次世代ヘルスケア産業協議会第 17 回健康投資 WG 資料 6 職場における食生活改善の質の向上に向けて 武見ゆかり第 6 期食育推進評価専門委員会委員 ( 女子栄養大学教授, 日本栄養改善学会理事長 )

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Ⅳ 第 2 次計画の目標 : 第 2 次計画で新たに設定した項目 府民主体 府民と行政と団体 行政と団体 1 内 容 新 規 栄養バランス等に配慮した食生活を送っている府民の割合 2 朝食欠食率 第 1 次計画策定時 35 現状値 第 2 次計画目標 第 2 次基本計画目標 24% 15% 60%

第 4 章 地域における食育の推進 1 栄養バランスに優れた 日本型食生活 の実践 ごはんを中心に 魚 肉 牛乳 乳製品 野菜 海藻 豆類 果物 茶など多様な副食などを組み合わせて食べる 日本型食生活 は 健康的で栄養バランスにも優れている 農林水産省では 日本型食生活 の実践等を促進するため 消費

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2. 栄養管理計画のすすめ方 給食施設における栄養管理計画は, 提供する食事を中心とした計画と, 対象者を中心とした計画があります 計画を進める際は, それぞれの施設の種類や目的に応じて,PDCA サイクルに基づき行うことが重要です 1. 食事を提供する対象者の特性の把握 ( 個人のアセスメントと栄

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茨城県食育推進計画―第三次―

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生活福祉研レポートの雛形

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第3章「疾病の発症予防及び重症化予防 1がん」

第 1 章 ヘルスプランぎふ 21 の基本的な考え方 1 計画策定の趣旨 ヘルスプランぎふ 21 は 岐阜県健康増進計画として平成 14 年 3 月に策定し その後平成 20 年度には 国が策定した 健康日本 21 と連動しながら メタボリックシンドロームに着目した生活習慣病の一次予防に重点をおいた

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ウ食事で摂る食材の種類別頻度野菜 きのこ 海藻 牛乳 乳製品 果物を摂る回数が大きく異なる 例えば 野菜を一週間に 14 回以上 (1 日に2 回以上 ) 摂る人の割合が 20 代で 32% 30 代で 31% 40 代で 38% であるのに対して 65 歳以上 75 歳未満では 60% 75 歳以

食育って, ご存知ですか? 食育とは 生きる上での基本であって, 知育, 徳育及び体育の基礎となるべきもの 様々な経験を通じて 食 に関する知識と 食 を選択する力を習得し, 食育の推進に取り組んでいます! 28 年 ( 平成 2 年 )3 月に 福山市食育推進計画,213 年 ( 平成 25 年

2214kcal 410g 9.7g 1 Point Advice

07 SDGsとCSV演習

第 1 部 給食マネジメントの基本 第 1 章 給食のマネジメント 松月弘恵給食の概念と目的を理解した上で, 各種給食の概要や, 管理栄養士 栄養士の配置や役割を理解する また, 給食における経営管理 ( マネジメント ) の意義と動向について学ぶ 本章の Key Words 特定給食施設, 栄養管

PowerPoint プレゼンテーション

アレルギー疾患対策基本法 ( 平成二十六年六月二十七日法律第九十八号 ) 最終改正 : 平成二六年六月一三日法律第六七号 第一章総則 ( 第一条 第十条 ) 第二章アレルギー疾患対策基本指針等 ( 第十一条 第十三条 ) 第三章基本的施策第一節アレルギー疾患の重症化の予防及び症状の軽減 ( 第十四条

Ⅵ ライフステージごとの取り組み 1 妊娠期 2 乳幼児期 (0~5 歳 ) 3 学童期 (6~12 歳 ) 4 思春期 (13~19 歳 ) 5 成年期 (20~39 歳 ) 6 壮年期 (40~64 歳 ) 7 高年期 (65 歳以上 ) ライフステージごとの取り組み ( 図 )

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目次 < 栄養表示の特徴 > 栄養表示の特徴 1 < 健康 栄養政策と栄養表示の関係 > 健康 栄養政策と栄養表示基準 2 健康 栄養政策と栄養表示 3 健康 栄養政策と栄養表示の関係 4 21 世紀における国民健康づくり運動 ( 健康日本 21) の具体的な推進について 5 < 栄養表示の重要性の


