* 材料物性工学概論などでも少しだけお話しましたが 今回は燃料電池材料です エネルギー 環境材料 2018 第 7 回燃料電池材料 数理物質科学研究科物性 分子工学専攻准教授鈴木義和 suzuki@ims.tsukuba.ac.jp すみれさん (2018 年度イメージキャラ ) Yoshikazu SUZUKI 1
スタートアップクイズ https://www.youtube.com/watch?v=hokbphvzvek Q1 ナレーターが冒頭で説明する必要航続距離は 約何マイルか? (1マイルは約 1.6km) Q2 TOYOTAが提示しているスペック上の航続距離は 約何 kmか? Q3 今回の市販用プロトタイプ車で 1 回の水素補給にかかる時間は何分程度か? Yoshikazu SUZUKI 2
エネルギー 環境材料 (7) 燃料電池材料 目 次 1. 燃料電池とは? 燃料電池の歴史燃料電池の分類と動作原理 2. 燃料電池の未来技術これからの燃料電池はどうなるか? 3. 燃料電池クイズ 4. どうなる 燃料電池? Yoshikazu SUZUKI 3
化学電池 一次電池 二次電池 電池の種類 マンガン乾電池アルカリマンガン乾電池酸化銀電池空気亜鉛電池リチウム電池 鉛蓄電池ニッケル - カドミウム電池ニッケル - 水素電池リチウムイオン電池リチウムポリマー電池 物理電池 燃料電池 熱電池光電池 ( 太陽電池 ) 原子力電池 アルカリ型燃料電池 (AFC) リン酸型燃料電池 (PAFC) 溶融炭酸塩型燃料電池 (MCFC) 固体酸化物型燃料電池 (SOFC) 固体高分子型燃料電池 (PEFC) *JIS では 形 の字を用いるが 型 を使う場合が多いので上記では型とした 生物電池 酸素電池 ( 生物燃料電池 ) 微生物電池生物太陽電池 Yoshikazu SUZUKI 参考 : 実力養成化学スクール燃料電池 ほか ( 丸善 ) 4
燃料電池とは 化学反応で生じるエネルギー ( 化学エネルギー ) を直接電気エネルギーに変換する装置であり 化学反応として燃料の酸化反応 ( 燃焼 ) を用いる 電池というよりは 火力発電 のイメージに近い 水素を燃料とする場合の例アノード : 酸化反応 H 2 2H + + 2e - カソード : 還元反応 1/2O 2 +2H + +2e - H 2 O ( トータルでは水素の燃焼反応 H 2 +1/2O 2 = H 2 O) 水素に接する電極 ( 負極 燃料極 アノード ) の電子は酸素に接する電極 ( 正極 空気極 カソード ) よりも高いエネルギーをもち 電極に負荷をつなげば 電子はエネルギーの高い負極から正極に流れ 燃焼反応のエネルギー ( 正確には自由エネルギー ) に相当する仕事をする 電池では 放電時に酸化反応が起こる電極がアノード還元反応が起こる電極がカソード 燃料電池では燃料極や空気極という呼び方が一般的 還元のカ くらいに覚えておくと楽 ギリシャ語の ά o oç (kathodos) ( 下り口 ) が語源 参考 : 燃料電池熱力学から学ぶ基礎と開発の実際技術 ほか Yoshikazu SUZUKI 5
燃料電池の歴史 高圧の水素と酸素を用いる燃料電池 出典 : 燃料電池熱力学から学ぶ基礎と開発の実際技術 Yoshikazu SUZUKI 6
燃料電池の歴史 燃料電池の歴史は意外と古い 1839 年 Sir William Robert Grove ( 英 ) が気体燃料を用いて電池が構成できることを提案 実証した ( 燃料電池の父 ) 英国の弁護士であり 判事であり 科学者! Father of fuel cell" 1960 年代ジェミニ宇宙船への搭載 ( 右図 高分子固体電解質型 ) など 宇宙開発を中心に開発が進められた PEFC in Gemini spaceship Yoshikazu SUZUKI 7
