第1章 計画の目指すもの

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第2節 茨木市の現況

第2節 茨木市の現況

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整整合合 本計画は 第三次宜野湾市総合計画 ( 案 ) に則するものとして位置づけられます また 第 2 次宜野湾市男女共同参画計画 や他の関連する計画との整合性をもったものとして定めています 一方 本計画には母子の健康確保を盛り込むことが定められていることから 宜野湾市母子保健計画 は本計画に包含

地域子育て支援拠点事業について

第 1 部 施策編 4

1 子ども 子育て支援新制度がはじまります 子ども 子育て支援法 等の成立により すべての子どもと子育て家庭を総合的に支援していく 子ども 子育て支援新制度 が平成 27 年 4 月から全国的にスタートします 子ども 子育て支援新制度 では 幼稚園や保育所 地域の子育て支援の充実を図るとともに 認定

子ども・子育て会議(第7回) 次世代育成支援対策推進法の延長等の検討について

13 Ⅱ-1-(2)-2 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している Ⅱ-2 福祉人材の確保 育成 Ⅱ-2-(1) 福祉人材の確保 育成計画 人事管理の体制が整備されている 14 Ⅱ-2-(1)-1 必要な福祉人材の確保 定着等に関する具体的な計画が確立し 取組が実施されている 15

流山市子ども・子育て会議

福利厚生基本計画

希望をかなえるまちづくり 結婚 出産 子育て 結婚 出産 子育ての希望実現 1 結婚や出産に対する支援の充実 一人ひとりが結婚や出産について諦めることなく取 り組める環境をつくることによって まちに家族を持つこ との幸せをもたらします 結婚を希望する人の未婚率の改善 結婚や妊娠 出産に関するライフプ

子宮頸がん予防措置の実施の推進に関する法律案要綱

1 発達とそのメカニズム 7/21 幼児教育 保育に関する理解を深め 適切 (1) 幼児教育 保育の意義 2 幼児教育 保育の役割と機能及び現状と課題 8/21 12/15 2/13 3 幼児教育 保育と児童福祉の関係性 12/19 な環境を構成し 個々 1 幼児期にふさわしい生活 7/21 12/

広島市障害者計画 2013 ー 2017 平成 25 年 3 月 広島市

愛知県アルコール健康障害対策推進計画 の概要 Ⅰ はじめに 1 計画策定の趣旨酒類は私たちの生活に豊かさと潤いを与える一方で 多量の飲酒 未成年者や妊婦の飲酒等の不適切な飲酒は アルコール健康障害の原因となる アルコール健康障害は 本人の健康問題だけでなく 家族への深刻な影響や飲酒運転 自殺等の重大

社会的責任に関する円卓会議の役割と協働プロジェクト 1. 役割 本円卓会議の役割は 安全 安心で持続可能な経済社会を実現するために 多様な担い手が様々な課題を 協働の力 で解決するための協働戦略を策定し その実現に向けて行動することにあります この役割を果たすために 現在 以下の担い手の代表等が参加

Microsoft Word - 参考資料5-4.doc

 

1 広島市障害者計画の策定について

乳児期からの幼児教育について 大阪総合保育大学 大方美香

私立幼稚園の新制度への円滑移行について

子ども・子育て支援新制度の解説資料 1.制度概要 その1

Microsoft Word - ■【滑川町総合振興計画】計画書_修正_ _NXPowe

目 次 1 実施方針策定の趣旨 P. 1 2 振興計画に基づく取組みと求められる対応 P. 1 (1)Ⅰ 期期間中の取組み (2) 新制度のもと求められる対応 3 当面の実施方針 P. 2 (1) 基本となる考え方 (2) 当面の実施方針 4 新制度のもとでの市立幼稚園 P. 3 (1) 市立幼稚園

01表紙福島

平成28年度企業主導型保育事業の助成決定について(第1回)

京都府がん対策推進条例をここに公布する 平成 23 年 3 月 18 日 京都府知事山田啓二 京都府条例第 7 号 京都府がん対策推進条例 目次 第 1 章 総則 ( 第 1 条 - 第 6 条 ) 第 2 章 がん対策に関する施策 ( 第 7 条 - 第 15 条 ) 第 3 章 がん対策の推進

