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1. Caov-3 細胞株 A2780 細胞株においてシスプラチン単剤 シスプラチンとトポテカン併用添加での殺細胞効果を MTS assay を用い検討した 2. Caov-3 細胞株においてシスプラチンによって誘導される Akt の活性化に対し トポテカンが影響するか否かを調べるために シスプラチ


( 様式甲 5) 学位論文内容の要旨 論文提出者氏名 論文審査担当者 主査 教授 花房俊昭 宮村昌利 副査副査 教授教授 朝 日 通 雄 勝 間 田 敬 弘 副査 教授 森田大 主論文題名 Effects of Acarbose on the Acceleration of Postprandial

15 氏 名 し志 だ田 よう陽 すけ介 学位の種類学位記番号学位授与の日付学位授与の要件 博士 ( 医学 ) 甲第 632 号平成 26 年 3 月 5 日学位規則第 4 条第 1 項 ( 腫瘍外科学 ) 学位論文題目 Clinicopathological features of serrate

<4D F736F F D A8DC58F4994C C A838A815B C91E5817B90E E5817B414D A2E646F63>

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2015 年 11 月 5 日 乳酸菌発酵果汁飲料の継続摂取がアトピー性皮膚炎症状を改善 株式会社ヤクルト本社 ( 社長根岸孝成 ) では アトピー性皮膚炎患者を対象に 乳酸菌 ラクトバチルスプランタルム YIT 0132 ( 以下 乳酸菌 LP0132) を含む発酵果汁飲料 ( 以下 乳酸菌発酵果

( 様式甲 5) 学位論文内容の要旨 論文提出者氏名 論文審査担当者 主査 教授 大道正英 髙橋優子 副査副査 教授教授 岡 田 仁 克 辻 求 副査 教授 瀧内比呂也 主論文題名 Versican G1 and G3 domains are upregulated and latent trans

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( 様式甲 5) 学位論文内容の要旨 論文提出者氏名 論文審査担当者 主査 教授 森脇真一 井上善博 副査副査 教授教授 東 治 人 上 田 晃 一 副査 教授 朝日通雄 主論文題名 Transgene number-dependent, gene expression rate-independe

幻覚が特徴的であるが 統合失調症と異なる点として 年齢 幻覚がある程度理解可能 幻覚に対して淡々としている等の点が挙げられる 幻視について 自ら話さないこともある ときにパーキンソン様の症状を認めるが tremor がはっきりせず 手首 肘などの固縮が目立つこともある 抑うつ症状を 3~4 割くらい

3. 安全性本治験において治験薬が投与された 48 例中 1 例 (14 件 ) に有害事象が認められた いずれの有害事象も治験薬との関連性は あり と判定されたが いずれも軽度 で処置の必要はなく 追跡検査で回復を確認した また 死亡 その他の重篤な有害事象が認められなか ったことから 安全性に問

学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 小川憲人 論文審査担当者 主査田中真二 副査北川昌伸 渡邉守 論文題目 Clinical significance of platelet derived growth factor -C and -D in gastric cancer ( 論文内容の要旨 )

ータについては Table 3 に示した 両製剤とも投与後血漿中ロスバスタチン濃度が上昇し 試験製剤で 4.7±.7 時間 標準製剤で 4.6±1. 時間に Tmaxに達した また Cmaxは試験製剤で 6.3±3.13 標準製剤で 6.8±2.49 であった AUCt は試験製剤で 62.24±2

のつながりは重要であると考える 最近の研究では不眠と抑うつや倦怠感などは互いに関連し, 同時に発現する症状, つまりクラスターとして捉え, 不眠のみならず抑うつや倦怠感へ総合的に介入することで不眠を軽減することが期待されている このようなことから睡眠障害と密接に関わりをもつ患者の身体的 QOL( 痛

学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 松尾祐介 論文審査担当者 主査淺原弘嗣 副査関矢一郎 金井正美 論文題目 Local fibroblast proliferation but not influx is responsible for synovial hyperplasia in a mur

