農山漁村での宿泊体験活動の教育効果について

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教育調査 ( 教職員用 ) 1 教育計画の作成にあたって 教職員でよく話し合っていますか 度数 相対度数 (%) 累積度数累積相対度数 (%) はい どちらかといえばはい どちらかといえばいいえ いいえ 0

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Taro-自立活動とは

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2 教科に関する調査の結果 (1) 平均正答率 % 小学校 中学校 4 年生 5 年生 6 年生 1 年生 2 年生 3 年生 国語算数 数学英語 狭山市 埼玉県 狭山市 61.4

国語の授業で目的に応じて資料を読み, 自分の考えを 話したり, 書いたりしている

3 調査結果 1 平成 30 年度大分県学力定着状況調査 学年 小学校 5 年生 教科 国語 算数 理科 項目 知識 活用 知識 活用 知識 活用 大分県平均正答率 大分県偏差値

人間関係を深めるとともに, 児童が自己の生き方についての考えを深め, 家庭や地域社会との連携を図りながら, 集団宿泊活動やボランティア活動, 自然体験活動などの豊かな体験を通して児童の内面に根ざした道徳性の育成が図られるよう配慮しなければならない その際, 特に児童が基本的な生活習慣, 社会生活上の

基本方針 2 児童 生徒一人ひとりに応じた学習を大切にし 確かな学力の育成を図ります 基本方針 2 児童 生徒一人ひとりに応じた学習を大切にし 確かな学力の育成を図ります (1) 基礎的 基本的な学力の定着児童 生徒一人ひとりが生きる力の基盤として 基礎的 基本的な知識や技能を習得できるよう それぞ

第4章 道徳

第 1 章総則第 1 教育課程編成の一般方針 1( 前略 ) 学校の教育活動を進めるに当たっては 各学校において 児童に生きる力をはぐくむことを目指し 創意工夫を生かした特色ある教育活動を展開する中で 基礎的 基本的な知識及び技能を確実に習得させ これらを活用して課題を解決するために必要な思考力 判

学習意欲の向上 学習習慣の確立 改訂の趣旨 今回の学習指導要領改訂に当たって 基本的な考え方の一つに学習 意欲の向上 学習習慣の確立が明示された これは 教育基本法第 6 条第 2 項 あるいは学校教育法第 30 条第 2 項の条文にある 自ら進んで学習する意欲の重視にかかわる文言を受けるものである

各教科 道徳科 外国語活動 総合的な学習の時間並びに特別活動によって編成するものとする 各教科 道徳科 総合的な学習の時間並びに特別活動によって編成するものとする

愛媛県学力向上5か年計画

人権教育の推進のためのイメージ図

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123

p.1~2◇◇Ⅰ調査の概要、Ⅱ公表について、Ⅲ_1教科に対する調査の結果_0821_2改訂

鎌倉市関谷小学校いじめ防止基本方針 平成 26 年 4 月 鎌倉市立関谷小学校

施策吊


< 先生方へ > 長崎県学力向上推進協議会では 子どもに確かな学力をつけていくためには 何 が大切か また 学力の向上を阻害している要因は何かなどについて 検討を重ね ています その中から次のようなことが指摘されました 1 家庭で毎日決まった時間に学習をする習慣をつけることが大切である 2 食事や睡

1. 研究主題 学び方を身につけ, 見通しをもって意欲的に学ぶ子どもの育成 ~ 複式学級における算数科授業づくりを通して ~ 2. 主題設定の理由 本校では, 平成 22 年度から平成 24 年度までの3 年間, 生き生きと学ぶ子どもの育成 ~ 複式学級における授業づくり通して~ を研究主題に意欲的

領域別正答率 Zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz んんんんんんんんんんんんん 小学校 中学校ともに 国語 A B 算数( 数学 )A B のほとんどの領域において 奈良県 全国を上回っています 小学校国語 書く B において 奈良県 全国を大きく上回っています しかし 質問紙調査では 自分

