1 幼児期の教育 保育と小学校教育の違い 幼児期の教育 保育と小学校の教育では 発達の段階の違いだけでなく 教育課程等の違いもあります まずは相互を理解することが必要です 幼児期の教育 保育と小学校教育との間には このように教育課程や指導方法の相違点がある一方で 5 歳児から小学校低学年までの発達の

Similar documents
新しい幼稚園教育要領について

資料6 幼児期の終わりまでに育ってほしい姿の再整理イメージ(たたき台)

2部.indd

学習指導要領改訂の方向性

幼保連携型認定こども園教育・保育要領 中央説明会

はじめに P1 Ⅰ 豊後大野市幼児教育の現状と課題 P2~3 1 幼児数の変遷... P2 2 幼児教育の現状... P2~3 3 幼児教育の課題... P3 Ⅱ 豊後大野市幼児教育の基本方針 P4~7 1 豊後大野市幼児教育の基本... P4 2 豊後大野市幼児教育のねらい... P5 (1) 育

「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けて

エコポリスセンターとの打合せ内容 2007

幼児期の教育と小学校教育との円滑な接続の在り方について ( 報告 ) ( 概要 ) 子どもの発達や学びの連続性を踏まえた幼児期の教育 ( 幼稚園 保育所 認定こども園における教育 ) と児童期の教育 ( 小学校における教育 ) の円滑な接続の在り方について検討し 以下のとおり 報告をとりまとめた 1

ポイント 1: 幼児教育と小学校教育の特徴や違いを理解する 保幼小の円滑な接続に向けて まずは 幼児教育と小学校教育の特徴や違いを理解することが重要です 幼児教育 幼児期の教育では 幼児の自発的な活動としての 遊び を通して 様々な体験や学びの芽生えを積み重ねることができるよう 保育者が環境を構成し

幼児教育とは: 幼稚園教育要領、保育所保育指針、幼保連携型認定こども園教育・保育要領の改訂を受けて

ハンドブックp10-14:東京都教育委員会

乳児期からの幼児教育について 大阪総合保育大学 大方美香

幼児の実態を捉えると共に 幼児が自分たちで生活をつくり出す保育の在り方を探り 主体的 に生活する子どもを育むための教育課程及び指導計画を作成する 3 研究の計画 <1 年次 > 主体的に生活する幼児の姿を捉える 教育課程 指導計画を見直す <2 年次 > 主体的に生活する幼児の姿を捉え その要因につ

Taro-H29 教育課程編成届3

ICTを軸にした小中連携

1 発達とそのメカニズム 7/21 幼児教育 保育に関する理解を深め 適切 (1) 幼児教育 保育の意義 2 幼児教育 保育の役割と機能及び現状と課題 8/21 12/15 2/13 3 幼児教育 保育と児童福祉の関係性 12/19 な環境を構成し 個々 1 幼児期にふさわしい生活 7/21 12/

基本方針 これまでも幼稚園は幼稚園教育要領に 保育園は保育所保育指針に基づいた幼児教育 保育を展開してきた また 平成 20 年 3 月の大幅な改定により 3 歳児から5 歳児の教育に関する内容では整合性が図られている しかし 統一されたカリキュラムがないことで 幼稚園と保育園の内容に違いがあるかの

【160420】とりまとめイメージ目次

Microsoft PowerPoint - 幼稚園教育要領の改訂について

平成29年度 小学校教育課程講習会 総合的な学習の時間

【参考資料1】審議のまとめ反映版

高松っ子いきいきプラン策定の趣旨 本プランは, 就学前の子どもが幼稚園 保育所 幼保一体化施設など, どこに在籍していても, 等しく質の高い教育 保育を受けられるよう, 各施設が積み上げてきたものを生かしつつ, 今後, 重点的に取り組むための方針や具体的な取り組みを示しています さらに小学校との連携

資料3 道徳科における「主体的・対話的で深い学び」を実現する学習・指導改善について

Microsoft PowerPoint 森ㆨè⁄ªç—¶ã‡™æ´»çfl¨ã†Šã†�ä¿šè‡²å¹¼å–’æŁŽè‡²ã†«éŒ¢ã†Žã‡‰è⁄ªæ²»ä½fi剛強ä¼ı-è³⁄挎(山呣朕絇盋).pptx

