機能性表示食品制度に対する意見書

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保健機能食品制度 特定保健用食品 には その摂取により当該保健の目的が期待できる旨の表示をすることができる 栄養機能食品 には 栄養成分の機能の表示をすることができる 食品 医薬品 健康食品 栄養機能食品 栄養成分の機能の表示ができる ( 例 ) カルシウムは骨や歯の形成に 特別用途食品 特定保健用

記 1. 調査結果で判明した不十分な SR に基づき販売されている商品 企業名を明らかにすべきです消費者庁 報告書 は 届出 SR の報告内容が不十分で ガイドラインに準拠していない報告内容である商品が多数販売されていることを明らかにしました 制度の根幹を揺るがす事態であることを受け止め 消費者被害

旧制度からの主な変更点 1 加工食品と生鮮食品の区分の統一 JAS 法と食品衛生法において異なる食品の区分について JAS 法の考え方に基 づく区分に統一 整理 新たに加工食品に区分されるもの さん現行の食品衛生法では表示対象とはされていない 軽度の撒塩 生干し 湯通し 調味料等により 簡単な加工等

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(3) 摂取する上での注意事項 ( 該当するものがあれば記載 ) 機能性関与成分と医薬品との相互作用に関する情報を国立健康 栄養研究所 健康食品 有効性 安全性データベース 城西大学食品 医薬品相互作用データベース CiNii Articles で検索しました その結果 検索した範囲内では 相互作用

3. 健康増進法や景品表示法の違反要件である 著しい という規定を早急な対応として削除すること消費者委員会の 建議 は しかるべき対応 6 項目の一つに健康増進法の違反要件である 著しく事実に相違する表示 などの 著しい という文言を法律から削除することの検討を要請しつつも 早急な対応 項目では 著

上ある場合は 現行ルールと同様 3カ国目以降を その他 と表示することができる 一方 冠表示には いちごジャム の いちご のように 商品を特徴付ける原料が商品名に含まれるものの他に ブルーベリーガム の ブルーベリー のように 風味を表しているもの さらには たいやき の 鯛 のように 商品名自体

「健康食品」の定義

特定できるものではありませんでした そのため 個人の体質や体調による影響が大きく影響したものであると判断しました よって 当該製品が原因と考えられる健康被害の発生は 確認されませんでした ただし 届出の製品と喫食実績で調査対象とした製品でルテイン量に違いがありましたので 既存情報から喫食経験および安

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別紙様式 (Ⅱ) 商品名 : 伝統にんにく卵黄 (31 粒入り 62 粒入り ) 食経験の評価 1 喫食実績による食経験の評価 安全性評価シート 喫食実績の有無 : あり なし ( あり の場合に実績に基づく安全性の評価を記載) 本製品 伝統にんにく卵黄 と同等の製品は 1993 年 11 月より日

類業組合等に関する法律 ( 昭和 28 年法律第 7 号 ) 第 86 条の6 第 1 項の規定に基づく酒類の表示の基準において原産地を表示することとされている原材料及び米穀等の取引等に係る情報の記録及び産地情報の伝達に関する法律 ( 平成 21 年法律第 26 号 ) 第 2 条第 3 項に規定す

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( 権限の委任等 ) 第十五条内閣総理大臣は, この法律の規定による権限 ( 政令で定めるものを除く ) を消費者庁長官に委任する 2 及び3 略 4 この法律に規定する農林水産大臣の権限に属する事務の一部は, 政令で定めるところにより, 都道府県知事又は地方自治法 ( 昭和二十二年法律第六十七号

具体的論点 1( 栄養成分 ) ( 案 ) 平成 28 年 2 月 16 日第 2 回検討会資料 2 から抜粋 1 栄養成分を機能性表示食品制度の対象とする意義 2 安全性の確保 対象となる食品 成分の範囲 摂取量の在り方 3 機能性の表示 適切な機能性表示の範囲 消費者に誤解を与えないための情報の

