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レベル 1 2 石綿届出対象 記入例 レ労働安全衛生法第 88 条第 3 項 労働安全衛生規則第 90 条第 5 号の2 の規定による計画の届出 石綿障害予防規則第 5 条第 1 項の規定による作業の届出 レ大気汚染防止法第 18 条の15 第 1 項の規定による作業実施の届出を行っております 石綿

届出義務者の変更 何が変更になるの? 特定粉じん排出等作業 (*) の実施の届出義務者が 工事の施工者から工事の発注者又は自主施工者に変更になります * 吹付け石綿等が使用されている建築物等の解体 改造 補修作業注 ) 労働安全衛生法及び石綿障害予防規則に基づく届出義務者は変更になりません 解体等工

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2 上記 1と同等以上の精度を有する分析方法として以下に掲げる方法 (1) 廃止前の平成 8 年 3 月 29 日付け基発第 188 号 建築物の耐火等吹付け材の石綿含有率の判定方法について の別紙の第 3の3の 位相差顕微鏡を使用した分散染色法による分散色の確認 による定性分析の方法 ( 以下 分

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別添 1 日付 ( 鉄道事業者 ) 殿 労働局労働基準部 課長 鉄道車両等における石綿含有製品等の把握の徹底について ( 要請 ) 日頃は労働安全衛生行政に御協力いただき誠にありがとうございます さて 石綿をその重量の0.1% を超えて含有するすべての製品等は製造 輸入 譲渡 提供又は使用が禁止され

事業者が行うべき措置については 匿名加工情報の作成に携わる者 ( 以下 作成従事者 という ) を限定するなどの社内規定の策定 作成従事者等の監督体制の整備 個人情報から削除した事項及び加工方法に関する情報へのアクセス制御 不正アクセス対策等を行うことが考えられるが 規定ぶりについて今後具体的に検討

れている者 個人事業所で5 人以上の作業員が記載された作業員名簿において 健康保険欄に 国民健康保険 と記載され 又は ( 及び ) 年金保険欄に 国民年金 と記載されている作業員がある場合には 作業員名簿を作成した下請企業に対し 作業員を適切な保険に加入させるよう指導すること なお 法人や 5 人

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汚染の除去が行われた場合には 指定を解除その他 区域の指定等 1 要措置区域 ( 法第 6 条 ) 土壌汚染の摂取経路があり 健康被害が生ずるおそれがあるため 汚染の除去等の措置が必要な区域 汚染の除去等の措置を都道府県知事等が指示 ( 法第 7 条 ) 土地の形質の変更の原則禁止 ( 法第 9 条

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イ -3 ( 法令等へ抵触するおそれが高い分野の法令遵守 ) サービスの態様に応じて 抵触のおそれが高い法令 ( 業法 税法 著作権法等 ) を特に明示して遵守させること イ -4 ( 公序良俗違反行為の禁止 ) 公序良俗に反する行為を禁止すること イ利用規約等 利用規約 / 契約書 イ -5 (

4. 施工者とは 当該工事の受注者をいう ( 品質証明者 ) 5. 品質証明者とは 一定の資格及び実務経験を有し 施工者と品質証明業務について契約した組織又は個人で 以下の要件に該当しないものをいう 1 組織においては 以下のいずれかに該当する者 (1) 当該工事の施工者 (2) 当該工事の施工者と

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2. 今後の主な検討事項 1 高濃度 PCB 廃棄物に係る行政代執行費用に対する支援の必要性 高濃度 PCB 廃棄物の処分は 排出事業者責任の観点から その保管事業者が行 うことが原則 このため 都道府県市による行政代執行に要する費用についても 保管事業者が負担することが原則 しかしながら 高濃度

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Transcription:

NPO 法人湿式仕上技術センター日本建築仕上材工業会講演会 改修 解体工事における石綿含有仕上塗材の処理について 2017 年 10 月 厚生労働省における 石綿ばく露防止の取組み 厚生労働省 1

本日の講演の内容 Ⅰ 労働法令における石綿規制 Ⅱ 解体マニュアル 2.10 版 1 はじめに 2 建築物等の解体等の作業 ( 石綿指針 2) 3 労働者が石綿等にばく露するおそれがある建築物等における業務 ( 石綿指針 3) 4 事前調査と維持管理調査の違いを注意喚起 Ⅲ その他 2

石綿製品の種類 石綿製品の多くが建材に使われた ( 単位 : 千トン ) 物質名 製品分野物性との関係使用分野使用場所 石綿輸入統計 自動車摩擦材 産業機械 188.5トン 5.2トン 2.9% 0.7% ジョイントシート 2.5トン 1.4% 産業用摩擦材 化学設備 石綿工業製品 1.8トン 1.0% 0.5% 10.0トン 5.6% 紡 織 品 0.2トン 0.1% 石 綿 板 運 輸 0.2トン 0.1% 2.1% その他の石綿製品 石 綿 0.1トン 0.1% 以下 178.5トン 100.0% 自 動 車 ( 輸入実績 ) 平板スレート 3.6% 75.1トン 42.1% ス レ ー ト 原綿以外のもの 36.8トン 20.6% 建造物材料 10.0トン 押出成形セメント板 92.0% 建 材 製 品 32.8トン 18.4% 165.9トン 93.0% ハ ルフ セメント板 スラク 石膏板 9.3トン 5.2% 一般民生用 石綿セメントサイテ ィンク 板 0.1% 以下 7.6トン 4.3% 上記以外の建材製品 4.3トン 2.4% そ の 他 0.9% その他の不明石綿製品 2.6トン 1.4% 輸 出 0.1% 以下 石綿輸入統計 抗 絶 耐 親 耐 暦年度 191.0 千トン (1995 年 ) 薬 摩 会計年度 188.5 千トン (1995 年 ) 張 縁 和 * 通関統計上 分類が同じ区分で石綿原綿以外のものが約 10.0 千トン含まれているため これを除いて集計した 力 不燃 耐熱性 性 品 性 耐食 耐久性 性 耗 性 建設機械 クレーン 土木建設機械 工作機械等 耐熱 耐薬品性のシールを要する化学設備等 陸 海運施設 輸送設備 船舶 車両等 ブレーキライニング クラッチフェーシング等 耐火壁 天井 軒天 間仕切壁 外壁等 ボイラ 煙突 耐火壁等 資料出所 : 日本石綿協会 3

石綿含有建材の使用部位 建築物には 非常に多くの様々な建材に石綿が使用されている 目で見るアスベスト建材 ( 第 2 版 ) ( 国土交通省 ) より 上図以外にも 建築物で使用されている石綿建材はある 4

民間建築物の解体棟数 石綿を使用した建築物の解体工事のピーク 推定2028年頃 に向けて 解体工事での石綿対策が重要課題 出典 社会資本整備審議会建築分科会 アスベスト対策部会 第5回 対象建築物は0.1重量 以上のアスベストを含む可能性のある民間建築物 建築物は 右表の耐用年数 減価償却資産の耐用年数等に関する省令 H20.4.30財務省令第32号 による で解体されるものとした RC構造 耐用年数 年 S造 住宅 47 事務所等 50 住宅 34 事務所等 38 5

安衛則 石綿則に基づく石綿作業の届出件数の推移 届出対象工事は 現在も減少していない 20,000 18725 18,000 16,000 14,000 12443 12,000 10,000 8,000 10101 7,879 9373 9543 9148 9514 9305 9101 9507 10306 6,000 4,000 2,000 0 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 労働安全衛生規則第90条第5号の2及び石綿障害予防規則第5条に基づく届出の合計件数 厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質対策課調べ 年 6

