はじめに 我が国においては 障害者の権利に関する条約 を踏まえ 誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合い 人々の多様な在り方を相互に認め合える 共生社会 を目指し 障がいのある者と障がいのない者が共に学ぶ仕組みである インクルーシブ教育システム の理念のもと 特別支援教育を推進していく必要があります

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Ⅲ 目指すべき姿 特別支援教育推進の基本方針を受けて 小中学校 高等学校 特別支援学校などそれぞれの場面で 具体的な取組において目指すべき姿のイメージを示します 1 小中学校普通学級 1 小中学校普通学級の目指すべき姿 支援体制 多様な学びの場 特別支援教室の有効活用 1チームによる支援校内委員会を

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必要性 学習指導要領の改訂により総則において情報モラルを身に付けるよう指導することを明示 背 景 ひぼう インターネット上での誹謗中傷やいじめ, 犯罪や違法 有害情報などの問題が発生している現状 情報社会に積極的に参画する態度を育てることは今後ますます重要 目 情報モラル教育とは 標 情報手段をいか

北見市特別支援教育の指針 平成 25 年 11 月

教育調査 ( 教職員用 ) 1 教育計画の作成にあたって 教職員でよく話し合っていますか 度数 相対度数 (%) 累積度数累積相対度数 (%) はい どちらかといえばはい どちらかといえばいいえ いいえ 0

教員の専門性向上第 3 章 教員の専門性向上 第1 研修の充実 2 人材の有効活用 3 採用前からの人材養成 3章43

平成 年度佐賀県教育センタープロジェクト研究小 中学校校内研究の在り方研究委員会 2 研究の実際 (4) 校内研究の推進 充実のための方策の実施 実践 3 教科の枠を越えた協議を目指した授業研究会 C 中学校における実践 C 中学校は 昨年度までの付箋を用いた協議の場においては 意見を出

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学習意欲の向上 学習習慣の確立 改訂の趣旨 今回の学習指導要領改訂に当たって 基本的な考え方の一つに学習 意欲の向上 学習習慣の確立が明示された これは 教育基本法第 6 条第 2 項 あるいは学校教育法第 30 条第 2 項の条文にある 自ら進んで学習する意欲の重視にかかわる文言を受けるものである

(1) 体育・保健体育の授業を改善するために

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(2) 国語 B 算数数学 B 知識 技能等を実生活の様々な場面に活用する力や 様々な課題解決のための構想を立て実践し 評価 改善する力などに関わる主として 活用 に関する問題です (3) 児童生徒質問紙児童生徒の生活習慣や意識等に関する調査です 3 平成 20 年度全国学力 学習状況調査の結果 (

Ⅱ インクルーシブ教育システムをめぐる国の動向と本研究の位置づけ 1. インクルーシブ教育システム構築に向けての国の動き (1) 障害者の権利に関する条約の批准までの経緯平成 18 年 12 月に国連総会において採択された 障害者の権利に関する条約 について 我が国は平成 19 年 9 月に署名し

13 Ⅱ-1-(2)-2 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している Ⅱ-2 福祉人材の確保 育成 Ⅱ-2-(1) 福祉人材の確保 育成計画 人事管理の体制が整備されている 14 Ⅱ-2-(1)-1 必要な福祉人材の確保 定着等に関する具体的な計画が確立し 取組が実施されている 15

p.1~2◇◇Ⅰ調査の概要、Ⅱ公表について、Ⅲ_1教科に対する調査の結果_0821_2改訂

17 石川県 事業計画書

課題研究の進め方 これは,10 年経験者研修講座の各教科の課題研究の研修で使っている資料をまとめたものです 課題研究の進め方 と 課題研究報告書の書き方 について, 教科を限定せずに一般的に紹介してありますので, 校内研修などにご活用ください

教育支援資料 ~ 障害のある子供の就学手続と早期からの一貫した支援の充実 ~ 平成 25 年 10 月 文部科学省初等中等教育局特別支援教育課

1. 研究主題 学び方を身につけ, 見通しをもって意欲的に学ぶ子どもの育成 ~ 複式学級における算数科授業づくりを通して ~ 2. 主題設定の理由 本校では, 平成 22 年度から平成 24 年度までの3 年間, 生き生きと学ぶ子どもの育成 ~ 複式学級における授業づくり通して~ を研究主題に意欲的