1 栄養成分表示を活用してみませんか? 媒体の内容 1 ページ 導入 ねらい : 栄養成分表示 とは 食品に含まれているエネルギー及びたんぱく質 脂質 炭水化物 食塩相当量などを表示したものであることを理解する 栄養成分表示を見たことがありますか? と問いかけ 普段から栄養成分表示を見ているか 見て

特定健診の受診率は毎年上昇しており 平成 28 年度は県平均よりも 7% 高い状況 となっていますが 国が示す目標値 60% を達成するには更なる工夫や PR が必要とな っています 長与町国保の医療費は平成 25 年度から上昇していましたが 平成 28 年度は前年度より約 3 億円減少し 1 人当

私の食生活アセスメント

スライド 1

10 群馬県 共食の増加 ( 食事を 1 人で食べる子どもの割合の減少 ) 食品中の食塩や脂肪の低減に取り組む飲食店の登録数の増加 朝 昼 夕の三食を必ず食べることに気をつけて食事をしている子どもの割合の増加 朝食欠食者の減少 ( 成人 ) 元気県ぐんま 21( 第 2 次 )

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標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討会

図 3 児童 生徒の状況 ( 共食 : 夕食 ) 資料 : 平成 27 年度食生活調査 ( 愛媛県学校栄養士協議会 ) 図 4 食育への関心の状況 (20 歳以上 ) 資料 : 平成 27 年愛媛県県民健康調査 2 多様な暮らしに対応する食生活支援の必要性 共働きや単身赴任の増加など ライフスタイル

標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討会

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各推進主体の具体的な取り組み 家庭 幼稚園 保育所 関係団体 家族で一緒に朝 早寝 早起き 朝 朝食の大切さを 食を食べる日を ごはんを推進し 伝えていきまし 増やしま ま ょう 朝食の大切さ 早寝 早起き 朝 園便りや給食便 簡単に作れる朝 の推進 ごはんを心がけ りで食育推進を 食のメニューを

わりについての教育, 例えば,1 食料の生産 加工 流通, 安全な食品の選択と選択能力の獲得,2 生活環境や生活行動, 個人の健康意識, 心理的状態と食の状況などを考慮した上での個人や集団に合った食生活管理, などについて教育する 2 食育国民一人一人が, 生涯を通じた健全な食生活の実現, 食文化の

調書のの見方 新規 新規事業の実施 現行どおり 事業をする 充実 事業の充実 強化を図る 改善 事業の見直し 改善を図る 縮小 事業規模を縮小する 廃止 事業を廃止する 2

結果の概要

計画改訂の趣旨 社会構造が大きく変化し 少子高齢化が進む中 生活環境の改善や医療の進歩などにより 平均寿命が延びている一方で 肥満や糖尿病などの生活習慣病が増加しており 健康づくりや疾病予防の重要性はますます高まっています 子どもから高齢者まで すべての県民が 健やかな生活をおくるために ヘルスプロ

国と同一項目 国と類似項目 都道府県独自項目 別表第五栄養 食生活 身体活動 運動 休養 飲酒 喫煙及び歯 口腔の健康に関する生活習慣及び社会環境の改善に関する目標 その他 ( 自治体独自項目 ) (1) 栄養 食生活 (2) 身体活動 運動 (3) 休養 (4) 飲酒 (5) 喫煙 (6) 歯 口

山梨県生活習慣病実態調査の状況 1 調査目的平成 20 年 4 月に施行される医療制度改革において生活習慣病対策が一つの大きな柱となっている このため 糖尿病等生活習慣病の有病者 予備群の減少を図るために健康増進計画を見直し メタボリックシンドロームの概念を導入した 糖尿病等生活習慣病の有病者や予備

保健機能食品制度 特定保健用食品 には その摂取により当該保健の目的が期待できる旨の表示をすることができる 栄養機能食品 には 栄養成分の機能の表示をすることができる 食品 医薬品 健康食品 栄養機能食品 栄養成分の機能の表示ができる ( 例 ) カルシウムは骨や歯の形成に 特別用途食品 特定保健用

青年期を対象とした携帯食事手帳システムの提供 目 次 1. 目的 1 2. 携帯食事手帳システムの概要 1 (1) システムの基礎データ 1 (2) 利用方法 1 (3) 確認できる情報 1 3. 携帯食事手帳利用の手引き 2 (1) 携帯食事手帳 (QRコード) 3 (2) 料理選択の仕方 4 (

