第1章

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第 Ⅱ ゾーンの地区計画にはこんな特徴があります 建築基準法のみによる一般的な建替えの場合 斜線制限により または 1.5 容積率の制限により 利用できない容積率 道路広い道路狭い道路 街並み誘導型地区計画による建替えのルール 容積率の最高限度が緩和されます 定住性の高い住宅等を設ける

一団地認定の職権取消し手続きの明確化について < 参考 > 建築基準法第 86 条 ( 一団地認定 ) の実績件数 2,200 ( 件 ) 年度別 ( 住宅系のみ ) S29 年度 ~H26 年度 実績件数合計 16,250 件 用途 合計 ( 件 ) 全体 17,764 住宅系用途 16,250

1 目的 建築基準法第 68 条の 5 の 5 第 1 項及び第 2 項に基づく認定に関する基準 ( 月島地区 ) 平成 26 年 6 月 9 日 26 中都建第 115 号 建築基準法 ( 昭和 25 年法律第 201 号 以下 法 という ) 第 68 条の 5 の 5 第 1 項 及び第 2

Microsoft Word - ●決定⑤地区計画-2.docx

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世田谷区

本日の説明内容 1 板橋駅西口周辺地区のまちづくり 2 板橋駅西口地区都市計画素案について 1 市街地再開発事業 2 地区計画 3 高度利用地区 4 高度地区 3 今後のスケジュール 1

名前 第 1 日目 建築基準法 2 用途規制 1. 建築物の敷地が工業地域と工業専用地域にわたる場合において 当該敷地の過半が工業地域内であると きは 共同住宅を建築することができる 2. 第一種低層住居専用地域内においては 高等学校を建築することができるが 高等専門学校を建築する ことはできない

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(2) 路地街区 ア路地街区の内部で 防火性の向上と居住環境の改善を図るため 地区施設等に沿った建築物の高さの最高限度及び壁面の位置の制限を定めることにより 道路斜線制限を緩和し 3 階建て耐火建築物の連続した街並みを形成する イ行き止まりの路地空間では 安全性の確保のため 2 方向の避難を目的とし

計画的な再開発が必要な市街地 特に一体的かつ総合的に再開発を促進すべき地区 市町名 名称 再開発の目標 土地の合理的かつ健全な高度利用及び都市機能の更新に関する方針 特に整備課題の集中がみられる地域 ( 課題地域 ) 地区名 西宮市 C-4 浜脇 ( 約 175ha) 居住環境の向上 良好な都市景観

第 3 号様式 ( 第 3 条関係 ) 不燃化推進特定整備地区整備プログラム 品川区 豊町 丁目 二葉 3 4 丁目及び西大井 6 丁目地区 平成 25 年 11 月第 1 回変更認定平成 27 年 10 月第 2 回変更認定平成 29 年 3 月 品川区

第2章

大谷周辺地区 及び 役場周辺地区 地区計画について 木原市街地 国道 125 号バイパス 役場周辺地区 (43.7ha) 美駒市街地 大谷周辺地区 (11.8ha) 地区計画の概要 地区計画とは住民の身近な生活空間である地区や街区を対象とする都市計画で, 道路や公園などの公共施設の配置や, 建築物の

別記様式第4

Microsoft Word - 法第43条第2項第2号許可基準

Taro-03_H3009_ただし書同意基準

山手地区の概要 面積 約50ha 用途地域 工業地域 建ぺい率 60 容積率 200 高さの限度 第一種高度地区 最高限20m 2

指定標準 適用区域 建ぺい率 容積率 建築物の高さの最高限度 m 用途地域の変更に あたり導入を検討 すべき事項 ( 注 2) 1. 環境良好な一般的な低層住宅地として将来ともその環境を保護すべき区域 2. 農地等が多く 道路等の都市基盤が未整備な区域及び良好な樹林地等の保全を図る区域 3. 地区計

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( 対象区域 ) 第 5 地区計画の対象区域は 工業団地 ( 国母工業団地 南部工業団地 機械金属工業団地 ファッション工業団地 ( アリア ディ フィレンツェ ) をいう 以下同じ ) の区域内及び隣接地又は近接地 ( おおむね工業団地から500メートル以内 ) とする ( 区域の設定 ) 第 6

国土技術政策総合研究所 研究資料

東京都市計画第一種市街地再開発事業前八重洲一丁目東地区第一種市街地再開発事業位置図 東京停車場線 W W 江戸橋 JCT 日本橋茅場町 都 道 一石橋 5.0 特別区道中日第 号線 江戸橋 15.