第 2 部 東京都発達障害教育推進計画の 具体的な展開 第 1 章小 中学校における取組 第 2 章高等学校における取組 第 3 章教員の専門性向上 第 4 章総合支援体制の充実 13

Taro-自立活動とは

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平成 28 年度全国学力 学習状況調査の結果伊達市教育委員会〇平成 28 年 4 月 19 日 ( 火 ) に実施した平成 28 年度全国学力 学習状況調査の北海道における参加状況は 下記のとおりである 北海道 伊達市 ( 星の丘小 中学校を除く ) 学校数 児童生徒数 学校数 児童生徒数 小学校

訂されている 幼稚園 小 中学校学習指導要領改訂の基本的な考え方として 次の 3つがあげられる 1. 子供たちに求められる資質 能力を明確にし それらを社会と共有していくという社会に開かれた教育課程を実現していく 2. 現行学習指導要領の枠組みや教育内容を維持した上で 知識の理解の質を高めていく 3

基本方針1 小・中学校で、子どもたちの学力を最大限に伸ばします

平成21年度「研究の手引き」の解説(案)

市中学校の状況及び体力向上策 ( 学校数 : 校 生徒数 :13,836 名 ) を とした時の数値 (T 得点 ) をレーダーチャートで表示 [ ] [ ] ハンドボール ハンドボール投げ投げ H29 市中学校 H29 m 走 m 走 表中の 網掛け 数値は 平均と同等または上回っているもの 付き

平成23年度全国学力・学習状況調査問題を活用した結果の分析   資料

求められる整理編

3 調査結果 1 平成 30 年度大分県学力定着状況調査 学年 小学校 5 年生 教科 国語 算数 理科 項目 知識 活用 知識 活用 知識 活用 大分県平均正答率 大分県偏差値

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3 昨年度の校内研究の成果を基に本校では 平成 24 年度の校内研究で 授業における 手立て と 評価 のつながりを意識した授業づくりについて 指導評価シート を基に検討した 平成 24 年度北海道鷹栖養護学校研究紀要 また 平成 25 年度から 2 カ年計画で 般化 を目的とした指導方法について研

平成27年度公立小・中学校における教育課程の編成実施状況調査結果について

西ブロック学校関係者評価委員会 Ⅰ 活動の記録 1 6 月 17 日 ( 火 ) 第 1 回学校関係者評価委員会 15:30~ 栗沢中学校 2 7 月 16 日 ( 水 ) 学校視察 上幌向中学校 授業参観日 非行防止教室 3 9 月 5 日 ( 金 ) 学校視察 豊中学校 学校祭 1 日目 4 9

PowerPoint プレゼンテーション

回数テーマ学習内容学びのポイント 2 過去に行われた自閉症児の教育 2 感覚統合法によるアプローチ 認知発達を重視したアプローチ 感覚統合法における指導段階について学ぶ 自閉症児に対する感覚統合法の実際を学ぶ 感覚統合法の問題点について学ぶ 言語 認知障害説について学ぶ 自閉症児における認知障害につ

平成20年度内部評価実施結果報告書《本編》

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教職研究 第 8 号, インクルーシブ教育 は 障害児のための教育か? 特別支援教育の在り方に関する特別委員会報告から学校の役割と合理的配慮を確認する 庄司和史 ( 信州大学学術研究院総合人間科学系教授 ) 1. はじめに 平成 24 年 (2012 年 )7 月 中央教育審

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第 1 部第 3 章特別支援教育推進計画 ( 第二期 ) の基本理念と施策の方向性 1 東京都特別支援教育推進計画 ( 第二期 ) の基本理念東京都特別支援教育推進計画 ( 前計画 ) の基本理念発達障害を含む障害のある幼児 児童 生徒の一人一人の能力を最大限に伸長するため 乳幼児期から学校卒業後ま

第4章 道徳

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平成29年度 小学校教育課程講習会 総合的な学習の時間

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45 宮崎県

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「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けて

Taro-小学校第5学年国語科「ゆる

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の間で動いています 今年度は特に中学校の数学 A 区分 ( 知識 に関する問題 ) の平均正答率が全 国の平均正答率より 2.4 ポイント上回り 高い正答率となっています <H9 年度からの平均正答率の経年変化を表すグラフ > * 平成 22 年度は抽出調査のためデータがありません 平

