我が国の電波法における基準認証制度の現状 小規模な無線局に使用するための無線設備であって総務省令で定めるもの ( 特定無線設備 : 携帯電話端末 無線 LAN 等 ) について 事前に総務大臣の登録を受けた者 ( 登録証明機関 ) において電波法で定める技術基準に適合している旨の証明等を受け 総務省

Similar documents
無線局免許 ( 無線局の免許手続き ) 免許の申請用電波を利用するためには 無線設備などを備えた無線局を開設することが必要となり 無線局を開設するためには 原則総務大臣の免許を受けることが必要 この際に 技術基準適合証明等を取得した無線設備の免許申請手続については 包括免許制度や免許手続きの簡略化と

1. 無線設備の基準認証制度の概要 (1) 基準認証制度 (2) 不適合機器への対応 (3) 相互承認制度 2. 最近の主な技術基準の改正 3. 無線設備の技術基準 認証制度の動向

PowerPoint Presentation

目次 1 電波法の概要 2 (1) 電波監理の必要性 3 (2) 基準認証制度の概要 8 (3) 技適マークの表示 16 (4) 認証取扱業者の義務等 21 2 市場監視 不適合機器への対応 24 (1) 特定無線設備の市場調査の概要 25 (2) 微弱無線設備登録制度 31 3 外国との相互認証協

日本における無線設備の基準認証制度の最新状況

不必要な電波 ( 不要電波 ) をできる限り低減させるため 平成 17 年に無線設備のスプリアス発射の強度について 許容値の改正が行われました 詳細は 総務省の電波利用ホームページをご覧下さい

<4D F736F F F696E74202D F93FA967B82C982A882AF82E996B390FC90DD94F582CC8AEE8F8090A CC8DC590568FEE95F15F8DA188E497CD5F947A957A97702E >

様式第 2 号 ( 第 3 条 第 4 条 第 9 条 第 21 条及び第 23 条関係 ) 経歴書 1 氏名 2 生 3 現住所 4 経歴 期間自至 勤務先並びに職務内容又は業務内容 上のとおり相違ありません 氏名 印 注 1 不要の文字は 抹消すること 2 この用紙の大きさは 日本工業規格に定め

1. 当コンファレンスについて キーワードを つながる としたとき あらゆる機器をネットワークに接続するには 電波を利用する機器や電気通信事業者のネットワークを利用する機器が欠かせません つながる には我が国の技術基準への適合が求められ 技術基準認証制度の重要性が高まります 今回は 総務省から無線設

ノート型PCにおける

Q5. 工事担任者資格が必要な工事とは どのようなものですか A5. 利用者が電気通信サービスを利用するための端末設備等の接続に係る工事であり 具体的には 事業用ネットワークへの接続及びこれに伴う調整並びに屋内配線工事など端末設備等の接続により通信が可能となる一切の工事です この工事には 事業用ネッ

Microsoft Word 総務省への要望書の定期的提出に関する規定

Microsoft PowerPoint - 第9条統一見解(改正版)_rev pptx

無線局の定期検査制度の見直し ~ 登録検査等事業者制度の導入 ~ 平成 23 年 6 月 総務省総合通信基盤局電波環境課

Microsoft Word - 【案1】登録認証機関立入要領改正通知(Ver )

1. 基準認証制度の概要 2. 基準認証制度に関する法令 3. 電気通信端末機器の技術基準 1

IAF ID 2:2011 Issue 1 International Accreditation Forum Inc. 国際認定機関フォーラム (IAF) IAF Informative Document ISO/IEC 17021:2006 から ISO/IEC 17021:2011 への マネ

ASNITE 試験事業者認定の一般要求事項 (TERP21) ASNITE 校正事業者認定の一般要求事項 (CARP21) ASNITE 試験事業者 IT 認定の一般要求事項 (TIRP21) ASNITE 標準物質生産者認定の一般要求事項 (RMRP21) ASNITE 試験事業者認定の一般要求事

