1. はじめに 中小企業経営者の高齢化が進展する中 事業承継の円滑化は喫緊の課題です 平成 30 年度税制改正において 事業承継の際に生ずる相続税 贈与税の負担を軽減する 非上場株式等についての相続税及び贈与税の納税猶予及び免除の特例 ( 以下 事業承継税制 ) が抜本的に改正されました 本改正では

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(1) 改正の内容 内容 現行制度 特例制度 納税猶予対象株式 納税猶予税額 発行済議決権株式総数の 3 分の 2 に達するまでの株式 贈与の場合 : 納税猶予対象株式に係る贈与税の全額 相続の場合 : 納税猶予対象株式に係る相続税の 80% 取得した全ての株式 贈与の場合 : 納税猶予対象株式に係

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(1) 相続税の納税猶予制度の概要 項目 納税猶予対象資産 ( 特定事業用資産 ) 納税猶予額 被相続人の要件 内容 被相続人の事業 ( 不動産貸付事業等を除く ) の用に供されていた次の資産 1 土地 ( 面積 400 m2までの部分に限る ) 2 建物 ( 床面積 800 m2までの部分に限る

1 検査の背景 (1) 租税特別措置の趣旨及び租税特別措置を取り巻く状況租税特別措置 ( 以下 特別措置 という ) は 租税特別措置法 ( 昭和 32 年法律第 26 号 ) に基づき 特定の個人や企業の税負担を軽減することなどにより 国による特定の政策目的を実現するための特別な政策手段であるとさ

納税猶予打切りリスクの緩和 利子税率の引き下げ 承継 5 年超で 5 年分の利子税の免除 債務控除方式の変更 債務控除を株式以外の財産から行うことで 納税猶予の効果を高める < 平成 27 年度税制改正 > 贈与税の納税猶予 免除制度の拡充 1 代目が存命中に 2 代目が 3 代目に納税猶予 免除制

平成19年12月○日

1 贈与税の納税猶予制度の認定要件 ( 施 規則第 6 条第 1 項第 11 号 ) 贈与税の納税猶予制度の適 を受けるには 以下の要件等を満たすことが必要です 対象会社要件 中 企業者であること 上場会社等 俗営業会社に該当しないこと 資産保有型会社 は資産運 型会社 ( 以下 資産保有型会社等

事業承継関連税制について 関東経済産業局 平成 30 年 6 月 中小企業金融課

株式の贈与 相続税を ゼロ に! 中小企業の事業承継税制と金融支援 - 中小企業経営承継円滑化法事業者向け手引き - 神奈川県

法人会の税制改正に関する提言の主な実現事項 ( 速報版 ) 本年 1 月 29 日に 平成 25 年度税制改正大綱 が閣議決定されました 平成 25 年度税制改正では 成長と富の創出 の実現に向けた税制上の措置が講じられるともに 社会保障と税の一体改革 を着実に実施するため 所得税 資産税についても

(1) 政策目的 多様な就業の機会を提供すること等により我が国の経済の基盤を形成している中小企業の事業承継を円滑化することにより 中小企業の事業活動の継続を実現し 雇用の確保や地域経済の活力維持につなげることを目的とする (2) 施策の必要性 全国の経営者の平均年齢は年々上昇しており 例えば資本金

(2) 青色申告書を提出する中小企業者等 ( 平成 3 年 4 月 日以後開始する事業年度については 適用除外事業者 ( 注 4) を除く ) が 平成 30 年 4 月 日から平成 33 年 3 月 3 日までの間に開始する各事業年度において 国内雇用者に対して給与等を支給する場合に継続雇用者給与

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2. 制度の概要 この制度は 非上場株式等の相続税 贈与税の納税猶予制度 とは異なり 自社株式に相当する出資持分の承継の取り扱いではなく 医療法人の出資者等が出資持分を放棄した場合に係る税負担を最終的に免除することにより 持分なし医療法人 に移行を促進する制度です 具体的には 持分なし医療法人 への