平成 28 年度全国学力 学習状況調査の結果伊達市教育委員会〇平成 28 年 4 月 19 日 ( 火 ) に実施した平成 28 年度全国学力 学習状況調査の北海道における参加状況は 下記のとおりである 北海道 伊達市 ( 星の丘小 中学校を除く ) 学校数 児童生徒数 学校数 児童生徒数 小学校

1 発達とそのメカニズム 7/21 幼児教育 保育に関する理解を深め 適切 (1) 幼児教育 保育の意義 2 幼児教育 保育の役割と機能及び現状と課題 8/21 12/15 2/13 3 幼児教育 保育と児童福祉の関係性 12/19 な環境を構成し 個々 1 幼児期にふさわしい生活 7/21 12/

Ⅲ 目指すべき姿 特別支援教育推進の基本方針を受けて 小中学校 高等学校 特別支援学校などそれぞれの場面で 具体的な取組において目指すべき姿のイメージを示します 1 小中学校普通学級 1 小中学校普通学級の目指すべき姿 支援体制 多様な学びの場 特別支援教室の有効活用 1チームによる支援校内委員会を

2 教科に関する調査の結果 ( 各教科での % ) (1) 小学校 国語 4 年生 5 年生 6 年生 狭山市埼玉県狭山市埼玉県狭山市埼玉県 平領均域正等答別率 話すこと 聞くこと 書くこと

学習指導要領の領域等の平均正答率をみると 各教科のすべての領域でほぼ同じ値か わずかに低い値を示しています 国語では A 問題のすべての領域で 全国の平均正答率をわずかながら低い値を示しています このことから 基礎知識をしっかりと定着させるための日常的な学習活動が必要です 家庭学習が形式的になってい

17 石川県 事業計画書

3 第 3 学年及び第 4 学年の評価規準 集団活動や生活への関心 意欲態度 集団の一員としての思考 判断 実践 学級の生活上の問題に関心 楽しい学級をつくるために を持ち 他の児童と協力して意 話し合い 自己の役割や集団と 欲的に集団活動に取り組もう してよりよい方法について考 としている え 判

2 研究の歩みから 本校では平成 4 年度より道徳教育の研究を学校経営の基盤にすえ, 継続的に研究を進めてきた しかし, 児童を取り巻く社会状況の変化や, 規範意識の低下, 生命を尊重する心情を育てる必要 性などから, 自己の生き方を見つめ, 他者との関わりを深めながらたくましく生きる児童を育てる

小中学校表紙(新)

必要性 学習指導要領の改訂により総則において情報モラルを身に付けるよう指導することを明示 背 景 ひぼう インターネット上での誹謗中傷やいじめ, 犯罪や違法 有害情報などの問題が発生している現状 情報社会に積極的に参画する態度を育てることは今後ますます重要 目 情報モラル教育とは 標 情報手段をいか

幼児期の教育と小学校教育との円滑な接続の在り方について ( 報告 ) ( 概要 ) 子どもの発達や学びの連続性を踏まえた幼児期の教育 ( 幼稚園 保育所 認定こども園における教育 ) と児童期の教育 ( 小学校における教育 ) の円滑な接続の在り方について検討し 以下のとおり 報告をとりまとめた 1

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目 次 1 学力調査の概要 1 2 内容別調査結果の概要 (1) 内容別正答率 2 (2) 分類 区分別正答率 小学校国語 A( 知識 ) 国語 B( 活用 ) 3 小学校算数 A( 知識 ) 算数 B( 活用 ) 5 中学校国語 A( 知識 ) 国語 B( 活用 ) 7 中学校数学 A( 知識 )

第 1 部第 3 章特別支援教育推進計画 ( 第二期 ) の基本理念と施策の方向性 1 東京都特別支援教育推進計画 ( 第二期 ) の基本理念東京都特別支援教育推進計画 ( 前計画 ) の基本理念発達障害を含む障害のある幼児 児童 生徒の一人一人の能力を最大限に伸長するため 乳幼児期から学校卒業後ま

[2007版] 平成23年度 全国学力・学習状況調査の結果概要(01 小・・

61.8%

参考資料 障害者の生涯を通じた多様な学習活動の充実について(1/2)

