最近10 年間の動き(平成11 年7月~21 年6月)

Similar documents
法人会の税制改正に関する提言の主な実現事項 ( 速報版 ) 本年 1 月 29 日に 平成 25 年度税制改正大綱 が閣議決定されました 平成 25 年度税制改正では 成長と富の創出 の実現に向けた税制上の措置が講じられるともに 社会保障と税の一体改革 を着実に実施するため 所得税 資産税についても

平成18年度地方税制改正(案)について

1 検査の背景 (1) 租税特別措置の趣旨及び租税特別措置を取り巻く状況租税特別措置 ( 以下 特別措置 という ) は 租税特別措置法 ( 昭和 32 年法律第 26 号 ) に基づき 特定の個人や企業の税負担を軽減することなどにより 国による特定の政策目的を実現するための特別な政策手段であるとさ

改正された事項 ( 平成 23 年 12 月 2 日公布 施行 ) 増税 減税 1. 復興増税 企業関係 法人税額の 10% を 3 年間上乗せ 法人税の臨時増税 復興特別法人税の創設 1 復興特別法人税の内容 a. 納税義務者は? 法人 ( 収益事業を行うなどの人格のない社団等及び法人課税信託の引

< F31322D89FC90B390C C18F578D8692C7985E5B315D2E6A74>

Microsoft Word 役立つ情報_税知識_.doc

平成23年度税制改正の主要項目

注 1 認定住宅とは 認定長期優良住宅及び認定低炭素住宅をいう 注 2 平成 26 年 4 月から平成 29 年 12 月までの欄の金額は 認定住宅の対価の額又は費用の額に含まれる消費税等の税率が 8% 又は 10% である場合の金額であり それ以外の場合における借入限度額は 3,000 万円とする

企業中小企(2) 所得拡大促進税制の見直し ( 案 ) 大大企業については 前年度比 以上の賃上げを行う企業に支援を重点化した上で 給与支給総額の前年度からの増加額への支援を拡充します ( 現行制度とあわせて 1) 中小企業については 現行制度を維持しつつ 前年度比 以上の賃上げを行う企業について

(1) 相続税の納税猶予制度の概要 項目 納税猶予対象資産 ( 特定事業用資産 ) 納税猶予額 被相続人の要件 内容 被相続人の事業 ( 不動産貸付事業等を除く ) の用に供されていた次の資産 1 土地 ( 面積 400 m2までの部分に限る ) 2 建物 ( 床面積 800 m2までの部分に限る

<4D F736F F F696E74202D E93788E968BC68FB38C7090C590A789FC90B38A E >

参考 平成 27 年 11 月 政府税制調査会 経済社会の構造変化を踏まえた税制のあり方に関する論点整理 において示された個人所得課税についての考え方 4 平成 28 年 11 月 14 日 政府税制調査会から 経済社会の構造変化を踏まえた税制のあり方に関する中間報告 が公表され 前記 1 の 配偶

障財源化分とする経過措置を講ずる (4) その他所要の措置を講ずる 2 消費税率の引上げ時期の変更に伴う措置 ( 国税 ) (1) 消費税の軽減税率制度の導入時期を平成 31 年 10 月 1 日とする (2) 適格請求書等保存方式が導入されるまでの間の措置について 次の措置を講ずる 1 売上げを税

平成 31 年度 税制改正の概要 平成 30 年 12 月 復興庁

1. 復興基本法 復興の基本方針 B 型肝炎対策の基本方針における考え方 復旧 復興のための財源については 次の世代に負担を先送りすることなく 今を生きる世代全体で連帯し負担を分かち合うこととする B 型肝炎対策のための財源については 期間を限って国民全体で広く分かち合うこととする 復旧 復興のため

3. 住宅税制 消費税率の引上げに伴う一時の税負担の増加による影響を平準化し 及び緩和する観 点から 住宅税利について以下のとおり所要の措置を講じます 住宅ローン減税を平成 26 年 1 月 1 日から平成 29 年末まで 4 年間延長し その期間のうち平成 26 年 4 月 1 日から平成 29