はじめに 都市再生緊急整備地域及び特定都市再生緊急整備地域は 都市再生特別措置法 ( 平成 14 年 4 月 5 日公布 平成 14 年 6 月 1 日施行 以下 法 という ) に基づき 国が政令で指定するものです 1 都市再生緊急整備地域 趣旨 都市機能の高度化及び都市の居住環境の向上を図るため

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第18期火災予防審議会地震対策部会

建築基準法第 43 条第 2 項第 2 号の規定による許可の基準 ( 包括同意基準 ) 平成 30 年 9 月 28 日 加古川市都市計画部建築指導課

区域の整備 開発及び保全に関する方針 江戸川一丁目地区地区計画 計画書 計画決定 H 江戸川区告示第 433 号 計画変更 H 江戸川区告示第 27 号 計画変更 H 江戸川区告示第 482 号 名称江戸川一丁目地区地区計画 位置 江戸川区江戸川一丁目 江戸

日本橋・東京駅前地区

区域の整備 開発及び保全の方針地区整備計画 久世荒内 寺田塚本地区地区計画 名称久世荒内 寺田塚本地区地区計画 位置城陽市久世荒内 寺田塚本及び平川広田 面積約 22.1ha 建 築 物 等 に 関 す る 事 項 地区計画の目標 土地利用の方針 地区施設の整備方針 建築物等の整備方針 地区の区分

全体構成 1. 市街地再開発事業に着手するまでの進め方 2. 市街地再開発事業とは 3. 事例紹介 質疑応答

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区域の整備 開発及び保全に関する方針 地区施設の整備の方針 建築物等の整備の方針 (1) 道路の整備方針区域内外との円滑な交通ネットワークの形成と歩行者等の安全で快適な歩行環境の向上を図るため 街区幹線道路及び区画道路を整備する 生活利便施設や良質な街並みを形成する住宅等の立地を誘導し 地域拠点にふ

建築基準法第 86 条第 1 項 第 2 項の規定に基づく一団地の総合的設計制度及び連担建築物設計制度等の運用について 建築基準法第 86 条第 1 項 第 2 項及び法第 86 条の2 第 1 項の規定に基づく認定の運用は 平成 11 年 4 月 28 日付け建設省住街発第 48 号局長通達による

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Microsoft Word - (新)滝川都市計画用途地域指定基準121019

目次 ( )

本町二・四・五・六丁目地区の地区計画に関する意見交換会

大阪市再開発地区計画にかかる

仙台市市街地再開発事業補助金交付要綱取扱い基準 ( 平成 27 年 3 月 30 日都市整備局長決裁 ) 目次 序章 1 はじめに 2 基準の位置づけ 第一章補助採択の方針 1 補助採択に対する市の基本的な考え方 第二章補助対象となる事業 1 市街地再開発事業の要件 2 本市施策との整合 3 事業効

板橋区

1 総合設計 一定規模以上の敷地面積及び一定割合以上の空地を有する建築計画について 特定行政 庁の許可により容積率 斜線制限などの制限を緩和する制度である 建築敷地の共同化や 大規模化による土地の有効かつ合理的な利用の促進と 公開空地等公共的な空地 空間の 確保による市街地環境の改善を図ることを目的

表1-表4-2

作成を行う再開発準備組織および当該基本計画等の作成のうちコーディネート業務を行う T M C エまちなみデザイン推進事業の施行に関し, 良好なまちなみ形成方策等に係る検討を行う協議会組織 ( 補助の対象等 ) 第 3 条市長は, 市街地再開発事業等の施行者に対し予算の範囲内において, 次の各号に掲げ

目次 Ⅰ 運用基準の策定にあたって P1 1 策定の目的 P1 2 運用基準の位置づけ P1 Ⅱ Ⅲ 土地利用のあり方 P1 地区計画の活用 P2 1 地区計画とは P2 2 地区計画の活用類型 P2 (a) 地域資源型 P3 (b) マスタープラン適合型 P3 (c) 街区環境整序型 P3 (d)