特定健康診査等実施計画 ( 第 2 期 ) ベルシステム 24 健康保険組合 平成 25 年 3 月 1 日

歯科中間報告(案)概要

愛知県アルコール健康障害対策推進計画 の概要 Ⅰ はじめに 1 計画策定の趣旨酒類は私たちの生活に豊かさと潤いを与える一方で 多量の飲酒 未成年者や妊婦の飲酒等の不適切な飲酒は アルコール健康障害の原因となる アルコール健康障害は 本人の健康問題だけでなく 家族への深刻な影響や飲酒運転 自殺等の重大

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Taro-4

健康くるめ21概要

泉大津

日本スポーツ栄養研究誌 vol 目次 総説 原著 11 短報 19 実践報告 資料 45 抄録

スライド 1

4 給食従事者数 (11 月 1 日現在 ) 11/1 現在の給食に従事する職員 ( 育休等による代替職員の場合は 11/1 時点で勤務している者 ) について 施設側 委託先別に 職種ごと 常勤 / 非常勤の員数を記入してください 常勤とは 当該施設において他の正規職員と同様な勤務形態にある場合を

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Q4 給食施設の分類について 特定給食施設 定義 届出 栄養管理報告書 指導 相談 特定かつ多数の人に対して継続的に食事を提供している施設で 1 回 100 食以上または1 日 250 食以上の給食を提供している施設 年 2 回 (5 月分と11 月分 ) を翌々月の15 日までに豊中市保健所保健企

特定健康診査等実施計画 東京スター銀行健康保険組合 平成 25 年 4 月

目標 1 食育に関心を持っている国民を増やす 食育を国民運動として推進し 成果を挙げるためには 国民一人一人が自ら実践を心掛けることが必要であり そのためには まずより多くの国民に食育に関心を持ってもらうことが欠かせない また 食育に関心を持っている国民は 関心を持っていない国民よりも朝食を食べる頻

(7)健診データの受領方法

表紙裏 ( 空白 )

栄養管理報告書 ( 給食施設 ) 保健所長 殿 Ⅰ 施設種類 Ⅱ 食事区分別 1 日平均食数及び食材料費 Ⅲ 給食従事者数 1 学校 2 児童福祉施設 ( 保育所以外 ) 3 社会福祉施設 4 事業所 5 寄宿舎 6 矯正施設 7 自衛隊 8 一般給食センター 9 その他 ( ) 食数及び食材料費

2) エネルギー 栄養素の各食事からの摂取割合 (%) 学年 性別ごとに 平日 休日の各食事からのエネルギー 栄養素の摂取割合を記述した 休日は 平日よりも昼食からのエネルギー摂取割合が下がり (28~31% 程度 ) 朝食 夕食 間食からのエネルギー摂取割合が上昇した 特に間食からのエネルギー摂取

(2) 循環器疾患項目 策定時の現状 データソース 1 脳血管疾患 虚血性心疾 脳血管疾患 厚生労働省 人口動態調査 脳血管疾患 脳血管疾患 患の年齢調整死亡率の減少 男性 49.5 男性 44.8 男性 41.6 (10 万人当たり ) 女性 26.9 女性 24.6 女性 24.7 虚血性心疾患

2 夜食 毎日夜食をとっている者は では 22.5%( 平成 23 年 23.9%) であり で % と割合が高い では 18.3%( 平成 23 年 25.2%) であり 40 歳代で割合が高い 図 夜食の喫食状況 (15 歳以上 性別 年齢階級別 )

PowerPoint プレゼンテーション

食生活指針の解説要領 1. 食生活指針改定の趣旨我が国は世界でも有数の長寿国であり 平均寿命は男女ともに 80 年を超え 今後も平均寿命が延びることが予測されています こうした平均寿命の延伸には 日本人の食事が一助になっていると考えられます 日本人の食事の特徴としては 気候と地域の多様性に恵まれ 旬

(2) 望ましい食習慣や知識の習得 ( 関連目標 ) 子どもたちが 食習慣や知識を習得することは 生涯にわたって健全な食生活を実践していくために重要です そこで 学校では家庭科や学校行事等における調理実習等の体験を通して 児童生徒が食に関する正しい知識や技能を習得できるようにするとともに 家庭での実

(3) 摂取する上での注意事項 ( 該当するものがあれば記載 ) 機能性関与成分と医薬品との相互作用に関する情報を国立健康 栄養研究所 健康食品 有効性 安全性データベース 城西大学食品 医薬品相互作用データベース CiNii Articles で検索しました その結果 検索した範囲内では 相互作用

