平成16年新潟県中越地震 JR西日本福知山線列車事故 16年10月23日に発生した新潟県中越地震は 死者68人 災害関連死を含む という被害を もたらしました この地震を契機に 警察では 極めて高度な 救出救助能力を必要とする災害現場において 迅速かつ的確に被災者の救出救助を行う専門部 隊として 1

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00 表紙・目次

(6) 行方不明者の捜索 (7) 治安の維持 (8) 被災者等への情報伝達 (9) 前各号に掲げるもののほか 派遣先都道府県警察の長が特に指示する活動一部改正 平成 25 年第 15 号 ( 即応部隊の活動 ) 第 4 条即応部隊は 大規模災害発生時に直ちに被災地等へ赴き それぞれ次に掲げる活動を行

緊急緊急消防援助隊について消防援助隊の概要 目的 地震等の大規模 特殊災害発生時における人命救助活動等を効果的かつ迅速に実施する消防の援助体制を国として確保 創設の経緯等 阪神 淡路大震災での教訓を踏まえ 平成 7 年に創設 平成 15 年 6 月消防組織法の改正により法制化 平成 16 年 4 月

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~ 二次的な被害を防止する ~ 第 6 節 1 図 御嶽山における降灰後の土石流に関するシミュレーション計算結果 平成 26 年 9 月の御嶽山噴火後 土砂災害防止法に基づく緊急調査が国土交通省により実施され 降灰後の土石流に関するシミュレーション結果が公表された これにより関係市町村は

第 1 章実施計画の適用について 1. 実施計画の位置づけ (1) この 南海トラフ地震における具体的な応急対策活動に関する計画 に基づく宮崎県実施計画 ( 以下 実施計画 という ) は 南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法 ( 平成 14 年法律第 92 号 以下 特措法 と

過去に官邸対策室を設置した事例 2 平成 18 年 7 月 5 日 北朝鮮による飛翔体発射事案に関する官邸対策室設置北朝鮮による弾道ミサイル発射事案に関する官邸対策室に名称変更 10 月 9 日 北朝鮮による核実験実施情報に関する官邸対策室設置 平成 19 年 3 月 25 日 石川県能登を中心とす

平成 29 年 12 月 1 日水管理 国土保全局 全国の中小河川の緊急点検の結果を踏まえ 中小河川緊急治水対策プロジェクト をとりまとめました ~ 全国の中小河川で透過型砂防堰堤の整備 河道の掘削 水位計の設置を進めます ~ 全国の中小河川の緊急点検により抽出した箇所において 林野庁とも連携し 中


平成 28 年熊本地震における対応 平成 28 年熊本地震 ( 前震 :4/14 本震 :4/16) において 電力 ガス等の分野で供給支障等の被害が発生 関係事業者が広域的な資機材 人員の融通を実施するなど 迅速な復旧に努めた結果 当初の想定よりも 早期の復旧が実現 また 復旧見通しを早い段階で提

通話品質 KDDI(au) N 満足やや満足 ソフトバンクモバイル N 満足やや満足 全体 21, 全体 18, 全体 15, NTTドコモ

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【H30】水難年報(H29)本文

01【会計課】31年度予算重点項目案について

 

30 第 1 部現地における災害応急活動 阿蘇大橋付近の被害状況 ( 熊本県阿蘇郡南阿蘇村 ) 熊本城の被害状況 ( 熊本県熊本市 ) 2

22. 都道府県別の結果及び評価結果一覧 ( 大腸がん検診 集団検診 ) 13 都道府県用チェックリストの遵守状況大腸がん部会の活動状況 (: 実施済 : 今後実施予定はある : 実施しない : 評価対象外 ) (61 項目中 ) 大腸がん部会の開催 がん部会による 北海道 22 C D 青森県 2

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平成29年3月高等学校卒業者の就職状況(平成29年3月末現在)に関する調査について