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求められる整理編

成績評価を「学習のための評価」に

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大泉町手話言語条例逐条解説 前文 手話は 手指の動きや表情を使って視覚的に表現する言語であり ろう者が物事を考え 意思疎通を図り お互いの気持ちを理解しあうための大切な手段として受け継がれてきた しかし これまで手話が言語として認められてこなかったことや 手話を使用することができる環境が整えられてこ

「標準的な研修プログラム《

政策評価書3-3(4)

八街市教育振興基本計画(平成26年~平成35年)

工業教育資料347号

基本施策情報活用能力の育成を図ります 幼児教育の推進 にあたっては 幼児期が生涯の人格形成の基礎を培う大切な時期であるとの認識のもと 子どもたちの心身の発達に資する質の高い幼児教育を推進します 2 人との絆や自然との関わりの中で伸びゆく豊かな心の育成 子どもたちが生命を大切にする心や思いやりの心 感

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ホームページ掲載資料 平成 30 年度 全国学力 学習状況調査結果 ( 上尾市立小 中学校概要 ) 平成 30 年 4 月 17 日実施 上尾市教育委員会

玉川大学教職大学院 教授 小松 郁夫氏

(1) 体育・保健体育の授業を改善するために

1. 調査結果の概況 (1) の児童 ( 小学校 ) の状況 < 国語 A> 今年度より, ( 公立 ) と市町村立の平均正答率は整数値で表示となりました < 国語 B> 4 国語 A 平均正答率 5 国語 B 平均正答率 ( 公立 ) 74.8 ( 公立 ) 57.5 ( 公立 ) 74 ( 公立

町全体の状況を把握 分析するとともに 平均正答率については 全国 全道との比較を数値以外の文言で表現します また 質問紙調査の結果や 課題解決に向けた学力向上の取組を示します (3) 学校ごとの公表小規模校において個人が特定される恐れのあることから 学校ごとの結果公表はしません (4) 北海道版結果

商業科 ( 情報類型 ) で学習する商業科目 学年 単位 科目名 ( 単位数 ) 1 11 ビジネス基礎 (2) 簿記(3) 情報処理(3) ビジネス情報(2) 長商デパート(1) 財務会計 Ⅰ(2) 原価計算(2) ビジネス情報(2) マーケティング(2) 9 2 長商デパート (1) 3 プログ

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教育と法Ⅰ(学習指導要領と教育課程の編成)

①CSの概要

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岐阜県手話言語の普及及び障害の特性に応じた意思疎通手段の利用の促進に関 する条例 目次前文第一章総則 ( 第一条 - 第八条 ) 第二章基本的施策の推進 ( 第九条 - 第十六条 ) 附則 ( 前文 ) 手話が言語であることは 障害者の権利に関する条約において世界的に認められており わが国においても

平成 30 年度全国学力 学習状況調査の結果について ( 速報 ) 1. 調査の概要 実施日平成 30 年 4 月 17 日 ( 火 ) 調査内容 1 教科に関する調査 ( 国語 A 国語 B 算数 数学 A 算数 数学 B 理科 (3 年に 1 回 )) A 問題 : 主として知識に関する問題 B

第 1 章高校教育を取り巻く現状と課題 2 高校教育を取り巻く現状と課題 (2) 県立高校の現状と課題 4 不登校生徒や中途退学者の状況 そのため, 高校と中学校 特別支援学校 地域の保健福祉部門等との連携を強化し, 教育相談体制を拡充するとともに, 生徒一人一人の自己肯定感の涵養や自己実現を積極的

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佐賀県教育センター 平成 24 年 2 月 1 日 新学習指導要領で評価が変わる! 新学習指導要領における学習評価の進め方 ( 中学校特別活動 ) 平成 24 年度から, 中学校では新学習指導要領が全面実施となります 新学習指導要領の趣旨を反映した学習評価の考え方については, 平成 23 年 7 月

