被告は 高年法 9 条 2 項に規定する協定をするため努力したにもかかわらず協議が調わ なかったものと認めることはできず 本件就業規則 29 条が高年法附則 5 条 1 項の要件を具 備していないというべきである 本件継続雇用制度の導入を定める本件就業規則 29 条は 手続要件を欠き無効であり 原

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定していました 平成 25 年 4 月 1 日施行の 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律 では, 継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みの廃止について規定されていますが, 平成 25 年 4 月 1 日の改正法施行の際, 既にこの基準に基づく制度を設けている会社の選定基準につい

今回の改正によってこの規定が廃止され 労使協定の基準を設けることで対象者を選別することができなくなり 希望者全員を再雇用しなければならなくなりました ただし 今回の改正には 一定の期間の経過措置が設けられております つまり 平成 25 年 4 月 1 日以降であっても直ちに希望者全員を 歳まで再雇用

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法第 20 条は, 有期契約労働者の労働条件が期間の定めがあることにより無期契約労働者の労働条件と相違する場合, その相違は, 職務の内容 ( 労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度をいう 以下同じ ), 当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して, 有期契約労働者にとって不合

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違反する 労働契約法 20 条 長澤運輸事件最高裁 ( 平成 30 年 6 月 1 日判決 ) 速報 2346 号定年後再雇用の嘱託者につき精勤手当 超勤手当を除く賃金項目は労働契約法 20 条に違反しないとされた例 定年後 1 年契約の嘱託社員として再雇用されたトラック乗務員の一審原告らが 定年前

平均賃金を支払わなければならない この予告日数は平均賃金を支払った日数分短縮される ( 労基法 20 条 ) 3 試用期間中の労働者であっても 14 日を超えて雇用された場合は 上記 2の予告の手続きが必要である ( 労基法 21 条 ) 4 例外として 天災事変その他やむを得ない事由のために事業の

控訴人は, 控訴人にも上記の退職改定をした上で平成 22 年 3 月分の特別老齢厚生年金を支給すべきであったと主張したが, 被控訴人は, 退職改定の要件として, 被保険者資格を喪失した日から起算して1か月を経過した時点で受給権者であることが必要であるところ, 控訴人は, 同年 月 日に65 歳に達し

9-1 退職のルール 職することは契約違反となります したがって 労働者は勝手に退職することはできません 就業規則に 契約期間途中であっても退職できる定めがある場合には それに従って退職できることになりますが 特段の定めがない場合には なるべく合意解約ができるように 十分話し合うことが大切です ただ

I 事案の概要 本件は 東証一部上場企業の物流大手である株式会社ハマキョウレックス ( 以下 被告 被控訴人 又は 上告人 といいます ) との間で有期雇用契約 1 を締結している契約社員 ( 以下 原告 控訴人 又は 被上告人 といいます ) が 以下に掲げる正社員と契約社員との間の労働条件 (

達したときに消滅する旨を定めている ( 附則 10 条 ) (3) ア法 43 条 1 項は, 老齢厚生年金の額は, 被保険者であった全期間の平均標準報酬額の所定の割合に相当する額に被保険者期間の月数を乗じて算出された額とする旨を定めているところ, 男子であって昭和 16 年 4 月 2 日から同

規定例 ( 育児 介護休業制度 ) 株式会社 と 労働組合は 育児 介護休業制度に関し 次 のとおり協定する ( 対象者 ) 育児休業の対象者は 生後満 歳に達しない子を養育するすべての従業員とする 2 介護休業の対象者は 介護を必要とする家族を持つすべての従業員とする 介護の対象となる家族の範囲は

た本件諸手当との差額の支払を求め ( 以下, この請求を 本件差額賃金請求 という ),2 予備的に, 不法行為に基づき, 上記差額に相当する額の損害賠償を求める ( 以下, この請求を 本件損害賠償請求 という ) などの請求をする事案である 2 原審の確定した事実関係等の概要は, 次のとおりであ

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3. 継続雇用制度の対象者基準の経過措置 Q3-1: Q3-2: Q3-3: Q3-4: Q3-5: Q3-6: Q3-7: すべての事業主が経過措置により継続雇用制度の対象者を限定する基準を定めることができますか 改正高年齢者雇用安定法が施行された時点で労使協定により継続雇用制度の対象者を限定する

指針に関する Q&A 1 指針の内容について 2 その他 1( 特許を受ける権利の帰属について ) 3 その他 2( 相当の利益を受ける権利について ) <1 指針の内容について> ( 主体 ) Q1 公的研究機関や病院については 指針のどの項目を参照すればよいですか A1 公的研究機関や病院に限ら