石綿関連疾患の労災補償状況の推移 2000 1800 1600 1400 肺がん 労災認定 1200 中皮腫 労災認定 1000 肺がん 中皮腫 労災認定 926 800 600 400 200 0 平成 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 年度 当該年度における労災保険法に基づく保険給付の支給決定件数 決定件数は当該年度に請求されたものに限るものではない 平成28年度は速報値 7

死亡労働災害件数との比較 8,000 7,000 現在 石綿による肺がん 中皮腫の労災認定件数は 死亡災害件数と同程度である 死亡者数 1972年 労働安全衛生法施行 6,000 GDPの推移 5,000 4,000 2015年初めて 1000人を下回る 3,000 2,000 1,000 翌年3月末までに業務上が確定したものを計上 2013 2010 2007 2004 2001 1998 1995 1992 1989 1986 1983 1980 1977 1974 1971 1968 1965 1962 1959 0 8

石綿輸入量 建築物解体 50 60 70 80 90 00 10 20 30 40 50 9

1970 年代後半から 80 年代にかけて輸入された石綿の多くは 建材として建築物に使用された 一方で 既存の建築物等に石綿が大量に存在 今後 建築物の解体等の作業が増加 建築物の解体等工事における石綿の飛散 ばく露防止はこれからが特に重要な時期 10

労働者の石綿ばく露防止の関係法令 1 新規の石綿の使用等を禁止 閣僚会合決定により禁止は労働安全衛生法で措置 2 労働者の就業する建築物等において吹付け石綿等の損傷 劣化により 労働者が石綿にばく露するおそれのあるときは 事業者等に 除去 封じ込め 囲い込みを義務づけ 3 除去等作業では 湿潤化や保護具など 労働者の石綿ばく露防止の措置を事業者に義務づけ 写真出典 : 既存建築物の吹付けアスベスト粉じん飛散防止処理技術指針 同解説 ( 日本建築センター ) 石綿建材の欠損繊維くずれなど 除去 封じ込め 囲い込み 11

石綿障害予防規則 労働安全衛生法に基づく省令 事業者等に対して労働者のばく露防止措置を罰則付きで義務づけ 厚生労働大臣指針 労働安全衛生法第 28 条第 1 項に基づき 厚生労働大臣が公表 石綿障害予防規則の規定により事業者が講ずべき措置の適切かつ有効な実施を図るための技術上の指針 石綿飛散漏洩防止対策徹底マニュアル アスベスト分析マニュアル 12

建築物の解体工事に係る石綿障害予防規則の措置 解体作業等における事前の措置 解体作業等における措置 情報提供 ( 発注者 注文者 ) (8 条 9 条 ) 事前調査 (3 条 ) 作業計画 (4 条 ) 労働基準監督署への事前の届出 (5 条等 ) 発生源対策 湿潤化 (13 条 ) ばく露防止対策 呼吸用保護具 保護衣 (14 条等 ) 隔離 (6 条 ) 立入禁止 (7 条 ) 健康診断 (40 条 ) 管理 石綿作業主任者 (19 条 20 条 ) 特別教育 (27 条 ) 付着物の除去 (32 条の 2) 飲食喫煙の禁止 (33 条 ) 掲示 (34 条 ) 作業の記録 (35 条 ) 保護具等の管理 (46 条 ) 13

厚生労働大臣指針の構成 正式名称 : 建築物等の解体等の作業及び労働者が石綿等にばく露するおそれがある建築物等における業務での労働者の石綿ばく露防止に関する技術上の指針 石綿指針 2 建築物等の解体等の作業 及び 石綿指針 3 労働者が石綿等にばく露するおそれがある建築物等における業務 での労働者の石綿ばく露防止に関する技術上の指針 14

石綿飛散漏洩防止対策徹底マニュアル 主として大臣指針の具体的留意事項を解説するもの アスベスト分析マニュアル石綿則 3 条 2 項に基づく石綿分析の方法は 労働基準局 通達で JIS を示し 化学物質対策課 通達に基づき アスベスト分析マニュアル で補足 修正を行っている JIS A 1481 規格群に基づく アスベスト分析マニュアル の方法 15

Ⅱ 解体マニュアル 2.10 版 1 はじめに 2.03 版 2.10 版 平成 29 年 4 月 3 日付け化学物質対策課長通知 都道府県労働局あて 建設関係 / 安全衛生関係団体あて 様々な事業主団体 (456 団体 ) あて 石綿専門 / 建築団体あて マニュアルの普及を図るため 広く周知を行った 16

2 建築物等の解体等の作業 ( 石綿指針 2) 2-1 いわゆる建材のレベル分類の趣旨 いわゆるレベルの分類は あくまで発じん性の 1 つの目安に過ぎず 作業方法など他の要素により実際の発じんの程度は大きく変わることを明示した 建材のレベルにかかわらず 石綿則において様々な措置が義務付けられていることを明示した 17

この建材のレベルの詳細は表 1.1 に示すが 表 1.1 の分類は建築物等の解体等の作業における石綿粉じんの発じん性等を考慮したものからきている この 発じん性等 であるが 密度 ( かさ密度も含む ) の軽重 石綿の種類 石綿含有率 等の因子と 施工後の劣化状況に関係する因子がある 後者の劣化は 施工時の状態 ( 現場施工かどうか ) 石綿以外の原料の種類 使用部位の環境状況 ( 温度 湿度 気流等 ) 等に依存している このように これらの因子が複雑に絡み合っているので 同じレベルに該当する石綿含有材でも 当然 発じん性が異なることがある 例えば レベル 2 に該当する石綿含有材でも レベル 1 に相当する場合もあり また レベル 3 に該当する石綿含有材でも レベル 2 に相当する場合もある さらに これらの因子以外に 建築物等の解体等における作業方法 ( 手ばらしか 機械による解体か等 ) によっても 発じん性の度合いが異なってくる したがって 石綿を取り扱う作業を行う際は発じん性の目安として表 1 を参照しつつも 劣化状況のほか 作業方法といった因子等を十分に考慮する必要となる ( マニュアル p.4 石綿指針 2-1-1 の具体的留意事項 1) 18

参考 レベル分類によるおおよその石綿則の適用の有無を表 1.2 に示すが レベルにより異なるのは 届出 隔離の措置 ( 隔離措置に変えて作業者以外の立入り禁止措置の場合もあり ) 呼吸用保護具の種類の限定のみである それら以外の措置は すべてのレベルで適用される 表 1.2 レベル分類別の おおよその石綿則の適用一覧表 ( 表は省略 ) ( マニュアル p.10 石綿指針 2-1-1 の具体的留意事項 1) 19

( 下線部が追加した内容 ) 17. 現地調査では 設計図書等に記された建材と 現場で使用されている建材との整合性を確認する 建材毎に石綿の有無を判断した根拠を明確にし 例えば建材レベルごとに整理するなど書面にまとめて報告すること その際 建材レベルが同じでも 例えば 構造上破砕せざるを得ない成形板についてはばく露防止対策のレベルが異なるため 工法やばく露防止対策に関係する情報も報告書に記載することが望ましい (p.25 の報告例の項目 19) ( 以下略 ) ( マニュアル p.14 石綿指針 2-1-2 の具体的留意事項 17) 20