2018年1月1日以降に公示されたの電波法関係主要告示等

日本における情報通信分野の現状と課題

PowerPoint プレゼンテーション

電波利用の安全性の確保 電波防護に関する規制の現状 我が国の電波利用は質 量ともに飛躍的に発展 安心して電波を利用できる環境の整備がますます重要 基地局や放送局 携帯電話端末などの無線設備から発射される電波について 安全基準 ( 電波防護指針 ) を定め それに基づき電波法令により安全性を確保 なお

アマチュア局の無線設備等の変更申請 ( 届 ) 書 平成年 関東総合通信局 殿 申請者 住所 ( 社団の名称 ) 名 ( 社団の 場合は代表者名 ) 印 無線局 ( アマチュア局 ) の下記の事項を変更したい ( した ) ので 別紙の書類を添えて申請 ( 届出 ) します 記 (1) 指定事項 電

untitled

<4D F736F F D2088E396F BB91A28BC EF C8EA695DB8AC78BE695AA816A C826F8AEE8F808F918EE88F878F B2E646F63>

MDSAP の調査結果の 試行的受入れについて ( 独 ) 医薬品医療機器総合機構 品質管理部 登録認証機関監督課 1

<4D F736F F F696E74202D F B8817A93648AC E096BE8E9197BF E >

1. 電波防護に関する規制 の現状について

自動車環境基準の審査

1 趣旨このガイドラインは 日本国内の公道 ( 道路交通法 ( 昭和 35 年法律第 105 号 ) 第 2 条第 1 項第 1 号に規定する 道路 をいう 以下同じ ) において 自動走行システム ( 加速 操舵 制動のうち複数の操作を一度に行い 又はその全てを行うシステムをいう 以下同じ ) を

800MHz 帯OFDM 変調方式テレビジョン放送番組素材伝送システム標準規格

IAF ID X:2014 International Accreditation Forum, Inc. 国際認定機関フォーラム (IAF) IAF Informative Document IAF Informative Document for the Transition of Food S

Microsoft PowerPoint mitsuhashi.ppt [互換モード]

新スプリアス対応について

収 印紙 無線局免許申請書平成年 (50W 以下の局の申請 数料は収 印紙 4,300 円です ) (50W 超の局の申請 数料は収 印紙 8,100 円です ) 関東 総合 通信 局 殿 申請者住所 ( 社団の名称 ) 名 ( 社団の場 合は代表者名 ) 印 無線局 ( アマチュア局 ) を開設し

バリデーション基準 1. 医薬品 医薬部外品 GMP 省令に規定するバリデーションについては 品質リスクを考慮し 以下の バリデーション基準 に基づいて実施すること 2. バリデーション基準 (1) バリデーションの目的バリデーションは 製造所の構造設備並びに手順 工程その他の製造管理及び品質管理の

平成25年度電波の利用状況調査の評価について

バイオマス比率をめぐる現状 課題と対応の方向性 1 FIT 認定を受けたバイオマス発電設備については 毎の総売電量のうち そのにおける各区分のバイオマス燃料の投入比率 ( バイオマス比率 ) を乗じた分が FIT による売電量となっている 現状 各区分のバイオマス比率については FIT 入札の落札案

万八千六百円 ) 3 現に機関登録を受けている者が他の機関登録を受けようとする場合における法第十四条第一項の政令で定める額は 前二項の規定にかかわらず 同条第一項の農林水産省令で定める各区分について 当該各区分が次の各号に掲げる区分のいずれに該当するかに応じ当該各号に定める額とする 一法第二条第二項

Microsoft Word - 認定-部門-URP16-01

平成 29 年 4 月 12 日サイバーセキュリティタスクフォース IoT セキュリティ対策に関する提言 あらゆるものがインターネット等のネットワークに接続される IoT/AI 時代が到来し それらに対するサイバーセキュリティの確保は 安心安全な国民生活や 社会経済活動確保の観点から極めて重要な課題

「犯罪被害者等の安全・安心の確保」への取組状況及び今後の方針

第二世代小電力データ通信システム/ワイヤレスLANシステム標準規格

目次 1 権限の移譲について 問 1 放送法改正に伴う権限移譲とは何か 問 2 小規模施設特定有線一般放送とは何か 2 届出について 問 3 なぜ届出が必要なのか 問 4 基幹放送とは何か 問 5 引込端子の数とは何か 問 6 有料放送とは何か 問 7 同時再放送とは何か 問 8 区域外再放送とは何