注 1 認定住宅とは 認定長期優良住宅及び認定低炭素住宅をいう 注 2 平成 26 年 4 月から平成 29 年 12 月までの欄の金額は 認定住宅の対価の額又は費用の額に含まれる消費税等の税率が 8% 又は 10% である場合の金額であり それ以外の場合における借入限度額は 3,000 万円とする

平成 25 年度税制改正解説相続税 ~ 基礎控除の引き下げ 税率構造の見直し等 法定相続人の数と基礎控除法定相続人の数と基礎控除 法定相続人の数 1 人 2 人 3 人 4 人 5 人 60,000 千円 70,000 千円 80,000 千円 90,000 千円 100,000 千円 36,000

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申請マニュアル P25~37 参照 贈与報告基準日における当該中小企業者の定款の写し 会社に保存している贈与報告基準日において有効な定款の写しに 年次報告日付けで原本証明をして提出 原本証明の記載例 この写しは 贈与報告請基準日 ( 平成 25 年 3 月 5 日 ) における当社定款の原本と相違な

××税制(所得税・法人税・法人住民税・事業税)

『事業承継の際の相続税・贈与税          の納税猶予制度』

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1 第 2 章都道府県知事の認定について 第 1 節第一種特例贈与認定中小企業者 贈与税の納税猶予制度の認定要件 ( 施行規則第 6 条第 1 項第 11 号 ) 贈与税の納税猶予制度の適用を受けるには 以下の要件等を満たすことが必要です 1 対象会社要件 中小企業者であること 上場会社等 風俗営業

事業承継税制の全体像は ( 図表 1) の通りである ( 図表 1) 事業承継税制の全体像 経営者 1 代目 経営者 2 代目 一括贈与 大臣認定 贈与税の課税 贈与税の納税猶予の適用 相続税の納税猶予制度と同様 雇用確保を含む 5 年間の事業継続を行い その後も株式を継続保有 生前贈与により株式の

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改正された事項 ( 平成 23 年 12 月 2 日公布 施行 ) 増税 減税 1. 復興増税 企業関係 法人税額の 10% を 3 年間上乗せ 法人税の臨時増税 復興特別法人税の創設 1 復興特別法人税の内容 a. 納税義務者は? 法人 ( 収益事業を行うなどの人格のない社団等及び法人課税信託の引

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認定 コンサルタント向け 認定申請書記載要領 主たる事務所の所在地を管轄する経済産業局長へ申請書の正本 2 部を提出して下さい 記載内容等で判断に迷う場合は 申請書を提出する経済産業局へお尋ね下さい 認定後においては 経営革新等支援機関の名称( 氏名 ) 住所 窓口の連絡先 取り扱うことが出来る相談

Ⅰ 法人関連税制 1 減価償却制度 2 年連続の大改正になった背景 減価償却制度については 平成 19 年度税制改正により 残存価額および償却可能限度額の取扱いが廃止される大改正が行われ 定率法はいわゆる 250% 定率法 と呼ばれる従来にない新しい計算の仕組みが採用されました そして平成 20 年

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目次 特例措置の概要等... 5 ( 問 1) 非上場株式等についての相続税 贈与税の納税猶予及び免除に係る一般措置と特例措置との違い... 5 ( 問 2) 相続開始後の特例承継計画の提出... 8 ( 問 3) 特例措置の対象となる株式等の種類... 9 ( 問 4) 特例措置における雇用確保要

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はじめに 会社の経営には 様々な判断が必要です そのなかには 税金に関連することも多いでしょう 間違った判断をしてしまった結果 受けられるはずの特例が受けられなかった 本来より多額の税金を支払うことになってしまった という事態になり 場合によっては 会社の経営に大きな影響を及ぼすこともあります また

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11-1 経営の承継に向けて セミナー 研修等を受けたい 経営支援 事業 制度名 次世代経営者育成事業 ( 次世代経営者育成塾 ) 経営支援 金融支援 技術支援 商店街等支援 対象分野観光 イベント支援 人材育成支援 人材確保支援 雇用 労働支援 販路支援 企業誘致 増設支援起業 事業承継支援 その