児童虐待防止対策体制総合強化プラン 平成 30 年 12 月 18 日 児童虐待防止対策に関する関係府省庁連絡会議決定 1. 目的 2016 年 5 月に全会一致で成立した児童福祉法等の一部を改正する法律 ( 平成 28 年法律第 63 号 以下 平成 28 年改正法 という ) においては 子ども

第 1 章計画策定にあたって 1 計画策定の趣旨 用語説明 6 終戦直後のベビーブーム期には 4.32 だったわが国の合計特殊出生率は, その後低下を続け, 15 年には 1.29 と戦後最低の水準を更新しました こうした出生率の低下は, 先進国共通 の現象ですが, 先進諸国の中でも, アメリカ,

3 社会全体が支える力 を大きくするために Ⅲ-3-1 結婚 妊娠 出産 育児の切れ目のない支援の推進 施策体系 123

6 児童福祉法の改正 24 年 4 月には 障害者自立支援法と児童福祉法に分かれていた障がい児 の支援体制を一元化する改正がなされ 市町村が支給決定する障がい児通所支援 と都道府県が支給決定する障がい児入所支援が創設されました 7 障害者虐待防止法の施行 24 年 10 月には 障害者虐待の防止 養

平成23年9月29日WG後修正

第 4 章基本的な考え方 1. 計画推進の基本的な視点 本計画は 以下に示す基本的な視点をふまえて 各施策 事業の展開を図っていきます 協働とパートナーシップにもとづく活動の充実地域福祉の主役は その地域に暮らす市民です 地域福祉の取り組みを進めていくためには 市民 事業者 行政がお互いに理解し 尊

基本方針 2 児童 生徒一人ひとりに応じた学習を大切にし 確かな学力の育成を図ります 基本方針 2 児童 生徒一人ひとりに応じた学習を大切にし 確かな学力の育成を図ります (1) 基礎的 基本的な学力の定着児童 生徒一人ひとりが生きる力の基盤として 基礎的 基本的な知識や技能を習得できるよう それぞ

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資料4-4 新しい時代の教育や地方創生の実現に向けた学校と地域の連携・協働の在り方と今後の推進方策について 審議のまとめ(参考資料)

問 2 次の文中のの部分を選択肢の中の適切な語句で埋め 完全な文章とせよ なお 本問は平成 28 年厚生労働白書を参照している A とは 地域の事情に応じて高齢者が 可能な限り 住み慣れた地域で B に応じ自立した日常生活を営むことができるよう 医療 介護 介護予防 C 及び自立した日常生活の支援が

を生かした環境を構成することも求められます 3 安全で保健的な環境次に 施設などの環境整備を通して 保育所の保健的環境や安全の確保などに努めること としています 子どもの健康と安全を守ることは保育所の基本的かつ重大な責任です 全職員が常に心を配り 確認を怠らず 子どもが安心 安全に過ごせる保育の環境

第3節 重点的な取り組み

介護保険制度改正の全体図 2 総合事業のあり方の検討における基本的な考え方本市における総合事業のあり方を検討するに当たりましては 現在 予防給付として介護保険サービスを受けている対象者の状況や 本市におけるボランティア NPO 等の社会資源の状況などを踏まえるとともに 以下の事項に留意しながら検討を

このような現状を踏まえると これからの介護予防は 機能回復訓練などの高齢者本人へのアプローチだけではなく 生活環境の調整や 地域の中に生きがい 役割を持って生活できるような居場所と出番づくりなど 高齢者本人を取り巻く環境へのアプローチも含めた バランスのとれたアプローチが重要である このような効果的

 

三鷹市健康福祉総合計画2022

資料1 第1回会議のポイントについて

第3部 次世代育成支援対策(前期行動計画) 第3章 子どもの心身の健やかな成長に資する教育環境の整備

 

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23 歳までの育児のための短時間勤務制度の制度普及率について 2012 年度実績の 58.4% に対し 2013 年度は 57.7% と普及率は 0.7 ポイント低下し 目標の 65% を達成することができなかった 事業所規模別では 30 人以上規模では8 割を超える措置率となっているものの 5~2

