第 4 号 平成 18 年 1 月 たかだ内科クリニック だいぶ 遅くなってしまいましたが 新しい年が始まりましたね 皆様 年末年始 どのようにお過ごしになったのでしょうか? ちょっと食べ過ぎちゃったな~ 寒いから家にこもってばかりいたよ~ という方はちょっと体重計に乗ってみましょう 最近よく耳にする言葉となっている メタボリック シンドローム とは何でしょう? 内臓脂肪の蓄積に伴うインスリン抵抗性を基盤として複数の動脈硬化危険因子を重複する症候群であり 現在 心血管疾患の原因として大きく注目されています 簡単にいうと内臓脂肪が増えている方では 中性脂肪や血糖値 血圧が軽度の異常でも心筋梗塞の危険性が高くなるということです すでに糖尿病と診断されている方も もちろん治療が必要です 以前は糖尿病だったら血糖のコントロールだけに重点が置かれていましたが 最近の医療では 内臓脂肪が増えている方では 明らかな高血圧 高脂血症 糖尿病の診断に至っていない状態 例えば境界域高血圧 境界型糖尿病 ( 糖尿病予備軍 ) の段階でも メタボリック シンドロームに該当する場合は積極的に治療を開始することが強調されています 1
あるDrが話していましたが 1 人の人間の血管を集めると体重の約 3%( 50kgの人の場合は約 1.5kgになります ) にもなるといわれています このDrは 一本一本は細くて小さな血管であるけど集めれば思ったより多くの割合をしめている血管を心臓や肝臓のように一つの臓器として考えていいのではないか? 糖尿病は血管に影響が出てくる病気である そのため 全身を巡っている血管をきちんとみていく必要があると話していました 私は妙に納得してしまいました どうぞ メタボリック シンドロームという言葉を意識して今年も良い年が送れますように一緒に頑張っていきましょう 下記にメタボリック シンドロームの診断基準を載せました 参考にしてください 内臓脂肪ウエスト周囲径男性 :85cm 以上女性 :90cm 以上上記に加え以下のうち 2 項目以上中性脂肪 150mg /dl 以上または HDL-コレステロール 40mg /dl 以下収縮期血圧 130mg /dl 以上または拡張期血圧 85mg /dl 以上空腹時血糖 110mg /dl 以上 Q: 私はバセドウ病で 薬を内服していますが 妊娠しても大丈夫ですか? A: 妊娠中でも適切な量の薬を服用していれば健康な人と変わりなく出産することができます 妊娠初期は普通の女性でも流産等が起こることがありますので油断はできませんが ホルモンの状態が落ち着いていれば心配はありません しかし 治療をきちんと受けていないで妊娠すると妊娠中毒症やクリーゼといって意識障害を起こすような危険な状態になることがあります バセドウ病の方は普段から定期的に受診を続けることが重要です 2
Q: 朝食抜きで次回 採血や検査をすることになっていますが薬は飲んでも良いですか? A: 基本的には朝食分の薬は 採血や検査が終わるまでは飲まないでください インスリンも同様に打たないでください しかし 血圧や心臓などの薬を飲んでいる方は起床してすぐに飲んでください 誤って血糖を下げる薬や注射を打ってしまった方は 低血糖になってしまう恐れがあるため その日はご飯を食べてきてください その他 わからないことがあればスタッフにお尋ねください 分かりやすい内分泌疾患の話し (2) 甲状腺ホルモンが多すぎると 甲状腺は材料であるヨードを取り込んで甲状腺ホルモンを作ります このホルモンは体のほとんどの細胞に働いて活発にさせます すなわち新陳代謝を促すのです 甲状腺ホルモンが不足すると肉体的にも精神的にも活動がにぶってきます それでは たくさんあれば良いかというと それも困ります 甲状腺ホルモンの働きが強すぎると全身の細胞の代謝が高まり 例えば心臓の働きを活発にさせ過ぎてしまい じっとしているにも拘わらず 心臓の拍動は一日中あたかも走っている時のように速くなります これでは心臓はたまったものではありません そこで血液中の甲状腺ホルモンはある一定の範囲を逸脱しないように調節されています 脳の中心部にある視床下部 下垂体が甲状腺の見張り役です 言ってみれば会社の上司 あるいはダンナを手玉にとってコントロールしている奥さんと言ってもよいでしょう 甲状腺が暴走しないように見張りをしているのです そういうわけで 正常の状態では血中の甲状腺ホルモン値は一定の範囲を超えることはありません バセドウ病とはどういう病気でしょう 正常の状態では甲状腺は下垂体から分泌されている甲状腺刺激ホルモン (TSH) で調節されています 甲状腺刺激ホルモンは甲状腺の表面にある TSH 受容体にくっつくことにより働きます 受容体というのはボールを受け取るキャッチャーみたいなものです ところで この TSH 受容体にくっついてしまう新しい恋人が現れることがあります この 3