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未成年者控除 障害者控除の見直し 未成年者控除 障害者控除 6 万円 20 歳に達するまでの年数 6 万円 ( 特別障害者 :12 万円 ) 85 歳に達するまでの年数 10 万円 20 歳に達するまでの年数 10 万円 ( 特別障害者 :20 万円 ) 85 歳に達するまでの年数 小規模宅地等につ

採用者数の記載にあたっては 機械的に採用日の属する年度とするのではなく 一括 採用を行っている場合等において 次年度新規採用者を一定期間前倒しして雇い入れた 場合は 次年度の採用者数に含めることとしてください 5 新卒者等以外 (35 歳未満 ) の採用実績及び定着状況採用者数は認定申請日の直近の3

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[2] 税率構造の見直し 相続税の税率構造が現行の6 段階から8 段階に変更されるとともに 最高税率が 50% から 55% に引き上げられることとなりました ただし 各法定相続人の取得金額が2 億円以下の場合の税率は と変わりありません この改正は 平成 27 年 1 月 1 日以後に相続または遺

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1. 経営力向上計画の概要 (1) 制度の概要 経営力向上計画 は 人材育成 コスト管理等のマネジメントの向上や設備投資など 自社の経営力を向上するために実施する計画で 認定された事業者は 税制や金融の支援等を受けることができます また 計画申請においては 経営革新等支援機関のサポートを受けることが

5 配偶者控除等 配偶者控除 配偶者特別控除 扶養控除及び勤労学生控除の合計所得金額の要件 について 一律 10 万円ずつ引き上げられます 6 青色申告特別控除正規の簿記の原則により記帳している者に係る控除額が 55 万円に引き下げられ 正規の簿記の原則により記帳し かつ e5tax 等により確定申

障財源化分とする経過措置を講ずる (4) その他所要の措置を講ずる 2 消費税率の引上げ時期の変更に伴う措置 ( 国税 ) (1) 消費税の軽減税率制度の導入時期を平成 31 年 10 月 1 日とする (2) 適格請求書等保存方式が導入されるまでの間の措置について 次の措置を講ずる 1 売上げを税

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下請契約からの社会保険等未加入建設業者の排除等に係る Q&A Q1 社会保険等とはなんですか A1: 雇用保険 健康保険 厚生年金保険の 3 保険のことをいいます Q2 社会保険等に未加入 というのはどういう場合か A2: 社会保険等に未加入 とは 社会保険等の適用を受ける事業所でありながら 各保険

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土地の譲渡に対する課税 農地に限らず 土地を売却し 譲渡益が発生すると その譲渡益に対して所得税又は法人税などが課税される 個人 ( 所得税 ) 税額 = 譲渡所得金額 15%( ) 譲渡所得金額 = 譲渡収入金額 - ( 取得費 + 譲渡費用 ) 取得後 5 年以内に土地を売却した場合の税率は30

Ⅱ. 主な内容 第 1 部公益法人の概況 1. 法人数 平成 29 年 12 月 1 日の公益法人は 9,493 法人 ( 前年比 +35) である 公益法人数の変動は 公益認定又は移行認定により増加し 法人の解散 公益認定の取消し及び合併に伴う減少がある ( 注 ) 公益認定 : 一般法人で公益認

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厚生労働省告示第六十四号中小企業等経営強化法平成十一年法律第十八号第十二条第一項の規定に基づき職業紹介事業 ( ) 労働者派遣事業分野に係る事業分野別指針を次のように定めたので同条第五項の規定に基づき公 表する平成三十一年三月十四日厚生労働大臣根本匠職業紹介事業 労働者派遣事業分野に係る事業分野別指