Ⅲ 目指すべき姿 特別支援教育推進の基本方針を受けて 小中学校 高等学校 特別支援学校などそれぞれの場面で 具体的な取組において目指すべき姿のイメージを示します 1 小中学校普通学級 1 小中学校普通学級の目指すべき姿 支援体制 多様な学びの場 特別支援教室の有効活用 1チームによる支援校内委員会を

3章第 1 節人口をめぐる現状と課題 主に対し 次世代育成支援のための行動計画の策定を義務づけ 年間の集中的 計画的な取組を推進している 年には 次世代育成支援対策推進法を一部改正した 改正内容としては主に 1 法律の有効期限を 年 3 月まで 年間延長 2 新たな認定 ( 特例認定 ) 制度の創設

計画の今後の方向性

Ⅳ 第 2 次計画の目標 : 第 2 次計画で新たに設定した項目 府民主体 府民と行政と団体 行政と団体 1 内 容 新 規 栄養バランス等に配慮した食生活を送っている府民の割合 2 朝食欠食率 第 1 次計画策定時 35 現状値 第 2 次計画目標 第 2 次基本計画目標 24% 15% 60%

ダイバーシティ 年に向けた政策展開のポイント テレワークが当たり前になる社会 の実現に向け 多様な主体と連携した普及啓発や導入支援への取組を強化 地域での就労支援やマッチング強化により 女性や高齢者の就業を推進 働き方改革と併せて時差 Biz の定着に向けた取組を推進 強化した政策

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市町村における住民自治や住民参加、協働に関する取組状況調査

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かわごえ子育てプラン(川越市次世代育成支援対策行動計画)

改正要綱 第 1 国家公務員の育児休業等に関する法律に関する事項 育児休業等に係る職員が養育する子の範囲の拡大 1 職員が民法の規定による特別養子縁組の成立に係る監護を現に行う者 児童福祉法の規定により里親である職員に委託されている児童であって当該職員が養子縁組によって養親となることを希望しているも

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計画の概要 太田市地域福祉計画 太田市地域福祉活動計画とは? 太田市地域福祉計画市民のみなさまからご意見を伺いながら作成した 今後の地域福祉の方向性 将来像を示した太田市の計画です 太田市地域福祉活動計画社会福祉法人太田市社会福祉協議会が策定した 地域の社会福祉を推進するための具体的な活動計画です

●子宮頸がん予防措置の実施の推進に関する法律案

敦賀市次世代育成支援対策行動計画(特定事業主行動計画)改訂にあたって

4 子育てしやすいようにするための制度の導入 仕事内容への配慮子育て中の社員のため以下のような配慮がありますか? 短時間勤務ができる フレックスタイムによる勤務ができる 勤務時間等 始業 終業時刻の繰上げ 繰下げによる勤務ができる 残業などの所定外労働を制限することができる 育児サービスを受けるため

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7 8 O KAYAKU spirit I O K T C % E C O M T O K T T M T I O O T C C C O I T O O M O O

農山漁村での宿泊体験活動の教育効果について

第 1 章 札幌市幼児教育振興計画の策定 本計画は 主に幼稚園教育を対象とする 本計画は 平成 18 年度から概ね10 年間を計画期間とし 今後はこの方向性に基づいて早期に具体的な施策 ( アクションプログラム ) を打ち出していく 本計画は 社会情勢の変化などに対応し 必要に応じて計画の見直しを行

- 目次 - Ⅰ 計画策定の趣旨等 1 Ⅱ 船橋市における自殺の現状 2 Ⅲ 船橋市の自殺対策における取組 3 Ⅳ 船橋市の自殺対策推進体制 6

歯科中間報告(案)概要

2017 年度は 過去 年間の経験を踏まえ 以下の 5 項目を事業計画とした 認定子ども園豊中愛光幼稚園 2017 年度事業計画 (1) 豊中愛光幼稚園の質の向上に努める 1. 教育 保育の質の向上を目指して 幼児クラスの保育のあり方を再確認する 特に 幼児クラスの預かり保育時間 (1:00~18:

PowerPoint プレゼンテーション

西東京市介護保険事業計画(第3期)中間のまとめ構成案

造を重ねながら取り組んでいる 人は, このような自分の役割を果たして活動すること, つまり 働くこと を通して, 人や社会にかかわることになり, そのかかわり方の違いが 自分らしい生き方 となっていくものである このように, 人が, 生涯の中で様々な役割を果たす過程で, 自らの役割の価値や自分と役割