3 学びのユニバーサルデザイン化 合理的配慮は 障がいのある生徒の能力を最大限に伸長させるとともに 障がいのない生徒と共に学ぶことができるようにするための必要な支援です また ホームルームや一斉授業において 学びのユニバーサルデザイン化 を図るなど 個別の支援 と 全体への配慮 の両面で支援を考える

授業概要と課題 第 1 回 オリエンテェーション 授業内容の説明と予定 指定された幼児さんびか 聖書絵本について事後学習する 第 2 回 宗教教育について 宗教と教育の関係を考える 次回の授業内容を事前学習し 聖書劇で扱う絵本を選択する 第 3 回 キリスト教保育とは 1 キリスト教保育の理念と目的

別添 事業者向け放課後等デイサービス自己評価表 及び 保護者等向け放課後等デイサービス評価表 について 放課後等デイサービスガイドライン ( 以下 ガイドライン ) は 放課後等デイサービス事業所における自己評価に活用されることを想定して作成されたものですが 各事業所で簡易に自己評価を行うことができ

①H28公表資料p.1~2

1. 調査結果の概況 (1) の児童 ( 小学校 ) の状況 < 国語 A> 今年度より, ( 公立 ) と市町村立の平均正答率は整数値で表示となりました < 国語 B> 4 国語 A 平均正答率 5 国語 B 平均正答率 ( 公立 ) 74.8 ( 公立 ) 57.5 ( 公立 ) 74 ( 公立

1 国の動向 平成 17 年 1 月に中央教育審議会答申 子どもを取り巻く環境の変化を踏まえた今後の幼児教育の在り方について が出されました この答申では 幼稚園 保育所 ( 園 ) の別なく 子どもの健やかな成長のための今後の幼児教育の在り方についての考え方がまとめられています この答申を踏まえ


幼児期の教育と小学校教育との円滑な接続の在り方について ( 報告 ) ( 概要 ) 子どもの発達や学びの連続性を踏まえた幼児期の教育 ( 幼稚園 保育所 認定こども園における教育 ) と児童期の教育 ( 小学校における教育 ) の円滑な接続の在り方について検討し 以下のとおり 報告をとりまとめた 1

鎌倉市関谷小学校いじめ防止基本方針 平成 26 年 4 月 鎌倉市立関谷小学校

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県立学校職員 ( 趣旨 ) 第 1 条この要綱は 地方公務員法 ( 昭和 25 年法律第 261 号 ) 第 15 条の2 第 1 項第 5 号の規定に基づき 山形県教育委員会における職員 ( 学校教育法 ( 昭和 22 年法律第 26 号 ) 第 7 条に規定する校長及び教員等 ) の標準職務遂行

各教科 道徳科 外国語活動 総合的な学習の時間並びに特別活動によって編成するものとする 各教科 道徳科 総合的な学習の時間並びに特別活動によって編成するものとする

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2 生活習慣や学習環境等に関する質問紙調査 児童生徒に対する調査 学校意欲 学習方法 学習環境 生活の諸側面等に関する調査 学校に対する調査 指導方法に関する取組や人的 物的な教育条件の整備の状況等に関する調査 2

磐田市水道事業ビジョン

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英語教育改善プラン

児童発達支援又は放課後等デイサービス事業に係る自己評価結果公表用(あかしゆらんこクラブ)

商業科 ( 情報類型 ) で学習する商業科目 学年 単位 科目名 ( 単位数 ) 1 11 ビジネス基礎 (2) 簿記(3) 情報処理(3) ビジネス情報(2) 長商デパート(1) 財務会計 Ⅰ(2) 原価計算(2) ビジネス情報(2) マーケティング(2) 9 2 長商デパート (1) 3 プログ

基本方針 2 児童 生徒一人ひとりに応じた学習を大切にし 確かな学力の育成を図ります 基本方針 2 児童 生徒一人ひとりに応じた学習を大切にし 確かな学力の育成を図ります (1) 基礎的 基本的な学力の定着児童 生徒一人ひとりが生きる力の基盤として 基礎的 基本的な知識や技能を習得できるよう それぞ