石綿の発散状況とばく露防止対策のレベルは 材料レベルだけでなく 作業方法等によって大きく異なる 作業方法等 いわゆる材料レベル 切断 穿孔 研磨等を伴うもの 切断 穿孔 研磨等を伴わないもの レベル 1~2 レベル 3 レベル 1~3 隔離等 ( 1,2) 負圧隔離養生 作業場所又は作業場への立入禁止 呼吸用保護具 ( 3) 電動ファン以上 RS3/RL3 以上 RS2/RL2 以上 各種措置作業計画 特別教育 作業主任者など ( 4) 1 石綿則の規定がない場合でも いわゆるレベル2の除去は大気汚染防止法施行規則により養生又は同等以上の措置が規定されている 2 厚生労働大臣指針において いわゆるレベル3の破砕等が伴う場合は養生を行うことを規定 3 呼吸用保護具の種類は 厚生労働大臣指針による 4 届出については いわゆるレベル1~2が対象 注上表は概要であり 細部は法令を確認する必要がある 例えば 負圧隔離について同等以上の措置を講じた場合の除外規定あり 21

2-2 建築用仕上塗材に関する記載の追加 次の内容について新たに示した 1 除去等作業時のばく露防止対策 2 法令上の位置づけ ( 隔離の例外 ) 3 試料採取 22

1 除去等作業時のばく露防止対策 2 法令上の位置づけ 25. 吹付け工法により施工された仕上塗材は 石綿則第 6 条に示す 吹き付けられた石綿 に該当するため 計画届又は作業届が必要となる 一方 それ以外の工法 ( ローラー塗等 ) により施工した仕上塗材は 届出の義務はない しかし いずれにしても 除去時のばく露防止対策については 施工時の工法に関わらず適切に対応することが求められる また 石綿則第 6 条では 吹き付けられた石綿 について負圧隔離を基本としているが 同等以上の効果を有する措置を講じた場合はこの限りではないと規定している その際の措置として 付録 XI を参考にすることができる ( マニュアル p.16~17 石綿指針 2-1-2 の具体的留意事項 25) 石綿則第 6 条の適用に関して 1 つの参考情報として 処理技術指針の提案内容を紹介 ( 行政解釈をそのまま拘束するものではない ) 23

詳細は 付録 XI 付録 XI. 建築用仕上塗材の取扱い 3. 建築物の改修 解体時における石綿含有建築用仕上塗材からの石綿粉じん飛散防止処理技術指針建築用仕上塗材の除去に関して 技術指針では 以下のような提案を行っている (1) 技術指針では石綿含有建築用仕上塗材を除去する工事を表 XI-2 のように分類している Ⅰ: 吹付けられた石綿 として隔離措置を講じて除去する工事 Ⅱ: 石綿則第 6 条のただし書きにより 粉じん飛散防止に関し隔離措置と同等の措置と判断できる工法による除去工事 Ⅲ: 改修工事での工事で 石綿を含有しない上塗りに洗浄などの工事 石綿を含有する主材を破砕等しないため 石綿関連作業には該当しない工事 24

負圧 ( 厚労省 解体マニュアル ) 中 低層建築物等については 差圧が -2~-5 Pa を目安としている (p.44, 52) ただし 仕上塗材は外壁仕上げとして使用されることが多いため 外部での隔離措置となり 風の影響等に十分に配慮する必要がある ( 付録 XI) ( 参考 ) 処理技術指針の内容 出隅部 入隅部は 別の工法が必要なことも 補助的な除去工法を併用して行う場合には その補助工法での飛散防止も十分に検討 剥離剤建築用仕上塗材によっては効果なし 25

3 試料採取 事前調査の具体的手順の例 仕上塗材等 関係者以外立ち入り禁止 の看板等を作業場付近に掲示する 外壁や軒天などの外部から採取することが多いため 採取前後を通じて飛散がないように充分留意する 採取部位を養生後 飛散抑制剤等で採取箇所を湿潤化し スクレーパー等で対象層を剥離して採取する 採取後は飛散防止措置のため採取痕を固化し 必要に応じて簡易補修を施す ( 採取方法の詳細については付録 Ⅲ を参照 ) ( マニュアル p.24 石綿指針 2-1-2 の具体的留意事項 事前調査の具体的手順の例 ) 詳細は 付録 Ⅲ ( 除去と改修に分けるなどして具体的方法を提示 ) 26

2-3 成形板の破砕防止のための記載充実 成形板は 原則として切断 破砕をしないよう指針で求めているが その実効を期すため 定尺 (0.9m 1.8m) または長尺 (0.9m 2.7m) のものについて それを梱包できる大きさのフレキシブルコンテナバッグを使用すべきことを明示した その他 (5 を追加 ) 27

1. 石綿含有成形板等の除去においては 原則 破砕 切断は行わない また 除去した石綿含有成形板等の高所からの投下や重機での掻き集めは 破損により飛散する恐れがあるため行わない 廃材を破砕することなく原形のまま運搬できるよう 十分な大きさのフレキシブルコンテナバッグや車両を用意する 平成 24 年 10 月 25 日基安化発 1025 第 3 号 成形板の定型の大きさ (1 間 2 間 ) のものをそのまま梱包できるよう 図のような 1m 2m~3m の大きさのフレコンが市販されているので これを利用するとよい ( 下線部と写真が今回の追加部分 ) ( マニュアル p.68 石綿指針 2-3 の具体的留意事項 ) 28

2-4 中 低層棟建築物等の解体等を行う場合の隔離 負圧に関する記載の追加 2.03 版の内容 ( 例 :-20~-40Pa の負圧 ) は 主として 煙突解体時やウォータージェット工法を想定したものであったため それ以外の通常のケースについて技術的事項を明示した 通常時の負圧は 以前から -2~-5Pa と記載 (p.44) また 参考図 1 と 2 を追加した 29

2 中 低層建築物等の解体等を行なう場合は 養生シートを外部に面して設置すると風等の影響を直接受けることとなるので 防音パネルや防音シート等を養生シートの外部に設置し 直接風等が当たらない様にする また 強風によるセキュリティーゾーンへの吹込みを防止するために セキュリティーゾーン全体をパネルやシート等で覆い 直接風等がセキュリティーゾーンに吹込まれないような構造を形成する ( 参考図 2 参照 ) さらに セキュリティーゾーン出入り口にファスナー付きプラスチックシートを設置し ファスナーの調整で内部差圧を調整する 集じん 排気装置は 通常の計算式から求められる台数以上を設置すること 作業開始前及び作業中は 差圧が -2~- 5Pa になるように 外部の風の状況にあわせファスナー付きプラスチックシートのファスナーを調整したり 集じん 排気装置の稼働台数を調整する ただし 強風時に上記の調整等で隔離空間内の負圧が確保出来ない場合には 作業を中止すること ( マニュアル p.52 石綿指針 2-2-1(5)(6) の具体的留意事項 ) 30

2-5 事前調査に関する記載の整理 充実 平成 28 年 5 月の総務省勧告 アスベスト対策に関する行政評価 監視 - 飛散 ばく露防止対策を中心として - において 事業者が事前調査でアスベスト含有建材を見落とす等により 適切な飛散 ばく露防止措置を講じず解体等工事を実施に至っている事案が指摘された 厚生労働省等に対して 調査の適正な実施の確保が求められた 特に新たな技術的知見を追加したわけではないが全体にわたって大きく見直し 記述を整理 充実 31

方針 1 全体にわたって わかりやすい形に構成を見直すとともに テーマごとに総論と具体論を対比した形で示すなど 体系的に整理した ( 改訂を重ねた結果 各事項が個別に記載されていた ) 小見出しを振って 順番を並べ替えた 32