Ⅰ 目標達成

栄養表示に関する調査会参考資料①

食育推進計画策定の背景と根拠 1 食育基本法 平成 17 年制定 国民が生涯にわたって健全な心身を培い 豊かな人間性をはぐくむ ことが目的 第 3 次食育推進基本計画 第 1 次計画での 食育 の周知から 第 2 次計画で 食育の実践 へ 食をめぐる状況の変化を受け 第 3 次計画で重点課題の見直し

平成 26 年 10 月 28 日自由民主党組織運動本部厚生関係団体委員会委員長とかしきなおみ殿政務調査会厚生労働部会長髙鳥修一殿 日本栄養士連盟会長加藤廣子公益社団法人日本栄養士会会長小松龍史 平成 27 年度予算 税制等に関する要望 少子高齢社会の本格的な到来を迎えて 国では 社会保障制度の継続

2 基本方向 前頁の基本理念を実現するための施策の方向として 次の 4 つの基本方向を掲げます 基本方向 1 健康づくりを支える環境整備 ~ みんなでつくる健康なまち ~ 基本方向 2 生活習慣病の発症予防と重症化予防 ~ 健康をつくる生活習慣 ~ 基本方向 3 分野別の健康づくりの推進 ~ 人生を

くう五栄養 食生活 身体活動 運動 休養 飲酒 喫煙及び歯 口腔の健康に関する生活習慣及び 社会環境の改善上記一から四までの基本的な方向を実現するため 国民の健康増進を形成する基本要素となる栄養 食生活 身体活動 運動 休養 飲酒 喫煙及び歯 口腔の健康に関する生活習慣の改善が重要である 生活習慣の

「健康食品」の定義

問 3 問 2 で と回答した方は 上記対策で何を見て知ったか ( 複数回答可 ) % 問 4 問 2で と回答した方は 下記対策で利用したいまたは既に利用しているものは 問 4 何か ( 複数回答可 ) 特定健診 特定保健指導対策 10 (41.9%) がん ( 婦人

肥満と栄養cs2-修正戻#20748.indd

特定健康診査等実施計画 第二期 ( 平成 25 年度 ~ 平成 29 年度 ) 第一版 三菱鉛筆健康保険組合 平成 25 年 5 月

●アレルギー疾患対策基本法案

特定健康診査等実施計画 豊田合成健康保険組合 平成 30 年 3 月

特定健康診査等実施計画 ( 第 3 期 ) ベルシステム 24 健康保険組合 平成 30 年 3 月 1 日 ( 最終更新日 : 平成 30 年 7 月 27 日 )

結果の概要 1 栄養 食生活に関する状況 (1) 野菜の摂取状況 20 歳以上における 1 日の野菜摂取量の平均値は 288.1g 性別にみると男性 297.1g 女性 281.1g 年齢階級別にみると 男女ともに 40 歳代で最も少ない 図 1 野菜摂取量の平均値 (20 歳以上 性 年齢階級別

平成 29 年度広島県立庄原特別支援学校食に関する年間指導計画小学部重複障害学級 遊びの指導 生活単元学習 給食の食材や献立について知る 正しい手洗いを身に付ける 協力して配膳ができる 給食の食材や献立について知る バランスよく, 何でも食べる 必要な水分を上手に摂取する 食後の片付けができる しっ

②肥満 やせの状況 3 歳児における肥満児の割合は減少していました 成人男性の肥満は横ばいで 代女性の肥満は増加傾向がみられました 一方 20 代女性のやせは倍増しており 肥満だけでなく 子どもを産み育てる世代への支援が必要となります 20代 60代の肥満 BMI 25以上 の割合 肥満

学校給食実施基準施行通知

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活実態と関連を図りながら重点的に指導していきたい また, 栄養教諭による給食献立の栄養バランスや食事によるエネルギー量を基盤として, グループごとに話合い活動を取り入れるなどの指導の工夫を行いたい また, 授業の導入にアイスブレイクや, カード式発想法を取り入れることにより, 生徒が本気で語ることが

刈谷市食育推進計画

ライフステージ別に 個人 家庭 地域 企業 行政 それぞれの分野での取組を まとめました 基本施策 1 理解と関心を深めて食育推進 個人 家庭 地域 企業 家族と 食 について話をする 感謝の気持ちを込めて いただきます ごちそうさま を言う よく噛んで味わって食べる 買い物や調理 後片付け等 食事