1.UR 都市機構における再開発共同事業者エントリー制度の概要 1 参考資料 1

⑴ 政策目的 市街地再開発事業の推進により 土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新を図るとともに コンパクトシティの推進及び密集市街地の解消を図る 新設 拡充又は延長を必要とする理由 ⑵ 施策の必要性 以下の施策の推進のため 本措置の延長により 民間事業者による早期かつ着実な保留床の取得を促

予定建築物等以外の建築等の制限 法 42 条 立地基準編第 5 章 (P127~P131) 法第 42 条で規定されている 予定建築物等以外の建築等の制限 については 次のとおりとする 1 趣旨開発許可処分は 将来その開発区域に建築又は建設される建築物又は特定工作物がそれぞれの許可基準に適合する場合

都市計画図 平河町二丁目東部地区(PDF)

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区域の整備 開発及び保全に関する方針地区施設の整備の方針建築物等の整備の方針 (2) 公園 緑地の整備方針地域に親しまれる やすらぎと憩いの空間を形成するとともに 西武立川駅から玉川上水に向けて形成される緑のネットワークの拠点となるよう公園や緑地を配置する (3) その他の公共空地の整備方針各敷地の

調布都市計画深大寺通り沿道観光関連産業保護育成地区の概要

別紙 40 東京都市計画高度地区の変更 都市計画高度地区を次のように変更する 面積欄の ( ) 内は変更前を示す 種類面積建築物の高さの最高限度又は最低限度備考 第 1 種 約 ha 建築物の各部分の高さ ( 地盤面からの高さによる 以下同じ ) は 当該部分から前面道路の反対側の境界線 高度地区

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筑豊広域都市計画用途地域の変更 ( 鞍手町決定 ) 都市計画用途地域を次のように変更する 種類 第一種低層住居専用地域 第二種低層住居専用地域 第一種中高層住居専用地域第二種中高層住居専用地域 面積 約 45ha 約 29ha 建築物の容積率 8/10 以下 8/10 以下 建築物の建蔽率 5/10

別紙 1 国都計第 号平成 28 年 6 月 13 日 各都道府県知事各指定都市の長殿 国土交通省都市局長 ( 公印省略 ) 宿泊施設の整備に着目した容積率緩和制度の創設について 訪日外国人旅行者数 2,000 万人の目標達成が視野に入ってきたことを踏まえ 本年 3 月 30 日に 明日

地区計画とは 地区計画とは 土地や建築物の所有者など地区の皆さんが合意を図りながら道路や公園などの配置 建築物の用途 容積率 高さ 色やデザイン等のルールをきめ細かく定め そのルールに基づいて建築行為等を行うことにより より良いまちづくりをすすめる手法のひとつです 地区の特性に応じて必要な項目を選択

平井二丁目付近地区地区計画の概要 平井二丁目付近地区地区計画の概要をお示しします 詳しくは 同封の 平井二丁目付近 地区計画書 計画図 をご確認ください 地区計画の区域地区計画の対象区域は 下図のとおりです 平井二丁目付近地区 ( 約 28.6ha) 江戸川区平井一丁目 平井二丁目及び 小松川三丁目

計画書

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数値目標 平成 29 年 オープンカフェ新規参加店舗数 58 店 6 店 6 店 オリオン市民広場集客数 1,500 人 3,000 人 3,000 人 センターコア歩行者 自転車通行量 ( 平日 ) 1,700 人 1,700 人 1,700 人 5 地域再生を図るために行う事業 5-1 全体の概

区域の整備 開発及び保全に関する方針土地利用の方針 地区施設の整備の方針 地区の立地特性を踏まえ 土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新を図るため 土地利用の方針を以下に定める 1 国際化に対応した業務 商業 宿泊等の多様な機能に加え 氷川神社と連携した江戸文化や赤坂地域の魅力を伝える歴史

金沢都市計画地区計画の変更

環状第二号線沿道新橋地区街並み再生地区及び街並み再生方針について

Microsoft Word - 別添資料

区域の整備 開発及び保全に関する方針公共施設等の整備の方針 建築物等の整備の方針 1 道路の整備方針 (1) 地区周辺の交通円滑化に資する道路ネットワークの形成及び 東西の主要な道路軸の形成を図るため 地区幹線道路を拡幅整備する (2) 開発に伴い発生する交通を円滑に処理するとともに 新駅整備に伴う