野村資本市場研究所|顕著に現れた相続税制改正の影響-課税対象者は8割増、課税割合は過去最高の8%へ-(PDF)

<4D F736F F D20837A815B B83578C668DDA BD90AC E937890C590A789FC90B382C98AD682B782E D81762E646F63>

事業承継税制の概要 事業承継税制は である受贈者 相続人等が 円滑化法の認定を受けている非上場会社の株式等を贈与又は相続等により取得した場合において その非上場株式等に係る贈与税 相続税について 一定の要件のもと その納税を猶予し の死亡等により 納税が猶予されている贈与税 相続税の納付が免除される

現代資本主義論

(0830時点)PR版

土地建物等の譲渡損失は 同じ年の他の土地建物等の譲渡益から差し引くことができます 差し引き後に残った譲渡益については 下記の < 計算式 2> の計算を行います なお 譲渡益から引ききれずに残ってしまった譲渡損失は 原則として 土地建物等の譲渡所得以外のその年の所得から差し引くこと ( 損益通算 )

消費税率引上げ時期の変更に伴う税制上の措置

土地の譲渡に対する課税 農地に限らず 土地を売却し 譲渡益が発生すると その譲渡益に対して所得税又は法人税などが課税される 個人 ( 所得税 ) 税額 = 譲渡所得金額 15%( ) 譲渡所得金額 = 譲渡収入金額 - ( 取得費 + 譲渡費用 ) 取得後 5 年以内に土地を売却した場合の税率は30

事業承継関連税制について 関東経済産業局 平成 30 年 6 月 中小企業金融課

[2] 株式の場合 (1) 発行会社以外に譲渡した場合株式の譲渡による譲渡所得は 上記の 不動産の場合 と同様に 譲渡収入から取得費および譲渡費用を控除した金額とされます (2) 発行会社に譲渡した場合株式を発行会社に譲渡した場合は 一定の場合を除いて 売却価格を 資本金等の払戻し と 留保利益の分

公益法人の寄附金税制について

目 次 (1) 財政事情 1 (2) 一般会計税収 歳出総額及び公債発行額の推移 2 (3) 公債発行額 公債依存度の推移 3 (4) 公債残高の累増 4 (5) 国及び地方の長期債務残高 5 (6) 利払費と金利の推移 6 (7) 一般会計歳出の主要経費の推移 7 (8) 一般会計歳入の推移 8

(2) 青色申告書を提出する中小企業者等 ( 平成 3 年 4 月 日以後開始する事業年度については 適用除外事業者 ( 注 4) を除く ) が 平成 30 年 4 月 日から平成 33 年 3 月 3 日までの間に開始する各事業年度において 国内雇用者に対して給与等を支給する場合に継続雇用者給与

< F2D E738BC794B A C8892E >

資料8-2 平成29年度文部科学関係税制改正事項

15 18 定率減税の縮減 (15% 控除 7.5% 控除 (2 万円上限 )) 資本金等の額 ( 税法に規定する資本金等の額又は連結個別資本金等の額 ) が 50 億円超 800,000 円 10 億円超 50 億円以下 540,000 円 1 億円超 10 億円以下 130,000 円 1 千万

2. 制度の概要 この制度は 非上場株式等の相続税 贈与税の納税猶予制度 とは異なり 自社株式に相当する出資持分の承継の取り扱いではなく 医療法人の出資者等が出資持分を放棄した場合に係る税負担を最終的に免除することにより 持分なし医療法人 に移行を促進する制度です 具体的には 持分なし医療法人 への

給与所得控除額の改正前後の比較 改正前 改正後 給与等の収入金額給与所得控除額給与等の収入金額給与所得控除額 180 万円以下 収入金額 40% 65 万円に満たない場合は 65 万円 180 万円以下 収入金額 40%-10 万円 55 万円に満たない場合は 55 万円 180 万円超 360 万