燃料電池の技術的メリット 化学エネルギーを直接 電気エネルギーに変換するため 原理的に変換効率が高い 通常の熱機関 ( 蒸気タービンを使う 発電システム ) では 熱の形で供給されるエネルギーをいったん タービンの運動エネルギーに変換して それをさらに電気エネルギーの形にする 熱機関の効率は 1-T 2 /T 1 を超えることができない ( カルノーの定理 ) T 1 : 給熱源の絶対温度 (input temperature) T 2 : 排熱源の絶対温度 (output temperature) 燃料電池は カルノーの定理の制約を受けない Nicolas Leonard Sadi Carnot 運転地で CO 2 が発生されない ( ただし 現状 水素を作るために CO 2 が発生するので 燃料電池が即 地球環境問題 ( 温室効果 ) を解決するというわけではないことに注意 地球環境 というよりは 都市環境 の改善 参考 : 燃料電池熱力学から学ぶ基礎と開発の実際技術 Yoshikazu SUZUKI 8
熱機関と燃料電池の総合効率 熱機関 heat engine 燃料電池 fuel cell この効率は 90% 以上! T 1 600 (873 K) T 2 30 (298 K) とすれば η=65% この効率は 90% 以上! 燃料 酸素 H 2 O 2 熱エネルギー -ΔH=285.8 kj/mol 機械エネルギー η<1-t 2 /T 1 電気エネルギー総効率 <0.65 実際は 0.4~0.5 程度 コジェネレーションでの廃熱利用もすすんでいるため 総エネルギー効率をさらに高くすることは可能 燃料 酸素 H 2 O 2 自由エネルギー変化 -ΔG=237.3 kj/mol 電気エネルギー総効率 <0.83 25 反応の全発熱量 (-ΔH =285.8 kj/mol) 中の自由エネルギー変化分 -ΔG=237.3 kj/mol のみが利用できる 237.3 285.8 x 100 参考 : 燃料電池熱力学から学ぶ基礎と開発の実際技術 Yoshikazu SUZUKI 9
燃料電池の分類 Yoshikazu SUZUKI 出典 : 燃料電池熱力学から学ぶ基礎と開発の実際技術 10
燃料電池の動作温度による理論効率の変化 注 :25 で生成する水が気体であるときの値 PEFC AFC, PAFC MCFC SOFC 原理的には 燃料電池は作動温度が低いほど効率が高い しかし 電極反応速度の点では 高温の方が特性が向上 出典 : 燃料電池熱力学から学ぶ基礎と開発の実際技術 Yoshikazu SUZUKI 11
燃料電池の起電力 ( 電圧 ) は? H 2 + 1/2O 2 H 2 O の場合 -ΔG=237.3 kj/mol (25 ) 標準起電力 E o = -ΔG o / nf = 237300 [J/mol] / (2 x 96500 [C/mol]) = 1.23 [J/C] = 1.23 [V] 標準状態 反応にかかわる電子数 ( この反応では 2) アノード : 酸化反応 H 2 2H + + 2e - カソード : 還元反応 1/2O 2 +2H + +2e - H 2 O 水素と酸素を用いた燃料電池の欠点のひとつが起電力の低さ (1.23 V) であり 実際の発電システムとして用いるには 数 10~ 数 100セルを直列に連結する必要がある スタック 参考 : 燃料電池熱力学から学ぶ基礎と開発の実際技術 ほか Yoshikazu SUZUKI 12
燃料電池の起電力 ( 電圧 ) は? 例題家庭用の定置式燃料電池には 都市ガス ( メタンガス ) が使われる 仮に メタンガスをいったん水素に改質せずに 直接酸化することにより燃料電池として用いるとすれば 1セルあたりの標準起電力はいくらか? CH 4 (g) + 2 O 2 (g) = CO 2 (g) + 2H 2 O (l) ΔG =-817 KJmol- 1 (298K) このメタン 1 モルの酸化反応は 2 モルの O 2 ( 酸化数 0) がすべて酸化数 -2 になるということで z = 8 (4 個の O が O 2- になったと考えると分かりやすい?) の反応であるため E = -ΔG / 8F = 817000 Jmol- 1 (8 96500 C mol- 1 ) = 1.06 V Yoshikazu SUZUKI 13