Taro-小学校第5学年国語科「ゆる

平成 30 年 6 月 8 日 ( 金 ) 第 5 校時 尾道市立日比崎小学校第 4 学年 2 組外国語活動 指導者 HRT 東森 千晶 JTE 片山 奈弥津 単元名 好きな曜日は何かな? ~I like Mondays.~ 本単元で育成する資質 能力 コミュニケーション能力 主体性 本時のポイント

座標軸の入ったワークシートで整理して, 次の単元 もっとすばらしい自分へ~ 自分向上プロジェクト~ につなげていく 整理 分析 協同的な学習について児童がスクラップした新聞記事の人物や, 身近な地域の人を定期的に紹介し合う場を設けることで, 自分が知らなかった様々な かがやいている人 がいることを知

1 一日の生活の連続性及びリズムの多様性への配慮 (1) 全体的な計画の作成幼保連携型認定こども園教育保育要領第 1 章総則では 幼保連携型認定こども園の 全体的な計画 の作成について示されています 全体的な計画は 保育所保育指針における保育課程 幼稚園教育要領における教育課程に当たります また 全


Microsoft PowerPoint - H29小学校理科

第4章 道徳

3 平成 29 年 3 月に幼稚園教育要領 保育所保育指針 幼保連携型認定こども園教育 保育要領が改訂され 来年度から全面実施されます 新幼稚園教育要領等では 改訂の基本的な方針として 1) 幼児期の終わりまでに育ってほしい姿 の明確化 健康な心と体 自立心 協同性 道徳性 規範意識の芽生え 社会生

3 第 3 学年及び第 4 学年の評価規準 集団活動や生活への関心 意欲態度 集団の一員としての思考 判断 実践 学級の生活上の問題に関心 楽しい学級をつくるために を持ち 他の児童と協力して意 話し合い 自己の役割や集団と 欲的に集団活動に取り組もう してよりよい方法について考 としている え 判

2部.indd

幼児教育部会における審議の取りまとめ

2年生学級活動(性に関する指導)指導案

7 本時の指導構想 (1) 本時のねらい本時は, 前時までの活動を受けて, 単元テーマ なぜ働くのだろう について, さらに考えを深めるための自己課題を設定させる () 論理の意識化を図る学習活動 に関わって 考えがいのある課題設定 学習課題を 職業調べの自己課題を設定する と設定する ( 学習課題

<小学校 生活科>

第 1 学年国語科学習指導案 日時 平成 27 年 11 月 11 日 ( 水 ) 授業 2 場所 八幡平市立西根中学校 1 年 2 組教室 学級 1 年 2 組 ( 男子 17 名女子 13 名計 30 名 ) 授業者佐々木朋子 1 単元名いにしえの心にふれる蓬莱の玉の枝 竹取物語 から 2 単元

H30全国HP

幼稚園教育要領解説

いろいろな衣装を知ろう

1 小学校入学前の子どもの学びとは 幼児期の生活のほとんどは 遊びによって占められています 子どもは遊びを中心として 頭も心も体も動かして様々な対象と直接関わりながら 総合的に学んでいます (1) 幼児教育と子どもの学び 幼稚園の遊びの一場面子どもたちがものを転がす遊びに集中しています 子どもたちは

H26関ブロ美術プレ大会学習指導案(完成版)

60 金沢星稜大学人間科学研究第 11 巻第 2 号平成 30 年 2 月 要領を主な資料として内容を分析 考察する (1) 乳児保育に関わる ねらい及び内容 の3 視点,1 歳以上 3 歳未満児及び3 歳以上児に関わる ねらい及び内容 の5 領域, 幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿, 小学

幼保連携型認定こども園教育・保育要領告示文

保育をシンプルにする 1 子どもと現状把握からスタートする子どもの心や体は大丈夫か? もっとこうしてあげたいという願い専門的視点と時代の要請から 2 プランが生まれる! 見通しを持つそうだ こうしよう! ( 例 ) 船であそこへ行こう! (5 つの要素 ) 船 スタッフ プラン 目的 旅の意義園舎