<4D F736F F D2093C192E895578F8089BB8B408AD A8EC08E7B977697CC FC90B394C5816A2E646F6378>

特定個人情報の取扱いの対応について

適合性評価とは o 適合性評価とは ( 17000:2004): 製品 プロセス システム 要員又は機関に関する要求規定要求事項が満たされていることの実証 対象 : 製品 プロセス 要員又は機関 規定要求事項 : 明示されたニーズ又は期待 ( 規格 国家規格 業界規格など ) 2 2

電気通信事業法の技術基準 1( 端末設備 ) ( 目的 ) 第一条この法律は 電気通信事業の公共性にかんがみ その運営を適正かつ合理的なものとするとともに その公正な競争を促進することにより 電気通信役務の円滑な提供を確保するとともにその利用者の利益を保護し もつて電気通信の健全な発達及び国民の利便

Microsoft Word - 【発送版】製造所の登録通知

2 前項の申請書には 次に掲げる書類を添付しなければならない ただし 当該申請者が 当該書類に記載された事項をインターネットの利用その他適切な方法により公表している場合であって 当該事項を確認するために必要な事項を記載した書類を同項の申請書と併せて提出するときは 当該事項を記載した書類の添付を省略す

Microsoft Word - (発番)医療機器の製造販売承認申請について

<4D F736F F F696E74202D2093C192E88FAC936497CD96B390FC8B408AED89F090E08F5782F08E B782E982C982CD5F B8CDD8AB B83685D>

スライド 1

員長及び医薬品医療機器等法登録認証機関協議会代表幹事宛て送付するこ ととしていることを申し添えます 記 1. 基本要件基準第 13 条第 5 項及び第 6 項への適合性確認の基本的な考え方について (1)2023 年 ( 平成 35 年 )2 月 28 日 ( 以下 経過措置期間終了日 という )

日本における電気通信端末機器の基準認証制度の最新状況

無線局事項書及び工事設計書 整理番号 1 申請 ( 届出 ) の区分 開設 変更 2 免許の番号 A 第号 3 呼出符号 4 欠格事由 有 無 5 申 氏名 社団 ( クラブ )/ 個人の別 フリガナ 社団 ( クラブ ) 局名 6 工事落成の予定期日 日付指定 :... 予備免許の日から 月目の日

3 治験実施計画書目的 当該治験について 治験実施計画書が手順書に従い適切に作成及び改訂されていることを確認する 次の事項を調べる (1) 治験実施計画書の記載項目 ( 再生医療等製品 GCP 省令第 7 条第 1 項に規定する項目 ) (2) 治験実施計画書の作成 改訂の手順と日付 (3) 治験計

1 監督 検査の意義監督 検査は 会計法 に基づき 契約の適正な履行を確保するための手段です 監督は 通常 製造又は役務の請負契約の履行過程において 必要な立会 工程管理 材料 部品等の審査又は試験 細部設計書の審査 承認等の方法により 検査では確認できない部分について 契約物品に対する要求事項が確

消防法 ( 抄 ) ( 昭和 23 年 7 月 24 日法律第 186 号 ) 最終改正 : 平成 27 年 9 月 11 日法律第 66 号 第 17 条 ( 消防用設備等の設置 維持と特殊消防用設備等の適用除外 ) 学校 病院 工場 事業場 興行場 百貨店 旅館 飲食店 地下街 複合用途防火対象

の差については確認できないが 一般的に定温で流通している弁当の管理方法等についてアンケートにより調査した その結果 大部分の事業者が管理温度の設定理由として JAS 規格と同様に食味等の品質の低下及び微生物の繁殖を抑えることを挙げ 許容差は JAS 規格と同様に ±2 としていた また 温度の測定方

遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律の概要 目的国際的に協力して生物の多様性の確保を図るため 遺伝子組換え生物等の使用等の規制に関する措置を講ずることにより 生物多様性条約カルタヘナ議定書 ( 略称 ) 等の的確かつ円滑な実施を確保 主務大臣による基本的事項の公表 遺