関係があると報告もされており 卵巣明細胞腺癌において PI3K 経路は非常に重要であると考えられる PI3K 経路が活性化すると mtor ならびに HIF-1αが活性化することが知られている HIF-1αは様々な癌種における薬理学的な標的の一つであるが 卵巣癌においても同様である そこで 本研究で

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ルグリセロールと脂肪酸に分解され吸収される それらは腸上皮細胞に吸収されたのちに再び中性脂肪へと生合成されカイロミクロンとなる DGAT1 は腸管で脂質の再合成 吸収に関与していることから DGAT1 KO マウスで認められているフェノタイプが腸 DGAT1 欠如に由来していることが考えられる 実際

第三問 : 認知症の主な症状にどのようなものがあるか 下枠に二つ記入してください 例 ) 同じことを何度も言うなど ( 答えはたくさんあります ) 例 ) ささいなことで怒るなど ( 答えはたくさんあります ) 第四問 : 次の認知症に関する基礎知識について正しいものには を 間違っているものには

症例報告書の記入における注意点 1 必須ではない項目 データ 斜線を引くこと 未取得 / 未測定の項目 2 血圧平均値 小数点以下は切り捨てとする 3 治験薬服薬状況 前回来院 今回来院までの服薬状況を記載する服薬無しの場合は 1 日投与量を 0 錠 とし 0 錠となった日付を特定すること < 演習

シプロフロキサシン錠 100mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにシプロフロキサシン塩酸塩は グラム陽性菌 ( ブドウ球菌 レンサ球菌など ) や緑膿菌を含むグラム陰性菌 ( 大腸菌 肺炎球菌など ) に強い抗菌力を示すように広い抗菌スペクトルを

2016年度 心理検査講習会最終版

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学位論文名 :Relationship between cortex and pulvinar abnormalities on diffusion-weighted imaging in status epilepticus ( てんかん重積における MRI 拡散強調画像の高信号 - 大脳皮質と視

学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 庄司仁孝 論文審査担当者 主査深山治久副査倉林亨, 鈴木哲也 論文題目 The prognosis of dysphagia patients over 100 years old ( 論文内容の要旨 ) < 要旨 > 日本人の平均寿命は世界で最も高い水準であり

オクノベル錠 150 mg オクノベル錠 300 mg オクノベル内用懸濁液 6% 2.1 第 2 部目次 ノーベルファーマ株式会社

平成14年度研究報告


上原記念生命科学財団研究報告集, 30 (2016)

機能分類や左室駆出率, 脳性ナトリウム利尿ペプチド (Brain Natriuretic peptide, BNP) などの心不全重症度とは独立した死亡や入院の予測因子であることが多くの研究で示されているものの, このような関連が示されなかったものもある. これらは, 抑うつと心不全重症度との密接な

ピルシカイニド塩酸塩カプセル 50mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにピルジカイニド塩酸塩水和物は Vaughan Williams らの分類のクラスⅠCに属し 心筋の Na チャンネル抑制作用により抗不整脈作用を示す また 消化管から速やかに

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博士論文 考え続ける義務感と反復思考の役割に注目した 診断横断的なメタ認知モデルの構築 ( 要約 ) 平成 30 年 3 月 広島大学大学院総合科学研究科 向井秀文

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前立腺癌は男性特有の癌で 米国においては癌死亡者数の第 2 位 ( 約 20%) を占めてい ます 日本でも前立腺癌の罹患率 死亡者数は急激に上昇しており 現在は重篤な男性悪性腫瘍疾患の1つとなって図 1 います 図 1 初期段階の前立腺癌は男性ホルモン ( アンドロゲン ) に反応し増殖します そ

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Systematic Review of Psychological Assessment for elder clients, No. The review about Intelligence or Memory Scale for Dementia Kyoko WATANABE

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インプラント周囲炎を惹起してから 1 ヶ月毎に 4 ヶ月間 放射線学的周囲骨レベル probing depth clinical attachment level modified gingival index を測定した 実験 2: インプラント周囲炎の進行状況の評価結紮線によってインプラント周囲

