高齢者人口増加に対して医療 介護の基本政策は 病院の平均在院日数を短縮化し ベッド数は削減の方向 介護施設は 増加させるものの必要数を抑制し 在宅介護への移行を積極的に行っていく方針 すなわち 医療 から 介護 へ 介護も 施設 から 住宅 へという動き 72,666 50,000 55,448 30,792 15,742 25,463 662 155 246 288 0 ( 注 ) 日本では 高齢者人口に対する高齢者向け住まいの割合が欧米に比べて低い水準にとどまることから 高齢者の居住の安定を確保するため 一定の登録基準を満たす高齢者向けの住宅を サービス付き高齢者向け住宅 として登録する国土交通省 厚生労働省の共管制度が創設され 平成 23 年 10 月 20 日に登録が開始された 政府の 住生活基本計画 ( 平成 23 年 3 月 ) においては 高齢者人口に対する高齢者向け住宅の割合を 2020 年に3~5% とする目標が掲げられている ヘルスケア施設のオペレータ数は毎年 400 社程度新規参入しており 総数は4600 社を超えている (KPMGヘルスケアシ ャハ ン調べ) 350,000 300,000 250,000 200,000 150,000 100,000 有料老人ホーム数の推移 入居定員 ( 左軸 ) 施設数 ( 右軸 ) 95,454 124,610 980 155,612 1,418 183,295 2,104 208,827 2,846 235,526 3,569 315,678 271,286 4,373 5,232 6,244 H1 H5 H10H15H16H17 H18H19H20H21H22 H23H24 8,000 7,563 7,000 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 0 2

1. ヘルスケア施設の供給状況と今後の見込み 3 介護サービスの提供方法の違い サービス付き高齢者向け住宅住宅型有料老人ホーム 介護付有料老人ホーム 医療 外部サービス ( 単独施設 併設施設 ) サービス付き高齢者向け住宅 住宅型有料老人ホーム では 必要に応じて 入居者自身が外部のサービス事業者と契約して 介護保険サービスの提供を受ける 介護付有料老人ホーム では ホーム事業者が提供する介護保険サービスをホーム内で受けられる 3

2. ヘルスケア施設の証券化の現況 1 ヘルスケア施設証券化の事例 主要ヘルスケア施設の種類と証券化の概況 主に運営している法人 施設名 特徴等 株式会社医療法人 社会福祉法人 その他地方公共団体等 証券化の事例 フィットネスセンター室内運動施設 プール等で健康増進のための運動を行うもの サービス付き高齢者向け住宅バリアフリー構造で 安否確認等のサービスが付いた高齢者向け賃貸住宅 有料老人ホーム食事 介護 家事 健康管理のいずれかのサービスを提供する高齢者向け施設 養護老人ホーム精神等に障害があり 生活が困難な低所得者等が入居 軽費老人ホーム (A 型 B 型 ) 低所得や親族関係等の制約から自治体助成を受けて入居 ケアハウス比較的介護度が軽い人を対象とした軽費老人ホーム (C 型 ) グループホーム認知症対応型共同生活介護 ( 居宅施設 ) 小規模多機能型居宅介護 通い 泊り 訪問 サービスを 24 時間提供する地域密着型 ( 居宅施設 ) 介護老人保健施設在宅復帰を目指して介護 機能訓練等を提供する施設 略称 老健 介護老人福祉施設一般的には特別養護老人ホーム ( 特養 ) と呼ばれる 病院一般的な中小規模の民間病院 地域中核病院等 医療モール医療モール ( 診療所等がテナントとして複合施設に入居するもの ) ( 注 ) 印は 主に運営している法人のなかでも 特に数が多いことを示す出所 : 公開情報等から中井生活経済研究所作成 4