特定個人情報の取扱いの対応について

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504 特定事業等に係る外国人の入国 在留諸申請優先処理事業 1. 特例を設ける趣旨外国人研究者等海外からの頭脳流入の拡大により経済活性化を図る地域において 当該地域における特定事業等に係る外国人の受入れにあたり 当該外国人の入国 在留諸申請を優先的に処理する措置を講じることにより 当該地域における

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事業者が行うべき措置については 匿名加工情報の作成に携わる者 ( 以下 作成従事者 という ) を限定するなどの社内規定の策定 作成従事者等の監督体制の整備 個人情報から削除した事項及び加工方法に関する情報へのアクセス制御 不正アクセス対策等を行うことが考えられるが 規定ぶりについて今後具体的に検討

「消費者安全法改正に伴う関係内閣府令(案)及びガイドライン(案)」に関する意見書

特定個人情報の取扱いの対応について

05-Food-JAS&Label001

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- 2 - 第一条農林物資の規格化等に関する法律の規定に基づく公聴会等に関する内閣府令(平成二十一年内閣府令第五十四号)の一部を次のように改正する 第十一条の見出し中 都道府県知事 の下に 又は指定都市の長 を加える (健康増進法に規定する特別用途表示の許可等に関する内閣府令の一部改正)第二条健康増

文書管理番号

具体的論点 1( 栄養成分 ) ( 案 ) 平成 28 年 2 月 16 日第 2 回検討会資料 2 から抜粋 1 栄養成分を機能性表示食品制度の対象とする意義 2 安全性の確保 対象となる食品 成分の範囲 摂取量の在り方 3 機能性の表示 適切な機能性表示の範囲 消費者に誤解を与えないための情報の

る として 平成 20 年 12 月に公表された 規制改革推進のための第 3 次答申 において 医療機器開発の円滑化の観点から 薬事法の適用範囲の明確化を図るためのガイドラインを作成すべきであると提言したところである 今般 薬事法の適用に関する判断の透明性 予見可能性の向上を図るため 臨床研究におい

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手順書03

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汚染の除去が行われた場合には 指定を解除その他 区域の指定等 1 要措置区域 ( 法第 6 条 ) 土壌汚染の摂取経路があり 健康被害が生ずるおそれがあるため 汚染の除去等の措置が必要な区域 汚染の除去等の措置を都道府県知事等が指示 ( 法第 7 条 ) 土地の形質の変更の原則禁止 ( 法第 9 条


することを可能とするとともに 投資対象についても 株式以外の有価証券を対象に加えることとする ただし 指標連動型 ETF( 現物拠出 現物交換型 ETF 及び 金銭拠出 現物交換型 ETFのうち指標に連動するもの ) について 満たすべき要件を設けることとする 具体的には 1 現物拠出型 ETFにつ

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ための手段を 指名 報酬委員会の設置に限定する必要はない 仮に 現状では 独立社外取締役の適切な関与 助言 が得られてないという指摘があるのならば まず 委員会を設置していない会社において 独立社外取締役の適切な関与 助言 が十分得られていないのか 事実を検証すべきである (2) また 東証一部上場


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当該イ又はロに定める者 に改め 同号に次のように加える イ製造業者等であつて その主たる事務所並びに事業所 工場及び店舗が一の都道府県の区域内のみにあるもの(ロに規定する指定都市内製造業者等を除く 以下この条において 都道府県内製造業者等 という )当該都道府県の知事ロ製造業者等であつて その主たる

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令第 8 条第 1 項第 6 号に掲げる同令別記様式第 2 号による許可証票を記載 かつお節オリゴペプチド配合 消費者庁許可保健機能食品( 特定保健用食品 ) 血圧が高めの方に適した食品です 保健機能食品 ( 特定保健用食品 ) 許可表示 : 本品はかつお節オリゴペプチドを配合した食品で 血圧が高め

