第 1 編基本構想
第 1 章計画の策定について 1 策定の背景 (1) 現状近年 人口減少 少子高齢化や高度情報化の急速な進展 地域社会の変容 経済のグローバル化による雇用環境の変化など 社会構造の急激な変化に伴い 市民の学習ニーズが多様化 高度化するとともに 様々な地域課題も複雑さを増しています こうした状況の中で生涯学習を推進することは 個人の人生を豊かにするものであるとともに 学習成果を地域づくりやまちづくりに還元し 生かすことにより 社会全体の発展を実現する基盤となるものと期待されています 市民一人一人が 自立する力を高めるための知識や能力を身に付けられるよう 生涯にわたり学習が継続でき その成果を適切に生かすことができる社会の実現が求められています 本市では 生涯学習を推進するための指針として平成 19 年に 三条市生涯学習推進計画 を策定しました 市民一人一人が生涯にわたって いつでも どこでも だれでも 学び合える生涯学習の機会や場を提供し 心豊かで生きがいのある生活を営むことができる生涯学習社会の実現を目標に取組を進め 生涯学習環境の拠点づくりや様々な生涯学習機会の提供などにおいて 一定の成果を上げることができました (2) 課題一方 東日本大震災以降 地域の絆という地域コミュニティの再構築に向けた地域住民の意識の醸成が声高に叫ばれており 学んだ成果を地域で生かすためのネットワークづくりなども重要な課題であり また まちの活力の維持 充実のためには 人の力こそがその資源であり 様々な現代的 社会的な問題 課題を解決するためには 生き抜く力 すなわち 総合的な力 を培った創造的な市民の存在は欠くことができません 今後 本市が直面する人口減少社会においては 生産年齢人口の減少等による地域経済への悪影響などが指摘されています これらの変化は何も対策を講じなければ 現在から将来にかけて負担が増えていき 厳しい未来が到来することが容易に予測されます それに向けた対策を講ずることで 今後 ますます顕在化することが見込まれる課題に対して しっかりと備えを行うことでプラス面を見出し 新たな価値の創造につなげることによって 生涯学習社会の実現 を目指していくことが重要となります (3) 策定の目的第 2 次三条市生涯学習推進計画は これまでの市の取組や社会環境の変化などを踏まえ 市民一人一人が生きがいをもって学び合うまち を基本目標とした生涯学習社会の実現を目標に掲げ 市の生涯学習施策をより総合的 計画的に推進するための新たな指針として策定します 1
2 計画の位置付け 本計画は 平成 19 年に策定した 三条市生涯学習推進計画 に続く計画です 三条市総合計画を上位計画とし 教育委員会の三条市教育基本方針との整合性を図りながら 本市の生涯学習を具体的に推進するための計画です 今までの計画では 教育基本法第 3 条に基づく生涯学習の理念に沿って 全ての年代層に応じて 学校教育 家庭教育 文化 スポーツ 福祉 健康 環境 防災等を始めとした多岐にわたる分野ごとの計画と施策を掲載していましたが 今回の計画では 計画期間中に重点的に取り組む内容の 具体化 見える化 に力点を置いています なお 本計画に掲載されていない取組については 各個別計画等に基づき着実に実施してまいります 重点ターゲット 0~5 歳幼児期 4.5% 6~14 歳少年期 7.8% 15 ~ 24 歳青年期 9.4% 25 ~ 64 歳成人期 50.5% 65 歳 ~ 高齢期 27.8% 生涯学習の範囲 年齢構成比は 平成 26 年 4 月現在の住民基本台帳人口階層による 3 計画の期間 本計画は 三条市総合計画の年度に合わせ 平成 27 年度から平成 34 年度までの 8 年間とします 年度 27 28 29 30 31 32 33 34 三条市総合計画 ( H 2 7 ~ H 3 4 ) 第 2 次三条市生涯学習推進計画 (H27 ~ H34) 2
第 2 次三条市生涯学習推進計画の概念図 基本理念 生涯 基本目標 市民一人一人が 顕在化意識へのアプローチ 学校教育 成人期 (25 ~ 64 才 )50.5% 家庭教育 青年期 (15 ~ 24 才 )9.4% 少年期 (6~14 才 )7.8% 幼児期 (0~5 才 )4.5% 生きがい 地域づくり 新しい時代における地域活動の拠点づくり 基本施策 1 地域活動のための人材育成 2 地域づくり まちづくり学習の推進 3 学習施設の有効活用 潜在意識へのアプローチ ( 円グラフの構成比は 平成 26 年 4 月現在の住民基本台帳人口階層による ) 3
学習社会の実現 生きがいをもって学び合うまち 基本施策 1 現代的課題への学習機会の提供 2 心身の健幸づくり活動の充実 3 生涯学習推進体制の整備 四つの視点 自分づくり 地域づくり 元気づくり 自分づくり あらゆる変化に適応できる自分を育てる自分づくりの支援 すそ野づくり づくり 高齢期 (65 才 ~)27.8% 元気づくり 元気な高齢者がまちにあふれる高齢期学習の推進 社会教育 基本施策 1 にぎわいの場の創造 2 意欲や能力に応じた社会参画機会の創出 すそ野づくり 生涯学習のすそ野を広げる取組の推進 基本施策 1 生涯学習のすそ野を広げる事業の展開 4