<4D F736F F F696E74202D208EFC A6D95DB939982C98AD682B782E988D38CA98F9182CC8E518D6C8E9197BF5F E707074>

PSP 省令 と それぞれ略称する 記 1. 改正施行規則について希少疾病用医療機器その他の医療上特にその必要性が高いと認められる医療機器であり かつ 当該医療機器についての臨床試験の実施に特に長期間を要すると認められるものに係る承認申請をする場合においては 改正 GVP 省令第 9 条の3 第 1

IAF 活動報告 公益財団法人日本適合性認定協会認定センター

<4D F736F F D20819B B C83588E9197BF A B89B9817A8DC58F492E646F63>

WiMAX2+ サービス特約 第 1 章総則 ( 目的 ) 第 1 条 WiMAX2+ サービス特約 ( 以下 本特約 といいます ) は UQコミュニケーションズ株式会社 ( 以下 UQ といいます ) がMNO として提供する WiMAX2+ 等のアクセス回線 ( 以下 W imax2+ 回線

1. 目次 青少年インターネット環境整備法及び関連規定に関する携帯電話インターネット接続役務提供事業者等向け Q&A 目次 関係法令一覧 Q&A... 4 法第 2 条 ( 定義 ) 関係... 4 法第 13 条 ( 青少年確認義務 ) 関係... 4

日本国法務省 外務省 厚生労働省及び警察庁とカンボジア王国労働職業訓練省との間の在留資格 特定技能 を有する外国人に係る制度の適正な運用のための情報連携の基本的枠組みに関する協力覚書 ( 仮訳 ) 日本国法務省 外務省 厚生労働省及び警察庁 ( 以下 日本の省庁 と総称する ) 並びにカンボジア王国

目次序文 適用範囲 引用文書 用語と定義 一般要求事項 法的及び契約上の事項 法的責任 認証の合意 ライセンス, 認証書及び適合マークの使用... 5

職員の私有車の公務使用に関する要綱 ( 目的 ) 第 1 条この要綱は, 地方公務員法 ( 昭和 25 年法律第 261 号 ) 第 3 条第 2 項に規定する一般職の職員 ( 期限付教員以外の臨時的任用職員を除く ) および同条第 3 項第 3 号に規定する特別職 ( 以下 職員 という ) が私

湯河原町訓令第  号

<4D F736F F D E838B8AC888D596B390FC8BC782CC88DA93AE94CD88CD82CC8A6791E52E646F6378>

<4D F736F F F696E74202D208E8E8CB18F8A944692E88D918DDB93AE8CFC E616C E B8CDD8AB B83685D>

個人情報の保護に関する規程(案)

資料 15 機密性 1 IAJapan 認定シンボルの使用及び認定の主張等に関する適用方針 1/11 URP1X-01 IAJapan 認定シンボルの使用及び 認定の主張等に関する適用方針 ( 第 1 版 )( 案 ) 平成 30 年月日 独立行政法人製品評価技術基盤機構 認定センター このファイル

SGEC 附属文書 理事会 統合 CoC 管理事業体の要件 目次序文 1 適用範囲 2 定義 3 統合 CoC 管理事業体組織の適格基準 4 統合 CoC 管理事業体で実施される SGEC 文書 4 CoC 認証ガイドライン の要求事項に関わる責任の適用範囲 序文

150MHz 帯デジタルデータ通信設備のキャリアセンスの技術的条件 ( 案 ) 資料 - 作 4-4

改正後第 2 章通関業 第 1 節許可 新旧対照表 別紙 3 通関業法基本通達( 昭和 47 年 3 月 1 日蔵関第 105 号 ) ( 注 ) 下線を付した箇所が改正部分である 改正前第 2 章通関業第 1 節許可 3-8 削除 ( 譲渡 相続 合併又は分割の場合における通関業の許可の効果 )

PowerPoint プレゼンテーション

.a.._4..+.C..pdf.p.p65

諮問第 30 号説明資料 無線従事者規則の一部を改正する省令案について - 営利法人による無線従事者の認定講習課程の実施等について - 1 改正の理由 無線従事者制度における受益者の利便性の向上等を図るため 以下のとおり 無線従事者規則の見直しを行うこととした (1) 災害発生時における特例規定の制