Ⅰ 校外における研修の留意点 1 校外における研修のコマ数の考え ア ) 午前 午後の講座は 0.5 日 (0.5 コマ ) イ ) 全日の講座は 1.0 日 (1.0 コマ ) 2 校外における研修として選択できない講座研修講座の対象者が限定されている場合ア ) 初任者研修センター等研修 ( 初任

CONTENTS

資料3 道徳科における「主体的・対話的で深い学び」を実現する学習・指導改善について

主な取組 質の高い幼児教育の推進 幼稚園教育要領の内容の定着を図るため幼稚園において 幼児の実態等を踏まえた適切な教育課程を編成し 家庭や地域と連携 協力しつつ幼児教育を推進します 幼稚園において運動遊びを充実させ 幼児の体力向上を目指します ふかやこども園モデル園運営事業に係る3 歳児受入れ 平日

教育実践研究論文集 第 6 巻 平成 30 年度教育学部プロジェクト推進支援事業 附属学校改革専門委員会 第 3 期中期目標中期計画 ; 平成 年度中間報告 小規模 複式教育に資する教育実習カリキュラムの開発 ( 経過報告 ) 附属学校改革専門委員会 : 田代高章 ( 教育学部 ) 阿部真一( 教職

学校評価保護者アンケート集計結果 2 学校は 防災や防犯についての体制作りや情報収集を適切に行っている 十分 おおむね十分 やや十分 不十分 分からない 不明

特別支援教育 教育経営研修班個人研究テーマ 教職員研修における特別支援教育に関する調査研究 高等学校教職員研修実施状況や意識調査を通して 指導主事仲本邦也 Ⅰ テーマ設定の理由 平成 19 年 4 月に 学校教育法等の一部改正に関する法律 が施行され 盲学校 聾学校 養護学校 ( 以下盲 聾 養護学

学習指導要領の領域等の平均正答率をみると 各教科のすべての領域でほぼ同じ値か わずかに低い値を示しています 国語では A 問題のすべての領域で 全国の平均正答率をわずかながら低い値を示しています このことから 基礎知識をしっかりと定着させるための日常的な学習活動が必要です 家庭学習が形式的になってい

ICTを軸にした小中連携

Q1 診断書等がない子どもへの合理的配慮はどう考えたらよいのか A1 診断書や障がい者手帳等の有無が 合理的配慮の提供に関する判断の基準ではありません 教育支援資料 ( 文部科学省平成 25 年 10 月 ) において 各障がいは以下のように定義されています ( 参考 ) 教育支援資料における各障が

4.原稿(資料)

1 1,200m ,482,620m 1 323,825m 1 205,988m 114,988m 60,000m 31,000m ,837m ,158,795m ,340m 1 48,006m 1 33,016m 1,125m

岐阜県手話言語の普及及び障害の特性に応じた意思疎通手段の利用の促進に関 する条例 目次前文第一章総則 ( 第一条 - 第八条 ) 第二章基本的施策の推進 ( 第九条 - 第十六条 ) 附則 ( 前文 ) 手話が言語であることは 障害者の権利に関する条約において世界的に認められており わが国においても

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校外教育施設について

教育学科幼児教育コース < 保育士モデル> 分野別数 学部共通 キリスト教学 英語 AⅠ 情報処理礎 子どもと人権 礎演習 ことばの表現教育 社会福祉学 英語 AⅡ 体育総合 生活 児童家庭福祉 英語 BⅠ( コミュニケーション ) 教育礎論 音楽 Ⅰ( 礎 ) 保育原理 Ⅰ 英語 BⅡ( コミュニ

2 平成 27 年度に終了した研究課題について 研究成果報告書サマリー集や研究成果 ( 別紙 1 参照 ) の内容は 例えば下記のような場面で用いられ 貴機関や学校等での課題の改善に活用できましたか? 活用の場面研修会やセミナー所管する学校 教職員への情報提供関係機関 ( 医療 保健 福祉 教育 労

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「標準的な研修プログラム《

平成 30 年度全国学力 学習状況調査の結果について ( 速報 ) 1. 調査の概要 実施日平成 30 年 4 月 17 日 ( 火 ) 調査内容 1 教科に関する調査 ( 国語 A 国語 B 算数 数学 A 算数 数学 B 理科 (3 年に 1 回 )) A 問題 : 主として知識に関する問題 B