「高年齢者雇用安定法《のポイント

2 継続雇用 の状況 (1) 定年制 の採用状況 定年制を採用している と回答している企業は 95.9% である 主要事業内容別では 飲食店 宿泊業 (75.8%) で 正社員数別では 29 人以下 (86.0%) 高年齢者比率別では 71% 以上 ( 85.6%) で定年制の採用率がやや低い また

長澤運輸事件(東京地判平成28年11月2日)について

個人情報の保護に関する規程(案)

目次 問 1 労使合意による適用拡大とはどのようなものか 問 2 労使合意に必要となる働いている方々の 2 分の 1 以上の同意とは具体的にどのようなものか 問 3 事業主の合意は必要か 問 4 短時間労働者が 1 名でも社会保険の加入を希望した場合 合意に向けての労使の協議は必ず行う必要があるのか

政令で定める障害の程度に該当するものであるときは, その者の請求に基づき, 公害健康被害認定審査会の意見を聴いて, その障害の程度に応じた支給をする旨を定めている (2) 公健法 13 条 1 項は, 補償給付を受けることができる者に対し, 同一の事由について, 損害の塡補がされた場合 ( 同法 1

契約の終了 更新18 無期労働契約では 解雇は 客観的に合理的な理由を欠き 社会通念上相当であると認められない場合 は 権利濫用として無効である と定められています ( 労働契約法 16 条 ) 解雇権濫用法理 と呼ばれるものです (2) 解雇手続解雇をする場合には 少なくとも30 日前に解雇の予告

48

平成 31 年 4 月 1 日から平成 34 年 3 月 31 日まで 63 歳平成 34 年 4 月 1 日から平成 37 年 3 月 31 日まで 64 歳 4 定年について 労働者の性別を理由として差別的取扱いをしてはなりません ( 均等法第 6 条 ) ( 退職 ) 第 48 条前条に定める

平成 27 年 2 月までに, 第 1 審原告に対し, 労働者災害補償保険法 ( 以下 労災保険法 という ) に基づく給付 ( 以下 労災保険給付 という ) として, 療養補償給付, 休業補償給付及び障害補償給付を行った このことから, 本件事故に係る第 1 審原告の第 1 審被告に対する自賠法

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として採用するものとする 第 2 条の3 前条に定めるほか 職員就業規則第 11 条第 1 項により退職 ( 以下 定年退職という ) した者であって 退職後引き続き研究所以外の機関 ( 以下 再就職先 という ) において勤務する者 ( 定年退職後 任期付職員就業規則または契約職員就業規則の適用を

スライド 1

7 という ) が定める場合に該当しないとして却下処分 ( 以下 本件処分 という ) を受けたため, 被控訴人に対し, 厚年法施行令 3 条の12の7が上記改定請求の期間を第 1 号改定者及び第 2 号改定者の一方が死亡した日から起算して1 月以内に限定しているのは, 厚年法 78 条の12による

無期契約職員就業規則

★HP版調整事件解説集h28[019]

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年 10 月 18 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 3 被控訴人 Y1 は, 控訴人に対し,100 万円及びこれに対する平成 24 年 1 0 月 18 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 4 被控訴人有限会社シーエムシー リサーチ ( 以下 被控訴人リサーチ

特定個人情報の取扱いの対応について

厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付の支払の遅延に係る加算金の支給に関する法律

(イ係)

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96 城西現代政策研究第 11 巻第 1 号 されることに伴い 平成 25 年 3 月 31 日付の労使協定 ( 以下 本件労使協定 ) が締結された 本件労使協定において 1 本件労使協定 3 条各号に定める判断基準の全てを満たすものに対しては 定年後再雇用就業規則に定めるスキルドパートナーとして

従業員 Aは, 平成 21 年から平成 22 年にかけて, 発注会社の課長の職にあり, 上記事業場内にある発注会社の事務所等で就労していた (2) 上告人は, 自社とその子会社である発注会社及び勤務先会社等とでグループ会社 ( 以下 本件グループ会社 という ) を構成する株式会社であり, 法令等の

- 2 - り 又は知り得る状態であったと認められる場合には この限りでない 2~7 略 (保険料を控除した事実に係る判断)第一条の二前条第一項に規定する機関は 厚生年金保険制度及び国民年金制度により生活の安定が図られる国民の立場に立って同項に規定する事実がある者が不利益を被ることがないようにする観


等により明示するように努めるものとする ( 就業規則の作成の手続 ) 第 7 条事業主は 短時間労働者に係る事項について就業規則を作成し 又は変更しようとするときは 当該事業所において雇用する短時間労働者の過半数を代表すると認められるものの意見を聴くように努めるものとする ( 短時間労働者の待遇の原