31阿賀野全:方針実践のための行動計画

・構成の異なる集団での活動を通して、生徒が学校生活を送る上での基盤となる力や社会で生きて働く力を育む活動として機能してき

「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けて

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2年生学級活動(性に関する指導)指導案

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平30年度学校経営案ホームページ洋

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解禁日時新聞平成 30 年 8 月 1 日朝刊テレビ ラジオ インターネット平成 30 年 7 月 31 日午後 5 時以降 報道資料 年月日 平成 30 年 7 月 31 日 ( 火 ) 担当課 学校教育課 担当者 義務教育係 垣内 宏志 富倉 勇 TEL 直通 内線 5

新しい幼稚園教育要領について

平成27年度公立小・中学校における教育課程の編成実施状況調査結果について

文化庁平成 27 年度都道府県 市区町村等日本語教育担当者研修 2015 年 7 月 1 日 生活者としての外国人 に対する日本語教育の体制整備に向けた役割分担 日本語教育担当者が地域課題に挑む10のステップ よねせはるこ米勢治子 ( 東海日本語ネットワーク )

県立学校職員 ( 趣旨 ) 第 1 条この要綱は 地方公務員法 ( 昭和 25 年法律第 261 号 ) 第 15 条の2 第 1 項第 5 号の規定に基づき 山形県教育委員会における職員 ( 学校教育法 ( 昭和 22 年法律第 26 号 ) 第 7 条に規定する校長及び教員等 ) の標準職務遂行

考え 主体的な学び 対話的な学び 問題意識を持つ 多面的 多角的思考 自分自身との関わりで考える 協働 対話 自らを振り返る 学級経営の充実 議論する 主体的に自分との関わりで考え 自分の感じ方 考え方を 明確にする 多様な感じ方 考え方と出会い 交流し 自分の感じ方 考え方を より明確にする 教師

フトを用いて 質問項目間の相関関係に着目し 分析することにした 2 研究目的 全国学力 学習状況調査結果の分析を通して 本県の児童生徒の国語及び算数 数学の学習 に対する関心 意欲の傾向を考察する 3 研究方法平成 25 年度全国学力 学習状況調査の児童生徒質問紙のうち 国語及び算数 数学の学習に対

資料3 道徳科における「主体的・対話的で深い学び」を実現する学習・指導改善について

主な取組 質の高い幼児教育の推進 幼稚園教育要領の内容の定着を図るため幼稚園において 幼児の実態等を踏まえた適切な教育課程を編成し 家庭や地域と連携 協力しつつ幼児教育を推進します 幼稚園において運動遊びを充実させ 幼児の体力向上を目指します ふかやこども園モデル園運営事業に係る3 歳児受入れ 平日

7 本時の指導構想 (1) 本時のねらい本時は, 前時までの活動を受けて, 単元テーマ なぜ働くのだろう について, さらに考えを深めるための自己課題を設定させる () 論理の意識化を図る学習活動 に関わって 考えがいのある課題設定 学習課題を 職業調べの自己課題を設定する と設定する ( 学習課題

造を重ねながら取り組んでいる 人は, このような自分の役割を果たして活動すること, つまり 働くこと を通して, 人や社会にかかわることになり, そのかかわり方の違いが 自分らしい生き方 となっていくものである このように, 人が, 生涯の中で様々な役割を果たす過程で, 自らの役割の価値や自分と役割

教育 学びのイノベーション事業 ( 平成 23~25 年度 ) 総務省と連携し 一人一台の情報端末や電子黒板 無線 LAN 等が整備された環境の下で 教科指導や特別支援教育において ICT を効果的に活用して 子供たちが主体的に学習する 新たな学び を創造する実証研究を実施 小学校 (10 校 )

第3部 次世代育成支援対策(前期行動計画) 第3章 子どもの心身の健やかな成長に資する教育環境の整備

系統的で一貫性のあ評価指標 評価指標による達成度 総合評価 るキャリア教育の推進に向けて 小 中 1 卒業後の生活につながる客観的 < 評定 > 学部段階での客観的アセスメントに基づいた指導計画 指標に基づいた卒業を立案することができる A B C 後の生活を見据えた教育活動につながる 2 立案され