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1 第節 東日本大震災における警察活動の検証 1 初期段階の警察活動 (1) 津波災害からの避難誘導東北 関東地方を中心に 太平洋沿岸を管轄する警察本部では 地震発生直後から沿岸部の警察署に住民の避難誘導を指示した また 海岸等に警察官を派遣して津波情報に関する広報を行い 被害が発生する危険性の高い

<ハード対策の実態 > また ハード対策についてみると 防災設備として必要性が高いとされている非常用電源 電話不通時の代替通信機能 燃料備蓄が整備されている 道の駅 は 宮城など3 県内 57 駅のうち それぞれ45.6%(26 駅 ) 22.8%(13 駅 ) 17.5%(10 駅 ) といずれも

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<GK クルマの保険 ( 車両保険 )> ( 自動車によるあて逃げに限ります ) お客さまのおクルマは 車両保険 に加入していますか? 自動車保険の車両保険では 一般車両 もしくは 10 補償限定 のいずれでも 台風や集中豪雨による洪水の事故が対象となります 地震 噴火またはこれらによる津波 によっ

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その担保措置並びに緊急通行車両の先導等に当たる c 管理班自部隊の食料 飲料水等の調達 管理及び配布 最新の交通情報の収集 広報 被災地警察との連絡調整その他自部隊の災害交通対策活動全般に係る活動の支援に当たる ( ウ ) 刑事部隊刑事部 警務部及び署において検視業務等についての必要な知識及び技能を

2. 長期係数の改定 保険期間を2~5 年とする契約の保険料を一括で支払う場合の保険料の計算に使用する長期係数について 近年の金利状況を踏まえ 下表のとおり変更します 保険期間 2 年 3 年 4 年 5 年 長期係数 現行 改定後

住宅宿泊事業の宿泊実績について 令和元年 5 月 16 日観光庁 ( 平成 31 年 2-3 月分及び平成 30 年度累計値 : 住宅宿泊事業者からの定期報告の集計 ) 概要 住宅宿泊事業の宿泊実績について 住宅宿泊事業法第 14 条に基づく住宅宿泊事業者から の定期報告に基づき観光庁において集計

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平成 26 年 3 月 28 日 消防庁 平成 25 年の救急出動件数等 ( 速報 ) の公表 平成 25 年における救急出動件数等の速報を取りまとめましたので公表します 救急出動件数 搬送人員とも過去最多を記録 平成 25 年中の救急自動車による救急出動件数は 591 万 5,956 件 ( 対前

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1 1 A % % 税負 300 担額

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各府省からの第 1 次回答 1. 災害対策は 災害対策基本法に規定されているとおり 基礎的な地方公共団体である市町村による第一義的な応急対応と 市町村を包括する広域的な地方公共団体である都道府県による関係機関間の総合調整を前提としている を活用してもなお対応できず 人命又は財産の保護のため必要がある

平成 26 年の救急出動件数等 ( 速報 ) 消防庁

鬼怒川緊急対策プロジェクト 鬼怒川下流域 茨城県区間 において 水防災意識社会 の再構築を目指し 国 茨城県 常総市など 7市町が主体となり ハードとソフトが一体となった緊急対策プロジェクトを実施 ハード対策 事業費合計 約600億円 ソフト対策 円滑な避難の支援 住民の避難を促すためのソフト対策を

< 要約 > < 質問 1> あなたにとって最も備えが必要だと思う災害は何ですか? トップは圧倒的に 地震 約 8 割の方が 最も備えが必要な災害 と回答 北海道 東北では 大雪 雪崩 中国 四国 九州は 台風 大雨 洪水 を警戒 < 質問 2> ご家庭の防災対策は 100 点満点で採点すると何点で

平成 27 年 2 月から適用する公共工事設計労務単価 1 公共工事設計労務単価は 公共工事の工事費の積算に用いるためのものであり 下請契約等における労務単価や雇用契約における労働者への支払い賃金を拘束するものではない 2 本単価は 所定労働時間内 8 時間当たりの単価である 3 時間外 休日及び深