文書管理番号

Microsoft PowerPoint - 03 【別紙1】実施計画案概要v5 - コピー.pptx

504 特定事業等に係る外国人の入国 在留諸申請優先処理事業 1. 特例を設ける趣旨外国人研究者等海外からの頭脳流入の拡大により経済活性化を図る地域において 当該地域における特定事業等に係る外国人の受入れにあたり 当該外国人の入国 在留諸申請を優先的に処理する措置を講じることにより 当該地域における


宮城県道路公社建設工事総合評価落札方式(簡易型及び標準型)実施要領

によっては認識することができない方式で作られる記録であって 電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう 二及び三において同じ )をいうものとすること 二この法律において 電子契約 とは 事業者が一方の当事者となる契約であって 電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法に

<4D F736F F D2091E498704E43432D BAD90A78B4B92E88A C668DDA DC58F4994C5816A>

-2- 経済産業大臣茂木敏充国土交通大臣太田昭宏環境大臣石原伸晃防衛大臣小野寺五典(認定申請書の提出)第一条研究開発システムの改革の推進等による研究開発能力の強化及び研究開発等の効率的推進等に関する法律(平成二十年法律第六十三号)第二条第七項に規定する試験研究機関等(以下 試験研究機関等 という )

1 資料 1 パーソナルデータの利活用に関する制度改正に係る法律案の骨子 ( 案 ) TM 2014 年 12 月 19 日 内閣官房 IT 総合戦略室 パーソナルデータ関連制度担当室

することが困難又は不合理である無線設備の技術的条件 ( 平成 5 年郵政省告示 第 123 号 ) 等を廃止する告示案 < 訓令案 > (15) 電波法関係審査基準 ( 平成 13 年総務省訓令第 67 号 ) の一部を変更する訓令案 2 意見公募の趣旨 目的 背景 別添の報道資料の 1 背景 のと

ビジネスにおける適合性評価の活用

電波法関係審査基準 ( 平成 13 年 1 月 6 日総務省訓令第 67 号 ) の一部を改正する訓令案新旧対照表 ( 下線部は変更箇所を示す ) 改正案 現行 別紙 2 ( 第 5 条関係 ) 無線局の目的別審査基準 別紙 2 ( 第 5 条関係 ) 無線局の目的別審査基準 第 1 ( 略 ) 第

149002_nintei.indd

処分に関する規則(案)

資料4  道路運送車両法改正後(平成17年1月以降)の処理状況

目 次 1. トップランナー制度について 1トップランナー制度の概要について 3 2トップランナー基準に関する基本的な考え方について 5 3トップランナー基準に関する主な規定について 8 4トップランナー基準策定及び運用の流れについて 9 2. ラベリング制度について 1ラベリング制度の概要について

Microsoft Word - 04 【別添】基本的方針案v5.docx

特定個人情報の取扱いの対応について

Prepaid LTE SIMサービスについて 本サービスは 株式会社 NTTドコモが日本国内で提供する Xi および FOMA のネットワークを用いたモバイルインターネット接続サービスです 回線交換サービス ( 通話 ショートメッセージサービスなど ) のご利用はできません 本サービス上に定める通

Transcription:

資料制 WG6-4 無線設備の適正な基準認証に向けて ~ フェイクデータ対策の必要性 ~ 2016 年 3 月 18 日 中西伸浩 ( 株 ) ディーエスピーリサーチ D.S.P.Research 2016.02 1

我が国の電波法における基準認証制度の現状 小規模な無線局に使用するための無線設備であって総務省令で定めるもの ( 特定無線設備 : 携帯電話端末 無線 LAN 等 ) について 事前に総務大臣の登録を受けた者 ( 登録証明機関 ) において電波法で定める技術基準に適合している旨の証明等を受け 総務省令で定める表示 ( いわゆる技適マーク ) が付されている場合は 免許手続時の検査の省略等の無線局開設のための手続きにおいて特例措置を受けることができる 2