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市報2016年3月号-10

改正要綱 第 1 国家公務員の育児休業等に関する法律に関する事項 育児休業等に係る職員が養育する子の範囲の拡大 1 職員が民法の規定による特別養子縁組の成立に係る監護を現に行う者 児童福祉法の規定により里親である職員に委託されている児童であって当該職員が養子縁組によって養親となることを希望しているも

報酬改定(処遇改善加算・処遇改善特別加算)

本人に対して自身の個人情報が取得されていることを認識させるために 防犯カメラを設置し 撮影した顔画像やそこから得られた顔認証データを防犯目的で利用する際に講じることが望ましい措置の内容を明確化するため 更新しました ( 個人情報 ) Q 防犯目的のために 万引き 窃盗等の犯罪行為や迷惑行


本件合併時にA 信用組合に在職する職員に係る労働契約上の地位は, 被上告人が承継すること,3 上記の職員に係る退職金は, 本件合併の際には支給せず, 合併後に退職する際に, 合併の前後の勤続年数を通算して被上告人の退職給与規程により支給することなどが合意された また, 本件合併の準備を進めるため,

ものであった また, 本件規則には, 貸付けの要件として, 当該資金の借入れにつき漁業協同組合の理事会において議決されていることが定められていた (3) 東洋町公告式条例 ( 昭和 34 年東洋町条例第 1 号 )3 条,2 条 2 項には, 規則の公布は, 同条例の定める7か所の掲示場に掲示して行

Microsoft PowerPoint - 2の(別紙2)雇用形態に関わらない公正な待遇の確保【佐賀局版】

409 就業規則の不利益変更に関する労働契約上の法的課題 内藤研究会

する 理 由 第 1 事案の概要 1 本件は, 平成 21 年 ( 受 ) 第 602 号被上告人 同第 603 号上告人 ( 以下 1 審原告 X1 という ) 及び平成 21 年 ( 受 ) 第 603 号上告人 ( 以下 1 審原告 X 2 といい,1 審原告 X 1と1 審原告 X 2を併せ

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最近の主要労働判例・命令(2017年4月号)

社会福祉法人○○会 個人情報保護規程

- 調査結果の概要 - 1. 改正高年齢者雇用安定法への対応について a. 定年を迎えた人材の雇用確保措置として 再雇用制度 導入企業は9 割超 定年を迎えた人材の雇用確保措置としては 再雇用制度 と回答した企業が90.3% となっています それに対し 勤務延長制度 と回答した企業は2.0% となっ

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3. 無期労働契約への転換後の労働条件無期労働契約に転換した後の職務 勤務地 賃金 労働時間等の労働条件は 労働協約 就業規則または個々の労働契約等に別段の定めがない限り 直前の有期労働契約と同一になるとされており 無期転換に当たって職務の内容などが変更されないにもかかわらず 無期転換後の労働条件を

求めるなどしている事案である 2 原審の確定した事実関係の概要等は, 次のとおりである (1) 上告人は, 不動産賃貸業等を目的とする株式会社であり, 被上告会社は, 総合コンサルティング業等を目的とする会社である 被上告人 Y 3 は, 平成 19 年当時, パソコンの解体業務の受託等を目的とする

第 5 無効及び取消し 1 法律行為が無効である場合又は取り消された場合の効果法律行為が無効である場合又は取り消された場合の効果について 次のような規律を設けるものとする (1) 無効な行為に基づく債務の履行として給付を受けた者は 相手方を原状に復させる義務を負う (2) (1) の規定にかかわらず

9( 以下, 併せて 上告人 X1ら という ) は, 平成 19 年 9 月 30 日まで, 旧公社の非常勤職員であったが, 同年 10 月 1 日, 被上告人との間で有期労働契約を締結して, これを7 回から9 回更新し, 上告人 X1, 同 X2, 同 X3, 同 X5, 同 X6 及び同 X

第 1 民法第 536 条第 1 項の削除の是非民法第 536 条第 1 項については 同項を削除するという案が示されているが ( 中間試案第 12 1) 同項を維持すべきであるという考え方もある ( 中間試案第 12 1 の ( 注 ) 参照 ) 同項の削除の是非について どのように考えるか 中間

申出が遅れた場合は 会社は育児 介護休業法に基づき 休業開始日の指定ができる 第 2 条 ( 介護休業 ) 1 要介護状態にある対象家族を介護する従業員 ( 日雇従業員を除く ) 及び法定要件を全て満たした有期契約従業員は 申出により 介護を必要とする家族 1 人につき のべ 93 日間までの範囲で