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Wnt3 positively and negatively regu Title differentiation of human periodonta Author(s) 吉澤, 佑世 Journal, (): - URL Rig

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第四問 : パーキンソン病で問題となる運動障害の症状について 以下の ( 言葉を記入してください ) に当てはまる 症状 特徴 手や足がふるえる パーキンソン病において最初に気づくことの多い症状 筋肉がこわばる( 筋肉が固くなる ) 関節を動かすと 歯車のように カクカク と軋む 全ての動きが遅くな

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時間がかかる.DOSS は妥当性が検証されておらず, 更に評価に嚥下造影検査が必要である. FOSS や NOMS は信頼性と妥当性が評価されていない.FOIS は 7 段階からなる観察による評価尺度で, 患者に負担が無く信頼性や妥当性も検証されている. 日本では Food Intake LEVEL

東邦大学学術リポジトリ タイトル別タイトル作成者 ( 著者 ) 公開者 Epstein Barr virus infection and var 1 in synovial tissues of rheumatoid 関節リウマチ滑膜組織における Epstein Barr ウイルス感染症と Epst

報道発表資料 2008 年 7 月 17 日 独立行政法人理化学研究所 単語やメロディーの切れ目に対応する脳活動の記録に成功 - 分節化進行過程の神経活動を 世界で初めて生理学的手法で観察 - ポイント 連続音声に含まれる単語やメロディーの切れ目だけに出現する脳波を発見 脳波の強さは音声分節化と統計

資料 3 1 医療上の必要性に係る基準 への該当性に関する専門作業班 (WG) の評価 < 代謝 その他 WG> 目次 <その他分野 ( 消化器官用薬 解毒剤 その他 )> 小児分野 医療上の必要性の基準に該当すると考えられた品目 との関係本邦における適応外薬ミコフェノール酸モフェチル ( 要望番号

第1回肝炎診療ガイドライン作成委員会議事要旨(案)

3) 適切な薬物療法ができる 4) 支持的関係を確立し 個人精神療法を適切に用い 集団精神療法を学ぶ 5) 心理社会的療法 精神科リハビリテーションを行い 早期に地域に復帰させる方法を学ぶ 10. 気分障害 : 2) 病歴を聴取し 精神症状を把握し 病型の把握 診断 鑑別診断ができる 3) 人格特徴

( 続紙 1) 京都大学博士 ( 教育学 ) 氏名小山内秀和 論文題目 物語世界への没入体験 - 測定ツールの開発と読解における役割 - ( 論文内容の要旨 ) 本論文は, 読者が物語世界に没入する体験を明らかにする測定ツールを開発し, 読解における役割を実証的に解明した認知心理学的研究である 8

抗ヒスタミン薬の比較では 抗ヒスタミン薬は どれが優れているのでしょう? あるいはどの薬が良く効くのでしょうか? 我が国で市販されている主たる第二世代の抗ヒスタミン薬の臨床治験成績に基づき 慢性蕁麻疹に対する投与 2 週間後の効果を比較検討すると いずれの薬剤も高い効果を示し 中でもエピナスチンなら

連載臨床医学の現在 ( プライマリ ケアレビュー ) 図 1 DSM- Ⅳ -TR による認知症診断基準の要約 A. 多彩な認知障害の発言. 以下の 2 項目がある. 1) 記憶障害 ( 新しい情報を学習したり, 以前に学習していた情報を想起する能力の障害 ) 2) 次の認知機能の障害が 1 つ以上

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く 細胞傷害活性の無い CD4 + ヘルパー T 細胞が必須と判明した 吉田らは 1988 年 C57BL/6 マウスが腹腔内に移植した BALB/c マウス由来の Meth A 腫瘍細胞 (CTL 耐性細胞株 ) を拒絶すること 1991 年 同種異系移植によって誘導されるマクロファージ (AIM