3. 保険加入義務のあるのある営業所 ( 適用事業所 ) について社会保険法人の事業所 ( 営業所 ) 及び個人経営で常時 5 人以上の労働者を使用する事業所 ( 営業所 ) が適用事業所に該当します 雇用保険については 労働者を 1 人でも雇用する事業所 ( 営業所 ) が適用事業所に該当します

10 解説 p1 ⑵⑶ ⑷ 11

企業中小企(2) 所得拡大促進税制の見直し ( 案 ) 大大企業については 前年度比 以上の賃上げを行う企業に支援を重点化した上で 給与支給総額の前年度からの増加額への支援を拡充します ( 現行制度とあわせて 1) 中小企業については 現行制度を維持しつつ 前年度比 以上の賃上げを行う企業について

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て 次に掲げる要件が定められているものに限る 以下この条において 特定新株予約権等 という ) を当該契約に従つて行使することにより当該特定新株予約権等に係る株式の取得をした場合には 当該株式の取得に係る経済的利益については 所得税を課さない ただし 当該取締役等又は権利承継相続人 ( 以下この項及

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Q&A 集 Q1 社会保険等とは何か A1 社会保険等とは 健康保険 ( 協会けんぽ 健康保険組合等 ) 厚生年金保険 及び雇用保険をいいます Q2 国民健康保険組合に加入しているが 社会保険等未加入建設業者となるのか A2 法人や常時 5 人以上の従業員を使用する国民健康保険組合に加入している建設

登録審査機関の審査ポイント

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目次 1. 年末調整とは 2. 平成 30 年分の留意点 3. 給与所得者の扶養控除等 ( 異動 ) 申告書の書き方 4. 給与所得者の配偶者控除等申告書の書き方 5. 給与所得者の保険料控除申告書の書き方 2

特定個人情報の取扱いの対応について

1 非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除の特例 ( 租税特別措置法第条の 7 の 5) 特例措置 ⑴ 制度のあらまし ( 注 1 円滑化法の認定 ) を都道府県知事から受ける非上場会社の後継者である受贈者 ( 特例経営承継受贈者 といいます ) が 贈与者から非上場会社の株式又は出資 (

2 税金から控除される額 市区町村や都道府県に対する寄附金は 特定寄附金 と呼ばれ 所得税や住民税を計算するときに 寄附金控除が適用され 税が軽減されます 所得税の控除 総所得金額等の 40% が限度 2,000 円 所得税率 住民税の控除基本控除 総所得金額等の 30% が限度 2

( 様式第 1 号 ( 共通 )) 共通事項 1 キャリアアップ管理者 情報 ( 氏名 ): 役職 ( 配置日 ): 年月日 2 キャリアアップ管理者 の業務内容 ( 事業所情報欄 ) 3 事業主名 4 事業所住所 ( - ) 5 電話番号 ( ) - 6 担当者 7 企業全体で常時雇用する労働 者

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総論 地方拠点強化税制とは? 税制等の支援措置を受けるためには? 3ページ 4ページ 拡充型事業とは? 5 ページ 移転型事業とは? 6 ページ 目次 各論 ステップ 1 ( 整備計画 ) 本社機能とは? どのような支援措置があるの? 支援のメリットについて整備計画の認定はいつまでに受ければいいの?

はじめに中小企業は日本の企業数の約 99% 従業員数で言えば約 70% を占め 地域経済 社会を支える存在 雇用の受け皿として重要な役割を担っています 国税庁の資料によれば 法人税申告の約 90% に税理士が関与しています 今回 税理士の業務 特に中小企業支援に係る業務を紹介するとともに 日本税理士

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☆表紙・目次 (国会議員説明会用:案なし)

A4 経営事項審査の受審状況により確認方法が異なります なお 適用除外は 労働者の就業形態等によって適用除外とならない場合もあることから 元請負人は 年金事務所等に適用除外となる要件を確認した上で判断してください 経営事項審査を受審している場合 有効期間にある経営規模等評価結果通知書総合評定値通知書

