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CEO 交代率の比較 図表 1 世界の CEO 交代率の経年傾向 ( 世界の上場企業上位 2,500 社の割合 2013) 12.9% (323) % ( % (270) 4. % 9.8% (244) % (367)

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Q8: 為替変動が売上収益に与えたインパクトはどの程度か? A: 為替変動により 当第 4 四半期における売上収益は前年同期比で 49 億円増加しました また 通期では 為替変動により 売上収益は前年同期比で 565 億円増加しました HR テクノロジー事業 Q9:( 通期 ) 売上収益が米ドルベー

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( 億円 ) ( 億円 ) 営業利益 経常利益 当期純利益 2, 15, 1. 金 16, 額 12, 12, 9, 営業利益率 経常利益率 当期純利益率 , 6, 4. 4, 3, 2.. 2IFRS 適用企業 1 社 ( 単位 : 億円 ) 215 年度 216 年度前年度差前年度

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第 1 四半期は好調なスタートとなり 通年でも好調を維持する見通しです 主要製品の販売量を高水準で維持しながら 他の主な指標すべてにおいても 非常に好調であった前年同期からさらに大幅に向上しました と コベストロのチーフ コマーシャル オフィサー (CCO) であり 次期最高経営責任者 (CEO)

目次 要旨 1 Ⅰ. 通信 放送業界 3 1. 放送業界の歩み (1) 年表 3 (2) これまでの主なケーブルテレビの制度に関する改正状況 4 2. 通信 放送業界における環境変化とケーブルテレビの位置づけ (1) コンテンツ視聴環境の多様化 5 (2) 通信 放送業界の業績動向 6 (3) 国民

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経営ビジョン 私たちが目指すヤーマン 1 業績ハイライト 5 セグメント別売上 6 セグメント別営業利益 7 売上構成 8 財務ハイライト 9 第 3 四半期以降の取り組み 10 業績予想について 11 配当について 12

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調査結果の概要 1. 自社チャンネルの加入者動向について 横ばい との見方が拡大自社チャンネルの全体的な加入者動向としては 現状 では 減少 (40.0%) が最も多く 続いて 横ばい (35.6%) 増加 (23.3%) の順となっている また 1 年後 については 横ばい (41.1%) が最も

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第 1 四半期の売上収益は 1,677 億円となり 前年からプラス 6.5% 102 億円の増収となりました 売上収益における為替の影響は 前年 で約マイナス 9 億円でしたので ほぼ影響はありませんでした 事業セグメント利益は 175 億円となり 前年から 26 億円の減益となりました 在庫未実現

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目次 1. 経営成績営業利益分析 / 海外売上高 / 貸借対照表 2. 業績予想 ( 修正 : 有 ) 3. 研究開発費 / 減価償却費 / 設備投資 4. 株価の状況 5. トピックス P.2 P.10 P.14 P.16 P

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目次 平成 25 年 3 月期決算概要 1 業績概要 4 2 平成 25 年 3 月期の課題と取組み 5 3 経営成績 6 4 業績推移 7 5 売上高四半期推移 8 6 事業別業績推移 ( ソフトウェア開発事業 ) 9 7 事業別業績推移 ( 入力データ作成事業 ) 10 8 業種別売上比率 (

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報通信の現況 コンテンツ市場の動向 マルチユース市場の内訳をみると 映像系コンテンツ 1 兆 4,243 億円の主な内訳は 地上テレビ番組が 5,074 億円 映画ソフトが 4,884 億円 衛星 CATV 番組が 3,530 億円となっている 音声系コンテンツの内訳は 音楽ソフトであり 1,353

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調査結果の概要 1. 自社チャンネルの加入者動向については消極的な見通しが大勢を占めた自社チャンネルの全体的な加入者動向としては 現状 では 減少 (50.6%) が最も多く 続いて 横ばい (33.7%) 増加 (13.5%) の順となっている 1 年後 についても 減少 (53.9%) 横ばい

2017年第3四半期 スマートフォンのグローバル販売動向 - GfK Japan

四半期事業セグメント 事業セグメント ( 四半期累計 ) ( 百万円 ) 1Q 1-2Q 1-3Q 1-4Q 1Q 1-2Q 1-3Q 1-4Q 売上高 2,866 5,897 8,705 11,352 3,019 6,323 9,245 12,311 前期比 -72.9% 6.8% 8.0% 7.