身近な自然に親しみ, 動植物に優しい心で接すること 第 3 学年及び第 4 学年 自然のすばらしさや不思議さを感じ取り, 自然や動植物を大切にすること 第 5 学年及び第 6 学年 自然の偉大さを知り, 自然環境を大切にすること [ 感動, 畏敬の念 ] 第 1 学年及び第 2 学年 美しいものに触

3. 分析と結果 公表に対する配慮事項 公表に際しては 文部科学省が定めた平成 29 年度全国学力 学習状況調査実施要領に基づき 次の点に配慮して実施します 1) 本調査は 太子町の子どもたちの学力や学習状況を把握し分析することにより 全国 大阪府の状況との関係において教育及び教育施策の成果と課題を

6. 調査結果及び考察 (1) 児童生徒のスマホ等の所持実態 1 スマホ等の所持実態 54.3% 49.8% 41.9% 32.9% % 78.7% 73.4% 71.1% 76.9% 68.3% 61.4% 26.7% 29.9% 22.1% % 中 3 中 2 中 1

資料1-7 部活動指導員について

[ 中学校男子 ] 1 運動やスポーツをすることが好き 中学校を卒業した後 自主的に運動やスポーツをする時間を持ちたい 自分の体力 運動能力に自信がある 部活動やスポーツクラブに所属している 3 運動やスポーツは大切 [ 中学校女子

本年度の調査結果を更に詳しく分析するため 本道の課題となっている質問紙の項目について 継続して成果を上げている福井県 秋田県 広島県と比較した結果を示しています ( 全国を 100 とした場合の全道及び他県の状況をレーダーチャートで示したもの ) 1 福井県との比較 (~P51) 継続的に成果を上げ

(2) 国語 B 算数数学 B 知識 技能等を実生活の様々な場面に活用する力や 様々な課題解決のための構想を立て実践し 評価 改善する力などに関わる主として 活用 に関する問題です (3) 児童生徒質問紙児童生徒の生活習慣や意識等に関する調査です 3 平成 20 年度全国学力 学習状況調査の結果 (

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情報コーナー用

初等中等教育局受入れ計画

Transcription:

子ども農山漁村 自然体験活動プログラム研修 農山漁村での宿泊体験活動の 教育効果について 平成 22 年 8 月 2 日 文部科学省 初等中等教育局児童生徒課

小学校学習指導要領第 6 章特別活動 望ましい集団活動を通して 心身の調和のとれた発達と個性の伸長を図り 集団の一員としてよりよい生活や人間関係を築こうとする自主的 実践的な態度を育てるとともに 自己の生き方についての考えを深め 自己を生かす能力を養う 第 2 各活動 学校行事の目標及び内容 学校行事 1 目標学校行事を通して 望ましい人間関係を形成し 集団への所属感や連帯感を深め 公共の精神を養い 協力してよりよい学校生活を築こうとする自主的 実践的な態度を育てる 2 内容 (4) 遠足 集団宿泊的行事自然の中出に集団宿泊活動などの平素と異なる生活環境にあって 見聞を広め 自然や文化などに親しむとともに 人間関係などの集団生活の在り方や公衆道徳などについての望ましい体験を積むことができるような活動を行うこと

教育振興基本計画 (H20.7 閣議決定 ) 第 3 章今後 5 年間に総合的かつ計画的に取り組むべき施策 (3) 基本的方向ごとの施策 今後 10 年間を通じて目指すべき教育の姿の実現に向け 今後 5 年間 以下のような施策を中心に取り組む 基本的方向 1 社会全体で教育の向上に取り組む 施策 放課後や週末の子どもたちの体験 交流活動等の場づくり 関係府省が連携して 小学校で自然体験 集団宿泊体験を全国の児童が一定期間 ( 例えば 1 週間程度 ) 実施できるよう目指すとともに そのために必要な体験活動プログラムの開発や指導者の育成を支援する 基本的方向 2 個性を尊重しつつ能力を伸ばし 個人として 社会の一員として生きる基盤を育てる 施策 体験活動 読書活動等の推進 生命や自然を大切にする心や他を思いやる優しさ 社会性 規範意識などを育てるため 全国の小学校 中学校及び高等学校において 自然体験活動や集団宿泊活動 職場体験活動 奉仕体験活動 文化芸術体験活動といった様々な体験活動を行う機会の提供について関係府省が連携して推進する