石綿指針 2-1-2 ( マニュアル p.12~19) 基本的事項 指針 2-1-2(1) 調査を行う者 指針 2-1-2(2) 網羅的な把握 指針 2-1-2(3) 各種情報の活用 書面調査 ( 設計図書等による調査 ) の具体的留意事項 現地調査 ( 目視等による調査 ) の具体的留意事項 建材の種類ごとの主なポイント 調査結果の報告 現地調査時のばく露防止対策の留意事項 行政への届出の留意事項 船舶 33

付録 Ⅱ( マニュアルp.103~110) 基本的な確認事項 見落としやすい例 よく使われている箇所 応急措置 調査を行う者のばく露防止対策 環境負荷の低減 34

総論を追加した 以下に主なものを例示する 例 1 ( 内容的な追加は下線部 ) 4. 改修工事も石綿則の事前調査の対象である 例えば 耐震補強工事について 梁 柱を利用して耐震補強を行う場合は 梁や柱の周辺の吹付け材や耐火被覆板等の石綿について部分除去が必要となる可能性があるため 当該施工箇所周辺について事前調査を行う ( マニュアル p.12) 総論を追加することで 耐震補強という例に限らず 様々な改修工事でも同様の考え方であることを分かりやすくした 35

例 2 ( 内容的な追加は下線部 ) 6. 事前調査は 解体 改修等を行う全ての建材が対象であり 必要に応じて破壊調査も行う したがって 内装や下地等の内側等目視では確認できない部分での石綿含有建材に留意する 平成 24 年 10 月 25 日基安化発 1025 第 3 号 なお 同通達別添において 宮城県石巻市における事例と具体的な例示が記されているが この事例は 付録 Ⅱ を参照のこと ( マニュアル p.13) 総論を追加することで具体例の趣旨 目的等を明確化した 36

例 3 次の 3 点を解消するため 文章を簡素化しつつ 要点を 1 箇所に全てまとめた これまでは 23 段落 24 段落でレベルごとの説明はあったが 国土交通省の 目で見るアスベスト建材 を紹介していなかった 目で見るアスベスト建材 に載っていない石綿建材にどのようなものがあるか説明がなかった 煙突など 見落としがちの対象物について 各箇所にバラバラに記載されていた 37

22. 石綿は 目で見るアスベスト建材 ( 第 2 版 ) ( 国土交通省 平成 20 年 3 月 ) に掲載されているように 非常に幅広い建材に使用されている 同マニュアルに掲載されている以外にも 例えば 接着剤 塗料 建築用仕上塗材など様々なものに石綿は使用されている また 例えば煙突 立体駐車場 エレベータ昇降路のほか ボイラ タービン 化学プラント 焼却施設など 工作物にも石綿は使用されている なお 石綿則のレベル分類については 石綿指針 2-1- 1 の具体的留意事項 1. や表 1.1 を参照のこと 23. レベル 1 の吹付け材は ( 略 ) 24. レベル 1 の吹付け材は ( 略 ) ( マニュアル p.15~16) ( 内容的な追加は下線部 ) 38

総論に対して 具体例を追加した 例 16. 建築物の使用建材に関して 書面調査のみで判断せず 必ず現地調査を行い 書面との整合性を含め 現物を確認することが必要である 設計図書等と相違がある具体例として 例えば 改修が行われている場合や 仕様を満たすため現場判断で設計図書と異なる施工をした場合が挙げられる 石綿の有無は むしろ設計図書等に明記されていないことの方が多い また 成形板のように現物に石綿の有無に関する情報が記載されているものがある ( マニュアル p.14) ( 内容的な追加は下線部 ) 書面との整合性を確認しなければならない事情等にまで言及はなかった 具体例を追加し 書面との整合性確認の重要性 目的を明示することにもつながった 39

2-5 事前調査に関する記載の整理 充実 ( 続き ) 方針 2 事前調査が一層的確に行われるよう 実施すべき措置を充実した 例 1 総務省勧告も踏まえ 石綿作業主任者を中心に 一層の資質向上が望まれる旨などを記載した 40

5. 石綿指針の 2-1-2 の (1) 中 石綿に関し一定の知見を有し 的確な判断ができる者 には ( 中略 ) が含まれる ( 中略 ) なお 石綿作業主任者は 事前調査に特化した講習を受講したものではないことから 事前調査に関する講習を受講するなど一定の知識を有することが望まれる また 経験については 建築物や建材には様々な種類があることから 解体等を行おうとする建築物に応じた経験を有するべきである また いずれの者であっても 事前調査の経験の浅い間は経験者の監督の下で調査を行ったり ダブルチェックを行うことが望まれる ( マニュアル p.12~13) ( 内容的な追加は下線部 ) 41

例 2 総務省勧告も踏まえ 調査の対象とできなかった箇所が引き継がれるよう 報告例の項目を新設した ほか 建築物石綿含有建材調査結果報告例 ( 追加は下線部 ) 15. 調査の範囲 ( アクセス不能であった箇所 改修の場合は調査対象外の箇所 ) 19. その他 ( 工法 ばく露防止対策の参考になる現場状況等 ) ( マニュアル p.25~26) 42

11. 事前調査ができない箇所があった場合 調査を行った者は報告書にそれを明記し 施工者は施工段階で調査を行うべき箇所を作業計画に明記する 12. 作業途中で石綿含有建材等を見つけたときに的確に判断できるよう 石綿作業に従事しない者に対しても石綿特別教育や石綿作業主任者技能講習を受けさせるよう努める必要がある 平成 24 年 10 月 25 日基安化発 1025 第 3 号 事前調査の結果にかかわらず 施工者は 施工中に石綿建材が見つかった場合は速やかに元請けや発注者等に連絡するとともに そうした連絡が確実に行われるよう 元請けはあらかじめ関係請負人に対して注意喚起等必要な指示を行っておく ( マニュアル p.13) ( 内容的な追加は下線部 ) 43

28. 改修工事や今後も建築物等を使用する場合の石綿の除去等については 事前調査の範囲が建築物の工事関連箇所のみとなる 将来解体等する場合に 調査結果が誤って流用されないよう 調査の目的 ( 改修 石綿の除去 封じ込め 囲い込みのいずれの作業に関する石綿則の事前調査なのか等 ) 調査の対象および対象外の範囲 対象の建材 ( レベル等 ) 等について 調査報告書に明記する ( 全文が新規 ) ( マニュアル p.17) 44

例 3 ( 取消線部を削除 ) 27. 事前調査業者は 事前調査終了後 事前調査の完了の報告及びその後の関係者間での認識の齟齬がないよう 報告書を作成し 発注者に書面で報告することが望ましい また それとは別に 発注者 除去業者及び解体業者に対して 実際の現場において事前調査を行った範囲や内容について説明をする場を設けることが望ましい 平成 25 年 1 月 7 日基安化発 0107 第 2 号 ( マニュアル p.17) 書面報告を強く求める記述とした 45

方針 3 その他 基礎的な留意事項などを追記 例 1 ( 全文を追加 ) 10. 改修工事では 改修を意図しているか否かにかかわらず改修に伴い 石綿の飛散するおそれのある建材を適切に対象にする 例えば 建築用仕上塗材を改修する際に 劣化した仕上塗材層だけでなく 下地調整塗材層までもケレンすることによって粉じんが飛散するおそれがある場合には 下地調整塗材についても別途調査を行う ( マニュアル p.13) 改修工事では 改修箇所のみが事前調査の対象であるが 意図せずに飛散させる場所も調査対象であることを明示した 46