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研究の背景社会生活を送る上では 衝動的な行動や不必要な行動を抑制できることがとても重要です ところが注意欠陥多動性障害やパーキンソン病などの精神 神経疾患をもつ患者さんの多くでは この行動抑制の能力が低下しています これまでの先行研究により 行動抑制では 脳の中の前頭前野や大脳基底核と呼ばれる領域が

はじめに難聴の重症度をいくつかのカテゴリーに分類する意義は 難聴そのものの程度と それによってもたらされる障害を 一般的な言葉で表し 難聴に関する様々な記述に一定の客観性 普遍性を持たせることにあると考えられる 仮にこのような分類がないと 難聴に関する記述の際に数値を示すか あるいは定量的な裏付けの

あった AUCtはで ± ng hr/ml で ± ng hr/ml であった 2. バイオアベイラビリティの比較およびの薬物動態パラメータにおける分散分析の結果を Table 4 に示した また 得られた AUCtおよび Cmaxについてとの対数値

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られる 糖尿病を合併した高血圧の治療の薬物治療の第一選択薬はアンジオテンシン変換酵素 (ACE) 阻害薬とアンジオテンシン II 受容体拮抗薬 (ARB) である このクラスの薬剤は単なる降圧効果のみならず 様々な臓器保護作用を有しているが ACE 阻害薬や ARB のプラセボ比較試験で糖尿病の新規

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2. 手法まず Cre 組換え酵素 ( ファージ 2 由来の遺伝子組換え酵素 ) を Emx1 という大脳皮質特異的な遺伝子のプロモーター 3 の制御下に発現させることのできる遺伝子操作マウス (Cre マウス ) を作製しました 詳細な解析により このマウスは 大脳皮質の興奮性神経特異的に 2 個

NIRS は安価かつ低侵襲に脳活動を測定することが可能な検査で 統合失調症の精神病症状との関連が示唆されてきました そこで NIRS で測定される脳活動が tdcs による統合失調症の症状変化を予測し得るという仮説を立てました そして治療介入の予測における NIRS の活用にもつながると考えられまし

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博士学位論文 内容の要旨及び論文審査結果の要旨 第 11 号 2015 年 3 月 武蔵野大学大学院

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(2) レパーサ皮下注 140mgシリンジ及び同 140mgペン 1 本製剤については 最適使用推進ガイドラインに従い 有効性及び安全性に関する情報が十分蓄積するまでの間 本製剤の恩恵を強く受けることが期待される患者に対して使用するとともに 副作用が発現した際に必要な対応をとることが可能な一定の要件

33 NCCN Guidelines Version NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines ) (NCCN 腫瘍学臨床診療ガイドライン ) 非ホジキンリンパ腫 2015 年第 2 版 NCCN.or

検査項目情報 6475 ヒト TARC 一次サンプル採取マニュアル 5. 免疫学的検査 >> 5J. サイトカイン >> 5J228. ヒトTARC Department of Clinical Laboratory, Kyoto University Hospital Ver.6 thymus a

( 様式甲 5) 氏 名 忌部 尚 ( ふりがな ) ( いんべひさし ) 学 位 の 種 類 博士 ( 医学 ) 学位授与番号 甲第 号 学位審査年月日 平成 29 年 1 月 11 日 学位授与の要件 学位規則第 4 条第 1 項該当 Benifuuki green tea, containin

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要望番号 ;Ⅱ-286 未承認薬 適応外薬の要望 ( 別添様式 ) 1. 要望内容に関連する事項 要望者 ( 該当するものにチェックする ) 学会 ( 学会名 ; 特定非営利活動法人日本臨床腫瘍学会 ) 患者団体 ( 患者団体名 ; ) 個人 ( 氏名 ; ) 優先順位 33 位 ( 全 33 要望

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< 方法 > 被験者は心身ともに健康で歯科医療関係者以外の歯科受診経験のある成人男女 15 名 ( 男 6 名 女 9 名 22.67±2.89 歳 ) とした 安静な状態で椅子に腰掛け 歯科治療に関する質問紙への回答により歯科受診経験の有無 実験前のカフェインやアルコールの摂取がないことを確認した