改版履歴 版数 日付 改版者 摘要 ( 変更箇所 ) /04/01 消費者庁 新規作成 /03/30 消費者庁 P6 機能性表示食品の届出情報検索 画面に 届出者の住所 の検索項目を追加 /03/29 消費者庁 P1 1-1(1)OS に Window

a 主な表示媒体 (a) 容器包装 ( 別紙 1-1-1~ 別紙 1-1-5) (b) 新聞折り込みチラシ ( 別紙 1-2) (c) 新聞 ( 別紙 1-3) (d) テレビ ( 別紙 1-4) (e) ウェブサイト ( 別紙 1-5) b 表示期間 (a) 平成 13 年 12 月頃から平成 2

Q7. 再生計画において 法人税法第 25 条第 3 項及び第 33 条第 4 項 ( 平成 17 年度税制改正によるいわゆる資産評価損益の計上 ) 並びに同法第 59 条第 2 項第 1 号 ( 同改正によるいわゆる期限切れ欠損金の優先利用 ) の適用を受ける場合の手続はどのようになりますか A.

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じ ) その他の処方せん医薬品又は高度管理医療機器の製造販売に係る業務の責任者との密接な連携を図らせること ( 安全確保業務に係る組織及び職員 ) 第四条第一種製造販売業者は 次に掲げる要件を満たす安全確保業務の統括に係る部門 ( 以下この章において 安全管理統括部門 という ) を置かなければなら

薬事法における病院及び医師に対する主な規制について 特定生物由来製品に係る説明 ( 法第 68 条の 7 平成 14 年改正 ) 特定生物由来製品の特性を踏まえ 製剤のリスクとベネフィットについて患者に説明を行い 理解を得るように努めることを これを取り扱う医師等の医療関係者に義務づけたもの ( 特

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医薬品たるコンビネーション製品の不具合報告等に関する Q&A [ 用いた略語 ] 法 : 医薬品 医療機器等の品質 有効性及び安全性の確保等に関する法律 ( 昭和 35 年法律第 145 号 ) 施行規則 : 医薬品 医療機器等の品質 有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則 ( 昭和 36 年

Taro-議案第13号 行政手続条例の

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(2) 総合的な窓口の設置 1 各行政機関は 当該行政機関における職員等からの通報を受け付ける窓口 ( 以下 通報窓口 という ) を 全部局の総合調整を行う部局又はコンプライアンスを所掌する部局等に設置する この場合 各行政機関は 当該行政機関内部の通報窓口に加えて 外部に弁護士等を配置した窓口を

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資料 4 医療等に関する個人情報 の範囲について 検討事項 医療等分野において情報の利活用と保護を推進する観点から 医療等に関する個人情報 の範囲をどのように定めるべきか 個別法の対象となる個人情報としては まずは 医療機関などにおいて取り扱われる個人情報が考えられるが そのほかに 介護関係 保健関

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[ 指針 ] 1. 組織体および組織体集団におけるガバナンス プロセスの改善に向けた評価組織体の機関設計については 株式会社にあっては株主総会の専決事項であり 業務運営組織の決定は 取締役会等の専決事項である また 組織体集団をどのように形成するかも親会社の取締役会等の専決事項である したがって こ

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アレルギー疾患対策基本法 ( 平成二十六年六月二十七日法律第九十八号 ) 最終改正 : 平成二六年六月一三日法律第六七号 第一章総則 ( 第一条 第十条 ) 第二章アレルギー疾患対策基本指針等 ( 第十一条 第十三条 ) 第三章基本的施策第一節アレルギー疾患の重症化の予防及び症状の軽減 ( 第十四条

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10 解説 p1 ⑵⑶ ⑷ 11

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弘前市告示第   号

Transcription:

機能性表示食品制度に対する意見書 2015 年 ( 平成 27 年 )5 月 9 日日本弁護士連合会 2013 年 6 月 14 日に閣議決定された 規制改革実施計画 は, 一般健康食品の機能性表示を可能とする仕組みについて, 特定保健用食品, 栄養機能食品以外のいわゆる健康食品をはじめとする保健機能を有する成分を含む加工食品及び農林水産物について, 機能性の表示を容認する新たな方策をそれぞれ検討し, 結論を得る こととし,2014 年度中に措置を行うことが示された ここでいう 機能性 とは, 食品が持つとされる3つの機能, すなわち1 生命維持のための栄養面での働き ( 栄養機能 ),2 食事を楽しもうという味覚 感覚面での働き ( 感覚機能 ),3 生体の生理機能を調整する働き ( 体調調節機能 ) のうち,3の機能のことを指す これを受けて消費者庁は新たな制度の検討に着手し検討を進めた結果, 食品表示法第 4 条第 1 項の規定により定められる食品表示基準の一部として, 機能性表示食品制度 が創設された 食品表示法は2015 年 4 月 1 日から施行され, 同制度も同日から運用されている なお, 食品関連事業者が機能性表示食品の届出を行う際の指針となる, 機能性表示食品の届出等に関するガイドライン ( 以下 機能性表示食品ガイドライン という ) が制度開始直前の同年 3 月 30 日に公表されている 機能性食品表示制度は後述のとおり, 食品関連事業者の責任において, 消費者庁長官に届け出ることによって一定の表示が可能となるものであるが, 現在の制度は, 機能性食品の安全性を確保する措置が甚だ不十分であり, かつ, 消費者が食品の機能性について適切な選択をすることができない制度となっていると言わざるを得ない そこで, 次のとおり意見を述べる 第 1 意見の趣旨 1 機能性表示食品制度の安全性に関し, 事業者に安全性及び品質確保の体制並びに危害情報公表の体制の整備を義務付けるべきである 2 生鮮食品については, 機能性表示食品の対象から外すべきである 3 機能性表示食品制度について, 届出制としていることに関し, 安全性及び機能性に関する国の監督機能を確保するため, 登録制度とし, 安全性及び機能性の要件を満たさないことが明らかになった場合には, 国による登録の取消しが -1-

可能な制度とすべきである 4 機能性表示食品制度は, 食品表示法の規定に基づく食品表示基準の中に位置付けるのではなく, 法律に直接の根拠を置くものとし, 前第 1 項及び第 3 項の内容を法文に明記すべきである そして, かかる法制化までの間, 制度上の混乱を避けるため, 現行の制度の運用を見合わせるべきである 第 2 意見の理由 1 機能性表示食品制度の概要新たに創設された機能性表示食品制度では, 食品関連事業者は, 消費者庁長官に必要事項の届出をしてから60 日後に, 特定の保健の目的 ( ただし, 疾病リスクの低減に係るものを除く ) が期待できる旨を科学的根拠に基づいて容器包装に表示した商品を販売することができる 届出が必要な事項としては, 1 当該食品に関する表示の内容,2 食品関連事業者名及び連絡先等の事業者に関する基本情報,3 安全性及び機能性の根拠に関する情報,4 生産 製造及び品質の管理に関する情報,5 健康被害の情報収集体制及びその他必要な事項が求められている ( 食品表示基準第 2 条第 1 項第 10 号 ) なお, 疾病に罹患している者, 未成年者, 妊産婦 ( 妊娠を計画している者 ) 及び授乳婦を対象とした機能性表示食品を販売することはできない また, 食品全般が対象ではあるが, アルコールを含有する飲料や, 過剰な摂取が国民の健康の保持増進に影響を与えているものとして健康増進法施行規則第 11 条第 2 項で定める栄養素 ( 脂質, 飽和脂肪酸, ナトリウム等 ) の過剰な摂取につながるものを届け出ることはできない さらに, 特別用途食品又は栄養機能食品を, この制度により新たに機能性表示食品として届け出ることもできない 食品関連事業者の責任で表示を実施することとされているので, 届出時の審査は届出書の記載事項に不備がないこと, 必要な書類が添付されていることその他届出上の形式要件に適合しているか否かなど形式的なものにとどまる 当該食品の安全性や実際の機能性の有無が届出時に審査されることはない 2 機能性表示食品制度に対する意見とその理由 (1) 意見の趣旨第 1 項について本制度においては, 生産 製造における衛生管理及び品質管理に関する情報の届出は求められているものの, それらにかかる体制が構築されていること自体は事業者には義務化されていない しかし, 品質管理体制の構築がなされていないとなれば, 製品の品質にばらつきが生じる懸念は高まり, 衛生管理を含めた安全性の確保の観点からは -2-