基本方針 2 児童 生徒一人ひとりに応じた学習を大切にし 確かな学力の育成を図ります 基本方針 2 児童 生徒一人ひとりに応じた学習を大切にし 確かな学力の育成を図ります (1) 基礎的 基本的な学力の定着児童 生徒一人ひとりが生きる力の基盤として 基礎的 基本的な知識や技能を習得できるよう それぞ

(Microsoft Word - \217\254\212w\202U\224N\201i\216R\217\343\201j.doc)

第 2 第 3 第 4 食育の推進 環境及び衛生管理並びに安全管理 災害への備え 第 4 章第 1 第 2 第 3 子育ての支援子育ての支援全般に関わる事項幼保連携型認定こども園の園児の保護者に対する子育ての支援地域における子育て家庭の保護者等に対する支援 - 2 -

1 国の動向 平成 17 年 1 月に中央教育審議会答申 子どもを取り巻く環境の変化を踏まえた今後の幼児教育の在り方について が出されました この答申では 幼稚園 保育所 ( 園 ) の別なく 子どもの健やかな成長のための今後の幼児教育の在り方についての考え方がまとめられています この答申を踏まえ

2 研究の歩みから 本校では平成 4 年度より道徳教育の研究を学校経営の基盤にすえ, 継続的に研究を進めてきた しかし, 児童を取り巻く社会状況の変化や, 規範意識の低下, 生命を尊重する心情を育てる必要 性などから, 自己の生き方を見つめ, 他者との関わりを深めながらたくましく生きる児童を育てる

平成 28 年度全国学力 学習状況調査の結果伊達市教育委員会〇平成 28 年 4 月 19 日 ( 火 ) に実施した平成 28 年度全国学力 学習状況調査の北海道における参加状況は 下記のとおりである 北海道 伊達市 ( 星の丘小 中学校を除く ) 学校数 児童生徒数 学校数 児童生徒数 小学校

<4D F736F F D20819A8AAE90AC814089CD93E08FAC8A778D5A814090B68A8889C88E7793B188C42E646F6378>

1. 研究主題 学び方を身につけ, 見通しをもって意欲的に学ぶ子どもの育成 ~ 複式学級における算数科授業づくりを通して ~ 2. 主題設定の理由 本校では, 平成 22 年度から平成 24 年度までの3 年間, 生き生きと学ぶ子どもの育成 ~ 複式学級における授業づくり通して~ を研究主題に意欲的

Microsoft Word 教育課程の編成

考え 主体的な学び 対話的な学び 問題意識を持つ 多面的 多角的思考 自分自身との関わりで考える 協働 対話 自らを振り返る 学級経営の充実 議論する 主体的に自分との関わりで考え 自分の感じ方 考え方を 明確にする 多様な感じ方 考え方と出会い 交流し 自分の感じ方 考え方を より明確にする 教師

きるか, 必要なものを取捨選択したり, 試したり見立てたり工夫したりしながら, 自分が選んだおもちゃや楽器をつくる できたおもちゃや楽器を交流し, 友達とアドバイスしあいながら, 改良したり, 遊び方を工夫したりして, よいものにしようとする おもちゃフェスティバルを開き実際に遊び, みんなが楽しく

Microsoft PowerPoint - 中学校学習評価.pptx

<4D F736F F D20906C8CA08BB388E E646F63>

学習指導要領の趣旨を実現する授業づくりのポイント

学習指導要領の領域等の平均正答率をみると 各教科のすべての領域でほぼ同じ値か わずかに低い値を示しています 国語では A 問題のすべての領域で 全国の平均正答率をわずかながら低い値を示しています このことから 基礎知識をしっかりと定着させるための日常的な学習活動が必要です 家庭学習が形式的になってい

人権教育の推進のためのイメージ図

Microsoft Word - 研究協議会資料(保健分野学習指導案)

