サービス名 利用頻度 ICT を用いた医療介護の連携システム ~Net4U Note4U~ 鶴岡地区医師会では 平成 12 年度からインターネット上での患者情報共有ツールとして Net4U を運用してきていた 従来は 病院 診療所 検査センターが参加者の中心であったが 平成 23 年度から介護支援専

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千葉県 地域包括ケアシステム構築に向けた取組事例 1 市区町村名 銚子市 2 人口 ( 1) 68,930 人平成 25 年 4 月 1 日現在 ( ) 3 高齢化率 ( 1) 65 歳以上人口 20,936 人 ( 高齢化率 30.37%) ( ) (65 歳以上 75 歳以上それぞれについて記載

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高齢者虐待防止対応マニュアル別冊 6 関係機関との連携 (1) 各機関の役割 市町村や地域包括支援センター等の関係機関は それぞれ対応可能な範囲があります 範囲を超えた対応は行うことができません また 事例によって関係機関の対応を依頼する場合があります 市町村が中心となるコアメンバー会議によって 大

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06 参考資料1 平成30年度介護報酬改定における各サービス毎の改定事項について

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2 保険者協議会からの意見 ( 医療法第 30 条の 4 第 14 項の規定に基づく意見聴取 ) (1) 照会日平成 28 年 3 月 3 日 ( 同日開催の保険者協議会において説明も実施 ) (2) 期限平成 28 年 3 月 30 日 (3) 意見数 25 件 ( 総論 3 件 各論 22 件

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利用者満足の向上センターのチラシの配布など センターのPRのために具体的な取り組みを行っている 苦情対応体制を整備している 特記事項 名刺 サービス情報誌 広報での PR イベントでのパネル設置など実施 相談の際のプライバシーの確保を図っている 公平性 中立性の確保 業務改善への取り組み 相談室の整

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01 【北海道】

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在宅生活への円滑な移行に向けて

本事例集は 在宅医療 介護連携推進事業の ( ア ) から ( ク ) の取組ごとに いくつかの市町村における具体的な取組を紹介しているが これらの取組に加え 取組む際の体制 取組に要した予算 取組による成果や成功の要因 今後の課題等についても 以下の調査研究事業で報告されているため 参考にしていた

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地域包括ケアシステムの構築について 団塊の世代が 75 歳以上となる 2025 年を目途に 重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう 医療 介護 予防 住まい 生活支援が包括的に確保される体制 ( 地域包括ケアシステム ) の構築を実現 今後

I

介護保険制度改正の全体図 2 総合事業のあり方の検討における基本的な考え方本市における総合事業のあり方を検討するに当たりましては 現在 予防給付として介護保険サービスを受けている対象者の状況や 本市におけるボランティア NPO 等の社会資源の状況などを踏まえるとともに 以下の事項に留意しながら検討を

場に結び付けていきます 利用者のための目標設定がポイント 利用者自身がその生活課題に気付き 状況が改善されたときのイメージをもつことが必要です 利用者が主体的になれるよう支援します 非現実的な目標ではなく 実現可能で具体的な目標設定を行ない 利用者が実際に行動に移せるよう支援します 一定期間取り組ん


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2. 経口移行 ( 経口維持 ) 加算 経口移行 ( 経口維持 ) 計画に相当する内容を各サービスにおけるサービス計画の中に記載する場合は その記載をもって経口移行 ( 経口維持 ) 計画の作成に代えることができる 従来どおり経口移行 ( 経口維持 ) 計画を別に作成してよい 口腔機能向上加算 口腔

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平成 28 年 2 月以降に認定更新等により要支援認定を受けた方が介護予防訪問介護 介護予防通所介護を利用される場合 これまでの予防給付サービスから総合事業のサービスに変わります 要支援者の認定有効期間は現在最長 12か月ですので 大川市は平成 28 年 2 月から1 年かけて移行します 更新の場合

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点検項目 点検事項 点検結果 リハビリテーションマネジメント加算 Ⅰ 計画の定期的評価 見直し 約 3 月毎に実施 リハビリテーションマネジメント加算 Ⅱ ( リハビリテーションマネジメント加算 Ⅰ の要件に加え ) 居宅介護支援事業者を通じて他のサービス事業者への情報伝達 利用者の興味 関心 身体

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事業所自己評価 ミーティング様式実施日平成 9 年 8 月 日 ( :~ :). ~ したい の実現 ( 自己実現の尊重 ) メンハ ー 前回の課題について取り組めましたか? 人 6 人 7 人 人 6 人 個別介護計画を見直す際にはケアマネ 介護職 看護師が必ず参加し 他職種の意見を取り入れた計画