た 18 歳以上の AD/HD 患者を対象に 日本人を含むアジア人によるプラセボ対照二重盲検比較試験及びその長期継続投与試験が現在実施されており 本剤の製造販売者によれば これらの試験成績に基づき 本剤の成人期 AD/HD 患者への追加適応に関する承認事項一部変更承認申請が行われる予定とされている

報道関係者各位 2019 年 1 月 17 日 国立大学法人筑波大学 株式会社 MCBI 認知機能の低下を評価する有効な血液バイオマーカーの発見 認知症発症の前兆を捉える 研究成果のポイント 1. アルツハイマー病など認知症の発症に関わる3 種類のタンパク質の血液中の変化が 軽度認知注障害 (MCI

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DRAFT#9 2011

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博 士 学 位 論 文

メマンチン塩酸塩 :2.7.3 臨床的有効性 メマリー錠 5 mg メマリー錠 10 mg メマリー錠 20 mg ( メマンチン塩酸塩 ) CTD 第 2 部 CTD の概要 2.7 臨床概要 臨床的有効性 第一三共株式会社 1 M2-GC

Ⅰ 向精神薬の合理的な用い方 ④ 3 理学的および生化学的検査 身長 体重 体温 脈拍 血圧などの測定とともに 心電図およ び血液生化学的検査を施行し生体の病的状態の有無を評価してお く 脳波 CT MRI SPECT PET NIRS 等も必要に応じて施行 する 2 薬物療法の実際 ① 適切な薬剤

12_モニタリングの実施に関する手順書 

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1 氏 名 たか髙 の野 まさ雅 つぐ嗣 学位の種類学位記番号学位授与の日付学位授与の要件 博士 ( 医学 ) 甲第 645 号平成 26 年 9 月 30 日学位規則第 4 条第 1 項 ( 内科学 ( 神経 )) 学位論文題目 Effects of memantine on event-related potentials in Alzheimer s disease under donepezil treatment ( 塩酸ドネペジルにて加療中のアルツハイマー病患者における事象関 連電位を用いたメマンチンの作用の検討 ) 論文審査委員 ( 主査 ) 教授下田和孝 ( 副査 ) 教授金彪 教授上田秀一 論文内容の要旨 背景 アルツハイマー病患者 (Alzheimer s disease:ad) 患者では 海馬や大脳皮質におけるアセチルコリン (acetylcholine:ach) レベルやACh 合成酵素活性の低下が認められる これによりアセチルコリン仮説が提唱され アセチルコリンエステラーゼ (acetylcholinesterase:ache) の働きを阻害し シナプス間隙のAChレベルを増加させる塩酸ドネペジルなどのAChE 阻害薬が開発された また 中等度から重度のAD 患者の治療薬には メマンチンがある メマンチンは N-methyl-Daspartate(NMDA) 受容体の拮抗作用があり 過剰なグルタミン酸によるNMDA 受容体の活性化を抑制することにより神経細胞保護作用 及び記憶 学習機能障害抑制作用を有する薬剤である さらに 中等度から高度のADに対し 認知機能障害の進行を抑制し 攻撃性 行動障害等の行動 心理症状の進行を抑制する 中等度から重度 AD 患者に ドネペジル単独群とドネペジルとメマンチン併用群で比較したところ 併用群で 認知機能 行動面の有意な改善が認められた この研究に基づき 塩酸ドネペジルとメマンチンの併用療法は推奨されている しかしながら この併用療法の認知機能に影響をもたらす機序は 不明である 目的 脳波をもちいた事象関連電位 (event-related potentials:erps) は 特定の刺激により誘発されたヒトの情報処理過程を電気生理学的反応として示される電位であり ADや軽度認知障害 (mild -1-

