クロマメノキ T100 KT-2 KT-3 KT-4 KT-6 KT-8 KT-9 KT-11 KT-15 クロマメノキと T100 との交雑により得られた KT8 系統とその両親の果実の形態
クロマメノキ KT2 KT3 KT4 KT6 KT8 a-c a-d b-d c-e de ef D-Gal D-Ara C-Ara Pet-Glu Pet-Ara M-Glu D-Glu C-Glu Pet-Gal Peo-Gal M-Gal M-Ara KT9 de KT11 a KT15 T100 ab f 0 50 100 150 200 250 300 350 400 450 全アントシアニン含量 (mg/100gf.w.) クロマメノキと T100 との交雑により得られた KT8 系統とその両親における成熟果の全アントシアニン含量とその組成 Tukey の多重検定により, 異なる英文字間に有意差 (5%) があることを示す
総ポリフェノール含量 (mg 没食子酸当量 /100gF.W.) 抗酸化活性 (μ mol Trolox 当量 /100gF.W.) 総ポリフェノール含量 600 500 400 300 bc z 抗酸化活性 ab b ab a a bc b ab ab ab ab bc b ab ab c c a ab 4500 4000 3500 3000 2500 2000 200 1500 100 1000 500 0 0 クロマメノキとT100との交雑により得られたKT8 系統およびその両親における成熟果の総ポリフェノール含量および抗酸化活性 z Thkey の多重検定により異なる英文字間に有意差 (5%) があることを示す
以上より KT12 系統の内, 少なくとも 10 系統は種間雑種 果実品質, 機能性の観点から見て, 系統間に相違が見られる クロマメノキ ハイブッシュブルーベリーの雑種系統 ( 小松ら, 2003; 2006; 海生ら, 2008) に比べ樹勢が強い 品質, 機能性供に高い系統の選抜が可能 育種親としても有用
ナツハゼと栽培種ブルーベリーとの正逆交雑における着果率, 種子数および発芽率 種子親花粉親交配数着果数着果率 (%) 総種子数 完全種子 不完全種子 発芽数 発芽率 (%) HB アーリーブルー ナツハゼ 8 0 0.0 - - - - - - ウェイマウス 20 3 15.0 12 1 11 0 0.0 - ダロー 22 1 4.5 50 2 48 1 2.0 1 ブルークロップ 32 12 37.5 116 5 111 3 2.6 3 SHB シャープブルー 11 1 9.1 72 0 72 0 0.0 - ジョージアジェム 11 0 0.0 - - - - - - ブラッデン 10 0 0.0 - - - - - - マグノリア 23 0 0.0 - - - - - - リベール 19 1 5.3 0 - - - - - RB MARU 11 1 9.1 45 0 45 0 0.0 - ティフブルー 10 1 10.0 0 - - - - - バールドウィン 8 1 12.5 37 0 37 0 0.0 - パウダーブルー 24 1 4.2 69 4 65 1 1.4 1 ホームベル 21 2 9.5 72 0 72 0 0.0 - T100 10 9 90.0 455 0 455 0 0.0 - HB ナツハゼ ウェイマウス 11 0 0.0 - - - - - - ダロー 13 0 0.0 - - - - - - ブルークロップ 43 0 0.0 - - - - - - SHB シャープブルー 10 0 0.0 - - - - - - ジョージアジェム 7 0 0.0 - - - - - - マグノリア 11 0 0.0 - - - - - - リベール 40 2 5.0 6 4 2 0 0.0 - RB MARU 11 0 0.0 - - - - - - バールドウィン 11 0 0.0 - - - - - - パウダーブルー 12 0 0.0 - - - - - - ベッキーブルー 10 0 0.0 - - - - - - ホームベル 44 2 4.5 6 1 5 0 0.0 - T100 10 0 0.0 - - - - - - 生存個体数