平成19年6月

八街市教育振興基本計画(平成26年~平成35年)

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2. 子ども人口の推計について 人口推計は 今後の教育 保育の量の見込みを算出する上で非常に重要であるため 改めて平成 30 年度及び平成 31 年度の人口推計値を算出しました 当初計画値と実績値を比較すると 人口は計画値ほど減少しないことから平成 30 年度以降も人口減少は緩やかなものとして見直し

2-2 大阪市における主な課題 大阪市の合計特殊出生率は全国と比較してさらに低くなっています 平成 18 年以降 出生数や合計特殊出生率が持ち直し 横ばい傾向にあるものの 総人口に占める年少人口 生産年齢人口の割合は減少しており 少子化への対応が喫緊の課題となっています 加えて 子育て層と考えられる

も少なくありません こうした状況に鑑み 舞鶴市は 言語としての手話の普及及び障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進を図ることにより 全ての市民が障害の有無によって分け隔てられることなく 自分らしく安心して暮らすことができる地域社会を実現するため この条例を制定するものです 2. 条例の

別添 事業者向け放課後等デイサービス自己評価表 及び 保護者等向け放課後等デイサービス評価表 について 放課後等デイサービスガイドライン ( 以下 ガイドライン ) は 放課後等デイサービス事業所における自己評価に活用されることを想定して作成されたものですが 各事業所で簡易に自己評価を行うことができ

子ども同士で遊び 様々な体験をすることは 子どもたちが成長していくうえで非常に重要なことです 子どもが豊かな感性を磨くことのできる地域環境を周囲の大人が皆でつくっていけるよう 地域の子どもたちの顔がわかる関係づくりを進め 地域コミュニティを醸成させていく必要があります 利用ニーズ把握のための調査 (

「子ども・若者の生活困窮支援のあり方に関する研究」報告書

Taro-平成27年度の取り組み(資料:1)

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重点番号 1: 保育所等の児童福祉施設に係る 従うべき基準 等の見直し ( 神奈川県 ) 児童発達支援センターにおける食事提供方法について ( 施設内調理以外による提供方法への緩和 ) 1 提案の概要児童福祉施設のうち 保育所における児童への食事の提供については 一定の条件が整えば 満 3 歳以上の

平成 29 年度児童発達支援センターバンビ事業計画 1. 基本方針 児童発達支援センターバンビは相模原市南区の発達障害児の療育を遂行するため 以下の基本理 念 療育基本指針に則りサービスを提供する 1) 基本理念 1 児童一人ひとりに対する丁寧な 根拠 ある療育相模原療育園の医療スタッフとの連携によ

1 計画策定の背景と趣旨 昭和 56(1981) 年の 完全参加 をテーマとする 国際障害者年 を契機に, 障害者福祉は大きく変化しました 国では, 平成 5(1993) 年 3 月に 障害者対策に関する新長期計画 が策定され, 同年 12 月には 障害者基本法 * が施行されました 以後も, 平成

年中児スクリーニングの事後支援 年中児スクリーニングの事後支援として 22 市町村が園巡回を実施しているが SST は 5 市町村の実施 ペアレントトレーニングは 7 市町村の実施に止まっており 事後支援を実施する市町村の拡大が課題 園巡回 : 専門職が保育所 幼稚園を巡回し 保育士等に指導 助言

介護における尊厳の保持 自立支援 9 時間 介護職が 利用者の尊厳のある暮らしを支える専門職であることを自覚し 自立支援 介 護予防という介護 福祉サービスを提供するにあたっての基本的視点及びやってはいけ ない行動例を理解している 1 人権と尊厳を支える介護 人権と尊厳の保持 ICF QOL ノーマ

ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)  レベル診断チェックシート

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1 国の動向 平成 17 年 1 月に中央教育審議会答申 子どもを取り巻く環境の変化を踏まえた今後の幼児教育の在り方について が出されました この答申では 幼稚園 保育所 ( 園 ) の別なく 子どもの健やかな成長のための今後の幼児教育の在り方についての考え方がまとめられています この答申を踏まえ