cognitive impairment) の研究に広く用いられている 今回われわれは 塩酸ドネペジルで治療中の AD 患者にメマンチンを追加投与し 認知機能を評価するため ERPsをもちいて評価した また メマンチンによって改善された認知機能の機序を調べるために メマンチンの投与後のMini Mental State Examination(MMSE) の結果で改善した群 悪化した群の2 群にわけERPsを評価した 対象と方法 対象は Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders 4th edition text revision(dsm- IV-TR) 分類とthe National Institute of Neurologic and Communicative Disorders and Stroke and the Alzheimer s Disease and Related Disorders Association(NINCDS-ADRDA) 分類で probable AD と診断されたAD 患者 21 名 ( 平均年齢 70±9 歳 ; 男性 8 名 女性 13 名 ) 患者は 1 年以内に頭部 MRI 検査を施行し 脳血管性認知症や水頭症などの器質性認知症を否定した また 大うつや 他の神経疾患 採血検査異常値による認知症を除外した すべての患者は 6か月以上前から塩酸ドネペジルを継続 メマンチンを投与する少なくとも3か月前から塩酸ドネペジルの服用量を変更せず維持 ( 平均投与量 8.2±2.4mg/day) した 塩酸ドネペジルを継続したまま メマンチンは5mg/dayより開始し 1 週ごとに5mg/dayずつ増量し 4 週間で20mg/dayまで到達後 3か月間維持量を継続した その間 他の薬の追加はなかった メマンチンを投与する前と3か月後に 神経心理学的検査とERPsを同日午後 2 時間以内に施行した 神経心理学的検査には 中核症状を評価する改長谷川式簡易知能評価スケール (the revised Hasegawa dementia scale: HDS-R) MMSEとアルツハイマー病評定尺度 - 認知 - 日本版 (the Japanese version of the Alzheimer s disease assessment scale-cognitive subscale: ADAS-J cog) をもちいた HDS-RとMMSEは認知症のスクリーニング検査で ともに30 点を満点とし 点数が高くなるほど認知機能が保たれていることを示す ADAS-J cogは AD 患者の重症度や症状の変化をみるためにもちいられる 0-70 点で採点され 得点が高いほど認知機能の低下が示される また 行動心理症状を評価するためBehavioral Pathology in Alzheimer s disease(behave-ad) を施行した Behave-ADは ADに特徴的なbehavioral and psychological symptoms of dementia(bpsd) を反映している 脳波の電極の配置は 国際 10/20 法に準じた頭皮上の20チャンネルとした すべての脳波検査は時間生物学的条件を統一するため午後 2 時に脳波検査室でおこなった ERPsは 2 音弁別オドボール計数課題条件とし 刺激は80dBのトーンバースト 提示時間は100ミリ秒 提示時間は1.5 秒とし パラダイムは標準刺激を1000Hz 80% 標的刺激を2000Hz 20% とした まず初めに受動課題をおこない その後 頭の中で標的刺激を数える計数課題をおこなった ERPsは PzにおけるN1およびP3の頂点潜時 振幅を計測した メマンチン投与前と投与後 3か月後に施行した21 名の神経心理学的検査とERPsのデータを 対応のあるt 検定をもちいて解析し 危険率 5% を有意とした さらに メマンチンの認知機能改善の病態生理を評価するために メマンチンの投与前後の MMSEスコアの変化によって 改善した群と悪化した群の2 群に分け 神経心理学的検査とERPsの -2-