特定無線設備の区分と登録証明機関 ( 平成 28 年 3 月 1 日現在 ) 特定無線設備区分 1: 免許等不要局 :24 種別無線 LAN,Bluetooth 等 ( 電波法第 38 条の 2 の 2 第 1 項第 1 号に定める機器 ) 区分 2: 特定無線局 ( 電波法第 27 条の 2 第 1 号に限る ) :37 種別携帯電話端末等 ( 電波法第 38 条の 2 の 2 第 1 項第 2 号に定める機器 ) 区分 3: その他 :103 種別 ( 包括免許対象局の一部 簡易な免許手続又は登録の対象となる無線局 ) 携帯電話基地局 5GHz 帯無線アクセスシステム等 ( 電波法第 38 条の 2 の 2 第 1 項第 3 号に定める機器 ) 登録証明機関名 事業の区分 001 一般財団法人テレコムエンジニアリングセンター区分 1 区分 2 区分 3 002 一般財団法人日本アマチュア無線振興協会区分 3 003 ( 株 ) ディーエスピーリサーチ区分 1 区分 2 区分 3 005 テュフ ラインランド ジャパン ( 株 ) 区分 1 区分 2 区分 3 006 SGS アールエフ テクノロジー ( 株 ) 区分 1 区分 2 区分 3 007 ( 株 )UL Japan 区分 1 区分 2 区分 3 008 ( 株 ) コスモス コーポレイション区分 1 区分 2 区分 3 010 ( 株 ) イー オータマ区分 1 区分 2 区分 3 011 テュフズードザクタ ( 株 ) 区分 1 区分 2 区分 3 012 インターテックジャパン ( 株 ) 区分 1 区分 2 区分 3 013 一般財団法人日本品質保証機構区分 1 016 ( 株 ) 日本電波法認証ラボラトリー区分 1 区分 2 区分 3 017 一般財団法人電気安全環境研究所区分 1 区分 2 区分 3 018 ( 株 ) 認証技術支援センター区分 1 区分 2 区分 3 3

電気通信機器に関する相互承認協定 (MRA) MRA(Mutual Recognition Agreement) 相互承認協定 (MRA:Mutual Recognition Agreement) は 電気通信機器の技術基準への適合性評価の結果を日本国と外国との間で相互に受け入れる制度 電気通信機器に関しては 日欧間 ( 平成 14 年 1 月発効 ) 日シンガポール間( 平成 14 年 11 月発効 ) 日米間( 平成 20 年 1 月発効 ) でMRAを締結 MRA 実施前 MRA 実施後 日本 1 申請 外国 日本に機器を輸出する場合 日本の適合性評価機関に対して申請を行うこと適合性評価機関が必要 ( 時間や費用を要する ) 2 適合性評価 日本 日本向けの申請が相手国内で実施可能 期間の短縮 費用の縮減 1 申請 外国 適合性評価機関 2 適合性評価 外国の基準を日本国内で審査 日本の市場 3 輸出 製造業者等 日本の市場 3 輸出 製造業者等 4

登録外国適合性評価機関 ( 平成 28 年 3 月 1 日現在 ) 登録外国適合性評価機関 事業の区分 201 Telefication BV ( 蘭 ) 区分 1 区分 2 区分 3 202 CETECOM ICT Service GmbH ( 独 ) 区分 1 区分 2 区分 3 203 BABT ( 英 ) 区分 1 204 Phoenix Testlab GmbH ( 独 ) 区分 1 区分 2 区分 3 205 TRaC Telecoms & Radio Ltd ( 英 ) 区分 1 区分 2 区分 3 206 EMCC Dr. Rasek GmbH ( 独 ) 区分 1 区分 2 区分 3 207 BV LCIE ( 仏 ) 区分 1 区分 2 区分 3 208 Siemic, Inc. ( 米 ) 区分 1 209 ACB, Inc. ( 米 ) 区分 1 区分 2 区分 3 210 MiCOM Labs ( 米 ) 区分 1 区分 2 区分 3 211 Bay Area Compliance Laboratories Corp( 米 ) 区分 1 区分 2 区分 3 212 UL Verification Service Inc.( 米 ) 区分 1 区分 2 5