地方税法等の一部を改正する法律案の概要 総務省 1 地方法人課税における新たな偏在是正措置 平成 31 年 10 月 1 日施行 都市 地方の持続可能な発展のための地方税体系の構築の観点から 特別法人事業税及び特別法人事業譲与税に関する法律案 において特別法人事業税 ( 国税 ) を創設することに併

平成24年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度(閣議了解)

目 次 (1) 財政事情 1 (2) 一般会計税収 歳出総額及び公債発行額の推移 2 (3) 公債発行額 公債依存度の推移 3 (4) 公債残高の累増 4 (5) 国及び地方の長期債務残高 5 (6) 利払費と金利の推移 6 (7) 一般会計歳出の主要経費の推移 7 (8) 一般会計歳入の推移 8

N 譲渡所得は 売却した土地や借地権 建物などの所有期間によって 長期譲渡所得 と 短期譲渡所得 に分けられ それぞれに定められた税率を乗じて税額を計算します この長期と短期の区分は 土地や借地権 建物などの場合は 売却した資産が 譲渡した年の1 月 1 日における所有期間が5 年以下のとき 短期譲

概算要求基準等の推移

目 次 最近における相続税の課税割合 負担割合及び税収の推移 1 地価公示価格指数と基礎控除(58 年 =100) の推移 2 最近における相続税の税率構造の推移 3 小規模宅地等の課税の特例の推移 4 相続税負担の推移( 東京都区部のケース ) 5 ( 補足資料 ) 相続税の概要 6 相続税の仕組

住宅取得等資金の贈与に係る贈与税の非課税制度の改正

<4D F736F F D F95BD90AC E937890C590A789FC90B D88D38CA981698AAE816A C882C781A A2E646

Microsoft Word - 平成15年税制改正(2).doc

望の内容平成 28 年度税制改正 ( 租税特別措置 ) 要望事項 ( 新設 拡充 延長 ) ( 経済産業省経済産業政策局産業再生課 ) 制度名産業競争力強化法に基づく事業再編等に係る登録免許税の軽減措置 税 目 登録免許税 ( 租税特別措置法第 80 条 ) ( 租税特別措置法施行令第 42 条の

Microsoft PowerPoint - ‡g‡o„´“e†iH18’Å’§›ü’³†j0403

る中小 小規模事業者の事業基盤の強化を税制面からもバックアップしていくことが極めて重要でありま す そこで 以下の点について見直しをされるよう要望いたします 1 中小法人への法人税の軽減税率の適用所得金額を 2 倍程度に引上げること 2 所得税の青色申告書を提出した年分の純損失の繰越控除期間を 3

PowerPoint プレゼンテーション

下では特別償却と対比するため 特別控除については 特に断らない限り特定の機械や設備等の資産を取得した場合を前提として説明することとします 特別控除 内容 個別の制度例 特定の機械や設備等の資産を取得して事業の用に供したときや 特定の費用を支出したときなどに 取得価額や支出した費用の額等 一定割合 の

未成年者控除 障害者控除の見直し 未成年者控除 障害者控除 6 万円 20 歳に達するまでの年数 6 万円 ( 特別障害者 :12 万円 ) 85 歳に達するまでの年数 10 万円 20 歳に達するまでの年数 10 万円 ( 特別障害者 :20 万円 ) 85 歳に達するまでの年数 小規模宅地等につ

第6回税制調査会 総6-3

(2) 消費税率 10% への引上げ時に導入が予定されている軽減税率制度については 消費税 地方消費税の引上げ分のうち地方交付税原資分も含めると 約 3 割が地方の社会保障財源であり 仮に減収分のすべてが確保されない場合 地方の社会保障財源に影響を与えることになることから 確実に代替財源を確保するこ