2. ヘルスケア施設の証券化の現況 2 不動産証券化の類型 <J リート > 一般事業法人と同様に解散しない ( 長期保有 ) < 特定目的会社 (TMK)> 事業終了後に解散 実物不動産 信託受益権化された不動産 投資 収益 投資法人 実物不動産信託受益権 借入 資産運用会社 投資法人債 投資口 資産運用の委託 融資 利子等購入 利子等 機関投資家 機関投資家他 投資家 * 以下の場合は 投資法人が行うことができる 不動産の取得 ( 投資信託及び投資法人に関する法律第 193 条第 1 項第 3 号 ) に含まれない 投資法人が自ら宅地の造成や建物の建築を行う場合 ( 投資信託及び投資法人に関する法律施行令第 116 条 ) 一定期間テナントの退去が必要になる大規模修繕 改修工事等の請負契約の注文者になる場合で キャッシュフローの変動がポートフォリオ全体に過大な影響を与える場合 ( 金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針 ) 出資 配当 実物不動産 信託受益権化された不動産 投資 収益 特定目的会社 実物不動産信託受益権 特定目的借入 特定社債 優先出資 特定出資 特定資産管理処分受託者 融資 利子等 購入 利子等出資 配当 特定資産の管理処分の委託 機関投資家等 機関投資家等 投資家 * 一定の重要事項についての資産流動化計画の変更には 関係者全員の事前承諾が必要 <GK-TK> 合同会社 事業終了後に解散 < 不動産特定共同事業 > ( 既存スキーム ) 事業終了後に解散 信託受益権化された不動産 信託銀行等 投資 収益 信託 * 信託銀行による受託審査がある 信託受益権 ノンリコースローン 匿名組合出資 資本金 投資運用業務の委託 / 投資助言業務の委託 投資運用会社 / 投資助言会社 融資 利子等 出資 配当 金融機関 投資家 実物不動産 投資 収益 不動産特定共同事業者 他業 ( 不動産事業など ) 実物不動産 借入 匿名組合出資 融資 利子等出資 配当 金融機関 投資家 *1 億円以上の資本金要件や業務管理者の設置要件がある 5

2. ヘルスケア施設の証券化の現況 3 リートのスキーム 運用 管理 物件管理 資産保管 資産運用 物件管理業務受託会社 資産保管会社 ( 信託銀行等 ) 資産運用会社 投資家 ( 広義 ) 賃借契約等に関する事務等 不動産管理業務委託 資産保管委託 資産運用委託 金融機関 賃貸借契約利用権等 不動産の使用 不動産賃借 オペレータ 介護事業者等 施設利用者 建物賃貸借契約 賃料 賃料 利用料等 REIT( 投資法人 ) 不動産 ( 土地 建物 ) または信託受益権 不動産の保有 融資等 投資口 融資元利金投資配当 投融資による資金供給 銀行等投資家機関投資家等 ( 投資証券の売買 ) 一般投資家 介護施設入居者 高齢者施設入居者 金融庁等 投資等に関する法規制 監督等 格付機関 その他専門家 格付 レポート等 6

2. ヘルスケア施設の証券化の現況 4 リートの現況 アメリカやシンガポールには ヘルスケア施設の不動産部分を専門に長期保有する投資法人 いわゆるヘルスケアリートが数多く存在し その賃貸収益を広く投資家に分配し その市場規模は拡大している 米国では 11 銘柄が上場し 時価総額の合計は 約 799 億ドル ( 約 7.5 兆円 ) (2013 年 3 月 28 日現在 ) 我が国には このようなヘルスケアリートは存在しない ヘルスケア施設供給促進のための不動産証券化手法の活用及び安定利用の確保に関する検討委員会の設置 ( 平成 24 年 10 月 ~ 平成 25 年 3 月 ) J リート US リート 物流 倉庫 7% ホテル底地 3% 2% その他 1% 倉庫 6% 森林 6% インフラ 5% 産業施設 4% オフィス 10% 商業施設 / オフィス混合型 2% 商業施設 18% 住宅 18% オフィス 51% ホテル リゾート 6% ヘルスケア 14% 分散型 8% 住宅 14% 商業 小売 25% ARES 提供資料及び NAREIT REITWatch を基に国土交通省作成 J-REIT は用途別投資比率 ( 時点 2013/3/ 末 ) US-REIT は用途別銘柄の時価総額比率 ( 時点 2013/3/28) 7