不十分である この点, 機能性表示食品ガイドラインでは, 生産 製造及び品質管理の体制については, 構築されていなければ機能性の表示ができないというものではなく, 構築の有無を明らかにし, 消費者の食品の選択に資する情報と位置づける とされている しかしながら, 実際に消費者が本制度に基づく商品を購入するに当たり, 事業者において上記体制を構築しているか否か, 及び上記体制の構築の有無がどのような意味を持っているのかをすぐに理解できるほどに詳細な情報提供がなされるかは疑わしい また, 安全性に関わる点については, そもそも消費者の選択に委ねるべき問題ではない 機能性表示食品ガイドラインにおいても, 加工食品における製造施設 従業員の衛生管理体制については,GMP(Good Manufacturing Practice: 適正製造規範 ) あるいはHACCP(Hazard Analysis and Critical Contr ol Point: 危害分析 重要管理点 ) の承認など具体的な手法が記載されているが, これらの体制を整備しておくことは義務とすべきである また, 健康被害等が発生した際には, 速やかな報告がなされなければならないが, 健康被害等の危害情報公表の体制構築についても現在は義務化されておらず, 事業者に委ねられている 本制度は, 事業者の責任によって表示が実施され, 国は実質的な審査を行わないとしているが, 国が創設する制度であり, 衛生管理 品質確保の体制や, 危害情報公表の体制について国が全く関与せず全て事業者任せとすることは望ましくない 品質確保の体制及び危害情報公表の体制が整備されていることについては, 事業者の義務とすべきである (2) 意見の趣旨第 2 項について機能性表示食品は食品表示基準第 2 条第 1 項第 10 号で定義されているが, 生鮮食品 加工食品の区別はなく, 本制度では加工食品だけでなく農産物等の生鮮食品も表示の対象となる ある生鮮食品が機能性を有するという場合には,1 当該生鮮食品自体がもともと有していた機能性を発見してこれを表示する場合と,2 当該生鮮食品自体には十分な機能性はないが, 加工ではない方法によって機能性を高めた場合が考えられる このうち,1の場合については, 機能性があるのはその生鮮食品自体の特性であり, 生産者によって機能性の有無が変わるものではないはずである そうであれば, 品種又は品種及び産地の単位で, 届出をした生産者以外にも -3-

機能性の表示ができることとしなければ, 同じ機能性を有する品種でありながら, 機能性表示のできるものとできないものが混在することになり, 消費者の選択にも大きな影響があることとなる また2の場合には, 生鮮食品とはいえ, 一般的に生産される同種生鮮食品とは異なる成分割合の食品が新たに作り出されることになるのであり, 加工食品と同様に成分が過剰に含まれることによる安全性等の問題が生じうる さらに, 品質にばらつきが生じうるのは生鮮食品である以上当然に考えられることであり, ある程度のばらつきは加工食品よりも許容される余地が大きいとしても, 機能性を有すると表示できる最低限の成分量が常に含まれているかは分からない こうしたことからすれば, 本制度は, 安全性 機能性の確保の仕組みについて, また機能性表示を認める事業者の範囲について, 生鮮食品に適した制度設計とはなっていないといえる 市場や消費者の混乱を避けるためにも, 機能性表示食品の対象を加工食品に限定するよう制度を改め, 生鮮食品は機能性表示食品の対象から外すべきである (3) 意見の趣旨第 3 項についてこれまで, 食品についてその機能性の表示が可能なものは, 国の規格基準に適合した 栄養機能食品 と, 国が個別に許可した 特定保健用食品 に限られていた 前者は, 特定の栄養成分の表示に限定され, かつ, 一日当たりの摂取目安量に含まれる当該栄養成分量が, 定められた上 下限値の範囲内にある必要があるなど, 限られた範囲でのみ表示が可能となるものであり, 後者は, 食品ごとに有効性や安全性に係る試験が必要であって, 個別に国の許可を得るものである これに対して今般創設された 機能性表示食品 は, これらの仕組みとは根本的に異なるものである すなわち, 上記のとおり国は届出のあった食品について形式的な審査をすれば足り, 実質的な審査は行わない また, 当該食品についてその後, 安全性及び機能性の科学的根拠について新たな知見が得られ, 疑義が生じた場合にも, 機能性表示食品の届出をした事業者が機能性表示食品であることの撤回の届出をすることになっているのみであって, 国がその権限で届出を取り消すことはできない この背景には, 制度創設のきっかけとなった2013 年 6 月 14 日に閣議決定された 規制改革実施計画 が, 企業等の責任において 科学的根拠の下に機能性を表示できる制度を検討するとしていたことがある このため, 国がその具体的内容について審査をする仕組みにはなっていない -4-