他の二倍体野生種との交配結果より 六倍体のクロマメノキとの交雑実生だけでなく, 二倍体のナツハゼ, シャシャンボ, スノキとの貴重な交雑実生を得ることができた 栽培種との交配の場合には 二倍体のナツハゼ, シャシャンボ, スノキは花粉親六倍体のクロマメノキは種子親として用いると実生が得られ易い
爪楊枝の 1/3 以上の太さの穂木 開花 結実 3~10cm 1 年生実生 接木直後 早期育成 接木 1 年後の開花 30~40cm 左 :3 年生実生右 : 接木 1 年後 接木 1 年後の結実 リベール とシャシャンボとの交雑により得られた RSy-1 系統における接木を利用した早期育成
ブルークロップ BNa-1 BNa-2 ナツハゼ ブルークロップ とナツハゼとの交雑により得られた BNa2 系統とその両親の葉の形態 ブルークロップ とナツハゼの交雑により得られた BNa2 系統とその両親における葉の特性および形態 葉身長 ( mm ) 葉幅 ( mm ) 葉身形 z 指数 葉柄長 ( mm ) 葉の厚さ (mm) フ ルークロッフ 63.3 b y 37.5 b 1.70 NS 4.1 b 0.23 b BNa-1 35.2 a 24.8 a 1.44 1.6 a 0.19 b BNa-2 35.3 a 20.0 a 1.77 1.9 a 0.20 b ナツハセ 43.6 a 25.6 a 1.70 2.0 a 0.12 a 葉身形指数 z = 葉身長 / 葉幅 y Tukeyの多重検定により, 異なる英文字間に有意差 (1%) があることを示す
以上より 1. 我が国に自生する野生種は育種素材として有用なものが存在することが明らかとなった. 2. 栽培種と野生種は節が異なるが, 節間交雑が可能であり, 種間交雑実生が得られることが明らかになった. なお, 倍数性が高い 6X のクロマメノキは 2X 野生種に比べて, 栽培種との種間雑種が得られ易い傾向があった. 3. クロマメノキとラビットアイブルーベリー T100 との種間交雑系統は少なくとも 10 系統が種間雑種であり, 中には果実品質も機能性も高い系統が存在した. また, これらの系統は樹勢が比較的に強いことから, 西南暖地に適した品種の選抜や育種親としての利用が考えられる. 4. ナツハゼ (2X) とハイブッシュブルーベリー (4X) との貴重な種間雑種の獲得に成功した. 今後は 二倍体野生種の倍加系統の作出 倍加系統と栽培種との正逆交雑 種間交雑実生の獲得率向上
キイチゴとは バラ科 (Rosaceae) キイチゴ属 (Rubus) の落葉性低木果樹であり, ラズベリーとブラックベリーに大別される. ブラックベリー : 西南暖地で栽培容易ラズベリー : 西南暖地で栽培困難 生食以外にもケーキのトッピング, ジャム, フルーツソースなどの加工原料としても利用されている 近年ではアントシアニンを多量に含む機能性食品として注目されている.
岩代氏圃場
南阿蘇村と大学の学生 教職員による試食会 ブラックベリーのソースがトッピングされたアイス ブラックベリーのソースがトッピングされたアイス (2012 年 10/23)
米粉と小麦粉原料のチーズケーキとオムレットの試食検討会 (2013 年 3/12)
ラズベリーは主に欧米で改良されたものであり, 我が国の西南暖地での栽培は困難 西南暖地でラス ヘ リー栽培が困難な理由 成熟した果実が雨に弱い 熟期が梅雨と重なる 夏の暑さに弱い 梅雨が無く, 夏が冷涼な北海道では生育が旺盛 我が国に自生している 40 種以上のキイチコ 属植物は梅雨でも健康な赤い果実を実らせる. 本研究室では栽培種のラス ヘ リーと日本に自生する野生種を交配して高機能性かつ西南暖地の気候に適した日本型ラズベリーの作出を目標として研究を行なっている. ここでは, 栽培種 ワインタ ーヘ イレット に野生種のナワシロイチコ を種間交配して得た WBNw4 系統が雑種であるかどうかを解析すると共に, 今回, 結実がみられた WBNw-1 の果実品質や機能性を比較した. また, 果実品質改善を目的に WBNw-1 に栽培種の交雑が可能かどうかを検討した.