N 譲渡所得は 売却した土地や借地権 建物などの所有期間によって 長期譲渡所得 と 短期譲渡所得 に分けられ それぞれに定められた税率を乗じて税額を計算します この長期と短期の区分は 土地や借地権 建物などの場合は 売却した資産が 譲渡した年の1 月 1 日における所有期間が5 年以下のとき 短期譲

[000]目次.indd

平成16年版 真島のわかる社労士

<4D F736F F F696E74202D C8E8693FC A F F95BD90AC E937889E482AA8D9182CC8DE090AD8E968FEE816990AD957B88C4816A2E >

平成19年度分から

(2) 源泉分離課税制度源泉分離課税制度とは 他の所得と全く分離して 所得を支払う者 ( 銀行 証券会社等 ) がその所得の支払の際に 一定の税率で所得税を源泉徴収し それだけで所得税の納税が完結するものです 1 対象となる所得代表的なものとして 預金等の利子所得 定期積金の給付補てん金等があります

<4D F736F F D20819A89FC90B38A E937D91E58D6A816A BC78B638CE381A8835A E646F63>

PowerPoint プレゼンテーション

Ⅰ 法人関連税制 1 減価償却制度 2 年連続の大改正になった背景 減価償却制度については 平成 19 年度税制改正により 残存価額および償却可能限度額の取扱いが廃止される大改正が行われ 定率法はいわゆる 250% 定率法 と呼ばれる従来にない新しい計算の仕組みが採用されました そして平成 20 年

Microsoft PowerPoint - 【0918】統合版.pptx

プレゼン

参考 3 平成 27 年度税制改正に関する提言 ( 要約 ) 基本的な課題 Ⅰ. 社会保障と税の一体改革と今後のあり方 1. 社会保障制度のあり方に対する基本的考え方 我が国の社会保障制度は 中福祉 低負担 であり 高齢化社会の急進展により今後の社会保障給付は急速な増大が不可避とされることから 社会

(1) 改正の内容 内容 現行制度 特例制度 納税猶予対象株式 納税猶予税額 発行済議決権株式総数の 3 分の 2 に達するまでの株式 贈与の場合 : 納税猶予対象株式に係る贈与税の全額 相続の場合 : 納税猶予対象株式に係る相続税の 80% 取得した全ての株式 贈与の場合 : 納税猶予対象株式に係

Ⅰ 家計の自助努力による資産形成を支援するための税制措置 1. つみたて NISA の制度期限の延長 NISA 制度の恒久化 根拠法の制定等 1つみたて NISA について 平成 49 年までとされている投資可能期間 ( 制度期限 ) を延長することにより 来年以降に投資を開始しても投資可能期間が少

平成23年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度(閣議了解)

H29租特評価書「産業競争力強化法に基づく事業再編等に係る登録免許税の軽減措置の延長」

13. 平成 29 年 4 月に中古住宅とその敷地を取得した場合 当該敷地の取得に係る不動産取得税の税額から 1/2 に相当する額が減額される 14. 家屋の改築により家屋の取得とみなされた場合 当該改築により増加した価格を課税標準として不動産 取得税が課税される 15. 不動産取得税は 相続 贈与

3. 研究の概要等 1 章では 第 1 節で相続税法の歴史的経緯について 特に贈与の位置づけの変遷を中心に概観し 明治 38 年に創設された相続税法での贈与に対する扱いはどうであったのか また 昭和 22 年のシャベル勧告により贈与税が導入され 昭和 25 年のシャウプ勧告で廃止 その後 昭和 28

Microsoft Word 【資料】 抜本改革法案 概要.doc

1 1. 課税の非対称性 問題 1 年をまたぐ同一の金融商品 ( 区分 ) 内の譲渡損益を通算できない問題 問題 2 同一商品で 異なる所得区分から損失を控除できない問題 問題 3 異なる金融商品間 および他の所得間で損失を控除できない問題