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第 1 章アンケートの概要 1-1 調査の目的 1-2 対象者 1-3 調査方法 1-4 実施期間 1-5 調査結果サンプル数 第 2 章アンケート調査結果 2-1 回答者自身について (1) 問 2: 年齢 (2) 問 5: 同居している家族 2-2 結婚について (1) 問

Transcription:

第 1 章 計画の目指すもの 1 計画の基本的な考え方 2 計画の 理念 目標 視点 (1) 3 つの 理念 (2) 5つの 目標 (3) 施策推進の5つの 視点 16

1 計画の基本的な考え方 〇核家族化の進行や地域のつながりの希薄化等により 地域や家庭の子育て力が低下しています 身近に相談できる相手がいないなど いわゆる 育児の孤立化 が進んでいることや 子育ての知恵や経験が伝承されにくくなった結果 子育てに不安を抱える家庭が増加していることも指摘されています また 保育所に子供を預けたいと希望しながら入れず 待機児童となっていることや 仕事と子育てを両立できる環境の整備が必ずしも十分でないこと等から 子供がほしいという希望が叶えにくくなっています 〇こうした状況の中 我が国では少子化が急速に進行しています 現在までのところ 東京都においては 転入人口超過により年少人口も増加していますが 合計特殊出生率は 平成 17 年に 1.00 と過去最低を記録し 本計画策定直前の平成 26 年は 1.15 平成 28 年には 1.24 となり 徐々に増加傾向にあるものの 一貫して全国最低の水準です また 未婚率や母親の初産年齢は全国で最も高くなっています 結婚や出産は 一人ひとりの価値観や人生観に深く関わるものであり 社会が強制すべきことではありませんが いかなる時代 どのような社会状況にあっても すべての子供たちの育ちを支え未来を守っていくこと 安心して子供を産み育てることができる環境を整備していくことは 行政はもとより 都民 企業など社会全体が連携して取り組んでいくべき課題です とりわけ 乳幼児期は 生涯にわたる人格形成の基礎を培う上で 重要な時期であり 基礎自治体である区市町村において 妊娠期からの切れ目ない支援や 質の高い教育 保育を提供できる体制を整備することが必要です 都は 広域自治体として 子供 子育て支援を担う人材の確保や特に支援を必要とする子供や家庭への支援を進めていく必要があります また 家庭 学校 地域 職域その他の社会のあらゆる分野におけるすべての構成員が 子供 子育て支援の重要性に対する関心や理解を深め 各々が協働しながら それぞれの役割を果たせるよう働きかけていくことも重要です こうした考え方に立って 都は子ども 子育て支援法に基づく基本指針及び次世代法に基づく行動計画策定指針を踏まえて 平成 27 年 3 月に本計画を策定し 子供 子育て支援の多様な取組を推進してきました 平成 30 年 3 月の中間見直しでは これまでの施策の成果や社会状況の変化を踏まえ 子どもの貧困対策の推進に関する法律 に基づく計画としての位置付けを明確化したほか 当初計画策定以降に創設した事業の追加や 保育サービスの整備目標などを更新 17

しています 子ども 子育て支援法に基づく基本指針の概要 子ども 子育て支援法第 60 条第 1 項の規定に基づき 教育 保育及び地域子ども 子育て支援事業の提供体制の整備並びに子ども 子育て支援給付及び地域子ども 子育て支援事業の円滑な実施を確保するための基本的な指針 が平成 26 年 7 月に告示されました 基本指針においては 以下の事項が規定されており 各市町村 都道府県は これに即して市町村子ども 子育て支援事業計画 都道府県子ども 子育て支援事業支援計画を定めることとされています また 計画期間の中間年を目安として 必要な場合には 計画の見直しを行うこととされています 子供 子育て支援の意義に関する事項 教育 保育を提供する体制の確保及び地域子ども 子育て支援事業の実施に関する基本的事項 子ども 子育て支援事業計画の作成に関する事項 児童福祉法その他の関係法律による専門的な知識及び技術を必要とする児童の福祉増進のための施策との連携に関する事項 労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために必要な雇用環境の整備に関する施策との連携に関する事項 その他子供 子育て支援のための施策の総合的な推進のために必要な事項 次世代法に基づく行動計画策定指針の概要 次世代法第 7 条第 1 項の規定に基づき 地方公共団体及び事業主が策定する行動計画の指針として平成 26 年 11 月に告示されました 指針においては 1 次世代育成支援対策の実施に関する基本的な事項 2 次世代育成支援対策の内容に関する事項 3その他次世代育成支援対策の実施に関する重要事項が定められています 子供の貧困対策に関する大綱の概要 子どもの貧困対策法第 8 条に基づき 平成 26 年 8 月に閣議決定されました 貧困の世代間連鎖の解消と積極的な人材育成を目指す 第一に子供に視点を置いて 切れ目のない施策の実施等に配慮する 子供の貧困の実態を踏まえて対策を推進するなど 10の基本的な方針が定められ 当面の重点施策として 1 教育の支援 2 生活の支援 3 保護者に対する就労の支援 4 経済的支援の4つの分野で具体的な施策が盛り込まれています 18