学校 家庭 地域の連携協力推進事業 豊かな体験活動推進事業 平成 22 年度予算額 13,093 百万円の内数 ( 新規 ) 児童の豊かな人間性や社会性を育むためには 自然体験活動をはじめ様々な体験活動を行うことで 命を大切にする心や他人を思いやる心 規範意識等の育成を図ること等が極めて重要である また 一般的に宿泊を伴う体験活動においては 3 泊 4 日以上の体験日数を確保することが望ましく これを宿泊体験の当面のモデル的な期間とすべきとの研究結果も出ている このため 小学校において実施する体験活動のうち 3 泊 4 日以上の日数での自然の中での集団宿泊活動を支援することで 3 泊 4 日以上の日数での活動を全国に普及させ 小学校における豊かな体験活動のより充実した展開を推進する 1. 事業内容 (1) 自然宿泊体験事業 ~ 子ども農山漁村交流プロジェクト ~ 330 校 (66 地域各 5 校 ) 農林水産省 総務省と連携して実施する 子ども農山漁村交流プロジェクト として 農林水産省が指定するモデル地域等において 3 泊 4 日以上の宿泊体験を通じて自然体験活動等を行う小学校の取組に対する補助を行う 活動の支援や成果の普及により 体験活動のより充実した展開を推進 (2) 体験活動推進協議会 66 地域各都道府県 指定都市において 様々な体験活動を推進していく上での課題や成果について議論を行ったり 好事例の収集 各学校への情報提供や取組の普及を図る協議会を立ち上げる 2. 補助事業者 都道府県 指定都市 また 間接補助事業として行う場合は市町村 3. 補助率 1/3

農山漁村での長期宿泊体験による教育効果について ( 報告 ) H21.11 平成 20 年度農山漁村におけるふるさと生活 体験推進校 178 校 2 泊 3 日 3 泊 4 日以上 4 泊 5 日以上で実施 した場合の区分に分類

勉強や運動が不得意な児童を助けるなど 優しさや思いやりの気持ちが深まった

児童が互いに励まし合うなど 連帯感や仲間意識が向上した

班 学級 委員会等の集団で活動する際 リーダーシップをとる児童が増えた

いじめや不登校問題の改善に効果が見られた

主な評価結果 人間関係 コミュニケーション能力 自主性 自立 心 等 各評価項目の多くの設問において効果を認めた いじめ 不登校等の問題行動にも効果が認められるなど 全体として多様な効果を期待できる 一般的に3 泊 4 日以上の体験日数を確保することが望ましく 宿泊体験の当面のモデル的な期間とすべき

農山漁村での長期宿泊体験による教育効果について ( 報告 ) H21.11 平成 20 年度農山漁村におけるふるさと生活 体験推進校 178 校 H22.7 平成 21 年度推進校 306 校 2 泊 3 日 3 泊 4 日以上 4 泊 5 日以上で実施 した場合の区分に分類 体験プログラム 学校の所在する地域 等による区分に分類

自然体験活動 7.5% 63.9% 児童の学習意欲等 活動期間中の自然体験などを通じて 周囲の事象に興味や好奇心を持ち 児童が 学ぶこと の意義を感じるなどして 学校での授業により積極的に取り組むようになった 10 時間以上 (241 校 ) 26.6% 2.1% 5 時間以上 10 時間未満 (49 校 ) 2.0% 69.4% 28.6% 5 時間未満 (16 校 ) 56.3% 43.8% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 5 非常によく感じる 4 よく感じる 3 どちらとも言えない 2 あまり感じない 1 全く感じない