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幼稚園と小学校の連携の在り方について 学びの連続性 の視点に立って考察する 3 研究内容と考察 (1) 学びの連続性 に立った幼稚園と小学校の連携とは何か中教審の答申 子どもを取り巻く環境の変化を踏まえた今後の幼児教育の在り方について は 子どもを取り巻く環境の変化を踏まえ 今後の幼児教育の方向性と

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平成 26 年度文部科学省委託事業発達障害理解推進拠点事業 発達障がいのある子どもの指導や支援に関する基礎的な知識や技能を習得するための 校内研修プログラム ~ 体制づくり から 指導や支援の充実 へ ~ 北海道教育委員会

はじめに 我が国においては 障害者の権利に関する条約 を踏まえ 誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合い 人々の多様な在り方を相互に認め合える 共生社会 を目指し 障がいのある者と障がいのない者が共に学ぶ仕組みである インクルーシブ教育システム の理念のもと 特別支援教育を推進していく必要があります インクルーシブ教育システム においては 同じ場で共に学ぶことを追求するとともに 個別の教育的ニーズのある幼児児童生徒に対して 自立と社会参加を見据えて その時点で教育的ニーズに最も的確に応える指導を提供できる多様で柔軟な仕組みを整備することが重要であり 小 中学校における通常の学級 通級による指導 特別支援学級 特別支援学校といった 連続性のある 多様な学びの場 を用意しておく必要があります とりわけ 通常の学級においては 発達障がいのある子どもやその可能性のある子どもに対し 必要な教育的支援を行っていくことが大切です そこで 北海道教育委員会では 道内すべての教員が 通常の学級における発達障がいのある子どもへの指導や支援に関する基礎的な知識や技能を習得することができるよう 平成 26 年度から森町 美唄市 湧別町の計 3 地域 8 校をモデル校として プール学院大学の松久眞実准教授の専門的な見地からの御助言を踏まえ 校内研修プログラム の作成に取り組みました 本プログラムの特徴は 各学校の実態に応じて活用できるよう 複数の研修計画モデルを提示したこと 研修メニューとしては 発達障がいの特性の理解のための疑似体験 や 個別の指導計画や個別の教育支援計画の作成の演習 発達障がいのある子への配慮を含めた学級づくりや授業づくりに関する演習 等を例示したこと 各学校が容易に研修を実施することができるよう それぞれの研修内容ごとに書き込み式の 研修シート ( 試案 ) を掲載したことなどです 子ども一人一人がより一層安心して学校生活を過ごし 可能性を最大限伸ばしていくことができるよう 各学校におきまして本プログラムを校内研修に明確に位置付け 積極的に研修を進めることを期待します 平成 27 年 3 月北海道教育庁学校教育局特別支援教育課長佐藤和彦

発達障がいのある子どもの指導や支援に関する基礎的な知識や技能を習得するための校内研修プログラム ~ 体制づくり から 指導や支援の充実 へ ~ 目次 1 校内研修プログラム P 1 2 校内研修プログラムの解説 P 2 3 校内研修プログラムを活用したPDCAサイクルの取組 P 3 4 校内研修プログラムの年間の活用例 P 4 5 研修シート ( 試案 ) 幼稚園 P 5 小学校 P18 中学校 P31 高等学校 P44 共 通 P57 6 参考 P62 研修シート ( 試案 ) の活用例 P63 個別の指導計画とは P72 個別の教育支援計画とは P73 ICTの活用例 P75 講演の概要 P77 先生方へのメッセージ P79 プログラムの作成への御協力 P81 校内研修プログラム は 北海道立特別支援教育センターの Web ページ (http://www.tokucen.hokkaido-c.ed.jp/) 上に掲載します