資産運用として考える アパート・マンション経営

ついて 初年度 % の特別償却又は 7% の税額控除を認める制度の適 用期限を 2 年間延長する 2. 中小企業の事業承継を円滑に進める観点からの見直しを行うこと わが国では 中小企業の事業承継に関する税制として 一定の条件のもとに 自社株を相続する場合に相続税の課税価格を10% 軽減する制度等が設

個人市民税 控除・税率等の変遷【市民税課】

スライド 1

1 制度の概要 (1) 金融機関の破綻処理に係る施策の実施体制金融庁は 預金保険法 ( 昭和 46 年法律第 34 号 以下 法 という ) 等の規定に基づき 金融機関の破綻処理等のための施策を 預金保険機構及び株式会社整理回収機構 ( 以下 整理回収機構 という ) を通じて実施してきている (2

相続税・贈与税の基礎と近年の改正点

平成 25 年度税制改正解説相続税 ~ 基礎控除の引き下げ 税率構造の見直し等 法定相続人の数と基礎控除法定相続人の数と基礎控除 法定相続人の数 1 人 2 人 3 人 4 人 5 人 60,000 千円 70,000 千円 80,000 千円 90,000 千円 100,000 千円 36,000

資料9

平成 28 年度税制改正の概要 1. 復興特区関係 * (1) 機械等に係る特別償却等の特例措置の5 年延長及び要件の緩和 * 要件緩和 : 建築物整備事業 ( テナント建物 ) の構造要件について まちなか再生計画に位置付けられた場合には 非耐火構造でも対象となるよう緩和 (2) 被災雇用者等を雇

平成20年度税制改正(地方税)要望事項

( 億円 ) ( 億円 ) 営業利益 経常利益 当期純利益 2, 15, 1. 金 16, 額 12, 12, 9, 営業利益率 経常利益率 当期純利益率 , 6, 4. 4, 3, 2.. 2IFRS 適用企業 1 社 ( 単位 : 億円 ) 215 年度 216 年度前年度差前年度

PowerPoint プレゼンテーション

Taro-★【2月Ver】01~05. ⑲計

<4D F736F F D2095BD90AC E937890C590A789FC90B382C98AD682B782E D5F E646F63>

<4D F736F F F696E74202D2095BD90AC E937888D38CA98F F D8E968D80816A5F8DC58F492E >

Microsoft Word - 第53号 相続税、贈与税に関する税制改正大綱の内容

平成21年度税制改正について

平成19年度税制改正.xls

2 政策体系における政策目的の位置付け 3 達成目標及び測定指標 4-5 福島 震災復興 租税特別措置等により達成しようとする目標 政策の達成目標と同じ 租税特別措置等による達成目標に係る測定指標 仮設施設の整備数 8 有効性等 政策目的に対する租税特別措置等の達成目標実現による寄与 東日本大震災で

【No

3 車体課税 自動車取得税の見直し 自動車取得税の税率 ( 一定税率 ) を以下のとおり引下げ ( 平成 26 年 4 月 1 日以降 ) 自家用自動車 ( 軽自動車を除く ) 5%( ) 3%( ) 営業用自動車 軽自動車 3%( ) 2%( ) いわゆる エコカー減税 について 環境性能に優れた

相続税計算 例 不動産等の評価財産の課税評価額が 4 億 8 千万円 生命保険金の受取額が 2 千万円 現金 預金等が 4 千万円 ローン等の債務及び葬式費用等が 3 千万円である場合の相続税を計算します 相続人は妻と 2 人の子供の 3 人です ( 評価額を計算するには専門知識を要します 必ず概算

H28秋_24地方税財源

女性が働きやすい制度等への見直しについて

住宅取得等資金の贈与に係る贈与税の非課税制度の改正

第5回基礎問題小委員会 礎5-4

付加退職金の概要 退職金の額は あらかじめ額の確定している 基本退職金 と 実際の運用収入等に応じて支給される 付加退職金 の合計額として算定 付加退職金は 運用収入等の状況に応じて基本退職金に上乗せされるものであり 金利の変動に弾力的に対応することを目的として 平成 3 年度に導入 基本退職金 付