日税研メールマガジン vol.143 ( 平成 31 年 2 月 15 日発行 ) 公益財団法人日本税務研究センター Article 平成 31 年度税制改正大綱の解説 ( 2) 税理士金井恵美子 * 本稿では 前号 ( vol.142) に引き続き 平成 31 年度税制改正の大綱 に示された改正事

入力規則 年月日 / 年月 英数字 数値 西暦 半角数字 和暦は使用しない 年月日 yyyy/mm/dd (2016/04/01) 年月 yyyy/mm (2016/04) 半角文字で入力してください 全角文字は不可です ( 郵便番号 電話番号 年月日 人数や回数 面積などの数値欄 ) 人数は小数点

山梨国民年金事案 275 第 1 委員会の結論申立人の昭和 47 年 6 月から 48 年 3 月までの期間の国民年金保険料については 還付されていないものと認められることから 還付についての記録を訂正することが必要である 1 申立人の氏名等氏名 : 男基礎年金番号 : 生年月日 : 昭和 25 年

「図解 外形標準課税」(仮称)基本構想

Transcription:

特例承継計画に関する指導及び助言を行う機関における事務について 平成 30 年 4 月 1 日版 中小企業庁財務課 本資料は平成 30 年 4 月 1 日時点の法令に基づく情報等で作成されています

1. はじめに 中小企業経営者の高齢化が進展する中 事業承継の円滑化は喫緊の課題です 平成 30 年度税制改正において 事業承継の際に生ずる相続税 贈与税の負担を軽減する 非上場株式等についての相続税及び贈与税の納税猶予及び免除の特例 ( 以下 事業承継税制 ) が抜本的に改正されました 本改正では 中小企業者の早期の事業承継を後押しするため これまでの事業承継税制の内容を拡充した期限付の特例措置が創設されます 特例措置においては1 特例承継計画について認定経営革新等支援機関 ( 以下 認定支援機関 ) による指導及び助言を受ける必要があるほか 2 一定期間内に従業員数が事業承継時の 80% を下回った場合には 実績報告に加え 認定支援機関による指導及び助言を受ける必要があります 本マニュアルは 本税制措置の運用を円滑なものにするため 中小企業者を支援する認定支援機関における特例承継計画に係る事務のガイドラインを示すものです なお 本マニュアルはあくまでもガイドラインであり 認定支援機関の行う事務の要領を参考までに提示するものですので 関係法律 政令 省令の規定等を確認の上 支援対象者における業務の内容 実態など個別具体的事情に沿った十分な検討を踏まえて 指導及び助言等を行ってください 2. 事業承継税制の概要 事業承継税制は 中小企業者の後継者が 先代経営者等から贈与又は相続により取得した自社株式等について 一定の要件を満たせば当該株式等にかかる贈与税又は相続税の納税が猶予 免除される制度です 本税制の適用に当たって 中小企業者は 中小企業の経営の承継の円滑化に関する法律 ( 以下 経営承継円滑化法 ) に基づく都道府県知事の認定を受ける必要があります なお この特例承継計画に記載された特例代表者からの贈与 相続後一定の期間内に行われた贈与 相続であれば 先代経営者以外の株主等からの贈与 相続も 事業承継税制 ( 特例 ) の対象となります 1