目次 第 1 章策定の趣旨 1 第 2 章現状と課題 2 第 3 章基本理念と基本目標 4 第 4 章基本方針 6 第 5 章担い手とその役割 10 用語の定義 本指針において使用する用語の定義は以下のとおりとします 乳幼児期 生後から小学校に入る前まで 幼児期 概ね3 歳から小学校に入る前 幼児教

中央説明会 改訂幼稚園教育要領 幼稚園教育要領の改訂について 主な改訂内容 平成29年 7月 文部科学省 初等中等教育局 幼児教育課 1

Taro-renkei.jtd

彩の国埼玉県 埼玉県のマスコット コバトン 科学的な見方や考え方を養う理科の授業 小学校理科の観察 実験で大切なことは? 県立総合教育センターでの 学校間の接続に関する調査研究 の意識調査では 埼玉県内の児童生徒の多くは 理科が好きな理由として 観察 実験などの活動があること を一番にあげています

○ ○ 科 学 習 指 導 案

Ⅰ 評価の基本的な考え方 1 学力のとらえ方 学力については 知識や技能だけでなく 自ら学ぶ意欲や思考力 判断力 表現力などの資質や能力などを含めて基礎 基本ととらえ その基礎 基本の確実な定着を前提に 自ら学び 自ら考える力などの 生きる力 がはぐくまれているかどうかを含めて学力ととらえる必要があ

幼稚園と小学校の連携の在り方について 学びの連続性 の視点に立って考察する 3 研究内容と考察 (1) 学びの連続性 に立った幼稚園と小学校の連携とは何か中教審の答申 子どもを取り巻く環境の変化を踏まえた今後の幼児教育の在り方について は 子どもを取り巻く環境の変化を踏まえ 今後の幼児教育の方向性と

2 教科に関する調査の結果 ( 各教科での % ) (1) 小学校 国語 4 年生 5 年生 6 年生 狭山市埼玉県狭山市埼玉県狭山市埼玉県 平領均域正等答別率 話すこと 聞くこと 書くこと

平成 30 年度なごや小学校努力点推進計画 1 研究主題なかまとともに感性輝くなごやっ子 (1 年次 ) 2 研究主題について本校では 昨年度までの努力点研究において 道徳や特別活動の時間を中心に 子ども一人一人の成長と互いの認め合いをめざすことで 子ども自らが なごや小でよかった と感じられるよう

うな活動を工夫して設定していく そして様々なバリエーションを体験させる中で何度も want との出会いを児童が繰り返し 自然と want への理解を深めたり want を使 って思いを伝えたりできるようにしたい 単元の目標 積極的にアルファベットの大文字を読んだり I want. の表現を使って 進

2 単元の目標 廿日市市 についての魅力を目的意識や相手意識を明確にして地域内外に発信することができる 自分たちの住む 廿日市市 に愛着をもつことができる 3 単元の評価規準 学習方法 自分自身 他者や社会 課題発見力 思考力 判断力 表現力 主体性 自らへの自信 対象と積極的にかかわる中で, 課題

<4D F736F F D E937893FC8A778E8E8CB196E291E8>

彦根市立城陽幼稚園 幼稚園の特色 本園は 荒神山を間近に仰ぎ 琵琶湖岸まで広がる田畑や犬上川 宇曽川の両河川に囲まれた 自然に恵まれたところに位置し 旧市街地と新興住宅地が点在する地域にあります 平成 3 年 ( 旧 ) 平田幼稚園の一室を借りて開園し 翌年 3 月 日夏町の現在地に移りました 今年

○数学科 2年 連立方程式

<4D F736F F D F18CBE A D8D DC58F49816A39382E646F63>

上に食に関する指導の充実が求められている 食環境の乱れが社会的課題とっている今日 中学生が食生活の自立を目指した学習をすることは大切なことであるので 本時は 自分や家族の食生活の中で見付けた問題点の改善に自主的に取り組むことができるように 指導を進めることにした 指導に当たっては これまでの学習を踏

