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Transcription:

1 型糖尿病患児に対する幼稚園 保育所の入園拒否の実 態 に関する日本小児内分泌学会評議員へのアンケート調 査報告書 日本小児内分泌学会糖代謝委員会杉原茂孝 浦上達彦 綾部匡之 伊藤善也 大津成之 小川洋平 川村智行 菊池透 菊池信行 小林基章 神野和彦 竹本幸司 藤原幾磨 母坪智行 都研一 横田一郎 雨宮伸 2016 年 11 月 1. 目的 2015 年 12 月 24 日の毎日新聞に 以下の記事が掲載された 1 型糖尿病を発症した子どもが 幼稚園や保育園への入園を断られたり 難色を示されたりするケースがあることが 毎日新聞が近畿圏を中心とした患者団体を通して行ったアンケートで分かった 就学前に発症した 67 人のうち 16% にあたる 11 人が 断られた といい 難色を示された 6 人も含めると 4 分の 1 がこうした体験があると回答した 複数の園で断られたケースもあった 患者は血糖値を一定に管理する措置は必要だが 運動や食事に制限はない 専門家は 患者の子どもや家族を支えるために 病気への理解を広める必要性を指摘する この記事が掲載されたことを受けて 日本小児内分泌学会糖代謝委員会で審議を行った 地域によって違いがあるのではないか 主治医の努力も必要である 学会として提言を出すべきである など様々な意見が出された そこで 全国の実態を明らかにするために 日本小児内分泌学会の評議員を対象にこの問題についてのアンケート調査を行うこととなった 2. アンケート調査の方法 2016 年 2 月 25 日に 1 型糖尿病患児に対する幼稚園 保育所の入園拒否の実態 についてのアンケート調査依頼を日本小児内分泌学会評議員 (140 施設 191 人 ) へE-メールで送付した 質問票には以下の記載がある 質問 1. 今回の調査の対象は 2016 年 3 月時点で未就学の 1 型糖尿病の乳幼児です 先生の勤務するご施設で 治療を行っている 1 型糖尿病の乳幼児は 何人ですか? 質問 2. 現在治療中のすべての 1 型糖尿病乳幼児 (2016 年 3 月時点で未就学の児 ) につ 1

いて 診断後これまでの幼稚園 保育所の入園経験をすべて記載してください 同一症例の複数経験も分けて記載してください 調査期間が 2016 年 5 月 31 日までですので 2016 年度新 1 年生も調査の対象となります 質問 2 の回答については 患児の保護者の方から口頭同意が得られた場合のみ対象とした 2016 年 5 月 31 日を締め切りとして 24 都道府県の 57 施設から回答があった 評議員の所属する施設数は 140 施設であるが 研究施設等を除いた小児診療施設数は 123 であるので 小児診療施設における回収率は 46.3% であった 3. アンケート調査結果 1) 結果の概要今回の調査対象である 2016 年 3 月時点で未就学の 1 型糖尿病の乳幼児症例の報告があったのは 42 施設で 164 人 (184 事例 ) であった ( 表 1) 表 1. アンケート調査に参加した医療施設数 患者数 通院加療中の乳幼児患者数 0 人 1-28 人 合計 施設数 15 施設 42 施設 57 施設 患者数 0 人 164 人 (184 事例 ) 164 人 都道府県数 13 19 24 表 2. 入園拒否を経験した医療施設数 患者数 入園拒否あり 入園拒否なし % % 注 ) 合計 施設数 18 施設 43 40 施設 95 42 施設 患者数 37 人 23 134 人 82 164 人 47 事例 26 137 事例 75 184 事例 都道府県数 10 40 19 76 24 注 ) 同一施設内で 入園拒否ありとなしの症例があるため 合計数が単純に合計した数と異なる 入園拒否ありの症例を報告した施設は 18 施設 (43%) 37 人 (23%) 47 事例 (26%) であり 10 都道府県 (40%) に分布した ( 表 2) 約 4 分の 1 の患者が入園拒否の通告を受 2

けた経験があることになる ( 表 2) 一方 入園拒否なしの症例を報告した施設は 40 施設 (95%) 134 人 (82%) 137 事例 (75%) であり 19 都道府県 (76%) に分布した つまり 同一施設でも入園拒否のあった症例となかった症例が混在していることを示している 2) 保育所と幼稚園等についての比較保育所と幼稚園 公立と私立の違いについて検討すると 入園拒否があった 47 事例の中で最も多いのが私立幼稚園 (16 事例 34%) で 次いで公立保育所 (14 事例 30%) 私立保育所と公立幼稚園 ( 各々 8 事例 17%) の順であった ( 表 3) 一方 入園拒否無なしの 137 事例についてみると 最も多いのが私立幼稚園 (69 事例 50%) で 次いで公立保育所 (31 事例 23%) 私立保育所(23 事例 17%) 公立幼稚園 (12 事例 9%) の順であった ( 表 3) 各保育施設の種類別に入園拒否の比率を見ると 保育所 29% に対し幼稚園 23% と 保育所の方が幼稚園より高かった また 事例数は少ないが公立幼稚園が 40% で最も高かった ( 表 3) 表 3. 保育所と幼稚園等についての比較 入園拒否あり 入園拒否なし 事例数 % 事例数 % 入園拒否の比率 保育所 22 47 54 39 29% 公立 14 30 31 23 31% 私立 8 17 23 17 26% 幼稚園 24 51 81 59 23% 公立 8 17 12 9 40% 私立 16 34 69 50 19% こども園 0 0 1 1 0% 記載なし 1 2 1 1 計 47 100 137 100 26% 3) インスリン療法についての比較インスリン療法については 入園拒否のあった 47 事例の中では インスリンポンプが 23 事例 (49%) と最も多く 4 回打ちが 17 事例 (36%) と次に多かった ( 表 4) これは現在 乳幼児においてもインスリンポンプや頻回注射が一般的に行われていることを反映してい 3