載する必要があります 1. 会社について経営承継円滑化法の特例の認定を受けようとする事業者の名称等を記載してください 2. 特例代表者について保有する株式を承継する予定の代表者の氏名と 代表権の有無を記載してください ( 無 の場合は 退任した年月日を記載) なお 特例代表者は特例承継計画提出時に 現に代表者である方 又は代表者であった方である必要があります 3. 特例後継者について特例代表者から株式を承継する予定の後継者の氏名を記載してください ( 最大 3 人まで ) 特例後継者として氏名を記載された方でなければ 事業承継税制の特例の認定を受けることはできません 特例後継者を変更する場合は 後述の変更申請書による変更手続きを行う必要があります 4. 特例代表者が有する株式等を特例後継者が取得するまでの期間における経営の計画について株式を承継する予定の時期 当該時期までの経営上の課題 当該課題への対処方針について記載してください 株式等の贈与後 相続後に本計画を作成する場合や すでに先代経営者が役員を退任している場合には記載不要です 当該会社がいわゆる持株会社である場合には その子会社等における取組を記載してください 5. 特例後継者が株式等を承継した後 5 年間の経営計画特例後継者が実際に事業承継を行った後の5 年間で どのような経営を行っていく予定か 具体的な取組内容を記載してください なお この事業計画は必ずしも設備投資 新事業展開や 売上目標 利益目標についての記載を求めるものではありません 後継者が 先代経営者や認定支援機関とよく相談の上 後継者が事業の持続 発展に必要と考える内容を自由に記載してください すでに後継者が代表権を有している場合であっても 株式等の取得により経営権が安定したあとの取組について記載してください 当該会社がいわゆる持株会社である場合には その子会社等における取組を記載してください 3

( 別紙 ) 認定経営革新等支援機関による所見等 ( 認定支援機関が記載してください ) 1. 認定経営革新等支援機関の名称等申請者に指導及び助言を行った認定支援機関の名称等について記載してください 代表者欄に記入する氏名及び使用する印鑑は 当該認定支援機関における内部規定等により判断してください 2. 指導 助言を行った年月日認定支援機関が指導及び助言を行った年月日を記載してください 3. 認定支援機関による指導 助言の内容中小企業者の作成した特例承継計画について 認定支援機関の立場から 事業承継を行う時期や準備状況 事業承継時までの経営上の課題とその対処方針 事業承継後の事業計画の実現性など 円滑な事業承継を後押しするための指導及び助言を行い その内容を記載してください チェックポイント 特例代表者が有する株式等を特例後継者が取得するまでの期間における経営の計画について 及び 特例後継者が株式等を承継した後 5 年間の経営計画について は なぜその取組を行うのか その取組の結果 どのような効果が期待されるか が記載されているかをご確認ください 特例後継者が株式等を承継した後 5 年間の経営計画 においては すべての取組が必ずしも新しい取組である必要はありませんが 各年において取組が記載されている必要があります 記載例を参考に 可能な限り具体的な記載がなされているかをご確認ください なお 計画作成の数年後に株式の承継を行うことを予定しているなど この計画の作成段階では承継後の具体的な経営計画を記載することが困難である場合には 大まかな記載にとどめ 実際に株式を承継しようとする前に具体的な計画を定めることも可能です ( その場合には 下記 ⑶の特例承継計画の変更手続を行うことが求められます ) また 所見欄には その取組への評価や 実現可能性 ( 及びその実現可能性を高めるための指導 助言 ) を記載してください (3) 特例承継計画の変更特例承継計画の確認を受けた後に 計画の内容に変更があった場合は 変更申請書 ( 様式第 24) を都道府県に提出し確認を受けることができます 変更申請書には 変更事項 4

を反映した計画を記載し 再度認定支援機関による指導及び助言を受けることが必要です 注意点 特例後継者が事業承継税制の適用を受けた後は 当該特例後継者を変更することはできません ただし 特例後継者を二人又は三人記載した場合であって まだ株の贈与 相続を受けていない者がいる場合は 当該特例後継者に限って変更することが可能です 特例後継者として特例承継計画に記載されていない者は 経営承継円滑化法の特例の認定を受けることはできません 事業承継後 5 年間の事業計画を変更した場合 ( より詳細な計画を策定する場合を含む ) も 計画の変更の手続きを行うことができます 特に 当初の特例承継計画においては具体的な経営計画が記載されてなかった場合は 認定支援機関の指導 助言を受けた上で それを具体化するための計画の変更の手続を行うことが求められます 5