< F2D87408E7793B188C C993A190E690B6816A2E6A7464>

PowerPoint プレゼンテーション

<4D F736F F D A778D5A95DB8C9291CC88E789C881408E7793B188C42E646F63>

幼稚園教育要領解説

(4) ものごとを最後までやり遂げて, うれしかったことがありますか (5) 難しいことでも, 失敗を恐れないで挑戦していますか

Microsoft Word - aglo00003.学力の三要素

平成 29 年度 全国学力 学習状況調査結果と対策 1 全国学力調査の結果 ( 校種 検査項目ごとの平均正答率の比較から ) (1) 小学校の結果 会津若松市 国語 A は 全国平均を上回る 国語 B はやや上回る 算数は A B ともに全国平均を上回る 昨年度の国語 A はほぼ同じ 他科目はやや下

保育所保育指針

主語と述語に気を付けながら場面に合ったことばを使おう 学年 小学校 2 年生 教科 ( 授業内容 ) 国語 ( 主語と述語 ) 情報提供者 品川区立台場小学校 学習活動の分類 B. 学習指導要領に例示されてはいないが 学習指導要領に示される各教科 等の内容を指導する中で実施するもの 教材タイプ ビジ

また 今回の改訂では 幼児期の終わりまでに育ってほしい姿 が新たに示された この 幼児期の終わりまでに育ってほしい姿 は 幼児の幼稚園修了時の具体的な姿であり 教師が指導を行う際に考慮するものであると記されており 5 歳児後半の幼児の目指すべき姿として捉えることができる そして 幼児期の終わりまでに

ホームページ掲載資料 平成 30 年度 全国学力 学習状況調査結果 ( 上尾市立小 中学校概要 ) 平成 30 年 4 月 17 日実施 上尾市教育委員会

13 Ⅱ-1-(2)-2 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している Ⅱ-2 福祉人材の確保 育成 Ⅱ-2-(1) 福祉人材の確保 育成計画 人事管理の体制が整備されている 14 Ⅱ-2-(1)-1 必要な福祉人材の確保 定着等に関する具体的な計画が確立し 取組が実施されている 15

学習意欲の向上 学習習慣の確立 改訂の趣旨 今回の学習指導要領改訂に当たって 基本的な考え方の一つに学習 意欲の向上 学習習慣の確立が明示された これは 教育基本法第 6 条第 2 項 あるいは学校教育法第 30 条第 2 項の条文にある 自ら進んで学習する意欲の重視にかかわる文言を受けるものである

Microsoft Word - 社会科

Microsoft Word - ★資料集1~5.docx

第 2 学年 理科学習指導案 平成 29 年 1 月 1 7 日 ( 火 ) 場所理科室 1 単元名電流とその利用 イ電流と磁界 ( イ ) 磁界中の電流が受ける力 2 単元について ( 1 ) 生徒観略 ( 2 ) 単元観生徒は 小学校第 3 学年で 磁石の性質 第 4 学年で 電気の働き 第 5

3. ➀ 1 1 ➁ 2 ➀ ➁ /

Microsoft Word - 推進ビジョン(奥付:推進室)

自己紹介をしよう

Transcription:

第 1 部 第 2 章 幼児期の教育 保育と小学校教育の特徴 -5-

1 幼児期の教育 保育と小学校教育の違い 幼児期の教育 保育と小学校の教育では 発達の段階の違いだけでなく 教育課程等の違いもあります まずは相互を理解することが必要です 幼児期の教育 保育と小学校教育との間には このように教育課程や指導方法の相違点がある一方で 5 歳児から小学校低学年までの発達の特性において 共通点もあります 円滑な接続を図るためには 共通点を相違点と調和させることが重要です この時期の発達の特性として共通することは 対象との直接的 具体的な関わりを通して学ぶ ということです 直接的 具体的な対象との関わりとは 人との関わり と ものとの関わり です -6-