サービス担当者会議で検討し 介護支援専門員が判断 決定するものとする 通所系サービス 栄養改善加算について問 31 対象となる 栄養ケア ステーション の範囲はどのようなものか 公益社団法人日本栄養士会又は都道府県栄養士会が設置 運営する 栄養士会栄養ケア ステーション に限るものとする 通所介護

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Ⅰ バイタルリンク 利用申込書 ( 様式 1-1)( 様式 ) の手続 バイタルリンク を利用する者 ( 以下 システム利用者 という ) は 小松島市医師会長宛に あらかじ め次の手順による手続きが必要になります 新規登録手続の手順 1 <システム利用者 ( 医療 介護事業者 )>

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7.居宅療養管理指導

加算 栄養改善加算 ( 月 2 回を限度 ) 栄養スクリーニング加算 口腔機能向上加算 ( 月 2 回を限度 ) 5 円 重度療養管理加算 要介護 であって 別に厚生労働大が定める状態である者に対して 医学的管理のもと 通所リハビリテーションを行った場合 100 円 中重度者ケア体制加算

2 基本理念と基本目標 本市のまちづくりの指針である 第 2 次柳井市総合計画 は 平成 29 年 3 月に策定 されました この総合計画では すべての市民が健康で安心して暮らせる 人にやさ しいまちづくり を健康 福祉分野の基本目標に掲げ その実現を目指しています これは 高齢者も含めた全ての市民

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Ⅱ 各論第 2 章 各 論 第 2 章 介護と医療 関係機関の連携 第 1 節 介護と医療 関係機関の連携 1 連携のための関係機関のネットワークづくり 現状 課題 平成 19 年度に内閣府が公表した 高齢者の健康に関する意識調査 によると 多くの高齢者が要介護状態になっても 可能な限り住み慣れた地

モニタリング表 利用者氏名 : 担当者 : 訪問年月年月 ~ 年月 1か月目 2か月目 3か月目 4か月目 5か月目 6か月目サービス種別 ( 月日 ) ( 月日 ) ( 月日 ) ( 月日 ) ( 月日 ) ( 月日 ) 短期目標内容 種別内容 実施状況 満足度 達成度 ケアプランの評価 実施状況

( 介 197)( 保 310)F 平成 31 年 3 月 12 日 都道府県医師会社会保険担当理事殿介護保険担当理事殿 日本医師会常任理事 松本吉郎 江澤和彦 要介護被保険者等である患者に対する入院外の維持期 生活期の 疾患別リハビリテーションに係る経過措置の終了に当たっての必要な対応について 入

介護支援専門員 ( 回答数 件 ) 介護支援専門員の基礎資格 介護支援専門員の基礎資格 n= 複数回答 0 基礎資格について 介護福祉士 が 件 ( 0.%) と最も多かった 介護支援専門員が担当する利用者 (H 年 月 ). 要介護別利用者の割合 要介護 0% 要介護

A5 定刻に評価するためには その時刻に責任をもって特定の担当者が評価を行うことが必要 となる Q6 正看護師 准看護師 保健師 助産師以外に医師 セラピストなどが評価してもよいか A6 よい ただし 医療職に限られ 評価者は所定の研修を修了した者 あるいはその者が実施した院内研修を受けた者であるこ

Clinical Indicator 2016 FUNABASHI MUNICIPAL REHABILITATION HOSPITAL

このような現状を踏まえると これからの介護予防は 機能回復訓練などの高齢者本人へのアプローチだけではなく 生活環境の調整や 地域の中に生きがい 役割を持って生活できるような居場所と出番づくりなど 高齢者本人を取り巻く環境へのアプローチも含めた バランスのとれたアプローチが重要である このような効果的

13 (参考資料4-5)松下参考人資料(三菱総研)

平成 28 年度地域包括支援センター事業計画書及び収支予算書 資料 3 事業計画 地域包括支援センターでは 介護予防 日常生活支援総合事業 ( 総合事業 ) における介護予防ケアマネジメント 包括的支援事業 ( 総合相談支援事業 権利擁護事業 包括的 継続的ケアマネジメント支援事業 ) 包括的支援事

平成 26 年度版 第三者評価結果概要版 ( 居宅介護支援 ) 基本情報 法人名 社会福祉法人多摩同胞会 事業所名 泉苑居宅介護支援センター 所在地 東京都府中市武蔵台 1 丁目 10 番 4 号 連絡先 事業者が大切にしている考え ( 事業者の理念 ビジョン 使命など )