農林漁業にかかる作業体験 マナー モラル 心の成長 きちんとあいさつをしようとする児童が増加した 24.7% 13.0% 4 時間以上 (215 校 ) 6 2 時間以上 4 時間未満 (54 校 ) 70.4% 14.4% 16.7% 0.9% 17.6% 2 時間未満 (17 校 ) 47.1% 35.3% 1 実施していない (20 校 ) 55.0% 35.0% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 5 非常によく感じる 4 よく感じる 3 どちらとも言えない 2 あまり感じない 1 全く感じない

児童の自治的な話合いの時間人間関係 コミュニケーション能力 相手の言うことをよく聞き 理解し合い 相手のことを思いやるようになった 10.1% 15.4% 10.2% 5.6% 1 時間以上 (99 校 ) 1.0% 74.7% 14.1% 30 分以上 1 時間未満 (130 校 ) 1.5% 60.8% 22.3% 30 分未満 (59 校 ) 64.4% 25.4% 設けていない (18 校 ) 11.1% 55.6% 27.8% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 5 非常によく感じる 4 よく感じる 3 どちらとも言えない 2 あまり感じない 1 全く感じない

現地の人々との交流の時間 自主性 自立心 進んで清掃や係の仕事をしようとするようになった 16.9% 1 4 時間以上 (284 校 ) 57.4% 24.3% 2 時間以上 4 時間未満 (10 校 ) 6 2 1.4% 1 4 42.9% 2 時間未満 (5 校 ) 6 実施していない (7 校 ) 57.1% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 5 非常によく感じる 4 よく感じる 3 どちらとも言えない 2 あまり感じない 1 全く感じない

学校が所在する市区町村の農業地域類型の違い 環境教育 児童が自然体験を行ったことで 自然への関心や環境保全に対する意識が向上した 17.8% 12.9% 20.4% 17.5% 山間農業地域 (45 校 ) 53.3% 中間農業地域 (70 校 ) 55.7% 平地農業地域 (54 校 ) 48.1% 都市的地域 (137 校 ) 50.4% 26.7% 3 31.5% 29.2% 2.2% 1.4% 2.9% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 5 非常によく感じる 4 よく感じる 3 どちらとも言えない 2 あまり感じない 1 全く感じない

主な評価結果 人間関係 コミュニケーション能力 自主性 自立心 等 各評価項目の多くの設問において活動時間数に応じて効果を認めた 児童の自治的な話合いの時間 については 全体を通じて概ね活動時間数に応じて高い効果が現れている また 農林漁業にかかる作業体験 については 一定のまとまった活動時間数を確保することで より高い効果が現れている 学校が所在する地域ごとの比較では 日常生活での実体験活動の不足については 農業地域類型を問わず共通の課題

宿泊体験活動の計画 実施に当たっての留意事項 日常の学校生活を離れて実施する宿泊体験活動期間中に 児童生徒に課題や目標を共有させ 集団生活の充実感を感得させることにより 連帯感や仲間意識の向上を図ること 宿泊体験活動を児童生徒の人間形成や社会性涵養のきっかけとして 事前 現地での活動及び事後の指導を充実させ 教科学習 他の学校行事などと関連を持たせて継続的に取り組むこと 児童同士が話合いの時間を持てるよう プログラムに余裕を持たせること 児童の自治的な話合いの時間については 十分な時間を確保し 真に自発性を引き出す活動とすること

児童が協力し合わなければできないような課題性を持たせたプログラムにすること 特定の児童だけでなく いろいろな児童にリーダー経験をさせること 自分たちでルールを考えさせ 守らせること 自然体験活動と教科や総合的な学習の時間等の学習との関連を児童に意識させ 自然への関心を高めるなど児童の好奇心を刺激すること

宿泊体験活動において 児童同士の口論 喧嘩など一時的な感情の衝突が起こった場合にも その機会を捉えて相互理解していくための指導を行うこと 何か問題が起こった際にも まず児童が自分で考え解決できるよう 自発的 自治的な活動の指導を重視すること 実施に当たっては 事故防止に努めるとともに 気象状況等を十分に注意し より一層の安全確保に努めること