例 2 ( 全文を改訂 ) 13. 国土交通省及び経済産業省が公表する 石綿 ( アスベスト ) 含有建材データベース は 建材メーカーが過去に製造した石綿含有建材の種類 名称 製造時期 石綿の種類 含有率等の情報を検索できる ただし データベースは 完全な情報整備ができていないため 実際に存在する石綿含有建材を検索できない場合がある 建材の名称やメーカー名などは 正式名称を入力しないと検索できない 平成 18 年 12 月版 平成 19 年 3 月版をダウンロードして使用している場合は 建材情報を更新しているため 最新のウェブ版を使用するなど データベース記載の留意事項をよく理解して活用すること 関連情報として 各種石綿無含有建材の特徴も掲載している 47

( 例 2 の続き ) ( 全文を改訂 ) 14. 製造企業等の情報については 関係機関が 接着剤 塗料 建築用仕上塗材 石膏ボード 壁紙 アスファルト防水材料 副資材についてウェブ上で情報等を公開している これらは 石綿 ( アスベスト ) 含有建材データベース の 関連情報 にもリンクが掲載されている ( マニュアル p.13~14) アスベスト含有データベースの注意事項を充実した (2.03 版の記載は 2 行のみ ) 製造企業等の情報について追記した 48

例 3 ( 全文を追加 ) 15. 書面調査は 既存の情報からできる限りの情報を得るとともに 現地調査の計画を立てるために行う 書面調査 ( 一次調査 ) の結果のまとめ方については 作成例を 表 -1 書面調査結果の整理票の参考例 に示す ( マニュアル p.14) 書面調査の概要を追記した 49

例 4 ( 全文を追加 ) 19. 石膏ボードなどはクロスや塗料などで二重張り 三重張りで化粧されているが 発注者の意向から事前調査時にクロスを全面的には剥がせないことがある その場合 磁石を用いることでビスの位置を確認することもできる ( マニュアル p.15) 事前調査の参考になる方法を追記した 50

2-6 発注者にとって分かりやすく役立つ記載となるよう見直し ( 石綿指針 2-1-1( マニュアル p.4~8)) 発注者から制度に関する問い合わせもある 例えば 平成 28 年度厚生労働省委託事業の石綿分析講習会には 公共工事発注機関からも受講者を募ったが 受講後のアンケートにおいて 専門的な話ばかりであり 発注者として知りたい話が聞けなかった という声もあった 厚生労働省では 各地方公共団体職員向け研修で講演を行ってきたが 一層周知を図るためにマニュアルにおいて 体系的にわかりやすい形でポイントを整理した 51

( 石綿指針 2-1-1( マニュアル p.4~8)) 指針の解説 1~6 旧 1~6 を整理して並べ替えた 1 通知の必要性 2 対象書類 3 伝え方の留意事項 4~6 伝え方の留意事項の具体的なケース 箇条書きにしつつ 冗長な記述を短縮するなど 簡素化した 発注者にとって分かりづらいと思われる記述は 補足説明等を追加した 52

発注者の責務等 7~9 7( 法的責務等 ) 旧 2 の第 2 段落の記載を充実 更新 8( 業者間の情報共有 ) 旧 8 9( 解体 改修工事以外 ) 新規追加 ( 石綿指針 2-1-1( マニュアル p.4~8)) 53

( 石綿指針 2-1-1( マニュアル p.4~8)) 発注時の参考事項 10~17 10( 建築物等の調査を行う者 ) 11( 分析を行う者 ) 12( 分析方法 ) 13( みなし規定の説明 ) 14( バーミキュライトの分析 ) 15( 完了確認 ) 16( 除去 封じ込め 囲い込みの方法 ) 17( 発注者のばく露防止 ) 再掲 or 他から移動 新規 54

2-7 発注者等による取組強化 労働安全衛生法第 6 条に基づく 第 12 次労働災害防止計画 ( 平成 25 年 2 月 25 日厚生労働省 ) において 厚生労働省では 石綿を含め 発注者等による取組を強化することにしている 平成 28 年に 建設工事従事者の安全及び健康の確保の推進に関する法律 が成立した 国は 建設工事の安全衛生経費の適切かつ明確な積算の促進など必要な施策を講ずるものとされた 様々な場面において 発注者等による他の事業者の労働者への配慮について 規定した 55

参考 建設工事従事者の安全及び健康の確保の推進に関する法律 ( 平成 28 年法律第 111 号 ) ( 基本理念 ) 第三条建設工事従事者の安全及び健康の確保は 建設工事の請負契約において適正な請負代金の額 工期等が定められることにより 行われなければならない 2~4 ( 略 ) ( 国の責務 ) 第四条国は 前条の基本理念 ( 次条及び第六条において 基本理念 という ) にのっとり 建設工事従事者の安全及び健康の確保に関する施策を総合的に策定し 及び実施する責務を有する ( 建設工事の請負契約における経費の適切かつ明確な積算等 ) 第十条国及び都道府県は 建設工事の請負契約において建設工事従事者の安全及び健康に十分配慮された請負代金の額 工期等が定められ これが確実に履行されるよう 建設工事従事者の安全及び健康の確保に関する経費 ( 建設工事従事者に係る労働者災害補償保険の保険料を含む ) の適切かつ明確な積算 明示及び支払の促進その他の必要な施策を講ずるものとする 56

参考 第 12 次労働災害防止計画 ( 厚生労働大臣決定 / 計画期間 : 平成 25~29 年度 ) 4 重点施策ごとの具体的取組 (5) 発注者 製造者 施設等の管理者による取組強化 1 発注者等による安全衛生への取組強化 a 発注者等による安全衛生への取組強化 b 荷主による取組の強化 ( 再掲 ) c 建設工事発注者に対する要請 ( 再掲 ) 建設業の発注者に対し 仕様書に安全衛生に関する事項を盛り込むなど 施工時の安全衛生を確保するための必要な経費を積算するよう また 関係請負人へその経費が確実に渡るよう 国土交通省と連携して対応する また官公庁発注の公共工事において同様の取組が取られるよう広く要請する 特に アスベストを含む建築物の解体工事では 必要経費や工期の不足のためにアスベストのばく露や飛散の防止措置を講じることが困難になるような工事の発注が行われないよう 環境省 地方公共団体等とも連携して重点的に対応する 57

発注者に対して 事前調査を行う者の石綿ばく露防止への配慮を求めた ( 内容的な新規部分は下線部 ) 4. 発注者は これまでに石綿含有の有無の調査を行っていなくとも 吹付け材の使用されている場所 吹付け材の劣化状態 ( 天井裏の吹付け材の堆積状況を含む ) 封じ込めや囲い込みを行ったか否か ( 注 : 吹き付け材は 劣化が進行していることが特に想定される建材である ) その他 劣化の著しい建材 ( やむを得ず長期間点検していない煙突断熱材のように 劣化状況が不明であっても 劣化が著しいことが想定される建材を含む ) について 請負人に通知することが望ましい これは 請負人が事前調査を行う際に 労働者が石綿へのばく露を適切に防止できるようにするためである ( マニュアル p.6 石綿指針 2-1-1 の具体的留意事項 4) 58

解体 改修工事に限らず 発注者に対して 石綿関連作業を行う業者への配慮を求めた ( 下記掲載部分は全部新規 ) 6.( 略 ) また 解体等作業に関わらず エレベータの定期点検等のメンテナンス作業 機器の取り付け作業 その他石綿が使用された場所での作業についても 発注者は その作業に従事する請負人の労働者が石綿にばく露することを防止するため 必要な情報を通知することが重要である ( マニュアル p.6 石綿指針 2-1-1 の具体的留意事項 6(p.98 も同一 )) 59