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在宅医療 介護連携のための市町村ハンドブック (H 国立長寿医療研究センター ) 1. 市町村は 主体的に取組む部署を整備する ( 介護保険担当部局が適切であり 担当者の複数配置 当面の異動を避けることが望ましい ) 2. 地区医師会と市町村が協力して行うこと 5 厚生労働省資料より

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001

第 2 章垂水市地域包括ケアシステムの概要 1 垂水市の地域包括ケアシステムの考え方地域包括ケアシステムとは 高齢者等に関わる様々な人や社会資源が 地域の中でつながりを持って高齢者等の生活を支える仕組みです 高齢者については 介護が必要な状態になっても住み慣れた地域で暮らし続けることができるよう 医

Transcription:

キーワード 医療 介護連携 ICT 在宅医療連携拠点 医師会と介護支援専門員等との多職種連携 医師会を軸にしたチームによる ICT を活用した医療と介護の連携の推進山形県鶴岡市 この事例の特徴 ICT 活用や多職種向けの研修会等の多面的な取り組みによって 医 療と介護の連携を推進している 地域医師会に設置された地域医療連携室が医療の側から 自治体 ( 地域包括支援センター ) が介護の側から 相互に取り組みを進める ことで連携の輪が広がっている 検討 WG からの推薦メッセージ 全国の自治体にとって 医療と介護の連携 に係る具体的な方策は模索中 試行錯誤の現状で 丁寧な 現場目線の話し合い中心による 人間関係づくり の仕組み構築が見えてきます 今後 更なる発展的な 展開 利用者への効果も期待されます 地域概要 実施主体 総人口 : 65 歳以上人口 : 75 歳以上人口 : 135,403 人 40,057 人 (29.6%) 22,915 人 (16.9%) 要介護 ( 要支援 ) 認定者数 : 第 5 期介護保険料 : 8,232 人 (25.7%) 5,283 円 鶴岡市地域包括支援センター連絡会 鶴岡地区医師会 鶴岡市介護保険事業者連絡協議会居宅支援事業者部会 緩和ケア庄内プロジェクト等 背景 課題 地域包括支援センターが実施した介護支援専門員を対象とした研修会の中で 介護支援専門員から 医療との連携に関して 病院側の看護師等から情報が得られない 介護の実情を理解して貰えない 相談をしたくても時間を取って貰えない などの不満の声が多数挙げられた これらを契機として 鶴岡市では医療と介護の連携を推進するための取り組みを推進してきた 取り組み内容 鶴岡市では 鶴岡地区医師会が運営する ICT を用いたツール (Net4U Note4U) 等を用いて医療 介護の連携に取り組んでいる 詳細は 次頁で紹介する

サービス名 利用頻度 ICT を用いた医療介護の連携システム ~Net4U Note4U~ 鶴岡地区医師会では 平成 12 年度からインターネット上での患者情報共有ツールとして Net4U を運用してきていた 従来は 病院 診療所 検査センターが参加者の中心であったが 平成 23 年度から介護支援専門員にも Net4U への参加を呼びかけるようになった 平成 24 年度末より 介護者参加型在宅高齢者見守り web 連絡ノート Note4U を導入し 平成 25 年度より運用を開始している このシステムは 家族やヘルパー等が記入する日々の高齢者の見守りの状況を共有するものであり 従来の Net4U とも情報連携していることから かかりつけ医や介護支援専門員が Net4U を利用して 急変時の早期対応や重症化予防を防ぐことにつながっていくことが期待される 医療介護の連携様式の整備 平成 21 年度には 介護支援専門員が積極的に医療側に発信できる仕組みが 入院日 御中 ( 添書は省略いたします ) 患者様の同意を得ておりますので 転院時は複写の上 転院先医療機関へ入院前の状況報告書お渡しください 記入日 必要という課題認識のもと 入院前報告書の作成 に着手した 入院前報告 書 は 利用者の同意を得た上で 介護支援専門員が把握している介護保険サ <サービス利用者 > 氏名男女居住住所 生年月日 ( 歳 ) 介護度 < 介護保険利用状況 > 利用サービス 貸与品目 サービス提供事業所 ービスの利用状況や ADL IADL 等の心身の状況等を入院先の病院に対して <ADL> 状態特記事項 <IADL> 状態特記事項 寝返り 調理 起き上がり 掃除 移乗 買い物 情報提供を行うための様式である その他にも 退院 退所情報提供書 サー 歩行 金銭管理 着脱 服薬状況 入浴 < 排尿 排便 > 排泄失禁の有 無 < 認知 > 有無排泄後の後始末 自立 一部介助 全介助 ビス担当者会議に対する照会 ( 依頼 ) 書 等の様式整備を行った これらの様式 は 平成 24 年 5 月の Net4U のリニューアルの際に システム上にも実装され <コミュニケーション能力 > < 居宅環境 > < 備考 > 退院時ご連絡ください 退院時カンファレンスを希望します < 口腔衛生 > < 褥創 皮膚の問題 > < 食事 > < 家庭状況 > た 必要に応じ退院時の情報提供をお願いします < 在宅主治医 > 居宅介護支援事業所担当ケアマネージャー電話 医療機関との連携のための情報収集と整理 ~ 在宅療養者支援のための連携シートの作成 ~ 介護支援専門員と医師の話し合いの場を広げるために連 携シート作成に取り組んだ 連携シートは 病院や医療機 関ごとに A4 版 1 枚で作成され 医師の名前 連絡先 介護支 援専門員が主治医に相談する際に望まれる連絡手段 (FAX 等 ) 相談しやすい曜日 時間 サービス担当者会議に出席 できるか等の項目が整理されたものである 連携シートは 市 内の居宅介護支援事業所等の関係機関に配布した 介護職と医療職の合同研修 ~ 鶴岡市医療と介護の連携研修会 ~ 平成 20 年度から 介護支援専門員 病院看護師 訪問看護師 医師 介護サービス提供事業者等を対象として 顔の見える関係や相互理解及び他職種連携による効率的 効果的な業務の推進を目的とした研修会を開催してきた 平成 20 年度から平成 25 年度現在までに全 11 回の開催を行い 毎回 100 名を超える参加者がある 予算 地域支援事業包括的継続的ケアマネジメント事業報酬費 60 千円 旅費 10 千円 ( 平成 24 年度 ) の他 緩和ケア庄内プロジェクトの予算より支出