第 2 章計画の推進及び進行管理 1 計画の推進 県 市町村及び県民が 関係機関等と相互に連携を図りながら 県民の歯 口腔の健康づくりを推進します 県における推進 (1) 全県的な推進 県全域の課題を踏まえた基本的施策や方向性を示すとともに 取組の成果について継続的な評価を行い 県民の生涯を通じた歯

また 我が国は食料及び飼料等の生産資材の多くを海外からの輸入に頼っている一方で 推計で年間約 642 万トンにのぼる食品ロスが発生しており 環境への大きな負荷を生じさせている このため 国 地方公共団体 食品関連事業者 国民等の様々な関係者が連携しながら 生産から消費までの一連の食の循環を意識しつつ

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学校給食摂取基準の活用 学校給食摂取基準は全国平均を示したものであるから その考え方を踏まえた上で 各学校の実態に応じた摂取基準 ( 給与栄養目標量 ) 作成する必要がある EER 算出シートに数字を打ち込めば EER( 推定エネルギー必要量 ) は算出できるが 専門職 ( 管理栄養士 栄養士 )


埼玉県食育推進計画 ( 第 3 次 ) 平成 28 年度 ~30 年度 彩の国 埼玉県

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次世代ヘルスケア産業協議会第 17 回健康投資 WG 資料 6 職場における食生活改善の質の向上に向けて 武見ゆかり第 6 期食育推進評価専門委員会委員 ( 女子栄養大学教授, 日本栄養改善学会理事長 )

第 3 次食育推進基本計画の重点課題と目標項目 重点課題 ( 全部で 5 項目 ) <1> 若い世代を中心とした食育の推進 ( 若い世代 :20~30 歳代 ) 若い世代自身が取り組む食育, 次世代に伝え つなげる食育 <3> 健康寿命の延伸につながる食育の推進健康づくりや生活習慣病の予防のための減塩等の推進 メタボリックシンドローム 肥満 やせ 低栄養予防など 目標項目 (15 項目 21 指標 ) これらの目標達成には, 職場での食生活改善と連動させることが必要 1

健康日本 21( 第二次 ) 栄養 食生活目標個人と環境の双方が重要 栄養状態 食物摂取 食行動 健康寿命の延伸 健康格差の縮小 生活の質の向上 生活習慣病の発症予防 重症化予防 適正体重の維持 適正な量と質の食事 共食の増加 健康な食習慣の獲得 ( 朝 昼 夕の三食を食べる ) < 乳幼児 学童期 > 社会生活機能の維持 向上 ( こころ 次世代 高齢者 ) 低栄養の低減 < 成人期 > < 高齢期 > 個人のライフステージ 社会環境の質の向上 社会参加の機会の増加 1 食を通じた地域のつながりの強化 2 食生活改善推進員 食育ボランティアなど主体的に関わる個人の増加 健康のための資源へのアクセスの改善と公平性の確保 3 健康づくりに関わる企業の増加 4 栄養ケアステーション等身近で健康づくり 5 栄養指導 栄養情報や健康に良い食物へのアクセスの改善と公平性確保のための自治体の取組増加 主食 主菜 副菜の揃う食事の増加 野菜 果物の摂取量の増加 食塩摂取量の低減 食品中の食塩や脂肪の低減に取り組む食品企業 飲食店の増加 社会環境 利用者に応じた栄養管理を実施している給食施設の増加 食環境 2

従業員の適切な栄養管理は, 特定給食施設の設置者の責務 健康日本 21( 第二次 ) 栄養 食生活食環境の目標項目 目標項目策定時の現状目標値 利用者に応じた食事の計画, 調理及び栄養の評価, 改善を実施している特定給食施設数の割合の増加 ( 参考値 ) 管理栄養士 栄養士を配置している施設の割合 70.5% 80% 職場の給食や栄養管理の改善が, 利用者の血中脂質改善, 体重コントロール, 関連する知識や態度の改善, 食塩摂取量の減少効果などのエビデンスあり 健康増進法第 21 条 ( 特定給食施設における栄養管理 ) 1 特定給食施設であって特別の栄養管理が必要なものとして厚生労働省令で定めるところにより都道府県知事が指定するものの設置者は 当該特定給食施設に管理栄養士を置かなければならない 2 前項に規定する特定給食施設以外の特定給食施設の設置者は 厚生労働省令で定めるところにより 当該特定給食施設に栄養士又は管理栄養士を置くように努めなければならない 3 特定給食施設の設置者は 前二項に定めるもののほか 厚生労働省令で定める基準に従って 適切な栄養管理を行わなければならない 継続的に 1 回 100 食以上又は 1 日 250 食以上の食事を供給する施設 3