Microsoft PowerPoint - 【別添1】23税制改正の概要.pptx

- 平成 28 年度税制改正について ( 税制改正大綱 の概要解説 ) - 1. 法人税 改正の概要 (1) 法人税率の引下げ等 現行 28 年度 30 年度 法人税率 23.9% 23.4% 23.2% 法人事業税所得割 6.0% 3.6% 3.6% ( 標準税率 ) 法人実効税率 32.11%

Transcription:

第 1 編 総 説

第 1 章財政経済の推移 平成 3 年ころのバブル景気崩壊以降 日本経済はその後遺症により 長期間低迷する状態が続いた 資産価格が急落する一方で 企業と金融機関のバランスシートも悪化し 国内需要が減退する中でデフレ状態に陥った この間 多くの企業は過剰な雇用 設備 債務を抱え込み 金融機関は 保有する不良債権が膨大な規模に達するなど 単純な景気悪化とは異なる構造的な問題に直面した このような厳しい状況の中 政府は 総合経済対策 ( 平成 10 年 4 月 24 日 ) 及び 緊急経済対策 ( 平成 10 年 11 月 16 日 ) において 公共投資増加 金融システム安定化 貸し渋り対策を行い 平成 11 年 11 月 11 日には 公需から民需へのバトンタッチを円滑にして 景気を早急に回復軌道に乗せるための 経済新生対策 を決定し 18 兆円規模の事業を実施することとした また 日本銀行は デフレ状態を脱却するために 平成 11 年 2 月 12 日の金融政策決定会合において ゼロ金利政策の実施を決定した その結果 平成 11 年春ころには景気は下げ止まったが 数次にわたる経済対策による公共投資の増加は 多額の公債発行をせざるを得ない厳しい財政状況となり 平成 11 年度末には国及び地方の長期債務残高は 600 兆円に達した 平成 14 年初からはアメリカ経済の回復の影響によりアジア向け輸出が増加 また 為替が大幅に円安 ( 平成 13 年 1-3 月期 :118.09 円 平成 14 年 1-3 月期 :132.46 円 ) になり 輸出品の価格競争力を強化し 輸出増加に寄与したことに伴い景気は回復していった この間 公共投資は 地方の投資的経費が厳しい財政事情を反映して削減されたことに伴い 年々減少したが 設備投資等の民需が景気回復を牽引した 平成 14 年後半以降は イラク戦争の勃発及び重症急性呼吸器症候群 (SARS) の感染者の増加等により輸出が減少し 踊り場を向かえたが イラク情勢及びSARS 問題が終息した後は 民間消費や企業投資が成長を支えたため いざなぎ景気 を超える戦後最長の回復となり 日本銀行も平成 18 年 7 月にゼロ金利政策を解除した しかしながら 平成 19 年度後半になると 原油 原材料価格の高騰により 景気回復を支えてきた企業の収益が減少するとともに雇用情勢も悪化した 更に サブプライム住宅ローン問題を背景としたアメリカ経済の減速などによって 世界経済の成長が鈍化した 株価は乱高下しながら下落し ( 平成 19 年 6 月 :18,001.37 円 平成 20 年 9 月 :12,123.53 円 その後平成 21 年 2 月 : 7,694.78 円 ) 為替も円高 ( 平成 19 年 7 月 :1ドル 121.59 円 平成 20 年 9 月 :1ドル 106.75 円 その後平成 21 年 1 月 :1ドル 90.41 円 ) となり その影響で 輸出関連企業の業績が悪化した 国内の景気回復力が弱い中で 日本経済が厳しい局面に立たされていることを踏まえ 政府は 安心実現のための緊急総合対策 ( 平成 20 年 8 月 29 日 ) 及び 生活対策 ( 平成 20 年 10 月 30 日 ) を策定した 一方 我が国の財政について 政府は 基礎的財政収支の黒字化を目指し 歳出の徹底した見 - 2 -