研修の項目研修のねらい研修の内容研修の形態の例 Ⅰ 発達障がいの 発達障がいのある子どもの学習の困難さを体験 ミニ研修 校内委員会 ( 疑似体験 ) 特性の理解や Ⅰ-1 発達障がいの特性の理解し その心理や教師の指示の在り方を考える 全体研修 ( 疑似体験 )( 講師を招聘した講義や演習 ) 実態把握 支援 方法の検討 実態把握や支援方法を検討し 指導や支援の留 ミニ研修 校内委員会 ( 実態把握や支援策の検討 ) 意点を考える 全体研修 ( 講師を招聘した心理検査の講義等 ) Ⅱ 個別の指導計 個別の指導計画の一部を作成し 書き方を考え ミニ研修 校内委員会 ( 事例に基づいた書き方の演習 ) 画や個別の教育るとともに 指導や支援の見通しをもつ 全体研修 ( 講師を招聘した講義や演習 ) 支援計画 個別の教育支援計画について保護者の理解や同 ミニ研修 校内委員会 ( 保護者への相談の演習 ) 意を得るための説明や相談の仕方を考える 全体研修 ( 講師を招聘した講義や演習 ) Ⅲ 環境づくり 通常の学級における発達障がいの子どもへの配 ミニ研修 校内委員会 生徒指導交流会 ( 交流 演習 ) 慮を含めた学級づくりの取組を交流し 指導上 全体研修 ( 講師を招聘した講義や演習 ) ここでいう 学級づくり と の課題や解決の方向性を整理する は 学級集団の形成に向けた取組のことをさしており 授業づくり とは 授業の準備や授業の実際のことをさしています 通常の学級における発達障がいのある子どもへ ミニ研修 ( ビデオ研修 指導案検討や模擬授業 授業研究 ) の配慮について考え 授業づくりで心がけてい 全体研修 ( ビデオ研修 指導案検討や模擬授業 授業研究 ) くことを整理する 学校全体で取り組む発達障がいのある子どもへ ミニ研修 ( 学年やブロックによる検討 ) の指導や支援の在り方を検討する 全体研修 ( 講師を招聘した講義や演習 ) Ⅳ 個別の指導や 個別の指導計画をもとに 支援の改善やその質 ミニ研修 校内委員会 ( 学年やブロックによる検討 ) 教育支援の実際の向上について考える 全体研修 ( 講師を招聘した講義や演習 ) 個別の教育支援計画を活用した次の校種 ( 進路 ミニ研修 校内委員会 ( 学年やブロックによる検討 ) 先 ) への引継ぎの仕方について考える 全体研修 ( 講師を招聘した講義や演習 ) Ⅴ 参考 知りたい内容について 参考資料を活用し 研 ミニ研修 ( 参考資料や参考文献の読み合わせ )( ) 〇 発達障がいのある子どもの指導や支援に関する基礎的な知識や技能を習得するための校内研修プログラム ~ 体制づくり から 指導や支援の充実 へ ~ これまでの各種調査結果等で明確になった課題から 研修の項目 研修のねらい を設定しています 研修の項目 研修のねらい に基づいて 研修の内容 を設定しています Ⅰ-2 Ⅱ-1 Ⅱ-2 Ⅲ-1 学級づくり 1 指導や支援 2 教師の言葉がけ 3 障がいの理解 Ⅲ-3 Ⅳ-1 Ⅳ-2 Ⅴ-1 実態把握 支援方法の検討 個別の指導計画の作成 個別の教育支援計画の作成 授業づくり 校内の連携 個別の指導計画の活用 個別の教育支援計画の活用 参考資料の活用 修を深める 全体研修 ( 参考資料や参考文献の読み合わせ )( ) 教職員全員で実施する 全体研修 のほか 校内委員会や学級経営等の交流会としての実施 職員会議終了後や 学年 ブロック等で短い時間で実施する ミニ研修 などが考えられます 研修内容ごとに 研修シート ( 試案 ) がありますので御活用ください 本プログラムは 発達障がいのある子ども だけでなく 学校として特別な教育的支援が必要と判断した子どもへの指導や支援の充実にも活用できるものです 道内のすべての教員が 支援が必要な子どもの困難さの背景を読み取り 保護者の心情に寄り添いながら 指導や支援の質を高めていけることを願っています