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の業務について派遣先が九の 1 に抵触することとなる最初の日 六派遣先への通知 1 派遣元事業主は 労働者派遣をするときは 当該労働者派遣に係る派遣労働者が九の 1の ( 二 ) の厚生労働省令で定める者であるか否かの別についても派遣先に通知しなければならないものとすること ( 第三十五条第一項関係

香川県後期高齢者医療広域連合職員の勤務時間、休暇等に関する

メ 札幌市オンブズマン条例 平成 12 年 12 月 12 日条例第 53 号 改正 札幌市オンブズマン条例 平成 15 年 10 月 7 日条例第 33 号 平成 20 年 11 月 7 日条例第 36 号 目次第 1 章総則 ( 第 1 条 第 4 条 ) 第 2 章責務 ( 第 5 条 第 7

自動的に反映させないのは133 社 ( 支払原資を社内で準備している189 社の70.4%) で そのうち算定基礎は賃金改定とは連動しないのが123 社 (133 社の92.5%) となっている 製造業では 改定結果を算定基礎に自動的に反映させるのは26 社 ( 支払原資を社内で準備している103

時効特例給付制度の概要 制度の概要 厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付に係る時効の特例等に関する法律 ( 平成 19 年 7 月 6 日施行 ) に基づき 年金記録の訂正がなされた上で年金が裁定された場合には 5 年で時効消滅する部分について 時効特例給付として給付を行うこととされた 法施行前

必要とする家族 1 人につき のべ 93 日間までの範囲内で 3 回を上限として介護休業をすることができる ただし 有期契約従業員にあっては 申出時点において 次のいずれにも該当する者に限り 介護休業をすることができる 一入社 1 年以上であること二介護休業開始予定日から 93 日を経過する日から

1. 改正高年齢者雇用安定法の施行に伴う留意点 改正高年齢者雇用安定法の施行に伴い 厚生労働省より Q&A が公表されています 今回はこの Q&A に記載があるものについて 参考になると思われるものについてピックアップしてまとめています (1) 継続雇用制度の導入について i. 定年退職者を嘱託やパ

社会福祉法人春栄会個人情報保護規程 ( 目的 ) 第 1 条社会福祉法人春栄会 ( 以下 本会 という ) は 基本理念のもと 個人情報の適正な取り扱いに関して 個人情報の保護に関する法律 及びその他の関連法令等を遵守し 個人情報保護に努める ( 利用目的の特定 ) 第 2 条本会が個人情報を取り扱

平成  年(オ)第  号

ご契約のしおり・約款 指定代理請求特約

4-1 育児関連 育児休業の対象者 ( 第 5 条 第 6 条第 1 項 ) 育児休業は 男女労働者とも事業主に申し出ることにより取得することができます 対象となる労働者から育児休業の申し出があったときには 事業主は これを拒むことはできません ただし 日々雇用される労働者 は対象から除外されます

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(2) 特定機関からの報告の受理及び聴取に関すること (3) 特定機関に対する監査に関すること (4) 外国人家事支援人材の保護に関すること (5) 特定機関において外国人家事支援人材の雇用の継続が不可能となった場合の措置に関すること (6) その他 本事業の適正かつ確実な実施のために必要なこと 3

★HP版調整事件解説集h28[023]

◆◆10-1特定有期雇用教職員就業規程30.4.1(修正)

(3) 始業 終業時刻が労働者に委ねられることの明確化裁量労働制において 使用者が具体的な指示をしない時間配分の決定に始業及び終業の時刻の決定が含まれることを明確化する (4) 専門業務型裁量労働制の対象労働者への事前通知の法定化専門業務型裁量労働制の導入に当たり 事前に 対象労働者に対して 1 専

ただし 日雇従業員 期間契約従業員 ( 法に定める一定の範囲の期間契約従業員を除く ) 労使協定で除外された次のいずれかに該当する従業員についてはこの限りではない (2) 週の所定労働日数が2 日以下の従業員 (3) 申出の日から93 日以内に雇用関係が終了することが明らかな従業員 2 要介護状態に

( イ ) 従業員の配偶者であって育児休業の対象となる子の親であり 1 歳 6か月以降育児に当たる予定であった者が死亡 負傷 疾病等の事情により子を養育することが困難になった場合 6 育児休業をすることを希望する従業員は 原則として 育児休業を開始しようとする日の1か月前 (4 及び5に基づく1 歳

債務のうち所定の範囲内のものを当該事業主に代わって政府が弁済する旨規定する (2) 賃確法 7 条における上記 政令で定める事由 ( 立替払の事由 ) として 賃金の支払の確保等に関する法律施行令 ( 昭和 51 年政令第 169 号 以下 賃確令 という )2 条 1 項 4 号及び賃金の支払の確