工事設計認証件数の年度ごとの推移 14000 25.0% 12000 MRA( 米 ) MRA( 欧 ) 267 1289 21.3% 176 248 20.0% 10000 登録証明機関 MRA 利用率 ( ) 1920 2262 18.0% ( 件 ) 8000 11.0% 10.9% 11.9% 14.6% 12.6% 128 14.0% 1056 12.1% 15.0% 6000 9.6% 787 11293 10.0% 4000 6.5% 433 493 627 738 7264 9550 9271 2000 4.4% 121 2638 199 315 2884 2968 3495 4031 4652 4320 5450 5.0% 0 H15 年度 H16 年度 H17 年度 H18 年度 H19 年度 H20 年度 H21 年度 H22 年度 H23 年度 H24 年度 H25 年度 H26 年度 0.0% ( )MRA 利用率 全認証件数に対して MRA による認証件数が占める割合 6

日米欧の適合性評価機関の比較 監督機関総務省 FCC 各国の主管庁 適合性評価機関の要件総務省が定める要件 ISO/IEC17065 1 ISO/IEC17065 1 試験所の要件なし ISO/IEC17025 2 ISO/IEC17025 2 試験方法総務省が定める告示等 ANSI 3 等が定める規格 ETSI 4 規格を参照 適合性評価機関における外部の試験データの受入れ 制限なし ISO/IEC17025 を取得している試験所 ( 海外の場合は MRA 締結国のみ ) 基本は ISO/IEC17025 を取得している 17025 試験所 認証情報の開示 総務省ウェブサイトで概要のみを公開 FCC のデータベースで試験結果等詳細を公開 新設 RE 指令で検討中 1 国際標準化機構 (ISO) 及び国際電気標準会議 (IEC) が策定する試験所 校正機関に対する要求事項 2 ISO 及び IEC が策定する製品認証機関に対する要求事項 3 米国国家規格協会 4 欧州電気通信標準化機構 7

試験所 適合性評価機関 ( 登録証明機関 ) の信頼性 自動車運送の安全運行 道路運送法自動車運転免許制度自動車検査登録制度 特定無線設備試験結果の信頼性 適合性評価機関監査制度 試験所認定監査制度 測定機器較正の規定 (ISO/IEC 17065) (ISO/IEC17025) 8

フェイクデータ問題 フェイクデータとは 2011 年頃から 世界各国で表面化してきたもので 技術基準適合性評価において 何らかの改ざんや流用が行われている ( おそれがある ) データ 実際に試験が行われていない ( と疑われる ) データ等が使用されているもの FCC において 小数第 2 位まで同一の試験データを FCC データベースで検索したところ ある機器の試験レポートに 数年前の別の機器の試験データを使い回している試験所などを発見した といった報告がなされている この結果を踏まえ 各地域の関連団体が調査や研究等を開始している 関連団体 : TCB Council, RED-CA, APECTEL MRATF, ICCJ 等 各国の対応策 米国 欧州 2014 年 12 月の Report and Order で 2016 年 7 月以降は MRA を締結していない国に関しては ISO/IEC17025 を取得している試験所であっても その試験レポートの受入れを制限 認証結果のデータベース化を検討しているほか RED-CA 等で事例の共有等を行っている 日本の現状日本において フェイクデータは大きく表面化していないが 各国と同様にフェイクデータが存在している蓋然性は高いと考えられる 国として効果的な対策を具体的に検討すべきではないか? 9

特性試験結果レポート 10

事例 1: 測定結果の流用 無線設備 測定結果 周波数許容偏差占有周波数帯域幅不要輻射 無線設備 A 情報保護のため画像を加工しています 別の無線設備 測定結果は同じ 測定結果は同じ 測定結果は同じ 無線設備 B 情報保護のため画像を加工しています 11

事例 2: 画像の貼付け (1/3) ( スプリアス試験の場合 ) スプリアス発射の測定測定モードが Peak Span が 1MHz であるため Sample モードでゼロ スパンの測定を依頼 12

事例 2: 画像の貼付け (2/3) 翌日 左記データが送付される しかし 時間軸を確認すると このデータは 前日のデータの 57 秒後に測定されている 怪しい? 確かにサンプルモードになっている ただし 0MHz Span 測定になっていないのでゼロ スパン測定を依頼 13