校内研修プログラム開発の経緯北海道教育委員会は 平成 25 年度及び 26 年度の 通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒等に関する調査 結果を踏まえ 各学校が発達障がいの特性に応じた指導の在り方に関する校内研修を進める際の参考として 研修内容を示すこととしました そこで 平成 26 年度から美唄市 森町 湧別町の計 8 校をモデル校とする 発達障がい支援モデル事業 において校内研修プログラムを開発し 道内の各学校に普及することとしました 校内研修プログラムの解説 研修の項目研修のねらい研修の内容研修の形態の例 Ⅰ-1 校内研修プログラムの配布先本プログラムは 札幌市を除く道内の公立幼稚園 小 中学校 中等教育学校 高等学校 特別支援学校に配布します また 札幌市や私立学校 保育所等に情報提供を行うとともに 北海道立特別支援教育センターの W e b ページ (http://www.tokucen.hokkaido-c.ed.jp/) 上に全ページを掲載します 発達障がいの特性の理解 Ⅰ 発達障がいの特性 発達障がいの子どもの学習の困難さを体験し ミニ研修 校内委員会 ( 疑似体験 ) の理解や実態把握 その心理や教師の指示の在り方を考える 全体研修 ( 疑似体験 )( 講師を招聘した講義や演習 ) 研修形態の工夫ここでいう 校内研修 とは 全員が参加する形態のほかに 職員会議終了後や 学年 ブロック等で行う 15 分程度のミニ研修 校内委員会 生徒指導や学級経営の交流会なども含めてとらえています 支援方法の検討 Ⅰ-2 実態把握 支援方法の検討 実態把握や支援方法を検討し 指導や支援の留 ミニ研修 校内委員会 ( 実態把握や支援策の検討 ) 意点を考える 全体研修 ( 講師を招聘した心理検査の講義等 ) 校内研修プログラムの活用 本プログラムは 学校として一貫した指導や支援の在り方を追究していくため 学校の課題や教職員の状況に応じて 学校として自主的 主体的に活用できるものです 例えば 学校の実態に応じて 研修内容を選択します 取り上げる回数や取り上げ方は 学校の実態に応じて決めます 短い時間で 負担感の少ない研修となるよう工夫します 各教育局特別支援教育スーパーバイザーをはじめ 特別支援教育センター所員や特別支援学校教諭を講師として招聘することも考えられます 近隣校との合同研修として行うこともできます 実施した研修の成果を検証し 次年度の研修につなげます 研修内容ごとの 研修シート ( 試案 ) の活用 研修内容ごとに示した 研修シート ( 試案 ) を活用することができます その際 そのまま使う 学校独自の 研修シート を作成する 改善を図りながら 繰り返し使う などの活用も考えられます

校内研修プログラムを活用した PDCA サイクルの取組学校の実態に応じて どこからでも取り組めます! Plan 計画 学校の現状を捉え 研修計画を立てよう! Do 実施 目の前の子どもに よりよく対応するために 研修をしよう! Check 評価 教職員の意識を共有し 取り組んだ成果を確認しよう! ACtion 改善 成果と課題を踏まえ 新たな企画を検討しよう! Plan の例例 学校の実態に基づいて 立てた計画の例 1 本校の現状 学校の現状のチェック項目例 該当する欄に〇 1 通常の学級に特別な教育的支援を必要とする子が 数名在籍しており 対応に苦慮している 〇 2 発達障がいの特性やその対応について研修したいという声がある 3 個別の指導計画や個別の教育支援計画の作成や活用について研修したいという声がある 〇 4 支援が必要な子どもへの対応や学級経営 授業の研修をしたいという声がある 〇 5 発達障がいのある子どもへの対応について 一定の知識や技能を身に付けている教員は多いが さらに校内体制の充実に努める必要がある 6 校内体制は充実しているが 保護者との連携や校種間の連携の充実に努める必要がある 2 取組の目標 教職員一人一人が 特別な教育的支援が必要な子どもへの対応に関する 個別の指導計画の作成 学級づくり 授業づくり の基礎的 基本的な知識や技能を身に付ける 3 研修の計画 校内研修 校内委員会 学級経営交流会 4 月 今年度の研修計画の確認 5 月 校内研修プログラムの活用 1 教育局特別支援教育スーパーバイザ ーを招聘し 個別の指導計画を作成 実態把握 支援方法の検討 個別の指導計画の作成 6 月 授業研究に向けての確認 7 月 第 1 回授業研究 校内研修プログラムの活用 2 パートナー ティーチャー派遣事業で特別支援学校教諭を招聘し 支援の在り方を検討 個別の指導計画の活用 8 月 校内研修プログラムの活用 3 教師の言葉がけの交流 9 月 第 2 回授業研究 10 月 校内研修プログラムの活用 4 必要な配慮を位置付けた授業研究 Do の留意点 研修シート ( 試案 ) を活用し 準備や実施にできるだけ負担がかからないように留意します 研修実施後 参加した教職員が成果を実感できるよう 研修の 振り返り を大切にします Check の例例 教職員へのアンケート項目の例 教職員に感想を聞く アンケートをとる ( 項目は学校で設定 )( 〇を付ける ) 発達障がいのある子どもへ十分理解少し理解あまり理解全く理解の指導や支援についてしているしているしていないしていない 1 発達障がいの特性の理解 2 実態把握 支援方法の検討 3 個別の指導計画の作成 4 個別の教育支援計画の作成 5 発達障がいのある子への配慮を含めた学級づくり 1 2 3 指導や支援 教師の言葉がけ 障がいの理解 6 発達障がいのある子への配慮を含めた授業づくり 7 校内 ( 園内 ) の連携 8 個別の指導計画の活用 9 個別の教育支援計画の活用 例 子どもへのアンケート項目の例 子どもに感想を聞く アンケートをとる ( 項目等は学校で設定 )( 〇を付ける ) 学校生活で感じていることについてそうどちらかといえばそう思うそう思う思わない 1 学級は みんなで協力していると思う 2 先生は あなたのよいところをみとめてくれていると思う 3 授業や先生の説明は わかりやすいと思う Action の留意点 教職員ががんばっていることや工夫していることを大事に それを成果として位置付けます 改善や充実が必要となることは できるだけ絞り込み 課題として位置付けます 課題を解決するための研修内容を選択します 研修方法や研修回数を検討します できるだけ無理のない研修計画とします 学校の実態に応じて 1 年間を見通した PDC Aサイクルで本プログラムを活用することにより研修効果を一層高めることができます!