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平成 27 年改正の概要 ( サマリー ) 一般労働者派遣事業 ( 許可制 ) 特定労働者派遣事業 ( 届出制 ) 26 業務 期間制限なし 26 業務以外 原則 1 年 意見聴取により最長 3 年まで 規定なし 規定なし 1. 許可制への統一 2. 派遣契約の期間制限について すべての労働者派遣事

基準該当短期入所小規模多機能センターさくらテラス 利用契約書 ( 以下 利用者 という ) と社会福祉法人慈徳会 ( 以下 事業者 という ) は 基準該当短期入所小規模多機能センターさくらテラス ( 以下 当施設 という ) が利用者に対して提供する基準該当短期入所サービスについて 次のとおり契約

〔問 1〕 抵当権に関する次の記述のうち,民法の規定によれば,誤っているものはどれか

きる ( 改正前民法 436 条 ) 1 改正法と同じ 2 前項の債権を有する連帯債務者が相殺を援用しない間は その連帯債務者の負担部分についてのみ他の連帯債務者が相殺を援用することができる 本条は 負担部分の限度で 他の連帯債務者が債権者に対して債務の履行を拒むことができると規定したものであり 判

加西市監査公表第 1 号 加西市職員措置請求に係る監査結果の公表について 地方自治法第 242 条第 1 項の規定により平成 24 年 8 月 20 日付けで提出のあったみだ しの措置請求について 同条第 4 項の規定に基づき監査を行った結果を 同項の規定に基づき 公表する 平成 24 年 10 月

第 50 号 2016 年 10 月 4 日 企業年金業務室 短時間労働者に対する厚生年金の適用拡大及び厚生年金の標準報酬月額の下限拡大に伴う厚生年金基金への影響について 平成 28 年 9 月 30 日付で厚生労働省年金局から発出された通知 公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能

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資料 2 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律 改正 ( 平成 18 年 ) 後の裁判例概要 1 定年前のグループ会社への転籍による継続雇用制度に関する裁判例 NTT 東日本事件 ( 平成 21 年 11 月 16 日東京地裁判決 ) 本件制度は 定年前のグループ会社への転籍により 定年までの給与の減額を伴うが 各グループ会社の給与水準は 同一地域における同業種の賃金水準等を参考にしつつ 大幅な減額にならないよう一定の配慮をしたうえで設定され 勤務地も限定的なものとするなど 当該地域で生活する労働者の事情に配慮したものとなっているから 総所得が低下する場合があっても 継続雇用制度に該当しないとはいえない NTT 西日本事件 ( 平成 22 年 3 月 12 日高松高裁判決 ) 被控訴人と地域会社との間においては 資本的にもその業務の内容としても密接な関係を有する中で NTT 西日本グループ一体として本件制度による継続雇用制度を採用したものであるから 高年法第 9 条の趣旨に反するとはいえない 2 第 9 条は直截的に私法的効力を認めた規定と解することはできないとされた裁判例 NTT 西日本事件 ( 平成 21 年 11 月 27 日大阪高裁判決 ) 1 高年法第 9 条は 労働者に事業主に対する継続雇用制度の導入請求権ないし継続雇用請求権を付与した規定 ( 直截的に私法的効力を認めた規定 ) とまで解することはできないこと 2 仮に同条項によって事業主に作為義務があるとしても その作為内容が未だ抽象的で 直ちに私法的強行性ないし私法上の効力を発生させる程の具体性を備えているとまでは認めがたいこと 3 同法には同条第 1 項の義務に違反した場合について 労基法第 13 条のような私法的効力を認める旨の明文規定も補充的効力に関する規定もなく 仮に同条 1 項の義務を私法上の義務と解すると 同義務内容となる給付内容が特定できないといった解釈上困難な問題を惹起することなどから Y 社はXに対し 継続雇用制度の導入義務ないし継続雇用義務まで負っているとまではいえない 3 継続雇用制度の対象者に係る基準が手続要件を欠き無効とされ 労働者が労働契約上の権利を有するとされた裁判例 京浜交通事件 ( 平成 22 年 2 月 25 日横浜地裁川崎支部判決 ) 各事業所において すべての労働者の過半数の代表を選出することができないほど労働者間で大きく意見が対立する状況にあったものとはうかがわれず 本件継続雇用制度の導入に当たって各事業所においてすべての労働者の過半数を代表する者を選出することができない状況にあったものと認めるに足りる証拠はない 1