しかしながら, 食品として消費者が体内に摂取するものである以上, 安全性の確保には十分な担保が必要なはずである ガイドラインでは, 届出に当たり喫食実績や既存情報の調査等により安全性を評価することや, 機能性関与成分と医薬品の相互作用等に関し評価すること等が示されているが, これらを国が審査することはなく, 安全性の担保が十分とはいえない また,H ACCPやGMPといった食品の安全性確保, 品質確保にとって有用と思われる制度の利用を義務付けておらず, 品質にばらつきが生じる懸念も払拭できない そして, 例えば医薬品成分が含まれていたり, 健康被害を生じさせたりした場合には, 国の権限で当該食品が機能性表示食品をうたうことを止められるようにすべきであって, 事業者の自主的な届出の撤回を待つ必要はない さらに, 機能性の科学的根拠がなかった, あるいは薄弱であって機能性表示食品に求められる水準になかった場合にも, 事業者の自主的な対応に委ねる必要はない このように, 問題が生じた際に速やかに国が主導して対応するためには, 現在の単純な届出制度によるのではなく, 登録制度を導入すべきである そして, 一旦登録された機能性表示食品であっても, その後安全性ないし機能性の実体要件を満たさないことが明らかになった場合には, 事業者からの撤回の届出を自主的に待つまでもなく, 国による登録の取消しが可能な制度とすべきである (4) 意見の趣旨第 4 項について今般の機能性表示食品の制度化は, 食品表示法第 4 条第 1 項の規定に基づく食品表示基準の中に置かれている 食品表示基準は食品の販売における表示の仕方について定めたものであり, あくまでも表示についての規範であるため, この基準自体に, 事業者に対する安全体制整備等の表示と直接には関わりのない義務を明記することには限界があると思われる このため, 機能性表示食品制度を法律に直接の根拠を置くものとして明記した上で, 事業者には食品の安全性確保, 品質確保にとって有用と思われる制度の利用を義務付け, さらには上記 (3) のように, 登録制度として国に実効的な監督機能を与えることを法律に明記することで, 現在の制度における懸念はかなりの部分が払拭されると期待できる したがって, 機能性表示食品制度は, 食品表示法の規定に基づく食品表示基準の中に位置付けるのではなく, 法律に直接の根拠を置くものとし, 意見 -5-

