熊本県 熊本地震時の医療ニーズ への対応について 平成 30 年 8 月 23 日 ( 木 ) 熊本県健康福祉部健康局医療政策課 2010 熊本県くまモン 0
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平成 28 年熊本地震の概要 2 前震 本震 発生日時 平成 28 年 4 月 14 日 21 時 26 分 平成 28 年 4 月 16 日 1 時 25 分 震央地名熊本県熊本地方同左 マグニチュード 6.5 7.3 震度 7 益城町益城町 西原村 震度 6 弱以上を観測した市町村 震度 6 強なし 震度 6 弱熊本市 玉名市 宇城市 西原村 嘉島町 熊本市 菊池市 宇土市 宇城市 合志市 大津町 嘉島町 南阿蘇村 八代市 玉名市 天草市 上天草市 阿蘇市 和水町 菊陽町 御船町 美里町 山都町 氷川町
地震の規模 県民への影響 震度 6 弱以上の大地震が 7 回 うち震度 7 は 28 時間内に 2 回発生 ( 観測史上初 ) 震度 6 弱以上の大地震に見舞われた県民は本県人口の 83% に及び 少なくとも県民の 10% 以上が避難 ( 阪神 淡路大震災の約 2 倍 ) 熊本地震の規模 県全体に与える影響は 阪神 淡路大震災級 ~ 活発な余震活動 (4,400 回以上 ) が県民生活 経済の早期復旧の足かせ ~ 過去の地震との比較 熊本地震 震度 6 弱以上 7 回うち震度 7 が 2 回 余震発災から 15 日間 2,959 回 阪神 淡路大震災 1 回 230 回 新潟県中越地震 5 回 680 回 被災市町村人口 ( 震度 6 弱以上 ) 約 148 万人 ( 県人口の約 83%) 約 232 万人 ( 同 42%) 約 38 万人 ( 同 16%) 最大避難者数 約 18.4 万人 ( 県人口の 10.3%) 約 31.7 万人 ( 同 5.7%) 約 10.3 万人 ( 同 4.2%) 避難者数は 指定避難所内の人数であり 避難所以外の車中泊等の人数は含まれない 3
医療ニーズへの対応 ( 急性期 ) 4 1 4 月 14 日の発災直後は主に DMAT 県は 熊本県災害派遣医療チーム ( 熊本 DMAT) の派遣に関する協定 等に基づき 県内外の DMAT の派遣を要請 DMAT(Disaster Medical Assistance Team) とは 災害の発生直後の急性期に活動できる機動性を持った専門的な災害派遣医療チーム 1 隊の構成は 医師 1 名 看護師 2 名 業務調整員 1 名の 4 名を基本 DMAT は トリアージ 緊急治療の他 ヘリコプター 救急車等による患者搬送 被災地域内病院に対する急性期医療支援などを実施 DMAT 活動終了後の医療ニーズにどのように対応するか?
5 医療ニーズへの対応 ( 亜急性期 ) 2 DMAT から各種医療チーム 地域医療機関へ 4 月 19 日 DMAT 活動の円滑な引継 移行を図るため 行政機関 関係団体等による連絡調整会議を開催し 県内外の医療救護チームを一元的に受け付け 活動情報を共有する体制を構築 熊本県医療救護調整本部の立ち上げ (4 月 21 日 ) 全国知事会等を通じた医療救護班への引継 移行を経て DMAT 調整本部は 4 月 22 日に活動を終了
6 医療ニーズへの対応 ( 亜急性期 ) 2 DMAT から各種医療チーム 地域医療機関へ 〇 4/20~6/1 災害医療コーテ ィネーター連絡会議 を計 23 回開催し 関係団体の連携 情報共有等を図った 6/1に県医療救護調整本部の活動終了 参考 主な医療チームの活動状況(4 月 14 日 ~6 月 2 日 ) 災害派遣医療チーム(DMAT) :508 チーム 2,199 人 (4 月 14 日 ~4 月 22 日 ) 日本赤十字社救護班 :272 チーム 2,292 人 (4 月 14 日 ~6 月 2 日 ) 日本医師会災害医療チーム(JMAT):563 チーム 2,515 人 (4 月 14 日 ~5 月 31 日 ) 全国知事会医療救護班 :199 チーム 1,041 人 (4 月 21 日 ~5 月 17 日 ) また 被災者に適切な医療 看護を提供し 被災した看護職員の心身 の負担軽減を行うため 県看護協会に対し 災害支援ナース の 派遣を要請
熊本地震時の医療救護の推移 救命救急病院支援避難所等での診療支援在宅者の保健 医療 発災 医療救護対策室設置 活動終了 平時へ 保健所 市町村 医療 / 社会福祉関係機関 ( 地域支援拠点 体制の再構築等 ) DMAT 医療チーム 全国知事会 避難所 救護所 巡回診療等 地域の医療機関地元医師会 日本医師会 (JMAT) 診療再開 日本赤十字社 他 DPAT 7