直しを進めるなど 財政健全化に向けた取組を進めたが 平成 12 年度末に 646 兆円程度だった国及び地方の長期債務残高が平成 20 年度末には 778 兆円程度 対 GDP 比 147.6% と引き続き高い水準にあり 主要先進国の中ではひときわ厳しい状況となった こうした状況を踏まえ 経済財政運営と構造改革に関する基本方針 2006 ( 平成 18 年 7 月 7 日 ) において ムダ ゼロ 政策の棚卸し等を徹底することで歳出削減を行い 将来世代への負担の先送りを行わない方針が示された 平成 21 年に入ると 深刻度を増す 世界金融危機 と戦後最大の 世界同時不況 の中で 我が国経済も輸出市場の急激な収縮に直面するとともに 金融環境も厳しいものとなった これに対し政府は 内需を下支えし経済の底割れを防ぐため 経済危機対策 ( 平成 21 年 4 月 10 日 ) を策定した - 3 -

第 2 章租税及び印紙収入の収入状況 平成 11 年度から平成 20 年度の 10 年間の租税及び印紙収入 ( 一般会計分 ) の合計額 ( 以下この章において 租税収入 という ) の推移をみると 平成 11 年から穏やかな景気回復過程をたどったことから 平成 12 年度の租税収入額は 50.7 兆円と平成 11 年度の 47.2 兆円に対し 3.5 兆円の増収となったが 平成 13 年度以降は景気が後退に転じたことから 平成 13 14 年はそれぞれ前年度から 2.8 兆円 4.1 兆円減少し 平成 15 年度には 43.3 兆円と平成 11 年度から 3.9 兆円の減収となった その後 景気が民間需要を中心に穏やかに回復を続けたため 法人税を中心に租税収入も増加に転じ 平成 16 17 年度はそれぞれ前年度から 2.3 兆円 3.5 兆円増加し 平成 18 年度には 49.1 兆円と平成 11 年度から 1.9 兆円の増収となった しかし 平成 19 年度の後半から金融資本市場の危機を契機とする世界的な景気後退が見られる中 我が国経済においても 輸出や生産が大幅に減少し 消費も停滞したことから 平成 20 年度の租税収入は 44.3 兆円と平成 11 年度から 2.9 兆円の減収となっている - 4 -

第 3 章税制の変遷 1 平成 10 年代前半の変遷バブル崩壊後の景気低迷や大規模な景気対策を背景に 我が国の財政赤字は深刻化し 平成 10 年には 国鉄長期債務及び国有林野累積債務の一般会計承継に係る特殊要因を除いてみても またプライマリー バランスでみても 先進 7か国中最悪の状況となっていた このため 平成 10 年代前半の税制改正は 厳しい経済情勢等を踏まえつつ 税負担の公平確保や既存税制の見直し等が進められた 平成 11 年度は 恒久的な減税 ( 所得税の最高税率の引下げ 法人税の税率の引下げ等 ) が実施されるとともに 租税特別措置については 課税の適正化の観点から整理合理化が行われたほか 住宅建設の促進に資するため 住宅ローン減税の拡充が行われた 平成 12 年度は 民間投資等の促進及び中小企業 ベンチャー企業の振興を図るため 前年に引き続き住宅ローン減税の拡充と 特定中小会社の株式譲渡益に対する課税の特例及び同族会社の留保金課税の特例が創設された 平成 13 年度は 商法改正による会社分割制度の創設に伴い 企業組織再編成 ( 合併 分割 現物出資等 ) に係る税制を整備したほか 住宅投資の促進を図るために 従来の住宅ローン減税について 控除期間 10 年間の控除率を1% にする等の改正が行われた ( 新住宅ローン減税制度の創設 ) 平成 14 年度は 企業の組織再編成を促進し 我が国企業の国際競争力の維持 強化と経済の構造改革に資するために連結納税制度が創設され 一定の企業グループ内の個々の法人の所得と欠損を通算して法人税を課税することになった 平成 15 年度は 政府税制調査会から あるべき税制の構築に向けた基本方針 ( 平成 14 年 6 月 ) が公表されたことを受けて 研究開発 設備投資減税の集中 重点化 相続時精算課税制度の創設及び相続税 贈与税の税率構造の見直し 金融 証券税制の軽減 簡素化 土地の有効利用の促進に資する登録免許税の軽減 人的控除の簡素化等の観点からの配偶者特別控除 ( 上乗せ部分 ) の廃止 消費税免税点制度等の改革が行われた 2 平成 10 年代後半の変遷平成 16 年度は 前年に引き続き政府税制調査会から 少子 高齢社会における税制のあり方 ( 中期答申 ) ( 平成 15 年 6 月 ) が公表されたことを受け 年金制度改革に資する観点も踏まえつつ 世代間及び世代内の公平を確保するため 年金税制の見直しが行われた また 地方分権を推進する観点から 三位一体改革の一環として 平成 18 年度までに所得税から個人住民税への本格的な税源移譲を実施する暫定措置として所得譲与税を創設し 所得税の税収の一部を地方へ譲与したほか 住宅ローン減税の延長 土地 建物の譲渡所得の税率の引下げ及び損益通算の廃止等が行われた 平成 17 年度は 平成 15 年 10 月 6 日に内閣総理大臣より政府税制調査会へ 少子 高齢化や - 5 -