校内研修プログラムの年間の活用例 A 校 ~ 全体をしっかりと学ぶことに重点を置く学校 研修内容のすべてを校内研修として取り扱う Ⅰ-1 Ⅰ-2 発達障がいの特性の理解 実態把握 支援方法の検討 Ⅲ-1 Ⅲ-3 学級づくり授業づくり校内の連携 Ⅱ-1 Ⅱ-2 Ⅴ-1 個別の指導計画の作成個別の教育支援計画の作成参考資料の活用 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月 1 月 2 月 3 月発達障がいの特実態把握 支援学級づくり授業づくり校内の連携個別の指導計画個別の教育支援個別の指導計画個別の教育支援成果の検証 2 性の理解方法の検討成果の検証 1 の作成計画の作成の活用計画の活用 Ⅳ-1 Ⅳ-2 個別の指導計画の活用個別の教育支援計画の活用 B 校 ~ 個別の支援に重点を置く学校 研修内容のうち 個別の支援の内容を取り扱う Ⅱ-1 個別の指導計画の作成 Ⅳ-1 個別の指導計画の活用 Ⅱ-2 Ⅳ-2 個別の教育支援計画の作成個別の教育支援計画の活用 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月 1 月 2 月 3 月 校内委員会 1 校内委員会 2 校内委員会 3 成果の検証 個別の指導計画 個別の指導計画 個別の教育支援計画の作成 の作成 の活用 ( ハ ートナー ティーチャー派遣事業の活用 ) C 校 ~ 発達障がいのある子への配慮を含めた授業づくりに重点を置く学校 研修内容のうち 授業づくりの内容を取り入れる 校内授業研の際に 授業づくりの視点を取り入れる 校内授業研の際に 授業づくりの視点を取り入れる 校内授業研の際に 授業づくりの視点を取り入れる 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月 1 月 2 月 3 月 校内授業研 1 校内授業研 2 校内授業研 3 成果の検証 授業づくりの視点 授業づくりの視点 授業づくりの視点 D 校 ~ 発達障がいのある子への配慮を含めた学級づくりに重点を置く学校 研修内容のうち 学級づくりの内容を取り入れる 職員会議のあとに Ⅲ-1 学級づくりの視点を取り入れる 学級経営交流会の際に Ⅲ-1 学級づくりの視点を取り入れる 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月 1 月 2 月 3 月 職員会議 学級経営交流会 成果の検証 学級づくり1 学級づくり2