2 計画の 理念 目標 視点 本計画は 子ども 子育て支援法に基づく都道府県子ども 子育て支援事業支援計画と 次世代法に基づく都道府県行動計画 子どもの貧困対策法に基づく都道府県子どもの貧困対策計画とを併せて策定する計画です 従来 保育サービスや各種の子供 子育て支援事業の推進について次世代法が果たしてきた役割や機能は 子ども 子育て支援法に引き継がれましたが 職場や地域における取組を促進する次世代法と2つの法律が相まって より手厚い対策が推進されています そこで 本計画は 次世代育成支援東京都行動計画 ( 後期 ) における理念 目標 施策推進の視点を基本的に引き継いだ上で これまでの取組をより発展させていく観点から見直しを行い 3 つの理念 5つの目標 5つの視点 を設定します 3 つの理念 < 基本理念 > 1 すべての子供たちが個性や創造力を伸ばし 社会の一員として自立する環境を整備 充実する 2 安心して子供を産み育て 子育ての喜びを実感できる社会を実現する 3 社会全体で 子供と子育て家庭を支援する 5 つの目標 < 基本理念の実現に向け取り組む方向性を明らかにする目標 > 1 地域における妊娠 出産 子育ての切れ目のない支援の仕組みづくり 2 乳幼児期における教育 保育の充実 3 子供の成長段階に応じた支援の充実 4 特に支援を必要とする子供や家庭への支援の充実 5 次代を担う子供たちを健やかに育む基盤の整備 5 つの視点 < 計画の推進に当たって留意すべき視点 > 1 すべての子育て家庭 への支援の視点 2 家庭を 一体的に 捉える視点 3 子供と子育て家庭の立場からの視点 4 大都市東京のニーズと特性を踏まえた視点 5 広域的な自治体の役割からの視点 19

(1) 3 つの 理念 本計画では 子供自身 に焦点を当てた理念 ( 理念 1) 子育てへの支援 に焦点を当てた理念 ( 理念 2) 社会全体で支える ことの重要性に焦点を当てた理念( 理念 3) の 3 つの理念 を掲げています 理念 1 すべての子供たちが個性や創造力を伸ばし 社会の一員として自立する環境を整備 充実する 子供は皆 それぞれ異なる個性や能力を持ち 将来への様々な可能性を秘めています そして 成長段階に応じた教育 保育 豊かな遊びや自然体験 多種多様な経験や人との関わりを積み重ねることを通じ 多くの知識や技能を身に付けるとともに 人間性や社会性を育み 自立した大人へと成長していきます 子供の最善の利益が実現される社会を目指し すべての子供たちが 生まれ育った環境に左右されず 個性や創造力を十分に伸ばすとともに 社会の一員として自立できるよう 家庭 学校 地域で必要な環境を整備していくことが必要です 理念 2 安心して子供を産み育て 子育ての喜びを実感できる社会を実現する 子供にとって家庭は 安らぎの場であり 人間形成の行われる最初の場でもあります かけがえのない家庭の役割が十分に果たされるよう 環境を整備していくことは 社会として取り組むべき課題です 子供 子育て支援施策の充実やライフ ワーク バランスの推進などにより 出産 子育てを希望するすべての人たちが 安心して子供を産み育て 子育ての喜びを実感できる社会の実現に向けて取り組んでいく必要があります 理念 3 社会全体で子供と子育て家庭を支援する 子ども 子育て支援法や次世代法の基本理念にも規定されるように 子育ての第一義的な責任は父母等の保護者にあります 同時に 次代を担う人材の育成は 社会全体の責務であり 様々な環境の下で育つ子供たちが等しく育まれるようにしていかなければなりません 次代を担う子供を育成することの意義を社会全体で共有するとともに 都民 企業 NPO 団体など様々な地域の団体や行政 ( 国 都 区市町村 ) が それぞれの責任と役割を踏まえて 子供の育ちと父母等の保護者自身の成長を支援していくことが必要です 20