第 1 趣旨 この要綱は 他の都道府県において大規模災害が発生し 又は発生するおそれがある場合 ( 以 下 大規模災害発生時 という ) に 被災地又は被災が予想される地域 ( 以下 被災地等 という ) において 被害状況の把握 被災者の救出救助 緊急交通路の確保 検視 行方不 明者の捜索 治安の

これだけは知っておきたい地震保険

( 県の責務 ) 第三条県は 地震防災に関する総合的な施策を策定し 及びこれを実施する責務を有する 2 県は 市町村 自主防災組織その他防災関係機関等と連携して 地震防災対策を推進しなければならない 3 県は 地震に関する調査及び研究を行い その成果を県民 事業者及び市町村に公表するとともに 地震防

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平成 27 年の救急出動件数等 ( 速報 ) 消防庁

Ⅱ 取組み強化のためのアンケート調査等の実施 (1) 建設技能労働者の賃金水準の実態調査国土交通省から依頼を受けて都道府県建設業協会 ( 被災 3 県及びその周辺の7 県を除く ) に対し調査を四半期ごとに実施 (2) 適切な賃金水準の確保等の取組み状況のアンケート調査国は 平成 25 年度公共工事

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事務連絡平成 30 年 10 月 26 日 各都道府県消防防災主管課東京消防庁 各指定都市消防本部 } 殿 消防庁予防課 外国人来訪者や障害者等が利用する施設における災害情報の伝達及び避難誘導に関するガイドライン のリーフレットの配布について 2020 年東京オリンピック パラリンピック競技大会が開

表 3 の総人口を 100 としたときの指数でみた総人口 順位 全国 94.2 全国 沖縄県 沖縄県 東京都 東京都 神奈川県 99.6 滋賀県 愛知県 99.2 愛知県 滋賀県 神奈川

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資料1 受援計画策定ガイドラインの構成イメージ

大規模イベント開催時の危機管理等における消防機関のあり方に関する研究結果について ( 概要 ) 研究の趣旨 現在 国際社会では各地で多様な形態のテロが発生し また NBCテロ災害等 特別な備えが必要となる事案が発生する恐れも増してきている 2019 年のラグビーワールドカップ 2020 年のオリンピ

(6) 八丈町役場 青ヶ島村役場 八丈町災害対策本部 青ヶ島村災害対策本部の設置 7 訓練の様子 (1) 八丈町避難誘導訓練地震時における総合的な避難訓練と火山噴火時における避難訓練を併せて行い 八丈町及び防災関係機関並びに住民がとるべき防災処置を実践し 地震災害 火山噴火災害に対応した防災対策の習

平成 31 年 3 月 20 日更新 全国女性の参画マップ 平成 30 年 12 月作成 内閣府男女共同参画局

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関東 優良産廃処理業者認定制度で優良認定を受けている許可証 組合員都道府県 許可地域組合員名所在地 茨城県 黒沢産業 ( 株 ) 茨城県 関 茨城県 茨城県 ( 株 ) マツミ ジャパン 茨城県 茨城県 ( 株 ) 国分商会 埼玉県

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内閣府自殺対策推進室提出資料 平成 23 年 6 月 15 日内閣府自殺対策推進室内閣府経済社会総合研究所自殺分析班警察庁厚生労働省 東日本大震災に関連する自殺の実態把握について 平成 23 年 3 月 11 日に発災した東日本大震災に関連する自殺の実態把握について 以下 のとおり実施する 1. 定

二戸市地域防災計画 ( 震災編 ) の一部修正の新旧対照表現行改正案 目次 ( 震災編 ) 目次 ( 震災編 ) 第 1 章総則 第 1 章総則 第 1 節 計画の目的 351 第 2 節 計画の性格 352 第 2 節の2 災害時における個人情報の取り扱い 352 第 3 節 防災関係機関の責務及