2. ヘルスケア施設の証券化の現況 5 米国ヘルスケアリートの推移 80 70 ( 単位 :10 億ドル ) 16.0% 14.0% 60 50 40 ヘルスケアリート時価総額 全リートに占めるシェア エクイティリートに占めるシェア 12.0% 10.0% 8.0% 30 6.0% 20 4.0% 10 2.0% 0 0.0% ( 注 ) 各年 12 月末の数値 (2012 年については 11 月末の数値を使用 ) 出所 : NAREIT REIT Watch をもとに中井生活経済研究所作成 8

2. ヘルスケア施設の証券化の現況 6J リートのヘルスケア施設への投資状況 投資法人名物件名所在地 賃貸可能戸数 取得価格 ( 百万円 ) 建築時期 アドバンス レジデンス ライフ & シニアハウス港北 2 神奈川県横浜市 78 1,670 2003 年 介護付有料老人ホーム ボンセジュール千歳船橋 東京都世田谷区 42 685 1988 年 介護付有料老人ホーム ボンセジュール四つ木 東京都葛飾区 62 652 1989 年 介護付有料老人ホーム ボンセジュール日野 東京都日野市 56 574 1990 年 介護付有料老人ホーム インヴィンシブル ボンセジュール武蔵新城 神奈川県川崎市 46 486 1985 年 介護付有料老人ホーム ボンセジュール小牧 愛知県小牧市 123 1,050 1991 年 住宅型有料老人ホーム ボンセジュール秦野渋沢 神奈川県秦野市 100 681 1991 年 介護付有料老人ホーム ボンセジュール伊丹 兵庫県伊丹市 62 480 1989 年 住宅型有料老人ホーム オリックス不動産 グッドタイムリビング新浦安 千葉県浦安市 74 1,550 2006 年 介護付有料老人ホーム ケネディクス レジデンシャル ニチイホームたまプラーザ 神奈川県川崎市 底地のみ 960 1992 年 介護付有料老人ホーム 日本ビルファンド 四谷メディカルビル 東京都新宿区 8,800 2004 年 メディカルモール 治験専門医療機関等 野村不動産オフィスファンド セコムメディカルビル 東京都千代田区 11,500 2005 年 都市型有床クリニック 合計 ( ヘルスケア施設 ) 29,088 用途 J-REIT 全体 J-REIT 全体に占めるヘルスケア施設の比率 9,294,498 0.31% 出所 : 各 REIT ポートフォリオ資料から中井生活経済研究所作成 (2013 年 1 月 25 日調査 ) 9

3. ヘルスケアリート活用に向けた環境整備 1 ヘルスケア施設供給促進のための不動産証券化手法の活用及び安定利用の確保に関する検討委員会 取りまとめ 2013 年 3 月 ヘルスケアリートの方向性 提供するヘルスケア サービスの質が高い水準にあり 同時に施設が安定的に収益を上げていることなど 利用者と投資家との立場には共通点も多く 利用者と投資家の双方から高い評価を得ることがヘルスケアリートの活用において重要 普及啓発の実施 : ヘルスケアリートの仕組みやメリット等をわかりやすく説明する取組みが必要 リートが留意すべき事項 : (1) オペレータの事業運営のモニタリング体制の拡充 (2) 賃貸借契約における解除 解約等の合理的な条件設定 (3) リートによる適切なデューディリジェンスと情報開示の実施 オペレータの外部評価の充実 : ヘルスケアリートが創設されていく中で オペレータ評価の蓄積や評価の仕組み等の確立等が有効 ヘルスケア施設を核とした地域活性化 地域包括ケアを念頭においたまちづくり等 地域活性化に資する取組みやこうした取組みへのヘルスケアリートによる投資への期待 10

3. ヘルスケアリート活用に向けた環境整備 2 ヘルスケアリート関係者の懸念 利用者 オペレータ 投資家それぞれの立場毎に 懸念事項が存在している 投資法人から契約解除や賃料値上げを要求されるのではないか 同業他社に内部情報を開示されるのではないか 有料老人ホーム 高齢者向け住宅等 オペレータが十分な情報開示をしてくれないのではないか オペレータや施設の評価が難しい リスクに応じた収益を得ることができないのではないか 売却 不動産の使用 不動産の保有 投融資 投融資による資金供給 オペレータ 賃料 REIT( 投資法人 ) 配当等 投資家 ( 銀行 機関投資家等 ) 利用料等 オペレータから賃料や利用料を引き上げられるのではないか 施設の利用 利用者 11