(2) 実績報告書記載事項 1. 第一種 ( 第二種 ) 特例贈与認定中小企業者又は第一種 ( 第二種 ) 特例相続認定中小企業者について雇用実績について報告を行う中小企業者の 認定の類型や認定年月日 雇用判定期間を確認するための認定の有効期間や報告基準日等について記載してください 2. 従業員の数について贈与の時 ( 相続の開始の時 ) における従業員数とその 80% の数 各報告基準日における従業員の数と 5 年間の平均人数を記載してください 年次報告の際と同様に 従業員数は会社における 1 厚生年金保険の被保険者の数 2 厚生年金保険の被保険者ではなく健康保険の被保険者である従業員の数 3 厚生年金保険 健康保険のいずれの被保険者でもない従業員の数 の合計から 4 役員 ( 使用人兼務役員を除く ) の数を引いた数です また 雇用判定の基準になる贈与 ( 相続開始 ) 時の従業員数の 80% の数については 小数点第一位以下の数字がある場合は切り捨てるものとします ( 例 : 贈与時の従業員数が 6 人の場合には 6 人 80%=4.8 人ですが 小数点以下を切り捨て 4.0 人を基準とします つまり 認定後従業員数が 5 年間平均で 4.0 人を下回った場合には 本報告書の提出が必要になります ) 3. 従業員数の5 年間平均が贈与の時 ( 相続の開始の時 ) の従業員の数の8 割を下回った理由雇用が減少した理由について 1~5の中から当てはまるものを選択してください 4 経営状況の悪化により 雇用を継続できなくなった を選択した場合 又は 5その他 を選択し その具体的な理由が認定支援機関として正当でないと判断する場合は 認定支援機関による 4. 指導及び助言の内容 の記載が必要になります ( 別紙 ) 認定経営革新等支援機関による所見等 ( 認定支援機関が記載してください ) 1. 認定経営革新等支援機関の名称等報告者に指導及び助言を行った認定支援機関の名称等について記載してください 代表者欄に記入する氏名及び使用する印鑑は 当該認定支援機関における内部規 7

定等により判断してください 2. 所見を記載した年月日認定支援機関が所見 ( 指導及び助言 ) について記載した年月日を記載してください 3. 認定支援機関による所見平均雇用人数の5 年間平均が8 割を下回った理由について その理由が事実であるかどうかを確認し 所見を記載してください チェックポイント 1 高齢化が進み後を引き継ぐ者を確保できなかった を選択した場合 退職理由を確認し 雇用人数減少の主たる理由が高齢化による退職であることを確認してください 2 採用活動を行ったが 人手不足から採用に至らなかった を選択した場合 過去の求人状況 ( 人材紹介会社やハローワーク等への求人状況や 自社広告等 ) を確認し 雇用人数減少の主たる理由が採用に至らなかったためであることを確認してください 3 設備投資等 生産性が向上したため人手が不要となった を選択した場合 設備投資等の状況を確認し 雇用人数減少の主たる理由が生産性向上によるものであることを確認してください 4 経営状況の悪化により 雇用を継続できなくなった を選択した場合 経営状況が悪化した理由について確認してください そのうえで 4 指導及び助言の内容 欄を記載してください 5 その他 ( 具体的に理由を記載 ) を選択した場合 雇用人数減少の主たる理由が当該具体的な理由であるかどうかを確認してください その具体的な理由が認定支援機関として正当でないと判断する場合には 4 指導及び助言の内容 欄に記載が必要です 4. 指導及び助言の内容 ( この欄は 3 平均雇用人数の5 年間平均が贈与の時の従業員の数の8 割を下回った理由 において 4 経営状況の悪化により 雇用を継続できなくなった を選択した場合 又は 5その他 を選択し その具体的な理由が認定支援機関として正当でないと判断する場合に記載が必要です ) 3. 認定支援機関による所見 も踏まえ その会社の経営改善のための指導及び助言を行い その内容について記載してください 8

チェックポイント 当該中小企業者が事業を継続していくための指導及び助言を行ってください また 5その他 を選択し その具体的な理由が認定支援機関として正当でないと判断する場合には その正当でないと判断する理由を記載し 当該中小企業者が事業を継続していくための指導 助言を行ってください 9