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平成 22 年第 2 四半期エイズ発生動向 ( 平成 22(2010) 年 3 月 29 日 ~ 平成 22(2010) 年 6 月 27 日 ) 平成 22 年 8 月 13 日 厚生労働省エイズ動向委員会

第8章 災害復旧計画

奈良県ライフライン 情報共有発信マニュアル 第 3.3 版 平成 24 年 7 月 奈良県ライフライン防災対策連絡会

自衛隊の原子力災害派遣に関する達

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厚生労働科学研究費補助金 (地域健康危機管理研究事業)

2-1 出場体制等 1 出場体制東京消防庁における出場体制は 火災 救助 救急及び危険排除等の災害区分に応じて 普通出場 特別出場 特命出場により対応しています ⑴ 火災普通出場 市街地の一般火災及び大規模又は特殊な対象物の火災が発生した場合 火災の規模に応じて第 1 出場から第 4 出場に区分して

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アンケート調査の概要 目的東南海 南海地震発生時の業務継続について 四国内の各市町村における取り組み状況や課題等を把握し 今後の地域防災力の強化に資することを目的としてアンケート調査を実施 実施時期平成 21 年 11 月 回答数 徳島県 24 市町村 香川県 17 市町 愛媛県 20 市町 高知県

CONTENTS Vol.64 No.9 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ~~~~~~~~~ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ~~~~~~~~~

ぐに花粉の飛散シーズンに入らなかったのは 暖冬の影響で休眠打破が遅れたことが影響していると考えられます ( スギの雄花は寒さを経験することにより 休眠を終えて花粉飛散の準備に入ると言われています ) その後 暖かい日や風が強い日を中心にスギ花粉が多く飛びましたが 3 月中旬には関東を中心に寒い日が続

1. まとめ 1 災害医療の現状と課題 災害時に 防ぎ得た死 を少なくするのが最大の課題だ だが東日本大震災を受けた 災害医療等のあり方に関する検討会報告書 が生かされているとは言いがたい 2 計画 予算など対策の現状と課題 被災自治体だけでは対応できない大規模災害に備え 広域医療搬送を含めた都道府

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住宅着工統計による再建築状況の概要 ( 平成 1 9 年度分 ) 国土交通省総合政策局情報安全 調査課建設統計室 平成 20 年 11 月 5 日公表 [ 問い合わせ先 ] 担当下岡 ( 課長補佐 ) 遠藤( 建築統計係長 ) 中村 TEL ( 代表 ) 内線

(3) 最大較差 平成 17 年国調口平成 22 年国調口 H24.9 選挙名簿 在外選挙名簿 H25.9 選挙名簿 在外選挙名簿 最大 : 千葉 4 569,835 東京 ,677 最大 : 千葉 4 497,350 北海道 1 487,678 最小 : 高知 3 258,681 鳥取

学校安全に関する参考資料1-15

目次 1. はじめに 1 2. 協議会の構成 2 3. 目的 3 4. 概ね5 年間で実施する取組 4 5. フォローアップ 8

Transcription:

特集 今後の大規模災害に備えて 岩手県 宮城県及び福島県の3県を中心に甚大な被害をもたらした東日本大震災から 5年以上が経過しました 全国では 大震災以降も 平成23年の台風第12号に伴う近畿地方を中心とした土砂災 害 25年の台風第26号に伴う伊豆大島を中心とした土砂災害 26年の広島市における大 規模土砂災害や御嶽山噴火災害のほか 28年には 震度7を2回記録した熊本地震 台 風第10号に伴う岩手県 北海道を中心とした土砂災害等が発生しており 警察では こ うした災害発生時に 被害情報の収集 被災者の救出救助 行方不明者の捜索活動等を 実施してきました 警察では こうした災害への対処において得られた反省 教訓を踏まえ 専門部隊の 設置等の体制の拡充 装備資機材の充実強化 実戦的な訓練の実施等 災害対処能力の 向上を図っています 過去の災害から学ぶ危機管理体制の在り方 1 阪神 淡路大震災から東日本大震災まで 阪神 淡路大震災 平成7年1月17日に発生した阪神 淡路大震 広域緊急援助隊の設置 災は 死者 行方不明者6,437人 災害関連死を 含む という甚大な被害をもたらし この災害 は警察の災害対策を見直す契機となりました 警察においては 情報の収集 伝達 部隊の 広域的派遣の在り方 災害用装備資機材の整備 等についての反省 教訓を踏まえ 大規模災害 発生時に都道府県の枠を越えて広域的に即応で き 高度な救出救助能力と自活能力を有する災 害対策専門部隊として 同年6月 全国の都道 府県警察に 救出救助等を行う警備部隊 約 2,600人 と緊急交通路の確保等を行う交通部 隊 約1,500人 で構成される 広域緊急援助隊 を設置し 併せて救出救助等のための車両 装 備資機材を整備しました 広域緊急援助隊シンボルマーク 2 被災地における捜索活動 7年1月 兵庫 本震災の教訓を踏まえ 広域的に即応で き 高度な救助能力と自活能力を有する 部隊の必要性 広域緊急援助隊を設置 7年6月 警備部隊 約2,600人 交通部隊 約1,500人

平成16年新潟県中越地震 JR西日本福知山線列車事故 16年10月23日に発生した新潟県中越地震は 死者68人 災害関連死を含む という被害を もたらしました この地震を契機に 警察では 極めて高度な 救出救助能力を必要とする災害現場において 迅速かつ的確に被災者の救出救助を行う専門部 隊として 17年4月 12都道府県警察 北海道 宮城 警視庁 埼玉 神奈川 静岡 愛知 大 阪 兵庫 広島 香川 福岡 の広域緊急援助 土砂崩落現場における捜索活動 16年10月 新潟 隊 警備部隊 に 約200人体制の 特別救助班 を設置しました また 17年4月に発生したJR西日本福知山 線列車事故を受け 遺体の検視や遺族対策に当 たる部隊の必要性が明らかとなったことから 18年3月 広域緊急援助隊に新たに刑事部隊 約600人 が加わり 警備 交通 刑事の3部 隊を合わせて全国約4,700人体制に拡充されま 被災地における捜索活動 16年10月 新潟 した 広域緊急援助隊の活動 広域緊急援助隊は 先行情報班 救出救助班 交通対策班 検視 遺族対策班等に分かれヘリコプター等により迅 速に被災地に赴き 被害情報の収集 被災者の救出救助 行方不明者の捜索 緊急交通路の確保等の活動を行う 行方不明者の捜索活動 現場急行 情報収集 緊急交通路の確保 ヘリコプター等による 被災者の搬送 検視 安否情報の提供等 3 被災者の救出救助活動

2 東日本大震災 23年3月11日に発生した東日本大震災は 死 者 行方不明者1万8千人超という甚大な被害 をもたらしました 警察では 岩手県警察 宮 城県警察及び福島県警察に対し これまでに 全国から延べ約136万人 29年1月10日現在 の職員を派遣するなど かつてないほど長期間 にわたり大規模な部隊派遣を行いました 津波災害現場における捜索活動 23年3月 宮城 本震災の経験を踏まえ 24年5月 大規模災 害発生時に全国警察から直ちに被災地へ派遣す る部隊として 広域緊急援助隊を中心とする即 応部隊を全国約6,400人体制から約1万人体制 に増強するとともに 発災から一定期間 概ね 2週間 経過後に派遣され 被災地のニーズを 踏まえた幅広い業務を遂行するための一般部隊 を新設し 両部隊で構成される 警察災害派遣 隊 を設置しました 津波災害現場における捜索活動 23年3月 福島 また 国家公安委員会 警察庁防災業務計画 を数次にわたり改定するなど 津波災害対策の大幅な見直しも行っています 警察災害派遣隊の編成 警察災害派遣隊 発生直後に派遣 自活を原則 即応部隊 広域緊急援助隊 2,600 1,500 警備部隊 交通部隊 被災者の救出救助 緊急交通路の確保 広域警察航空隊 機動警察通信隊 500 1,200 約1万人 発生から一定期間経過後に派遣 新 一般部隊 600 特別警備部隊 特別交通部隊 特別自動車警ら部隊 捜索 警戒警ら 交通整理 規制 パトロール 特別生活安全部隊 特別機動捜査部隊 支援対策部隊 相談対応 初動捜査 補給 受援対策 1,500 刑事部隊 増 検視 身元確認等 緊急災害警備隊 新 3,000 管区機動隊のうち広域緊急援助隊員以外の者から編成 被災県警察 のニーズに応じて 救出救助 行方不明者の捜索 警戒警ら等の幅 広い業務に従事 4 身元確認支援部隊 情報通信支援部隊 身元確認の資料収集 通信施設の復旧