(2) 5 つの 目標 本計画の 3 つの理念 を実現するため 5 つの目標を設定しています 目標 1 地域における妊娠 出産 子育ての切れ目ない支援の仕組みづくり 安心して子供を産み育てるためには 妊娠期間中や出産後に 必要な医療や子供 子育て支援サービスを適切に利用できる体制を整備することが必要です また 子育て家庭の孤立化を防ぐためには 継続的な状況把握や支援を行うとともに 支援に関する情報を十分に提供し 活用や参加を呼びかけることも重要です 子供や家庭がニーズに合ったサービスを利用できるよう 地域における子供 子育て支援の実施主体である区市町村を支援し 妊娠 出産 子育てを切れ目なく支援する体制を整備していきます 目標 2 乳幼児期における教育 保育の充実 乳幼児期は 心情 意欲 態度 基本的な生活習慣など 生涯にわたる人格形成の基礎が培われる極めて重要な時期です 子供が自己を十分に発揮し 乳幼児期にふさわしい経験が積み重ねられるよう 発達過程に応じた教育 保育が必要です 認定こども園 幼稚園や保育所等は 少子化や核家族化などを背景に 子供同士が集団の中で育ち合う場として重要性が増すと同時に 地域の子供 子育て支援の中核的な役割を担うことも期待されています 乳幼児期の重要性や特性を踏まえた質の高い教育 保育が確保され 地域の子育て家庭の期待に応えられるよう必要な支援を行います 目標 3 子供の成長段階に応じた支援の充実 次代を担う子供たちが 社会の一員として自立するためには 自ら学び考え行動する力や 社会の発展に主体的に貢献する力を身に付けていくことが必要です 社会の一員としての自覚を持ち 自立に向けた準備を整えられるよう 勤労観や職業観の育成等が成長段階に応じて促される仕組みが必要です また 共働き家庭の増加や 都市化 核家族化によって 放課後等に地域において子供が安全に過ごすことのできる場の確保も求められています 子供の成長段階に応じた質の高い教育が提供されるよう 子供を取り巻く問題に家庭 学校 地域が連携して取り組んでいきます また 次代を担う若者の就業促進や自立支援 小学生の放課後等の居場所づくりを進めていきます 21

目標 4 特に支援を必要とする子供や家庭への支援の充実 貧困の状況にある子供が健やかに成長できる環境の整備が求められています また 虐待など 様々な理由により親と暮らすことのできない子供が増えており 地域社会が一体となって 虐待の未然防止 早期発見や自立支援などの取組を進める必要があります さらに 発達障害を含む障害のある子供のニーズに応じた適切な支援が求められています 様々な環境の下で育つ子供が 地域社会の中で育まれ 必要な支援を受けられるよう 子供や保護者の置かれた状況や心身の状態を的確に把握した上で 特に支援を要する子供や家庭に対する支援を総合的に進めていきます 目標 5 次代を担う子供たちを健やかに育む基盤の整備 < 家庭生活と仕事との両立の実現 > ライフスタイルに応じた多様な働き方を支援し 男女共に子育て等の家庭生活に十分なゆとりを持てる社会の実現が求められています ライフ ワーク バランスの推進に取り組む企業等への支援を進めるとともに 男女を問わず 育児休業や看護休暇などを取得しやすい職場環境づくりや 働き方の見直しに向けた普及啓発及び気運醸成を 事業者団体 NPO 団体 企業等と共に進めていきます また 家庭と両立しながら再び仕事に就きたいと考えている方を主な対象に きめ細かい就職支援や職業訓練による能力開発を行い 再就職を支援していきます < 安心 安全を確保しながら 子育てしやすい環境を整備 > 子育て家庭が安心して暮らせる住環境の確保や 交通事故や不慮の事故から子供を守るための情報提供や普及啓発が求められています また 子供が犯罪の被害者になる事件が後を絶たない一方 子供や若者による犯罪も発生しており これらを防ぐための取組も重要となっています 親子が一緒に安心して外出できる環境の整備や 安心して生活できる良質な居住環境の整備を進めていきます また 交通事故や 家庭内での不慮の事故を防ぐため 子供の事故予防に必要な情報の提供等を行っていきます さらに 子供の健やかな育ちのために 学校や地域の関係諸機関との連携を強化し 子供を犯罪や有害な環境から守る仕組みづくりに取り組んでいきます 22