神宮外苑地区計画

都市計画図 外神田二・三丁目地区(PDF)

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柏駅西口北地区まちづくり

(4) 対象区域 基本方針の対象区域は市街化調整区域全体とし 都市計画マスタープランにおいて田園都市ゾーン及び公園 緑地ゾーンとして位置付けられている区域を基本とします 対象区域図 市街化調整区域 2 資料 : 八潮市都市計画マスタープラン 土地利用方針図

立川市絶対高さを定める高度地区指定に関する検討方針 平成 26 年 5 月 立川市 0

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地区計画パンフレットP.1

地区整備計画書地区整備計画建築物等に関する事項地区の区分 地区の名称地区の面積 建築物等の用途の制限 建築物の敷地面積の最低限度 建築物の延べ床面積の敷地面積に対する割合の最高限度建築物の建築面積の敷地面積に対する割合の最高限度 壁面の位置の制限 独立住宅地区 A 約 21.9 ha (1) 長屋

都市計画変更素案に関する説明会 建築規制の変更に関する説明会 特定整備路線補助 29 号線 井 東 込区間 (JR 横須賀線 区界 ) 沿道 日時 : 平成 29 年 8 3 ( ) 場所 : 品川区 伊藤 学校 前方右側に手話通訳者を配置しております 必要な方はお近くの席にお移り願います 1 本日

区分後退距離要件説明要件道路側隣側 B B 保存樹木 文化財等 角 建て替え 都市の美観風致を維持するための樹木の保存に関する法律 ( 昭和 37 年法律第 142 号 ) により指定された保存樹木又はこれに準ずる樹木の保全のために これらの存する土の部分を避けて建築する場合 文化財保護法 ( 昭和

1 整備目標 方針 地名 位置 地の現況 課題 羽田二 三 六丁目地 ( 大田 ) 東京都大田羽田二丁目 三丁目 六丁目 現状 独立住宅を中心に 集合住宅や併用住宅も含めた住居系の土地利用がほとんどを占めている 幅員 4m 未満の道路が大半を占めており 幅員 2.7m 未満の道路も多くなっている ま

葛飾区

1 整備目標 方針 地区名大井五 七丁目 西大井二 三 四丁目地区位置東京都品川区大井五 七丁目 西大井二 三 四丁目の全域地区の現況 課題 現状 当地区は 品川区の南に位置しており 北側に滝王子通り 東側に補助 28 号線 ( 池上通り ) 西側にJR 東海道新幹線及びJR 横須賀線 南側に大田区

国土技術政策総合研究所 研究資料

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地区区分とまちづくり方針 D

目 次 1 基本方針 再開発を促進すべき地区等の整備又は開発の方針... 2 別表再開発促進地区の整備又は計画の概要... 3 都市再開発方針図 ( 総括図 )... 6 都市再開発方針附図

(★ 方針・基準)

新曽中央地区 地区まちづくり協定 & 地区計画 ~ 水に親しみ緑あふれる 歩いて楽しいまち ~ の実現に向けて 新曽中央地区 このパンフレットについて 戸田市は 新曽中央地区のまちづくりを推進するため 新曽中央東部 西部地区まちづくり協議会との協働による検討を進め 平成 24 年 3 月に 戸田市都


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市街地再開発事業による社会的便益の分析

Microsoft Word - 岡崎駅南リーフレット案【最終】

多摩都市計画地区計画の決定(多摩市決定)

(古賀市)都市計画関係法による建築などの許可又は承認の申請の手続きに関する要綱

江戸川五丁目付近地区 地区計画(素案)説明会

都市計画図 飯田橋駅西口地区(PDF)

Transcription:

第 5 章 事業化方策の検討 5-1 地域活性化手法の検討 地域の活性化に向けては 3-2 地区の整備課題 で検討した通り 以下の 5 点の課題に対し 同 時に対応していくことが求められる 1 周辺開発との関係性や連携を考慮したまちづくり 2 憩える空間づくりや歩行者の快適な回遊性の向上 3 商業機能を中心とした地区の活性化 4 防災上の問題の解消 5 建替えの問題に対応 以上の点を踏まえると 対象地区の整備にあたっては ある程度 面的に整備を行う手法 の選定が理想的であるが その他 整備課題を部分的に解決していく手法として 大規模な整備を伴わない まちの空間の質を向上させるためにまちなみの整備を図る手法 まちの回遊性やにぎわいをつくるためのソフトな取り組み なども考えられ それらの手法を適切に組み合わせていくことが考えられる これまでの検討を踏まえ 地区の課題解決 機能導入などの手法について整理する 5-1

地域活性化手法の検討 目的具体的な手法例利点課題 面的整備 (5-2 参照 ) まちなみづくり (7-1 参照 ) 商業振興 ( ハード事業 ) (7-2 参照 ) 土地区画整理事業 市街地再開発事業 防災街区整備事業 その他任意事業として 優良建築物等整備事業 連担建築物設計制度 などを組み合わせることにより 地権者の意向や地域の実状に併せた手法を検討ことも考えられる ( 参考 1 2 参照 ) 大阪市 HOPE ゾーン事業 特定範囲の総合的整備手法 ( 地区計画等 ) 商店街まちづくり事業 ( 補助金 ) ( 中小企業庁 ) 一般的に 従前地権者の残留希望に対応することができる 区画道路などの生活道路整備なども同時に行うことが可能 市街地再開発事業 防災街区整備事業では さらに建物整備を一体的に行うことができ 地区の整備課題を総合的に解消することができる 複雑な権利関係を解消することが可能 一般的に都市計画事業として実施することができるため 地権者の全員同意は必要とならない 市民と連携 協働して 様々なまちづくり活動を展開しながら それぞれのまちの特性を活かしたまちなみづくりを進め 魅力ある居住地づくりを進めることができる テーマやコンセプトを定め それに基づく取り組みを展開することができる 接道条件など基盤整備を伴わずに行うことも可能である 市街地形成の状況に応じて様々な内容を定めることができる < 建築協定の場合 > 建築物の敷地規模 位置 構造 用途 形態 意匠または建築設備に関することであれば原則として何でも定めることができる ( 例えば 建築物の壁面の位置や 道路に面する外壁 材料 色彩等 ) < 地区計画の場合 > 建築物等の容積率の最高限度 敷地面積の最低限度 壁面の位置 建築物等の高さ 建築物の構造 後退部分の工作物の制限などを定めることができる 最低敷地面積 壁面の位置 建築物等の高さ 壁面後退部分の工作物の制限を定めることで 道路斜線制限 前面道路幅員による容積率制限を緩和することができる ( 街並み誘導型地区計画 ) 商店街振興組合 事業協同組合等において組織される法人格を持った商店街組織として一定の要件を満たせば補助金が得られる 安心 安全 歩行者通行量の改善等を目指す事業であり 回遊性の向上やにぎわいづくりの取組みとして 課題解消につながる 例 ) 街路灯の LED 化 防犯カメラの設置 アーケードの撤去 改修 子育て支援施設などによる空き店舗の活用など ソフト事業に比べ 事業費が多額となり 市の負担額 ( 補助金 ) も大きくなる 整備までに 地元との検討 協議なども含め長期間の時間を要する 上物整備が必ずしも地域の活性化に結びつくとは限らない 都市計画事業としての位置づけが必要となる 本地区では接道条件などが満たさない敷地があるため 大規模改修にかかる場合などにおいて 一定の段階で何らかのハード整備が必要となる 地元組織を組織する必要がある 防災性能を向上させる整備でなく 建物本体が更新されるわけではないので 防災上の問題が解消されない ( 課題 ) 本地区では接道条件などが満たさない敷地があるため ルールに基づく建物更新を行うためには 一定の段階で何らかのハード整備が必要となる 地元組織を形成する必要がある 任意のルールの場合 更新が進まず 防災上の問題の解消されない面がある ( 課題 ) 事業計画の申請とその採択が必要となる 事業費の 3 分の 1 は地元商店街等が負担する必要あり 防災上の課題や建替えの問題などの解消には直接つながっていかない 商業振興 ( ソフト事業 ) (7-3 7-4 参照 ) 地域商店街活性化事業 ( 補助金 ) ( 経済産業省 ) その他任意事業 ( まちなかバル 商店街などでの体験 食育などテーマ性のあるまち歩きイベントなど ) 消費喚起に向けたイベント事業などに対する補助事業で来街者と商店街がひとつになって盛り上げられる 例 ) 夏まつりなど来街者と商店街が一つになって盛り上がるイベントなど 商店街組織が存在しており 商店街として取り組む事業は実施できる素地はある 天王寺駅南側なども含め 商業集積があるため エリアとしての展開が可能 回遊性の向上やにぎわいづくりの取組みとして 短期的な実施が比較的可能 ( 平成 25 年度に実施経験あり ) 限度額あり ( 上限 400 万円 ( 単独 ~4 商店街組織 ) 800 万円 (5~9 商店街組織 ) 1,200 万円 (10 商店街組織以上 ) 下限 30 万円 ) 事業申請とその採択が必要となる 防災上の課題や建替えの問題などの解消には直接つながっていかない 防災上の課題や建替えの問題などの解消には直接つながっていかない 5-2