被告は 高年法 9 条 2 項に規定する協定をするため努力したにもかかわらず協議が調わ なかったものと認めることはできず 本件就業規則 29 条が高年法附則 5 条 1 項の要件を具 備していないというべきである 本件継続雇用制度の導入を定める本件就業規則 29 条は 手続要件を欠き無効であり 原 告は 被告に対し 労働契約上の権利を有する地位にあるというべきである 4 原告は継続雇用制度の対象者に係る基準に該当するとして 法人による再雇用拒否を無効 とした裁判例 東京大学出版会事件 ( 平成 22 年 8 月 26 日東京地裁判決 ) 本件再雇用拒否は 原告が再雇用就業規則 3 条所定の要件を満たすにもかかわらず 何らの客観的 合理的理由もなくされたものであって 解雇権濫用法理の趣旨に照らして無効であるというべきである そうすると 原告は 再雇用就業規則所定の取扱い及び条件に従って 被告との間で 再雇用契約を締結することができる雇用契約上の権利を有するというべきであるから 再雇用契約が成立したものとして取り扱われることになるというべきである したがって 原告が被告に対して 労働契約上の権利を有する地位にあることが認められる 2

( 参考 ) 1 定年前のグループ会社への転籍による継続雇用制度に関する裁判例 NTT 東日本事件 ( 平成 21 月 11 月 16 日東京地裁判決 ) 本件は 被告の従業員で 平成 20 年 3 月 31 日までに満 60 歳の定年退職日を迎えた原告らが 60 歳定年制を定めた被告の就業規則は 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律 9 条 1 項に違反して無効であるから 原告らは 被告の従業員たる地位を有しているとして 雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認 賃金請求権に基づく平成 20 年 4 月以降の賃金の支払を求め 被告が原告らの雇用契約上の地位を否定して本訴訟提起を余儀なくさせたことは不法行為に当たると主張して 不法行為による損害賠償請求権に基づく損害賠償を請求した事案である 継続雇用制度は 年金支給開始年齢である 65 歳までの安定した雇用機会の確保という同法の目的に反しない限り 各事業主が その実情に応じ 同一事業主に限らず 同一企業グループ内での継続雇用を図ることを含む多様かつ柔軟な措置を講ずることを許容していると解すべきであり また その場合の賃金 労働時間等の労働条件についても 労働者の希望や事業主の実情等を踏まえた多様な雇用形態を認容していると解するのが相当である 本件制度は 1 被告会社退職後に再雇用される予定のグループ会社が 被告会社 その完全子会社またはNTTの完全子会社が全額出資して設立した株式会社で 被告会社との間に資本的な密接性が認められること 2グループ会社の就業規則の中で 原則として 65 歳まで再雇用する旨明記され 実際 除外事由に該当しない限り 希望者全員の契約が更新されてきたこと 3グループ会社入社後の労働条件は 当該地域に生活する労働者に配慮した内容となっていること からすると 同一企業グループでの高年齢者の安定した雇用が確保される制度と評価でき 被告会社における継続雇用を保障するものでなからといって 直ちに高年法第 9 条第 1 項第 2 号の継続雇用制度に該当しないということはできない 本件制度は 定年前のグループ会社への転籍により 定年までの給与の減額を伴うが 各グループ会社の給与水準は 同一地域における同業種の賃金水準等を参考にしつつ 大幅な減額にならないよう一定の配慮をしたうえで設定され 勤務地も限定的なものとするなど 当該地域で生活する労働者の事情に配慮したものとなっているから 総所得が低下する場合があっても 継続雇用制度に該当しないとはいえない 3