3 東日本大震災以降 広島市における大規模土砂災害 26年8月19日夜から20日明け方にかけて広島市を中心に降った大雨に伴う大規模な土砂災害 により 死者74人という被害が生じました 極めて広範囲に土砂が堆積し 泥水が流れ続け 巨石 樹木等が散乱する困難な状況の中 で 警察では 19都府県警察から警察災害派遣隊延べ約9,200人を派遣し 被害情報の収集 被災者の救出救助 行方不明者の捜索等の活動を実施しました 警察航空機による救出活動 26年8月 広島 警察重機による捜索活動 26年8月 広島 御嶽山噴火災害 26年9月27日 長野県と岐阜県にまたがる御嶽山が噴火し 死者58人 行方不明者5人とい う被害が生じました 標高3,000mを越え 急な斜面に大量の火山灰が積もった山頂付近において 火山灰の泥ね い化 火山性ガスや土石流 再噴火による噴石の飛来 高山病等高地での活動による体調不良 等極めて過酷な状況の中 警察では 10都県警察から警察災害派遣隊等延べ約1,300人を派遣 し 関係機関と連携の上 被害情報の収集 被災者の救出救助 行方不明者の捜索等の活動を 実施しました 火山灰の泥ねい化により歩行困難 火山性ガス対応マスク ガス検知器を装備 5

平成27年9月関東 東北豪雨 27年9月 台風第17 18号及び前線の影響により 関東 東北地方で記録的な大雨が観測さ れました とりわけ 茨城県常総市では 鬼怒川堤防の溢水や決壊等により氾濫し 市の約3 分の1に当たる約40平方キロメートルが浸水域となり 多くの家屋等が全壊するなど甚大な被 害が生じました 警察では 13都県警察から警察災害派遣隊延べ約3,000人を茨城県警察及び宮城県警察へ派 遣して 被害情報の収集 被災者の救出救助等の活動を実施し 特に 茨城県 宮城県及び栃 木県においては ヘリコプターやゴムボート等を活用して浸水した家屋等から多くの被災者を 救出しました 家屋2階からの救出活動 27年9月 宮城 ゴムボートを活用しての救出活動 27年9月 茨城 実戦的訓練の推進 警察では これまでの災害現場における教訓や最近における災害の特徴等を踏まえ あらか じめ想定を示さないブラインド方式による訓練 隣接都道府県警察や関係機関との合同訓練 より災害現場に即した環境で体系的 段階的な救出救助訓練を実施するための災害警備訓練施 設 近畿管区警察学校内に設置され 平成28年度から運用開始 を活用した訓練等 実戦的な 訓練を繰り返し行い 災害への対処能力の向上に努めています 被害想定を示さないブラインド訓練 ① 冠水車両からの救出訓練 消防 自衛隊等との合同訓練 ② 火山を想定した救出訓練 ③ 土砂災害を想定した救出訓練 狭あい空間を想定した救出訓練 写真① ③はいずれも災害警備訓練施設 写真① 浸水域対応訓練ゾーン 没建物ユニット 写真③ 可変式訓練ユニット 6 写真② 土砂埋