4 生涯学習とは 生涯学習 という概念は 家庭教育 学校教育 社会教育を全て含むもので 一般には 人々が生涯に行うあらゆる学習を総称するものです 生涯学習の分野には 学校教育や社会教育の中で組織的に行われるものだけに限らず 文化 芸術 スポーツ レクリエーション ボランティア 趣味など 様々な分野が含まれます 学習形態も 本を読んだり通信教育を受けたりする個人学習 学校での学習 公民館 図書館などの公共施設が行う講座の受講 民間のカルチャースクールやスポーツクラブでの学習 企業内教育 サークル活動など 様々な形態で行われています また 生涯学習という言葉は 生涯にわたり学習することができる社会を目指そうという考え方 理念自体を表す言葉でもあります 教育基本法では 第 3 条で 国民一人一人が 自己の人格を磨き 豊かな人生を送ることができるよう その生涯にわたって あらゆる機会に あらゆる場所において学習することができ その成果を適切に生かすことのできる社会の実現が図られなければならない と生涯学習の理念を定めています この計画では 上記の考えを踏まえた上で より具体的に施策を展開するため 次の三つを達成することを目的に 自分に適した方法で生涯にわたって行う学習や活動を生涯学習と定義しています 自分自身の充実や生きがいを求めること 自分や家族 地域の生活を向上していくこと 生き抜いていくために必要な知識を学ぶこと 第 2 章基本理念及び基本目標 生涯学習活動を推進することは 個人の人生を豊かにするとともに 学習を通じた仲間づくりから さらには学習の成果を生かした地域づくり まちづくりへと進展していくことが期待されています 市民一人一人が 自立する力を高めるため生涯にわたり学習が継続でき その成果を適切に生かし 学習を通じてつながることができる生涯学習社会の実現が求められます そこで 第 2 次三条市生涯学習推進計画の基本理念を 生涯学習社会の実現 とし 基本目標を 市民一人一人が生きがいをもって学び合うまち と定めます 基本理念 生涯学習社会の実現 基本目標 市民一人一人が生きがいをもって学び合うまち 5
第 3 章基本的な視点 第 2 次三条市生涯学習推進計画の基本目標である 市民一人一人が生きがいをもって学び 合うまち を達成するための基本的な視点は次のとおりです 地域づくり 自分づくり 元気づくり 四つの視点 すそ野づくり 1 自分づくり 多様で変化の激しい社会を生き抜く力を育てる自分づくりの支援 2 地域づくり 地域の絆と地域力を高める地域活動の拠点づくりと課題解決に向けた学習機会の充実 3 元気づくり 高齢者が生きがいをもって元気に暮らし抜く力を育てる高齢期学習の推進 4 すそ野づくり 市民の潜在意識へ働きかける仕組みづくりと生涯学習に取り組む人の拡大 6
第 4 章基本構想の四つの柱 目標に向けた柱として次の四つの柱を掲げ その下に基本施策を展開します 1 あらゆる変化に適応できる自分を 育てる自分づくりの支援 3 元気な高齢者がまちにあふれる高 齢期学習の推進 2 新しい時代における地域活動の拠 点づくり 4 生涯学習のすそ野を広げる取組の 推進 第 5 章生涯学習推進のための基本施策 1 あらゆる変化に適 応できる自分を育て る自分づくりの支援 グローバル化や高度情報化の一層の進展に伴って 人 モノの流動化 多様化が進み 産業の空洞化 雇用環境の変容 所得格差の拡大等の雇用環境の変化が激しく 先行き不透明な厳しい状況になっています こうした状況を乗り越え 新たな付加価値を創造する社会へと転換するには 市民一人一人がその力を向上 底上げすることが不可欠となっています この力としては 子どもについては 生きる力 が 成人については 自立した一人の人間として力強く生きていくための 社会を生き抜く力 があげられます このようなことから 家庭 学校教育等の時期で 生きる力 についての学習機会を得て 成人となった市民が生涯にわたって 多様な場で様々な学習経験を積む中で この厳しい 社会を生き抜くための力 を すなわち 総合的な力 を身に付ける学習機会の充実を図っていきます 基本施策 1 現代的課題への学習機会の提供 2 心身の健幸づくり活動の充実 3 生涯学習推進体制の整備 大崎地区体育レクリエーション大会 7