発注者からの安全衛生経費の伝達については 具体例まで記載した 7.( 略 ) 石綿の有無により安全衛生経費は大きく変わることから 発注者は 安全衛生経費が伝達されるよう 例えば 事前調査と解体工事との別発注 事前調査後に結果に応じた契約変更 安全衛生経費の別積算を行う等 何らかの対応を行うことが重要である ( マニュアル p.6 石綿指針 2-1-1 の具体的留意事項 7) ( 下記掲載部分は全部新規 ) 60

解体 改修工事に限らず 発注者に対して 石綿関連作業を行う業者への配慮を求めた ( その 2) ( 下記掲載部分は全部新規 ) 9. 石綿を直接取り扱う場合は石綿作業主任者の選任などが義務づけられており 例えば石綿含有不明の断熱材の劣化した煙突の灰出し口の掃除を行わせるような場合を含め これら法令に基づく措置を履行できない業者に発注してはならない ( マニュアル p.6 石綿指針 2-1-1 の具体的留意事項 7 (p.98 も同一 ) ) 61

石綿作業を行う業者に対して 用具等の修理業者への配慮を求めた 3. 器具や呼吸用保護具等の修理を依頼するときは 石綿の除去など上記 1 や 2 の措置を講じた後に引き渡すのが原則であるが 用具の内側の石綿の除去が困難な場合は 修理業者にその旨通知した上で修理を依頼する ( マニュアル p.92 石綿指針 2-5-3 の具体的留意事項 3) ( 下記掲載部分は全部新規 ) 62

石綿除去を行う業者に対して 運搬業者や廃棄物処理業者への配慮を求めた ( 下記掲載部分は全部新規 ) 5. 解体等工事の施工者は 運搬業者や処理業者の労働者の石綿ばく露防止のためにも 吹き付け石綿等を密封することはもとより 石綿指針 2-3 のとおり 成形板については原則として破砕せず かつ フレコンバックに入れる等 飛散防止の措置を行う ( マニュアル p.95 石綿指針 2-5-4 の具体的留意事項 5) 63

2-8 その他の改正事項 石綿指針 1( 定義 ) ( マニュアル p.1~3) 各関連箇所のみで用いている用語は 当該章に移動 ほか 石綿指針 2-1-2 < 事前調査の具体的手順の例 > 全体にわたって記述を整理 ( マニュアル p.20~26) 建築物石綿含有建材調査結果報告例の項目 15 を追加 ( 再掲 ) 石綿指針 2-1-3( 分析 ) ( マニュアル p.27~37) 2の ( 参考 ) を最新の情報にするため全部修正 ( 旧第 2 段落 ) 日本環境分析協会の技能試験について新たに追記 ほか ( 技能試験の合格者や合格試験所が望ましい ) 64

石綿指針 2-1-4( 掲示と記録 ) ( マニュアル p.38~40) 分かりやすくなるよう 順序を並べ替え 小見出し を付した 法令上の根拠が分かりやすくなるよう 全部修正した (2,3, 4) ( マニュアル p41~43) 石綿指針 2-2-1( 隔離等の措置 ) 天井上に堆積した石綿の調査について 事例を追加した ( 具体的留意事項 6. の 事例を追加 ) 65

石綿指針 2-2-2 ( 集じん 排気装置の稼働状況の確認 保守点検 ) ( マニュアル p.55~63) 初期濃度 漏洩監視用基準濃度など用語の整理などを行った ( 1(1)~(6) 旧 1(1)~(5) ) 2-5-2( 漏えいの監視 ) ( マニュアル p.77~93) 建築改修工事監理指針が法令基準かのように誤解されている事例も見られるため 削除した ( 注 : 指針の内容自体に問題があるわけではない ) 付録 Ⅲ( 建築用仕上塗材のサンプリング ) 新規 ( マニュアル p.111~116) 66

付録 Ⅳ( 事前調査の結果報告書 ( 様式例 ) ) 最新の様式に差し替えた ( マニュアル p.117~122) p.25~p.26 の報告例の項目改訂に適合するよう JATI 協会様式に一部アレンジを加えた p.118 の 1. 特記事項 の後に ( 調査の範囲 ( アクセス不能であった箇所 改修の場合は調査対象外の箇所 ) も記入 ) を追記 付録 XI( 建築用仕上塗材の取扱い ) 新規 ( マニュアル p.150~154) ( マニュアル p.155~157) 付録 XII( 事前調査が未実施のものや不適切であった事例 ) 新規 総務省勧告で取り上げられた事例からピックアップ 67

3 労働者が石綿等にばく露するおそれがある建築物等における業務 ( 石綿指針 3) 石綿建材を把握して以降 長期間にわたって損傷劣化状況を点検していないような事例等もみられる 平成 29 年 4 月 3 日付け基安化発 0403 第 3 号 建築物等における業務での労働者の石綿ばく露防止の実施について より 石綿則第 10 条に基づく石綿の除去等が的確に実施されるよう促すことが重要 68

改訂履歴 2.10 版 H29.3.17 平成 28 年度 建築物等の解体等の作業及び労働者が石綿等にばく露するおそれがある建築物等における業務での労働者の石綿ばく露防止に関する技術上の指針 に基づく石綿飛散漏洩防止対策徹底マニュアル 改訂に係る検討会により改訂のほか 所要の修正 専門的 技術的事項というよりは建築基準法や大気汚染防止法などの関連法令を含め 基本的な流れやポイントを記載 69

指針 3-1 ( 石綿指針 3 マニュアル p.96~99) 1 目視と測定による点検方法 改訂無し 2 目視による劣化確認の具体的な内容 付録 Ⅱ に記載していた内容と同様 3 点検の頻度と時期の検討 4 石綿建材とその劣化状況の把握 5 リスク等に応じて除去等を行う優先順位を検討 6 建材を損傷劣化させる要因や損傷劣化しやすい建材の例 指針 3-2 7 臨時で就業する労働者への発注者による配慮 70

( 石綿指針 3 マニュアル p.96~99) 除去 封じ込め 囲い込みの選択 8 除去 封じ込め 囲い込みの選択を適切に行うべきこと 除去 封じ込め 囲い込みの方法等 9 除去 封じ込め 囲い込みの措置基準 10 除去 封じ込め 囲い込みの具体的方法 その他 11 発注時の留意以降は 2-1-1 を参照するよう記載 12 自治体職員向け 建築物石綿含有建材調査マニュアル を紹介 71

4 事前調査と維持管理調査の違いを注意喚起 既存調査は 目的と内容が解体時の事前調査と異なるにも関わらず それを理解しないまま活用しようとする事例が総務省勧告でも指摘されている 総務省勧告等もあり いわゆるレベル 2 建材の把握 維持管理調査も順次進んできている中で 発注者 ( 建築物所有者等 ) が調査の目的 内容を理解しないまま 発注仕様を設定するなど 混乱の生じている事例も見られる 石綿の把握 維持管理のための石綿調査と 解体等工事の事前調査は 目的 内容が異なることを示した 72