るといえる 各インスリン療法の種類別に入園拒否の比率をみても インスリンポンプが 31% と最も 多く 4 回打ちが 25% と次に多かった ( 表 4) 表 4. インスリン療法の種類についての比較 入園拒否あり 入園拒否なし インスリン注射法 事例数 % 事例数 % 入園拒否の比率 2 回打ち 5 11 20 15 20% 3 回打ち 2 4 14 10 13% 4 回打ち 17 36 52 38 25% インスリンポンプ 23 49 51 37 31% 計 47 100 137 100 26% 4) 各症例についての主治医のコメント ( 自由記載 ) から 1. 入園拒否のあった事例について 1 型糖尿病について経験がない 知識がない という理由で初めから拒否という例が多いようである 園長や行政の判断で入園拒否を行っている事例があった 代表的なコメント内容を以下に示す 自宅周辺の保育所は 6-7 か所あったが すべて話も聞いてくれなかった 1 型糖尿病というだけで病気の子は預かっていませんと園長にさえ話がいかなかった 市職員の対応がひどかったが 市長に直訴したところ 態度が軟化し 現在 受け入れに向けて話し合い中である 区役所から言われて支援センターに行って そこの担当者に 1 型糖尿病は 保育園には入れない 幼稚園を当たってください と言われた 母親が園内でも常に付き添うことを求められた 事実上不可能な条件のため断念した 2. 入園拒否のなかった事例についてすでに入園中の子どもが発症した場合には 病院との話し合いにも積極的で大変熱心に対応して下さる事例が多い しかし 入園前発症の児に対しては 入園に際し抵抗のある園が多いというのが現状のようである また 継続通園や入園が許可されても インスリン注射 血糖測定 園の行事に際して 親に多大の負担がかかっている事例が多いようである コメントの代表例を以下に示す 入園中に発症した インスリン注射は 親が必ず来園して行うことが条件で通園継続 4

が可能となった 他の点では園の先生には とてもよく協力してもらっている 母親が最初に幼稚園に面談に行った際には断られたが 保健師にも相談し 父と二人で再度面談に行ったところ 許可された 入園した保育所に看護師は常駐しているが 血糖測定はしてもらえず 母親が全部行っている 入園は許可されたが 1 日保育の間中 同じ教室内に親がいて様子を見守ること が条件となった 園内での昼食時の血糖測定とインスリン注射は許可されず 午前中のみで帰宅している 午後にある園主催の体操や音楽の授業は受けられない 市役所を通じてやっと検討してもらったが 常在する看護師 1 名が ポンプ療法を自分が知らないとの理由で入園不可とし ペン型注射 2 回法なら許可すると言った その後 ポンプのボタン操作のみ自分で行うことを条件に入園した 血糖測定も自分でできるが 食事前だけでなく低血糖時にも園では許可されない 入園拒否はなかったが 専属の看護師が配置されるまで 食事前の血糖測定のため母親が来園するように言われた ( 約半年 ) そのため母親は仕事を辞めざるを得なかった 一度断られた幼稚園長に再度相談したところ 何度か面接を重ね 条件付きで入園を許可された 条件として 登園時間を他児とずらすこと 園外保育は親が付き添うこと 宿泊行事は参加不可 があった SAP( グルコースセンサー付きポンプ ) を使用しているが センサーの動作状況やセンサーグルコース値による対応を母親に行うよう園から要求があった 看護師が血糖測定 インスリン投与を行ってくれる 不在時は家族側で訪問看護師を手配している 幼稚園では皮下注射もポンプ操作も園内ではなく 通用口で母親がやることになっている 他の子どもたちの親に病気のことを説明していないこともあるが 通用口での注射などの際に誰かが横切ると処置を中断しなければならなくなる 4. 今後の対策今回のアンケート調査結果から 1 型糖尿病患児やその家族を支えるために 幼稚園 保育施設の職員の方に 1 型糖尿病への理解を深めていただく必要があることが明らかとなった そこで 日本小児内分泌学会糖代謝委員会において 1 型糖尿病 ( インスリン治療を必要とする ) 幼児の幼稚園 保育施設への入園取り組みガイド 園児受け入れ担当者と保護者のために を作成した このガイドは 幼稚園 保育施設の職員の方の持つ漠然とした不安を解消し 保護者のインスリン注射 血糖測定 園での行事等についての大きな負担を少しでも減らすことを目指して作成された このガイドは 日本小児内分泌学会ホームページ http://jspe.umin.jp/public/index.html に掲載されており 自由にダウンロードできる この取り組みガイドが幼稚園 保育施設の職員の方々 保護者 主治医に広く活 5

用していただけることを祈念する また 1 型糖尿病 ( インスリン治療を必要とする ) 幼児の入園 入所に際して 幼稚園 保育施設の職員の方へのお願いとして 以下の 4 項目を提示する 1. 入園 入所に際して 一方的に拒否すること無く 幼稚園 保育施設での生活を円滑に行えるように 保護者や医療者との話し合いの場を持つようにしてください 2.1 型糖尿病幼児が幼稚園 保育施設で自ら行うインスリン注射 インスリンポンプ治療 血糖測定について 幼稚園 保育施設の職員の見守りと補助をお願いします 3.1 型糖尿病幼児の低血糖への配慮 ( 気づき ) をお願いします 4. 低血糖に対処するため 幼稚園 保育施設内にグルコース製剤などの保管をお願いします 6