アルカリ型燃料電池システムの例 アルカリ型は効率は良いが空気中の CO 2 とアルカリが反応してしまうため 宇宙空間など限定された領域で実用化されている システムの例 (CO 2 はあらかじめ取り除く必要がある ) 直列 24 セル 48 電極 電極有効面積 170mm x 170 mm 432W ( 作動温度 70 エネルギー効率 50% 以上 ) Yoshikazu SUZUKI 14
リン酸型燃料電池 電解質に濃厚リン酸を用いる 濃厚リン酸 (H 3 PO 4 ) は 213 まで安定で それ以上でも脱水してピロリン酸 (H 4 P 2 O 7 ) に変化するのみ 高温でも安定 発電用途 ( 分散電源 ) 中規模の燃料電池システム (200kW 級が主力 ) アルカリ型のように CO 2 と反応しないので 空気を直接利用できる 動作温度が 200 程度なので 排熱利用もできる ( 温水供給など ) リン酸によって材料が腐食されるのを防ぐため 炭素系および貴金属など 比較的高価な部材を用いる必要がある 出典 : 燃料電池熱力学から学ぶ基礎と開発の実際技術 Yoshikazu SUZUKI 15
リン酸型燃料電池 優れた総合効率 ( 普通の会話程度 ) ( この授業程度 ) 優れた低騒音性 現在 燃料はおもに天然ガスを改質して水素とする方法が主体 出典 : 燃料電池熱力学から学ぶ基礎と開発の実際技術 ほか Yoshikazu SUZUKI 16
燃料電池システムの省エネ 環境適合性のメリットは? Yoshikazu SUZUKI 出典 : 燃料電池熱力学から学ぶ基礎と開発の実際技術 17
高温動作の燃料電池はなぜ必要か? さきに 低温で動作するほど熱力学的 ( 平衡論的 ) な理論効率は高い という表をみました しかし 実際のシステムとしては 高温であるほど 電極反応が進みやすい (Pt や Ru などの高価な貴金属触媒が不要となる ) 部材 燃料の多様化 ( といっても 温度が高くなりすぎると別の制約も ) 排熱エネルギーの質が高くなる (" エクセルギー " の観点 ) ( 排熱の温度が数 100 以上あれば タービンや熱電変換素子による発電も可能 ) 600~700 で作動する 溶融炭酸塩型 1000 程度で作動する 固体酸化物型の低温化 ( 低温イオン導電体の開発 ) Yoshikazu SUZUKI 18
溶融炭酸塩型燃料電池 19 世紀末 ~20 世紀初頭 電解質として KOH (m.p. 380 ) や NaOH(m.p. 318 ) などを溶融させた 溶融塩 を用いる試みが多くなされた 空気中の CO 2 と容易に反応してしまい 発電を持続させることができなかった 発想を転換し 炭酸塩を溶融塩として用いることで 空気中の CO 2 の影響を受けない高温型の燃料電池を作ることに成功した 使える溶融炭酸塩の条件は 運転温度で 1 化学的に安定で分解しないこと 2 炭酸イオンの導電率が高いこと 3 蒸気圧ができるだけ低いこと 4 電極材や周辺材料を侵さないこと 5 安価であること Li 2 CO 3 Na 2 CO 3 K 2 CO 3 などのアルカリ炭酸塩を混合して用いる ( 混合することにより 融点が低下し 同じ温度での単独塩よりも粘度を下げて導電率を上げることができるため ) 参考 : 燃料電池熱力学から学ぶ基礎と開発の実際技術 Yoshikazu SUZUKI 19
アルカリ炭酸塩の混合効果 複数の炭酸塩を混合することにより 融点を大幅に低下させることが可能 ただし 電極の腐食などの問題から 現在日本では Li-Na 系が主流となっている この溶融した炭酸塩を多孔質セラミックスタイル (LiAlO 2 ) にしみ込ませて利用する 参考 : 燃料電池熱力学から学ぶ基礎と開発の実際技術 Yoshikazu SUZUKI 20
溶融炭酸塩型1MW級の発電プラントの例 1993-1999年の実証プラント 出典 Yoshikazu SUZUKI 燃料電池 熱力学から学ぶ基礎と開発の実際技術 21
溶融炭酸塩形燃料電池 (MCFC) 商用型 1 号機 300kW 級 新名古屋火力発電所構内 ( 中部電力 ) http://www.chuden.co.jp/corpo/publicity/press2002/0918_1.html 廃棄物ガス化装置との組合せ (CO による白金被毒の問題がないため 廃棄物ガスを利用可 ) Yoshikazu SUZUKI 22