3. ヘルスケアリート活用に向けた環境整備 3 政府の方針 経済財政運営と改革の基本方針について 平成 25 年 6 月 14 日閣議決定第 2 章強い日本 強い経済 豊かで安全 安心な生活の実現 1. 日本再興戦略 の基本設計 (1) 生産性の向上を生む科学技術イノベーションなどの基盤強化 ( 日本産業再興プラン ) 4 成長を促進する金融 公的 準公的資金の運用等企業投資やリスクファイナンスを通じて新たな成長が生まれるよう 金融面の環境整備をすることが重要 4. 地域 農林水産業 中小企業等の再生なくして 日本の再生なし (1) 特色を活かした地域づくり ( 都市再生 まちづくり 地域活性化等 ) 民間の知恵や資金を活かした都市再生や公共交通の活性化を 不動産証券化等の手法を活用しつつ 多用な支援策を通じて推進する 日本再興戦略 -JAPAN is BACK- 平成 25 年 6 月 14 日閣議決定第 Ⅱ. 3 つのアクションプラン二. 戦略市場創造プランテーマ 1: 国民の 健康寿命 の延伸 3 病気やけがをしても 良質な医療 介護へのアクセスにより 早く社会に復帰できる社会 Ⅱ) 解決の方向性と戦略分野 ( 市場 産業 ) 及び当面の主要施策 安心して歩いて暮らせるまちづくり 1 民間資金の活用を図るため ヘルスケアリートの活用に向け 高齢者向け住宅等の取得 運用に関するガイドラインの整備 普及啓発等 ( 来年度中 ) 健康 医療戦略 ( 平成 25 年 6 月 14 日大臣申合せ )2.(2)2 ウにも同様の記述あり 12

3. ヘルスケアリート活用に向けた環境整備 4 今後の取り組み 1 リートの活用に向け 高齢者向け住宅等の取得 運用に関するガイドラインの検討 整備 リートが高齢者向け住宅等を取得 運用する際の留意点等について整理 高齢者向け住宅の取得等に関するモデル事例の紹介 2 地域の公益的施設 PRE に係るリート活用のあり方検討 地域包括ケアやコンパクトシティに資する高齢者向け住宅等の地域公益的施設や 地方公共団体所有の公的不動産 (PRE) に係るリートの活用方策の検討 リートによる高齢者向け住宅等の適切な取得 運用の推進 高齢者向け住宅等の公益的施設の整備促進 リート商品の多様化 不動産投資市場の拡大 不動産証券化に関する理解の促進 政府の取り組み第 31 回国土審議会土地政策分科会不動産鑑定評価部会 不動産鑑定評価基準等の改正骨子 ( 案 ) を取りまとめ ( 平成 25 年 6 月 24 日開催 ) ショッピングセンターやホテル 医療 福祉施設等の事業用不動産に関して 収益性を適切に把握して評価する方法や留意点等の規定を追加 関連団体の取り組み (1) 公益社団法人日本不動産鑑定士協会連合会ヘルスケア関連施設評価検討ワーキンググループ 高齢者住宅 施設 病院の不動産鑑定評価 ( 平成 25 年 3 月公表 ) (2) 一般社団法人不動産証券化協会 ヘルスケア施設供給促進のための REIT の活用に関する実務者検討委員会 ( 第 1 回 : 平成 25 年 7 月 29 日 ) 13

3. ヘルスケアリート活用に向けた環境整備 5 地域包括ケアとサービス付き高齢者向け住宅等の供給 地域包括ケアへの参画は 地域内連携によって利用者確保につながり 経営の安定につながる さらには 利用者が受けられるサービスの質の向上も期待される ヘルスケアリートが投資対象を選定するに当たって こうしたマーケティング戦略を理解し 施設を供給していけば 当該施設の運営を通じて地域の活性化に資する可能性がある 出典 : 厚生労働省 HP 14