(3) 施策推進の 5 つの 視点 本計画の推進に当たって 特に留意すべき視点として 以下の 5つの視点 を掲げています 視点 1 すべての子育て家庭 への支援の視点 家庭の状況にかかわらず 子育ての負担や不安 孤立感が高まっています 幼稚園や保育所等を利用する子供の家庭だけでなく すべての子育て家庭 を対象とした支援の重要性が増しています すべての子供の健やかな育ちを担保するため 現行の制度や事業内容にとらわれず 柔軟な発想で多様な子供 子育て支援のニーズに対応していく必要があります すべての子育て家庭が地域において安心して子育てができるよう 子供 子育て支援を一層充実させるとともに 必要な家庭がサービスを適切に利用できるように積極的に情報提供していきます 視点 2 家庭を 一体的 に捉える視点 児童虐待や非行など 子供をめぐる問題の背景には 子供の育った家庭が様々な問題を抱えている場合も多く 子供だけでなく家庭に対する支援も必要です 子供や親への個別の対応だけではなく 家庭が抱えている問題を 包括的 一体的に捉え 福祉 保健 医療 教育 警察等の各機関が協力し 切れ目のない支援を総合的に展開していきます 視点 3 子供と子育て家庭の立場からの視点 子供は 生まれ育つ環境を自ら選ぶことはできません だからこそ 与えられた環境の違いによって 将来が決定されることなく すべての子供が希望する進路を選択できる環境を整えていくことが求められています 親のニーズや働き方も多様化しており 子供と子育て家庭が 適切かつ質の高い子供 子育て支援を利用できる体制を整備することが重要です 行政だけでなく 都民 企業 NPO 団体など様々な地域の団体や都民が それぞれの役割の基に 子供と子育て家庭の立場に立った視点から 子供の育ちと親自身の成長を積極的に支援していきます 23

視点 4 大都市東京のニーズと特性を踏まえた視点 東京では 核家族化の進展 多様な就業 勤務形態等を背景に 子供 子育て支援に関する多様なニーズが生じています 一方 東京には サービス産業を中心とする多くの企業や 特色のある活動を活発に展開している NPO 団体等の民間団体が集まっていることに加え 情報や人材の集積 利便性の高さなど 大都市特有の利点があります 子供 子育て支援のニーズを的確に把握するとともに 多くの民間サービスや N PO 団体をはじめとする東京の豊富な社会資源を組み合わせ それらを最大限に生かして子供 子育て支援に取り組んでいきます 視点 5 広域的な自治体の役割からの視点 子供 子育て支援の実施主体は区市町村ですが 都は広域的な自治体として 都内のすべての区市町村において 地域ニーズに応じた子供 子育て支援が適切に提供されるよう 財政面や技術面からの支援を行う役割を担っていく必要があります また 区市町村の区域を越える広域的 専門的な課題にも対応していく必要があります 子供 子育て支援を担う人材の確保と育成は 一義的には事業者の責任ですが 都として必要な支援の質と量を確保するため 事業者の取組を支援していきます 区市町村による子供 子育て支援が体系的かつ円滑に実施されるよう支援するとともに 特に支援が必要とする子供や家庭への支援の充実に取り組んでいきます 子供 子育て支援に関する機運の醸成など 広域的な取組を進めていきます 24