固体酸化物型燃料電池 電池の中に液体を一切つかわず 固体だけで構成される 炭化水素燃料を用いる際 外部に改質器が不要であるため 燃料ガスと空気のみで発電可能 化学電池というよりは 回転部分を伴わない発電機のイメージに近い 稼動温度は 700-1000 程度であり 溶融炭酸塩型と同じく 排熱エネルギーの質が高いので総エネルギー効率を高くすることができる 数 kw( 家庭用 )~ 数 100kW( 分散電源 ) 級のものがつくられている ~1000 ~700 参考 : 燃料電池熱力学から学ぶ基礎と開発の実際技術 Yoshikazu SUZUKI 23
SOFC の作動原理 空気極 ( 正極 ): 1/2O 2 + 2e - O 2- ( 固体電解質 ) 燃料極 ( 負極 ): O 2- ( 固体電解質 ) + H 2 H 2 O+2e - 全反応 : H 2 + 1/2O 2 H 2 O より低温で作動するプロトン伝導体を用いた研究も盛んに行われている 参考 : 燃料電池熱力学から学ぶ基礎と開発の実際技術 Yoshikazu SUZUKI 24
固体高分子型燃料電池 1960 年代に ジェネラルエレクトリック社 (GE) で開発される 燃料電池自動車への応用など 現在もっとも実用化の動きが激しい燃料電池 低温で作動するため 温度上昇のためのスタートアップ時間が不要であり 民生機器との相性が良い デュポン社のナフィオン膜に代表されるイオン交換膜型のプロトン伝導膜が用いられる 電解質は水を含有しているものの固体であるため 電極を塗布したコンパクト化が可能 水素を燃料とする場合の例リン酸型燃料電池と同じアノード ( 燃料極 負極 ): 酸化反応 H 2 2H + + 2e - カソード ( 酸素極 正極 ): 還元反応 1/2O 2 +2H + +2e - H 2 O ( トータルでは水素の燃焼反応 H 2 +1/2O 2 = H 2 O) 標準状態 (25 水素 酸素 1 気圧 ) での起電力は1.23V ( 実際の作動温度は 約 80 程度 ) Yoshikazu SUZUKI 25
冒頭に見たニュースを別のソースでおさらいしましょう (D-News) https://www.youtube.com/watch?v=dxtu2et1pay Q4 FCV とハイブリッド車 ( プリウスなど ) との違いは? Q5 シニアエンジニアが語る FCV でのチャレンジとは? Yoshikazu SUZUKI 26
ナフィオン (Nafion ) 膜とは ナフィオン膜は スルホン酸系ポリマーの不安定性を改良するために 1962 年にデュポン社が燃料電池用に開発したもの 化学的安定性に優れ 高いプロトン伝導性を示し 電気化学的にも安定 参考 : 燃料電池熱力学から学ぶ基礎と開発の実際技術 Yoshikazu SUZUKI 27
ナフィオン (Nafion ) 膜とは DuPont の 40 年以上の実績は伊達ではない 現在でも 最も広く使われている 性能はよかったが 高コストのため市場から撤退 室温でも高い導電性 ( 鉛バッテリーの高出力の鍵 ) Yoshikazu SUZUKI 28
ダイレクトメタノール型燃料電池 メタノールを水素に改質せずに 直接燃料として用いる燃料電池 ノートパソコンや携帯電話などの 小型携帯機器用に広く注目を集めている 米国では 燃料電池用のメタノールカートリッジの航空機持込が許可された 燃料極 : CH 3 OH + H 2 O CO 2 + 6H + + 6e - 空気極 : 6H + + 3/2O 2 + 6e - 3H 2 O 全反応 : CH 3 OH + 3/2O 2 CO 2 + 2H 2 O 全反応のから取り出せる自由エネルギーは -ΔG o = 702.8 kj/mol である 標準起電力は E o = 702800 [J/mol] / (6 x 96500 [C/mol]) = 1.21 [V] メタノールカートリッジの試作品 ( 出典 :http://allabout.co.jp/computer/notepc/ closeup/cu20070214f/index2.htm) 水素燃料電池と近い値を示すが 燃料が空気極に浸透してしまう クロスオーバー現象 のため 実際の性能は水素燃料よりも低くなる クロスオーバーの少ない ジメチルエーテルなどの液体燃料も検討されている Yoshikazu SUZUKI 29