5-2 面的整備方策の例 地域課題を解消していくために望ましい必要な手法として 面的整備方策を以下に整理する 概要 土地区画整理事業市街地再開発事業 ( 第 1 種 ) 防災街区整備事業 道路 公園 河川等の公共施設を整備 改善し 土地の区画を整え宅地の利用の増進を図る事業 公共施設が不十分な区域では 地権者からその権利に応じて少しずつ土地を提供してもらい ( 減歩 ) この土地を道路 公園などの公共用地が増える分に充てる他 その一部を売却し事業資金の一部に充てる事業制度 市街地内の老朽木造建築物が密集している地区等において 細分化された敷地の統合 不燃化された共同建築物の建築 公園 広場 街路等の公共施設の整備等を行うことにより 都市における土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新を図る事業 権利変換手続きにより 従前建物 土地所有者等の権利を再開発ビルの床に関する権利に原則として等価で変換する 建築物への権利変換による土地 建物の共同化を基本としつつ 100 m2以上の宅地については例外的に個別の土地への権利変換を認める柔軟かつ強力な事業手法を用いながら 老朽化した建築物を除却し 防災性能を備えた建築物及び公共施設の整備を行う事業 根拠法 土地区画整理法 都市再開発法 密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律 施行者 個人 土地区画整理組合 農住組合 区画整理会社 防災街区整備組合 地方公共団体 個人 市街地再開発組合 再開発会社 地方公共団体 独立行政法人都市再生機構 地方住宅供給公社 個人 防災街区整備事業組合 事業会社 地方公共団体 独立行政法人都市再生機構 地方住宅供給公社 独立行政法人都市再生機構 地方住宅供給公社 事業手法 換地 権利変換 権利変換 地区要件 補助要件 < 道路整備特別会計補助事業 > 本地区には都市計画道路がないため該当せず ( 公共団体等 ) 5ha( 既成市街地 2ha) 以上 街路事業に該当する都市計画道路の新築等を含む 補助基本額が 3 億円以上 ( 組合等 ) 都市計画事業 10ha( 既成市街地 2ha) 以上 街路事業に該当する都市計画道路の新築等を含む 補助基本額が 3 億円以上 施行後公共用地率 25% 以上 20ha 未満では用地買収方式事業費が全体事業費の 1/3 以上 < 都市再生土地区画整理事業 ( 一般会計補助事業 )> ( 面積要件 ) 指定容積率 /100% 面積 2.0ha ( 一般地区 ) DID 区域内又は隣接 公共用地率 15% 未満 都市計画の位置付け ( 重点地区 ) 安全市街地形成重点地区 防災公園 市街地一帯整備事業の区域内等 街なか再生重点地区 S55DID 区域内 近隣商業 商業地域 中活計画の位置付け 高度利用地区 都市再生特別地区又は特定地区計画等区域内 耐火建築物等が 1/3 以下 公共施設未整備 敷地細分化等 都市機能の更新に寄与 ( 社会資本整備総合交付金 ) 都市計画決定済 国の関与が政策上位置付 区域面積原則 1.0ha 以上 (0.5ha 0.2ha の緩和措置あり ) 建築物の共用通行部分 ( 交付対象 ) が基準に適合 ( 市街地再開発等事業費 ) 組合 / 会社施行 0.5ha 以上 個人施行 0.1ha 以上他 特定防災街区整備地区又は防災街区整備地区計画区域内 耐火建築物等が 1/3 以下 規定に適合しない建築物 1/2 以上 公共施設未整備 敷地細分化等 特定防災機能の効果的な確保に貢献 ( 住宅市街地総合整備事業の整備地区内 ) 全て ( 住宅市街地総合整備事業の整備地区外 ) 防災都市施設の整備を伴う 組合/ 会社施行 0.5ha 以上 個人施行 0.1ha 以上他 5-3