データを解析し ( 対応のあるt 検定 ) 比較した 本研究の内容は 当院の生命倫理委員会に申請し 承認を得た 結果 本研究において全員がメマンチン20mg/dayを継続し 重篤な有害事象はみられなかった 21 例の全体で メマンチンの投与前後において HDS-R MMSE ADAS-J cog Behave-ADに有意な変化は認めなかった 聴覚課題は全員が遂行できたが 標的課題の計数パフォーマンスは 80% 未満であり不良であった N1およびP3 成分の頂点潜時 振幅は 受動課題 計数課題ともに前後で有意な差は認めなかった 21 名をMMSEの前後のスコアによって2 群にわけ メマンチン投与後にMMSEスコアが改善または変化なしの患者は11 名 メマンチン投与後にMMSEのスコアが悪化したのは10 名であった この2 群の臨床背景に差はみられなかった ERPsは 受動課題においてのみ有意な結果がでた MMSE 改善群で 脳波上 PzにおいてN1 振幅がメマンチン投与後に有意に増高し N1 頂点潜時は 延長傾向を示した MMSE 悪化群で N1 振幅が有意に減高し P3 振幅が減高傾向であった 考察 メマンチンの有効性を評価する検査法として電気生理学的検査である脳波や ERPsでの薬効評価の報告は少ない そこでわれわれは 時間分解能が高く SPECTやPETに比べ安価で 非侵襲的に認知機能を客観的に評価することが可能なERPsをもちい AD 患者の特徴を調べた ERPsのN1 成分は聴覚刺激後約 100msの潜時で頭頂部優位に陰性に現れる外因性の聴覚誘発電位である 注意プロセスに関連するとされ 上側頭回が発生の起源と考えられている 過去の研究で AD 患者では N1 振幅が低下し潜時が延長すると報告されている 一方 P3は 認知処理を反映する内因性のERP 成分であり P3a(novelty P3) とP3b( 狭義のP3) の2つの成分が重なったものである P3aはP3bと比較し潜時が60-80ms 短く 前頭 - 中心部寄りに分布している P3aは注意の定位に P3bは認知符号化処理の終結あるいは作業記憶の更新に関連するといわれている P3aは タスクがなく注意が向かないような受動的な場合に観察され P3bは 2 音弁別計数課題などのタスク負荷のある場合に観察できる これは作業記憶に関連があり 情報処理資源の配分量を反映するとされ 認知機能を評価するために臨床でも利用されている 計数課題において 標的課題の数を数える正解の割合は 80% 未満であり ( 通常は90% 以上を評価可能とする ) ERPsから得られた結果を正確に評価することは困難であった そのためわれわれは 認知症患者を対象にしていることから計数課題の他 受動課題を施行し評価した ERPs 成分と各神経伝達物質との関係について アセチルコリンを反映するものとして聴性中潜時反応 (middle latency auditory evoked response:mlr) のP1 成分 ドーパミンの機能を反映するものとしてはP3aが示唆されている 本研究において メマンチン投与により MMSEスコアの改善群で 脳波上のPzにおいて N1の振幅が有意に増高し MMSEスコアの悪化群でN1 振幅が減高した この結果は メマンチンが頭頂 -3-