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スキル領域 職種 : マーケティング スキル領域と MK 経済産業省, 独立行政法人情報処理推進機構

2018年度 第3四半期累計 1-9月 実績 2017年 19月期 2018年 19月期 増減 () 9,302 9, % +4.1% 営業利益 % 0.0% % +9.7% 親会社の所有者に 帰属する四半期利

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本日の説明内容 総括 2019 年 3 月期第 1 四半期実績 2019 年 3 月期通期見通し 主要施策の進捗 1

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IR 活動の実施状況 IR 活動を実施している企業は 96.6% 全回答企業 1,029 社のうち IR 活動を 実施している と回答した企業は 994 社 ( 全体の 96.6%) であり 4 年連続で実施比率は 95% を超えた IR 活動の体制 IR 専任者がいる企業は約 76% 専任者数は平

各位 平成 26 年 9 月 8 日 マネックスグループ株式会社 代表執行役社長 C E O 松本大 ( コード番号 8698 東証第一部 ) 当社米国子会社における FX 事業の一部譲渡に関するお知らせ 当社の米国子会社であるTradeStation Group, Inc.(CEO: Salomo

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目次 年度第 3 四半期決算 (1) 概要 (2) セグメント別情報 年度業績予想 (1) 概要 (2) セグメント別情報 3. 参考資料 1

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エチオピア 2017 年 2 月 エチオピアは FATF 及び ESAAMLG( 東南部アフリカ FATF 型地域体 ) と協働し 有効性強化及び技術的な欠陥に対処するため ハイレベルの政治的コミットメントを示し 同国は 国家的なアクションプランや FATF のアクションプラン履行を目的とした委員会

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PwC Deals 米国メディア テレコム業界 2018 年第 2 四半期の M&A に関するインサイト 大型取引が進展するも 規制当局の動向は不透明 エグゼクティブサマリー 好調だった 2018 年第 1 四半期に続き 第 2 四半期の M&A も取引金額が合計 450 億米ドルまで増加するなど 力強い展開となった これを牽引したのは 複数のサブセクターでの大型案件の増加だった は前期および前年からやや減少したものの 大型案件の増加が証明しているように 業界内の統合を進め 新しいプラットフォームやテクノロジーへの投資を推進しようとする機運が衰える兆しはない 当四半期末には注目を集めた重要案件 2 件が承認された 当期の案件は 膨大な投資資金の行き先が欲しいという要請と 顧客と直接的な関係を最大化する優良なコンテンツや能力を獲得したいという要請の二つを反映していると言えるだろう しかし大型の統合案件が当局に訴えられるという最近の動きを見ると 大型案件を巡る政治や規制環境の不確実性の問題が完全に解決されたかどうかは疑問である メディア テレコム業界のあらゆるところで統合が進み ブロックバスターと呼ばれる巨大案件が話題を集めています 主要プレイヤーは自社のポジショニングを確認し 現在ペンディング中の案件に規制当局がどう対応するかを注視しながら 動きの激しいエコシステムの中で 次にどう動くべきかを読み解こうとしています バート スピーゲル PwC 米国メディア テレコムディールパートナー トレンドとハイライト 全体として 2018 年上期のは前年同期から4% の微減 2018 年第 2 四半期のは第 1 四半期から20% 減少した 公表された案件の合計取引金額は 2018 年上期は前年同期比で197% 増加し 2018 年第 2 四半期は前期 ( 第 1 四半期 ) 比で19% 増加した これは大型の取引が活発だったことによるもの 現在までに公表された今年度累計額のうち 約 66% を大型案件が占めている 2018 年上期に公表された取引金額 10 億米ドル超の大型案件は10 件 最大のものはT-MobileとSprintの合併で 取引金額は268 億米ドルだった 2018 年上期に公表が最も多かったサブセクターは前四半期同様 広告 マーケティング (143 件 ) およびインターネット 情報 (97 件 ) だった 取引金額 2018 年上期 (824 億米ドル ) 2017 年上期 (277 億米ドル ) 2018 年第 2 四半期 (449 億米ドル ) 2018 年第 1 四半期 (376 億米ドル ) 2018 年上期 (439 件 ) 2017 年上期 (455 件 ) 2018 年第 2 四半期 (194 件 ) 2018 年第 1 四半期 (244 件 ) 出典 :Thomson Reuters および PwC による分析 2018 年上期 vs. 2017 年上期 Q2 2018 vs. Q1 2018 197% 19% -4% -20%