補助率 ( 国費 ) メリット 課題 他事業との組み合わせの可能性 土地区画整理事業市街地再開発事業 ( 第 1 種 ) 防災街区整備事業 < 道路整備特別会計補助事業 > 本地区には都市計画道路がないため該当せず 1/2 < 都市再生土地区画整理事業 ( 一般会計補助事業 )> 都市計画道路 1/2 一般地区 1/3 重点地区 1/2 換地手法を用いて 私道を集約し まとまった生活道路としての整備ができる可能性がある 区画道路整備の際の 狭小な残地や不整形な残地の発生を抑制できる 区画街路の整備に要する費用について 道路整備特別会計の補助や 都市再生土地区画整理事業の補助 ( 一般会計補助 ) が活用できる 周辺で代替地になる事業用種地を取得できないと 残留希望者が多い場合 その要望に応えられない可能性がある 残留を希望する借家人の要望に応える法的な枠組みがない 事業後の沿道敷地が細分化されたままとなる可能性が高く 新たな都市機能の導入が難しい可能性がある ( 上物整備は別となるため 必ずしも土地の有効活用に結びつくものとなるとは限らない また 土地の高度利用が図られないケースが多くなる ) 地区内には公共施設( 市道等 ) が少ないため 道路の付け替え等を目的とする敷地整序型区画整理事業の適用はそぐわない 道路整備特別会計の補助を受けるためには 既成市街地では区域面積 2ha 以上等の条件がつくうえ 都市計画道路の存在が必要 ( 本地区には適用できない ) 都市再生土地区画整理事業( 一般会計補助 ) の活用にあたっては 施行前の公共用地率 15% 未満等の条件をクリアするか ( 一般地区 ) 公共中活計画等による地区の位置づけ等が必要になる ( 重点地区 ) 沿道敷地において 地権者の全員合意のもとで 優良建築物等整備事業により 敷地の共同化や建物の共同化 協調化等を図ることが可能である 市街地再開発事業との一体的施行により 権利変換により施設建築物へ入居するか 宅地へ換地するかのどちらかを選択できる ただし 再開発事業に参加できるのは市街地再開発事業区に換地を受けた権利者に限定される 都市計画道路 1/2 市街地再開発事業 1/3 建築敷地の整備と公共施設 ( 区画道路等 ) の整備を一体的に整備することが可能 権利者が再開発ビルの床を取得し 営業や居住を継続できる 敷地の共同化と高度利用の実現により 新たな都市機能の導入が可能となる 残留を希望する借家人の要望に応えることが可能 再開発ビルの建設を伴うため 事業費が大きくなる 最終的に保留床を処分する必要があり 万一の場合に売却できないという事業リスクを伴う 戸建てを希望する権利者に対応できない 手法適用にあたって 高度利用地区 都市再生特別地区又は特定地区計画等の指定が必要 土地区画整理事業との一体的施行を行うことで 権利変換により施設建築物へ入居するか 宅地へ換地するかのどちらかを選択できる ただし 再開発事業に参加できるのは市街地再開発事業区に換地を受けた権利者に限定される 都市計画道路 1/2 防災街区整備事業 1/3 建築敷地の整備と公共施設( 区画道路等 ) の整備を一体的に整備することが可能 ( 市街地再開発事業に同じ ) 権利者が防災施設建築物の床や 個別利用区の土地を取得し 営業や居住を継続できる 敷地の共同利用により 新たな都市機能の導入が可能となる 個別利用区の設定により 戸建てを希望する権利者にも土地の権利変換が可能 残留を希望する借家人の要望に応えることが可能 防災施設建築物の建設を伴うため 事業費が大きくなる 最終的に保留床を処分する必要があり 万一の場合に売却できないという事業リスクを伴う 手法適用にあたって 特定防災街区整備地区又は防災街区整備地区計画の指定が必要となり 本地区における施行が本来の事業目的に合致するか 事業の必要性と効果 周辺都市計画との整合性等が強く求められることになる 既に市街地再開発事業と土地区画整理事業の両事業のメリットを兼ね合わせたような事業であるため 他事業手法を組み合わせることでの事業効果は少ない 5-4