2 接続期に育てたい三つの力 平成 22 年 11 月に 幼児期の教育と小学校教育の円滑な接続の在り方について ( 報告 ) ( 幼児期の教育と小学校教育の円滑な接続の在り方に関する調査研究協力者会議 ) が出されました 本報告では 児童期の教育をはじめとした義務教育は 生涯にわたって自ら学ぶ態度を培う上で重要なものであるが それらは児童期から突然始まるのではなく 幼児期との連続性 一貫性のある教育の中で成立するものである とし 幼児期の教育 ( 特に幼児期の終わり ) と児童期の教育の目標を 学びの基礎力の育成 という一つのつながりとして捉えることとする としています また 学びの基礎力の育成を図るため 幼児期 ( 特に幼児期の終わり ) から児童期 ( 低学年 ) にかけての教育においては 三つの自立 ( 学びの自立 生活上の自立 精神的な自立 ) を養うことが必要である としています 学びの基礎力の育成のため 養うべき 三つの自立 は次のように示されています 三つの自立 学びの自立自分にとって興味 関心があり 価値があると感じられる活動を自ら進んで行うとともに 人の話などをよく聞いて それを参考にして自分の考えを深め 自分の思いや考えなどを適切な方法で表現すること 生活上の自立生活上必要な習慣や技能を身に付けて 身近な人々 社会及び自然と適切に関わり 自らよりよい生活を創り出していくこと 精神的な自立自分のよさや可能性に気付き 意欲や自信をもつことによって 現在及び将来における自分自身の在り方に夢や希望をもち 前向きに生活していくこと さらに 幼児期 ( 特に幼児期の終わり ) における学びの基礎力の育成において重要であるのは 幼児が人やものに興味をもち 関わる中で様々なことに気付くとともに それらを深め 広げていく過程の中で 自己発揮と自己抑制を調整する力を育むことであり それらを通じて 個人として また社会の構成員としての自立への基礎を養うことである と示しています そこで 本接続期カリキュラムでは 幼児期の育ちと学びの芽生えの上に小学校以降の教育があるという報告書の趣旨を踏まえ 三つの自立 につながる育成すべき力を 三つの力 として 以下のように設定しました 三つの力 学びの自立 につながる 自ら学ぶ力 精神的な自立 につながる 人と関わる力 生活上の自立 につながる 生活する力この 三つの力 は 小学校以降の教育で育む 確かな学力 豊かな心 健やかな体 につながるものであり 幼児期の教育から小学校教育までをつなぎ 貫く力となります -7-

3 幼児期の教育 保育の特徴 環境を通して行う教育幼児期の教育 保育では 保育者が教育内容に基づいた計画的な環境を作り出し 幼児期の教育 保育における見方 考え方を十分に生かしながら その環境に関わって幼児が主体性を十分に発揮して展開する生活を通して 望ましい方向に向かって幼児の発達を促すようにすること すなわち 環境を通して行う教育 が基本となっています 環境を通して行う教育は 幼児との生活を大切にした教育 保育です 幼児が 教職員と共に生活する中で ものや人などの様々な環境と出会い それらとのふさわしい関わり方を身に付けていくこと すなわち 教職員の支えを得ながら文化を獲得し 自己の可能性を開いていくことを大切にしていきます 教職員との信頼関係に支えられ 自分の存在が受け入れられているという安心感をもつことで 自立的な生活が確立されていきます 興味や関心から発した活動は幼児に充実感や満足感を与えます 友達と十分に関わって展開する生活を通して 幼児は自律性を身に付けます 幼児期の終わりまでに育ってほしい姿平成 29 年公示の 幼保連携型認定こども園教育 保育要領 幼稚園教育要領 及び 保育所保育指針 において 幼児期の終わりまでに育ってほしい姿 が示されました これは 幼稚園教育要領 等の第 2 章に示すねらい及び内容に基づく活動全体を通して資質 能力が育まれている幼児の幼稚園等修了時の具体的な姿であり 幼稚園等の教職員が指導を行う際に考慮するものとして 例えば幼稚園教育要領においては 次のように示されています (1) 健康な心と体幼稚園生活の中で 充実感をもって自分のやりたいことに向かって心と体を十分に働かせ 見通しをもって行動し 自ら健康で安全な生活をつくり出すようになる (2) 自立心身近な環境に主体的に関わり様々な活動を楽しむ中で しなければならないことを自覚し 自分の力で行うために考えたり 工夫したりしながら 諦めずにやり遂げることで達成感を味わい 自信をもって行動するようになる (3) 協同性友達と関わる中で 互いの思いや考えなどを共有し 共通の目的の実現に向けて 考えたり 工夫したり 協力したりし 充実感をもってやり遂げるようになる (4) 道徳性 規範意識の芽生え友達と様々な体験を重ねる中で してよいことや悪いことが分かり 自分の行動を振り返ったり 友達の気持ちに共感したりし 相手の立場に立って行動するようになる また きまりを守る必要性が分かり 自分の気持ちを調整し 友達と折り合いを付けながら きまりをつくったり 守ったりするようになる (5) 社会生活との関わり家族を大切にしようとする気持ちをもつとともに 地域の身近な人と触れ合う中で 人との様々な関わり方に気付き 相手の気持ちを考えて関わり 自分が役に立つ喜びを感じ 地域に親しみをもつようになる また 幼稚園内外の様々な環境に関わる中で 遊びや生活に必要な情報を取り入れ 情報に基づき判断したり 情報を伝え合ったり 活用したりするなど 情報を役立てながら活動するようになるとともに 公共の施設を大切に利用するなどして 社会とのつながりなどを意識するようになる -8-