2018 年第 2 四半期に行われた M&A のハイライト 最大規模の取引 268 億米ドル 2018 年上期に取引金額が公表された M&Aでは 米国内で3 位と4 位の規模を持つ携帯電話会社 T-MobileとSprint の合併が最大のものとなった この取引には規制当局の承認が必要だが 合併後の新会社は 競合するベライゾンやAT&Tとの競争において優位性が向上する 大型案件 (50 億米ドル以上 ) 2018 年上期に公表された 50 億米ドル以上 の大型案件は 3 件だった 3 件の総額は 543 億米ドルで 今年度累計額の 66% を占めている 一方 2017 年度上期は 大型案件はなかった 2018 年上期には 上記に加え 10 億 ~50 億米ドルの比較的大きな案件が 7 件あ り それらの合計額で公表案件総額の 16% を占めている 3 主な公表案件 2018 年第 2 四半期に公表された 10 億米ドル超の M&A は 6 件であり 2018 年上期に発表された 10 案件のうち半数以上を占めている 1. 2. 3. T-Mobile US Inc/Sprint Corp( 通信 )(268 億米ドル ): T-MobileとSprintの合併が実現すれば 米国第 2 位の規模の携帯電話会社となる Gray Television Inc/Raycom Media Inc( 放送 )(36 億米ドル ):GrayとRaycomの合併により 米国第 3 位の規模となる放送局網が誕生する David Tepper/Richardson Sports LP( レクリエーション レジャー )(23 億米ドル ): 資産家のDavid Tepper 氏によるCarolina Panthersの買収は 米国のフットボールチーム買収では史上最高額 4. Adobe Systems Inc/X.commerce Inc( インターネット 情報 )(17 億米ドル ): ソフトウェアメーカーのAdobeが X.commerceのeコマースプラットフォーム Magento を買収 クラウドベースのサービス能力を強化 5. Siris Capital Group LLC/Web.com Group Inc.( インターネット 情報 )(13 億米ドル *):Siris CapitalがWeb.com の買収を発表 同社は上場廃止を計画しており 当セクターに対するプライベートエクイティの関心の高さを改めて示すものとなった 6. Recruit Holdings Co. Ltd./Glassdoor Inc( インターネット 情報 )(12 億米ドル ): 日本企業のリクルートホールディングスがGlassdoorの買収を発表 米国への事業拡大が促進される見込み 2018 年第 1 四半期の公表済みM&A 案件 : Blackstone Group LP Led Investor Group/Thomson Reuters Corporation Financial & Risk( インターネット 情報 )(170 億米ドル ) Altice Shareholders/Altice USA Inc( ケーブルテレビ )(105 億米ドル ) Platronics Inc/Polycom Inc( 通信 )(20 億米ドル ) GTCR LLC & Sycamore Partners LLC/CommerceHub Inc( インターネット 情報 )(11 億米ドル ) *Siris Capital による Web.com 買収に係る取引価額は メディア テレコム業界の M&A に関するインサイトとテクノロジー業界の M&A に関するインサイト ( いずれも 2018 年第 2 四半期版 ) で報告された数値が異なっているが これは前者が企業価値 後者が取引価格を分析しているためである は 2018 年第 1 四半期に 2 年間の最高値を記録したものの 第 2 四半期は減少 2018 年第 2 四半期のは 2 年間で最高の件数を記録した第 1 四半期から20% 減少した 取引金額は依然として大型案件の影響が大きく 第 1 四半期はThomson ReutersのF&R 部門とAltice 第 2 四半期はT-MobileとSprint の合併が大きく貢献した メディア テレコムセクターにおける M&A の取引金額と件数 $300 取引金額 ( 単位 b :10 億米ドル ) $250 $200 $150 $100 $50 $0 $48.6 2016 2017 2018 $18.2 $125.3 $9.7 $18.0 $31.6 $79.5 $37.6 $44.8 182 138 182 236 219 238 183 244 194 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 $140.0 $120.0 $100.0 $60.0 $40.0 $20.0 $0.0 公表 公表取引金額 2