従業員の適切な栄養管理は, 特定給食施設の設置者の責務 健康増進法第 21 条 ( 特定給食施設における栄養管理 ) 一特定給食施設であって特別の栄養管理が必要なものとして厚生労働省令で定めるところにより都道府県知事が指定するものの設置者は 当該特定給食施設に管理栄養士を置かなければならない 二前項に規定する特定給食施設以外の特定給食施設の設置者は 厚生労働省令で定めるところにより 当該特定給食施設に栄養士又は管理栄養士を置くように努めなければならない 三特定給食施設の設置者は 前二項に定めるもののほか 厚生労働省令で定める基準に従って 適切な栄養管理を行わなければならない 継続的に 1 回 100 食以上又は 1 日 250 食以上の食事を供給する施設 健康増進法施行規則 ( 第 9 条 ) 一利用者の身体の状況 栄養状態 生活習慣等を定期的に把握し これらに基づき 適当な熱量及び栄養素の量を満たす食事の提供及びその品質管理を行うとともに これらの評価を行うよう努めること 二食事の献立は 身体の状況等のほか 利用者の日常の食事の摂取量 嗜好等に配慮して作成するよう努めること 三献立表の掲示並びに熱量及びたんぱく質 脂質 食塩等の主な栄養成分の表示等により 利用者に対して 栄養に関する情報の提供を行うこと 4

健康経営度調査の 職域の食生活改善 について, より明確な基準の提示をお願いしたい 経済産業省平成 29 年度健康経営度調査調査票より http://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/downloadfiles/h29kenkoukeieidotyousa_sample.pdf 健康増進法で栄養管理が必要と規定されている社員食堂と, 仕出弁当は, 区別して扱ったほうが良いのでは 健康づくりを支援するメニュー, 健康に配慮した食事 飲料 とは何か 定義や基準が必要では 5

職場の食環境整備では, 会社のコミットメントが重要 米国 D 社の 12 事業所 ( 化学系の製造, 研究 開発 ) 社員を対象. 12 事業所を介入群 (9: 環境整備 + 教室開催 ) とコントロール群 (3: 教室の開催のみ ) に割り付けた. 介入群の 9 事業所は, 中等度介入群 (4: 食事と運動に関する環境整備 + 教室開催 ) と強度介入群 (5: 中等度 + 会社による推奨 ) に無作為に割り付け, 事前と 2 年後の BMI, 血圧の変化を検討. 28.4 28.3 28.3 28.2 28.2 28.1 28.1 28.0 28.0 27.9 27.9 (kg/m 2 ) 環境整備 ( 食事と運動 ) (n=213) 環境整備 ( 食事と運動 ) + 会社による推奨 (n=926) 教室の開催のみ (n=382) 事前 BMI 血圧 ( 収縮期 ) 2 年後 ±0.0 (p=0.8326) ±0.0 (p=0.5604) +0.2 (p=0.0045) 130 128 126 124 122 120 118 116 (mmhg) 環境整備 ( 食事と運動 ) + 会社による推奨 (n=926) 教室の開催のみ (n=382) 環境整備 ( 食事と運動 ) (n=213) 事前 +4.9 (p<0.0001) -2.6 (p<0.0001) -0.2 (p=0.8465) 2 年後 効果をより高めるためには 会社のコミットメント ( 健康経営 ) が重要 文献 1) を基に作成 1) Goetzel RZ, Roemer EC, Pei X, Short ME, Tabrizi MJ, Wilson MG, Dejoy DM, Craun Second-year results of an obesity prevention program at the Dow Chemical Company.Environ Med. 2010 Mar;52(3):291-302. 6

対策として, 管理栄養士 栄養士の事業所への配置の促進, 外部の第 3 者機関による認証の活用などを 健康な食事 食環境 認証制度 http://smartmeal.jp/ 健康的な食事 ( スマートミールを, 継続的に, 健康的な環境で提供する店舗や事業所を, 学術団体 (7 つの学協会からなるコンソーシアム ) が認証 目的は, 栄養バランスのとれた食事がとりやすい食環境整備を推進すること 最終ゴールは, 国民の 健康寿命の延伸 の実現 企業が進める健康経営を食生活の面から応援 27