WBNw-1 WBNw-3 WBNw-7 WBNw-9 WBNw4 系統の生育状況 (5 月 29 日 )
ワンタ ーヘ イレット ナワシロイチコ 右から WBNw-1,3 右から WBNw-7,9 WBNw4 系統とその両親における樹姿, 刺および葉の形態 樹姿 刺葉身長葉身幅 y 葉柄長托葉長 z 葉身形指数葉の形態有無量向き (cm) (cm) (cm) (mm) ワインタ ーヘ イレット 直立性 無 - - 6.3 d x 5.0 b 0.80 a 複葉 5.7 NS 4.9 c WBNw-1 匍匐性 有 少 下向き 6.1 cd 5.5 b 0.89 a 複葉 5.8 5.5 d WBNw-3 匍匐性 有 多 下向き 5.4 cd 4.9 b 0.89 a 複葉 5.9 4.6 bc WBNw-7 匍匐性 有 多 下向き 5.3 c 4.6 b 0.86 a 複葉 5.8 4.6 bc WBNw-9 匍匐性 有 中 下向き 3.2 a 2.7 a 0.83 a 複葉 4.7 2.9 a ナワシロイチコ 匍匐性 有 多 下向き 4.2 ab 5.1 b 1.20 b 複葉 5.0 3.8 ab z 新梢の基部上 30cm 先端下 20cmにおいて10cm 区間で調査を行い 1-12 本までを少 13-19を中 20 以上を多とした y 葉身幅 / 葉身長 x Tukeyの多重検定により 異なる英文字間に有意差 (5%) があることを示す
OPA-10 650bp 200bp 1kb WB 1 3 7 9 Nw 100bp RAPD 法による WBNw4 系統とその両親における雑種性の解析 1kb:1kbp DNA マーカー, WB: ワインタ ーヘ イレット, 1:WBNw-1, 3:WBNw-3, 7:WBNw-7, 9:WBNw-9,Nw; ナワシロイチコ, 100bp: 100bp DNA マーカー
結果 ワインタ ーヘ イレット ' WBNw-1 ナワシロイチコ WBNw-1 とその両親における開花期と自然条件下での着果率と収量 開花時期 測定花数 ( 個 ) 着果数 ( 個 ) 着果率 (%) 収量 (g/ 株 ) ワインタ ーヘ イレット 4 月下 ~5 月下旬 30 28 93.3 52.1 ' WBNw-1 5 月上 ~5 月下旬 30 29 96.7 103.3 ナワシロイチコ 5 月上 ~5 月下旬 30 27 90.0 -
ナワシロイチゴ ワインダーベイレッド WBNw-1
ナワシロイチコ WBNw-1 ワインタ ーヘ イレット ' WBNw-1 とその両親における成熟果の外部形態 成熟期 ( 月 ) 果色 集合果小果重さ縦径横径小果数重さ縦径横径 (g) (mm) (mm) ( 個 ) (mg) (mm) (mm) ワインタ ーヘ イレット ' 6 月上 ~7 月上旬赤 3.2a z 19.5a 18.3a 51.0a 43.3a 5.7a 3.8a WBNw-1 6 月上 ~7 月中旬赤 1.0b 11.0b 14.5b 12.6b 56.3b 6.0a 4.5b ナワシロイチコ 6 月上 ~7 月中旬真紅 0.6b 11.8b 9.6c 11.2b 51.9ab 6.2a 4.0a z Tukeyの多重検定により 異なる英文字間に5% の有意差があることを示す
ワインタ ーヘ イレット ' WBNw-1 WBNw-1 に栽培種を交雑した場合の着果率と種子数 キューティーレット ' 種子親 花粉親 交配花数着果数着果率総種子数一果当たり ( 個 ) ( 個 ) (%) ( 個 ) の種子数 WBNw-1 ワインタ ーヘ イレット ' 10 6 60.0 48 8.0 ' キューティーレット ' 10 5 50.0 38 7.6
まとめ WBNw-1 を種子親にし, 花粉親に ワインタ ーヘ イレット と キューティーレット を交配したところ, ワインタ ーヘ イレット を交配したもので 6 果, キューティーレット を交配したもので 5 果の果実をつけ, それぞれから 48 個と 38 個の種子を得ることができた. これらの種子は層積処理後,11 月に温室でバーミキュライトに播種された. WBNw-1 ワインタ ーヘ イレット より 3 系統, WBNw-1 キューティーレット より 2 系統の刺無し系統が得られている.