2018 年第 2 四半期に行われた M&A のハイライト プライベートエクイティによるは増加したが 取引金額は好調だった第 1 四半期より減少 全に占めるプライベートエクイティの割合は約 22% で 2017 年と同水準だったが これに比べて取引金額に占め る割合は大きく 2018 年上期は 37% だった これには Blackstone による Thomson Reuters の F&R 部門の買 収が影響している 2018 年に占める PE とストラテジックバイヤーの割合 22% 78% ストラテジックバイヤープライベートエクイティ におけるプライベートエクイティとストラテジックバイヤーの割合 2018 年取引金額に占める PE とストラテジックバイヤーの割合 37% 63% 四半期ベースでは プライベートエクイティのは第 1 四半期の20% から第 2 四半期は25% まで増加したが 取引金額では とりわけ好調だった第 1 四半期の55% から23% に減少した 2018 2017 196 551 48 126 ストラテジックバイヤー プライベートエクイティ 2016 685 191 50% 60% 70% 80% 90% 100% 2018 年第 2 四半期の米国における ( 取引規模別 ) 引き続き小規模案件が中心 取引金額 本セクターで公表された M&A 案件は 引き続き 1 億米ド ル以下のものが圧倒的に多く 全件数の 70% を占めて 0~1 億米ドル 70% 0~1 億米ドル 2% いる しかしそれらの取引金額の合計は わずか2% である 1.01~5 億米ドル 16% 1.01~5 億米ドル 5% 一方 取引金額の大部分を占めるのが 10 億米ドル超の大型案件である 10 億米ドル超の案件は 件数は全 5~10 億米ドル 3% 5~10 億米ドル 3% 体の11% に過ぎないが 取引金額では総額の90% を占めている 10 億米ドル以上 11% 10 億米ドル以上 90% 総に占める割合 総取引金額に占める割合 広告 マーケティング 2018 年第 2 四半期サブセクター別公表済み M&A インターネット 情報が引き続き 238 244 最多件数 サブセクター別では広告 マーケティングが引き続きの首位を占め 第 1 四半期が80 件 第 2 四半期が63 件だった 2 位はインターネット 情報で 第 1 四半期が47 件 第 2 四半期が50 件だった 2017 年と比較すると 2018 年上期のは4% 減となった インターネット 情報 通信での取引の減少が主な要因である 一方 広告 マーケティング 放送は最も堅調 219 9 16 24 19 31 51 13 17 17 29 42 37 183 6 17 12 18 21 36 14 15 15 32 31 47 194 12 18 15 22 10 50 ビデオゲーム音楽ケーブルテレビ放送映画 コンテンツレクリエーション レジャー出版通信インターネット 情報広告 マーケティング に増加した 64 80 66 80 63 2017 年第 2 四半期 2017 年第 3 四半期 2017 年第 3 四半期 2018 年第 1 四半期 2018 年第 1 四半期 3

2018 年第 2 四半期に行われた M&A のハイライト デジタルメディアの普及に伴い データや IoT 関連の M&A が増加 2018 年上期の取引金額は 大型案件の影響により イ ンターネット 情報 通信 ケーブルテレビが上位を占 めた 2018 年上期サブセクター別公表済みM&A( 件数および取引金額 ) 取引金額 ( 単位 :100 万米ドル ) 97 インターネット 情報 41 通信 30,673 29,255 の上位は広告 マーケティングとインターネッ 5 ケーブルテレビ 10,522 ト 情報だった 両サブセクターとも データ需要およ 26 放送 5,514 びIoT 関連需要が要因となり 従来の業種のみならず新しい業種の買い手からも関心を集めた 30 レクリエーション レジャー 33 映画 コンテンツ 2,320 1,707 他のサブセクターでは従来型メディアのが依然として多かったが オンライン出版 コンテンツや音楽のストリーミング ライブイベントのチケット販売な 143 広告 マーケティング 54 出版 @ 1,361 1,057 ど デジタルメディア案件も増えている 0 ビデオゲーム 14 7 音楽 0 2018 年上期の買手企業の所在地域別公表取引金額 4% カナダ (17 件 3 億米ドル ) 6% 85% 米国 (358 件 800 億米ドル 欧州 (26 件 10 億米ドル ) <1% 4% アジア太平洋 (18 件 9 億米ドル ) アフリカ 中近東 (2 件 1 億米ドル ) <1% 中南米 (1 件 0 億米ドル ) インバウンド取引 2018 年上期 米国企業による米国企業の買収は 前年同期と同水準の約 85% だった 外国企業による米国企業の買収では カナダ (27%) と英国が (19%) が上位を占めた カナダからのインバウンド取引は多様な業種に分散しているが 英国からは主に広告 マーケティングに集中しており 最大のものはDentsu Aegis Network Ltdによる米国内のエージェンシーの買収である アウトバウンド取引 2018 年上期 米国企業による外国企業の買収は前年同期を上回る111 件で 21% の増加となった アウトバウンド取引の相手国もインバウンド同様 英国とカナダに集中しており 2018 年上期はそれぞれ全アウトバウンド取引の24% 14% だった 4