事例 2: 画像の貼付け (3/3) 3 週間後に 届いたレポート 同じ日付と時間 ゼロ スパンにすると横軸は時間軸となるが この画像は周波数 Graphics Technology! 14

事例 3: 測定器の偽装 (1/3) 15

事例 3: 測定器の偽装 (2/3) プロトコル出力リスト アジレント社の出力データ 16

事例 3: 測定器の偽装 (3/3) 全ページの 1 行の詳細データ緊急通報詳細データ ローデ シュワルツ社 CMW500 の出力データ 17

事例 4: 試験レポートの偽装 (1/2) 技術基準 : 拡散率 = 拡散帯域幅 最大伝送速度のシンボルレート (1.375M/ シンボル ) ワイアレス LAN 1-13ch: 拡散率 5 以上 ワイアレス LAN 14ch: 拡散率 10 以上 18

記憶と勘そして特殊器具 19

事例 4: 試験レポートの偽装 (2/2) 技術基準 : 拡散率 = 拡散帯域幅 最大伝送速度のシンボルレート (1.375M/ シンボル ) ワイアレス LAN 1-13ch: 拡散率 5 以上 ワイアレス LAN 14ch: 拡散率 10 以上 作為的に測定器を操作しないと 同じ波形で 違った拡散帯域幅は 出ない 20

日本におけるフェイクデータへの対応 適切な環境で実測された試験データであることなどを担保する仕組みを検討すべきではないかと思います 具体的な対策( 案 ) 1 認証に関するデータのデータベース化 関係者間での共有 公開 2 申請データの信ぴょう性を保証するため ISO/IEC17025 認定の試験所による場合のみを受入れ可能にすること 3 国際的にも認知される登録証明機関となるよう 登録要件としてISO/IEC17065 認定を追加すること等 大規模な制度改正をすることで時期を逸するよりも 実現可能なものから優先的に対処していくことが重要ではないかと思います 認証に関するデータの DB 化については 業務の透明性を図ることにもなり 国際的な信頼性を確保することにも繋がることから 登録証明機関として協力できるものと思います なお DB の公開に当たっては 製造業者等のパテントなどを考慮することが必要であり FCC では このような部分を非公開にする等の配慮をして公開しています また より効果的に事案に対処するため DB 化した情報から効率的にデータの偽装や流用を探索 発見する技術の開発やシステム化に取り組むとともに 事案に迅速に対処できる体制の構築についても 検討を進めていかれるべきだと思います 21

参考資料 22

( 参考 ) 登録証明機関の要件 義務等 登録証明機関の登録の要件 知識経験を有する者が技術基準適合証明等を行うこと 較正等を受けた測定器その他の設備を使用して技術基準適合証明等を行うこと 特定無線設備の製造業者 輸入業者又は販売業者に支配されていないこと 5 年ごとに登録の更新を受けること 登録証明機関の義務 登録証明機関は その登録に係る技術基準適合証明を行うべきことを求められたときは 正当な理由がある場合を除き 遅滞なく技術基準適合証明のための審査を行うこと 登録証明機関は 較正等を受けた測定器その他の設備を使用し かつ 知識経験を有する者に行わせること 測定器その他設備の条件 1 年に 1 回の較正を行うこと 総務省への報告 登録証明機関は 次の内容について 総務省へ月 2 回報告することとされている - 技術基準適合証明 ( 工事設計認証 ) を受けた者の氏名又は名称 - 技術基準適合証明 ( 工事設計認証 ) を受けた者の住所及び法人にあっては その代表者の氏名 - 特定無線設備の種別 - 特定無線設備の型式又は名称 - 技術基準適合証明 ( 工事設計認証 ) 番号 - 電波の型式 周波数及び空中線電力 - 設備規則第 14 条の 2 第 1 項の規定が適用される無線設備である場合には その旨 - 技術基準適合証明 ( 工事設計認証 ) をした年月日 23

ありがとうございました 中西伸浩 ( 株 ) ディーエスピーリサーチ nob-nakanishi@dspr.co.jp D.S.P.Research 2016.02 24