(6) 思考力の芽生え身近な事象に積極的に関わる中で 物の性質や仕組みなどを感じ取ったり 気付いたりし 考えたり 予想したり 工夫したりするなど 多様な関わりを楽しむようになる また 友達の様々な考えに触れる中で 自分と異なる考えがあることに気付き 自ら判断したり 考え直したりするなど 新しい考えを生み出す喜びを味わいながら 自分の考えをよりよいものにするようになる (7) 自然との関わり 生命尊重自然に触れて感動する体験を通して 自然の変化などを感じ取り 好奇心や探究心をもって考え言葉などで表現しながら 身近な事象への関心が高まるとともに 自然への愛情や畏敬の念をもつようになる また 身近な動植物に心を動かされる中で 生命の不思議さや尊さに気付き 身近な動植物への接し方を考え 命あるものとしていたわり 大切にする気持ちをもって関わるようになる (8) 数量や図形 標識や文字などへの関心 感覚遊びや生活の中で 数量や図形 標識や文字などに親しむ体験を重ねたり 標識や文字の役割に気付いたりし 自らの必要感に基づきこれらを活用し 興味や関心 感覚をもつようになる (9) 言葉による伝え合い先生や友達と心を通わせる中で 絵本や物語などに親しみながら 豊かな言葉や表現を身に付け 経験したことや考えたことなどを言葉で伝えたり 相手の話を注意して聞いたりし 言葉による伝え合いを楽しむようになる (10) 豊かな感性と表現心を動かす出来事などに触れ感性を働かせる中で 様々な素材の特徴や表現の仕方などに気付き 感じたことや考えたことを自分で表現したり 友達同士で表現する過程を楽しんだりし 表現する喜びを味わい 意欲をもつようになる 幼稚園教育要領 ( 平成 29 年 3 月文部科学省 ) この 幼児期の終わりまでに育ってほしい姿 は 各園等で 幼児期にふさわしい遊びや 生活を積み重ねることにより 幼児期の教育に育みたい資質 能力 が育まれている幼児の 具体的な姿であり 特に 5 歳児後半に見られるようになる姿ですが 次のことに留意する必 要があります 幼児期の終わりまでに育ってほしい姿 は 到達すべき目標ではなく 個別に取り出され て指導されるものではないこと 一人一人の発達の特性に応じて 幼児期の終わりまでに育ってほしい姿 が育っていくもの であり 全ての幼児に同じように見られるものではないこと 幼児期の終わりまでに育ってほしい姿 は 5 歳児に突然見られるようになるものではな いため 5 歳児だけでなく 3 歳児 4 歳児の時期から 幼児が発達していく方向を意識し て それぞれの時期にふさわしい指導を積み重ねていくこと 幼児期の終わりまでに育ってほしい姿 は 各園等の教師等が適切に関わることで 特に 園生活の中で見られるようになる幼児の姿であること 幼稚園教育要領解説 ( 平成 30 年 2 月文部科学省 ) -9-