( 新規の内容はないが 分かりやすく書き直した ) 1. 発注者は 建築物等における石綿等の使用状況等を把握している場合を含め 石綿障害予防規則第 3 条に基づく事前調査を請負人に着実に実施させる必要がある 既存の調査は 劣化等による飛散を防止することが目的のためいわゆるレベル 1 又はレベル 2 建材のみを対象としたり また 飛散のおそれのある露出している部位のみを対象とするのが通常である また 法的にも 発注者からの単に 石綿なし との情報のみを以て 請負人 ( 施工者 ) は事前調査を省略することはできない したがって 発注者は 単に石綿の有無を伝えるだけでなく 次の 2 以降に示すとおり 請負人に既存の調査結果の書面等を閲覧させることが必要である なお 詳細 明確な情報が無い場合は 請負人は既存の調査結果をそのまま用いることはせず 改めて必要な範囲の調査を行わなければならない ( 石綿指針 2-1-1 マニュアル p.4) 73

( 新規の内容はないが 簡潔かつ体系的に書き直して分かりやすくした ) 2. 設計図書 過去の調査記録等 の情報としては 例えば 次のようなものがある 付録 Ⅰに例示する資料 建築物等に就業させている労働者の石綿ばく露防止のため石綿建材の把握や管理を目的とした調査の結果 資産除去債務の計上のため石綿の使用の有無に関する調査結果 その他 過去の改修記録など 下記 3~5の情報 3. 発注者は 1 の既存調査の情報を請負人に通知するに当たって 調査範囲を明確にすることが重要である 具体的には 例えば 次の事項に留意することが必要である 既存調査の対象建材がどのレベル ( レベル 1 2 3 の材料 ) か 例えば レベル 1( 吹付け材 ) の調査のみであれば 請負人はレベル 2( 耐火被覆板 断熱材 保温材 ) 及びレベル 3( 成形板 ) の調査を解体等前に行う必要がある 既存調査の対象部位はどこか 既存調査 ( 分析 ) の実施時期はいつか 時期によって 石綿の規制対象の含有率が異なる 分析対象の石綿は 6 種類全部か 一部の種類のみの場合がある ( 石綿指針 2-1-1 マニュアル p.4~5) 74

2 発注者に確認すべき事項 (2) 調査目的の確認 ( 事前調査の具体的手順の例 マニュアル p.21) ( 新規の内容はないが 分かりやすく書き直した ) 発注者に対し 1 解体のための事前調査 2 耐震改修等の改修や修繕のための事前調査 3 建物使用者の石綿ばく露防止のために石綿建材の把握や管理を目的とした調査 4 資産除去債務の計上のための調査など 調査の目的を確認し 依頼された調査内容が目的と合致しているかどうか確認する 以下は 基本的に 石綿則第 3 条に基づく調査 (1 や 2) を念頭に記述する 75

( 石綿指針 3 マニュアル p.97) ( 全文新規 ) 4. 吹き付けられた石綿等又は張り付けられた石綿含有保温材等 について 事業者 ( 又は法第 34 条の建築物貸与者 ) は 石綿則第 10 条の適切かつ有効な実施のため 石綿建材の把握が重要である ( 中略 ) この調査は 石綿の把握後に速やかに除去等を行う場合を除き 今後 職場という空間を維持管理していくためのものであるから 2-1-2 の解体作業等の事前調査とは目的 内容が異なる 具体的には 石綿の有無を把握するだけでなく 石綿建材の劣化状況を含め 今後の維持 管理のためのアドバイスなどについても 依頼することが肝要である ( 以下略 ) 76

平成 29 年 4 月 3 日付け基安化発 0403 第 3 号 建築物等における業務での労働者の石綿ばく露防止の実施について (456 団体あて化学物質対策課長通知 ) 4 その他今後も利用を継続する建築物に対する調査は 解体時の事前調査と目的 内容が異なることに留意すること また 建築物等を解体する際には 石綿則に基づき 改めて施工者は建築物等の石綿の使用の有無に関する事前調査を行う必要があるので留意すること 77

Ⅲ その他 アスベスト分析マニュアル 建築用仕上塗材 発注者への要請 事業者 ( 建築物所有者等 ) への要請 除去後から廃棄までの過程におけるばく露防止 事前調査に関する講習会 78

石綿分析の方法 労働基準局長通達で JIS を示し 化学物質対策課長通達に基づき アスベスト分析マニュアル で補足 修正を行っている JIS A 1481 規格群に基づく アスベスト分析マニュアル の方法 平成 18 年 8 月 21 日基発 0821002 号 最終改正平成 28 年 4 月 13 日基発 0413 第 3 号 平成 26 年 3 月 31 日基安化発 0331 第 3 号 79

石綿分析に 十分な経験及び必要な能力を有する者 公益社団法人日本作業環境測定協会が実施する 石綿分析技術の評価事業( 石綿分析に係るクロスチェック事業 ) により認定されるAランク又はBランクの認定分析技術者 一般社団法人日本環境測定分析協会の アスベスト偏光顕微鏡実技研修修了者 や アスベスト偏光顕微鏡インストラクター 平成 24 年 5 月 9 日基発第 0509 第 10 号 一部改正平成 26 年 4 月 23 日基発 0423 第 7 号 上記の資格者は 各協会 HP に掲載 80

アスベスト分析マニュアルによる流れ ( 概要 ) 破線に囲まれたところが石綿含有建材として取り扱うところ 定性分析 含有あり 0.1% を超えた含有無し 定量分析 0.1% を超えているとして扱う ( ) 0.1% 超 0.1% 以下 石綿飛散漏洩防止対策徹底マニュアル [2.10 版 ] p.7 より 定性分析で 含有有り の場合に 定量分析を行わずに 石綿が0.1% を超えているとして扱うことも可能とされている ( 平成 26 年 3 月 31 日基安化発 0331 第 3 号 ) 81

アスベスト分析マニュアル 改訂のポイント 1 本マニュアルの法令 行政通達上の位置づけの明記 2 建築用仕上塗材に関する記述の追加 3JIS A 1481-1 に基づいた方法における不検出確定手順の記載充実 4JIS A 1481-3 に基づいた方法における検量線方法の見直し 82

建築用仕上塗材とは施工部位 用途建築物の内外装仕上施工方法吹付け こて塗り ローラー塗りなど石綿主材や下地調整塗材に少量添加のものあり 立体的な造形性を持つ模様に仕上げる 圧付け仕上げ塗材 ( 上塗り材なし ): 吹放し模様の例 骨材下地調整塗材主材 下塗材 下 地 写真 図の出典 : 建築物の改修 解体時における石綿含有建築用仕上塗材からの石綿粉じん飛散防止処理技術指針 国立研究開発法人建築研究所 日本建築仕上材工業会 平成 28 年 4 月 28 日 83

石綿則の適用区分 建築用仕上塗材がいずれの区分に該当するのか当初は通知等で明確にしたものがなかった ( 石綿則の区分 ) 1 吹き付けられた石綿等 2 石綿等が使用されている保温材 耐火被覆材等 3 その他 吹付施工はこれか? これか? 84

石綿則の適用区分 石綿繊維は合成樹脂などによって結合塗膜が健全な状態では石綿は発散せず 本来別物 石綿則の 吹き付けられた石綿等 は本来 ILO 条約等で謳われる friable な ( くだけやすい もろい ) ものを念頭 85