取り組みの経緯 平成 18 年度 地域包括支援センターの立ち上げ 直営 1 センターのみでスタートし 医師会を 含む民間法人から出向者を受け入れてスタート 医療機関との連携方法のまとめを作成 異なる組織のメンバーが 協働して地域包括支援センターの体制づくりに取り組む 連携のための土壌づくりの時期 ( 平成 18~19 年度 ) 平成 19 年度医療ニーズの高い人の受け入れ施設一覧表の作成に取り組む鶴岡市立荘内病院と鶴岡地区医師会が 緩和ケア普及のための地域プロジェクト ( 庄内プロジェクト ) に着手平成 20 年度 介護支援専門員を対象とした研修会の中で 医療機関との連携に関する不満の声が抽出される 医療介護連携に係る実態調査 ( 病院看護師 介護支援専門員を対象 ) を実施し 医療と介護の連携に係る課題を詳細に検証 医療と介護の連携研修会 がスタート ( 平成 25 年度までで 11 回の開催済み ) 連携に関する 課題抽出の時期 ( 平成 20 年度 ) 平成 21 年度 緩和ケア地域連携 WG 医療連携の会 地域包括支援センターがメンバーとなり 鶴岡市医療介護連携企画会議 を組成 現場の声から課題を抽出し 実態調査で検証医療と介護の連携の中核を担う会議体が組成される 入院前報告書 様式の整備 受身だった介護支援専門員が情報発信するための仕組みづくり 連携のための 仕組みづくり 平成 23 年度 在宅療養者のための連携シートの作成に取り組む 鶴岡地区医師会が平成 12 年度から運用してきた患者情報共有ツール Net4U の時期 ( 平成 21~23 年度 ) への介護支援専門員の参加を呼びかけ鶴岡地区医師会が在宅医療連携拠点事業を受託 在宅医療連携拠点事業室 ( 現 地域医療連携室 ) ほたる を開設 鶴岡市医療介護連携企画会議に 鶴岡地区医師会の在宅医療連携拠点事業の担当者を加え強化を図る 医師会に医療 介護連携のための専属組織を設置平成 24 年度 Net4U のリニューアル 連携のための各種様式をシステム化介護者参加型在宅高齢者見守り web 連絡ノート Note4U の導入患者や家族も参加できる ICT ツールの導入 さらなる発展の 時期 ( 平成 24 年度 ~)