NTT 西日本事件 ( 平成 22 年 3 月 12 日高松高裁判決 ) 被控訴人に雇用されていた控訴人らが 被控訴人において定年とされている 60 歳を迎え 退職するに至ったことに関し 被控訴人が高年法第 9 条第 1 項に基づき控訴人らの定年後の雇用を確保すべき義務を負っていたにも関わらず かかる義務に違反して何らの措置も採らず 控訴人らを定年退職させたことなどが債務不履行又は不法行為に該当するとして 被控訴人に対し 損害賠償及び遅延損害金の支払いを求めた事案である 高年法 9 条の趣旨は 高年齢者の 60 歳以後の安定した雇用を確保するための措置を講じることによって 年金支給開始年齢までの間における高年齢者の雇用を確保するとともに 高年齢者が意欲と能力のある限り年齢に関わりなく働くことを可能とする労働環境を実現することにあると解される 高年法 9 条 1 項が同項各号の措置に伴う労働契約の内容についてまでは規定していないこと 同条 2 項が一定の場合に継続雇用制度の対象となる高年齢者に係る基準を定めることを許容していることに鑑みれば 同条は上記の趣旨に反しない限り 各事業主がその実情に応じて柔軟な措置を講ずることを許容しているものと解される 被控訴人と地域会社との間においては 資本的にもその業務の内容としても密接な関係を有する中で NTT 西日本グループ一体として本件制度による継続雇用制度を採用したものであるから 高年法 9 条の趣旨に反するとはいえない キャリアスタッフ制度 (60 歳定年後に最長 65 歳まで1 年契約を更新して再雇用する制度 ) の廃止は 被控訴人の構造改革の一環として 本件制度 ( ) の導入の必要性があること また この導入に当たって被控訴人の従業員のうちの労働組合員となりうる者の 98.9 パーセントの従業員で組織されるNTT 労働組合との間で合意が成立していること 同制度廃止と同時に導入された本件制度において 社員にはいかなる形態の就業するかの選択の機会があり 繰延型又は一時金型を選択したことにより地域社会に転籍した後における 60 歳定年までの賃金が 20 ないし 30 パーセント低下することになったとしても 低下後の賃金も当該地域会社の所在地の地場賃金の水準を下回るものではないように設定されているほか 地域会社における退職金等において激変緩和措置等の一定の措置が採られ 勤務地がそれまでと異なり限定されるなどの利点も存在すること等不利益の程度も著しいものではないことを考慮すると 同制度の廃止は合理性を有するものであったということができる 繰延型 : 地域会社に転籍し 勤務地は限定され 所定内給与が 20~30% 低下 ( 給与加算の激変緩和措置あり ) するが 60 歳定年後もキャリアスタッフ制度と同様の枠組みで契約社員として再雇用 一時金型 : 雇用形態は繰延型と同じだが 激変緩和措置は退職時に一時金で受け取る 60 歳満了型 :Y 社の本社 支店または関連会社に出向し 60 歳まで勤務する 4

2 第 9 条は直截的に私法的効力を認めた規定と解することはできないとされた裁判例 NTT 西日本事件 ( 平成 21 年 11 月 27 日大阪高裁判決 ) Xらは いずれもY 社の元従業員であり 合同労組であるZ 労組の組合員である Y 社には 他に 従業員の約 99% が加入するA 労組がある Y 社は Y 社の労働者に対し 旧制度 (60 歳定年後に最長 65 歳まで1 年契約を更新して再雇用する制度 ) の廃止を含めて本件制度 ( ) を説明し 再選択の際にも Z 労組に再選択の内容を説明したが Xらは明示的にY 社に選択通知しなかったため 60 歳満了型 ( ) を選択したとみなされ Y 社を 60 歳で定年退職したものとして扱われた Xらは Y 社が 高年法第 9 条に基づく定年後の継続的雇用を確保すべき義務に違反して何らの措置を採らなかったなどとして Y 社に対し 債務不履行または不法行為に基づく損害賠償請求をしたが 原審が棄却したため Xらが控訴したのが本件である 再雇用型 :51 歳以降はY 社の地域会社へ転籍し 所定内給与は 20~30% 減額となり 61 歳以降は契約社員として 65 歳まで再雇用される 60 歳満了型 :Y 社の本店 支店 関連会社で 60 歳まで勤務し 成果業績に応じた高収入の機会が与えられるが 全国への広域配転 出向がある 1 高年法第 9 条は 労働者に事業主に対する継続雇用制度の導入請求権ないし継続雇用請求権を付与した規定 ( 直截的に私法的効力を認めた規定 ) とまで解することはできないこと 2 仮に同条項によって事業主に作為義務があるとしても その作為内容が未だ抽象的で 直ちに私法的強行性ないし私法上の効力を発生させる程の具体性を備えているとまでは認めがたいこと 3 同法には同条第 1 項の義務に違反した場合について 労基法第 13 条のような私法的効力を認める旨の明文規定も補充的効力に関する規定もなく 仮に同条 1 項の義務を私法上の義務と解すると 同義務内容となる給付内容が特定できないといった解釈上困難な問題を惹起することなどから Y 社はXに対し 継続雇用制度の導入義務ないし継続雇用義務まで負っているとまではいえない 事業主が転籍型の継続雇用制度を採用する場合 特段の事情でもない限り 事業主と転籍先との間で少なくとも同一企業グループとの関係とともに転籍後も高年齢者の安定した雇用が確保されるような関係性が認められなければならないと解するのが相当であり 本件制度では 資本的な密接性が認められるのみならず 再雇用に関する就業規則を制定して 基本的に再雇用されることとし 現にそのように運用されているというのであるから 本件制度は 同条 1 項 2 号で定める継続雇用制度に適合する制度である 本件制度が高年法に適合しないといえないことは原判決の説示するとおりであり 旧制度からの変更は 従業員に就業規則等の不利益をもたらすものとしても その不利益変更にはその法的規範性を是認するだけの合理性がある 5