直接型メタノール燃料電池 出典 ; 東芝レビュー Vol. 62 [6] (2007) Yoshikazu SUZUKI 30
燃料電池の未来技術の一例 超小型 高出力密度のマイクロ燃料電池の開発 ( 産総研 FCRA 日本特殊陶業 ) 2W を超える出力性能を角砂糖大 (1cm 3 ) の大きさにて 600 以下で実現 開発中の 3 セルスタックモジュール例 出典 : http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2007/pr20070329/pr20070329.html Yoshikazu SUZUKI 31
参考資料 図解燃料電池のすべて 本間琢也著工業調査会 3000 円 + 税 ( 万人向け ) 図解入門よくわかる最新燃料電池の基本と動向 How nual Visual Guide Book 燃料電池 NPO 法人 PEM DREAM ( 著 ) 秀和システム 1680 円 + 税 ( 万人向け ) 燃料電池発電システムと熱計算 上松宏吉, 本間琢也著オーム社 4200 円 + 税 ( ちょっと技術者寄り 詳しい ) 燃料電池 熱力学から学ぶ基礎と開発の実際技術 ( 材料学シリーズ ) 工藤徹一 山本治 岩原弘育 ( 著 ) 内田老鶴圃 3800 円 + 税 ( 詳しい解説の教科書 ) 実力養成化学スクール燃料電池 日本化学会 ( 編 ), 渡辺政広 ( 責任編集 ) 丸善 3360 円 ( 税込 ) ( 演習つきの良書 ) MOT( 技術経営 ) で読むファインセラミックス技術戦略 鈴木義和 ( 著 ) 日刊工業新聞社 1890 円 + 税 ( おまけ この授業が面白い人向け ) Yoshikazu SUZUKI 32
2016 年にはこんな演習をやっていましたが 状況は変わりました! ロールプレーイング形式で模擬企画会議を行うことにより 携帯機器向け燃料電池 への理解を深めます 設定 : 2018 年初頭 2020 年末クリスマス商戦に向け ついに燃料電池内蔵スマートフォンを市場投入することとなった これまで 技術面なさまざまな問題を解決してきたが 市場投入へはいまだ問題は多い 課題は山積みである 参加者は まず自分の 立場 を設定し その役割を演じて意見を述べてもらいます 携帯電話機器メーカー 開発担当部長 ( 自社が開発した燃料電池内蔵スマートフォンに自信 ) 開発担当技術者 ( 技術的な中身を熟知 ) マーケティング担当部長 ( 自社の戦略機器に位置づけ ) メーカー内 商品デザイナー ( プロダクトデザイン パッケージデザイン担当 ) メーカー内 コピーライター ( 燃料電池携帯 のコピーを発案) ユーザー企業 携帯事業者企画担当者 1 ( 推進派 : 長時間充電不要のスマートフォンに期待 ) 携帯事業者企画担当者 2 ( 慎重派 : 安全性 燃料パックの流通に関してかなり慎重 ) 携帯事業者アンテナショップ担当者 ( 消費者行動 売れ筋に敏感 ) 携帯事業者側 コピーライター 流通関連 大手コンビニエンスストア 商品企画部長 ( 燃料パックの取り扱い ) 燃料パック製造メーカ ( 低コスト化と安定供給についてコメント ) 広告代理店 大手広告代理店 模擬企画会議 ( ロールプレーイング ) を通して 民生携帯機器用 燃料電池の課題 問題点が浮かび上がりましたか? Yoshikazu SUZUKI 33
これからどうなる燃料電池? トヨタが鳴り物入りで商品化に成功した燃料電池車ですが 市場の反応はイマ一つの模様です ディーゼル車の性能偽装問題とも相まって 内燃機関離れが進み 電気自動車へのシフトが一気に進むのでは? という予想もされています もちろん 燃料電池の用途は自動車だけではありません この技術は 2030 年にどうなっているのかを 予想してみましょう ポジティブシナリオ ネガティブシナリオ Yoshikazu SUZUKI 34