取り組みの成果 地域に見られた変化 医療側 介護側の双方が 互いの立場や業務内容等を理解し 相手のために何をすればよいか という考え方が生まれるようになってきた 介護支援専門員の自己評価結果において 医療連携に対する苦手意識が改善されてきた ( 自己評価点 10 点満点中平成 20 年度 5.1 平成 24 年度 6.8 ポイント ) 入院前報告書等や Net4U によって介護支援専門員から 医療側へ情報発信を行うための仕組みが構築されてきた Net4U への参加事業所 登録患者数は増加の一途を辿っている 取り組みが生かされた個別事例 医療との連携に関する介護支援専門員の意見 病棟看護師と介護支援専門員の連携研修や 連携様式の活用によって 医療との連携の敷居が低くなり 外来患者でも困ったとSOSすれば助けてくれるようになった 入退院時の情報共有が厚くなり 在宅ケアが円滑になっている ( 介護支援専門員 A) 自宅で要介護者を看取る際に Net4U を導入したことにより 医師 訪問看護の記録を必要時見ることができるため 刻々と変化する要介護者の状況とタイムリーに把握することができ サービス調整のきめ細かい対応ができるようになった 介護支援専門員が対応した内容も Net4U に記載できるため情報共有がスムーズにできるようになった ( 介護支援専門員 B) 電話だと 医師 事業所ともに時間がかかることもあったが Net4U に記載すれば ケアマネジャーの都合に合わせて記載でき しかも Net4U を使っている人がその情報を共有できるので 情報の共有化の時間が短縮されている 医師 サービス事業所同士が双方向の情報共有ができ その情報で的確に対応処理できるようになっている ( 介護支援専門員 C)

この事例のポイント ( 工夫や成功要因など ) 1. 地域 鶴岡地区医師会は 早期から訪問看護ステーション 訪問入浴 老人保健施設等の在宅医療に関する事業を展開しており 平成 19 年度からは 緩和ケア普及のための地域プロジェクト 平成 23 年度からは在宅医療連携拠点事業に応募するなど医師会として在宅医療を積極的に推進してきた 医療と介護の連携の鍵を握るのは医師の意識改革が重要だという考えのもと 医師会が率先して介護との連携に取り組むことで 介護側に対しては敷居を下げることにつながっている 医師会には 地域医療連携室 ( 愛称 : ほたる ) が設置され 専属の職員が他職種間の各種コーディネート業務や 普及啓発活動に取り組んでいる 以前 医師会の運営する在宅介護支援センターと 地域包括支援センターが同じ建物にあったこともあり いつでも相談できる関係ができ上がっている 2. 自治体 地域包括支援センターの立ち上げの際に委託するかどうかを庁内で検討してきたが 平成 18 年から平成 20 年までの 3 か年は枠組みづくりのために直営の 1 ヵ所のみの運営とした その際に将来的に委託先の候補となるであろう法人から職員を出向にて受け入れて 20 数名体制にてスタートした 当初の 3 か年に 複数の法人の職員が一つの地域包括支援センターで顔の見える関係を築き 法人を超えて一緒に作り上げてきたことが現在の鶴岡市圏域の地域包括ケア体制の基盤となっている 様々な取り組みを行政のみが行うのではなく 介護支援専門員や連携担当者の当事者が中心となり ボトムアップで様々な仕組みをつくってきた 月定例で 鶴岡地区医師会と 行政との定例のミーティングが開催されており 行政 医師会それぞれの立場で発見した新たな地域課題やニーズを速やかに共有したり 事業運営について助言等を求めたりすることができている これから取り組む皆さまへ ~まず始めてみるために この事例から得られる示唆 現場の介護職員等の声から定性的に課題を把握し アンケート調査等によって定量的に検証を行いましょう 抽出された課題を行政の職員だけでなく 地域の関連主体や現場の職員と共有しながら 解決の方向性について合意形成を進めましょう 行政と地域の関連主体との間で施策の進捗状況等に関して定期的な会合を持ちましょう

参考 事業推進体制 職員体制 医療介護連携推進企画会議を主催 鶴岡市長寿介護課 鶴岡市地域包括支援センター ( 直営 ) 地域包括支援センター ( 委託 ) ヘルパーステーション 居宅介護支援事業所 介護側からの連携推進 居宅支援事業者部会 介護保険事業者連絡協議会 訪問看護ステーション 連携 家族 在宅患者 介護福祉施設 鶴岡地区医師会医療側からの連携推進地域医療連携室病院在宅主治医調剤薬局 地域包括支援センター 地域包括支援センター数直営委託ブランチ数サブセンター数地域包括支援センター職員数保健師社会福祉士主任介護支援専門員その他の専門職員その他の事務職員 所管課 長寿介護課職員数 () は兼務者数 9 ヵ所 1 ヵ所 8 ヵ所 1 ヵ所 5 ヵ所 46(6) 人 13(3) 人 13 人 9 人 8 人 3(3) 人 36 人 鶴岡市における医療 介護の連携体制 参考 URL 連絡先 鶴岡市健康保険福祉部長寿介護課地域包括支援センター 0235-29-2111 http://www.city.tsuruoka.lg.jp/040501/