参考1 その他の整備手法 優良建築物等整備事業 出典 国土交通省ホームページ 5-5

参考 2 その他の整備手法 ( 連担建築物設計制度 )( 出典 : 街並み vol.13 連担建築物設計制度を活用した密集市街地の整備 連担建築物設計制度 ( 連担制度 ) の概要 大阪 法善寺横丁 の整備では 連担建築物設計制度 ( 連担制度 ) を活用している 以下にその概 要を示す 連担建築物設計制度 ( 連担制度 ) は 建築基準法第 86 条第 2 項に位置づけられている 狭小な敷地が多く基盤が必ずしも十分に整っていない市街地では 各敷地ごとの規制のみでは 市街地の環境を維持 向上しつつ土地を有効利用することが困難であることから 複数敷地を包含するまとまった土地で合理的な建築行為を可能とすることで 設計の自由度を拡大しつつ 土地の有効利用と市街地の環境の維持 向上の両立を図ることを目的として創設された制度である 大阪市法善寺横丁の事例道頓堀の旧 中座 の火災で類焼した 法善寺横丁 ( 現在再建中 ) は 復旧に当たって 各方面から従来の街並みの再現を求める声が多く寄せられた そのため 大阪市は 現状の道路 敷地パターンを継承しながら街並みを再建することとし そのために連担制度を適用した 制度活用の概要対象区域は 通路に面するすべての建物の敷地を含んだ区域とした また 対象区域内の建築物は 容積率 240% 耐火建築物 3 階建て ( 高さ 10m) 以下とし 3 階の外壁は通路中心より 3.0m 以上後退させ 奥行き 0.9m 有効長さ 1.8m 以上の避難のためのバルコニー及び避難器具を設けた ( 図 -2 3 参照 ) 連担制度の適用に当たっては 当該時点以降も存続する既存建築物を含めて調整しながら新規建築物を計画 設計し 区域内の各建築物の位置及び構造について 特定行政庁が 安全上 防火上及び衛生上の視点から審査し 支障がないと認めるものについては 上記のルールが適用される その場合 区域内の土地所有者 借地権者の同意が ( 抵当権者の同意は必要ない ) 前提となる 密集市街地における連担制度活用のメリット密集市街地においては 狭小な敷地が多く 接道条件を満たすことが概して厳しいため 一敷地一建物ごとの建て替えが困難な場合が多い 連担制度を活用することにより こうした問題を解決しやすくなり 結果的に密集市街地での建替 更新や環境改善が促進される可能性がある 建築基準法第 42 条第 2 項道路の廃止法善寺横丁の骨格をなす道路は 建築基準法第 42 条第 2 項に規定される道路であり この道路をまたいでは連担制度の適用ができない ことから 従来の道路を一旦廃止して連担制度を適用し 幅員 2.7m の通路を確保した 連担制度は 敷地が連接し設計調整が行われた建築物が制度適用の対象であり 区域内に道路を含むことはできない 建築協定の締結法善寺横丁の風情 景観を残し 安全で安心なまちなみを再建するため 地元関係者の自発的総意に基づいた建築協定を締結することを連担制度の認定基準に追加した 複数の敷地 建物間で設計調整することにより 総合的な計画立案が可能になる 区域内に貫通通路を設けることにより避難の安全性が高まる 区域内の新規建物を準耐火 耐火構造 防火構造とすることにより 区域全体の防災性能が向上する 複数敷地を一敷地とみなして接道規定を適用することが可能であり 未接道宅地でも建替 更新が可能になる 容積率 建ぺい率の算定を区域全体で適用することが可能なため 敷地 建物間で柔軟な空間利用が可能となり また関係権利者間の合意形成が容易になる 北側斜線制限等の形態規制の合理化により 3 階建やそれ以上の建築も可能となる 5-6