4/14 熊本地震時の県内外医療チームの推移 4/16 4/18 4/20 4/22 4/24 4/26 4/28 4/30 5/2 5/4 5/6 5/8 5/10 5/12 5/14 5/16 5/18 5/20 5/22 5/24 5/26 5/28 5/30 DMAT 活動終了後の医療ニーズに 日本赤十字社救護班 JMAT 全国知事会救護班等が対応 350 (4/14~6/2 活動実績 ) 300 250 200 150 100 50 0 DMAT その他救護班全体 8
急性期組織図 (4/14~22) 熊本県 DMAT 調整本部 ( 熊本県庁内 ) 大分県 DMAT 調整本部 ( 大分県庁内 ) 阿蘇 竹田医師会病院 DMAT 活動拠点本部 熊本市 上益城 熊本赤十字病院 DMAT 活動拠点本部 菊池 川口病院 DMAT 活動拠点本部 阿蘇 阿蘇医療センター DMAT 活動拠点本部 9
平成 28 年 4 月 19 日 急性期後における地域災害保健医療提供体制連絡調整会議 ( 約 70 名参集 ) 10
亜急性期組織図 (4/21~6/1) 熊本県医療救護調整本部 ( 熊本県庁内 ) 熊本市 ( 熊本市民病院等 ) 益城町役場避難者支援チーム 御船保健所 菊池保健所 宇城保健所 阿蘇地域災害保健医療復興連絡会議 (ADRO) 阿蘇医療センター 阿蘇保健所 益城町医療救護調整本部 ( 益城町保健福祉センター内 ) 11
熊本県災害対策本部熊本地震時 12
熊本県 DMAT 調整本部 ( 県庁 10 階 ) 13 DMAT 活動拠点本部
熊本県災害対策本部 ( 県庁防災センター ) 14
医療救護調整本部 (DMAT 調整本部から移行 ) テレビ会議システムの活用 コーディネーター連絡会議 ( 県庁 8 階 ) 15
医療救護調整本部 ( 県災害医療コーディネータの活躍 ) 16 蒲島知事へ活動終了報告
医療救護調整本部 ( ロジの活躍 ) 患者情報等の収集 分析 医療チームの調整 関連情報を掲示 クロノロの作成 17
18 熊本地震前に熊本県が行ってきたこと 熊本県災害医療コーディネーターの養成 コーディネーターは 災害医療政策への助言や医療チームの派遣調整などを行う 災害派遣医療チーム (DMAT) の養成 トリアーシ 緊急治療の他 ヘリコフ ター 救急車等による患者搬送 被災地域内病院に 対する急性期医療支援など 災害発生時の初動対応を担う DMAT(Disaster Medical Assistance Team) とは 災害の発生直後の急性期 ( 概ね 48 時間以内 ) に活動できる機動性を持った専門的な災害派遣医療チーム 1 隊の構成は 医師 1 名 看護師 2 名 業務調整員 1 名の 4 名を基本 〇災害拠点病院 (14 病院 ) の整備 関係団体との協定締結 県医師会 県歯科医師会 県看護協会等と協定を締結し 日本医師会災害医療チーム (JMAT) 災害支援ナース等の派遣など
19 熊本地震後に県が行ったこと 熊本地震時の初動対応を検証し 以下の取組みを実施 熊本県災害医療コーディネーターの増員 15 名 20 名 地域災害医療コーディネーターの選定 地域における災害医療対策への助言や医療チームの配置調整等を行う 地域災害医療コーディネーター について 各地域の災害拠点病院等の医師から各 2~5 名 計 28 名選定 情報連絡体制の再構築 各地域の保健所が 管内病院を対象にEMIS( 広域災害 救急医療情報システム ) の操作研修を実施 災害拠点病院等を対象に 月 1 回 衛星電話伝達訓練を実施 災害時医療救護マニュアルの策定 医療従事者及び行政職員が共有する標準的な医療救護活動のマニュアルを新たに策定