石綿則の適用区分 こうした本来の制度趣旨も踏まえ 現行制度上の法令適用を検討 建築物等に吹付け工法により 施工されたものは 吹き付けられた石綿等 に該当 86

ばく露防止措置 吹き付けられた石綿等 の除去時は原則負圧隔離ただし 同等以上 の措置による例外規定あり検討課題 どういったときにこれに該当するか 平成 29 年 3 月マニュアル改訂では 隔離の要否について 研究機関と業界団体の提案した処理技術指針 ( ) を 参考にすることができる と紹介 ( ) 建築物の改修 解体時における石綿含有建築用仕上塗材からの石綿粉じん飛散防止処理技術指針 ( 平成 28 年 4 月 28 日 国立研究開発法人建築研究所 日本建築仕上材工業会 ) 87

ポイント 石綿含有建築用仕上塗材の石綿則の区分の違いは リスクの違いを示すものではない 施工当時の工法が重要なのではなく 除去時の発散の程度に応じたばく露防止措置を講じるよう H29.5.31 に通達を発出 (H29.3 のマニュアル改定でも同趣旨の記載を追加 ) 隔離の要否を的確に判断できるよう さらなる検証等が必要 入隅 出隅部など技術的な検討課題も 現在のマニュアルで紹介する内容は 行政判断をそのまま拘束するものではない ( 参考することができる ) 国でデータ収集を行い 必要な見直しを行っていく 88

参考 H29.5.31 通達や H29.3 改訂マニュアルの概要建築用仕上塗材 吹き付けで施工されたもの ローラー塗り こて塗り等で施工されたもの H29.5.31 通達 (H29.3 改訂マニュアルも同趣旨 ) 石綿則の適用区分 ( ) 吹き付けられた石綿等 その他 届出必要不要 建築物等に吹付け工法により施工されたものは 使用目的その他の条件を問わず 石綿障害予防規則の 吹き付けられた石綿等 に該当するが 隔離 その他 ( 作業主任者 防じんマスクほか各種措置 ) ( これが通達 / マニュアルのポイント ) 除去時の発散の程度等によっては必要 必要 石綿含有建築用仕上塗材の除去等を行う際には 吹き付けられた石綿等 か否かにかかわらず 石綿飛散漏洩防止対策徹底マニュアルにも留意しつつ 除去時等の石綿発散の程度等に応じた適切なばく露防止対策を講じるよう指導すること ( ) 石綿則では 石綿含有材料について 吹き付けられた石綿等 石綿等が使用されている保温材 耐火被覆材等 その他の 3 つに区分している 89

平成 29 年 5 月 31 日付け基安化発 0531 第 1 号 石綿含有建築用仕上塗材の除去等作業における大気汚染防止法令上の取扱い等について ( 都道府県労働局健康主務課長あて化学物質対策課長通知 ) 1 石綿含有建築用仕上塗材について 建築物等に吹付け工法により施工されたものは 使用目的その他の条件を問わず 石綿障害予防規則 ( 平成 17 年厚生労働省令第 21 号 以下 石綿則 という ) の 吹き付けられた石綿等 に該当するが 石綿含有建築用仕上塗材の除去等を行う際には 吹き付けられた石綿等 か否かにかかわらず 石綿飛散漏洩防止対策徹底マニュアルにも留意しつつ 除去時等の石綿発散の程度等に応じた適切なばく露防止対策を講じるよう指導を行うこと 参考 平成 28 年度の厚労省測定データ (1 現場 ) 建屋の外壁にクリソタイル 0.59% 含有のリシン吹き付け材の除去作業 手持ち式グラインダー ( 集じん機なし ) を使用 石綿の気中濃度 198.00 f/l クリソタイル 783.5 f/l 総繊維数濃度 989.98 f/l 位相差顕微鏡 総繊維数濃度における石綿繊維数の割合 20 % 電子顕微鏡 その他の石綿繊維 (5 種類 ) 石綿以外の繊維 ND 3134.0 f/l 90

発注者への要請 456 団体に対して 能力のある業者に発注すること等を要請した 平成 29 年 4 月 3 日付け基安化発 0403 第 3 号 建築物等における業務での労働者の石綿ばく露防止の実施について (456 団体あて化学物質対策課長通知 ) 3 適切な発注の実施能力のある業者に発注する等により 上記 1 及び 2 の措置の適切な実施の確保に努めること 91

事業者 ( 建築物所有者等 ) への要請 456 団体に対して 石綿の必要な除去等の推進を要請した 平成 29 年 4 月 3 日付け基安化発 0403 第 3 号 建築物等における業務での労働者の石綿ばく露防止の実施について (456 団体あて化学物質対策課長通知 ) 1 石綿の必要な除去等措置の実施事業者又は労働安全衛生法 ( 昭和 47 年法律第 57 号 ) 第 34 条の建築物貸与者は 建築物等における業務での労働者の石綿ばく露防止のため 石綿建材の使用状況を把握し その損傷劣化状況について必要な頻度で点検を行い 建材の損傷劣化状況等を踏まえ 建築物の使用予定年数等に応じて必要な除去等を順次実施していくこと 92

除去後から廃棄までの過程におけるばく露防止 H29.6.9 付けで 26 団体に対して石綿則に基づく措置の徹底を要請 1 要請内容の骨子 : 石綿則 32 条に基づき 石綿含有物の運搬 貯蔵時には 発じんしないよう 確実な包装 表示を行う 2 石綿則 32 条の対象事業者 : 解体業者 除去業者 運搬業者 廃棄物処理業者など 業種にかかわらず すべて適用 3 石綿則 32 条により包装等が義務となる対象 : 廃棄物に限らない 廃棄物処理法の適否に関わらない 93

( 容器等 ) 第三十二条事業者は 石綿等を運搬し 又は貯蔵するときは 当該石綿等の粉じんが発散するおそれがないように 堅固な容器を使用し 又は確実な包装をしなければならない 2 事業者は 前項の容器又は包装の見やすい箇所に石綿等が入っていること及びその取扱い上の注意事項を表示しなければならない 表示は 個々の包装等に必要 確実な包装 等 ( 第 1 項 ) 包装からあふれる 包装が破れる 袋を閉じる 平成 29 年 6 月 9 日基安化発 0609 第 2 号 建築物等から除去した石綿含有廃棄物の包装等の徹底について (26 団体あて化学物質対策課長通知 ) 94

( 石綿障害予防規則第 32 条続き ) 3 事業者は 石綿等の保管については 一定の場所を定めておかなければならない 4 事業者は 石綿等の運搬 貯蔵等のために使用した容器又は包装については 当該石綿等の粉じんが発散しないような措置を講じ 保管するときは 一定の場所を定めて集積しておかなければならない 石綿粉じんの発散のおそれがないものは ( 例 : 原形のまま取り外せたシステム天井の天井板 ) 第 1~2 項 ( 包装等 ) は 適用なし 第 3~4 項 ( 保管場所の定め等 ) は 適用あり ( その他 ) かえって労働者のばく露が大きくならないよう フレコンに入れるために いたずらに細かく破砕しない 95

事前調査に関する講習会平成 29 年度厚生労働省委託事業により 石綿作業主任者等を対象とした事前調査 ( 分析除く ) に関する講習会を行う予定としている 5.( 中略 ) なお 石綿作業主任者は 事前調査に特化した講習を受講したものではないことから 事前調査に関する講習を受講するなど一定の知識を有することが望まれる また 経験については 建築物や建材には様々な種類があることから 解体等を行おうとする建築物に応じた経験を有するべきである ( マニュアル p.12~13 石綿指針 2-1-2 の具体的留意事項 5) 96

石綿事前調査講習会検索 平成 29 年 8 月 2 日基安化発 0802 第 1 号 建築物解体等作業における石綿の事前調査の講習会の実施について いっぱいヒットします 委託事業のページの URL が掲載されているのでクリック 97