グローバル化等の大きな構造変化に直面している我が国社会の現状及び将来を見据えつつ 社会共通の費用を広く公平に分かち合うとともに 持続的な経済社会の活性化を実現するため あるべき税制の具体化に向けた審議を求める との諮問を受け 平成 16 年 2 月以降 あるべき税制 の具体化に向けて 審議 検討を重ね 平成 18 年度税制改正において行うべき国 地方を通ずる個人所得課税の抜本的見直しを展望しつつ 定率減税を2 分の1に縮減した 平成 18 年度も 前年に引き続き あるべき税制 の構築に向けた改正が行われた 具体的には 三位一体改革の一環として行う所得税から個人住民税への3 兆円の税源移譲に関し 所得税の税率構造を5%~40% の6 段階に改めるとともに 平成 11 年以降 景気対策のための措置として継続されてきた定率減税について 経済状況の改善等を踏まえ 廃止された 平成 19 年度も 引き続き あるべき税制 の構築に向け 我が国経済の成長基盤を整備する観点から 減価償却制度について 償却可能限度額 ( 取得価額の 95%) 及び残存価額を廃止し 耐用年数経過時点に1 円 ( 備忘価額 ) まで償却可能とするとともに 250% 定率法を導入する等の抜本的見直しを行った 移転価格税制については 租税条約の相手国との相互協議に係る納税猶予制度を創設し 我が国と取引相手国との国際的な二重課税に伴う企業の負担を軽減した 納税環境整備も行われ 具体的には電子証明書を取得した個人の電子申告に係る所得税の税額控除制度を創設するとともに 税務手続の電子化促進措置 ( 電子申告における第三者作成書類の添付省略等 ) を行った また 滞納率の圧縮を目的として コンビニエンスストアで納税できる制度を創設した 平成 20 年度も あるべき税制 の構築に向け 中小企業の事業承継の円滑化に資するため 取引相場のない株式等に係る相続税の納税猶予制度を創設した また 民間が担う公益活動を推進する観点から 公益社団 財団法人について 公益目的事業から生じる所得を非課税とするとともに すべての公益社団 財団法人を寄附優遇の対象となる特定公益増進法人とする改正を行った 平成 21 年度においては 厳しい経済金融情勢を踏まえ 景気回復の実現に資する等の観点から 住宅ローン減税の適用期限の5 年間延長や 中小法人等の軽減税率について 22% から 18% に2 年間引き下げる改正を行った - 6 -