部あるいは側頭部を刺激する可能性があることを示唆した すなわち メマンチンがこの領域を刺激し注意が高まった結果 MMSEスコアに改善をもたらしたと考えられた なぜ N1におけるメマンチンの効果が 計数課題ではなく 受動課題にのみ有意になったのかという点については 計数課題のパフォーマンスが不良であったことが考えられる パフォーマンスが不良になることにより本来の脳活動を示す電位が乱れ オンライン上で得られた総加算波形に影響したと思われた 一方で メマンチンが選択的注意ではなく 潜在的受動的な注意を増加させる可能性があることを示唆した また 今回 P3aに有意差が出なかった理由として P3aは薬効的にドーパミン機能を反映するので グルタミン酸系のメマンチンの影響は反映されなかったことが考えられた これらの所見は メマンチンが頭頂部あるいは側頭部に関連した潜在的かつ 受動的な注意を増加させる可能性があることを示唆した 結論 AD 患者におけるERPsのオドボール受動課題は メマンチンが認知機能改善をもたらす病態の解明に役立ち 薬効評価として感受性が高く 遂行機能が低下した症例においても客観的評価として有効であると思われた 論文審査の結果の要旨 論文概要 メマンチンは N-methyl-D-aspartate (NMDA) 受容体の拮抗作用があり 過剰なグルタミン酸によるNMDA 受容体の活性化を抑制することにより 神経細胞保護作用及び記憶 学習機能障害抑制作用を有する薬剤である さらに 中等度から高度のアルツハイマー病 (AD) に対し 認知機能障害の進行を抑制し 攻撃性 行動障害等の行動 心理症状の進行を抑制する しかしながら メマンチンがADの認知機能を改善する生理的機序は十分には解明されていない 申請者は 塩酸ドネペジルで治療中のAD 患者 21 名にメマンチンを追加投与し 認知機能を評価するため event-related potentials (ERPs) をもちいて検討した メマンチンは5mgより開始し20mgまで漸増 3か月間維持量を継続した その前後で 心理検査には 認知機能全般を評価するMini-Mental State Examination (MMSE) と行動心理症状を反映するBehavioral Pathology in Alzheimer s disease(behave-ad) を施行した また ERPsには2 音弁別オドボール課題を用い 受動課題 計数課題をそれぞれで計測した 21 名中 メマンチン投与後にMMSEで改善または変化なしの患者は11 名であった またメマンチン投与後にMMSEが悪化したのは10 名であった ERPsは MMSE 改善群で 頭皮上 Pzにおいて N1の振幅が有意に増高した一方 MMSE 悪化群ではN1 振幅が減高した ERPsのN1 成分とは 聴覚刺激が到達してから約 100msの潜時で 上側頭回や頭頂葉から発現する頭頂部優位に陰性の一部内因成分を含む外因性の聴覚誘発電位であり 注意力に関連するとされる メマンチンがこの領域を刺激し注意力が上昇した結果 MMSEスコアの改善をもたらす可能性が示唆され ERPsは メマンチンの認知機能改善をもたらす生理的機序の解明および客観的評価に有効であると結論づけている -4-

研究方法の妥当性 申請論文では メマンチンが認知機能改善をもたらす生理学的機序を明らかにする上で 塩酸ドネペジルで加療中の中等度から重度のAD 患者を対象とし 非侵襲的なERPや神経心理学的検査を用いて前向きかつ客観的に評価したものである 本検討の内容は大学倫理委員会に申請し承認を受け すべての症例に検査 治療についての副作用についての説明をおこない同意を得ている 以上より 本研究方法は妥当なものと判断できる 研究結果の新奇性 独創性 これまでの報告では 中等度から高度 ADに対する塩酸ドネペジルとメマンチン併用療法についての認知機能改善効果は確認されているが 作用機序の異なる2 剤の併用療法の認知機能改善効果や 認知機能に影響をもたらす基本となる生理学的機序については 結論が出ていない また その生理学的機序を解明する上でERPを用いた研究はなされておらず ERPを用いてメマンチンの認知機能改善に及ぼす生理学的機序についての可能性を示唆している 以上より 本研究は新奇性 独創性に優れた研究と評価できる 結論の妥当性 申請論文では 適切な対象群の設定の下 正しい研究手法と適切な統計解析を用いて得られたデータに基づき 論理的に考察を展開しており AD 患者におけるERPsのオドボール受動課題は メマンチンが認知機能改善をもたらす生理学的機序の解明および客観的評価として有効であると結論を導き出しており 結論は妥当と考える 当該分野における位置付け 今まで明らかになっていない メマンチンの作用機序を ERPを用いた新たな方法で明らかにした この新知見は臨床的に重要かつ大変有益なもので 当該分野への貢献度も高いと評価できる 申請者の研究能力 申請者は 認知症診療に携わり 臨床神経学や神経生理学の知見を学んだうえで 仮説をたて 適切に本研究を遂行し 貴重な知見を得ている それに基づいて作成した論文は当該領域の国際誌への掲載が受理されており 申請者の研究能力は高いと評価できる 学位授与の可否 本論文は 質の高い研究内容を有しており 当該分野における貢献度も高い 従って 博士 ( 医学 ) の学位授与に相応しいと判定した ( 主論文公表誌 ) Neuroscience and Biomedical Engineering 1:34-39, 2013-5-