3 継続雇用制度の対象者に係る基準が手続要件を欠き無効とされ 労働者が労働契約上の権 利を有するとされた裁判例 京浜交通事件 ( 平成 22 年 2 月 25 日横浜地裁川崎支部判決 ) 被告に雇用されていた原告が 被告の作成した就業規則 29 条に定める満 60 歳定年後の再雇用基準を満たしていないことを理由とする再雇用拒否が無効であるなどと主張して 被告に対する労働契約上の権利を有する地位にあることの確認並びに定年の日の翌日からの賃金及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案である 高年法 9 条 2 項は 高年齢者雇用確保措置としての継続雇用制度を導入するに当たっては 事業主による恣意的な対象者の限定などの弊害を防止するために すべての労働者の過半数の団体意思を反映した上でかかる柔軟化を行うこととし そのための手続的担保として 労働者の代表による関与により 継続雇用制度の対象となる高年齢者に係る基準を定め 当該基準に基づく制度を導入することを要件としたものと解することができる 被告の主張する労使慣行は 労働組合の全組合員数の過半数との間で協定を締結すれば労使協定として有効に成立するというべきものであり すべての労働者のうちの一部にすぎない組合員の意思を反映させるものにすぎないから 仮に 被告の主張する方法での労使協定の締結が長期間行われていたとしても高年法 9 条 1 項 2 号所定の継続雇用制度の導入の趣旨目的に照らせば 本件継続雇用制度の導入に当たってはこれを労使慣行として有効であると認めることはできない 各事業所において すべての労働者の過半数の代表を選出することができないほど労働者間で大きく意見が対立する状況にあったものとはうかがわれず 本件継続雇用制度の導入に当たって各事業所においてすべての労働者の過半数を代表する者を選出することができない状況にあったものと認めるに足りる証拠はない 被告は 高年法 9 条 2 項に規定する協定をするため努力したにもかかわらず協議が調わなかったものと認めることはできず 本件就業規則 29 条が高年法附則 5 条 1 項の要件を具備していないというべきである 本件継続雇用制度の導入を定める本件就業規則 29 条は 手続要件を欠き無効であり 原告は 被告に対し 労働契約上の権利を有する地位にあるというべきである 6

4 原告は継続雇用制度の対象者に係る基準に該当するとして 法人による再雇用拒否を無効 とした裁判例 東京大学出版会事件 ( 平成 22 年 8 月 26 日東京地裁判決 ) 定年退職した原告の再雇用を希望する旨の意思表示を 法人が拒否したことに対し 同拒否の意思表示は正当な理由を欠き無効であり 法人との間において 再雇用契約が締結されているとして 労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めたもの なお 法人においては 定年退職者の再雇用については 高年法第 9 条第 2 項に基づく労使協定により 再雇用契約社員就業規則 が定められている 同就業規則 3 条は 定年退職者の再雇用の条件として 定年退職者で再雇用を希望することを5 条の定めにより事前に申し出た者で (1) 健康状態が良好で 8 条 ( 勤務日 勤務時間 ) に定める勤務が可能な者 (2) 再雇用者として通常勤務ができる意欲と能力がある者を再雇用すること等が定められている 雇用確保措置の一つとしての継続雇用制度 ( 法 9 条 1 項 2 号 ) の導入に当たっては 各企業の実情に応じて労使双方の工夫による柔軟な対応が取れるように 労使協定によって 継続雇用制度の対象となる高年齢者に係る基準を定め 当該基準に基づく制度を導入したときは 継続雇用制度の措置を講じたものとみなす ( 法 9 条 2 項 ) とされており 翻って かかる労使協定がない場合には 原則として 希望者全員を対象とする制度の導入が求められているものと解される 原告には その職務を遂行する上で備えるべき身体的 技術的能力を減殺する程度の協調性又は規律性の欠如等が認められるということはできず 再雇用就業規則 3 条 (2) 所定の 能力 がないということはできないといわなければならない 本件再雇用拒否は 原告が再雇用就業規則 3 条所定の要件を満たすにもかかわらず 何らの客観的 合理的理由もなくされたものであって 解雇権濫用法理の趣旨に照らして無効であるというべきである そうすると 原告は 再雇用就業規則所定の取扱い及び条件に従って 被告との間で 再雇用契約を締結することができる雇用契約上の権利を有するというべきであるから 再雇用契約が成立したものとして取り扱われることになるというべきである したがって 原告が被告に対して 労働契約上の権利を有する地位にあることが認められる 7