2018 年の展望 インターネット 情報 2018 年上期のインターネット 情報は 第 2 四半期にも 50 件の取引があるなど 引き続き好調だった 件数については2017 年上期の116 件から97 件へと減少したものの 2018 年上期は公表済み取引金額が前年同期比で大幅に増加し 307 億米ドルに達した 前年同期は53 億米ドルだった 前回 人工知能 (AI) 技術を活用する企業が買収先として注目されるようになる可能性に言及したが 今期はそうした取引が実現し始めている 企業各社がターゲティング広告やコンテンツ監視など幅広い機能にAIの力を活用し始めているため この傾向は今後もさらに強くなると予想される 放送 前期も報告したように 放送セクターでは新たな統合が進み 買収を目指す企業のみならず 規制当局の指導により売却を目指す企業も出てきた結果 M&Aは増加している 2018 年上期に公表されたは 前年同期に比べて44% 増加した 公表された取引金額は横ばいの約 55 億米ドルだが 放送セクターにより多くの取引があることは確実だと思われる SinclairとTribuneによる売却は 規制当局から合併承認を受けるために一部の資産売却が必要になったもの HC2 Holdingは引き続き活発な買収活動を続け 公表されたテレビ局買収案件の半数近くに関与している またあまり目立たないものの ラジオ局も常に一定の関心を集めており 2018 年上期の放送セクターの案件の4 分の1 近くを占めている 規制当局の承認まで あと少し メディア テレコムセクターでは統合の規模と頻度が増大しており 当然ながら 規制当局と裁判所もこれに関心を持っている 企業は案件が成立し 事業統合が完了することを強く望んでいるが 一方で規制当局には その統合が競争環境や消費者の選択に及ぼす影響を見極める権限がある Disneyと21th Century Foxは 当四半期に司法省の承認を獲得したが AT&TとTime Warnerの件について司法省は 地方裁判所が下した承認の判断に対して上訴している その他にも SinclairとTribune T-MobileとSprintといった注目の案件が規制当局の承認を待っている これらの大型案件が発表されて以来 裁判所がゴーサインを出すのかどうか 競合他社や市場参加者 その他多くが固唾を飲んで判断の行方を見守っている これらのうち一つ もしくは複数の案件が承認されるか否かは 企業が今後 M&Aにどういうアプローチを取るか さらには承認待ちの他の案件に対して司法省や裁判所がどういう見方をするかに影響を及ぼすだろう 少なくとも メディア テレコムセクターの大規模企業の統合 ( 垂直統合と見られるか 水平統合と見られるかにかかわりなく ) を目指す他のM&Aにまで影響が波及することは確実である 現段階では 業界の動向を注視しつつ 規制当局がどう対応するか 成り行きを見守るしかない グローバルエンタテイメント & メディアアウトルック 2018-2022 の視点から 今回が第 19 版となるPwCの グローバルエンタテイメント & メディアアウトルック2018-2022 は 世界 53の国 地域における15のセグメントにおける消費者支出と広告収入について 過去のデータと今後 5 年間の見通しを探り 分析したレポートである エンタテイメント メディア業界のあり方を形作るトレンドに関するインサイトを示し 次なる行動につなげるオンラインツールとして 有料で提供している 今年度のアウトルックでは 右の主要 8 分野を中心に コンバージェンス つながり 信頼が いかに成長を促すかを解説している 1. 新たなコンバージェンス ( 融合 ) の潮流が 複数の分野で競争を加 速させる 2. 最終消費者と直接関係を築くことによって 多様なコンバージェン スが推進される 3. コンバージェンスを押し進めると スーパーコンペティターが生ま れる 4. 収益源が破壊的に変化し メディアビジネスモデルが再構築され る 5. 新たな技術が新たな競争の場を生み出す 6. 企業はさまざまな面で信頼を実証しなければならない 7. 新しい規制へのコンプライアンスは 企業の信頼構築を促進する 8. エンタテイメント メディア企業は これまでの枠組みを超えた未 来を描かなければならない 上記 アウトルック については 以下をご覧ください https://www.pwc.com/jp/ja/knowledge/thoughtleadership/outlook.html 5