遊びの中で育っている力自立心自然との関わり 生命尊重社会生活との関わり協同性道徳性 規範意識の芽生え健康な心と体 様々な活動に興味をもち 自分から積極的に関わろうとする 身近な物や用具を楽しみながら工夫して使う 相手の話に興味をもって聞いたり 自分の思いや考えを相手に話したりする 文字や数に興味をもち 絵本を読んだり 数を数えたり 書いたりする 生活の中で心を動かしたことを 描いたり作ったりして表現する 幼児期の終わりまでに育ってほしい姿三つの力 よいことと悪いことの区別が分かり 考えて行動する 自分からあいさつしたり ありがとう ごめんなさいを素直に言ったりする 楽しく活動するためのきまりを理解し 守ろうとする 色々な友達と積極的に関わり 話し合ったり折り合いを付けたりして活動する 自分のことは自分で行い できない時は助けを借りて自分でやろうとする 早寝早起き朝ごはん の生活リズムが身に付いている 衣服の着脱 食事 排泄 身の回りの整頓などを自分で行う 運動遊びを工夫して楽しみ 新しいことにも挑戦する 係や当番の仕事 様々な人との関わりの中で 自分が役立つ喜びを感じる 公共の施設などで 皆の物であることが分かって大切に利用する 身近な動植物の世話を楽しみ 命を大切にする 遊びや生活の中で育っている力具体的な姿の例思考力の芽生え言葉による伝え合い数量 図形 標識や文字などへの関心 感覚豊かな感性と表現 -10-

4 小学校教育の特徴 小学校の一日の流れ ( 例 ) 8:00 登校 8:30~ 8:40 朝の会 8:40~ 9:25 1 時間目 9:35~ 10:20 2 時間目 10:20~ 10:40 業間休み 10:40~ 11:25 3 時間目 11:35~ 12:20 4 時間目 12:20~ 13:00 給食 13:00~ 13:30 昼休み 13:30~ 13:45 掃除 13:55~ 14:40 5 時間目 14:40~ 15:00 帰りの会 15:00~ 下校 登校してすぐに外で遊ぶ児童もいます この時間には あいさつ 朝の歌 健康観察 今日のめあて確認等をします 児童が自分たちで進めます 午前中は 4 時間 午後は 1~2 時間の授業に取り組みます 業間休みや昼休みには 戸外で友達と遊びます 上級生と一緒に遊ぶこともあります 遊びながら集団のルールを学んだり 他者への思いやりの心が養われたりします 給食当番を決めて児童が配膳します 学級活動の時間には栄養について学ぶ機会もあります 自分たちの教室等 いつも使用する場所をほうきやぞうきん等の道具を使ってきれいにします 任された仕事に時間いっぱい取り組みます この時間には 今日の振り返り 明日の予定の確認 係からの連絡 帰りの歌等をします 教師からの今日一日の評価を聞き 明日の学校生活への意欲をもてるようにします 同じ方面の友達と下校をします 保護者の方や地域の方に見守っていただき 安全に下校ができます 学校の集会等では 全校児童で交通ルールや不審者対応について学ぶ機会もあります -11-

小学校での教育活動の流れ単元計画を考える 単元の目標 学習の時数 使用する教材や題材 付けたい力と評価規準 単元 : 学習活動の一連の まとまり のこと 一単位時間 (45 分授業 ) を考える 本時の目標 学習の課題 学習過程の組み立て 本時の評価規準 一単位時間の流れ 導入 本時何をどのように学ぶのかはっきりさせる時間 学習指導要領に応じて付けたい力を具体的に描く 展開 自分で考えたり表現したりする時間 個の実態に応じて 個別に指導 援助する 終末 みんなで考えたり表現したりする時間 学習したことをまとめたり振り返ったりする時間 ねらいの達成に向けて 組織的に話し合わせたり 活動を展開させたりする ねらいが達成できたかどうか個別に評価する 全員が できた 分かった と感じる授業づくりを目指します 教科書を使用し 教室や特別教室 運動場などで学習します 各教科 特別の教科である道徳 外国語活動 総合的な学習の時間及び特別活動の年間指導計画に基づき ねらいの達成に向けた授業を展開します 評価規準を明らかにした評価を行います -12-