熊本県災害医療コーディネーターとは 定義 大規模災害 ( ) 発生時に 県の要請に応じ県庁内の県災害対策本部に出務し 災害状況に応じた適切な医療体制が構築されるよう県に対し助言を行う者 ( ) 大規模災害とは 県の災害対策本部 ( 知事が本部長 ) が設置される規模の災害のこと 県は 県内で震度 6 弱以上の地震を観測した場合 又は 県下に相当規模以上の災害が発生し あるいは発生する恐れのある場合 災害対策本部を設置し 非常配備体制を敷くこととしている 業務内容 熊本県災害医療コーディネーター 災害状況に応じた適切な医療体制が構築されるよう助言 1 県が行う災害医療対策に対する医療の専門的見地からの助言 ( 平時から ) 2 被災地等における医療ニーズの把握及び分析 3DMAT の派遣要否の検討 県が行う DMAT 派遣要請の助言 4 災害急性期における傷病者の受入医療機関の調整 5 被災地等への医療救護班等の派遣調整 6 県外からの DMAT 医療チーム等の受入調整 7 その他知事が必要と認めた事項 熊本地震前 :15 名 熊本地震後 :20 名 ( 現在 1 名辞退して19 名 ) 名簿 氏名 井清司 入江弘基 大塚尚実 岡野雄一 岡村直樹 小川克大 奥本克己 笠岡俊志 北田真己 桑原謙 下川恭弘 林田和之 原田正公 細川浩 前原潤一 松園幸雅 安岡寛理 山城重雄 吉岡明子 敬称略 並びは氏名の五十音順 所属 熊本県赤十字血液センター 熊本整形外科病院 熊本赤十字病院 熊本赤十字病院 熊本赤十字病院 済生会熊本病院 熊本赤十字病院 熊本大学医学部附属病院 熊本医療センター 熊本赤十字病院 人吉医療センター 熊本赤十字病院 熊本医療センター 熊本赤十字病院 済生会熊本病院 荒尾市民病院 公立玉名中央病院 済生会熊本病院 山鹿市民医療センター 20
地域における災害医療コーディネート機能の強化 21 県災害医療 コーディネーター 発災直後の超急性期から移行期まで県庁に出務し 県全体の災害医療体制の統括 調整に関し活動 DMAT 撤収後医師会等の医療チームが活動する急性期以降において県庁に出務し 県全体の災害医療体制の統括 調整に関し活動 熊本地震後に増員 (15 名 20 名 ) 全員統括 DMAT 情報共有支援要請 応諾 地域災害医療 コーディネーター 発災直後の超急性期から移行期まで保健所等に出務し 当該保健所管轄区域内の医療救護活動の統括 調整に関し活動 DMAT 撤収後医師会等の医療チームが活動する急性期以降において保健所等に参集し 当該保健所管轄区域内の医療救護活動の統括 調整に関し活動 新たに 28 名 ( 災害拠点病院 医師会等の医師 ) を選定
災害医療コーディネート研修 訓練 ( 平成 29 年度 ) 熊本県災害医療コーディネート研修 ( 平成 29 年 10 月 7 日 ) < 受講者 > 計 37 人 県災害医療コーディネーター 4 人 県南地域の地域災害医療コーディネーター 9 人 災害時小児周産期リエゾン 2 人 保健所長 8 人 県南地域の業務調整員 14 人 ( うち保健所職員 6 人 病院職員 8 人 ) 地域災害医療コーディネート研修 ( 平成 30 年 3 月 3 日 ) < 受講者 > 計 46 人 地域災害医療コーディネーター 19 人 業務調整員 27 人 ( うち保健所職員 11 人 病院職員 16 人 ) 県災害医療コーディネーター 9 人が講師として協力参加 平成 29 年 10 月 8 日 ( 日 ) 熊本日日新聞朝刊 8 面 22
広域災害救急医療情報システム (EMIS) Emergency Medical Information System 熊本地震での活用 特に発災直後の急性期において 医療機関の被災状況 ( ライフライン状況 受入患者情報等 ) を把握することにより DMAT 等の外部支援チーム投入の判断等に活用 関係機関相互で DMATの活動状況や災害対策本部 (DMAT 調整本部 ) の指揮命令系統 その他災害関係情報を共有 しかし 様々な課題が発生 システム未登録の医療機関があり ベースとなる情報の代理入力事務が多数生じた ( 登録率 50%) 二次医療機関におけるシステム操作方法の未習熟等により システムを有効活用できなかった 県職員 ( 医療政策課 ) が電話 ファックス等で情報収集を行う 人海戦術 により情報不足を補う必要が生じた 23
広域災害救急医療情報システム (EMIS) 活用の促進 平成 28 年度末までに 県内全病院の EMIS 登録が完了 全ての保健所において 管内医療機関を対象に EMIS 入力研修 訓練を実施 平成 29 年度参加数 : 県内 213 病院のうち 191 病院 (89.7%) 阿蘇保健所での EMIS 入力研修の様子 阿蘇圏域災害保健医療従事者研修の様子 24
熊本地震後の災害医療提供体制図 25
26 1 熊本地震の概ね 3 カ月間の対応に関する検証報告書 2 熊本地震の発災 4 か月以降の復旧 復興の取組に関する検証報告書 3 熊本県災害時医療救護マニュアル 熊本県のオフィシャル HP に掲載しています 検索コーナーから 熊本地震報告書 医療救護マニュアル で検索ください