恋人は TSH 受容体抗体 (TRAb) と呼ばれ 本妻である甲状腺刺激ホルモン (TSH) と同じように甲状腺にくっついて刺激します 甲状腺刺激ホルモン (TSH) が本妻らしく甲状腺をコントロールしているのに対し 恋人である TSH 受容体抗体 (TRAb) はめったやたらと刺激を続けますので 血中の甲状腺ホルモンは異常に多くなります 恋人役の TSH 受容体抗体 (TRAb) は免疫を担当しているリンパ球により作られます ただし その仕組みは複雑で 本来ならば外敵を攻撃すべき免疫系が自分自身を攻撃してしまう自己免疫という仕組み あるいはこの病気になりやすいという体質 すなわち遺伝的な素因等も考えられています バセドウ病は 20~30 歳代の女性に多くみられますが 男性でも起こり 特に男性の場合は比較的重症になる傾向が認められます バセドウ病の症状は 甲状腺ホルモンが過剰になると体も心も高揚した状態になります 脈拍が速くなり 動悸がします 心房細動といって脈が不規則な打ちかたをすることがあります 若い人が心房細動を起こす場合はこの病気がないか一度検査しておくことが必要です 甲状腺ホルモンは肝臓や筋肉に貯めてあるグリコーゲンを燃やしてエネルギーに換えてしまいます そのため暑がり 汗っかきがよく見られます 体力を消耗し疲れやすくなります 食欲が出てきて食べているにもかかわらずやせます もっとも 若い女性がこの病気になると 食欲のため やせる以上に食べてしまい かえって太ってしまうこともあります 消化管の働きが活発となって便が軟らかくなり便秘が解消することがあります 手の指の振るえもよく見られます ひどい時には全身がふるえることもあります 精神が高ぶって興奮しやすくなります 子供の場合集中力がなくなることがある一方 お年寄りでは活動力が鈍くなりうつ病のようになることがあります 多く見られることではありませんが 手足が動かなくなって金縛りのような状態になることがあります これは周期性四肢麻痺といって東洋人の特に男性に多いようです 一方 甲状腺ホルモンは女性ホルモンに影響を与え 生理の量が少なくなったり 生理と生理の間隔が長くなることがあります バセドウ病は目がとび出すと思われていることがありますが 実際は 20~ 30% 程度です バセドウ病の患者さんには二通りの目の症状が起こる可能性があります 一つは眼球突出で これは眼球の奥の筋肉や脂肪組織が多くなり 眼球がとび出すものです 眼球突出は甲状腺ホルモンの過剰とは関係ありませ 4
んので甲状腺ホルモンを正常化しても眼球突出は治りません バセドウ病が専門の眼科医 の診察を受ける必要があります その他に外眼筋といって目玉を動かしている筋肉がおかされて 物が二重に見えることがあります 眼の症状のもう一つは甲状腺ホルモン過剰によるものです 甲状腺ホルモン過剰のため 交感神経の緊張状態になり上まぶたがつり上がった状態になります 黒目の上方に白目が目立ちますので 一見眼球が突出しているようにも見えますが こちらは甲状腺ホルモンを正常化することにより良くなることが期待できます 次回はバセドウ病の診断と治療についてお話します 診察券の裏に次回の予約を記入できるようにして欲しい カードが増えるとお財布がパンパンになってしまうので なるべくカードは少なくして欲しい 当院でいくつか考えてみましたが 方針としては今後 現在のカードではなくプラスチックのIDカード ( 銀行のキャッシュカード仕様 ) に替えて 待ち時間の短縮や万が一の書き違い防止を図りたいと考えています 尚 診察券といっしょにお渡しする予約表は糖尿病の患者さんが多くいらっしゃるので次回の採血にあたり食前 食後のお願いや時間等をわかりやすくするため今のような用紙を使っています 1 今のまま 診察券と予約表を使用する 2 他病院のように次回の予約カードを作りクリップでとめる 3 現在 使用している予約表をクリップでとめる 4 歯医者さんのように診察券の裏に次回の予約を書く 当院に来られる患者様は高齢者もいらっしゃいます 予約表が小さくなってしまうと字が読めなくなってしまう方もいらっしゃると思いますがいかがでしょうか? 上記のことを踏まえ 皆様にご意見 アドバイスを頂きたいと思っています どうぞ ご意見ノートに記入をお願いいたします 5
< 治験 薬剤の市販後調査 その他の調査に関するお願い > 当院では現在以下のような治験 調査を実施しております 内容に関しては医師 看護師 治験コーディネータ等が説明いたします 趣旨に賛同していただける患者さんにお願いしておりますが 参加されなくても通常の診療に不利益をきたすことは全くありません 糖尿病神経障害の症状に関するアンケート神経障害に関するアンケートに記入して頂く事と 簡単な診察のみです 高脂血症の薬の市販後調査( リバロ錠使用成績調査 : 長期使用に関する特別調査 ) どこの医療機関でも一般的に使われている興和 リバロの市販後調査です 効果 副作用に関する調査を行っています 採血の項目は通常の糖尿病患者さんが日常行っている範囲です 調査結果は厚生労働省に報告になりますが 名前等の個人情報が漏れることはありません 高血圧の薬( 三共 オルメテック ) の市販後調査どこの医療機関でも一般的に使われている薬です 効果 副作用に関する調査です 採血の項目は通常の高血圧の患者さんが日常行っている範囲です 調査結果は厚生労働省に報告になりますが 名前等の個人情報が漏れることはありません ひまわり 第 4 号はいかがでしたか? 今回は思ったより発行が遅くなってしまいました ごめんなさい 年末年始どうでしたか? 私は両親 親戚からもらったお餅をどう消化したらいいのか悩む日々でした ( 笑 ) おかげさまで体重が増えてしまい 口先だけにならないように自転車ではなく 歩くようにしています その甲斐あってか体の重さがとれてきました ( 笑 ) 歩くのっていいですよ 看護師 :M.J 6