の趣旨第 1 項及び第 3 項の内容を法文に明記すべきである そしてこの法制化がなされるまでの間は, 混乱を避けるためにも, 本制度の運用を見合わせるべきである 特に, 下記 3(1)1のとおり, 制度開始直後においては, 厳しいはずの要件が緩和されて届出を受けられるとしていることからしても, 速やかな運用停止を求めるものである 3 機能性表示食品ガイドラインの問題点について機能性表示食品ガイドライン自体にも, 下記のような問題点がある (1) 臨床試験について 1 本制度での機能性にかかる要件については, 最終製品を用いた臨床試験 又は 最終製品又は機能性関与成分に関する研究レビュー による資料を用意することとされている ( 機能性表示食品ガイドライン24ページ ) このうち臨床試験については, その計画についてUMIN(University Hospital Medical Information Network) 臨床試験登録システムに事前登録 ( 参加者 1 例目が登録される前の登録でなければならない ) が行われている必要があるとされており, さらに, 研究計画についてはその詳細について必ず事前登録前に登録を完了していなければならず, 機能性の実証に係る項目に関して事前登録後に実質的な変更を行った研究については, 機能性表示食品の機能性に係る科学的根拠とすることはできない, とされている ( 機能性表示食品ガイドライン25ページ ) また, 臨床試験に係る提出資料として求められている査読付き論文は, 国際的にコンセンサスの得られた指針に準拠した形式である必要がある ( 機能性表示食品ガイドライン27ページ ) ところが, 食品表示基準の施行後 1 年を越えない日までに開始 ( 参加者 1 例目の登録 ) された研究については, 事前登録を省略できることになっている上, 国際指針に準拠していない形式による報告でも差し支えないとされている 上記要件は機能性に係る資料の客観性担保のための仕組みであり, 制度開始後 1 年以内であってもこれを緩和する必要性はない これら要件の緩和は, その期間の駆け込みでの届出を促すためのものでしかない 前述のとおり, 現在の仕組みでは国は届出の内容についての審査を行わず, また, 機能性に問題があることが判明しても事業者自らの届出の撤回によるほかないことからすれば, なおさら機能性確保のための要件は厳格に維持されるべきである 施行から間もない時期であっても, 要件の緩和 -6-

措置は認めるべきではない 2 また, 本制度の臨床試験の実施方法については原則として特定保健用食品の試験方法に準拠することとされていながら, 特定保健用食品の試験では求められている 後観察期間 ( 対象商品の摂取を終了してから一定の間設ける観察期間 ) は省略できることとされている 特定保健用食品は, 食品の持つ特定の保健の用途を表示できるものであるが, 本制度も, 特定の保健の目的が期待できる旨を表示できることについては共通しており, そうであるからこそ, 臨床試験の実施方法についても, 特定保健用食品の試験方法に準拠する方式が採用されている そうであれば, 特定保健用食品に求められる後観察期間を不要とする必要はないのであり, 後観察期間を省略するべきではない (2) 国による評価を受けていないことの表示について本制度は, 機能性及び安全性について, 国による評価を必要とするものではない しかし, 国が創設した制度に基づいて, 機能性に関する一定の表示ができることは事実であり, 消費者の立場からは, その機能性及び安全性についても国のお墨付きがあると誤認するおそれがある また, そうした消費者の誤認を誘発するような表示がなされる懸念がある これに関しては食品表示基準で, 加工食品については第 8 条及び別表第 2 0, 生鮮食品については第 22 条第 4 号ロで, 機能性関与成分及び当該成分又は当該成分を含有する食品が有する機能性並びに機能性及び安全性について国による評価を受けたものではない旨は, 容器包装の同一面に表示する こととされているが, これについては機能性表示食品ガイドラインには記載がされていない 事業者の製造の規範となる機能性表示食品ガイドラインにもこの点を明記し, 消費者の誤認を招かぬよう, 事業者に対して注意喚起すべきである 4 おわりに国民の健康志向の高まりに呼応して, 栄養機能食品, 特定保健用食品が販売されているほか, これとは別に, 機能性の根拠も明確でないのにあたかも生体機能維持に効果があるかのように思わせる いわゆる健康食品 が氾濫し, その広告を目にしない日はない 機能性表示食品制度は, 科学的根拠があるとして届出され, それがすべて公開されることになっており, これが制度設計の理想通りに浸透していくならば, 安全性も機能性の科学的根拠も明確にできない いわゆる健康食品 は淘汰さ -7-

れていくことが想定され, このことは消費者の視点からは肯定できることである しかし, それは, 機能性表示食品が安全性と機能性についての揺るぎない根拠を有し, 消費者からの確実な信頼が得られてこそであり, その根拠と信頼が確保されないままでは, 結局, いわゆる健康食品 と変わらぬ玉石混交の食品群が形成されるだけに終わる可能性がある 本制度にはこれまで述べてきたとおり多くの問題点がある 消費者庁は本制度開始の2 年後に見直しをするとしているが,2 年後を待つまでもなく, 直ちに運用を見合わせ, 法律による制度化を含めた本制度の抜本的な見直しを行うことを強く望む 以上 -8-