お問い合わせ先 青木義則 PwCアドバイザリー合同会社パートナーディールズTMTセクターリーダー 080-9446-9982 yoshinori.aoki@pwc.com 執筆者 Bart Spiegel Partner, PwCʼs Deals Practice Ian Same Director, PwCʼs Deals Practice 取引を成功させる企業は 他社が見落としがちな価値を見出す大局観や 不測の事態に対応できる柔軟性 厳しい競争の中でも有利な条件を勝ち取る大胆さに加え 契約が成立した瞬間から直面するさまざまな課題を見出すための慎重さを兼ね備えています しかし 情報が瞬時に駆け巡るような事業環境の中では 取引を実効性のあるものとするために 経験豊富なアドバイザーに助言を求める企業こそが 真に取引を成功に導くことができるのです PwCのディールズプラクティスはエンタテインメント メディア テレコム企業や当該セクターに注力するプライベートエクイティに対し 買収候補や部門売却候補の選定 詳細なバイサイドのデューデリジェンス実施 買収後の利益獲得計画策定 さらには売却 企業分割 IPOなどによるエグジットまで M&Aのあらゆる局面でクライアントが重要な決断を下す際に幅広く助言を提供いたします 当社は全世界に200,000 名を超えるディールプロフェッショナルを擁しており 貴社のビジネス拠点やM&A 取引対象所在地が世界のどこであれ テクノロジー分野のみならず現地市場についても知識や経験が豊富なチームを派遣することができます 取引には一つとして同じものがありません だからこそ信頼できるパートナーから戦略的 M&Aに関するアドバイス デューデリジェンス 取引のストラクチャリング M&A 関連の税務 買収後の統合 バリュエーション ポストディールなどのサービスを提供し M&Aプロセス全般にわたる助言を得ることが重要です これによりディールから最大限の価値を引き出すことが可能になるのです 当社が提供するソリューションは 個別取引の状況に合わせ 貴社がリスク特性の中で最大の価値を引き出せるように設計した統合型のソリューションです 買収や合弁事業を通じた資本投下 IPOや私募債発行による資金調達 会社分割プロセスを通じた投下資本の回収など 貴社のニーズに合わせて支援することができます エンタテイメント メディア テレコムセクターのM&Aおよび関連サービスに関する詳細情報は pwc.com/us/tmtdeals を セクターのリサーチおよびインサイトについては pwc.com/us/tmt をご参照ください データについて メディア テレコムセクターは 技術の進歩 従来型メディアと新しいメディアの融合 消費者の嗜好の変化などに伴い 常に変わり続けています PwCはその変化に着目し 分析を行っています 分析に当たっては 原則としてThomson Reutersの定義による メディア テレコムセクター を対象としています ただし通信 インターネット ソフトウェア & サービス Eコマース分野は 分析の目的上 通信 および インターネット 情報 に名称を変更しています また特記しているものを除き 公開された取引金額として示している数値は 取引の金額をもとに決定しております 一部の事例では企業価値が取引金額を上回る場合がありますが 分析の際はその点を考慮しておりません 本資料では 以下の定義を用いております 米国メディア テレコム業界の M&A は 買収 合併 少数株主持ち分の統合 株主によるスピンオフ 売却 再編を指します 買収先企業 は 米国もしくは外国の他企業 ( プライベートエクイティ ストラテジックバイヤーの両方を含む ) に買収された米国企業を指します 本資料に掲載されているクロスボーダーのディールは 米国内の企業が買収した米国外に所在する被買収企業の公表済み買収案件のみに限定しています 取引金額は 既述のとおり取引された金額を指します 公表された案件の買収企業と被買収企業が異なるセクターに属している場合 両方の業種のレポートに含めております 従って 異なる業種のレポートの取引金額やを合計する場合は 重複した案件を除外する必要があります 2018 PwC. All rights reserved. PwC refers to the PwC network member firm and/or one of their specified subsidiaries in Japan, and may sometimes refer to the PwC network. Each of such firms and subsidiaries is a separate legal entity. Please see www.pwc.com/structure for further details. This content is for general information purposes only, and should not be used as a substitute for consultation with professional advisors.