2 新しい時代における 地域活動の拠点づ くり 核家族 共働き世帯の増加や家族形態の変容 価値観やライフスタイルの多様化等により 地域社会の人間関係の希薄化や孤立化が指摘されています 地域で顔の見える関係 づくりを推進するためには 地域住民との協働による地域課題の解決や地域の活性化などの地域づくりを推進し 地域住民が学習を通じて市民意識を高め 必要な知識 技術等を身に付け その成果を地域参 加や地域貢献の活動につなげていけるようにするための実践的な学習機会の提供が必要となっています 生涯学習に関するアンケート 1 では 生涯を通じて学習活動に積極的に取り組み 自ら豊かな経験を重ねている市民が多くいる一方で 学校卒業後は ほとんど学習をすることがない市民も少なからずいるという課題があり この両者の間で いわゆる 学習意欲の格差 が広がっていることが懸念されます こうしたことから 学習をする機会がなかった人々に対しても 生涯にわたる学習の必要性についての啓発や学習情報の提供等を行って学習意欲を喚起し より強いコミュニティを形成するためには 学習や地域活動に関心を持つよう工夫するとともに より多くの市民が地域社会の中での 居場所 や 出番 があるような 知の循環型社会 の創出を推進する必要があります 基本施策 1 地域活動のための人材育成 2 地域づくり まちづくり学習の推進 3 学習施設の有効活用 三条東公民館身近な防災教室 下田地区五穀豊穣に感謝する 虫送り 1 生涯学習課 生涯学習に関するアンケート ( 平成 25 年 7 月実施 ) によれば この 1 年間に生涯学習をしたことがないと回答した人は 40.2% であった 8
3 元気な高齢者がま ちにあふれる高齢 期学習の推進 急速な高齢化に伴う医療費や介護保険費等の増大 地域社会の活力の低下 単身老人世帯の増加等の問題が顕在化しつつあります 一方で 65 歳以降の平均寿命は非常に長くなり 退職後の人生を自ら設計し 生きがいをもって主体的に生きるとともに 地域における様々な活動の重要な担い手として活躍していくことは 本人のみならず 地域社会の活性化という視点からも重要となっています 平成 24 年 3 月に文部科学省が作成した報告書 長寿社会における生涯学習の在り方について~ 人生 100 年いくつになっても学ぶ幸せ 幸齢社会 ~ の中では 人生 100 年時代を想定した人生設計が必要であるとされました さらには 高齢者の実態とイメージの乖離にも触れ 社会から支えられる 存在から地域が抱える様々な課題を解決する 地域社会の主役 として活躍する場を整備する必要があるとされています 本市においても 高齢者が健康で元気に人生を暮らし抜く過程において 全ての市民が健康で生きがいをもって主体的に生きるとともに 地域における様々な活動において その重要な担い手 支え手として活躍することができる高齢社会の実現が求められます 高齢者が身体的にも経済的にも自立して生きがいをもって生き生きと暮らすことができるような学習活動や これまでの人生で培った豊富な経験や知識 技能を地域参加 地域貢献に生かすための学習機会の充実を推進していく必要があります 基本施策 1 にぎわいの場の創造 2 意欲や能力に応じた社会参画機会の創出 中央公民館高齢者教室 栄公民館さわやかウォーキング教室 9
4 生涯学習のすそ野 を広げる取組の推 進 生涯学習に関する意識調査では 日頃から学習活動の必要性について どちらかといえば感じている 強く感じている と答えた方が 79.8% となっている一方で この 1 年間学習をしていない と答えた方が 40.2% にも上っています その理由としては 学習する時間がない が 46.9% と最も高く 次いで 講座などの時期 時間が合わない が 23.8% となっています すなわち 過去 現在において生涯学習活動を行い 今後も続けていきたいとしている 継続層 は学習に対して肯定的な考え方を持っていることに加えて 学ぶ意欲が旺盛で 今日まで顕在化している生涯学習活動の主流を占め そして今後も占めていくものと考えられます これまでの生涯学習は 意欲のある人が積極的に学んできましたが 現在の社会状況を勘案すると 一人でも多くの市民が心の健康を保ちつつ 生きがいをもった生活を享受していくことが社会全体の発展を遂げていくことと捉え より広範な人々が生涯学習活動を実践していくことが重要となってきます そのためには 今は生涯学習活動を中断しているが 将来的にはまた 学び を始めたいと考えている 復帰層 や これまでは生涯学習活動を行ってこなかったが 今後は 一歩踏み出してチャレンジしたいと思っている人や気になる何かがあるというような 新規需要層 が生涯学習活動に取り組めるよう 生涯学習のすそ野を広げる取組を積極的に展開していく必要があります また これまで全く生涯学習活動に関心がなく 今後も生涯学習に取り組まない 無関心層 に対して いかに生涯学習に対して肯定的な意識変容を起こさせて 何らかの生涯学習活動の取組を始めさせることができるかが今後の行政の使命であり 役割であると考えられます 基本施策 1 生涯学習のすそ野を広げる事業の展開 中央公民館まちなかギャラリー 下田ふるさと祭り雨生ケ池の大蛇祭り 10
民一人一人が生きがいをもって学び合うまちづくり市生涯学習社会の実現11 第 2 次三条市生涯学習推進計画の体系図 基本理念 基本目標 四つの視点 自分づくり地域づくり元気づくりすそ野
四つの柱 基本施策 主要施策 12
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